JP2003268130A - 手切れ性に優れたポリエステル二軸延伸フィルムおよびその製造方法 - Google Patents

手切れ性に優れたポリエステル二軸延伸フィルムおよびその製造方法

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JP2003268130A
JP2003268130A JP2002070261A JP2002070261A JP2003268130A JP 2003268130 A JP2003268130 A JP 2003268130A JP 2002070261 A JP2002070261 A JP 2002070261A JP 2002070261 A JP2002070261 A JP 2002070261A JP 2003268130 A JP2003268130 A JP 2003268130A
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film
acid
biaxially stretched
polyoxyalkylene glycol
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Munehiro Miyake
宗博 三宅
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Unitika Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 手切れ性に優れかつ経時的な力学的特性の低
下が抑制されたポリエステルフィルムを工業的に提供す
る。 【解決手段】 少なくとも1種以上のポリオキシアルキ
レングリコール成分が0.5〜5モル%共重合されたポ
リエステルAと、ポリオキシアルキレングリコール成分
を含有せずポリエチレンテレフタレートを主成分とする
ポリエステルBとからなる混合ポリエステル二軸延伸フ
ィルムであり、ポリエステルAとポリエステルBとの質
量比(A/B)が10〜90/90〜10であり、フィ
ルムが紫外線によって処理され、フィルムの端裂抵抗が
10〜80Nであることを特徴とする手切れ性に優れた
ポリエステル二軸延伸フィルム。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、食品をはじめとし
て、医薬品、日用品、コスメティックスなどの包装材料
として有用な手切れ性に優れたポリエステルフィルムに
関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリエステル二軸延伸フィルムは、チュ
ーブラー法、フラット式同時二軸延伸法、フラット式逐
次二軸延伸法などを用いて製造され、耐久性、防湿性、
力学的強度、耐熱性、耐油性が優れており、各種分野に
おいて幅広く使用されている。しかしながらポリエステ
ル二軸延伸フィルムは、一般的に力学的強度が高いため
切断されにくく、たとえば各種包装材料や粘着テープと
して用いた際に、手で容易に開封、切断ができないとい
う問題点があった。
【0003】一方、手切れ性に優れたフィルムとしてセ
ロハンが知られているが、セロハンは吸湿性が高く、吸
湿により寸法が変化しやすいため、季節により特性が変
動し一定の品質の製品を供給することが困難であった。
またセロハンの手切れ性は良好である反面、加工ライン
でのフィルム切断などのトラブルが多く発生するため、
手切れ性と力学的強度のバランスに優れるフィルムが望
まれていた。
【0004】ポリエステル二軸延伸フィルムに手切れ性
を付与する方法として、フィルム端部にノッチを付与す
る方法が挙げられる。しかしながらこのような方法では
ノッチ以外の場所から引裂くことはできないため開封方
法の自由度が低く、またノッチからの引裂きに失敗した
場合には手切れ性が失われるという問題点があった。
【0005】ポリエステル二軸延伸フィルムの手切れ性
を改良する方法として、ポリエチレンテレフタレート
(以下PETと称す)に所定量のジエチレングリコール
を共重合する方法(特開昭50−103574号公
報)、比較的高分子量のPETに対し低分子量のPET
を混合する方法(特開昭51−104618号公報)、
極限粘度が0.35〜0.58の範囲にあり特定の屈折
率分布を付与する方法(特公昭62−20016号公
報)、多官能モノマーを共重合した架橋ポリエステルを
用いる方法(特開平2−47038号公報)、高融点ポ
リエステルと低融点ポリエステルからなる多層フィルム
を2軸延伸後、低融点層の融点より10℃低い温度以
上、高融点層の融点未満で熱処理する方法(特開平5−
104618号公報)などが開示されている。
【0006】しかしながら、特開昭50−103574
号公報に記載された方法では、ジエチレングリコールの
共重合量が比較的多いため、融点降下によりPETの耐
熱性が損なわれるといった問題や、記載されたフィルム
の破断強度(約170MPa)はセロハンの一般的な破
断強度約50〜70MPaに比して非常に大きく、この
ような方法で得られたフィルムの手切れ性はセロハンに
は全くおよばないという問題があった。
【0007】特開昭51−104618号公報に記載さ
れた方法では、十分な手切れ性を付与するためには低分
子量のPET樹脂を比較的多量に高分子量PETに混合
する必要があるために、樹脂の溶融張力低下が著しく安
定な未延伸フィルム製膜が困難となることや、低分子量
体のブリードアウトが起こりやすいという問題点があっ
た。
【0008】特公昭62−20016号公報に記載され
た方法により得られたフィルムは極限粘度が非常に小さ
い場合にはセロハンに近い手切れ性を示すものの、極限
粘度の小さいすなわち溶融張力の小さい樹脂を用いた場
合、未延伸フィルムの製膜が困難になることや、強度が
低いため延伸時にフィルムの破断が起こりやすいという
問題があった。
【0009】特開平2−47038号公報に記載された
方法では架橋性コモノマーと他のコモノマー成分を併用
した場合に良好な手切れ性を示すフィルムが得られるも
のの、重合時に生成するゲルによりフィルムにフィッシ
ュアイが発生しやすいといった問題や、フィルムが脆い
ために延伸時にフィルム破断などのトラブルが発生しや
すいという問題点があった。
【0010】特開平5−104618号公報に記載され
た方法によると手切れ性の非常に良好なフィルムが得ら
れるが、低融点層の配向緩和とともに比較的サイズの大
きい結晶が生成するためフィルムの透明性が悪化した
り、低融点層の配向緩和を均一に起こさせることが困難
であるためにフィルムの平坦性が損なわれやすいといっ
た問題点があった。
【0011】本発明者は、特定の成分を共重合した二軸
延伸ポリエステルフィルムに紫外線を作用させると、フ
ィルムの手切れ性が改善されることを見出し、先に特許
出願した(特願2001−254618号)。しかし、
このフィルムは、紫外線照射直後は良好な手切れ性フィ
ルムが得られるものの、長期間放置すると経時的にフィ
ルムの力学特性が低下し、最終的には実用的な力学的強
度が得られなくなる場合があるという問題があった。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
従来の技術の問題を解決し、セロハンの有する良好な手
切れ性を実現しつつ、ポリエステルの優れた力学特性、
耐熱性、防湿性、透明性を具備し、工業的に安定供給可
能であり、かつ力学的強度が経時的に低下しないフィル
ムを提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記問題点
を解決するために検討を行った結果、特定の共重合コモ
ノマーを含有するポリエステルと他のポリエステルの混
合物からなる二軸延伸フィルムに対し、特定の条件で紫
外線を照射することにより上記課題が解決されることを
見いだし、本発明に至った。すなわち本発明の要旨は、
以下のとおりである。 (1)少なくとも1種以上のポリオキシアルキレングリ
コール成分が0.5〜5モル%共重合されたポリエステ
ルAと、ポリオキシアルキレングリコール成分を含有せ
ずポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエス
テルBとからなる混合ポリエステル二軸延伸フィルムで
あり、ポリエステルAとポリエステルBとの質量比(A
/B)が10〜90/90〜10であり、フィルムが紫
外線によって処理され、フィルムの端裂抵抗が10〜8
0Nであることを特徴とする手切れ性に優れたポリエス
テル二軸延伸フィルム。 (2)少なくとも1種以上のポリオキシアルキレングリ
コール成分が0.5〜5モル%共重合されたポリエステ
ルAと、ポリオキシアルキレングリコール成分を含有せ
ずポリエチレンテレフタレートを主成分とするポリエス
テルBとからなり、ポリエステルAとポリエステルBと
の質量比(A/B)が10〜90/90〜10である混
合ポリエステル二軸延伸フィルムを、下記式を満たす
条件下で紫外線により処理することを特徴とする(1)
記載の手切れ性に優れた二軸延伸ポリエステルフィルム
の製造方法。 Tg≦T≦Tm−5 (ただし、Tg:混合ポリエステルのガラス転移温度
(℃)、T:紫外線照射時のフィルム温度(℃)、T
m:混合ポリエステルの示す最も低い融点(℃)であ
る。)
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明について詳細に説明
する。
【0015】本発明においてポリエステルAは、共重合
成分として少なくとも1種以上のポリオキシアルキレン
グリコール成分が、0.5〜5モル%、好ましくは0.
5〜3モル%共重合されていることを必要とする。共重
合量がこれより少ない場合は紫外線を照射した際に十分
な手切れ性が得られず、これより多い場合はポリエステ
ルのガラス転移温度や結晶性が低下しすぎ、ハンドリン
グ性が悪化するため好ましくない。
【0016】このようなポリオキシアルキレンエーテル
としては、ポリエチレングリコール、ポリプロピレング
リコール、ポリ1,3−ブチレングリコール、ポリ1,
4−ブチレングリコール、ポリ1,6−ヘキサメチレン
グリコールなどが挙げられる。これらのポリオキシアル
キレングリコールは単独で共重合されていてもよいし、
2種以上の混合物として共重合されていてもよい。また
これらのポリオキシアルキレングリコールは単独重合体
であってもよいし、2種以上の任意のオキシアルキレン
グリコールの共重合体であってもよい。本発明に用いら
れるポリオキシアルキレングリコールの分子量に特に制
限はないが、通常100〜6000、好ましくは200
〜4000、さらに好ましくは400〜2000のもの
が用いられる。
【0017】本発明においてポリエステルAは、少なく
とも1種以上のポリオキシアルキレングリコール成分が
共重合され、フィルム形成性を有するポリエステルであ
ればどのようなものであってもよい。たとえばポリエチ
レンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−
ナフタレートなどが挙げられる。これらポリエステルは
本発明の効果を阻害しない範囲で、ポリオキシアルキレ
ングリコール成分以外の共重合成分を含んでいてもよ
い。用いられる共重合成分としては、テレフタル酸、イ
ソフタル酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン
酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コ
ハク酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイ
マー酸、無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イ
タコン酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸などのジカルボン酸があげられる。また、
4−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸な
どのオキシカルボン酸があげられる。さらに、ネオペン
チルグリコール、1,6−へキサンジオール、シクロヘ
キサンジメタノールなどのグリコールがあげられる。ま
た、トリメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸な
どの3官能以上のカルボン酸や、トリメチロールプロパ
ン、グリセリン、ペンタエリスリトールなどの3官能以
上のアルコールが共重合されていてもよい。
【0018】本発明においてポリエステルAは本発明の
効果を阻害しない範囲で、他の高分子成分を含んでいて
もよい。このような高分子成分としては、例えばポリエ
ステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリオレフィン
エラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミド
エラストマーなどが挙げられる。
【0019】ポリエステルAの25℃、フェノール/
1,1,2,2−テトラクロロエタン溶媒中での固有粘
度には特に制限はないが、通常0.5〜0.9のものが
用いられる。これより固有粘度が小さいと押出成形工程
において溶融粘度が低下しすぎるため好ましくなく、固
有粘度がこれより大きいと逆に溶融粘度が増加しすぎる
ため好ましくない。
【0020】本発明においてポリエステルBは、エチレ
ングリコール残基とテレフタル酸残基を主骨格とするポ
リエステル、すなわちポリエチレンテレフタレートを主
成分とし、ポリオキシアルキレングリコール成分を含有
せず、かつフィルム形成性を有するポリエステルである
ことが必要である。
【0021】本発明においてポリエステルBは本発明の
効果を阻害しない範囲で、ポリオキシアルキレングリコ
ール成分以外の共重合成分を含んでいてもよい。用いら
れる共重合成分としては、テレフタル酸、イソフタル
酸、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、5−
ナトリウムスルホイソフタル酸、シュウ酸、コハク酸、
アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、ダイマー酸、
無水マレイン酸、マレイン酸、フマール酸、イタコン
酸、シトラコン酸、メサコン酸、シクロヘキサンジカル
ボン酸などのジカルボン酸があげられる。また、4−ヒ
ドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトン、乳酸などのオ
キシカルボン酸があげられる。さらに、ネオペンチルグ
リコール、1,6−へキサンジオール、シクロヘキサン
ジメタノールなどのグリコールがあげられる。また、ト
リメリット酸、トリメシン酸、ピロメリット酸などの3
官能以上のカルボン酸や、トリメチロールプロパン、グ
リセリン、ペンタエリスリトールなどの3官能以上のア
ルコールが共重合されていてもよい。これらの共重合成
分はそれぞれ単独で用いてもよいし、2種以上を混合し
て用いてもよい。
【0022】本発明においてポリエステルBは本発明の
効果を阻害しない範囲で、他の高分子成分を含んでいて
もよい。このような高分子成分としては、例えばポリエ
ステル、ポリアミド、ポリオレフィン、ポリオレフィン
エラストマー、ポリエステルエラストマー、ポリアミド
エラストマーなどが挙げられる。
【0023】ポリエステルBの25℃、フェノール/
1,1,2,2−テトラクロロエタン溶媒中での固有粘
度には特に制限はないが、通常0.5〜0.9のものが
用いられる。これより固有粘度が小さいと押出成形工程
において溶融粘度が低下しすぎるため好ましくなく、固
有粘度がこれより大きいと逆に溶融粘度が増加しすぎる
ため好ましくない。
【0024】本発明のポリエステル二軸延伸フィルム
は、ポリエステルAとポリエステルBの混合物からな
り、ポリエステルAとポリエステルBとの質量比(A/
B)が10〜90/90〜10であることが必要であ
る。骨格中に存在するポリオキシアキレングリコール成
分が紫外線によって強い作用を受けるポリエステルAと
紫外線による作用が比較的小さいポリエステルBとの質
量比がこの範囲であると、手切れ性を有しつつ、力学的
特性が長期的に安定したフィルムを得ることができる。
ポリエステルAの質量比がこの範囲より大きいと、経時
的な力学的特性の低下が大きいため好ましくない。ポリ
エステルAの質量比がこれより小さいと、紫外線を照射
した際に十分な手切れ性を得ることができないため好ま
しくない。
【0025】本発明のポリエステル二軸延伸フィルム
は、本発明の効果を阻害しない範囲で、各種公知の添加
剤、たとえば高分子、スリップ剤、無機フィラー、酸化
防止剤、帯電防止剤を含んでいてもよい。スリップ剤は
フィルムのアンチブロッキング性、透明性の観点から、
平均粒子径0.1〜4μmの不活性粒子、たとえばシリ
カなどを0.005〜1.0質量%、好ましくは0.0
1〜0.5質量%添加することが好ましい。
【0026】本発明のポリエステル二軸延伸フィルム
は、上記ポリエステルAとBの混合物を任意の公知の方
法で二軸延伸した後、特定の条件下で紫外線を照射する
ことにより得られる。本発明のポリエステル二軸延伸フ
ィルムを延伸する際には公知の任意の方法、たとえばテ
ンター同時二軸延伸法、ロールとテンターによる逐次二
軸延伸方法、あるいはチューブラー延伸法などが用いら
れる。
【0027】本発明のポリエステル二軸延伸フィルム製
造方法の一例としてたとえば以下の方法が挙げられる。
すなわち単軸押出機により融点以上の温度に加熱溶融さ
れたポリエステルAとBの混合物をTダイのダイオリフ
ィスからシート状に吐出した後、室温近辺の温度に保持
された冷却ドラムに密着して冷却固化する。続いて、得
られた未延伸シートを所定の温度および延伸倍率で二軸
延伸する。延伸は通常75℃〜140℃の範囲で行い、
延伸倍率は通常、縦横それぞれ2.0〜5.0倍が好ま
しい。二軸延伸されたフィルムは、続いて所定の温度で
熱処理される。熱処理は通常160℃〜230℃で行う
ことが好ましい。
【0028】本発明のポリエステル二軸延伸フィルムに
は、本発明の効果を妨げない範囲においてコロナ放電処
理、表面効果処理、メッキ処理、着色処理、あるいは各
種コーティング処理による表面処理を付与することがで
きる。
【0029】本発明における紫外線処理方法は、フィル
ムの手切れ性が本発明に規定された範囲になるように照
射温度、照射時間、照度、光源の波長を調節して行うこ
とを特徴とする。具体的には、上記方法により得られた
二軸延伸フィルムに紫外線を照射する際には下記式の
条件範囲で照射することが好ましい。 Tg≦T≦Tm−5 (ただし、Tg:混合ポリエステルのガラス転移温度
(℃)、T:紫外線照射時のフィルム温度(℃)、T
m:混合ポリエステルの示す最も低い融点(℃)であ
る。)
【0030】紫外線照射時のフィルム温度Tが、混合ポ
リエステルのガラス転移点Tgより低いと良好な手切れ
性が発現するまでの紫外線照射時間が非常に長くなり、
従って工業生産的な見地から好ましくない。またTが混
合ポリエステルの示す最も低い融点Tmより5℃低い温
度以上であると、フィルムの融解や白化が発生するため
好ましくない。式の範囲内においてTは可能な限り高
い方が紫外線の照射時間を短縮できるため好ましい。
【0031】本発明において紫外線の照度に特に制限は
ないが、通常100mW/cm2以上、好ましくは20
0mW/cm2以上、さらに好ましくは300mW/c
2以上の照度が好ましい。照度が小さすぎると良好な
手切れ性が発現するまでの紫外線照射時間が長くなり、
従って工業生産的な見地から好ましくない。紫外線の照
度は可能な限り大きい方が照射時間を短縮できるために
好ましい。紫外線の照射時間には特に制限はないが、通
常0.05〜300秒、好ましくは0.05〜150
秒、さらに好ましくは0.05〜100秒程度が望まし
い。なお、本発明において紫外線の照度とは波長360
nmを中心波長とし、±40nmの波長範囲に含まれる
紫外線の照度(mW/cm2)のことを指す。
【0032】本発明において紫外線照射に用いられる光
源としては、公知の任意の光源を用いることができる。
照射により十分な効果を得るためには、波長400nm
以下の紫外線を多く含む光源を用いるのが好ましい。こ
のような光源としては、高圧、または低圧水銀ランプ、
メタルハライドランプなどが挙げられる。また光源に用
いられるランプは有電極でも無電極でもよい。特に無電
極タイプの光源は、紫外線発光効率やランプ寿命の観点
から望ましい。
【0033】本発明においてポリエステル二軸延伸フィ
ルムの紫外線処理は、延伸後のフィルムに対して行われ
る。たとえばテンター式延伸法において延伸後のテンタ
ー熱処理行程においてインライン処理する方法や、延
伸、熱処理後に一旦ロール上に巻き取って後、本発明に
規定された条件においてオフライン処理を施してもよ
い。
【0034】本発明の方法により得られたポリエステル
フィルムはJIS C 23186.3.4項に準じて
測定された端裂抵抗の平均値を10〜80N、好ましく
は10〜60Nとすることが可能となる。端裂抵抗が大
きすぎると、十分な手切れ性が得られなくなるため好ま
しくない。また端裂抵抗は小さいほど良好な手切れ性を
示すが、あまりに小さいとフィルムの2次加工などの際
にフィルム切断などが起こるため好ましくない。
【0035】本発明により得られるポリエステルフィル
ムの厚みに特に制限はなくフィルムの端裂抵抗が10〜
80Nであればよい。通常は5〜80μm、好ましくは
8〜50μmのものが、フィルムの力学的特性と手切れ
性のバランスから見て好ましい。フィルムがこれより薄
いとフィルムのハンドリング性が低下しすぎるため好ま
しくない。フィルムがこれより厚いと経済的に見て好ま
しくない。
【0036】
【実施例】以下、実施例によって本発明を具体的に説明
する。評価に用いた測定方法は、次の通りである。 (端裂抵抗の測定)端裂抵抗は、JIS C 2318
6.3.4項に準じて測定した。 (紫外線照度の測定)ウシオ電機社製UVD−S365
を用いて測定した。 (固有粘度の測定)フェノール/テトラクロロエタンの
質量混合比が1/1の溶媒を使用し、濃度0.5g/d
l、測定温度25℃の条件下において、ウベローデ型粘
度計を使用して測定した。 (手切れ性の測定)ノッチを有さないフィルムの端部を
実際に手で引き裂いた際に、20μmのセロファンフィ
ルムと同様に容易に手で引き裂けるものを○、抵抗が強
く手で容易に引き裂けないものを×として評価した。
【0037】実施例及び比較例において用いた原料は以
下の通りである。 (PET)ユニチカ社製 ポリエチレンテレフタレート
樹脂、固有粘度0.67、Tg75℃、Tm255℃。 (共重合ポリエステルA−1)以下に共重合ポリエステ
ル樹脂A−1の製造例を示す。PETオリゴマーの存在
するエステル化反応缶にテレフタル酸とエチレングリコ
ールとのモル比1/1.6のスラリーを連続的に供給
し、温度250℃、圧力0.1MPaG、滞留時間8時
間の条件で、エステル化反応を行い、平均重合度7.5
のPETオリゴマーを連続的に得た。このPETオリゴ
マー57.3kgを重縮合反応缶に移送し、平均分子量
600のポリエチレングリコール(PEG)を2.4k
gと、抗酸化剤として「イルガノックス1010」(日
本チバガイギー社製、ヒンダードフェノール系抗酸化
剤)を60g添加し、常圧下、260℃の温度で60分
攪拌混合した。その後、ポリエステルの全酸成分1モル
に対して、2×10-4モルの三酸化アンチモンと、1.
7×10-4モルのリン酸トリエチルをそれぞれ添加し、
重縮合反応缶内の温度を30分間で280℃に昇温し、
圧力を徐々に減じて60分後に1.2hPa以下とし
た。この条件で、攪拌しながら4時間重縮合反応を行っ
た後、払い出してペレット化した。得られたペレットを
120℃、減圧化で結晶化および乾燥を行い、共重合ポ
リエステルA−1を作製した。得られた共重合ポリエス
テルA−1は、ポリエチレングリコールの共重合比1.
32モル%、固有粘度0.79、Tg59℃、Tm24
8℃であった。
【0038】なお、以下の実施例、比較例においては、
紫外線照射装置としてFusionUVシステムズジャ
パン社製、F450(バルブタイプD)を使用した。
【0039】実施例1〜3、比較例1〜2 共重合ポリエステル樹脂A−1およびPETからなり、
表1に示した質量比の混合ポリエステル樹脂を、コート
ハンガータイプのTダイを具備した50mmφ押出機を
使用して、滞留時間5分、樹脂温度270℃で溶融押出
し、20℃に温調されたキャストロールにピニングワイ
ヤーに7kVの印加電圧をかけて密着急冷し、6m/m
inの速度で厚さ170μmの未延伸シートを得た。得
られた未延伸シートをロール縦延伸機で90℃、3.4
倍、テンター横延伸機で120℃、4.2倍に延伸した
後、横方向の弛緩率を3%として220℃で熱処理を施
した後、室温まで冷却、巻き取り機にてロール状に巻き
取った。得られた二軸延伸フィルムの厚さは約12μm
であった。熱風炉内で二軸延伸フィルムを表1に示す温
度条件に保ちながら、同じく表1に示す条件で紫外線照
射した。得られたフィルムについて、製膜直後、2週間
後、および4週間後のMD及びTD方向の端裂抵抗を測
定した。また製膜直後のフィルムについて、手切れ性の
評価を行った。
【0040】実施例4 共重合ポリエステル樹脂A−1およびPETの質量比が
90/10である混合ポリエステル樹脂を用い、実施例
1と同様の方法により厚さ170μmの未延伸フィルム
を作製した。得られた未延伸シートをロール縦延伸機で
90℃、3.4倍、テンター横延伸機で120℃、4.
2倍に延伸した後、横方向の弛緩率を3%として220
℃で熱処理を施しつつ、熱処理ゾーン内に設置された紫
外線照射装置により、表1に示す照射条件でインライン
紫外線照射を行った。続いてフィルムを室温まで冷却、
巻き取り機にてロール状に巻き取った。得られたフィル
ムの厚さは約12μmであった。得られたフィルムにつ
いて、製膜直後、2週間後、および4週間後のMD及び
TD方向の端裂抵抗を測定した。また製膜直後のフィル
ムについて、手切れ性の評価を行った。
【0041】
【表1】
【0042】表1に示したように、本発明のポリエステ
ル二軸延伸フィルムは適度にコントロールされた端裂抵
抗値および手切れ性を有する。さらに比較例2のように
共重合ポリエステルAのみを用いた場合は紫外線照射後
の力学的特性の経時的低下が見られるのに対し、本発明
のフィルムでは、このような力学特性の低下が抑制され
ている。
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、食品をはじめとする、
医薬品、日用品、コスメティックスなどの包装材料や粘
着テープとして有用な、手切れ性に優れかつ力学的強度
が経時的に低下しないフィルムを、工業的かつ容易に提
供することが可能である。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも1種以上のポリオキシアルキ
    レングリコール成分が0.5〜5モル%共重合されたポ
    リエステルAと、ポリオキシアルキレングリコール成分
    を含有せずポリエチレンテレフタレートを主成分とする
    ポリエステルBとからなる混合ポリエステル二軸延伸フ
    ィルムであり、ポリエステルAとポリエステルBとの質
    量比(A/B)が10〜90/90〜10であり、フィ
    ルムが紫外線によって処理され、フィルムの端裂抵抗が
    10〜80Nであることを特徴とする手切れ性に優れた
    ポリエステル二軸延伸フィルム。
  2. 【請求項2】 少なくとも1種以上のポリオキシアルキ
    レングリコール成分が0.5〜5モル%共重合されたポ
    リエステルAと、ポリオキシアルキレングリコール成分
    を含有せずポリエチレンテレフタレートを主成分とする
    ポリエステルBとからなり、ポリエステルAとポリエス
    テルBとの質量比(A/B)が10〜90/90〜10
    である混合ポリエステル二軸延伸フィルムを、下記式
    を満たす条件下で紫外線により処理することを特徴とす
    る請求項1記載の手切れ性に優れた二軸延伸ポリエステ
    ルフィルムの製造方法。 Tg≦T≦Tm−5 (ただし、Tg:混合ポリエステルのガラス転移温度
    (℃)、T:紫外線照射時のフィルム温度(℃)、T
    m:混合ポリエステルの示す最も低い融点(℃)であ
    る。)
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