JP2003279072A - 送風機器および送風機器の吹出グリル - Google Patents

送風機器および送風機器の吹出グリル

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 吹出グリルの桟を通過する空気流と桟との干
渉による騒音を低減し、送風性能を向上する。また、吹
出された気流が広範囲に広がるのを抑え、ショーサーキ
ットを防止する。 【解決手段】 少なくともプロペラファンの回転軸1a
を中心としプロペラファンから吹出される空気流の風速
が最大となる円周の近傍で、第一の桟7の軸方向に垂直
な断面の弦線7aを、ファンの回転軸方向9から空気流
の通過方向に傾ける。更に、風速が最大となる円周の近
傍での弦線7aの傾け角度を、第一の桟7の軸に垂直な
方向の距離において、ファンの回転軸1aから遠い位置
に配置された桟の角度よりも、回転軸1aから近い位置
に配置された桟の角度を大きくする。また、第一の桟7
を鉛直方向に伸びる桟とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、例えば空気調和
機の室外機などのようにプロペラファンの吹出し側に吹
出グリルを有する送風機器、及び吹出グリルに関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】図12は従来の送風機器として、一般的
な空気調和機の室外機を示す。(a)は正面図、(b)
は上面から見た断面構成図である。1はプロペラファン
(以下、ファンと記す)、2はモータ、3は熱交換器、
4は吹出口、5は吸込口、6は吹出グリル、7は吹出グ
リル6の第一の桟、8は吹出グリル6の第二の桟であ
る。箱型の機体の中にファン1とファン1を駆動するモ
ータ2が設置され、その吹出口4側に吹出グリル6が設
置されている。機体への外気の吸込口5には熱交換器3
が配置されている。ファン1が矢印に示すように反時計
回りに回転すると、吸込口5から熱交換器3を通って外
気が室外機内に吸込まれる。室外機内に吸込まれた空気
は、吹出口4に設置される吹出グリル6を通って室外機
外に吹出される。
【0003】室外機における吹出グリル6は、回転する
ファンに人が触れることによる危険を防止したり異物が
機内に侵入して室外機が破損するのを防止したりするた
めに設けられている。そして、近年では室外に置かれて
いる室外機内を機外から目隠しすることで室外機の美観
性を高めたり、室外機の設置場所によって吹出風の風向
を変更して、吹出風が周囲に影響を及ぼさないように考
慮されている。このため、吹出グリル6は一方向には平
行桟列である第一の桟7を有し、これと直行する方向に
第一の桟7を保持するように第二の桟8を有するような
格子状の構成が一般的である。そして、第一の桟7はあ
る程度の幅を有し、目隠しや空気流の吹出し方向を変更
できる構成となっている。
【0004】このような構成の吹出グリル6を空気流が
通過する際に、吹出グリル6の格子状の桟7、8、特に
幅を有する桟7と空気流との干渉により騒音が発生し、
その低減の為にこれまでに様々な工夫がされている。例
えば、図13は、特開平10−281499号公報に掲
載されている室外ユニットを示す正面図である。直線L
は、ほぼファン中心軸を通ってこれに直交する方向に延
びると共に、ファン1の吹出側から見て第一の桟7に対
してファン回転方向に所定の交差角をもつ直線である。
この吹出グリル6では、第一の桟7の入口角を、上流か
ら下流に向かって傾斜させている。さらに、直線Lを境
として、その一方側C1に位置する部分の第一の桟7の
入口角と他方側C2に位置する部分の第一の桟7の入口
角とを異なるように構成している。
【0005】ファン1から吹出される空気流はファン回
転方向に沿った旋回流となり、吹出グリル6を通過す
る。直線Lに対して向かって左下側の領域C1において
は、吹出グリル6に対し気流が上流から下流に向かって
下向きに流入する。逆に、直線Lに対して向かって右上
側の領域C2においては、吹出グリル6に対し気流が上
流から下流に向かって上向きに流入する。この空気流に
沿うように第一の桟7の入口角を構成し、グリル6にお
ける空力騒音の低減及び通風抵抗の減少を図っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記に示すように、従
来の送風機器では吹出グリル6の領域を直線Lによって
大きく2つに分割し、上方から通過する空気流と下方か
ら通過する空気流に沿うように、第一の桟7の入口角を
構成している。例えば図13において、位置Mと位置N
における空気流は同じ領域C2でありどちらも上流から
下流に向かって上向きに通過するので、従来装置では同
様の入口角で構成している。ところが、プロペラファン
1が反時計回りの矢印方向に回転して送風を行なう場
合、ファン1から吹出グリル6側に吹出される空気流
は、回転軸を中心とした旋回流になり、ファン1の回転
軸方向成分を有すると共に、回転方向成分を有する。こ
のため、位置Mにおける空気流は下側から通過する成分
は小さく、右から左へ水平方向に通過する成分が大きく
なる。他方、位置Nにおける空気流は下側から通過する
成分が大きく、左から右へ水平方向に通過する成分は小
さくなる。このように、従来の吹出グリル6の桟7で
は、例えば位置Mと位置Nで通過する空気流に最適な構
成であるとは言えず、騒音をある程度低減できるもの
の、まだ改良の余地がある。
【0007】また、空気調和機の室外機の場合には、図
12(b)の矢印14のように、吹出した空気がその側
面の吸込口5から直ぐに機内に吸込まれる現象が起こ
る。この現象はショートサーキットと呼ばれ、吹出した
空気の温度は外気よりも熱交換器3の温度に近いので、
熱交換効率が低下してサイクルの効率が悪くなり、場合
によっては運転できなくなることもある。ところが従来
の送風機器における吹出グリルでは、ショートサーキッ
トを低減する工夫は含まれておらず、実際にショートサ
ーキットを避けることはできない構成となっている。ま
た、従来、ショートサーキットを避ける送風機器として
は、プロペラファンの羽根の形状を変更して吹出し気流
の広がりを抑えたりしていた。
【0008】この発明は、上記のような問題点を解消す
るためになされたもので、プロペラファンの吹出し側に
吹出グリルを有する送風機器において、ファンから吐出
される空気の流れを考慮して吹出グリルを構成し、騒音
を低減すると共に通風抵抗を小さくでき、送風性能に優
れ、低騒音の送風機器を得ることを目的とするものであ
る。また、さらに吹出口の端部での空気流の広がりを抑
え、ショートサーキットなど、吹出した空気流が周囲に
影響するのを低減できる送風機器を得ることを目的とす
るものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明の請求項1に係
る送風機器は、送風機器本体内に設置されたプロペラフ
ァンと、前記プロペラファンの回転により吹出される空
気流を通過させて前記送風機器本体外に吹出す吹出グリ
ルと、前記吹出グリルに設けられ略平行に配置した複数
の第一の桟であり、少なくとも前記プロペラファンの回
転軸を中心とし前記プロペラファンから吹出される空気
流の風速が最大となる円周の近傍で、前記第一の桟の軸
方向に垂直な断面の弦線を、回転軸方向からその位置の
前記空気流の通過方向に所定の角度傾けた第一の桟と、
を備え、前記第一の桟の軸に垂直な方向の距離において
前記回転軸から近い位置に配置された第一の桟の前記円
周の近傍での角度を、前記回転軸から遠い位置に配置さ
れた第一の桟の前記円周の近傍での角度よりも大きくし
たことを特徴とするものである。
【0010】また、この発明の請求項2に係わる送風機
器は、前記第一の桟の前記円周の近傍における弦線の方
向と前記回転軸方向との角度を、前記回転軸から近い位
置に配置された第一の桟から、前記回転軸から遠い位置
に配置された第一の桟に向かって、漸次小さくしたこと
を特徴とするものである。
【0011】また、この発明の請求項3に係わる送風機
器は、前記風速が最大となる円周よりも外側に配置され
る第一の桟の弦線の方向を、ほぼ前記回転軸方向に向け
たことを特徴とするものである。
【0012】また、この発明の請求項4に係わる送風機
器は、前記回転軸から近い位置に配置された第一の桟の
弦線と前記回転軸方向との角度を、前記回転軸近傍で逆
方向に変化させたことを特徴とするものである。
【0013】また、この発明の請求項5に係わる送風機
器は、前記回転軸から遠くかつ前記風速が最大となる円
周よりも近い位置に配置された第一の桟の弦線と前記回
転軸方向との角度を、前記第一の桟の軸方向位置によっ
て漸次変化させたことを特徴とするものである。
【0014】また、この発明の請求項6に係わる送風機
器は、前記第一の桟の弦線と前記回転軸方向との角度
を、前記回転軸の位置から前記プロペラファンの回転方
向にずれた位置で逆方向に変化させたことを特徴とする
ものである。
【0015】また、この発明の請求項7に係わる送風機
器の第一の桟は、鉛直方向に伸びる桟としたことを特徴
とするものである。
【0016】また、この発明の請求項8に係わる送風機
器は、前記送風機器本体から空気流を吹出す吹出口が、
前記送風機器本体に外気を吸込む吸込口に隣接している
ことを特徴とするものである。
【0017】また、この発明の請求項9に係わる送風機
器の吹出グリルは、複数の第一の桟を略平行に配置して
構成され、前記第一の桟の軸に垂直な断面の弦線を、通
過する空気流の方向に沿う方向に傾けた桟列と、隣接す
る一方の第一の桟の上流側と、この上流側から近い位置
に下流側が配置される他方の第一の桟の前記下流側と、
を連結して、前記第一の桟の桟列を保持する第二の桟
と、を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
【発明の実施の形態】実施の形態1.以下、この発明の
実施の形態1に係る送風機器として、例えば空気調和機
の室外機(以下室外機と略記する)について説明する。
図1は実施の形態1による送風機器である室外機を示
し、図1(a)は正面図、図1(b)は上面から見た断
面構成図である。図において、1は軸流ファンや斜流フ
ァンなどのプロペラファン(以下ファンと略記する)、
1aはファンの回転軸、2はファン1を駆動するモー
タ、3は熱交換器、4は空気の吹出口、5は空気の吸込
口、6は吹出グリル、7は吹出グリルの第一の桟、8は
吹出グリルの第二の桟、矢印10はファン1の回転方向
で、ここでは反時計回りとしている。このファン1は回
転軸1aのまわりに例えば3枚の羽根を有し、モータ2
によって回転軸1aを軸として回転する。
【0019】概直方体の送風機器本体、例えば室外機本
体の中にファン1を設置し、吹出口4は室外機本体の側
面に配置し、吹出口4には吹出グリル6が固定されてい
る。吸込口5は吹出口4と隣接する側面に配置し、図1
の室外機では吹出口4と対する側面にも配置される。吸
込口5には熱交換器3を配置して、室外機内に吸込まれ
る外気が熱交換器3を通過することで熱交換するように
構成している。ファン1の作用により吸込口5から熱交
換器3を通って外気が室外機本体内に吸込まれる。室外
機本体内に吸込まれた空気は、吹出口4に設置される吹
出グリル6を通過し室外機本体外に吹出される。
【0020】吹出グリル6の第一の桟7は、例えばその
軸方向が鉛直方向に延びるように配設され、複数の桟7
で概平行の桟列を構成し、この桟列と交差する第二の桟
8で保持されている。第一の桟7の軸方向と垂直な断面
形状について、図2を用いて説明する。図2は、この実
施の形態による送風機器の吹出しグリルの第一の桟の傾
きを説明する説明図であり、図2(a)は室外機の正面
図、図2(b)は第一の桟7のA−A線、B−B線、C
−C線、D−D線における断面を示す。ここでは、第一
の桟7の断面は例えば翼形状とする。図において、直線
7aは弦線と称し、第一の桟7の断面において回転軸方
向で最もファン側である点と最も機外側である点とを結
ぶ直線である。9はファン回転軸と平行な直線で、この
直線9の伸びている方向をここでは回転軸方向と称す
る。A−A線、B−B線は、第一の桟の軸に垂直な方向
の距離において、回転軸1aから近い位置に配置された
第一の桟7の断面を示し、C−C線、D−D線は回転軸
1aから遠い位置に配置された第一の桟7の断面を示
す。また、図3はこの実施の形態に係り、風速の最大と
なる領域の流速ベクトルを示す説明図で、ファン1で吹
出される空気の風速が最も速い領域の流れベクトルを、
回転軸1aに垂直な面に投影したベクトル成分であり、
矢印11は正面(回転軸下流側)から見たベクトル成分
を示している。吹出グリル6へ流入する風速の最大とな
る位置は、ほぼ同一半径の円周の位置になる。この位置
は一般的にはファン径の70%〜100%の間の半径の
円周付近あり、図2におけるA−A線〜D−D線はこの
円周近傍における断面を示している。実際にファン1か
ら吹出される空気流は、ベクトル成分11に回転軸方向
のベクトル成分が合成されたものとなる。回転軸方向の
ベクトル成分は、最大の風速となる円周ではほぼ同一の
大きさである。
【0021】また、回転軸1aを通り第一の桟7の軸に
垂直な方向の距離で、モータ2に接続され回転中心とな
る回転軸1aの位置を基準として、羽根の接続されてい
るあたりまでを回転軸に近いと称する。この範囲では、
ファンから吹出す空気流がそれほど速くない部分であ
る。羽根の接続部から遠ざかるに連れて、ファンから吹
出す空気流の速さが次第に増し、ファン径の70%〜1
00%の間あたりで、ファン1から吹出す空気流の風速
が最大になる。さらに最大となる位置よりも遠くになる
と風速は遅くなる。
【0022】ファン1が回転方向10に回転すると、A
−A線の位置ではファン側から機外側に図に向かって右
下から左上へ空気が流れる。そこで、桟7はこの空気の
流れに沿うように弦線7aを回転軸方向9から20°〜
50°程度空気流の通過方向である左側に傾けている。
またB−B線の位置ではファン側から機外側に図に向か
って左上から右下へ空気が流れる。そこで、桟7はこの
空気の流れに沿うように弦線7aを回転軸方向9から2
0°〜50°程度空気流の通過方向である右側に傾けて
いる。回転軸1aから遠い位置に配置された桟7では、
C−C線断面、D−D線断面に示す様に、弦線7aをほ
ぼ回転軸方向9に平行にしている。
【0023】吹出グリル6と空気流との干渉音やショー
トサーキットは、流速の速い空気流の影響が大きい。そ
こで図2では、少なくとも回転軸1aに垂直な面で風速
の最大となる円周近傍での桟7の弦線7aの角度を、こ
れを通過する空気流に沿うように、回転軸方向9から所
定角度傾けている。この所定角度について、以下に説明
する。図3の空気流11を回転軸方向に平行な面、かつ
桟7の軸に垂直な断面で示すと、図4のようになる。図
4は桟を通過する空気流の角度を説明する説明図であ
り、図4(a)は図3の矢印11aの位置における説明
図である。この図で矢印11aは、図3の矢印11aを
桟7の軸に垂直な面に投影したベクトルを示すものであ
り、11fは空気流の回転軸方向のベクトルを示す。合
成するとベクトル11gとなり、回転軸方向からの角度
Θaだけ傾いて上流から下流へ吹出す。一方、図3の矢
印11bの位置における説明図を図4(b)に示す。こ
の矢印11bは図3の矢印11bを桟7の軸に垂直な面
に投影したベクトルを示すものであり、11fは空気流
の回転軸方向のベクトルを示す。合成するとベクトル1
1hとなり、回転軸方向からの角度Θbだけ傾いて上流
から下流へ吹出す。このようにファン1から吹出した空
気流が吹出グリル6へ流入するので、つまりはベクトル
11g、11hが、桟7の軸に垂直な面において第一の
桟7を通過する空気流となる。
【0024】図4で示したように、11a>11bの時
にはΘa>Θbとなる。即ち、図3においてベクトル1
1の桟7の軸方向に垂直な方向(図では水平方向)の幅
11a、11bが大きいほど、桟7を通過する空気流は
回転軸方向9から大きな角度を有することになる。そこ
で、図2(b)に示すように、第一の桟7の軸に垂直な
A−A線〜D−D線断面で、弦線7aの上流から下流へ
の方向を、回転軸方向9からファン1の回転方向に所定
の角度傾ける。更に、風速の最大となる円周近傍におけ
る弦線7aと回転軸方向9との角度を、回転軸1aから
近い位置に配置された第一の桟7の弦線7aの角度、即
ちA−A線、B―B線での角度を、回転軸1aから遠い
位置に配置された第一の桟7の弦線7aの角度、即ちC
−C線、D―D線での角度よりも大きくした。また、A
−A線とB−B線断面ではファン1によって吹出される
空気流が第一の桟7を通過するときの通過方向が逆であ
るので、図2(b)に示すように、A―A線では上流か
ら下流に向かって回転軸方向9から左側へ傾け、B−B
線では回転軸方向9から右方向へ傾けている。
【0025】このように、回転軸方向9から弦線7aを
傾けることで、最大風速の空気流による桟7の表面や後
流の乱れが少なく、空力騒音を低減できる。更にファン
1から吹出す空気流の抵抗が少なくなり、送風性能を向
上できる。さらに、第一の桟7の軸に垂直な方向の距離
において、回転軸1aから遠い位置に配置された桟で
は、桟7の断面方向を回転軸1aとほぼ平行とすること
で空力騒音を低減でき、かつ、ファン1から吹出した径
方向へ広がる成分をもつ空気流を回転軸1aと平行な方
向、即ち吹出口4の前方へ向けることができる。室外機
本体の設置場所によっては、広範囲に広がる空気流を吹
出すと隣家や通行人や植木などの周囲に影響を及ぼす場
合があり、これをある程度防ぐことができる。特に図2
における第一の桟7は鉛直方向に延びる桟としており、
吹出口4から左右へ広がる空気流を吹出口4の前方への
空気流に風向を変更できる。このため、送風機器が空気
調和機の室外機である場合、吹出口4と隣接する側面に
配置されている吸込口5へ流れにくくなり、ショートサ
ーキットが低減され、熱交換効率が低下するのを防ぐこ
とができる。
【0026】実際に、断面形状の弦線7aの長さである
最大距離とそれと直交する方向の幅方向の最大距離との
比が3以上(例えば弦線長が12mmであれば、直交す
る方向の幅が4mm以下)の場合、騒音の低減及びショ
ートサーキットの低減に効果が見られたのを試験によっ
て確認した。
【0027】図2に示した構成では、A−A線〜D−D
線断面における例えば3本づつの桟の弦線7aと回転軸
方向9との角度を同じにしている。これは3本に限るも
のではなく、2本にしてもよいし、4本以上の桟7につ
いて同じ角度にしてもよい。また、A−A線断面とB−
B線断面では1本の桟7で鉛直方向の上側では回転軸方
向9から左側に傾き、下側では右方向に傾けている。即
ちこれを実現しようと思うと、途中で傾ける方向を変更
する必要がある。これは上側から下側に向かって段階的
に変化させてもいいし、漸次変化させてもいいし、回転
軸1a付近で変更点を設けてもよい。
【0028】また、第一の桟7の弦線7aと回転軸方向
9との角度を図5のように構成してもよい。図5は実施
の形態1に係り、別の構成の送風機器の吹出しグリルの
第一の桟の傾きを説明する説明図である。図に示すよう
に、少なくとも風速が最大となる円周近傍において、第
一の桟7の軸方向に垂直な断面における弦線7aを回転
軸方向9から所定角度傾けている。更に、第一の桟7の
軸に垂直な方向の距離が、回転軸1aから近い位置に配
置される桟7から、回転軸1aから遠い位置に配置され
る桟7に向かって、漸次小さくしている。ここでは、全
ての桟7について記載していないが、省略した桟7に関
しては弦線7aを両隣の桟のどちらか一方の桟7と同様
に傾けるか、両隣の角度の中間の角度だけ傾けている。
【0029】このように、第一の桟7の軸方向に垂直な
断面の弦線7aと回転軸方向9との角度を構成すること
で、流入速度の速い領域で空気流に沿うように第一の桟
7を傾けているので、桟7の表面や後流の乱れが少な
く、空力騒音を低減できる。更にファン1からの吹出流
れの抵抗を少なくでき、送風性能を向上できる。さら
に、図2の構成と同様、回転軸1aから遠い位置に配置
された桟7では、桟7の弦線7aをほぼ回転軸方向9に
向けている。このため、径方向へ広がる成分をもつファ
ンからの吹出し空気流の方向を、回転軸1aと平行な方
向へ向けることにより、吹出風の広がりによる周囲への
影響を防止でき、隣接する吸込口5へ直ぐに流入してし
まうショートサーキットを低減できる。
【0030】第一の桟7の軸方向断面における弦線7a
の傾き角度は、ファン1から吹出す空気流が最も速い半
径位置での流れ特性を基準にして決め、少なくともこの
円周近傍での弦線7aを、その位置を通過する空気流に
沿うように傾けることが望ましい。ファン1から吹出す
空気流の風速が最大になる円周は、ファン径の70%〜
100%の間にあるので、その範囲で最大風速となる半
径位置を探せばよい。例えばファン径の70%〜100
%の位置にセンサを設けて、風速および風向を検出して
プロペラファン1の特性を知り、この空気流の風速およ
び風向に合うように吹出グリル6の構成を決定すればよ
い。また、図2と同様、1本の桟7において鉛直方向の
上側では回転軸方向9から左側に傾き、下側では右方向
に傾けている。即ちこれを実現しようと思うと、途中で
傾ける方向を変更する必要がある。これは上側から下側
に向かって段階的に変化させてもいいし、漸次変化させ
てもいいし、回転軸1a付近で変更点を設けてもよい。
【0031】また、図6のように吹出グリル6の第一の
桟7を構成してもよい。図6は、さらに別の構成の送風
機器の吹出しグリルの第一の桟の傾きを説明する説明図
で、図6(a)は室外機を吹出し側から見た正面図であ
り、吹出グリル6の第一の桟7が鉛直桟列の場合を例に
挙げている。回転軸1aと同一の水平位置を基準とし、
上側をプラス(+)側の軸方向位置とし、下側をマイナ
ス(−)側の軸方向位置とする。図6(b)は弦線7a
の傾きを定義する説明図であり、桟7の軸に垂直な断面
(E−E線断面)での回転軸方向9と弦線7aとのなす
角度を弦線7aの傾きと称し、回転軸方向9からの弦線
7aの下流側に開く角度を、図に向かって左側にプラス
(+)側、右側にマイナス(−)側とする。ここでは1
本の桟7、例えば桟A〜桟Fのそれぞれにおいて、軸方
向位置で弦線7aの回転軸方向9からの角度を漸次変化
させている。さらに、風速の最大となる円周近傍では、
回転軸1aから近い位置に配置された桟C,Dから遠い
位置に配置された桟A,Fに向かって、弦線7aの回転
軸方向9からの角度を漸次変化させている。例えば桟C
から桟Aに向かって、弦線7aと回転軸方向9との角度
を次第に小さくしている。
【0032】図7は、略平行な桟列を構成する第一の桟
7のうち、桟A、桟B、桟C、桟D、桟E、桟Fに関し
て、桟の軸方向位置に対する弦線7aの傾きを示すグラ
フである。第一の桟の軸に垂直な方向において、各桟と
回転軸1aからの距離を示すと、(桟C、桟D)<(桟
B、桟E)<(桟A、桟F)である。図7の縦軸は第一
の桟7の軸方向位置を示すものである。また、図7の横
軸は弦線7aの傾きである。
【0033】ここで、一本の桟、例えば桟Bの弦線7a
の回転軸方向9からの傾きについて検討する。図8は桟
Bの軸方向位置について、桟を通過する流入ベクトルを
正面(回転軸下流側)から見た説明図である。ベクトル
を示す矢印12は方向を表しているが、向きを見易いよ
うに大きさ(風速)は変えている。桟Bに流入する空気
流は、図3に示した風速の最大となる円周近傍で最も大
きく回転軸方向9から傾いて通過する。軸方向位置の+
側から見ていくと、桟Bの弦線7aは、範囲Q付近で回
転軸方向9から+側に大きな角度、例えば40°を有
し、この位置はほとんど桟Bの上端であるので、これよ
り上側も同じ角度とする。範囲Qから軸方向位置がー側
に向かうにつれて、次第にこの角度は小さくなる。軸方
向位置が回転軸を通る位置、即ち軸方向位置が0である
位置で、桟Bに流入する空気流はまだ半径方向の外側を
向いているので、弦線7aは回転軸方向9から+側に傾
いている。ファン1から吹出す空気流が旋回流であるた
め、桟Bの弦線7aが回転軸方向9と一致する位置は回
転方向にずれて、位置S付近となる。ここから軸方向位
置が更に−側に向かうと、範囲R付近で回転軸方向9か
ら−側に大きな角度、例えば−40°を有し、位置Sか
ら位置Rの間は漸次−側に変化する。範囲R位置はほと
んど桟Bの下端であるので、これより下側も同じ角度と
する。全体として桟Bは螺旋状に捻じれた形状となって
いる。桟Bの軸方向位置に対する弦線の傾きの変化のよ
うすを、図7のグラフの桟Bに示している。
【0034】回転軸1aから同等の距離にある桟Eでも
同様に、螺旋状に捻じれた形状となるが、ファン1から
吹出す空気流が旋回流であるため、桟Eの弦線7aが回
転軸方向9と一致する位置は回転方向にずれる。即ち、
弦線の傾きが逆方向に変化するのは、図8で示す軸方向
位置が+側の位置T付近となる。このため、弦線の傾き
は図7の桟Eに示すようになる。桟B、桟Eは、回転軸
1aを通り第一の桟7の軸に垂直な方向の距離で、モー
タ2に接続され回転中心となる回転軸1aの位置を基準
として、羽根の接続部から遠く、かつ風速が最大となる
円周よりも近い位置に配置された桟である。この範囲に
ある第一の桟7を通過する空気流は、風速が最大となる
円周付近である桟の上部及び下部で最大となり、その中
間部分では通過する空気流の速さ及び風向は連続的に漸
次変化する。このため、弦線7aと回転軸方向9との角
度を、軸方向位置によって漸次変化させている。
【0035】次に、ファン1の回転軸1aに垂直な面
で、回転軸1aから近い位置、即ち回転軸1aの位置か
ら羽根の接続部近傍までの範囲に配置された第一の桟
7、例えば桟C、桟Dについて説明する。図7に示すよ
うに、桟C、桟Dは、軸方向位置が+側の端部では弦線
7aの傾きを例えば50°程度に大きくし、軸方向位置
が回転軸1aのほぼ近くになるまで大きな弦線7aの傾
きを保っている。そして、回転軸1a近傍を通過し軸方
向位置がー側になると、弦線7aの傾きを逆に例えば−
50°程度にする。回転軸1aから近い位置に配置され
る桟C、桟Dは、回転軸1a近傍を中心とする円の径方
向に延びる桟であり、桟C、桟Dの風速が最大となる円
周位置での空気流は、図3で述べたように、第一の桟7
の軸に垂直な断面では直線9と大きい角度で上流から下
流へ流れる。このため、桟C、桟Dの弦線7aを直線9
から大きく傾けて構成することで、桟の表面や後流の乱
れが少なく、空力騒音を低減される。さらに、回転軸1
aに垂直な面において、ファン1から吹出される旋回流
は、回転軸1aから風速が最大となる位置までは、半径
方向に遠ざかるに従って空気流の方向はほぼ同じ方向で
あり風速は次第に大きくなる。空気流の方向はほぼ同じ
方向であるため、図7に示すように、桟C、桟Dの軸方
向の両端では弦線7aの傾きを+側と−側に大きくし、
回転軸1a近傍で逆方向に変化させている。
【0036】次に、桟A、桟Fに関しても弦線7aの傾
きに対する設定は、桟C、桟Dと同様であるが、桟A、
桟Fの回転軸1aに垂直な面で風速の最大となる円周の
位置では、図3に示すようにわずかに径方向外側を向い
ており、回転軸方向9の成分が大きい。桟A、Fの軸方
向の両端部では風速の最大となる円周よりも外側であ
る。そこで、軸方向位置が+側では弦線7aの傾きを例
えば20°程度とし、軸方向位置が回転軸1aのほぼ近
くになるまで徐々に傾きを小さくしている。そして、軸
方向位置が+側から−側に向かうに連れて、ねじるよう
に漸次変化させ、回転軸1a近傍を通過し軸方向位置が
ー側になると、弦線7aの傾きを逆に例えばー20°程
度にする。弦線7aが+側から−側に変化するのは、桟
Aでは軸方向位置が−側、即ち回転軸1aよりもファン
1の回転方向である下側の位置であり、桟Fでは軸方向
位置が+側で、やはり回転軸1aよりもファン1の回転
方向である上側である。この弦線7aの傾きを逆方向に
変化させる軸方向位置は、桟A、桟Fでは、桟B、桟E
よりもさらに回転方向にずらしている。
【0037】桟A〜桟Fに示したように、桟の弦線7a
の回転軸方向9からの傾きを、桟7の軸方向のあらゆる
個所で桟7を通過する空気流に沿った形状にしており、
通過する空気流と桟との干渉を極力小さくでき、桟の表
面や後流の乱れが少なく、空力騒音を大幅に低減でき
る。更にファンからの吹出し流れの抵抗が少なくなり送
風性能を向上できる。また、桟A、桟Fでは、回転軸1
aに垂直な面で風速の最大となる円周近傍において、弦
線7aの方向は回転軸方向9に比較的平行な方向とな
る。これにより、空気の吹出口4から吹出す空気流が横
方向に広がるのをある程度防ぐことができ、例えば空気
調和機の室外機などのショートサーキットが起こるよう
な送風機器で、ショートサーキットを低減できる。
【0038】また、図9は、図7と同様、各桟7の弦線
7aの回転軸方向9からの傾きを示すグラフで、桟A,
Fの弦線の傾きを図7の構成とは変化させたものであ
る。ファン1からの吹出し風速が最大となる領域は、回
転軸1aを中心とし、ファン半径の約70〜100%を
半径とする円周の位置近傍にあり、その位置よりも回転
軸1aから遠い位置、即ち外側に配置する桟において、
弦線7a傾きをほぼ回転軸方向9にしている。例えば桟
A、桟Fがこの吹き出し風速が最大となる円周よりも外
側にあるとし、その弦線7aの傾きを、軸方向位置に関
わらず、図9のようにほぼ回転軸方向9と平行、即ち傾
きをほぼゼロとした。このように構成することにより、
吹出口から径方向に広がる空気流を回転軸方向9に風向
を変更することができ、空気の吹出口4から左右方向に
吹出される空気流が側面や裏面に位置する空気の吸込口
5に流れるのを防止して、ショートサーキットを低減す
ることができる。
【0039】なお、上記では第一の桟列7を、その軸が
鉛直方向に延びるように平行に配置した桟列としたが、
その軸が水平方向に延びるように平行に配置してもよ
い。水平方向に第一の桟7を配置した構成においても、
少なくともファンから吹出される空気流の風速が最大と
なる円周の近傍で、第一の桟7の軸方向に垂直な断面の
弦線を、回転軸方向9からその位置の空気流の通過方向
に所定の角度傾ける。更に、第一の桟7の軸に垂直な方
向の距離において、回転軸1aから近い位置に配置され
た第一の桟の円周の近傍での角度を、回転軸1aから遠
い位置に配置された第一の桟の円周の近傍での角度より
も大きくするすればよい。この構成により、鉛直方向に
伸びる桟と同様、桟の弦線7aの回転軸方向9からの傾
きを、桟7の軸方向のあらゆる個所で桟7を通過する空
気流に沿った形状にできる。このため、通過する空気流
と桟との干渉を極力小さくでき、桟の表面や後流の乱れ
が少なく、空力騒音を大幅に低減できる。更にファンか
らの吹出し流れの抵抗が少なくなり送風性能を向上でき
る。また、第一の桟7を水平方向に延びる桟とすれば、
吹出口4から上下へ広がる空気流を吹出口4の前方への
空気流に風向を変更できる。このため、吹出口4と対す
る側面に配置されている吸込口5へ流れにくくなり、こ
の場合にもショートサーキットをある程度は低減でき
る。即ち、図6を回転軸1aを中心として90度回転し
た図になり、各桟7の構成は実施の形態1と同様であ
る。そして、回転軸1aの遠くに配置される桟A、桟F
によって上下に広がる方向の空気流を回転軸方向へ方向
変更させることになる。このため、空気の吹出口4から
上下方向に吹出される空気流が側面や裏面に位置する空
気の吸込口5に流れるのを防止して、ショートサーキッ
トをある程度低減することができる。また、第一の桟7
で構成される平行な桟列が、水平でも垂直でもなく、設
置面に対して斜めに設けられていても、同様である。ま
た、上記では第一の桟7の弦線7aを回転軸方向9から
傾けて通過する空気流に沿うような構成としたが、これ
に交差する第二の桟8も同様に回転軸方向にある程度の
幅を設け、これを空気流の向きに沿うように傾けてもよ
い。
【0040】また、第一の桟7の軸方向の断面形状は、
翼型や楕円型や薄板など、どのような形状のものでもよ
いが、回転軸方向に数mm以上の幅のある構成とし、そ
の回転軸からの傾きを設定できるものとする。その場合
にも、第一の桟7の断面において、回転軸方向9で最も
ファン側に近い端部と最も機外側に近い端部とを結ぶ直
線を弦線とし、この弦線を回転軸方向から傾ければよ
い。また、空気の吹出口4は円形であるものについて述
べたが、これに限るものではなく、四角など、他の形状
でもよい。
【0041】実施の形態2.この実施の形態は、第一の
桟7を保持する第二の桟8に関するものである。第一の
桟7に関しては実施の形態1に記載した構成の何れでも
よい。図10はこの実施の形態による吹出グリルの第一
の桟と第二の桟の接続部を示す説明図で、第二の桟8を
第一の桟7の軸方向から見た上面図である。図10
(a)において、ア、イ、ウは、略平行に配置された複
数の第一の桟7であり、第一の桟7の軸に垂直な断面の
弦線7aの上流側(ファン側)から下流側(気外側)へ
の方向を、通過する空気流の方向に沿う方向に傾けて桟
列を構成している。この弦線7aは各第一の桟7の軸に
垂直な断面で、ファン側に近い端部と機外側に近い端部
とを結ぶ線である。8は第一の桟7の桟列と交差する第
二の桟である。その交差部で第一の桟7と固着されて第
一の桟7の桟列を保持している。
【0042】特にこの実施の形態における第二の桟8
は、隣接する一方の第一の桟の上流側と、この上流側か
ら近い位置に下流側が配置される他方の第一の桟の前記
下流側と、を連結している。図では、桟アと桟イ,桟イ
と桟ウとが隣接している。この隣接する桟を第二の桟8
で連結する場合に、隣接する一方の第一の桟7、例えば
桟イの上流側と、この上流側から近い位置に下流側が配
置される桟ウの下流側とを連結している。桟イの下流側
はこれに近い位置に上流側が配置されている桟アの上流
側と連結される。
【0043】このように第二の桟8を構成すれば、型抜
きで第一の桟7及び第二の桟8を一体に容易に製造でき
る。図11は第一の桟7及び第二の桟8を一体で製造す
る場合の型を示しており、型13はファン側、型14は
機外側の型である。この型に、例えば液状としたポリプ
ロピレンを流し込み、固まった後に型13、14を方向
Gへ開くことで、第一の桟7及び第二の桟8を一体に製
造できる。特に、この第二の桟8は、隣接する一方の第
一の桟7、例えば桟イの上流側と、この上流側から近い
位置に下流側が配置される桟ウの下流側とを連結してい
るので、スムーズに型を外すことができる。例えば、図
10(b)に示すように、第一の桟ア、イ、ウの中央部
同士を第二の桟8で連結する構成では、桟アの第二の桟
8との連結部から上流側端までに大きく型残り部8aが
できることになる。このような型残り部8aができると
アンダーカットが必要となり、工程が増えることにな
る。そこで、この実施の形態のように第二の桟8を構成
すれば、図10(a)のように型残り部8aを小さくす
ることができ、アンダーカットを不必要とし工程の増加
を避けることができる。
【0044】また、型残り部8aのある状態で吹出グリ
ル6を構成すると、実際には第二の桟8が強度から考慮
した太さよりも太く構成されてしまい、通過する空気流
との干渉によって、送風特性の低下、騒音の増加を招く
ことになる。この実施の形態では型残り部8aを小さく
して、第二の桟8が強度上の必要以上の太さとなること
を極力抑えることができる。このため、吹出グリルを通
過する空気流との干渉を抑え、送風特性の低下、騒音の
増加を防止することができる。
【0045】なお、実施の形態1、2ではプロペラファ
ンを有する送風機器として、空気調和機の室外機につい
て説明したが、換気扇や扇風機などにこの発明を適用し
てもよい。これらの機器に適用することでも、通過する
気流と桟との干渉を小さくでき、送風性能に優れ、低騒
音の送風機器を得ることができる。
【0046】
【発明の効果】以上のように、この発明の請求項1によ
れば、送風機器本体内に設置されたプロペラファンと、
前記プロペラファンの回転により吹出される空気流を通
過させて前記送風機器本体外に吹出す吹出グリルと、前
記吹出グリルに設けられ略平行に配置した複数の第一の
桟であり、少なくとも前記プロペラファンの回転軸を中
心とし前記プロペラファンから吹出される空気流の風速
が最大となる円周の近傍で、前記第一の桟の軸方向に垂
直な断面の弦線を、回転軸方向からその位置の前記空気
流の通過方向に所定の角度傾けた第一の桟と、を備え、
前記第一の桟の軸に垂直な方向の距離において前記回転
軸から近い位置に配置された第一の桟の前記円周の近傍
での角度を、前記回転軸から遠い位置に配置された第一
の桟の前記円周の近傍での角度よりも大きくしたので、
第一の桟と、この桟を通過する空気流との干渉が小さく
なり、騒音を低減し通風抵抗が小さくなるので、送風性
能に優れ、低騒音の送風機器を得ることができる。
【0047】また、この発明の請求項2によれば、前記
第一の桟の前記円周の近傍における弦線の方向と前記回
転軸方向との角度を、前記回転軸から近い位置に配置さ
れた第一の桟から、前記回転軸から遠い位置に配置され
た第一の桟に向かって、漸次小さくしたので、第一の桟
と、この桟を通過する空気流との干渉をさらに小さくで
き、騒音を低減し通風抵抗が小さくなるので、送風性能
に優れ、低騒音の送風機器を得ることができる。
【0048】また、この発明の請求項3によれば、前記
風速が最大となる円周よりも外側に配置される第一の桟
の弦線の方向を、ほぼ前記回転軸方向に向けたことによ
り、吹き出す空気流が広範囲に広がるのを防ぎ、吹出し
空気流が周囲におよぼす影響を低減し、空気調和機の室
外機の場合にはショートサーキットを低減でき、熱交換
効率の低下を防止できる送風機器を得ることができる。
【0049】また、この発明の請求項4によれば、前記
回転軸から近い位置に配置された第一の桟の弦線と前記
回転軸方向との角度を、前記回転軸近傍で逆方向に変化
させたことにより、桟を通過する空気流の方向に沿うよ
うに桟の弦線の角度を構成でき、第一の桟を通過する空
気流との干渉をさらに小さくでき、騒音を低減し通風抵
抗が小さくなるので、送風性能に優れ、低騒音の送風機
器を得ることができる。
【0050】また、この発明の請求項5によれば、前記
回転軸から遠くかつ前記風速が最大となる円周よりも近
い位置に配置された第一の桟の弦線と前記回転軸方向と
の角度を、前記第一の桟の軸方向位置によって漸次変化
させたことにより、桟の弦線の角度を通過する気流の向
きに更に良好に合せることができ、送風性能向上、低騒
音の効果を高めることができる送風機器が得られる。
【0051】また、この発明の請求項6によれば、前記
第一の桟の弦線と前記回転軸方向との角度を、前記回転
軸の位置から前記プロペラファンの回転方向にずれた位
置で逆方向に変化させたことにより、桟の弦線の角度を
通過する気流の向きに更に良好に合せることができ、送
風性能向上、低騒音の効果を高めることができる送風機
器が得られる。
【0052】また、この発明の請求項7によれば、前記
第一の桟を、鉛直方向に伸びる桟としたことにより、吹
き出す空気流が横方向に広範囲に広がるのを防ぎ、吹出
し空気流が周囲におよぼす影響を低減し、空気調和機の
室外機の場合にはショートサーキットを低減でき、熱交
換効率の低下を防止できる送風機器を得ることができ
る。
【0053】また、この発明の請求項8によれば、前記
送風機器本体から空気流を吹出す吹出口が、前記送風機
器本体に外気を吸込む吸込口に隣接していることを特徴
とするので、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記
載した送風機器の吹出グリルを有することにより、送風
性能に優れ、低騒音の送風機器を得ることができ、ま
た、ショートサーキットを低減でき、熱交換効率の低下
を防止できる送風機器が得られる。
【0054】また、この発明の請求項9によれば、複数
の第一の桟を略平行に配置して構成され、前記第一の桟
の軸に垂直な断面の弦線を、通過する空気流の方向に沿
う方向に傾けた桟列と、隣接する一方の第一の桟の上流
側と、この上流側から近い位置に下流側が配置される他
方の第一の桟の前記下流側と、を連結して、前記第一の
桟の桟列を保持する第二の桟と、を備えたことにより、
アンダーカットの必要がなく安価な型抜き加工によって
一体に製造でき、送風性能向上、低騒音の効果を高める
ことができる構成の送風機器の吹出グリルが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による送風機器であ
る室外機を示す正面図(図1(a))、上面から見た断
面構成図(図1(b))である。
【図2】 実施の形態1による送風機器の吹出しグリル
の第一の桟の傾きを説明する説明図である。
【図3】 実施の形態1に係り、風速の最大となる領域
の流速ベクトルを示す説明図である。
【図4】 実施の形態1に係り、桟を通過する空気流の
角度を説明する説明図である。
【図5】 実施の形態1に係り、別の構成の送風機器の
吹出しグリルの第一の桟の傾きを説明する説明図であ
る。
【図6】 実施の形態1に係り、さらに別の構成の送風
機器の吹出しグリルの第一の桟の傾きを説明する説明図
である。
【図7】 実施の形態1に係り、吹出グリルの軸方向位
置に対する第一の桟の弦線の傾きを示すグラフである。
【図8】 実施の形態1に係り、1本の桟の軸方向位置
について、桟を通過する空気流のベクトルを示す説明図
である。
【図9】 実施の形態1に係り、吹出グリルの軸方向位
置に対する第一の桟の弦線の傾きを示すグラフである。
【図10】 この発明の実施の形態2による吹出グリル
の第一の桟と第二の桟の接続部を示す説明図である。
【図11】 実施の形態2に係り、吹出グリルを製造す
る型を示す正面図である。
【図12】 従来の送風機器を示す正面図(図12
(a))、断面構成図(図12(b))である。
【図13】 従来の送風機器を示す正面図である。
【符号の説明】
1 プロペラファン、1a 回転軸、2 モータ、3
熱交換器、4 空気の吹出口、5 空気の吸込口、6
吹出グリル、7 吹出グリルの第一の桟、7a第一の桟
の弦線、8 吹出グリルの第二の桟、9 回転軸方向、
10 ファンの回転方向。

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 送風機器本体内に設置されたプロペラフ
    ァンと、前記プロペラファンの回転により吹出される空
    気流を通過させて前記送風機器本体外に吹出す吹出グリ
    ルと、前記吹出グリルに設けられ略平行に配置した複数
    の第一の桟であり、少なくとも前記プロペラファンの回
    転軸を中心とし前記プロペラファンから吹出される空気
    流の風速が最大となる円周の近傍で、前記第一の桟の軸
    方向に垂直な断面の弦線を、回転軸方向からその位置の
    前記空気流の通過方向に所定の角度傾けた第一の桟と、
    を備え、前記第一の桟の軸に垂直な方向の距離において
    前記回転軸から近い位置に配置された第一の桟の前記円
    周の近傍での角度を、前記回転軸から遠い位置に配置さ
    れた第一の桟の前記円周の近傍での角度よりも大きくし
    たことを特徴とする送風機器。
  2. 【請求項2】 前記第一の桟の前記円周の近傍における
    弦線の方向と前記回転軸方向との角度を、前記回転軸か
    ら近い位置に配置された第一の桟から、前記回転軸から
    遠い位置に配置された第一の桟に向かって、漸次小さく
    したことを特徴とする請求項1の送風機器。
  3. 【請求項3】 前記風速が最大となる円周よりも外側に
    配置される第一の桟の弦線の方向を、ほぼ前記回転軸方
    向に向けたことを特徴とする請求項1または請求項2記
    載の送風機器。
  4. 【請求項4】 前記回転軸から近い位置に配置された第
    一の桟の弦線と前記回転軸方向との角度を、前記回転軸
    近傍で逆方向に変化させたことを特徴とする請求項1乃
    至請求項3のいずれか1項に記載の送風機器。
  5. 【請求項5】 前記回転軸から遠くかつ前記風速が最大
    となる円周よりも近い位置に配置された第一の桟の弦線
    と前記回転軸方向との角度を、前記第一の桟の軸方向位
    置によって漸次変化させたことを特徴とする請求項1乃
    至請求項4のいずれか1項に記載の送風機器。
  6. 【請求項6】 前記第一の桟の弦線と前記回転軸方向と
    の角度を、前記回転軸の位置から前記プロペラファンの
    回転方向にずれた位置で逆方向に変化させたことを特徴
    とする請求項5記載の送風機器。
  7. 【請求項7】 前記第一の桟を、鉛直方向に伸びる桟と
    したことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか
    1項に記載の送風機器。
  8. 【請求項8】 前記送風機器本体から空気流を吹出す吹
    出口が、前記送風機器本体に外気を吸込む吸込口に隣接
    していることを特徴とする請求項1乃至請求項7のいず
    れか1項に記載の送風機器。
  9. 【請求項9】 複数の第一の桟を略平行に配置して構成
    され、前記第一の桟の軸に垂直な断面の弦線を、通過す
    る空気流の方向に沿う方向に傾けた桟列と、隣接する一
    方の第一の桟の上流側と、この上流側から近い位置に下
    流側が配置される他方の第一の桟の前記下流側と、を連
    結して、前記第一の桟の桟列を保持する第二の桟と、を
    備えたことを特徴とする送風機器の吹出グリル。
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