JPH09150492A - 金属板ラミネート用積層フイルム - Google Patents

金属板ラミネート用積層フイルム

Info

Publication number
JPH09150492A
JPH09150492A JP24799596A JP24799596A JPH09150492A JP H09150492 A JPH09150492 A JP H09150492A JP 24799596 A JP24799596 A JP 24799596A JP 24799596 A JP24799596 A JP 24799596A JP H09150492 A JPH09150492 A JP H09150492A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
polyester
laminated film
film
acid
metal plates
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP24799596A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3757488B2 (ja
Inventor
Masahiro Kimura
将弘 木村
Kozo Takahashi
弘造 高橋
Koichi Abe
晃一 阿部
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toray Industries Inc
Original Assignee
Toray Industries Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toray Industries Inc filed Critical Toray Industries Inc
Priority to JP24799596A priority Critical patent/JP3757488B2/ja
Publication of JPH09150492A publication Critical patent/JPH09150492A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3757488B2 publication Critical patent/JP3757488B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Laminated Bodies (AREA)
  • Shaping By String And By Release Of Stress In Plastics And The Like (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【構成】エチレンテレフタレートまたはエチレンナフタ
レートを主たる構成成分とするポリエステルAからなる
A層とポリエステルB1と炭素数10以上のアルキレン
基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸成分を共重合したポ
リエステルB2を主成分とするB層とからなる積層フィ
ルムであって、炭素数10以上のアルキレン基を有する
長鎖脂肪族ジカルボン酸成分がB層中に2〜20重量%
含有していることを特徴とする金属板ラミネート用積層
フイルム。 【効果】本発明の金属板ラミネート用積層フィルムは缶
などに成形する際の成形性に優れているだけでなく、耐
衝撃性、味特性に優れた特性を有し、成形加工によって
製造される金属缶に好適に使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属板ラミネート用
フイルムに関するものである。更に詳しくは成形性、耐
衝撃性、味特性に優れ、成形加工によって製造される金
属缶に好適な金属板ラミネート用積層フイルムに関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】従来、金属缶の缶内面及び外面は腐食防
止を目的として、エポキシ系、フェノ−ル系等の各種熱
硬化性樹脂を溶剤に溶解または分散させたものを塗布
し、金属表面を被覆することが広く行われてきた。しか
しながら、このような熱硬化性樹脂の被覆方法は塗料の
乾燥に長時間を要し、生産性が低下したり、多量の有機
溶剤による環境汚染など好ましくない問題がある。
【0003】これらの問題を解決する方法として、金属
缶の材料である鋼板、アルミニウム板あるいは該金属板
にめっき等各種の表面処理を施した金属板にフイルムを
ラミネ−トする方法がある。そして、フイルムのラミネ
−ト金属板を絞り成形やしごき成形加工して金属缶を製
造する場合、フイルムには次のような特性が要求され
る。
【0004】(1)金属板との接着性に優れているこ
と。 (2)成形性に優れ、成形後にピンホールなどの欠陥を
生じないこと。 (3)金属缶に対する衝撃によって、ポリエステルフイ
ルムが剥離したり、クラック、ピンホールが発生したり
しないこと。 (4)缶の内容物の香り成分がフイルムに吸着したり、
フイルムの臭いによって内容物の風味がそこなわれない
こと(以下味特性と記載する)。
【0005】これらの要求を解決するために多くの提案
がなされており、例えば特開昭64−22530号公報
には特定の密度、面配向係数を有するポリエステルフイ
ルム、特開平2−57339号公報には特定の結晶性を
有する共重合ポリエステルフイルム等が開示されてい
る。さらに、最近では耐衝撃性を向上させるためにポリ
ブチレンテレフタレート成分を混合する方法が特開平5
−156040号、特開平6−218895号、特開平
7−145252号など、特開平7−47650号には
炭素数10以上の脂肪族ジカルボン酸残基を共重合した
ポリエステルを積層する方法が開示されている。しかし
ながら、これらの提案は上述のような多岐にわたる要求
特性を総合的に満足できるものではなく、特に耐衝撃
性、成形性を両立する点に対しては十分に満足できるレ
ベルにあるとは言えなかった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は上記し
た従来技術の問題点を解消することにあり、成形性、耐
衝撃性に優れ成形加工によって製造される金属缶に好適
な金属板ラミネート用積層フイルムを提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記した本発明の目的
は、エチレンテレフタレートまたはエチレンナフタレー
トを主たる構成成分とするポリエステルAからなるA層
と、ポリエステルB1と炭素数10以上のアルキレン基
を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸成分を共重合したポリ
エステルB2を主成分とするB層とからなる積層フィル
ムであって、炭素数10以上のアルキレン基を有する長
鎖脂肪族ジカルボン酸成分がB層中に2〜20重量%含
有していることを特徴とする金属板ラミネート用積層フ
イルムによって達成することができる。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明では、ポリエステルに特
定、適量の長鎖脂肪族ジカルボン酸成分を含有させた層
をエチレンテレフタレートまたはエチレンナフタレート
を主たる構成成分とするポリエステルに積層したフィル
ムを得ることにより、金属にラミネート後、良好な成形
性を有することから高倍率に成形・製缶させることが可
能となるだけでなく、製缶工程での熱処理、製缶後のレ
トルト処理などの多くの熱履歴を受けても良好な耐衝撃
性が得られることを見いだしたものであり、特に高成形
性、耐衝撃性を両立する点では従来技術に比べて非常に
大きいものである。
【0009】本発明におけるポリエステルとは、ジカル
ボン酸成分とグリコ−ル成分からなるポリマであり、ジ
カルボン酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフ
タル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボ
ン酸、ジフェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシ
エタンジカルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル
酸、フタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸、コハ
ク酸、アジピン酸、セバシン酸、ダイマ−酸、マレイン
酸、フマル酸等の脂肪族ジカルボン酸、シクロヘキサン
ジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸、p−オキシ安息
香酸等のオキシカルボン酸等を挙げることができる。な
かでもこれらのジカルボン酸成分のうち、テレフタル
酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸が耐衝撃
性、味特性の点から好ましい。一方、グリコ−ル成分と
しては例えばエチレングリコ−ル、プロパンジオ−ル、
ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘキサンジオ−
ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グリコ−ル、シ
クロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリコール、ビス
フェノールA、ビスフェノールS等の芳香族グリコー
ル、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコールな
どのポリオキシエチレングリコール等が挙げられる。中
でもこれらのグリコール成分のうちエチレングリコール
が耐衝撃性、味特性の点から好ましい。なお、これらの
ジカルボン酸成分、グリコ−ル成分は2種以上を併用し
てもよい。
【0010】また、本発明の効果を阻害しない限りにお
いて、共重合ポリエステルにトリメリット酸、トリメシ
ン酸、トリメチロ−ルプロパン等の多官能化合物を共重
合してもよい。
【0011】本発明におけるエチレンテレフタレートま
たはエチレンナフタレートを主たる構成成分とするポリ
エステルAとは、繰り返し単位の80モル%以上がエチ
レンテレフタレートまたはエチレンナフタレート単位で
あるポリエステルを言い、さらに好ましくは85モル%
以上であると味特性が向上するので望ましい。
【0012】本発明において、ポリエステルAとポリエ
ステルB1は同一であっても、異なる組成であっても特
に限定されない。さらに、ポリエステルB1はフィルム
の回収性の点でポリエステルA成分が含有されていても
良く、さらにエステル交換などにより共重合されていて
もよい。好ましくはポリエステルAの融点とポリエステ
ルB1の融点差が30℃以内である場合、成形、熱処理
工程での層間のずれが小さくなるので望ましい。
【0013】本発明における炭素数10以上のアルキレ
ン基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸としては、ドデカ
ジオン酸、ブラシル酸、テトラデカジオン酸、ペンタデ
カジオン酸、ヘキサデカジオン酸、ヘプタデカジオン
酸、オクタデカジオン酸、ノナデカジオン酸、エイコサ
ンジオン酸、ヘネイコサンジオン酸、ドコサンジオン
酸、トリコサンジオン酸、テトラコサンジオン酸、ペン
タコサンジオン酸、ヘキサコサンジオン酸、ヘプタコサ
ンジオン酸、オクタコサンジオン酸、ノナコサンジオン
酸、トリアコンタンジオン酸およびそれらのエステル形
成性誘導体、炭素数10〜25の不飽和脂肪酸を二量化
して得られるダイマー酸及びその水添体、およびそのエ
ステル形成性誘導体等を挙げることができる。
【0014】特にダイマー酸成分を含有するものは、成
形性、耐衝撃性に優れるので好ましい。
【0015】本発明では耐衝撃性、成形性を良好にする
上で、ポリエステルB1とポリエステルB2を主構成成
分とするB層において上記炭素数10以上のアルキレン
基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸成分を2〜20重量
%含有させることが必要である。さらに味特性を良好に
する点では炭素数10以上のアルキレン基を有する長鎖
脂肪族ジカルボン酸成分を2〜15重量%、特に2〜1
0重量%含有させることが好ましい。
【0016】本発明におけるポリエステルB2は、上記
に示した炭素数10以上のアルキレン基を有する長鎖脂
肪族ジカルボン酸成分を含有しており、他のジカルボン
酸成分としては、例えばテレフタル酸、イソフタル酸、
ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、ジ
フェニルスルホンジカルボン酸、ジフェノキシエタンジ
カルボン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、フタ
ル酸等の芳香族ジカルボン酸、その他脂肪族ジカルボン
酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン
酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸等を挙げ
ることができる。なかでもこれらのジカルボン酸成分の
うち、テレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカル
ボン酸が耐衝撃性、味特性の点から好ましい。一方、グ
リコ−ル成分としては例えばエチレングリコ−ル、プロ
パンジオ−ル、ブタンジオ−ル、ペンタンジオ−ル、ヘ
キサンジオ−ル、ネオペンチルグリコ−ル等の脂肪族グ
リコ−ル、シクロヘキサンジメタノ−ル等の脂環族グリ
コール、ビスフェノールA、ビスフェノールS等の芳香
族グリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレング
リコールなどのポリオキシエチレングリコール等が挙げ
られる。中でもこれらのグリコール成分のうちエチレン
グリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール
が耐衝撃性、味特性の点から好ましく、特にブタンジオ
ール成分を使用するとレトルト処理後の耐衝撃性が良好
となるので好ましい。なお、これらのジカルボン酸成
分、グリコ−ル成分はそれぞれ2種以上を併用してもよ
い。また、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、共
重合ポリエステルにトリメリット酸、トリメシン酸、ト
リメチロ−ルプロパン等の多官能化合物を共重合しても
よい。
【0017】ポリエステルB2中の炭素数10以上のア
ルキレン基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸成分は、耐
熱性、味特性、耐衝撃性の点で好ましくは5〜50重量
%、さらに好ましくは10〜40重量%、特に好ましく
は15〜40重量%である。
【0018】積層比としては、A層厚み/B層厚みが1
/20〜20/1であることが好ましく、A層の厚みが
1μm以上であることが味特性の点で望ましい。フィル
ム厚みとしては、5〜60μmとすることが好ましく、
さらに好ましくは、8〜50μm、特に好ましくは10
〜30μmである。
【0019】本発明では、好ましくはポリエステルB1
とポリエステルB2が重量比で、40:60〜95:5
が好ましく、さらに60:40〜95:5の割合で配合
されてなることが好ましい。
【0020】また、ポリエステルB2とポリエステルB
1は完全または部分的にエステル交換されていてもよ
く、ほとんどエステル交換が行われてなくてもよい。ポ
リエステルB1中にポリエステルB2成分が微分散して
いると味特性、耐衝撃性、成形性が良好となるので好ま
しい。
【0021】ポリエステルB2成分の平均分散径(円相
当径)が好ましくは0.001〜10μm、好ましくは
0.003〜3μm、特に好ましくは0.01〜2μm
であると成形時の大きな空隙の発生が抑えられ味特性が
良好となるので好ましい。ここで、分散径は、例えばフ
ィルム断面を切断し厚さ0.1〜1μm程度の超薄切片
を作成し、透過型電子顕微鏡を用いて倍率5000〜2
0000程度で写真(長手方向25cm×厚み方向20
cmを10枚)を撮影し、ポリエステルB1中に分散し
たポリエステルB2成分の径を円相当面積として測定す
る。その後、各分散成分について測定し数平均して求め
た。なお、フィルムは熱処理、染色処理後に測定しても
良い。
【0022】さらに、耐衝撃性と味特性を良好にする点
で、ポリエステルB2の分散径比がXが下式を満足する
ことが好ましい。
【0023】1<X≦100 X=(D1+D2)/2D3 D1:長手方向の平均長さ(μm) D2:幅方向の平均長さ(μm) D3:厚さ方向の平均長さ(μm)
【0024】さらに好ましくは1<X≦50である。分
散径比が小さすぎたり、大きすぎるとボイドを形成し味
特性が低下することがある。
【0025】上記の分散径、分散径比をコントロールす
る方法は特に限定されないが、スクリューのメタリング
部にミキシング構造を設ける方法、例えばダルメージス
クリュー、ユニメルトスクリュー、ピンスクリュー、B
Mスクリュー、ウエーブスクリュー、HMスクリュー、
DISスクリュー、多条ピンスクリューなどのように剪
断力を高め混練性を大きくする方法、二軸押出機による
押出、さらに二軸押出機のスクリューに予め混練に適し
たスクリューディメンジョン(例えばポリマをある程度
長く滞留させる部分を設定しそこでローターなどの混練
性の高い形状を持ったもので練る方法)を設ける方法、
製膜時の延伸、熱処理条件を適正化する方法などが用い
られる。
【0026】さらに、本発明において缶底の耐衝撃性を
良好にする上で、フィルムを二軸延伸することが好まし
い。そして、成形性、耐衝撃性のバランスの点で面配向
係数が0.05〜0.14であることが好ましく、さら
に好ましくは0.05〜0.12であることが望まし
い。
【0027】味特性を良好にする上で、ポリエステル中
のアセトアルデヒドの含有量を好ましくは30ppm以
下、さらに好ましくは25ppm以下、特に好ましくは
20ppm以下が望ましい。アセトアルデヒドの含有量
が30ppmを越えると味特性に劣る。ポリエステル中
のアセトアルデヒドの含有量を30pm以下とする方法
は特に限定されるものではないが、例えばポリエステル
を重縮反応等で製造する際の熱分解によって生じるアセ
トアルデヒドを除去するため、ポリエステルを減圧下あ
るいは不活性ガス雰囲気下において、ポリエステルの融
点以下の温度で熱処理する方法、好ましくはポリエステ
ルを減圧下あるいは不活性ガス雰囲気下において150
℃以上、融点以下の温度で固相重合する方法、ベント式
押出機を使用して溶融押出する方法、ポリエステルを溶
融押出する際に押出温度を融点+30℃以内、好ましく
は融点+25℃以内で、短時間で押出す方法等を挙げる
ことができる。
【0028】また、本発明において特に耐衝撃性、味特
性を良好にするためには、好ましくはポリエステルの固
有粘度が0.65以上、さらに好ましくは固有粘度が
0.70以上、特に好ましくは固有粘度が0.75以上
であると、ポリマ分子鎖の絡み合い密度が高まるためと
考えられるが耐衝撃性、味特性をさらに向上させること
ができるので好ましい。
【0029】本発明の積層フィルムが飲料、食缶用途に
使用される場合、ポリエステルAは、味特性の点でゲル
マニウム元素を1〜500ppm含有することが好まし
く、さらに好ましくは5〜300ppm、特に好ましく
は10〜100ppmである。ゲルマニウム元素量が1
ppm未満であると味特性向上の効果が十分でなく、ま
た500ppmを越えると、ポリエステル中に異物が発
生し耐衝撃性が悪化したり、味特性を悪化してしまう。
本発明のポリエステルは、ポリエステル中にゲルマニウ
ム元素の前記特定量を含有させることにより味特性を向
上させることができる。ゲルマニウム元素をポリエステ
ルに含有させる方法は従来公知の任意の方法を採用する
ことができ特に限定されないが、通常ポリエステルの製
造が完結する以前の任意の段階において、重合触媒とし
てゲルマニウム化合物を添加することが好ましい。この
ような方法としては例えば、ゲルマニウム化合物の粉体
をそのまま添加する方法や、あるいは特公昭54−22
234号公報に記載されているように、ポリエステルの
出発原料であるグリコ−ル成分中にゲルマニウム化合物
を溶解させて添加する方法等を挙げることができる。ゲ
ルマニウム化合物としては、例えば二酸化ゲルマニウ
ム、結晶水含有水酸化ゲルマニウム、あるいはゲルマニ
ウムテトラメトキシド、ゲルマニウムテトラエトキシ
ド、ゲルマニウムテトラブトキシド、ゲルマニウムエチ
レングリコキシド等のゲルマニウムアルコキシド化合
物、ゲルマニウムフェノレ−ト、ゲルマニウムβ−ナフ
トレ−ト等のゲルマニウムフェノキシド化合物、リン酸
ゲルマニウム、亜リン酸ゲルマニウム等のリン含有ゲル
マニウム化合物、酢酸ゲルマニウム等を挙げることがで
きる。中でも二酸化ゲルマニウムが好ましい。
【0030】本発明のポリエステルの製造は、従来公知
の任意の方法を採用することができ、特に限定されるも
のではない。例えばポリエチレンテレフタレ−トにイソ
フタル酸成分を共重合し、ゲルマニウム化合物として二
酸化ゲルマニウムを添加する場合で説明する。テレフタ
ル酸成分、イソフタル酸成分とエチレングリコ−ルをエ
ステル交換またはエステル化反応せしめ、次いで二酸化
ゲルマニウム、リン化合物を添加し、引き続き高温、減
圧下で一定のジエチレングリコール含有量になるまで重
縮合反応せしめ、ゲルマニウム元素含有重合体を得る。
次いで得られた重合体をその融点以下の温度において減
圧下または不活性ガス雰囲気下で固相重合反応せしめ、
アセトアデルヒドの含有量を減少させ、所定の固有粘
度、カルボキシル末端基を得る方法等を挙げることがで
きる。
【0031】本発明のポリエステルを製造する際には、
従来公知の反応触媒、着色防止剤を使用することがで
き、反応触媒としては例えばアルカリ金属化合物、アル
カリ土類金属化合物、亜鉛化合物、鉛化合物、マンガン
化合物、コバルト化合物、アルミニウム化合物、アンチ
モン化合物、チタン化合物等、着色防止剤としては例え
ばリン化合物等挙げることができる。
【0032】本発明において、ポリエステルA、B1、
B2は、触媒、ジエチレングリコール量、カルボキシル
末端基量は異なっていてもよい。ポリマを回収する場合
は、B層に回収することが味特性の点で好ましい。
【0033】本発明では、A層を抽出面として、120
℃、30分水に浸せきさせた時の抽出成分のTOC計で
測定されるTOC量が5ppm以下であることが、缶の
長期保存性の点で好ましく、さらに好ましくは3ppm
以下であることが望ましい。ここで、上記TOC量を達
成する方法としては、アセトアルデヒドを低減させる方
法、積層フィルムのA層の厚みを大きくする方法、延
伸、熱処理条件を適正化する方法が挙げられる。特に熱
処理温度を融点−5℃以上にした際にはTOC量が大き
くなる傾向があるので、融点−5℃未満で熱処理するこ
とが好ましい。
【0034】また、本発明のポリエステルはフイルムの
取扱い性、加工性を向上させるために、平均粒子径0.
01〜5μmの公知の内部粒子、無機粒子および/また
は有機粒子などの外部粒子の中から任意に選定されるが
0.01〜10重量%含有されていることが好ましく、
さらには平均粒子径0.1〜3μmの無機粒子および/
または有機粒子が0.01〜3重量%含有されているこ
とが好ましい。10μmを越える平均粒子径を有する粒
子を使用するとフィルムの欠陥が生じ易くなるので好ま
しくない。無機粒子および/または有機粒子としては、
例えば湿式および乾式シリカ、コロイド状シリカ、酸化
チタン、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、硫酸バリ
ウム、アルミナ、マイカ、カオリン、クレ−等の無機粒
子およびスチレン、シリコ−ン、アクリル酸類等を構成
成分とする有機粒子等を挙げることができる。なかでも
湿式および乾式コロイド状シリカ、アルミナ等の無機粒
子およびスチレン、シリコーン、アクリル酸、メタクリ
ル酸、ポリエステル、ジビニルベンゼン等を構成成分と
する有機粒子等を挙げることができる。これらの無機粒
子および/または有機粒子は二種以上を併用してもよ
い。
【0035】粒子はA層、B層のいずれに添加しても良
い。A層の中心線平均粗さRaが好ましくは0.005
〜0.08μm、さらに好ましくは0.008〜0.0
6μmである。さらに、最大粗さRt/Raが5〜5
0、好ましくは8〜40であると高速製缶性が向上す
る。ポリエステルB層はA層のRaより大きい方がハン
ドリング性、ラミネート性が向上するので好ましい。
【0036】本発明における積層フィルムの製造方法と
しては、例えば粒子を含有するポリエステルA、ポリエ
ステルB1とポリエステルB2のブレンドを必要に応じ
て乾燥した後、各々を公知の溶融積層用押出機に供給
し、スリット状のダイからシート状に押出し、静電印加
などの方式によりキャスティングドラムに密着させ冷却
固化し未延伸シートを得る。この時B層はポリエステル
B2の分散性を考慮してミキシングスクリュー、ベント
式二軸押出機などを採用してもよく、予め高分散させた
マスタポリマを使用しても良い。
【0037】その後、フィルムを延伸することが好まし
く、フイルムの長手方向及び幅方向の延伸倍率は目的と
するフイルムの配向度、強度、弾性率等に応じて任意に
設定することができるが、好ましくは長手方向に延伸し
た後、幅方向に延伸する逐次二軸延伸方式が望ましい。
延伸倍率としてはそれぞれの方向に1.5〜5.0倍、
好ましくは1.8〜4.0倍である。長手方向、幅方向
の延伸倍率はどちらを大きくしてもよく、同一としても
よい。また、長手方向の延伸速度は10000%/分〜
200000%/分、幅方向の延伸速度は2000〜2
0000%/分であることが望ましく、長手方向延伸速
度>幅方向延伸速度であることが好ましい。延伸温度は
ポリエステルのガラス転移温度以上、結晶化温度以下の
範囲であれば任意の温度とすることができるが、通常は
80〜150℃が好ましい。更に二軸延伸の後にフイル
ムの熱処理を行うことができる。この熱処理はオ−ブン
中、加熱されたロ−ル上等、従来公知の任意の方法で行
なうことができる。熱処理温度はポリエステルの結晶化
温度以上245℃以下の任意の温度とすることができる
が、好ましくは120〜240℃である。また熱処理時
間は任意とすることができるが、通常1〜60秒間行う
のが好ましい。熱処理はフイルムをその長手方向および
/または幅方向に弛緩させつつおこなってもよい。熱処
理後フィルムは急冷、徐冷してもよい。さらに、再延伸
を各方向に対して1回以上行ってもよく、その後熱処理
を行っても良い。
【0038】DSCのサブピークがポリエステルB2の
融点−30℃以上融点+30℃以下であると耐衝撃性、
成形性が良好となるので好ましい。ここで、DSCのサ
ブピークとはDSCで昇温時に現れるサブピークを意味
し例えば特開平5−186613号に示される方法など
で測定される。
【0039】さらに、味特性、成形性の点でDSCの測
定においてフィルムを溶融後に急冷し、再昇温した際に
測定されるガラス転移温度が61℃以上であることが好
ましく、さらに味特性の経時性の点で65℃以上である
ことが好ましい。
【0040】本発明のポリエステルフィルムを製造する
にあたり、必要により酸化防止剤、可塑剤、帯電防止
剤、耐候剤、末端封鎖剤等の添加剤も適宜使用すること
ができる。特に、酸化防止剤の併用は製缶工程での熱履
歴によるポリエステルの劣化を防止し好ましい。その量
としては、全フィルム重量に対し0.001〜1重量%
程度が好ましい。
【0041】また、コロナ放電処理などの表面処理を施
すことにより接着性を向上させることはさらに特性を向
上させる上で好ましい。その際、E値としては5〜4
0、好ましくは10〜35である。
【0042】本発明では120℃×30分での熱収縮率
が5%以下であることが好ましい。熱収縮率が5%以
下、好ましくは4%以下、さらに好ましくは3%以下で
あると金属との熱ラミネート性が優れるだけでなく、耐
衝撃性が向上する。
【0043】本発明の金属板とは特に限定されないが、
成形性の点で鉄やアルミニウムなどを素材とする金属板
が好ましい。さらに、鉄を素材とする金属板の場合、そ
の表面に接着性や耐腐食性を改良する無機酸化物被膜
層、例えばクロム酸処理、リン酸処理、クロム酸/リン
酸処理、電解クロム酸処理、クロメート処理、クロムク
ロメート処理などで代表される化成処理被覆層を設けて
もよい。特に金属クロム換算値でクロムとして6.5〜
150mg/m2 のクロム水和酸化物が好ましく、さら
に、展延性金属メッキ層、例えばニッケル、スズ、亜
鉛、アルミニウム、砲金、真ちゅうなどを設けてもよ
い。スズメッキの場合0.5〜15mg/m2、ニッケ
ルまたはアルミニウムの場合1.8〜20g/m2 のメ
ッキ量を有するものが好ましい。
【0044】本発明の金属ラミネート用積層フィルム
は、絞り成形やしごき成形によって製造されるツーピー
ス金属缶の内面被覆用に好適に使用することができる。
また、ツーピース缶の蓋部分、あるいはスリーピース缶
の胴、蓋、底の被覆用としても良好な金属接着性、成形
性を有するため好ましく使用することができる。
【0045】
【実施例】以下実施例によって本発明を詳細に説明す
る。なお特性は以下の方法により測定、評価した。
【0046】(1)ポリエステル中のゲルマニウム元素
の含有量 蛍光X線測定によりポリエステル組成物中のゲルマニウ
ム元素の含有量とピーク強度の検量線から定量した。
【0047】(2)ポリエステルの固有粘度 ポリエステルをオルソクロロフェノ−ルに溶解し、25
℃において測定した。なお、不溶ポリマは濾過して取り
除いて測定した。
【0048】(3)ポリエステルの融点及びフィルムの
DSCサブピーク、ガラス転移温度 ポリエステルまたはフィルムを示差走査熱量計(パ−キ
ン・エルマ−社製DSC−2型)により、20℃/mi
nの昇温速度で測定した。
【0049】なお、ガラス転移温度は、フィルムを融点
+30℃で5分間溶融保持し、液体窒素で急冷後に測定
し求めた。
【0050】(4)フイルム中のアセトアルデヒド含有
量 フイルムの微粉末を2g採取しイオン交換水と共に耐圧
容器に仕込み、120℃で60分間水抽出後、高感度ガ
スクロで定量した。
【0051】(5)粒子の平均粒径 フィルムから樹脂をプラズマ低温灰化処理法で除去し粒
子を露出させる。処理条件は樹脂は灰化するが粒子はダ
メージを受けない条件を選択する。これを走査型電子顕
微鏡で粒子数5000〜10000個を観察し、粒子画
像を画像処理装置により円相当径から求めた。
【0052】粒子が内部粒子の場合上記方法ではなく、
透過型顕微鏡により(10)に準じた方法で求めた。
【0053】(6)熱収縮率 幅10mm、長さ250〜300mmのフィルムサンプ
ルを200mm間隔にマーキングし、サンプル支持板に
一定張力下で固定し、万能投影機(日本光学製V16
A)を用いてマーキング間隔の原長を測定した。測定し
たサンプルに3gのクリップを用いて荷重をかけ、12
0℃に設定した熱風オーブン中で30分間回転させなが
ら処理した。処理したサンプルは、原長を測定した雰囲
気下に2時間放置後、原長測定法と同様にマーキング間
隔を測定して収縮率を求めた。
【0054】(7)フィルムの表面粗さ(中心線平均粗
さRa、最大粗さRt) 小坂研究所製の高精度薄膜段差測定器ET−10を用い
て測定した。条件は次の通りであり、20回の測定の平
均値をもって値とした。
【0055】・触針先端半径:0.5μm ・触針荷重 :5mg ・測定長 :1mm ・カットオフ値:0.08mm なお、Ra、Rtの定義は、例えば、奈良次郎著「表面
粗さの測定・評価法」(総合技術センター、1983)
に示されているものである。
【0056】(8)ポリエステルB2の平均分散径、分
散径比 ポリマ断面を切断し厚さ0.1〜1μm程度の超薄切片
を作成し、透過型電子顕微鏡を用いて倍率5000〜2
0000程度で写真を(10枚:25cm×25cm)
撮影し、分散したポリエステルB2の平均分散径を円相
当径より計算した。さらに、長手方向、幅方向、厚さ方
向の分散径を求めて、平均化し、下式により分散径比X
を求めた。
【0057】X=(D1+D2)/2D3 D1:長手方向の平均長さ(μm) D2:幅方向の平均長さ(μm) D3:厚さ方向の平均長さ(μm)
【0058】(9)面配向係数 ナトリウムD線(波長589nm)を光源として、アッ
ベ屈折計を用いて測定した。長手方向、幅方向、厚み方
向の屈折率(Nx,Ny,Nz)から得られる面配向係
数fn=(Nx+Ny)/2−Nzを計算して求めた。
【0059】(10)TOC量(ppm) ラミネート鋼板のA層に水を接触させて50℃×5日後
の抽出液を得た(2400cm2 に対し1500mlの
蒸留水)。抽出水を適当に濃縮し、トータルオーガニッ
クカーボン(TOC)をTOC計で測定した。
【0060】(11)成形性 20m/分でフィルムと140〜250℃に加熱された
鋼板をB層が接着面となるようにラミネート、急冷した
後、絞り成形機(成形比(最大厚み/最小厚み)=2.
0)で20m/分の速度で成形した缶を得た。得られた
缶に1%の食塩水を入れて、食塩水中の電極と金属缶に
6vの電圧をかけて3秒後の電流値を読み取り、10缶
測定後の最大値を求めた。
【0061】 A級:0.01mA未満 B級:0.01mA以上0.05mA未満 C級:0.05mA以上0.1mA未満 D級:0.1mA以上
【0062】(12)耐衝撃性 20m/分でフィルムと140〜250℃に加熱された
鋼板をB層が接着面となるようにラミネート、急冷した
後、絞り成形機(成形比(最大厚み/最小厚み)=1.
8)で成形した缶を得た。
【0063】(炭酸飲料での耐衝撃性)製缶後、215
℃、3分の熱処理を行い、炭酸水を充填し0℃、60時
間炭酸バブリングした。そして、内容物として水を充填
した缶(350g)を底面が落下した際にコンクリート
の地面に対して45゜となるようにして30cmの高さ
から落下させて衝撃を与えた後内容物を除いて缶側内面
をろうでマスキングし、カップ内に1%の食塩水を入れ
て、食塩水中の電極と金属缶に6vの電圧をかけて3秒
後の電流値を読み取り、10缶測定後の平均値を求め
た。
【0064】 A級:0.1mA未満 B級:0.1mA以上0.2mA未満 C級:0.2mA以上0.5mA未満 D級:0.5mA以上
【0065】(レトルト飲料での耐衝撃性)製缶後、2
15℃3分の条件で空焼きを行い、空焼き後、120℃
×30分のレトルト処理をし、市販のウーロン茶を充填
し、30℃、48時間放置し、内容物として水を充填し
た缶(350g)を底面が落下した際にコンクリートの
地面に対して45゜となるようにして30cmの高さか
ら落下させて衝撃を与えた後、内容物を除き缶側内面を
ろうでマスキングしてカップ内に1%食塩水を入れて、
食塩水中の電極と金属缶に6Vの電圧をかけて3秒後の
電流値を読み取り、10缶測定後の平均値を求めた。
【0066】 A級:0.1mA未満 B級:0.1mA以上0.2mA未満 C級:0.2mA以上0.5mA以下 D級:0.5mA以上
【0067】(13)味特性 A層が香料水溶液(d−リモネン30ppm水溶液)に
接するようにして(接触面積:314cm2 )40℃7
日間放置した後、80℃で30分間窒素気流中で加熱し
追い出される成分を、ガスクロマトグラフィーによりフ
イルム1gあたりのd−リモネンの吸着量を定量し味特
性を評価した。
【0068】また、成形した金属缶に香料水溶液(d−
リモネン20ppm水溶液)を入れ、密封後1ヶ月放置
し、その後開封して官能検査によって、臭気の変化を以
下の基準で評価した。
【0069】 A級:臭気に変化が見られない。 B級:臭気にほとんど変化が見られない。 C級:臭気に変化が見られる。
【0070】実施例1 ポリエステルAとして平均粒子径0.2μmのコロイダ
ルシリカ粒子を含有するエチレングリコールスラリーを
190℃で2時間熱処理した後、エステル化反応終了後
にスラリーを添加し、重縮合反応を行い該粒子を0.3
重量%含有するイソフタル酸12.0モル%共重合ポリ
エチレンテレフタレート(ゲルマニウム元素量40pp
m、固有粘度0.70、ジエチレングリコール0.90
重量%、融点228℃)のチップを製造した。ポリエス
テルB1として平均粒子径1.2μmの湿式シリカを
0.2重量%含有するイソフタル酸10.0モル%共重
合ポリエチレンテレフタレート(ゲルマニウム元素量4
0ppm、固有粘度0.71、ジエチレングリコール
0.80重量%、融点232℃)のチップと水添ダイマ
酸成分を30重量%含有するダイマー酸共重合ポリブチ
レンテレフタレート(固有粘度0.80、融点190
℃)のチップを重量比で80:20となるようにチップ
ブレンドして、ポリエステルAを170℃3時間真空乾
燥して単軸押出機に供給し、B層として上記混合物を1
40℃5時間真空乾燥後二軸真空ベント式押出機(押出
機の温度はいずれも270℃に設定)に供給し溶融し、
しかる後にフィードブロックにて2層(ポリエステルA
層/熱可塑性樹脂B層=1/4)に積層して通常の口金
から吐出後、静電印加(7kv)でB層がドラム面にな
るように鏡面冷却ドラムにて冷却固化して未延伸フィル
ムを得た。この未延伸フィルムを温度95℃にて延伸速
度15000%/分で長手方向に2.9倍延伸し、予熱
温度90℃、5秒後に温度105℃で延伸速度3000
%/分で幅方向に2.9倍延伸した後、190℃にてリ
ラックス5%、5秒間熱処理し、80℃5秒冷却後室温
まで冷却し巻き取った。得られたフィルムの特性は表1
に示した通りであり、炭素数10以上のアルキレン基を
有する長鎖脂肪族ジカルボン酸成分がB層中に6重量%
含有してあるので良好な成形性、耐衝撃性、味特性を得
ることができた。
【0071】実施例2〜9 ポリエステルの種類、添加量、積層比、製膜条件などを
変更し実施例1と同様にして製膜し、フィルムを得た。
結果を表1〜3に示す。
【0072】実施例2は、ポリエステルB2をダイマー
酸22重量%共重合ポリエチレンテレフタレート(固有
粘度:0.78、融点233℃)とし、製膜後の熱処理
温度を205℃とした以外は実施例1と同様にしてフィ
ルムを得た。得られたフィルムは炭酸飲料での耐衝撃性
が良好であったが、ややレトルト後の耐衝撃性は低下し
た。
【0073】実施例3は、ポリエステルB1とポリエス
テルB2の重量比を60/40とし、延伸倍率を3.1
倍とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを得た。
得られた結果を表1に示すが、味特性がやや低下した。
【0074】実施例4は、積層比A:B=2:1とし、
熱処理温度を155℃とした以外は実施例1と同様にし
て製膜を行った。表2より得られたフィルムは成形性、
耐衝撃性が低下した。
【0075】実施例5は、熱処理温度を225℃とした
ところ、表2より成形性、耐衝撃性が低下した。
【0076】実施例6は、ポリエステルB2をドデカジ
オン酸12重量%共重合ポリブチレンテレフタレート
(固有粘度0.82、融点:192℃)とした以外は実
施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィルム
は表2より成形性、耐衝撃性がやや低下した。
【0077】実施例7は、延伸温度を85℃、延伸倍率
を3.5倍、熱処理温度を155℃としたところ、面配
向係数が大きく、分散径比が大きいため成形性、耐衝撃
性が低下した。
【0078】実施例8は、ポリエステルB1とポリエス
テルB2を単軸押出機にて溶融し、熱処理条件を変更し
たところ、分散径が大きく、成形性、耐衝撃性が低下し
た。
【0079】実施例9は、ポリエステルB1を変更した
ところ、ガラス転移温度が低く、TOCが大きいため味
特性が低下した。
【0080】比較例1〜3 比較例1では、B層をポリエステルB1のみとした以外
は実施例1と同様にしてフィルムを得た。得られたフィ
ルムは成形性、耐衝撃性が大きく低下した。
【0081】比較例2では、B層のポリエステルB2を
セバシン酸12重量%共重合ポリエチレンテレフタレー
ト(固有粘度:0.70、融点227℃)とした以外は
実施例1と同様にフィルムを得た。得られたフィルムは
成形性、耐衝撃性が大きく低下した。
【0082】比較例3では、B層中の炭素数10以上の
アルキレン基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸成分を3
0重量%とした以外は実施例1と同様にしてフィルムを
得た。得られたフィルムは成形性、味特性が大きく低下
した。
【0083】
【表1】
【表2】
【表3】
【表4】
【0084】なお、表中の略号は以下の通りである。
【0085】PET/I:イソフタル酸共重合ポリエチ
レンテレフタレート(数字は共重合モル%) PET/DA:水添ダイマ酸共重合ポリエチレンテレフ
タレート(数字は共重合重量%) PBT/DA:水添ダイマ酸共重合ポリブチレンテレフ
タレート(数字は共重合重量%) PBT/D:ドデカジオン酸共重合ポリブチレンテレフ
タレート(数字は共重合重量%) PET/S:セバシン酸共重合ポリエチレンテレフタレ
ート(数字は共重合重量%) DEG:ジエチレングリコール
【0086】
【発明の効果】本発明の金属板ラミネート用積層フィル
ムは缶などに成形する際の成形性に優れているだけでな
く、耐衝撃性、味特性に優れた特性を有し、成形加工に
よって製造される金属缶に好適に使用することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 B29L 9:00

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 エチレンテレフタレートまたはエチレン
    ナフタレートを主たる構成成分とするポリエステルAか
    らなるA層と、ポリエステルB1と炭素数10以上のア
    ルキレン基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸成分を共重
    合したポリエステルB2とを主成分とするB層とからな
    る積層フィルムであって、炭素数10以上のアルキレン
    基を有する長鎖脂肪族ジカルボン酸成分がB層中に2〜
    20重量%含有していることを特徴とする金属板ラミネ
    ート用積層フイルム。
  2. 【請求項2】 炭素数10以上のアルキレン基を有する
    長鎖脂肪族ジカルボン酸成分がB層中に2〜10重量%
    含有していることを特徴とする請求項1に記載の金属板
    ラミネート用積層フイルム。
  3. 【請求項3】 面配向係数が0.05〜0.14であ
    り、二軸延伸されていることを特徴とする請求項1また
    は請求項2に記載の金属板ラミネート用積層フイルム。
  4. 【請求項4】 ポリエステルB2の平均分散径(円相当
    径)が0.001〜10μmであることを特徴とする請
    求項1〜3のいずれかに記載の金属板ラミネート用積層
    フイルム。
  5. 【請求項5】 ポリエステルB2の平均分散径(円相当
    径)が0.01〜2μmであることを特徴とする請求項
    1〜3のいずれかに記載の金属板ラミネート用積層フイ
    ルム。
  6. 【請求項6】 ポリエステルB2の分散径比Xが下式を
    満足することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記
    載の金属板ラミネート用積層フイルム。 1<X≦100 X=(D1+D2)/2D3 D1:長手方向の平均長さ(μm) D2:幅方向の平均長さ(μm) D3:厚さ方向の平均長さ(μm)
  7. 【請求項7】 DSCのサブピークがポリエステルB2
    の融点−30℃以上融点+30℃以下であることを特徴
    とする請求項1〜6のいずれかに記載の金属板ラミネー
    ト用積層フイルム。
  8. 【請求項8】 DSC測定によるガラス転移温度が61
    ℃以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    に記載の金属板ラミネート用積層フイルム。
  9. 【請求項9】 DSC測定によるガラス転移温度が65
    ℃以上であることを特徴とする請求項1〜7のいずれか
    に記載の金属板ラミネート用積層フイルム。
  10. 【請求項10】 120℃、30分の熱処理でA層より
    抽出される成分のTOC量が5ppm以下であることを
    特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の金属板ラミ
    ネート用積層フイルム。
JP24799596A 1995-09-28 1996-09-19 金属板ラミネート用積層フイルム Expired - Fee Related JP3757488B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24799596A JP3757488B2 (ja) 1995-09-28 1996-09-19 金属板ラミネート用積層フイルム

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP25084795 1995-09-28
JP7-250847 1995-09-28
JP24799596A JP3757488B2 (ja) 1995-09-28 1996-09-19 金属板ラミネート用積層フイルム

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH09150492A true JPH09150492A (ja) 1997-06-10
JP3757488B2 JP3757488B2 (ja) 2006-03-22

Family

ID=26538527

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24799596A Expired - Fee Related JP3757488B2 (ja) 1995-09-28 1996-09-19 金属板ラミネート用積層フイルム

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3757488B2 (ja)

Cited By (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2000103024A (ja) * 1998-09-29 2000-04-11 Mitsubishi Polyester Film Copp 金属貼り合わせ用ポリエステルフィルム
JP2000108284A (ja) * 1998-10-02 2000-04-18 Mitsubishi Polyester Film Copp 金属貼り合わせ用ポリエステルフィルム
EP0945259A3 (de) * 1998-03-25 2001-09-19 Mitsubishi Polyester Film GmbH Verwendung einer transparenten Polyesterfolie als Gas/Aromabarrierefolie
JP2002321277A (ja) * 2001-04-26 2002-11-05 Mitsubishi Polyester Film Copp 高延性ポリエステルフィルム
JP2006007743A (ja) * 2003-10-30 2006-01-12 Toyobo Co Ltd 金属板被覆用ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム被覆金属板及びポリエステルフィルム被覆金属容器
WO2015146883A1 (ja) * 2014-03-26 2015-10-01 富士フイルム株式会社 ポリエステル樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルムの製造方法、偏光板、画像表示装置、ハードコートフィルム、タッチパネル用センサーフィルム、ガラス飛散防止フィルム、およびタッチパネル
WO2020017466A1 (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 大和製罐株式会社 缶蓋
WO2020050351A1 (ja) * 2018-09-06 2020-03-12 ユニチカ株式会社 ポリエステルフィルムおよびその製造方法

Cited By (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP0945259A3 (de) * 1998-03-25 2001-09-19 Mitsubishi Polyester Film GmbH Verwendung einer transparenten Polyesterfolie als Gas/Aromabarrierefolie
JP2000103024A (ja) * 1998-09-29 2000-04-11 Mitsubishi Polyester Film Copp 金属貼り合わせ用ポリエステルフィルム
JP2000108284A (ja) * 1998-10-02 2000-04-18 Mitsubishi Polyester Film Copp 金属貼り合わせ用ポリエステルフィルム
JP2002321277A (ja) * 2001-04-26 2002-11-05 Mitsubishi Polyester Film Copp 高延性ポリエステルフィルム
JP2006007743A (ja) * 2003-10-30 2006-01-12 Toyobo Co Ltd 金属板被覆用ポリエステルフィルム、ポリエステルフィルム被覆金属板及びポリエステルフィルム被覆金属容器
WO2015146883A1 (ja) * 2014-03-26 2015-10-01 富士フイルム株式会社 ポリエステル樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルムの製造方法、偏光板、画像表示装置、ハードコートフィルム、タッチパネル用センサーフィルム、ガラス飛散防止フィルム、およびタッチパネル
JP2015184664A (ja) * 2014-03-26 2015-10-22 富士フイルム株式会社 ポリエステル樹脂フィルム、ポリエステル樹脂フィルムの製造方法、偏光板、画像表示装置、ハードコートフィルム、タッチパネル用センサーフィルム、ガラス飛散防止フィルム、およびタッチパネル
WO2020017466A1 (ja) * 2018-07-20 2020-01-23 大和製罐株式会社 缶蓋
JPWO2020017466A1 (ja) * 2018-07-20 2021-08-02 大和製罐株式会社 缶蓋
WO2020050351A1 (ja) * 2018-09-06 2020-03-12 ユニチカ株式会社 ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP2020041122A (ja) * 2018-09-06 2020-03-19 ユニチカ株式会社 ポリエステルフィルムおよびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP3757488B2 (ja) 2006-03-22

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP2001220453A (ja) 成形加工用二軸延伸ポリエステルフィルム
JP4159154B2 (ja) 包装用ポリエステルフィルム
JP4208055B2 (ja) 容器成形用二軸延伸ポリエステルフイルム
JP3189551B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフイルム
JP3757488B2 (ja) 金属板ラミネート用積層フイルム
JP3293261B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム
JPH10130405A (ja) 容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルム
JP3324310B2 (ja) 金属板ラミネート用二軸延伸積層フイルム
JP3293297B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム
JP3859108B2 (ja) 金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム
JP4186336B2 (ja) 貼合わせ用ポリエステルフィルム
JP3546510B2 (ja) 金属板ラミネート用積層フイルム
JP2000063539A (ja) 金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム
JP3329019B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム
JP3948100B2 (ja) ラミネート用二軸延伸ポリエステルフィルム
JP3648844B2 (ja) 容器成形用二軸延伸ポリエステルフイルム
JP4162159B2 (ja) 容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルムおよびその製造方法
JP4562212B2 (ja) 容器成形用二軸延伸ポリエステルフィルム
JPH0970934A (ja) ラミネート用積層ポリエステルフイルム
JP3865174B2 (ja) 金属板ラミネート用ポリエステルフィルム
JPH09155969A (ja) ラミネート用二軸延伸ポリエステルフイルム
JPH11151752A (ja) 金属板貼り合わせ成形加工用ポリエステルフィルム
JP3921792B2 (ja) 金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム
JP3951417B2 (ja) 金属板貼合わせ成形加工用ポリエステルフィルム
JP2000186161A (ja) ラミネ―ト用ポリエステルフィルム

Legal Events

Date Code Title Description
A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20050117

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20050125

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20050302

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20051206

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20051219

FPAY Renewal fee payment (prs date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100113

Year of fee payment: 4

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees