JP2003267798A - ニオブ酸リチウム単結晶、およびその光素子、およびその製造方法 - Google Patents
ニオブ酸リチウム単結晶、およびその光素子、およびその製造方法Info
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Abstract
有し大口径で組成均質性の高い単結晶が比較的安価で供
給可能なことから、光学素子の材料として期待されてい
た。しかし、従来の市販のニオブ酸リチウム単結晶は、
数%の不定比欠陥を含むコングルエント組成のため、素
子性能向上には限界があった。 【解決手段】Liが定比組成よりも過剰な組成の融液か
ら育成されたニオブ酸リチウム単結晶において、Mg、
Zn、Sc、Inの少なくとも一種以上の元素をニオブ
酸リチウム単結晶に対して0.1〜3mol%含有する
ことを特徴とするLi2O/(Nb2O5+Li2O)のモ
ル分率が0.490以上0.500未満の間にあるニオ
ブ酸リチウム単結晶、およびその光素子、およびその製
造方法。
Description
線形光学特性および電気光学特性に優れた光学用途の定
比組成のニオブ酸リチウム単結晶と、その単結晶を用い
た波長変換素子や光変調器、スイッチ、偏向器光素子な
どの光素子、および該ニオブ酸リチウム単結晶を安定に
成長させる製造方法に関する。
号によって光学的性質を制御できるいわゆる機能性光学
単結晶は、光通信、表示記録、計測、光-光制御など様
々な光エレクトロニクス分野で必要不可欠な素材となっ
ている。特に、ある種の酸化物単結晶は光学的性質と外
部要因との相互作用が特に大きいため、非線形光学効果
を使用した波長変換素子や、電気光学効果を使用した、
光変調器、スイッチ、偏向器などの光素子として使用さ
れている。
たままの状態で、素子として使用されるが、一部の強誘
電体結晶は、電圧印加により結晶の破壊なしに誘電分極
の方向を反転させることができるため、周期的に分極を
反転させることで、その機能性を高めることもなされて
いる。
体分極の分域構造を周期的に反転させることで擬似位相
整合法(Quasi-Phase-Matching:QPM)による波長変
換が可能となる。この方法は、広い波長域で高効率の変
換が可能であるという点で有効な手段であるため、光通
信、表示記録、計測、医療などの分野で強く求められて
いる、紫外、可視から赤外に至る広い波長範囲における
様々な波長のレーザー光源を実現するための波長変換素
子として期待されている。
公知文献(M. Yamada et al., Appl.Phys.Lett., 69, p
3659,1996)によると、強誘電体結晶中にレンズやプリ
ズム状の分極反転構造を形成し、これを通過したレーザ
ー光を電気光学効果を利用して偏向する光素子やシリン
ドリカルレンズ、ビームスキャナー、スイッチなどが新
しい光素子として注目されている。
記する)は、主に表面弾性波素子や光変調器の基板とし
て使用されている強誘電体であるが、可視から赤外の広
い波長域で透明であり、電圧を印加することで周期的な
分極構造を作成でき、ある程度実用的な光学的非線形性
と電気光学特性を有し、さらに、大口径で組成均質性の
高い単結晶が比較的安価で供給可能なことから、近年、
上述したようなQPMによる波長変換素子(以下QPM素
子と略記する)や電気光学素子の基板としても注目され
ている。
弾性波素子の基板も含めて、数%程度の不定比欠陥を含
み、Li2O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率が0.
485の一致溶融組成に限られていた。この理由は、L
N単結晶の相図は古くから知られており、従来、組成の
均質性の高いLN単結晶を製造するためには、結晶と融
液が同じ組成で平衡共存する一致溶融組成であるLi2
O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率が0.485の
融液から回転引き上げ法で育成するのが良いと考えられ
ていたからである。また、公知例(D.A.Bryan et al. A
ppl. Phys. Lett.44, p847, 1984)で示され
ているように、耐光損傷性を高めることを目的として、
一致溶融組成のLN結晶に4.5mol%以上のMgを
添加することも行われている。
小型で高効率の素子を作製することである。素子の小型
化や高効率化は素子構造にも大きく依存するが、用いる
材料特性、すなわち、その結晶が本質的に持つ物質的な
特性に制限される要素が非常に大きい。例えば、QPM
素子の変換効率は非線形光学定数と相互作用長の2乗に
比例し、基本波パワー密度に比例する。相互作用長や基
本波パワー密度は素子設計や作製プロセスの精度で決定
されるものであり、技術の改善などにより向上させる可
能性が大きいのに対して、非線形光学定数は材料が本質
的に持っている材料特性である。
ひとつであることから、非線形光学定数の測定も古くか
ら数多く行われてきた。これまで報告されてきた一致溶
融組成のLN結晶は非線形光学定数d33が波長1.06
4ミクロンにおいて、一般には、約27〜34pm/V
とされているが、報告値ごとのばらつきが驚くほど大き
く、最大で2倍にも達する。これらの値は参照物質との
間で非線形光学定数の比を求める相対測定によって得ら
れたものである。ところが、参照物質の絶対値自体が確
定しておらず、人によって用いる値がまちまちであった
ため、これほどまでにばらつきが大きくなっていた。
は、非線形光学定数の絶対値を直接測定する絶対測定に
よって得られた値がもとになっている。ところが、その
代表的な測定法である第2高調波発生(SHG)法とパラメ
トリック蛍光(PF)法とでは、得られる値に大きな差異が
あった。例えば、quartzの d11は、基本波波長1.06
4ミクロンで、SHG法をもとにした絶対値スケールでは
0.3pm/Vであるのに対し、PF法では0.5pm/
Vとなる。
が、例えば、公知文献(I.Shoji etal., J. Opt.Soc. A
m. B, 14, p2268, 1997)によると、SHG法、PF法両方の
絶対測定を注意深く行った結果、過去のPF法の報告値
は、測定時の迷光の影響などを排除しきれなかったため
に過大評価されており、本質的にはどちらの測定法でも
一致した値が得られることを明らかにされた。最近、よ
うやく精度の高い絶対値測定が可能となり、一致溶融組
成のLN結晶は、Mgを添加したものも含めて、非線形
光学定数33が24.9〜25.2pm/Vであると訂正
され報告されている。
場合には、大きな電気光学定数が望まれる。LN単結晶
の電気光学定数自体は強誘電体単結晶の中では必ずしも
大きくないものの、高品質で大口径の単結晶が安価で安
定に製造できることから各種の電気光学効果を利用する
光素子の基板材料として用いられてきている。LN単結
晶の電気光学定数は一般にマッハツェンダー干渉法を用
いて測定されてきた。従来から用いられてきた一致溶融
組成のLN単結晶では、電気光学定数r13、r33はそれぞ
れ、約8.0pm/V、約32.2pm/Vであると報
告されている。このため、大きな電気光学定数r33定を
用いる素子構造が素子の小型化や高効率化において大き
なメリットを持つ。
欠陥の存在を低減する研究、すなわち、結晶組成比を定
比に近付ける研究により、この不定比欠陥の存在が、L
N結晶が本来有する非線形光学定数を低下させ、さら
に、周期的な分極構造を作成するのに必要な印加電圧を
高くしていることが明らかにされてきた。例えば、公知
文献(V. Gopalan etal. Appl. Phys.Lett.72,p1981, 1
998)によると、定比組成に近くすることで、分極反転
電圧が5kV/mm以下になるとされている。
して、一致溶融組成のLN単結晶の不定比欠陥の存在を
低減する研究がされてきた。定比組成のLN結晶を実用
的なものとするべく、その育成法に関する研究も盛んに
行われている。例えば、公知文献(G.I.Molovichiko et
al. Appl. Phys.A,56,p103,1993)によると、一致溶融
組成あるいは定比組成に6mol%以上のK2Oを添加
した融液から結晶を育成することで、この欠陥密度を小
さくし、定比に近い組成のものが得られるとされてい
る。
相図から、育成融液のLi2O/(Nb2O5+Li2O)
のモル分率を0.58〜0.60とすることで、Li2O
/(Nb2O5+Li2O)のモル分率が0.500に近い
結晶を育成できることが分かる。しかし、相図から分か
るように、この融液組成比は共晶点に極めて近く、Li
濃度が定比よりも高い組成の融液から定比に近い組成の
結晶を育成した場合には、結晶の析出に伴ってLi成分
の過剰分がるつぼ内に残されることになり、融液のLi
とNbの組成比が徐々に変化するため、育成開始後すぐ
に融液組成比は共晶点に至ってしまう。そのため、従来
から大口径のLN結晶を工業的に大量生産する手段とし
て使用されているチョクラルスキー法(以下CZ法と略
記する)を用いた場合には、定比に近い組成の結晶の固
化率がわずか10%程度しか得られない。
号(特開2000−103697号公報)で、この低い
固化率を高めるための手段として、原料を連続的に供給
しながら育成する方法(以後連続供給法と略記する)を
提案している。具体的には、育成融液のLi2O/(N
b2O5+Li2O)のモル分率を0.585〜0.59
5とし、るつぼを二重構造にして内側のるつぼから結晶
を引き上げ、引き上げている結晶の重量を随時測定する
ことで成長レートを求め、そのレートで結晶と同じ成分
の粉末を外るつぼと内るつぼの間に連続的に供給すると
いう方法である。この方法を用いることで、長尺の結晶
育成が可能となり、原料供給量に対して100%の結晶
固化率を実現することができる。
よく使用される。高効率を実現する上で重要なプロセス
技術として、周期的分極反転ドメインを精度よく生成す
る技術がある。すなわち、非線形光学特性を最大限に発
揮させるために、分極反転の幅(以下分極反転幅と略記
する)の比率を1:1に作成するものである。分極反転
幅は目的とする波長変換素子の位相整合波長によって異
なる。例えば、赤外域といった長波長の位相整合では分
極反転幅は十数ミクロンである。一致溶融組成のLN単
結晶の分極反転電圧は21kV/mm以上とされてい
る。
結晶は、現存する非線形光学結晶の中では大きな非線形
性を示す結晶の部類に属してはいるが、実際に素子作成
を行った場合にはまだ不十分な値である。近年のよう
に、素子設計の完成度や作製プロセスの精度が向上する
にしたがい、プロセスの改善だけでは素子特性の大幅な
向上には限界が見えてきているため、d定数自身をさら
に大きな値とすることが望まれている。
融組成よりも高いLi濃度の融液から引き上げる結晶育
成法は、工業的観点から見た場合には、歩留まりの点で
大きな問題を抱えていることが次第に明らかとなってき
た。すなわち、高いLi濃度の融液を使用した場合に
は、一致溶融組成比で結晶を成長させる場合と異なり、
成長する結晶の組成が融液の組成比に強く依存すること
が我々の調査によりわかったのである。
性の良い結晶を高い再現性で育成するには、常に同じ組
成比に保った融液からの結晶育成が必要となることを意
味しており、LN結晶の場合、非線形光学定数や周期反
転構造の形成に必要な電圧、および電気光学定数は結晶
組成比に敏感であるため、その最大の特性を引き出すに
は、結晶のLi2O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率
を極めて0.500に近い状態に固定しなければならな
いことになる。
までの組成制御性が優れているという特徴を持つが、育
成開始時の融液組成比の決定が大変重要であり、最初の
設定が所望の融液組成から仮にずれていると、育成した
結晶全体が必要とする非線形光学定数d33や反転電圧を
満足しない。これを防ぐために、育成前に小さな結晶を
引き上げて、その結晶の組成比から融液の組成比を確認
し、不足している成分を追加してずれを補正することも
可能であるが、この小さな結晶の育成と成分比確認を行
うには最低でも数日は必要となり、生産性が大幅に低減
することとなる。
めて有効な方法であるが、育成時間も数日から1週間程
度と長い場合には、高温度に保たれた融液表面からわず
かの量の原料の蒸発が起こり得る。これによる結晶組成
の経時変動も、組成を完全に均一に制御した定比組成の
結晶育成が必要な場合には無視できない。この結晶組成
のばらつきのために、同じ特性の結晶を高い歩留まりで
育成することは非常に困難となっており、Li濃度の高
い融液からの欠陥のない完全な定比組成LN単結晶の育
成技術は、工業的に実用化されていない状態にある。
再現性で分極反転幅比を完全な1:1に形成するのは非
常に困難であった。すなわち、電圧印加法ではzカット
の一致溶融組成のLN単結晶の片面に周期電極を反対面
に一様電極を設けてこの電極を通じてパルス電圧を印加
することで周期電極直下の部分をz軸方位に向けて分極
反転させるが、反転分極幅と電極幅は必ずしも一致する
とは限らず、その作製誤差も大きい。また、反対面のz
軸方向に分極反転が形成される途中で、反転が途切れた
り分極反転幅がzカット結晶の両面で異なるなどの問題
があるため、理想的な分極反転幅比は実現されなかっ
た。
合には位相整合に必要な分極反転幅は3ミクロン程度と
なり、長波長用に比べてより作成が困難となる。しかし
ながら、比較的容易である長波長用のQPM素子でさえ
理想的な素子実現に至っていない。その原因の一つに、
一致溶融組成のLN単結晶の分極反転に必要な印加電圧
(以下分極反転電圧と略記する)の高さがある。分極反
転電圧が21kV/mm以上と高く、この高い反転電圧
のために、基板厚みが0.5mmより薄い場合には基板
全体に分極反転格子を形成することが可能であるが、厚
さが0.5mm以上になると完全な分極反転形成は困難
になり、厚さが1.0mm以上では素子実現が可能な精
度良い分極形成は達成されていない。
薄くても、短波長用のような、数ミクロンの分極反転周
期は実現されていない。特に、MgOを5mol%以上
添加した一致溶融組成LNの場合には内部電場が大きい
ため強誘電体のヒステリシス曲線(P-E曲線)の対称性
が悪く、かつ、抗電場近傍でのP-E曲線の立ち上がりが
なだらかで急峻でないため外部から自発分極と反対方向
の電場を加えた時の自発分極の反転の制御が悪いという
問題がある。
一致溶融組成LNの場合には電気抵抗が無添加の場合に
比べて約3〜4桁程度以上も低下してしまうので、印加
電圧の微妙な制御が難しく、分極反転幅比を1:1に作
成することがより困難である。分極反転にコロナ放電法
を用いることによりこの問題は解決できるといわれてい
るが、この場合でも、依然として分極反転試料の厚みの
問題は解決されていない。
長変換素子や、電気光学効果を利用した光変調素子、お
よびLN単結晶に形成されたレンズやプリズム状の分極
反転構造を作製しこれを通過したレーザー光を電気光学
効果を利用して偏向する光素子やシリンドリカルレン
ズ、ビームスキャナー、スイッチなども新しい光素子な
どを実現する上で、重要なことは小型で高効率の素子を
安定に作製することである。
いても、素子の小型化や高効率化は素子構造の作製精度
に依存するが、これらも用いる材料特性に制限される要
素も大きい。例えば、分極反転構造による屈折率の反転
を形成したLN単結晶の電気光学効果を利用した光素子
の性能は、レンズやプリズム状の分極反転構造の設計や
分極反転構造の作製プロセスの精度、および材料の持つ
電気光学定数の大きさで決定される。
転に大きな印加電圧が必要なために分極反転構造の制御
が困難であった。さらに、電気光学定数は材料が本質的
に持っている特性であり、これを同一結晶で向上させる
のは困難であると考えられていた。また、使用する光の
波長や強度によっては光損傷の発生が大きな難点とされ
る場合もあり、このような場合には、一致溶融組成LN
結晶に5mol%以上のMgOを添加した結晶が耐光損
傷性に優れることから期待されたが、QPM素子を作製
するのと同じような自発分極の反転の制御が悪いという
材料特性の問題から精度の良いレンズやプリズム状の分
極反転構造の作製は実現されていなかった。
セスの精度が向上するにしたがい、プロセスの改善だけ
では光学素子特性の大幅な向上には限界が見えてきてい
るため、材料自身の性能向上が望まれている。このた
め、不定比欠陥を低減した定比組成のLN単結晶の育成
技術が開発された。連続供給法を用いて一致溶融組成よ
りも高いLi濃度の融液から定比組成LN単結晶を引き
上げる結晶育成法は、工業的観点から見た場合には、歩
留まりの点で問題を抱えていることが次第に明らかとな
ってきた。
て極めて有効な方法であるが、育成時間も数日から1週
間程度と長い場合には、高温度に保たれた融液表面から
わずかの量の原料の蒸発が起こり得る。これによる結晶
組成の経時変動も、組成を完全に均一に制御した定比組
成の結晶育成が必要な場合には無視できない。この結晶
組成のばらつきのために、同じ特性の結晶を高い歩留ま
りで育成することは非常に困難となっており、Li濃度
の高い融液からの欠陥のない完全な定比組成LN単結晶
の育成技術は、工業的に実用化されていない状態にあ
る。
性の良い結晶を高い再現性で育成するには、常に同じ組
成比に保った融液からの結晶育成が必要となることを意
味しており、LN結晶の場合、非線形光学定数や周期反
転構造の形成に必要な電圧、および電気光学定数は結晶
組成比に敏感であるため、その最大の特性を引き出すに
は、結晶のLi2O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率
を極めて0.500に近い状態に固定しなければならな
いことになる。
分極反転構造や、レンズやプリズム状の分極反転構造の
設計や分極反転構造の作製プロセスの精度、および材料
の持つ非線形光学定数、電気光学定数および耐光損傷性
の大きさで決定される。従来の一致溶融組成のLN結晶
では分極反転に大きな印加電圧が必要なために分極反転
構造の制御が困難であった。さらに、電気光学定数は材
料が本質的に持っている特性であり、これを同一結晶で
向上させるのは困難であると考えられていた。また、使
用する光の波長や強度によっては光損傷の発生が大きな
難点とされる場合もあり、このような場合には一致溶融
組成LN結晶に5mol%以上のMgOを添加した結晶
が耐光損傷性に優れることから期待されたが、自発分極
の反転の制御が悪いという材料特性の問題から精度の良
いレンズやプリズム状の分極反転構造の作製は実現され
ていなかった。
を達成すべく鋭意研究の結果、可視光域で実質的に吸収
を持たないMg、Zn、Sc、Inの何れかの元素をト
ータル量で0.1pm〜3mol%の範囲で融液に添加
することにより、非線形光学定数d33および電気光学特
性r33を低下させないで小さな分極反転電圧が得られ、
Liの欠陥部分を前記第三の元素により埋めることがで
き、定比組成に近いものの、ある程度の不定比欠陥を有
するニオブ酸リチウム単結晶であっても、Li2O/
(Nb2O5+Li2O)のモル分率が0.500の完全
LN単結晶が持つ大きさと同じ非線形光学定数や周期的
分極構造の作成に必要な印加電圧、および電気光学定数
を実現することを発見、さらには、本手段がLi2O/
(Nb2O5+Li2O)のモル分率が0.490以上
0.500未満という広い範囲のニオブ酸リチウム単結
晶に対して有効であることを知見、ここに本発明をなし
たものである。
の何れかの元素、例えばMgの添加の効果は次のように
説明できる。LN結晶の非線形光学特性はLi元素とO
元素の結合により発生するため、Li欠陥の増加に伴っ
て非線形性が減少し、Li2O/(Nb2O5+Li2O)
のモル分率が0.500のLN結晶は含有するLi欠陥
が存在しないために最大の非線形性を示す。定比組成で
ない結晶の場合は、過剰なNb元素がLi欠陥部分に入
り込むが、Nb元素とO元素の結合では非線形性がほと
んど発生しないため、全体としての非線形性が小さくな
る。
Li欠陥部分に入り込み、Mg元素とO元素の結合によ
る非線形性が発生する。このMg元素とO元素の結合非
線形性は、Li元素とO元素の結合で生じる非線形性と
同程度であり、さらに育成融液の組成比変化に起因した
結晶のLi2O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率が変
化しても、融液中に存在するMg元素がLi欠陥を埋め
てくれるために、結晶のLi2O/(Nb2O5+Li
2O)のモル比率が多少ばらついても最大の非線形光学
性が保たれていると考えられる。
果は次のように説明できる。定比結晶の分極反転電圧が
従来の一致溶融組成LN単結晶に比べて大幅に低減する
のは、分極反転をピンニングするLi欠陥の数が少なく
なることにより説明できる。一方、Mg添加の場合に、
Li2O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率が0.49
0以上0.500未満の範囲でばらついているにも関わ
らず最小の電圧値を示すのは、LiサイトにMgが置換
している状態のピンニング効果が、Li欠陥のそれに比
べて小さいことによると考えられる。
状態のピンニング効果は、欠陥のない部分のそれに比べ
ると大きいため、この効果が得られるのは結晶のLi2
O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率が0.490以
上0.500未満という狭い範囲のみ顕著にあらわれ
る。例えば、一致溶融組成の結晶にMgを添加した場合
には、分極反転電圧の低下も見られるが、一方では、電
気抵抗が無添加の場合に比べて約4桁以上も小さくなっ
てしまうので、通常の電圧印加法では分極反転はでき
ず、コロナ放電法という特殊な方法が必要であった。L
i2O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率が0.490
以上0.500未満の範囲では必要なMg、Zn、S
c、Inの添加量が0.1〜3.0molと小さいので
電気抵抗の急激な低下もない。
ては、現時点では解明されていないが、d33に対する効
果とほぼ同じように考えられる。すなわち、LN結晶の
Li元素とO元素の結合が電気光学特性の主な発現因子
とするならば、Li欠陥の増加に伴って電気光学定数が
減少し、Li2O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率が
0.500のLN結晶は含有するLi欠陥が存在しない
ために最大の電気光学定数を示すと期待できる。
元素がLi欠陥部分に入り込むが、Nb元素とO元素の
結合では電気光学特性がほとんど発生しないため、全体
としての電気光学定数が小さくなる。それに対して、M
g添加の場合は、MgがLi欠陥部分に入り込み、Mg
元素とO元素の結合による電気光学特性が発生する。こ
のMg元素とO元素の結合電気光学特性は、Li元素と
O元素の結合で生じる電気光学特性と同程度であるなら
ば、さらに育成融液の組成比変化に起因した結晶のLi
2O/(Nb2O5+Li2O))のモル分率が変化して
も、融液中に存在するMg元素がLi欠陥を埋めてくれ
るために、結晶のLi2O/(Nb2O5+Li2O)のモ
ル比率が多少ばらついても最大の電気光学定数が保たれ
ていると説明できる。
は、Mg、Zn、Sc、Inを0.1mol以上添加す
ることで育成開始時の融液組成比の設定が所望の融液組
成から仮にずれていたとしても、Li2O/(Nb2O5
+Li2O)のモル分率が0.500のLN単結晶が持
つ大きさと同じ非線形光学定数や分極構造作成電圧、お
よび電気光学定数の単結晶が育成できるため、結果とし
てその歩留まりを大幅に向上できるものである。
組成比の不均質に起因した育成中に発生する融液組成比
変動や、るつぼ内の温度分布に起因した結晶と融液の界
面における融液温度変動により、結晶内にLi2O/
(Nb2O5+Li2O)のモル分率の不均質が発生する
が、本発明により非線形光学定数や分極構造作成電圧、
および電気光学定数がLi2O/(Nb2O5+Li2O)
のモル分率に依存しなくなるため、これら特性の不均質
は発生せず、結果として高い均質性と優れた性能を合わ
せ持つLN結晶を安定に生産するための育成条件が極端
に緩やかになるものである。
のモル分率を0.490以上0.500未満としたの
は、0.490より小さい組成の結晶では分極反転電圧
の低下が不十分であったためである。さらに、Li2O
/(Nb2O5+Li2O)のモル分率が0.490以上
0.500未満の組成の結晶では、内部電場が殆ど見ら
れず強誘電体のヒステリシス曲線(P-E曲線)の対称性
に優れることと、抗電場近傍でのP-E曲線の立ち上がり
が良いため外部から自発分極と反対方向の電場を加えた
時の自発分極の反転の制御が極端に容易になるのは大き
なメリットである。
モル分率が0.490以上0.500未満の組成の結晶
の場合には、必要なMg添加濃度が3mol%未満とな
るので、一致溶融組成の結晶に5.0mol%のMgを
添加した結晶で見られたような急激な電気抵抗の低下を
防ぐことができ、かつ、分極反転幅比がほぼ1:1であ
る非常に高効率のQPM素子を製造することができる。
ーザー光波長を変換する光素子において、非線形光学定
数d33が26pm/V以上であり、室温で分極反転する
ために必要な印加電圧が3.7kV/mm未満であるこ
とを特徴とするLN単結晶を製造することが可能であ
る。z軸方向の厚みが1.0mm以上で、分極反転の周
期が30ミクロン以下であるQPM素子は本発明のLN
結晶で始めて実現したものであり、さらに、分極反転の
周期が5ミクロン以下であるQPM素子に関しても、本
発明により始めて実現したものである。
学効果を利用して単結晶内に入射されたレーザー光を制
御する光素子において、波長0.633ミクロンにおい
て電気光学定数r33が36pm/V以上であることを特
徴とするニオブ酸リチウム単結晶を製造することが可能
である。ニオブ酸リチウム単結晶の強誘電分極を反転さ
せた構造の大きな屈折率変化を利用して光の偏向、焦
点、スイッチングを高効率でかつ安定に行うことを特徴
とする光素子は本発明のLN結晶により始めて実現した
ものである。
場合、一致溶融組成融液から通常の引き上げ法で得られ
るLN単結晶はNb成分過剰となるが、融液の組成を著
しくLi成分過剰(例えば、Li2O/(Nb2O5+Li
2O)のモル分率が0.56〜0.60)にした融液から
結晶を育成すると、定比組成に近いLi2O/(Nb 2O
5+Li2O)のモル分率である0.500、すなわち、
不定比欠陥濃度を極力抑えた単結晶を得ることができ
る。本実施例では原料連続供給を備えた二重るつぼ法を
用いて、Li成分過剰組成の融液から定比組成に近いL
N単結晶を育成した。
O5の原料粉末を準備し、Li2O:Nb2O5の比が0.
56〜0.60:0.44〜0.40のLi成分過剰原料
と、Li2O:Nb 2O5=0.50:0.50の定比組成
原料を混合した。次に、1ton/cm2の静水圧でラ
バープレス成形し、それぞれを約1050℃の大気中で
焼結し原料棒を作成した。また、混合済みの定比組成原
料を連続供給用原料として、約1150℃の大気中で焼
結し、粉砕し、大きさが50ミクロン以上500ミクロ
ンのサイズの範囲で分級した。
して、作成したLi成分過剰原料からなる原料棒を内側
および外側るつぼに予め充填し、次にるつぼを加熱して
Li成分過剰な融液を作成した。Mg添加の効果を確認
する実験では、この充填の際に、市販の高純度MgCO
3を内側および外側るつぼに予め充填した。充填するM
gCO3の重量は、融液中のMg濃度が融液中のNbに
対して各々0.1、0.2、0.5、1.0、3.0mol
%の5種類の実験を行った。また、比較のためにMg濃
度を0、0.05、5.0mol%として実験を行った。
るつぼ法の原理について図1と図2を用いて簡単に説明
する。図1は、LNの相図を示す。相図に見られるよう
に、LN単結晶の一致溶融組成融液から通常の引き上げ
法で得られるLN単結晶はNb成分過剰となるが、融液
の組成を著しくLi成分過剰(例えばLi2O/(Nb 2
O5+Li2O)のモル分率が0.56〜0.60)にした
融液から結晶を育成すると、定比組成に近いLi2O/
(Nb2O5+Li2O)のモル分率である0.500、
すなわち不定比欠陥濃度を極力抑えた単結晶を得ること
ができる。
のである。本実施例に用いた二重るつぼの構造は外るつ
ぼ35の内部に外るつぼより高さが7.5mm高い円筒
36(内るつぼと呼ぶ)を設置した構造となっており、
内るつぼの底に外るつぼから内るつぼに通じる孔を設け
た。この孔は約20mm×30mmの略四角形状で内る
つぼに3箇所設けた。ここで、育成に用いたるつぼの材
質は白金製のものを用い、かつ周囲を育成炉体47でカ
バーし外部雰囲気の流入を防止した。
の高さ/直径の比を0.45としており、内るつぼ/外る
つぼの直径比は0.8とした。その大きさは外るつぼ3
5が直径150mm高さ67.5mm、内るつぼ36が
直径120mm高さ75mmとした。内るつぼ36と外
るつぼ35の間は片側約15mmのスペース34があ
り、ここに原料45がスムーズに落下できるように原料
供給管37を安定に設置した。融液表面の様子をビデオ
カメラ(図示せず)で観察した。るつぼを回転しないと
融液表面の対流はほとんど見られないが、るつぼの回転
数を徐々に上げていくと回転方向への強制的な融液対流
が強くなる様子が見られ、るつぼの回転の効果が観察さ
れた。
結晶を成長させた。融液の温度を高周波発振機48への
投入電力と高周波誘導コイル43により所定の温度に安
定させた後、Z軸方位に切り出した5mm×5mm×長
さ70mmの単一分極状態にあるLN単結晶を種結晶4
0として回転支持棒38の下部に接続し、融液41に付
け、融液温度を制御しながら結晶を回転させて上方向に
引き上げることでLN単結晶42を成長させた。育成雰
囲気は大気中とした。LN単結晶42の回転速度は5〜
20rpmの範囲内で一定とし、引き上げ速度は0.5
〜3.0mm/hの範囲で変化させた。
作成できるよう結晶の直胴部に対し、自動直径制御を行
った。育成結晶成長重量をロードセル52により測定
し、結晶化した成長量に見合った量のLi2O/(Nb2
O5+Li2O)のモル分率が0.500の定比の原料4
5を外側るつぼ35に供給した。ここではLN単結晶4
2の成長量変化がコンピュータ49により求められてい
るので、原料45の供給はLN種結晶40から単結晶4
2の育成が始まり直径制御が安定化した時点から開始し
た。
に設置した重量測定センサーを兼ね備えた密封容器46
内に保管した原料45をセラミックスあるいは貴金属か
らなる供給管37を通じて行った。供給管37及び密封
容器46に毎分50〜500ccの範囲でガス51を弁
を具備するガス管33を介して流入した。ガス51の流
量は供給する原料45の単位時間当たりの量と粒径によ
って最適化した。これによって、飛散や供給管37内で
の詰まりのない円滑な原料供給を行った。育成中、貴金
属二重るつぼを回転させることで、供給した粉末原料の
融液との均質化と同時に、強制定に結晶成長界面を液面
に対してフラットもしくは凸になるよう融液の対流を制
御した。各々の組成において約1.5週間の育成によ
り、直径60mm,長さ110mmでクラックのない無
色透明のLN結晶体を得た。
(Nb2O5+Li2O)のモル分率を化学分析より求め
た。試料の測定位置は種結晶から15mm離れた結晶の
軸中心部を測定位置aとし、また測定位置aから軸中心
に沿って種結晶から離れる方向に10mm毎の位置を3
点とり、順に測定部b、c、dとした。測定試料は測定
位置を中心に7mm角の立方体形状として切りだした。
O)のモル分率の測定結果を示す。化学分析では組成比
の絶対値を精度良く求めることは難しく、LN結晶の場
合Li2O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率で約0.
001〜0.005程度の誤差を含んでいる。そこで、
定比に近い組成のLN結晶については非常に慎重に組成
を分析した。表1の結果は同一試料について数カ所の異
なる分析装置を用いて評価した結果の平均値を示してい
る。その結果、LN単結晶の場合、定比に近い組成であ
ってもMg等を添加した結晶ではLi2O/(Nb2O5
+Li2O)のモル分率の値は0.005を超えることは
なかった。また、これら試料のMg含有量に関する測定
も行い、結晶の含有量が融液に添加したMg濃度とほぼ
同じであることを確認した。
のモル分率 無添加 0.05mol% 0.10mol% 0.20mol% 0.50mol% 1.00mol
% 3.00mol% 5.00mol% a 0.492 0.494 0.496 0.498 0.496 0.494 0.492 0.489 b 0.493 0.493 0.495 0.499 0.498 0.495 0.492 0.490 c 0.494 0.494 0.496 0.498 0.497 0.495 0.491 0.491 d 0.494 0.496 0.494 0.497 0.495 0.495 0.492 0.490
した。我々はウェッジ法を用いた絶対測定を行い、測定
データに対して多重反射の効果を考慮した解析を行うこ
とによって、非線形光学定数の絶対値を正確に決定し
た。その結果、LN単結晶のような高屈折率の物質(n
> 2)に対する従来の値のほとんどは過大評価されてい
たことを明らかにし、溶融一致組成のLN結晶のd33を
測定したところ、文献で求められてる結果と良く一致す
る25.1pm/Vという値が得られた。測定に使用し
たレーザー光は単一縦モード連続発振の波長は1.06
4ミクロンである。表2に測定の結果を示す。
た場合には、結晶のLi2O/(Nb 2O5+Li2O)の
モル分率が0.489から0.499の間で大きくばらつ
いているにも関わらず、全てが30.0pm/V以上の
値であるのに対し、0.1mol%未満では、それより
若干劣る傾向にある。ウェッジ法を用いた絶対測定法で
は、従来の位相整合法による絶対測定法と異なり、d33
などの対角成分も測定可能である。また、回転型Maker
フリンジ法では多重反射を考慮した厳密な解析を行うの
は極めて困難であり、非線形光学定数を正確に求めるた
めには無反射コーティングを行って多重反射が起きない
条件下で測定するしかない。以上のことから、ウェッジ
法による絶対測定は極めて有効な測定手法であるという
ことができる。
/V) 無添加 0.05mol% 0.10mol% 0.20mol% 0.50mol% 1.00mol
% 3.00mol% 5.00mol% a 27.9 29.5 30.1 30.2 30.1 30.1 30.3 30.3 b 28.8 29.5 30.0 30.3 30.0 30.4 30.2 30.1 c 29.0 29.6 30.0 30.2 30.1 30.3 30.2 30.0 d 29.1 29.6 30.2 30.1 30.3 30.1 30.1 30.1
結晶に関して、測定位置a〜dの各場所から、断面が1
0mm×10mmで厚みが1.0mmのz板試料を切り
出した。両z軸面に電極を形成した後、電圧を印加し、
結晶が分極反転を起こす電圧を測定した。表3に測定の
結果を示す。
た場合には全てが3.7kV/mm以下であり、0.2m
ol%以上ではより小さな値3.1kV/mm近傍の一
定の値が得られる。これらの結晶では、内部電場が殆ど
見られず強誘電体のヒステリシス曲線(P-E曲線)の対
称性に優れることと、抗電場近傍でのP-E曲線の立ち上
がりが良いため測定値にもばらつきが少ないものと考え
られる。
の量の添加結晶に比べて分極反転電圧は若干上回る傾向
にあることが分かる。一方、Mgの添加量が5mol%
以上添加した場合には分極反転は小さくなるが、試料毎
のばらつきが大きくなる傾向が見られた。これは、強誘
電体のヒステリシス曲線(P-E曲線)の抗電場近傍でのP
-E曲線の立ち上がりがなだらかで悪いため分極反転電圧
の絶対値測定が困難になること、また、材料の電気抵抗
によることが原因であると考えられた。尚、同様の試料
形状、測定条件で溶融一致組成結晶の反転電圧を測定し
たところ場合によっては測定は困難であった。試料厚み
が0.2〜0.5mm程度の薄い試料で測定ができ、2
1.0kV/mmという非常に高い値であった。
% 3.00mol% 5.00mol% a 5.2 3.8 3.3 3.1 3.0 3.1 3.0 2.3 b 5.0 3.9 3.4 2.8 3.0 2.9 3.1 2.9 c 4.9 3.9 3.3 2.9 3.0 3.1 3.1 2.1 d 4.8 3.8 3.3 3.0 3.1 3.1 3.1 2.5
結晶に関して、測定位置a〜dの各場所から、x、y、z
方位に5mm×3mm×2mmの試料を切り出した。両
z軸面に電極を形成した後、マッハツェンダー干渉法を
用いて試料の電気光学定数を測定した。表4に測定の結
果を示す。
かは結晶組成に非常に敏感であると言うことが明らかに
された。すなわち、結晶のLi2O/(Nb2O5+Li2
O)のモル分率が0.490以上0.500未満のLN単
結晶では、従来の一致溶融組成LN単結晶と較べて電気
光学定数r13は増大しないが、r33は約20%以上増大
し約36pm/V以上となり、一致溶融組成LN単結晶
の値の約31.5pm/Vに較べて非常に大きいことが
明らかにされた。
近づくほど大きくなる傾向が見られた。また、Mgを添
加した結晶では添加量が0.1mol%以上添加した場
合には38pm/V以上と更なる増加が見られ、特に約
1mol%添加した結晶で最大の39.5pm/Vが得
られた。一方、Mgの添加量が1mol%よりも多くな
ると電気光学定数は徐々に低下する傾向も見られた。
V) 無添加 0.05mol% 0.10mol% 0.20mol% 0.50mol% 1.00mol
% 3.00mol% 5.00mol% a 36.0 36.7 38.1 38.5 38.8 39.2 38.4 36.9 b 36.2 37.0 38.0 38.4 38.6 39.5 38.6 37.1 c 37.1 37.8 38.1 38.4 38.8 39.3 38.3 36.5 d 37.8 37.6 38.1 38.3 39.0 39.2 38.2 36.4
O5の原料粉末を準備し、Li2O:Nb2O5の比が0.
56〜0.60:0.44〜0.40のLi成分過剰原料
を混合した。次に、1ton/cm2の静水圧でラバー
プレス成形し、約1050℃の大気中で焼結し原料棒を
作成した。次に、一重るつぼ法、すなわち、従来のCZ
法による単結晶育成に際して、作成したLi成分過剰原
料からなる原料棒を予め充填し、次に、るつぼを加熱し
てLi成分過剰な融液を作成した。Mg添加の効果を確
認する実験では、この充填の際に、市販の高純度MgC
O3をるつぼに予め充填した。充填するMgCO3の重量
は、融液中のMg濃度が融液中のNbに対して決定し、
0.1、0.2、0.5、1.0、3.0mol%の5種類
の実験を行った。
mol%添加した以外は同様にして実験を行った。育成
に用いたるつぼは白金製のものを用いた。用いたるつぼ
の形状は、円筒形状であり、その大きさは直径150m
m高さ100mmとした。育成の終始に渡り、融液表面
の様子をビデオカメラで観察した。実施例1と異なり、
るつぼの回転がない場合でも、強い融液対流が観察され
た。
させた。融液の温度を所定の温度に安定させた後、Z軸
方位に切り出した5mm×5mm×長さ70mmの単一
分極状態にあるLN単結晶を種結晶60として融液に付
け、融液温度を制御しながら結晶を回転させて上方向に
引き上げることで単結晶を成長させた。るつぼは回転さ
せずに固定した状態とした。育成雰囲気は大気中とし
た。結晶の回転速度は2rpmで一定とし、引き上げ度
は0.5〜3.0mm/hの範囲で変化させた。育成した
結晶から2インチ径のウエハーが作成できるように、育
成の終始に渡って育成結晶成長重量をロードセルにより
測定しながら、結晶の直胴部の直径は約60mmになる
よう種付け直後から自動直径制御を行った。本実施例の
育成では、実施例1の二重るつぼを用いた場合のような
育成中の原料の供給は行わなかった。図3に得られたL
N単結晶の模式図を示す。
度のMgを添加した場合も、直径60mmで引き上げた
ところ、育成開始直後から約30mmまでは透明な単結
晶部61が育成できたが、その後共晶点に達し、共晶点
に達した以後に引き上げた部分は、LN単結晶ではな
く、セラミック層62であった。
(Nb2O5+Li2O)のモル分率を化学分析より求め
た。測定位置は種結晶60から5mm離れた結晶の軸中
心部を測定位置gとし、また、測定位置gから軸中心に
沿って種結晶60から離れる方向に10mm毎の位置で
2点とり、順に測定部h、iとした。測定試料は測定位
置を中心に7mm角の立方体形状として切りだした。表
5は、Li2O/(Nb2O5+Li2O)のモル分率の測
定結果を示す。また、これら試料のMg含有量に関する
測定も行い、結晶の含有量が融液に添加したMg濃度と
ほぼ同じであることを確認した。
のモル分率 無添加 0.05mol% 0.10mol% 0.20mol% 0.50mol% 1.00mol
% 3.00mol% 5.00mol% g 0.489 0.489 0.491 0.495 0.495 0.491 0.491 0.490 h 0.491 0.494 0.495 0.498 0.496 0.492 0.492 0.494 i 0.498 0.496 0.497 0.499 0.498 0.494 0.496 0.496
した。測定にはウエッジ法を使用した。表6に測定の結
果を示す。表から、Mgの添加量が0.1mol%未満
の場合は、種結晶から共晶点に近づくにしたがって、非
線形光学定数d33が徐々に増加している様子が分かる。
この増加は、育成中に原料の供給を行わなかったため
に、融液組成比が経時的に変動し、その結果生じたもの
と考えられる。一方、Mgの添加量が0.1mol%未
満の場合には、0.1mol%以上の場合に見られたよ
うな増加は見られない。測定位置gからiまでの距離1
0mm間においても非線形光学定数d33はほぼ一定値に
収まり、かつ0.2mol%以上では結晶全体でほぼ一
様に30pm/V以上という最大の値を示している。
/V) 無添加 0.05mol% 0.10mol% 0.20mol% 0.50mol% 1.00mol
% 3.00mol% 5.00mol% g 25.9 27.0 29.5 30.0 30.1 29.9 30.1 29.5 h 27.5 28.2 30.1 30.2 30.0 30.2 30.0 29.9 i 29.6 29.5 30.0 30.1 30.1 30.1 30.1 30.1
結晶を製造し、測定位置g〜iの各場所から、断面が1
0mm×10mmで厚みが1.0mmのz板試料を切り
出した。両z軸面に電極を形成した後、電圧を印加し、
結晶が分極反転を起こす電圧を測定した。表7に測定の
結果を示す。表から、Mgの添加量が0.1mol%未
満の場合は、種結晶から共晶点に近づくにしたがって、
分極反転電圧が徐々に減少している様子が分かる。この
減少は、育成中に原料の供給を行わなかったために、融
液組成比が経時的に変動し、その結果生じたものと考え
られる。一方、Mgの添加量が0.1mol%以上の場
合には、0.1mol%未満の場合に見られたような減
少は見られず、測定位置gからiまでの距離10mm間
においても反転電圧は0.5kV/mm以内に収まり、
かつ0.2mol%以上では結晶全体でほぼ一様に3.1
kV/mmという最小の値を示している。
% 3.00mol% 5.00mol% g 7.0 5.0 3.6 3.1 3.1 3.1 3.1 2.9 h 5.2 3.8 3.3 3.1 3.1 3.1 3.1 3.0 i 3.1 3.1 3.1 3.1 3.1 3.1 3.1 2.6
作られたLN単結晶に周期的に分極反転させて種々の光
機能素子を製作した。840nmまたは1064nmの
近赤外光の基本波に対して青色または緑色光を発生する
QPM素子の作成について示す。実施例1で得られた結
晶に関して、各々の濃度でMgを添加した結晶からウエ
ハーを1枚づつ切り出した。切り出したウエハーは、直
径が2インチで、厚みがそれぞれ0.3mm、0.5m
m、1.0mm、2.0mm、3.0mmを用意した。
+z面にリソグラフを用いて、厚み500nmのCr膜
を電極として櫛形のパターンを形成した。青色、および
緑色光の高調波を高効率で発生させるために1次のQP
M構造となるように電極の周期は3.0ミクロンおよび
6.8ミクロンとした。つぎに、+z面上に厚み0.5ミ
クロンの絶縁膜をオーバーコートし350℃で8時間保
存処理を施した。次に結晶の両z面に塩化リチウム水溶
電界液を介して電極に挟み、高電圧パルスを印加した。
LN単結晶に流れる電流は1キロオームの抵抗を通して
モニターした。
晶のy面を研摩、フッ酸・硝酸の混合液でエッチングし
て、分極反転格子の様子を観察した。各試料に関して、
この観察と分極反転を繰り返すことで、印加電圧のパル
ス幅や電流の最適化を行い、試料全体にわたって分極反
転格子幅比、およびその分極反転の形が理想的な各々
1:1(1:0.95〜1)に近づくようにした。
5mm、1.0mm、2.0mm、3.0mmのいずれの
場合でも、大半の試料に関してはほぼ1:1の分極反転
格子幅比を得ることができたが、Mg濃度が3mol%
より高い濃度の結晶では得ることができなかった。具体
的には、分極反転の直進性が悪く、隣同士がつながった
反転格子が多くの場所で形成される傾向が見られた。こ
れは、Mg濃度が高くなりすぎたために、電気抵抗が低
下し微細な周期的電圧印加が困難になったため、結晶の
不均質が発生し特にMgが多く含まれた場所が分極反転
の直進を妨げたためと思われる。つまり、分極反転させ
る素子作成を考えた場合には、Mg添加濃度は3mol
%以下とすることが望ましい。
0mmとした以外は実施例3と同様にして分極反転格子
を有する光機能素子を作成した。分極反転格子幅の目標
を5ミクロン毎とし、理想的な各々1:1(1:0.9
5〜1)に近づくようにした。実験の結果、大半の試料
に関してほぼ1:1(1:0.95〜1)の分極反転格
子幅比を得ることができたが、Mg濃度が3mol%よ
り高い結晶では得ることができなかった。
N単結晶にレンズやプリズム状の分極反転構造を作製し
電気光学効果を利用した偏向素子やシリンドリカルレン
ズ、ビームスキャナー、スイッチなどの光素子を製作し
た。直径2インチ、厚み0.2〜2.0mm、両面研摩
されたz−カットのLN単結晶を準備し、両z面に厚さ
約200ミクロンのAl電極をスパッタリングにより形
成し、リソグラフを用いて、レンズやプリズム状パター
ンを形成した。その後、+z面にパルス状の電圧を約
3.5KV/mm印加し分極を反転させた。さらに50
0℃で約5時間、空気中で熱処理を施した。これにより
分極反転に際して導入された屈折率の不均一性を解消さ
せた。さらに、結晶の端面を鏡面研磨仕上げを行い、レ
ーザー光の入出射面とした。
を形成したLN単結晶の電気光学効果を利用した光素子
の性能は、レンズやプリズム状の分極反転構造の設計や
分極反転構造の作製プロセスの精度、および材料の持つ
電気光学定数の大きさで決定された。ここで試作したレ
ンズやプリズム状パターンの分極反転構造で、特筆すべ
きことは、分極反転性の制御が非常に容易であることか
ら良好な素子特性が得られたことである。
転に大きな印加電圧が必要なために分極反転構造の制御
が困難であった。また、従来の一致溶融組成のLN結晶
これにMgOを5mol%以上添加したLN単結晶では
自発分極の反転の制御が悪いため精度の良いレンズやプ
リズム状の分極反転構造の作製は困難だった。
プリズム状の分極反転構造を作製し電気光学効果を利用
した偏向素子やシリンドリカルレンズ、ビームスキャナ
ー、スイッチなどの光素子を製作した場合には、このよ
うな問題は見られなかった。さらに本結晶は一致溶融組
成の結晶よりも大きな電気光学定数r33を有しているの
で、より小さな動作電圧でより優れたデバイス性能が得
られた。例えば偏向素子の場合には約600V/mmの
電圧で約6°と大きな偏向角が得られた。また、約10
0V/mm近傍で動作するレンズや、約500V/mm
でのスイッチング動作も得られた。
分極反転する実施例として電圧印加方法について詳しく
述べたが、本発明によれば1)Ti内拡散法。2)Si
O2装荷熱処理法。3)プロトン交換熱処理法。4)電
子ビーム走査照射法。など他の方法を用いた場合でも、
結晶の完全性と制御性に優れたストイキオメトリ組成L
N単結晶を用いることで、高精度に周期分極反転格子を
形成した光素子を実現することが可能である。
4nmの近赤外光の基本波に対して青色または緑色光を
発生するQPM素子を作成した実施例に付いて詳しく述
べたが、本発明によれば基本波がこの二つの波長に限る
ことはなく、LN単結晶が透明でかつ位相整合が可能で
ある波長域に関して適用することが可能である。さら
に、本発明のニオブ酸リチウム単結晶の分極構造を周期
的に反転させ、可視から近赤外域の波長を持った入射レ
ーザーの波長を短波長化あるいは長波長化させる光機能
素子は第二高調波発生素子に限らず光パラメトリック発
振器素子など、リモートセンシング、ガス検知をはじめ
とする各種の応用分野での適用が可能とされる。
O5の原料粉末を準備し、Li2O:Nb2O5の比が0.
56〜0.60:0.44〜0.40のLi成分過剰原料
と、Li2O:Nb 2O5=0.50:0.50の定比組成
原料を混合した。次に、1ton/cm2の静水圧でラ
バープレス成形し、それぞれを約1050℃の大気中で
焼結し原料棒を作成した。また、混合済みの定比組成原
料を連続供給用原料として、約1150℃の大気中で焼
結し、粉砕し、大きさが50ミクロン以上500ミクロ
ンのサイズの範囲で分級した。次に、二重るつぼ法によ
る単結晶育成に際して、作成したLi成分過剰原料から
なる原料棒を内側および外側るつぼに予め充填し、次に
るつぼを加熱してLi成分過剰な融液を作成した。Sc
添加の効果を確認する実験では、この充填の際に、市販
の高純度Sc2O3を内側および外側るつぼに予め充填し
た。充填するSc2O3の重量は、融液中のSc濃度が融
液中のNbに対して各々0.1、0.2、0.5、1.0、
3.0mol%の5種類の実験を行った。
を用いた。用いた二重るつぼの形状は、外るつぼの高さ
/直径の比を0.45としており、内るつぼ/外るつぼの
直径比は0.8とした。その大きさは外るつぼが直径1
50mm高さ67.5mm、内るつぼ36が直径120
mm、高さ75mmとした。内るつぼと外るつぼの間は
片側約15mmのスペースがあり、ここに原料をスムー
ズに落下した。
を成長させた。融液の温度を高周波発振機への投入電力
と高周波誘導コイルにより所定の温度に安定させた後、
Z軸方位に切り出した5mm×5mm×長さ70mmの
単一分極状態にあるLN単結晶を種結晶として回転支持
棒の下部に接続し、融液に付け、融液温度を制御しなが
ら結晶を回転させて上方向に引き上げることでScを添
加したLN単結晶を成長させた。育成雰囲気は大気中と
した。LN単結晶の回転速度は5〜8rpmの範囲内で
一定とし、引き上げ速度は0.5〜3.0mm/hの範囲
で変化させた。育成した結晶から2インチ径のウエハー
が作成できるよう結晶の直胴部に対し、自動直径制御を
行った。育成結晶成長重量をロードセルにより測定し、
結晶化した成長量に見合った量のLi2O/(Nb2O5
+Li2O)のモル分率が0.500の定比の原料を外側
るつぼに供給した。ここではLN単結晶の成長量変化が
コンピュータにより求められているので、原料粉末の供
給はLN種結晶から単結晶の育成が始まり直径制御が安
定化した時点から開始した。
た重量測定センサーを兼ね備えた密封容器内に保管した
粉末原料をセラミックスからなる供給管を通じて行っ
た。供給管及び密封容器に毎分200〜500ccの範
囲でガスを弁を具備するガス管を介して流入した。ガス
の流量は供給する原料粉末の単位時間当たりの量と粒径
によって最適化した。これによって、飛散や供給管内で
の詰まりのない円滑な原料供給を行った。育成中、貴金
属二重るつぼを回転させることで、供給した粉末原料の
融液との均質化と同時に、強制定に結晶成長界面を液面
に対してフラットもしくは凸になるよう融液の対流を制
御した。各々の組成において約1.5週間の育成によ
り、直径60mm,長さ110mmでクラックのない無
色透明のScを添加したLN結晶体を得た。
O5+Li2O)のモル分率を化学分析法および示差熱分
析法により求めた。試料の測定位置は種結晶から15m
m離れた結晶の軸中心部を測定位置aとし、また測定位
置aから軸中心に沿って種結晶から離れる方向に10m
m毎の位置を3点とり、順に測定部b、c、dとした。
測定試料は測定位置を中心に7mm角の立方体形状とし
て切りだした。
めることは難しく、LN結晶の場合Li2O/(Nb2O
5+Li2O)のモル分率で約0.001〜0.005程度
の誤差を含んでいる。そこで定比に近い組成のLN結晶
については非常に慎重に組成を分析し、さらに結晶組成
に敏感な物理量であるキュリー温度を示差熱分析法によ
り求めた。その結果、LN単結晶の場合、定比に近い組
成であってもSc等を添加した結晶ではLi2O/(N
b2O5+Li2O)のモル分率の値は0.005を超える
ことはなかった。また、これら試料のSc元素の含有量
に関する測定も行い、結晶の含有量が融液に添加したS
c濃度と同じで偏析係数はほぼ1であることを確認し
た。
定位置a〜dの各場所から、断面が10mm×10mm
で厚みが1.0mmのz板試料を切り出した。両z軸面
に電極を形成した後、電圧を印加し、結晶が分極反転を
起こす電圧を測定した。Scの添加量が0.1mol%
以上添加した場合には全てが3.4kV/mm以下の値
が得られた。これらの結晶では、内部電場が殆ど見られ
ず強誘電体のヒステリシス曲線(P-E曲線)の対称性に
優れることと、抗電場近傍でのP-E曲線の立ち上がりが
良いため測定値にもばらつきが少ないものと考えられ
る。
の量の添加結晶に比べて分極反転電圧は若干上回る傾向
にあることが分かる。一方、Scの添加量が3mol%
以上添加した場合には分極反転は小さくなるが、試料毎
のばらつきが大きくなる傾向が見られた。これは、強誘
電体のヒステリシス曲線(P-E曲線)の抗電場近傍でのP
-E曲線の立ち上がりがなだらかで悪いため分極反転電圧
の絶対値測定が困難になること、また、材料の電気抵抗
によることが原因であると考えられた。尚、同様の試料
形状、測定条件で溶融一致組成結晶の反転電圧を測定し
たところ場合によっては測定は困難であった。試料厚み
が0.2〜0.5mm程度の薄い試料で測定ができ、2
1.0kV/mmという非常に高い値であった。
した。我々はウェッジ法を用いた絶対測定を行い、測定
データに対して多重反射の効果を考慮した解析を行うこ
とによって、非線形光学定数の絶対値を正確に決定し
た。その結果、LN単結晶のような高屈折率の物質(n
> 2)に対する従来の値のほとんどは過大評価されてい
たことを明らかにし、溶融一致組成のLN結晶のd33を
測定したところ、文献で求められてる結果と良く一致す
る25.1pm/Vという値が得られた。測定に使用し
たレーザー光は単一縦モード連続発振の波長は1.06
4ミクロンである。Scの添加量が0.1mol%以上
添加した場合には、結晶のLi2O/(Nb 2O5+Li2
O)のモル分率が0.489から0.499の間で大きく
ばらついているにも関わらず、全てが30.0pm/V
以上の値であるのに対し、0.1mol%未満では、そ
れより若干劣る傾向にある。
結晶に関して、測定位置a〜dの各場所から、x、y、z
方位に5mm×3mm×2mmの試料を切り出した。両
z軸面に電極を形成した後、マッハツェンダー干渉法を
用いて試料の電気光学定数を測定した。これら定数のい
くつかは結晶組成に非常に敏感であると言うことが明ら
かにされた。すなわち、結晶のLi2O/(Nb2O5+
Li2O)のモル分率が0.490以上0.500未満の
LN単結晶では、従来の一致溶融組成LN単結晶と較べ
て電気光学定数r13は増大しないが、r33は約20%以
上増大し約36pm/V以上となり、一致溶融組成LN
単結晶の値の約31.5pm/Vに較べて非常に大きい
ことが明らかにされた。特に、電気光学定数に関しては
定比組成に近づくほど大きくなる傾向が見られた。ま
た、Scを添加した結晶では添加量が0.1mol%以
上添加した場合には38pm/V以上と更なる増加が見
られ、特に、約1mol%添加した結晶で最大の39.
5pm/Vが得られた。一方、Scの添加量が1mol
%よりも多くなると電気光学定数は徐々に低下する傾向
も見られた。
結晶に関して、測定位置a〜dの各場所から、x、y、z
方位に2mm×10mm×10mmの試料を切り出し
た。結晶のX方向に波長350,488,532nmの紫
外〜緑色レーザを入射し、その耐光損傷性を評価した。
光損傷が発生すると結晶中に屈折率の回折格子が形成さ
れるため通過ビームのプロファイルが大きく歪むので、
光損傷の有無を容易に判断することができる。Sc等を
添加しないLN結晶では結晶組成に関わらず数kW/c
m2程度の強度の入射で光損傷が発生した。
に改善され、結晶のLi2O/(Nb2O5+Li2O)の
モル分率が0.490以上0.500未満のLN単結晶で
は、Scの添加量が0.1mol%と僅かであっても数
MW/cm2の強度の光入射に対して安定であった。こ
れはMgを添加した場合よりも低濃度で大きな改善効果
があることが特徴であり、低濃度であることは結晶品質
を低下させることなく材料性能を向上させるという点で
非常に大きなメリットである。一方、Scを添加した結
晶では3mol%以上添加すると結晶育成が比較的困難
になり、また、結晶品質が劣化するため大きな材料性能
が発現できないというデメリットがあるということが確
認された。
作られたLN単結晶に周期的に分極反転させて種々の光
機能素子を製作した。840nmまたは1064nmの
近赤外光の基本波に対して青色または緑色光を発生する
QPM素子の作成について示す。実施例1で得られたS
cを添加した結晶からウエハーを切り出した。切り出し
たウエハーは、直径が2インチで、厚みがそれぞれ0.
3mm、0.5mm、1.0mm、2.0mm、3.0mm
を用意した。、両面に研摩を施したz軸方位に切り出
し、+z面にリソグラフを用いて、厚み500nmのC
r膜を電極として櫛形のパターンを形成した。青色、お
よび緑色光の高調波を高効率で発生させるために1次の
QPM構造となるように電極の周期は3.0ミクロンお
よび6.8ミクロンとした。つぎに、+z面上に厚み0.
5ミクロンの絶縁膜をオーバーコートし350℃で8時
間保存処理を施した。次に結晶の両z面に塩化リチウム
水溶電界液を介して電極に挟み、高電圧パルスを印加し
た。LN単結晶に流れる電流は1キロオームの抵抗を通
してモニターした。
晶のy面を研摩、フッ酸・硝酸の混合液でエッチングし
て、分極反転格子の様子を観察した。各試料に関して、
この観察と分極反転を繰り返すことで、印加電圧のパル
ス幅や電流の最適化を行い、試料全体にわたって分極反
転格子幅比、およびその分極反転の形が理想的な各々
1:1(1:0.95〜1)に近づくようにした。
5mm、1.0mm、2.0mm、3.0mmのいずれの
場合でも、大半の試料に関してはほぼ1:1の分極反転
格子幅比を得ることができたが、Sc濃度が3mol%
より高い濃度の結晶では得ることができなかった。具体
的には、分極反転の直進性が悪く、隣同士がつながった
反転格子が多くの場所で形成される傾向が見られた。こ
れは、Sc濃度が高くなりすぎたために、電気抵抗が低
下し微細な周期的電圧印加が困難になったため、結晶の
不均質が発生し特にScが多く含まれた場所が分極反転
の直進を妨げたためと思われる。つまり、分極反転させ
る素子作成を考えた場合には、Sc添加濃度は3mol
%以下とすることが望ましい。
N単結晶にレンズやプリズム状の分極反転構造を作製し
電気光学効果を利用した偏向素子やシリンドリカルレン
ズ、ビームスキャナー、スイッチなどの光素子を製作し
た。直径2インチ、厚み0.2〜2.0mm、両面研摩
されたzーカットのLN単結晶を準備し、両z面に厚さ
約200ミクロンのAl電極をスパッタリングにより形
成し、リソグラフを用いて、レンズやプリズム状パター
ンを形成した。その後、+z面にパルス状の電圧を約
3.5KV/mm印加し分極を反転させた。さらに50
0℃で約5時間、空気中で熱処理を施した。これにより
分極反転に際して導入された屈折率の不均一性を解消さ
せた。さらに結晶の端面を鏡面研磨仕上げを行い、レー
ザー光の入出射面とした。試作した分極反転構造による
屈折率の反転を形成したLN単結晶の電気光学効果を利
用した光素子の性能は、レンズやプリズム状の分極反転
構造の設計や分極反転構造の作製プロセスの精度、およ
び材料の持つ電気光学定数の大きさで決定された。
ンの分極反転構造で、特筆すべきことは分極反転性の制
御が非常に容易であることから良好な素子特性が得られ
たことである。さらに本結晶は一致溶融組成の結晶より
も大きな電気光学定数r33を有しているので、より小さ
な動作電圧でより優れたデバイス性能が得られた。例え
ば、偏向素子の場合には約600V/mmの電圧で約6
°と大きな偏向角が得られた。また、約100V/mm
近傍で動作するレンズや、約500V/mmでのスイッ
チング動作も得られた。
分極反転する実施例として電圧印加方法について詳しく
述べたが、本発明によれば1)Ti内拡散法。2)Si
O2装荷熱処理法。3)プロトン交換熱処理法。4)電
子ビーム走査照射法。など他の方法を用いた場合でも、
結晶の完全性と制御性に優れたストイキオメトリ組成L
N単結晶を用いることで、高精度に周期分極反転格子を
形成した光素子を実現することが可能である。
4nmの近赤外光の基本波に対して青色または緑色光を
発生するQPM素子を作成した実施例に付いて詳しく述
べたが、本発明によれば基本波がこの二つの波長に限る
ことはなく、LN単結晶が透明でかつ位相整合が可能で
ある波長域に関して適用することが可能である。さら
に、本発明のニオブ酸リチウム単結晶の分極構造を周期
的に反転させ、可視から近赤外域の波長を持った入射レ
ーザーの波長を短波長化あるいは長波長化させる光機能
素子は第二高調波発生素子に限らず光パラメトリック発
振器素子など、リモートセンシング、ガス検知をはじめ
とする各種の応用分野での適用が可能とされる。
ば、LN結晶のLi2O/(Nb2O5+Li2O)のモル
分率を完全に0.500にすることなしに、第三の元素
を加えることでLi2O/(Nb2O5+Li2O))のモ
ル分率が0.500であるLN結晶の非線形光学定数、
分極反転電圧および電気光学定数を有するLN結晶を高
効率に与えることができる。これを利用することによ
り、結晶全体に最高の波長変換特性および電気光学特性
を有する定比組成LN結晶を育成することができる。
である。
す模式図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 Liが定比組成よりも過剰な組成の融液
から育成されたニオブ酸リチウム単結晶において、M
g、Zn、Sc、Inの少なくとも一種以上の元素をニ
オブ酸リチウム単結晶に対して0.1〜3.0mol%
含有することを特徴とするLi2O/(Nb2O5+Li2
O)のモル分率が0.490以上0.500未満の間に
あるニオブ酸リチウム単結晶。 - 【請求項2】 請求項1に記載のニオブ酸リチウム単結
晶で、波長1.064ミクロンにおいて非線形光学定数
d33が26pm/V以上であることを特徴とするニオブ
酸リチウム単結晶。 - 【請求項3】 請求項1に記載のニオブ酸リチウム単結
晶で、室温で分極反転するために必要な印加電圧が3.
7kV/mm未満であることを特徴とするニオブ酸リチ
ウム単結晶。 - 【請求項4】 請求項1に記載のニオブ酸リチウム単結
晶で、波長0.633ミクロンにおいて電気光学定数r
33が36pm/V以上であることを特徴とするニオブ酸
リチウム単結晶。 - 【請求項5】 単結晶内に入射されたレーザー光の波長
を変換する光素子であって、請求項1から3のいずれか
に記載のニオブ酸リチウム単結晶の強誘電分極を反転さ
せた構造で疑似位相整合を行うことを特徴とする光素
子。 - 【請求項6】 素子のz軸方向の厚みが1.0mm以上
で、分極反転の周期が30ミクロン以下であることを特
徴とする請求項5に記載の光素子。 - 【請求項7】 分極反転の周期が5ミクロン以下である
ことを特徴とする請求項5または6に記載の光素子。 - 【請求項8】 単結晶の電気光学効果を利用して単結晶
内に入射されたレーザー光を制御する光素子であって、
請求項1、3または4のいずれかに記載のニオブ酸リチ
ウム単結晶の強誘電分極を反転させた構造の大きな屈折
率変化を利用して光の偏向、焦点、スイッチングを行う
ことを特徴とする光素子。 - 【請求項9】 Li2O/(Nb2O5+Li2O)のモル
分率が0.490以上0.500未満の間にあるニオブ
酸リチウム単結晶を、Liが定比組成よりも過剰な組成
の融液から引き上げる育成方法において、融液の組成変
動からくる結晶内の不定比欠陥による特性劣化を防ぎ、
かつ、高品質の結晶を育成するために、可視光領域で実
質的に吸収を持たないMg、Zn、Sc、Inの何れか
の元素を0.1〜3.0mol%含有した結晶が析出す
る組成融液を使用することを特徴とするニオブ酸リチウ
ム単結晶の製造方法。
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