JP2003272258A - 転写方法及び装置 - Google Patents

転写方法及び装置

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篤史 藤田
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寿 西垣
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 転写用の基板から記録層を確実に剥離可能な
転写方法及び装置を提供することができる。 【解決手段】 ディスクDを、保持台Xのテーブル1に
セットして、バキューム孔3による真空チャックで固定
する。加圧治具8を、エアーシリンダで降下させること
によって、内周押え6及び外周押え7を降下させて、デ
ィスクDの中心孔周縁を押え部6aによって、ディスク
Dの外周周縁を押え部7aによって押さえる。この状態
で、高圧エアーをディスクDの中心孔部の空間に供給す
ると、接着力の弱いアクリル製の基板105の全面と半
透明膜104との間が瞬時にきれいに剥離するので、半
透明膜104は接着剤103側に転写される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、光ディス
クのように基板に複数の記録層を形成するための技術に
係り、特に、樹脂上に記録層を転写するための転写方法
及び装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年では、記録媒体の大容量化の要請が
高い。例えば、光ディスクにおいては、記録用のピット
を小さくすることによって、記録密度を向上させること
ができるが、最近では、デジタルバーサタイルディスク
(以下、DVDと称する)の一種であるDVD−9やD
VD−18のように、記録面を多層に形成した光ディス
クが開発されている。ここで、DVD−9は、記録面を
2層として片面からのみ情報の読み出しが可能なディス
クであり、DVD−18は、両面に2層ずつ合計4層の
記録面を有し、両面からの情報の読み出しが可能なディ
スクである。
【0003】このような光ディスクの製造方法の一例と
しては、従来から、特開2000−222786号公報
に開示されている技術が提案されている。かかるディス
クの製造方法を以下に説明する。すなわち、2枚の基板
の片面に、それぞれ凹凸による記録面を形成する。そし
て、一方の基板の記録面には、反射膜を蒸着して記録層
とし、他方の基板の記録面には、半透明膜を蒸着して記
録層とする。
【0004】これらの2枚の基板の記録層を対向させ
て、紫外線硬化樹脂等の接着剤によって貼り合わせる。
接着材の硬化後、他方の基板を、半透明膜との界面で剥
離することにより、記録層を接着剤側に転写する。そし
て、転写された半透明膜からなる記録層を覆う保護層を
形成することによって、DVD−9などのディスクとす
る。また、かかる2つの記録層を有するディスクを2枚
貼り合わせることによって、4層の記録層を持つDVD
−18などを作成することができる。
【0005】ところで、一般に、光ディスクにおいて
は、記録層となる膜としては、アルミニウム、金等の金
属系の材料が用いられるが、上記のように転写される膜
は、基板から確実に剥離させる必要がある。このため、
剥離される側の基板としては、金属から剥離し易いアク
リル樹脂が用いられている。そして、かかる剥離による
転写を行なう方法及び装置として、特開2000−22
2786号公報には、図10に示すように、ディスク中
心孔側から圧縮エアーを供給する方法及びそのための装
置が開示されている。これは、ディスクDを真空吸着で
固定して、圧縮エアーをディスクDの中心孔に供給する
ことによって、接着剤Bで貼り合わせたアクリル樹脂か
らなる基板Pを、アルミニウムの蒸着膜Eとの界面で剥
離するものである。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の転写方法及び装置には、以下のような問題
点があった。すなわち、圧縮エアーをディスク中心孔に
供給すると、基板と膜との接着力の弱い部分が先に局部
的に剥離して、部分的に剥がれたところからエアーがリ
ークしてしまうので、基板の全面をきれいに剥離するこ
とが難しい。
【0007】また、アルミニウム蒸着によって形成され
る膜は、接着力が強いため、剥れ難いという問題もあ
る。これに対処するため、スパッタリングによって、基
板にアルミニウム膜を形成する方法が考えられる。これ
は、通常、スパッタリング膜の方がアルミニウムの蒸着
膜よりも接着力が弱いことに着目したものである。しか
し、蒸着膜より接着力の弱いスパッタリング膜でも、通
常の記録層の成膜条件では、まだ膜の接着力が強く、剥
離したときにアルミニウム膜残りが生じることがあっ
た。
【0008】本発明は、上記のような従来技術の問題点
を解決するために提案されたものであり、その目的は、
転写用の基板から記録層を確実に剥離することができる
転写方法及び装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記のような目的を達成
するため、請求項1記載の発明は、少なくとも一方の面
に情報記録用の記録層が形成され、中心孔を有する複数
の基板を、互いの記録層が対向するように樹脂を介して
貼り合わせ、一方の基板を記録層との界面で剥離するこ
とによって、前記樹脂の表面上に記録層を転写する転写
方法において、前記樹脂を介して貼り合わせた前記基板
の内外周の端部を押えながら、前記基板の中心孔に気体
を供給することにより、一方の基板を記録層との界面で
剥離することを特徴とする。
【0010】請求項3記載の発明は、請求項1記載の発
明を装置の観点から捉えたものであり、中心孔を有し、
情報記録用の記録層に樹脂を貼り付けた基板を、前記記
録層との界面で剥離することによって前記樹脂に記録層
を転写する転写装置であって、前記基板の内外周の端部
を押える押え手段と、前記押え手段によって押えられた
基板の中心孔に、気体を供給する気体供給手段とを備え
たことを特徴とする。
【0011】以上のような請求項1及び3記載の発明で
は、気体供給時に、基板の内外周端部を押えることによ
って、気体漏れが防止されるとともに、基板の部分的な
変形を規制し、記録層の接着力の弱い部分が先に剥離す
ることが防止されるので、気体供給と同時に基板の全面
を瞬時に剥離することが可能となる。
【0012】請求項2記載の発明は、請求項1記載の転
写方法において、前記記録層は、スパッタリングによっ
て形成された金属膜であることを特徴とする。以上のよ
うな請求項2記載の発明では、記録層が、比較的接着力
の弱いスパッタリングにより形成された金属膜なので、
さらに確実に剥離し易くなる。
【0013】請求項4記載の発明は、請求項3記載の転
写装置において、前記押え手段は、前記基板の内周端を
押える内周押えと、前記基板の外周端を押える外周押え
とを有し、前記内周押えと前記外周押えは、それぞれ弾
性部材を介して、押え方向に付勢されていることを特徴
とする。以上のような請求項4記載の発明では、基板の
内外周の押えに、弾性体を介しているため、気密性の確
保とともに、過剰な気体の供給を放出することを可能と
している。これにより、気体供給状態のばらつきに左右
されることなく、安定した均一な剥離作業が実現でき
る。また、弾性部材によって、基板の内外周の厚みの差
が吸収されるので、内外周の気体漏れを適切に防止でき
る。
【0014】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態(以
下、実施形態と呼ぶ)について、図面を参照して具体的
に説明する。 〔構成〕まず、請求項3及び4記載の発明に対応する転
写装置の一例を、図1を参照して説明する。すなわち、
本転写装置は、保持台Xと押え装置Yによって構成され
ている。保持台Xは、その上面にディスクDが載置され
る円盤状のテーブル1を備え、このテーブルの中心に
は、ディスクの中心孔に嵌め込まれる円柱部2が形成さ
れている。また、保持台Xには、バキューム孔3が形成
されている。このバキューム孔3は、保持台X内に形成
され、図示しない真空源に接続された通気経路4に連通
することによって、テーブル1上にディスクDを吸着す
る真空チャックを実現するものである。
【0015】押え装置Yは、エアー導入管5、内周押え
6、外周押え7、加圧治具8等によって構成されてい
る。エアー導入管5は、テーブル1の中心の上方に、鉛
直方向に配設されており、図示しない圧縮エアー供給源
に接続されている。内周押え6は、断面が略T字形の円
柱状部材であり、その軸方向に貫通したエアー導入管5
に沿って昇降可能に設けられている。内周押え6の下端
には、下降時にディスクDの中心孔周縁を押えつける押
え部6aが設けられている。この押え部6aによる押え
時に、保持台Xの円柱部2上面、ディスクDの中心孔の
内面、内周押え6の底面との間でできる空間は、気密が
保たれており、ここに圧縮エアーが供給されるように、
エアー導入管5の下端が開口している。
【0016】外周押え7は、断面が略コの字状の円盤状
部材であり、内周押え6とともに昇降可能に設けられて
いる。この外周押え7の下端部には、下降時にディスク
Dの外周縁を押え付ける環状の押え部7aが設けられて
いる。また、外周押え7と内周押え6との間には、両部
材間の緩衝のために、上下に摺動自在のガイド軸9aが
貫通された圧縮コイルバネ9が配設されている。加圧治
具8は、その軸方向にエアー導入管5が貫通しており、
図示しないエアーシリンダーによって昇降可能に設けら
れている。この加圧治具8と内周押え6との間には、両
部材間の緩衝のために、エアー導入管5が貫通された圧
縮コイルバネ10が配設されている。
【0017】〔作用〕請求項1及び2記載の発明に対応
する転写方法の一例として、上記のような構成を有する
転写装置の作用を説明する。本転写装置によって作成さ
れるディスクDは、例えば、高NAレンズを用いて信号
を読み書きするための相変換ディスクであり、1層で約
25GBの記録容量を有し、2層に形成することによっ
て、約50GBのディスクとしたものである。
【0018】まず、図2に示すように、凹凸により記録
面を形成したポリカーボネート製の基板101に、通常
のスパッタリング条件(電力2.5kw、成膜圧力0.
45Pa)でアルミニウムを成膜することにより、記録
層である反射膜102を形成する。次いで、図3に示す
ように、凹凸により記録面を形成したアクリル製の基板
105に、アルミニウムを電力2.5kw、成膜圧力5
Paのスパッタリング条件で成膜することにより、記録
層である半透明膜104を形成する。そして、図4に示
すように、前記の2枚の基板101,105を、紫外線
硬化樹脂等の接着剤103を用いて、真空貼り合わせ装
置によって貼り合わせる。
【0019】以上のようなディスクDを、図1に示すよ
うに、保持台Xのテーブル1にセットして、バキューム
孔3による真空チャックで固定する。次いで、加圧治具
8を、エアーシリンダで降下させることによって、内周
押え6及び外周押え7を降下させて、ディスクDの中心
孔周縁を押え部6aによって押えるとともに、ディスク
Dの外周周縁を押え部7aによって押える。この押える
力は、緩衝用の圧縮コイルばね9,10によって事前に
調節されるが、ディスクDの外周と内周の厚みの差は、
圧縮コイルばね9,10の変位によって吸収される。従
って、ディスクDの中心孔部の空間は、押え部6aによ
って気密が保たれている。
【0020】この状態で、送気圧力が3〜5kg/cm
2の高圧エアーを、エアー導入管5から、ディスクDの
中心孔部の空間に供給する。すると、図5に示すよう
に、接着力の弱いアクリル製の基板105と半透明膜1
04との間が剥離する。このとき、外周押え7の押え部
7aによって、ディスクDの外周周縁が押えられている
のでエアーリークが防止され、接着力の弱い部分の局部
的な剥離がないので、基板105の全面から半透明膜1
04が瞬時にきれいに剥離する。従って、半透明膜10
4は全て接着剤103側に転写される。そして、図6に
示すように、保護膜106として、例えば、紫外線硬化
樹脂を100±5ミクロンの厚さでスピンコーターによ
って形成することによって、ディスクDを完成させる。
【0021】なお、図7に示すように、アクリルへのス
パッタリングによるアルミニウム膜を、成膜条件を変え
て複数製作し、その引き剥がし強度を測定する実験を行
なった。なお、成膜電力は全て2.5kWである。この
実験によると、成膜圧力の調整によって膜の接着力が変
わることが分かった。例えば、4Pa以上の成膜圧力
で、接着力が低下するので、アクリル基板からアルミニ
ウム膜をきれいに全面剥離することができた。
【0022】〔効果〕以上のような本実施形態によれ
ば、基板105の全面から半透明膜104を瞬時に剥離
させて、接着剤層に記録層を正確に転写することができ
るので、半透明膜104の残留による不良品の発生を防
止して、製品の信頼性を高めることができる。特に、半
透明膜104は、剥離に適したスパッタリング条件で形
成されているので、より一層確実に剥離される。
【0023】また、基板105,101の内外周の押え
に、圧縮コイルばね9,10を介しているため、気密性
の確保とともに、過剰なエアーの供給を放出することを
可能としている。これにより、エアー供給状態のばらつ
きに左右されることなく、安定した均一な剥離作業が実
現できる。また、圧縮コイルばね9,10によって、基
板105,101の内外周の厚みの差が吸収されるの
で、内外周の気体漏れを適切に防止できる。
【0024】〔他の実施形態〕本発明は、上記のような
実施形態に限定されるものではない。例えば、押え手段
は、上記の実施形態で示したように、リング状とするの
が圧力が均一となって好ましいが、例えば、図8、図9
に示すように、外周押え7を十字若しくは放射状のアー
ムによって構成してもよい。また、弾性部材は、上記の
実施形態で示した圧縮コイルばね9,10には限定され
ず、種々の材料及び形状の弾性体が適用可能である。さ
らに、本発明の対象となるディスクは、その大きさ、形
状、材質、記録層の数等は自由である。また、転写対象
となる記録層は、反射膜であっても、半透明膜であって
もよい。
【0025】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、転写用の基板から記録層を確実に剥離可能な転写方
法及び装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の転写装置の実施形態を示す縦断面図で
ある。
【図2】図1の実施形態に用いる一方の基板を示す縦断
面図である。
【図3】図1の実施形態に用いる転写用の基板を示す縦
断面図である。
【図4】図1の実施形態に用いる基板の貼り合わせ状態
を示す縦断面図である。
【図5】図1の実施形態に用いる転写用の基板の引き剥
がし状態を示す縦断面図である。
【図6】図1の実施形態によって作成されるディスクを
示す縦断面図である。
【図7】スパッタリングによる成膜圧力と付着力の実験
結果を示す図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す平面図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示す平面図である。
【図10】従来の転写装置の一例を示す縦断面図であ
る。
【符号の説明】
1…テーブル 2…円柱部 3…バキューム孔 4…通気経路 5…エアー導入管 6…内周押え 6a,7a…押え部 7…外周押え 8…加圧治具 9,10…圧縮コイルバネ 9a…ガイド軸 101,105…基板 102…反射膜 103…接着剤 104…半透明膜 106…保護膜 A…アーム B…接着剤 D…ディスク E…蒸着膜 P…基板 X…保持台 Y…押え装置
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 西垣 寿 神奈川県横浜市栄区笠間二丁目5番1号 芝浦メカトロニクス株式会社内 Fターム(参考) 5D029 JB13 5D121 AA01 DD13 DD17 EE03 EE27 EE30 FF13 GG28 GG30 JJ02 JJ10

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方の面に情報記録用の記録
    層が形成され、中心孔を有する複数の基板を、互いの記
    録層が対向するように樹脂を介して貼り合わせ、一方の
    基板を記録層との界面で剥離することによって、前記樹
    脂の表面上に記録層を転写する転写方法において、 前記樹脂を介して貼り合わせた前記基板の内外周の端部
    を押えながら、前記基板の中心孔に気体を供給すること
    により、一方の基板を記録層との界面で剥離することを
    特徴とする転写方法。
  2. 【請求項2】 前記記録層は、スパッタリングによって
    形成された金属膜であることを特徴とする請求項1記載
    の転写方法。
  3. 【請求項3】 中心孔を有し、情報記録用の記録層に樹
    脂を貼り付けた基板を、前記記録層との界面で剥離する
    ことによって前記樹脂に記録層を転写する転写装置であ
    って、 前記基板の内外周の端部を押える押え手段と、 前記押え手段によって押えられた基板の中心孔に気体を
    供給する気体供給手段と、 を備えたことを特徴とする転写装置。
  4. 【請求項4】 前記押え手段は、前記基板の内周端を押
    える内周押えと、前記基板の外周端を押える外周押えと
    を有し、 前記内周押えと前記外周押えは、それぞれ弾性部材を介
    して、押え方向に付勢されていることを特徴とする請求
    項3記載の転写装置。
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US8864938B2 (en) 2011-11-28 2014-10-21 Samsung Display Co., Ltd. Vacuum peeling apparatus and method

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