JP2003268367A - 蛍光膜形成用蛍光体および蛍光体スラリー - Google Patents

蛍光膜形成用蛍光体および蛍光体スラリー

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JP2003268367A
JP2003268367A JP2002121485A JP2002121485A JP2003268367A JP 2003268367 A JP2003268367 A JP 2003268367A JP 2002121485 A JP2002121485 A JP 2002121485A JP 2002121485 A JP2002121485 A JP 2002121485A JP 2003268367 A JP2003268367 A JP 2003268367A
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forming
slurry
photosensitive material
fluorescent
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JP2002121485A
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Hideo Tono
秀夫 戸野
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Kasei Optonix Ltd
Original Assignee
Kasei Optonix Ltd
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  • Luminescent Compositions (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 クロムを含有しない感光材料を使用した陰極
線管の蛍光膜作製スラリーに適した蛍光体並びに蛍光体
スラリーを提供する。 【解決手段】 Crを組成中に含まないポリビニルアル
コール樹脂を基体とし、ベンジルデン−ローダミンを側
鎖にもつ水溶性の感光性材料と共にスラリー化して使用
される蛍光体であって、その表面に紫外線吸収物質を被
覆する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はクロム(Cr)を含
まない感光性材料(以下、ノンクロム系感光性材料とい
う)を用いて陰極線管の蛍光膜形成するための蛍光体及
び蛍光体スラリーに関する。
【0002】
【従来の技術】周知のようにカラー陰極線管の蛍光面
は、赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)に発光する
3種類の蛍光体をそれぞれ感光性材料と共に水に懸濁さ
せた蛍光体スラリーをブラウン管のフェースプレート全
面に均一に塗布した後、この塗布面に所定のパターンで
開口したシャドーマスクを通して露光し、感光させて露
光面を硬化させ、次いで水洗現像して未露光部分の蛍光
体スラリーを洗い流す(現像操作を施す)ことによって
フェースプレート上の所望の場所に特定の色の蛍光膜を
形成する操作を反復してR、G、Bの蛍光膜を形成す
る。
【0003】このスラリー法により陰極線管の蛍光面を
製造するための蛍光体スラリーには感光材料としてPV
A−クロム系感光剤(以下、クロム系感光性材料とい
う)が広く用いられている。このクロム系感光性材料は
重クロム酸アンモニウム(ADC)、重クロム酸ナトリ
ウム(SDC)等の形でポリビニルアルコール(PV
A)と一緒に用いられてきた。従って、陰極線管の生産
を続ける限りこれの廃棄に伴って感光材料として使用さ
れたクロムの化合物も自然界に蓄積されてゆくため環境
汚染の対象物の1つとして問題視されており、その対策
として、スラリー法による陰極線管の蛍光面の作製に際
して、クロムを含まないノンクロム系感光性材料の検討
が長期に渡ってなされてきた。スラリー法により蛍光面
を形成する際に使用する感光材料として、例えば、PV
A−ジアゾ系、PVA−SBQ(スチルバゾリウム基)
系、PVP−アジド系等の感光材料が各種検討された
が、これらを感光材料としてスラリー法により蛍光面を
作製した場合、蛍光膜の接着力不足、露光時に適正感度
が得られ難いという問題があり、蛍光膜形成のための感
光材料としての性能の面で現在のクロム系感光性材料に
及ばないところから未だ実用には至ってない。
【0004】ところが近年、これらのノンクロム系感光
性材料の改善検討が更に進み、実用の域に近い性能を有
する材料が開発され、従来広く用いられて来たクロム系
感光性材料の代替として、その実用化の可能性の検討が
なされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】このように、クロムを
含まないノンクロム系感光性材料は無公害性であるとい
う点では魅力があり着目されている。しかしながら実用
化の面を考えると、感光材料単独の特性改善のみでは不
充分な面が有り、このノンクロム系感光性材料と共に用
いられる蛍光体についても改善が必要とされる。
【0006】塗布プロセス及び塗布性や成膜の品質を見
ると、従来のPVA−Cr系等のクロム系感光性材料と
は光架橋反応のメカニズムが異なるため、単純に現在使
用されているクロム系感光性材料に適した蛍光体のデザ
インの物がそのまま適合できない面がしばしば有り、実
用化への障害となっていた。
【0007】すなわち、具体的問題点としては、前記ノ
ンクロム系感光性材料は、従来のクロム系感光性材料に
比べると非常に感度が高いため鋭敏に感光しやすく、こ
のノンクロム系感光材料を含む蛍光体スラリーを用い
て、スラリー調製−塗布−露光−現像という手順のスラ
リー法による従来の一連のプロセスで蛍光面を作製して
行くと、所定の大きさの絵素(ドットもしくはストライ
プ状の蛍光膜)が得られ難いという操作上の問題や、形
成される絵素の形状が悪化し、主に絵素の輪郭部が部分
的に欠落して不明瞭となる(いわゆる、エッジ切れが悪
くなる)という、仕上がった蛍光面の品質上の問題点を
有していた。
【0008】そこで、このような問題点を取り除くため
には、ノンクロム系感光材料自体の特性改善の外に、こ
れと併用される蛍光体の表面改質等、蛍光体側の改良も
必要とされる。
【0009】本発明は上記のような問題を解決するため
になされたもので、近年開発されたノンクロム系感光材
料を用いた蛍光体スラリーによりスラリー法によって陰
極線管の蛍光面を作製した時、ガラス面との接着力が強
く、エッジ切れの良好な蛍光膜を形成することができる
蛍光体並びにそのための蛍光体スラリーを提供すること
を目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明者等は上記目的達
成のため、ノンクロム系感光材料を含有する蛍光体スラ
リーを調製するための蛍光体について、主としてその表
面処理法に関して詳細に検討した結果、蛍光体の表面に
紫外線吸収剤を被覆する表面処理を施した蛍光体及びノ
ンクロム系感光材料を含有する蛍光体スラリー用いて陰
極線管の蛍光面を作製すれば、ガラス面との接着力が強
く、また、エッジ切れの良好な蛍光膜が形成できること
がわかり本発明に至った。
【0011】本発明の蛍光体及び蛍光体スラリーは以下
のような構成を有する。 (1)クロム(Cr)を組成中に含まない感光性材料と
共に蛍光体を水中に分散させてなる蛍光膜形成用蛍光体
スラリーに使用される蛍光体であって、該蛍光体の表面
に紫外線吸収物質が付着していることを特徴とする蛍光
膜形成用蛍光体。 (2)前記感光性材料が、クロム(Cr)を組成中に含
まないポリビニルアルコール樹脂(PVA)を基体と
し、ベンジルデン−ローダミンを側鎖に持つ水溶性脂の
感光性樹脂であることを特徴とする前記(1)記載の蛍
光膜形成用蛍光体。
【0012】(3)前記紫外線吸収物質が無機の紫外線
吸収剤であることを特徴とする前記(1)または(2)
記載の蛍光膜形成用蛍光体。 (4)前記無機の紫外線吸収剤が酸化チタン、酸化亜
鉛、酸化ジルコニア、酸化鉄の中の少なくとも1つの金
属酸化物であることを特徴とする前記(3)記載の蛍光
膜形成用蛍光体。
【0013】(5)前記紫外線吸収剤の平均粒子径が
0.5μm以下の微粒子であることを特徴とする、請求
項3または4記載の蛍光膜形成用蛍光体。 (6)前記紫外線吸収物質が有機の紫外線吸収剤である
ことを特徴とする前記(1)または(2)記載の蛍光膜
形成用蛍光体。
【0014】(7)前記有機の紫外線吸収剤がベンゾフ
ェノン系、ジフェニルアクリレート系、ベンゾトリアゾ
ール系及びサリチル酸エステル系の中の少なくとも1つ
の有機化合物であることを特徴とする前記(6)記載の
蛍光膜形成用蛍光体。 (8)前記有機の紫外線吸収剤が親水性のエマルジョン
型高分子化合物であることを特徴とする前記(6)また
は(7)記載の蛍光膜形成用蛍光体。
【0015】(9)前記紫外線吸収物質の付着量が前記
蛍光体に対して0.001〜2重量%であることを特徴
とする前記(1)〜(8)のいずれか1つに記載の蛍光
膜形成用蛍光体。 (10)蛍光体と感光性材料とを水中に分散させてなる
蛍光体スラリーにおいて、前記蛍光体が前記(1)〜
(9)のいずれか1つに記載の蛍光膜形成用蛍光体であ
り、前記感光性材料がクロム(Cr)を組成中に含まな
い感光性材料であることを特徴とする蛍光体スラリー。
【0016】
【発明の実施の形態】次に、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明の蛍光膜形成用蛍光体は、ZnS:Ag、Z
nS:Ag,Cl等の青色発光蛍光体、ZnS:Cu,
Al、ZnS:Au,Al等の緑色発光蛍光体、Y
:Eu、YS:Eu等の赤色発光蛍光体をはじ
めとする所望の陰極線管用蛍光体の表面に紫外線吸収物
質を被覆することによって得ることができる。
【0017】本発明の蛍光膜形成用蛍光体の表面に被覆
される紫外線吸収物質としては、400nm以下の波長
域に吸収帯を有し、その波長域での反射率が極めて低い
物質が使用され、例えば、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化
ジルコニウム、酸化鉄のような無機金属化合物の粉体
や、2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロ
キシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクトキベ
ンゾフェノン等のベンゾフェノン系、エチル−2−シア
ノ−3,3−ジフェニルアクリレート等のジフェニルア
クリレート系、2−(2’ヒドロキシ−5’−メチルフ
ェニル)ベンゾトリアゾール等のベンゾトリアゾール系
及びサリチル酸エステル系等のような有機紫外線吸収剤
が推奨される。
【0018】これらの紫外線吸収物質は紫外光の吸収効
率を上げ、散乱光などの不要な光をカットするため、こ
れらを粉体状またはエマルジョン状で蛍光体表面に被覆
する場合は、粒子径の小さい微細粒子を用い、スラリー
中でよく分散させておいて蛍光体粒子の表面に均一に付
着ることが好ましく、粉体状の無機紫外線吸収物質を用
いる場合は、その平均粒子径が0.5μm以下の超微細
粒子を用いるのが好ましい。
【0019】蛍光体の表面に紫外線吸収物質を被覆する
には、使用する紫外線吸収物質が酸化チタン、酸化亜鉛
のような無機金属化合物の粉体である場合、所定量の紫
外線吸収物質を水中に投入して、超音波分散機等を用い
て良く分散させてからバインディング効果のあるバイン
ダーを添加して更に十分に撹拌して紫外線吸収物質とバ
インダーとを混合分散させた紫外線吸収物質の水スラリ
ーを調製する。これとは別に所定量の蛍光体を水中に縣
濁させた蛍光体スラリーを調製しておき、この蛍光体ス
ラリー中に別途調製した上記紫外線吸収物質の水スラリ
ーを添加して十分に撹拌して、蛍光体と紫外線吸収物質
とバインダー物質とを良くなじませた後、例えばこのス
ラリーのpH調整又は特定金属イオンの添加等の処理を
行うことによってバインダー物質を凝集析出させ、次い
で脱水し、乾燥することによりバインダーを介して無機
系紫外線吸収物質が均一に蛍光体表面に被覆された本発
明の蛍光体が得られる。無機金属化合物の粉体状の紫外
線吸収物質を蛍光体表面に被覆して本発明の蛍光膜形成
用蛍光体を製造する場合、水中に所定量の蛍光体、紫外
線吸収物質及びバインダー物質を同時に添加して十分に
撹拌してから脱水、乾燥を行っても良いが、上述のよう
に、紫外線吸収物質とバインダーとの混合スラリーを別
途調製しておき、これを蛍光体を分散させた蛍光体スラ
リー中に投入する方が、紫外線吸収物質が蛍光体表面に
より均一に被覆されるので好ましい。
【0020】一方、使用する紫外線吸収物質が有機系の
紫外線吸収物質である場合には、この紫外線吸収物質が
エマルジョン化されていれば単にこれをバインダー物質
と共に蛍光体の水スラリー中に添加して撹拌、混合すれ
ばよいが、紫外線吸収物質が有機溶媒中に溶解させて使
用する溶剤型タイプの場合は、所定量の紫外線吸収物質
を溶剤に溶解し、その溶液に所定量の蛍光体を投入し、
十分に撹拌、混練して蛍光体と紫外線吸収物質とを接触
させてから、乾燥の処理を施し、表面に有機系紫外線吸
収物質を被覆した本発明の蛍光膜形成用蛍光体を製造す
る。
【0021】本発明の蛍光膜形成用蛍光体において、蛍
光体の表面に被覆される紫外線吸収剤の被覆量は蛍光体
に対して0.001〜2重量%の範囲の量とすることが
好ましい。紫外線吸収剤の被覆量が蛍光体に対して0.
001重量%より少ないと紫外線吸収物質の被覆効果が
現れず、この蛍光体を用いて陰極線管の蛍光膜を形成し
た際、エッジ切れの改善された蛍光膜が得難い。一方、
紫外線吸収剤の被覆量が2重量%より多いと陰極線管の
蛍光膜を形成しようとすると露光用光源からの紫外線が
蛍光体粒子表面で吸収され十分に感光材料を硬化させる
ことができなくて蛍光膜のガラス面への接着力が減少す
る上、蛍光体の発光輝度も低下するので好ましくない。
【0022】本発明の蛍光膜形成用蛍光体を製造する
際、金属酸化物などの粉末状の無機系紫外線吸収剤を蛍
光体表面に被覆し易くするための上述のバインダー物質
としては、酢酸ビニル系エマルジョン、アクリル系エマ
ルジョン、アクリル−スチレン系エマルジョン、合成ゴ
ムラテックスエマルジョン系、セルロース系、多糖類系
バインダー等が用いられる。
【0023】なお、本発明の蛍光膜形成用蛍光体におい
てバインダー物質を介して紫外線吸収剤を被覆した際、
蛍光体粒子表面の親水性が失われる場合や塗布性を向上
させたい場合は必要に応じ、蛍光体の表面に更に、アラ
ビアガム、アルギン酸塩等の有機物質やSi、Al、Z
n等の水酸化物、酸化物(ゾル物)等を適宜被覆させて
も良い。
【0024】次に本発明の蛍光体スラリーについて述べ
る。本発明の蛍光体スラリーを調製するには、それぞれ
所定量の上述のようにして得られた本発明の蛍光膜形成
用蛍光体、ノンクロム系感光性材料及び形成される蛍光
膜の品質を向上させるために通常用いられる界面活性剤
を水中に添加し、これを十分に撹拌、混合することによ
って得ることができる。
【0025】本発明において用いられるノンクロム系感
光性材料としては、下記一般式[1]で表される、PV
A基体で感光機能を有するアジド基を含有してなるスル
フォベンジリデン−ローダニンブチル化合物を側鎖に持
つ高分子化合物(通称PVA−ARBBと呼ばれる)が
主に使用される。
【化1】
【0026】なお、上記一般式中、(−R)はアルキル
基を示し、ブチル化合物等がその一例となる。また、そ
の他同様の機能を有し、より広義の化合物として、同じ
くPVA基体で感光機能を有するアジド基(−N)を
含有してなるローダニンブチル化合物を側鎖に持ち、か
つ下記一般式[2]で表されるノンクロム系の感光性樹
脂も使用される。下記一般式[2]において(Ar)は
上記ベンジリデンまたはナフタレンであり、側鎖にスル
フォン酸基を持つものと、持たないものからで出来てい
る。スルフォン酸基を有する場合は、−SONaのN
a元素の部分はLi、K、NH等で置換可能でもあ
る。このような構成でなる高分子化合物は通称PVA−
ARBと呼れる。
【0027】
【化2】
【0028】
【作用】本発明の蛍光体スラリーを用いてスラリー法に
より陰極線管の蛍光面を形成する方法は従来の蛍光体ス
ラリーを用いた形成法と同様であり、陰極線管のパネル
面に本発明の蛍光体スラリーを塗布し、シャドーマスク
またはアパチャーグリルを介してその開口部を通して塗
布面に所望のパターンの紫外光を照射して、蛍光体スラ
リー塗布面の紫外光の照射された部分のみを所定のパタ
ーンに光硬化させる。その際、詳細にはシャドウマスク
等の開口部を通過した紫外光はパネルの蛍光体スラリー
塗布面上において、照射された露光用紫外光の光束中央
部を中心とする真影部(所望の形状の絵素が形成される
べき領域)とその周囲の半影部(絵素を形成する必要の
ない領域)に分散される形で照射される。この蛍光体ス
ラリー塗布面の真影部では当然に光量が多く光硬化反応
が十分に進行する一方、半影部では光量が真影部に比べ
てかなり少なくなっている。そのためこの部分は、光硬
化反応が十分進行しないために塗布された蛍光体塗布液
の光硬化が十分でなく、この部分はその後の現像工程で
は光硬化反応が不充分なため水洗現像液により除去さ
れ、従ってこの半影部では硬化した膜の形状が中途半端
な形となる。水洗(現像)による未露光部の蛍光体塗膜
の除去は、そこで適当な現像条件(洗い落としの強度)
を設定してやれば、ある程度所望のドットやストライプ
を形成することが出来るが、本発明の蛍光体スラリーを
使用した場合には該スラリー中の感光材料はノンクロム
感光材料であって、従来のクロム系感光性材料を用いた
場合に比べて光感度がきわめて高くて光に対して鋭敏す
ぎるため、露光光投影面の半影部についても光硬化反応
を起こしてしまい、結果として所望の大きさ以上の絵素
が形成されたり、または現像条件によっては、絵素の周
辺部が現像液でえぐられてしまい、ドット切れが悪く形
状の悪いドットやストライプとなり易い。
【0029】また、一般に蛍光体粒子表面は300〜4
50nmの紫外線ないしは、短波長可視光の露光光に対
して比較的反射率が高いため、露光過程で蛍光体塗布面
の中の蛍光体粒子表面から露光光が反射し、照射方向と
は異なる方向に紫外光が散乱して出て行き、所望の場所
とは異なる部分を硬化させてしまう結果となり、好まし
い形状のドット、ストライプを得ることができない。と
ころが、本発明の蛍光体スラリーでは、スラリー中の蛍
光体粒子の表面に所定量の紫外線吸収物質が被覆されて
いるため、露光する必要のない、半影部に到達する紫外
光や散乱光の到達する部分等の弱い紫外光に対しては、
蛍光体粒子表面に被覆されている紫外線吸収物質が吸収
するため、形成不必要な部位での光硬化反応を抑制させ
ることができる。これにより、ノンクロム感光材料の欠
点である紫外光に対する鋭敏性による上記弊害を抑制す
ることが出来る。そのため、蛍光膜形成の際に本発明の
蛍光体スラリーを用いることにより、無公害性のメリッ
トを生かしながら、かつ従来のクロム系感光性材料を用
いた蛍光体スラリーと何ら劣らない塗布性を有する蛍光
膜を形成することができる。
【0030】また本発明の蛍光体スラリーによればエッ
ジ切れが良好でドット及びストライプ形状の輪郭部分の
明瞭な蛍光膜が得られ、また、現像後の蛍光膜中にクロ
ム(Cr)が残留したり吸着することによる着色が原因
となる輝度劣化現象がないため、高輝度の蛍光膜を形成
することが出来る。
【0031】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明する。 〔実施例1〕2リットルビーカーに500gの緑色蛍光
体(ZnS:Cu,Al)と純水1000mlとを入れ
攪拌して、蛍光体スラリーを調製した。これとは別に、
予め水中に平均粒子径がおよそ40nmの微細酸化チタ
ンを0.5g懸濁させ、超音波撹拌機を用いて分散化処
理を施して高分散化させた酸化チタンのスラリー液を調
製し、これを先に調製した蛍光体スラリー中に添加して
引き続き攪拌した。
【0032】次いで、この蛍光体スラリーにバインダー
として市販のアニオン性アクリルエマルジョン(固形分
50%)0.5gを添加し攪拌した後、これに更に0.
5gの市販ゼラチンが溶解したゼラチンの水溶液を添
加、撹拌して、このスラリーに酢酸を徐々に添加しなが
らこの蛍光体スラリーのpHを4に調整した。次にpH
調整を終えた上記蛍光体スラリーを脱水し、110℃で
乾燥させ、冷却後篩にかけて蛍光体表面に酸化チタン粒
子を被覆された実施例1の緑色蛍光体(ZnS:Cu,
Al)を得た。
【0033】上述のようにして得られた実施例1の緑色
蛍光体(ZnS:Cu,Al)100gと水110ml
とを300mlビーカーに投入して十分攪拌した後、更
にこれに6%PVA−ARBB(ノンクロム系感光性材
料)を120ml加えて再び攪拌してから所定量の界面
活性剤を投入して十分に撹拌し、実施例1の蛍光体スラ
リーを製造した。
【0034】〔比較例1〕蛍光体として、実施例1の蛍
光体に代えて、実施例1の緑色蛍光体(ZnS:Cu,
Al)を製造する際に用いた表面に紫外線吸収剤が被覆
されていない緑色蛍光体(ZnS:Cu,Al)を用い
た以外は実施例1の蛍光体スラリーと同様にして比較例
1の蛍光体スラリーを製造した。
【0035】〔比較例2〕蛍光体として、比較例1で用
いた、表面に紫外線吸収剤が被覆されていない緑色蛍光
体(ZnS:Al)100gと水128mlとを300
mlビーカーに投入して十分攪拌した後、これに102
mのl8%PVAを加え、更にこれに10%の重クロム
酸アンモニューム水溶液(ADC)3mlを加えて十分
に撹拌し、所定量の界面活性剤を投入して更に十分に撹
拌し、比較例2の蛍光体スラリーを製造した。
【0036】〔実施例2〕2リットルビーカーに500
gの実施例1で用いた緑色蛍光体(ZnS:Cu,A
l)と純水1000mlを入れ攪拌して、蛍光体スラリ
ーを調製した後、このスラリー中にバインダーとして、
市販のアニオン性アクリルエマルジョン(固形分50
%)0.5gを添加し攪拌後、固形分にして0.6g分
のベンゾフェノン系のエマルジェン型高分子紫外線吸収
剤(固形分30%)を添加し、更に十分攪拌しながら、
酢酸を徐々に添加してスラリーのpHが4になるように
調整した。次に上記処理済のスラリーを脱水し、110
℃で乾燥させ、冷却後篩にかけて表面にベンゾフェノン
系エマルジョン粒子が被覆した実施例2の蛍光体(Zn
S:Cu,Al)を製造した。
【0037】上述のようにして得られた実施例2の緑色
蛍光体(ZnS:Cu,Al)100gと水110ml
とを300mlビーカーに投入して十分攪拌した後、更
にこれに6%PVA−ARBB(ノンクロム系感光性材
料)を120ml加えて再び攪拌してから所定量の界面
活性剤を投入して十分に撹拌し、実施例2の蛍光体スラ
リーを製造した。
【0038】〔比較例3〕蛍光体として、実施例2の蛍
光体に代えて、比較例1の緑色蛍光体(ZnS:Cu,
Al)を製造する際に用いた表面に紫外線吸収剤が被覆
されていない緑色蛍光体(ZnS:Cu,Al)を用い
た以外は実施例2の蛍光体スラリーと同様にして比較例
3の蛍光体スラリーを製造した。
【0039】〔比較例4〕比較例1で用いた、表面に紫
外線吸収剤が被覆されていない緑色蛍光体(ZnS:C
u,Al)100gと水128mlとを300mlビー
カーに投入して十分攪拌した後、これに102mのl8
%PVAを加え、更にこれに10%の重クロム酸アンモ
ニューム水溶液(ADC)3mlを加えて十分に撹拌し
た後、所定量のスラリー分散用界面活性剤を投入して十
分に撹拌し、比較例4の蛍光体スラリーを製造した。
【0040】(蛍光体スラリーの評価)次に、上述のよ
うにして得られた実施例1、2の蛍光体スラリー及び比
較例1〜4の蛍光体スラリーについて、各スラリーをそ
れぞれブラウン管のフェースプレート上に塗布して乾燥
してからそのスラリー塗布面上に、シェーダーフィルタ
ー(光透過率が角度に応じ連続的に変えてある円形濃度
フィルター)及びドット状の開口部を有するシャドーマ
スクを通過した紫外線を照射した(露光)。次いで、ス
ラリー塗布面を水で洗い流して(現像)フェースプレー
ト上にシャドーマスクの開口パターンのドット状蛍光膜
を形成した。なお、蛍光体スラリー間で露光感度の差が
あるため、形成される蛍光膜の最大ドット径がいずれも
ほぼ同じになる様、塗布した各蛍光体スラリー毎にその
露光量を調整した。
【0041】表1は上述のようにして実施例1、2並び
に比較例1〜4の各蛍光体スラリーを用いて形成したド
ット状蛍光膜の最小ドット径、及びドット形状並びにエ
ッジ切れの状態を示したものである。
【0042】表1において最小ドット径とは、同一光量
の紫外線を上記シェーダーフィルターを介して露光し、
その時に形成された蛍光膜の中で最小の蛍光膜のドット
径(上記シェーダーフィルターを透過した最小光量の紫
外線で露光され、フェースプレート上に形成された蛍光
膜のドット径)をいい、従って、この値が小さい程、用
いた蛍光体スラリーの接着力が大であると評価される。
【0043】また、表1においてドット形状は、形成さ
れたドット状の蛍光膜を目視観察してその蛍光膜が真円
に近い形状と判断されたものをAランク(形状が最も良
好)、扁平状になって形状が悪いと判断されたものをE
ランク(形状が最も不良)と評価し、形状が最も良好と
判断されたものから最も不良と判断されたものまでその
程度をAからEまでをそれぞれ5段階にランク分けし
た。一方、エッジ切れは、形成されたドット状の蛍光膜
の輪郭部を目視観察して、ドット状蛍光膜の輪郭部がは
っきりしていてエッジ切れが最も良好なものをA、輪郭
部がはっきりせずエッジ切れが最も不良なものをEと評
価し、ドット形状の評価と同様にエッジ切れが最も良好
と判断されたものから最も不良と判断されたものまでそ
の程度をAからEまでをそれぞれ5段階にランク分けし
た。実用性を考慮するとこの評価基準ではBランク以上
の蛍光膜であることを必要とし、Cランク以下は使用不
可の域にあることを意味している。
【0044】表1からわかるように、表面に紫外線吸収
剤が被覆された蛍光体とノンクロム系感光材料からなる
本発明の蛍光体スラリーを用いて蛍光膜を形成した場合
(実施例1及び2)、紫外線吸収剤が被覆されていない
従来の蛍光体をノンクロム系感光材料と組み合わせて蛍
光体スラリーとし、蛍光膜を形成した場合(比較例1、
3)に比べて、フェースプレートに対する蛍光膜の接着
力が向上し、また、得られた蛍光膜の形状及びエッジ切
れも上記評価基準でCランクからAランクへと2ランク
グレードアップして成膜性も著しく改善され、表面に紫
外線吸収剤が被覆されていない蛍光体とクロム系感光材
料からなる従来の蛍光体スラリーを用いて蛍光膜を形成
した場合(比較例2、4)とほぼ同等レベルにあった。
【0045】
【表1】
【0046】
【発明の効果】本発明は上記構成としたので、蛍光体ス
ラリーの光に対する感度鋭敏性が緩和され、その結果、
スラリー法によって陰極線管の蛍光面を作製した時、ガ
ラス面との接着力が強く、エッジ切れの改善された蛍光
膜を形成することができる蛍光体並び環境汚染のない蛍
光体スラリーを提供するすることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // C09K 11/56 CPC C09K 11/56 CPC

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クロム(Cr)を組成中に含まない感光
    性材料と共に蛍光体を水中に分散させてなる蛍光膜形成
    用蛍光体スラリーに使用される蛍光体であって、該蛍光
    体の表面に紫外線吸収物質が付着していることを特徴と
    する蛍光膜形成用蛍光体。
  2. 【請求項2】 前記感光性材料が、クロム(Cr)を組
    成中に含まないポリビニルアルコール樹脂(PVA)を
    基体とし、ベンジルデン−ローダミンを側鎖に持つ水溶
    性脂の感光性樹脂であることを特徴とする請求項1記載
    の蛍光膜形成用蛍光体。
  3. 【請求項3】 前記紫外線吸収物質が無機の紫外線吸収
    剤であることを特徴とする請求項1または2記載の蛍光
    膜形成用蛍光体。
  4. 【請求項4】 前記無機の紫外線吸収剤が酸化チタン、
    酸化亜鉛、酸化ジルコニア、酸化鉄の中の少なくとも1
    つの金属酸化物であることを特徴とする請求項3記載の
    蛍光膜形成用蛍光体。
  5. 【請求項5】 前記紫外線吸収剤の平均粒子径が0.5
    μm以下の微粒子であることを特徴とする、請求項3ま
    たは4記載の蛍光膜形成用蛍光体。
  6. 【請求項6】 前記紫外線吸収物質が有機の紫外線吸収
    剤であることを特徴とする請求項1または2記載の蛍光
    膜形成用蛍光体。
  7. 【請求項7】 前記有機の紫外線吸収剤がベンゾフェノ
    ン系、ジフェニルアクリレート系、ベンゾトリアゾール
    系及びサリチル酸エステル系の中の少なくとも1つの有
    機化合物であることを特徴とする請求項6記載の蛍光膜
    形成用蛍光体。
  8. 【請求項8】 前記有機の紫外線吸収剤が親水性のエマ
    ルジョン型高分子化合物であることを特徴とする請求項
    6または7記載の蛍光膜形成用蛍光体。
  9. 【請求項9】 前記紫外線吸収物質の付着量が前記蛍光
    体に対して0.001〜2重量%であることを特徴とす
    る請求項1〜8のいずれか1項に記載の蛍光膜形成用蛍
    光体。
  10. 【請求項10】 蛍光体と感光性材料とを水中に分散さ
    せてなる蛍光体スラリーにおいて、前記蛍光体が請求項
    1〜9のいずれか1項に記載の蛍光膜形成用蛍光体であ
    り、前記感光性材料がクロム(Cr)を組成中に含まな
    い感光性材料であることを特徴とする蛍光体スラリー。
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