JP2003284908A - 伸縮の少ない減容高性能エアフィルタ濾材及びその製造方法 - Google Patents
伸縮の少ない減容高性能エアフィルタ濾材及びその製造方法Info
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Abstract
エアフィルタ濾材と同等な捕集効率を有し、且つ熱およ
び湿度変化に対するシート伸縮率が小さい減容高性能エ
アフィルタ濾材の提供。 【解決手段】 このエアフィルタ濾材は、平均繊維径0.
65 μ以下のガラス繊維を10 〜50 重量%、平均重合
度400以上の高重合度再生セルロース繊維を35〜8
0重量%、その他有機繊維を0〜45重量%を混合して
なる基材と、この基材100重量%に対して、繊維状バ
インダーを1 〜10重量%を配合させてなる、熱および
湿度変化に対するシート伸縮率が0.7%以下である。
Description
オ・食品工業及び、原子力発電所や病院施設などのRI
(radio isotope)関係などで用いられる
高性能エアフィルタにおいて、空気中の不純物を濾過す
るために使用される焼却減容可能な高性能エアフィルタ
濾材に関する。
主原料がガラス繊維の物が広く用いられている。高性能
エアフィルタとしては、粒径0.3μm 粒子を99.9
7%以上捕集するHEPA濾材と、粒径0.1μm粒子
を捕集対象とし、HEPA以上の捕集効率を持つULP
A濾材がある。また、放射性エアロゾル用高性能エアフ
ィルタでは、JIS Z 4812においてフィルタユ
ニットとして粒径0.15μm粒子を99.97%以上
の捕集と規定されている。しかし、使用済み濾材は焼却
処分が不可能なため、産業廃棄物として処理されてい
る。また、特に、RI施設で使用された濾材は放射性廃
棄物質となるため、環境の観点からも問題である。
機繊維を配合した濾材が提案されおり、焼却時に減容で
きる利点があるが、オールガラス繊維の濾材に比べフィ
ルタ性能が悪い。また、性能が比較的良い再生セルロー
ス繊維や天然セルロース繊維をガラス繊維と混抄した濾
材が特公昭63−56806に示されているが、この方
法では使用しているセルロース繊維が水分の影響を受け
易く、ユニット加工時やフィルタユニットの使用時など
での熱や環境の湿度変化により濾材が伸縮を起こして変
形するため、ユニットが変形してしまい、外観が悪くな
る、極端な場合、隙間が生じてリークを起こしたり、濾
材同士が接触して構造圧損が高くなるなどの問題点があ
った。
は、従来のオールガラス繊維濾材と同等の性能を有し、
焼却による減容が可能で、且つ、伸縮の少ない濾材を提
供することである。
0.65μm以下のガラス繊維を10〜50重量%、平
均重合度400以上の高重合度再生セルロース繊維を3
5〜80重量%、その他有機繊維を0〜45重量%を混
合してなる基材と、この基材100重量%に対して、繊
維状バインダーを1 〜10重量%を配合させてなる、熱
および湿度変化によるシート伸縮率が0.7%以下であ
る減容高性能エアフィルタ濾材、及び原料繊維の抄紙段
階以前の原料調整工程で繊維状バインダーを添加し、湿
式抄紙法で抄紙し、その後に乾燥させることを特徴とす
る上記伸縮の少ない減容高性能エアフィルタ濾材の製造
方法によって解決される。
濾材はシート伸縮率が0.7%以下であることが必要で
ある。このシート伸縮率は、610×610mm(タテ
×ヨコ)の標準サイズのエアフィルタユニット(エアフ
ィルタユニットの横方向は濾材をジグザグに折り込んだ
流れ方向と一致。タテ方向は濾材の巾方向と一致。)で
シート伸縮率が0.7%以下であれば、ユニットタテ方
向で最大±約4mm以下の寸法変動に制御できることか
ら算出されており、これ以上の寸法変動が起こるとエア
フィルタユニットで前述の問題を生じてしまう。
50%RHの環境下で調湿後のサンプルを基準とし、乾
燥温度120℃で2時間乾燥した絶乾状態直後のシート
収縮、および23℃×90%RH×24時間での調湿直
後のシート伸びについてシート長さを実測し、基準値か
らの差を基準値で割った百分率で規定される。
延伸法やロータリー法で製造されるウール状のガラス繊
維である。濾材の圧力損失を所定の値に保ち適正な捕集
効率とするためには平均繊維径が0.65μm以下のガ
ラス繊維を配合する、または、数種の繊維径のものをブ
レンド配合してもよい。ガラス繊維の配合率は10〜5
0重量%、好ましくは10〜40重量%、特に15〜3
0重量%が適当である。ガラス繊維の配合率が50重量
%以上では焼却減容の目的が失われてしまう。また、1
0重量%未満ではガラス繊維の絶対量が不足し、捕集効
率が悪くなる。
重合度再生セルロース繊維とは、有機溶剤紡糸法によっ
て得られるセルロース繊維であるリヨセル(テルセル又
は有機溶剤紡糸セルロース繊維と呼ばれることもある)
又は、ビスコース法で製造された平均重合度400以上
のポリノジック繊維を意味する。再生セルロースとして
広く知られるビスコースレーヨンやキュプラはビスコー
ス法や銅アンモニア法により、セルロース誘導体を経由
して製造されるのに対し、リヨセルはセルロースのまま
で有機溶剤に溶解させて、繊維状に再生されるため、セ
ルロース分子の重合度低下が少ないまま分子が再配向さ
れ、強度が強いことが特徴である。また、ポリノジック
繊維はビスコース法で製造されるが製造工程の工夫でセ
ルロース繊維の重合度低下を防ぎ結晶化度を高めた繊維
である。ちなみに、原料セルロースは通常700〜10
00の平均重合度であるが、一般の再生セルロース繊維
の平均重合度は200〜300程度まで低下してしまう
のに対し、リヨセルの平均重合度は550〜600、ポ
リノジックの平均重合度は450〜700程度の高重合
度となる。リヨセル繊維やポリジノック繊維は一般の再
生セルロースに比べ、平均重合度が高く結晶化度が高い
ため、分子構造からして水分の影響による伸縮が少ない
ものとなっている。
合した本発明のエアフィルタ濾材は、一般の再生セルロ
ース繊維を配合したものに比べ、熱や湿度変化に対する
シート伸縮率を低く押さえることが可能になる。
5〜80重量%、好ましくは35〜60重量%、特に好
ましくは35〜45重量%が適当である。35重量%よ
り少ない配合量では、代わりとして、その他有機繊維を
使用するために濾材の嵩高性が減って空隙率が低くなる
ため、濾材のフィルタ性能を下げてしまい、80重量%
より多くなると平均重合度が高いとはいえシート伸縮率
は0.7%以上となってしまう。
使用するが、公知のあらゆる有機繊維が使用できる。例
えば、アクリル繊維、ビニロン繊維、ポリエステル繊
維、アラミド繊維等が使用できる。配合量としては、0
〜45重量%、好ましくは0〜35重量%、特に好まし
くは0〜25重量%が適当である。再生セルロース繊維
に比べ上記の有機繊維は、湿度変化による伸縮は優れる
ものの嵩高性が低く、圧力損失が極端に上がる傾向があ
るため、その結果フィルタ性能を下げてしまう。配合量
が45重量%以上では、濾材のフィルタ性能を下げてし
まい、オールガラス繊維濾材の性能に遠く及ばない。
のPVAバインダー、鞘部に低融点のPET変性PPや
変性ポリエステルを用いた芯鞘繊維などのことであり、
製造時の乾燥工程に入るまでは初期の繊維状態を保持す
る特徴を持っている。繊維状バインダーは液状バインダ
ーの様に、自身の表面張力、主体繊維との濡れ性に左右
されることがないため、主体繊維に集中して成膜するこ
となく主体繊維同士を点接着することが出来る。これに
より、液状バインダーに比べ圧力損失の上昇が少なく、
濾過性能に悪影響を及ぼさない。
が望ましく、1重量%未満では、加工、実使用に耐える
濾材強度がでず、10重量%より多いと液状バインダーほ
どではないが、やはり濾材の目詰まりによる圧力損失の
上昇が起こり濾過性能が低下する。
原料繊維の抄造段階前の原料調整工程で繊維状バインダ
ーを添加するいわゆる内添法で使用する必要がある。こ
の方法により、繊維状バインダーは原料全体にわたって
均一に分散し点接着することで、濾過性能、強度面でそ
の実力を発揮できる。このため、繊維状バインダーは原
料繊維をパルパー、ビータなどの分散工程で添加するの
が望ましい。なお、原料の分散工程では、ガラス繊維の
分散をよくするために、硫酸などにより、酸性領域であ
るpH2〜4の範囲で調整する方法、又は、中性領域で
分散剤などの界面活性剤を使用してもよい。
この湿紙を乾燥させることにより濾材を製造することが
出来る。乾燥方法としては、熱風方式、赤外線方式など
様々な方法が利用できるが、ヤンキードライヤーや多筒
式ドライヤーのように熱圧着する方式の方がより高い強
度物性を得ることが出来望ましい。また、乾燥温度は1
10〜150℃であるが、芯鞘繊維を用いた場合は鞘部
の溶融温度により適正な温度設定をする必要がある。
系等の撥水剤を抄紙段階以降で付与させても問題ない。
ス繊維30重量%、リヨセル繊維(アコーディス社製、
商品名テンセル:重合度450〜700、繊維径2.2
d×4mm)70重量%に、繊維状PVAバインダー2
重量%(ユニチカ(株)SML 繊維径1.0d×3m
m)を配合し、パルパーにてpH3.5の酸性水を用い
て離解後抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤ
ーで乾燥し、目付重量77.0g/m2 の濾材を得た。
%とした以外は実施例1と同様にして、目付重量75.
6g/m2 の濾材を得た。後記表1のようなフィルタ性
能が得られた。
ス繊維30重量%、リヨセル繊維(アコーディス社製、
商品名テンセル:重合度450〜700、 繊維径2.
2d×4mm)45重量%、アクリル繊維(三菱レーヨ
ン(株)ボンネルMVP 繊維径1.5d×5 mm)25
重量%とした以外は実施例1と同様にして、目付重量7
5.8g/m2 の濾材を得た。後記表1のようなフィル
タ性能が得られた。
リノジック繊維(東洋紡績(株)タフセル:重合度45
0、繊維径1.5d×5mm)45重量%、ポリエステ
ル繊維(帝人(株)TAO4N 繊維径1.5d×3m
m)25重量%に、繊維状PVAバインダー2重量%
(ユニチカ(株)SML 繊維径1.0d×3mm)を
配合し、パルパーにてpH3.5の酸性水を用いて離解
後抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドライヤーで乾
燥し、目付重量78.0g/m2 の濾材を得た。
に、湿紙状態でアクリルラテックスバインダー(大日本
インキ工業(株)ボンコートAN−155)を基材10
0重量%に対し5重量%となる様付与した以外は実施例
1と同様にして、目付重量76.6g/m2 の濾材を得
た。後記表1のようなフィルタ性能が得られた。
レーヨン繊維(ダイワボウレーヨン(株)コロナ 繊維
径2d×5mm)40重量%、ポリエステル繊維(帝人
(株)TAO4N 繊維径1.5d ×3mm)30重量
%に繊維状PVAバインダー2重量%(ユニチカ(株)
SML 繊維径1.0d×3mm)を配合し、パルパー
にてpH3.5の酸性水を用いて離解後抄紙機にて抄紙
し、120℃の多筒式ドライヤーで乾燥し、目付重量8
0.0g/m2 の濾材を得た。後記表1のようなフィル
タ性能が得られた。
リヨセル繊維(アコーディス社製、商品名テンセル:重
合度450〜700、繊維径2.2d×4mm)10重
量%、ポリエステル繊維(帝人(株)TAO4N 繊維
径1.5d ×3mm)60重量%に繊維状PVAバイン
ダー2重量%(ユニチカ(株)SML繊維径1.0d×
3mm)を配合し、パルパーにてpH3.5の酸性水を
用いて離解後抄紙機にて抄紙し、120℃の多筒式ドラ
イヤーで乾燥し、目付重量78.9g/m2 の濾材を得
た。後記表1のようなフィルタ性能が得られた。
量%とした以外は実施例1と同様にして、目付重量7
9.1g/m2 の濾材を得た。後記表1のようなフィル
タ性能が得られた。
%に繊維状PVAバインダー2%(ユニチカ(株)SM
L 繊維径1.0d×3mm)を配合し、パルパーにて
pH3.5の酸性水を用いて離解後抄紙機にて抄造し、
120℃の多筒式ドライヤーで乾燥し、目付重量70 .
2g/m2 の濾材を得た。後記表1のようなフィルタ性
能が得られた。実施例1〜4ならびに比較例1〜5の濾
材の分析を下記の方法で行ない、結果を表1に示した。
面積100cm2 の濾紙に面風速5.3cm/secで
通風した時の圧力損失を微差圧計で測定した。 (2)DOP透過率:ラスキンノズルで発生させた多分
散DOP粒子を含む空気を、有効面積100cm2 の濾
紙に面風速5.3cm/secで通風した時のDOPの
捕集効率をリオン社製レーザーパーティクルカウンター
を使用し測定した。 (3)可燃物: 925±25℃、10分間電気炉にて
加熱し、加熱前後での重量差を加熱前重量で除し百分率
として求めた。 (4)PF値: 濾紙のフィルタ性能の指標となるPF
値は、(1)と(2)の測定に基づき、次式より求め
た。PF値が高いほど、同一圧力損失で高捕集効率を示
す。 (5)シート伸縮率: 濾材の巾方向の寸法変化を下記
により求めた。 伸び率: 23℃×50%RHの環境下で調湿後のサ
ンプルを基準とし、23℃×90%、RH×24時間調
湿した直後でのシート伸びを測定し、基準長さに対する
変化を百分率で計算 収縮率:23℃×50%RHの環境下で調湿後のサン
プルを基準とし、乾燥温度120℃で2時間乾燥した絶
乾状態直後のシート収縮を測定し、基準長さに対する変
化を百分率で計算
ラス繊維濾材と同等のフィルタ性能を有し、使用後に焼
却減容可能なフィルタ用濾材であり、且つフィルタ用濾
材のシート伸縮率を0.7% 以下に制御したことで、加
工時や使用時の寸法変化が少なく、従来のオールガラス
繊維からなるエアフィルタ濾材に匹敵する捕集効率と環
境変化に対する安定性を有する濾材が提供できる。
Claims (3)
- 【請求項1】 平均繊維径0.65μm以下のガラス繊
維を10〜50重量%、平均重合度400以上の高重合
度再生セルロース繊維を35〜80重量%、その他有機
繊維を0〜45重量%を混合してなる基材と、この基材
100重量%に対して、繊維状バインダーを1 〜10重
量%を配合させてなる、熱および湿度変化に対するシー
ト伸縮率が0.7%以下であることを特徴とする焼却減
容可能な高性能エアフィルタ濾材。 - 【請求項2】 高重合度再生セルロース繊維が、有機溶
剤紡糸法にて得られるセルロース繊維リヨセル又は、ビ
スコース法で製造されたポリノジック繊維である、請求
項1に記載の焼却減容可能な高性能エアフィルタ濾材。 - 【請求項3】 請求項1または2に記載の減容高性能エ
アフィルタ濾材の製造方法において、原料繊維の抄紙段
階以前の原料調整工程で繊維状バインダーを添加し、そ
の後に乾燥させることを特徴とする、上記製造方法。
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JP2002092302A JP3948990B2 (ja) | 2002-03-28 | 2002-03-28 | 伸縮の少ない減容高性能エアフィルタ濾材及びその製造方法 |
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Country Status (1)
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---|---|---|---|---|
JP2008086953A (ja) * | 2006-10-04 | 2008-04-17 | Hokuetsu Paper Mills Ltd | エアフィルタ用濾材及びそれを備えるエアフィルタ |
JP2012077400A (ja) * | 2010-09-30 | 2012-04-19 | Nippon Muki Co Ltd | ろ紙とそのろ紙を用いたエアフィルタ |
JP2016069762A (ja) * | 2014-09-30 | 2016-05-09 | クラレクラフレックス株式会社 | 不織布 |
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2002
- 2002-03-28 JP JP2002092302A patent/JP3948990B2/ja not_active Expired - Lifetime
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