JP4860605B2 - 波長変換素子 - Google Patents

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Description

本発明は、非線形光学素子に関する。本発明は、特に、光波長変換に用いる波長変換素子に関する。
近年、加工用途あるいはレーザディスプレイ等に用いる光源として高出力レーザ光源が注目されている。レーザ光源は、赤外光領域では、YAGレーザ等の固体レーザ、Yb、Nd等の希土類が添加されたファイバを用いたファイバレーザなどが開発されている。一方、可視光領域のレーザ光源、特に、赤色光および青色光領域のレーザ光源では、ガリウム・ヒ素、窒化ガリウム等を用いた半導体レーザが開発されており、高出力化も検討されている。しかし、半導体レーザから緑色光を直接的に発生させることは依然として困難である。そのため、前述の固体レーザ、ファイバレーザを用いて先ず赤外光レーザを得、その赤外光を非線形光学結晶である波長変換素子に通して波長変換することにより緑色光レーザを得る方法が一般に用いられている。
先述の半導体レーザが開発される以前にまで時代を遡れば、可視光領域から紫外光領域のレーザ光発生は、非線形光学結晶を用いた波長変換以外に方法は無いに等しかった。そのような技術的背景の下、ニオブ酸リチウム(LiNbO)、タンタル酸リチウム(LiTaO)、リチウムトリボレート(LiB)、βバリウムボレート(β−BaB)、リン酸チタニルカリウム(KTiOPO:KTP)、セシウムリチウムボレート(CsLiB10:CLBO)等、様々な非線形光学材料が、積極的に開発され、利用されてきた。
上で例として挙げた複数の光学材料の中でも、特に、ニオブ酸リチウム結晶は大きな非線形光学定数を有することが知られている。その大きな非線形光学定数により、ニオブ酸リチウム結晶を含む非線形光学結晶は高変換効率を示し、さらに、この結晶を用いる装置は、構成を簡単化可能である。故に、ニオブ酸リチウム結晶に分極反転技術を用いて形成された擬似位相整合(QPM)波長変換素子は、百mW程度のクラスの出力を有する装置によく用いられている。
例えば、ニオブ酸リチウム結晶(LN)やタンタル酸リチウム結晶(LT)を用いた擬似位相整合素子(QPM−LN素子)は、LBO結晶やKTP結晶よりも大きな非線形光学定数を有する。よって、高効率、高出力の波長変換が可能である。だが、QPM−LN素子は、狭い領域に光エネルギを集光する必要がある。そのため、実質的には、基本波および結晶内で基本波より発生する第2高調波による結晶破壊・劣化はKTP結晶等よりも起こりやすい。
また、数Wクラスの出力を有する装置において、リチウムトリボレート(LBO)、リン酸チタニルカリウム(KTP)などの非線形光学結晶が用いられている。前者LBO結晶は、基本波および結晶内で基本波より発生した第2高調波による結晶破壊・劣化が起こりにくいという有利な特徴を有するが、結晶の示す非線形光学定数は小さい。そのため、高変換効率を得るためには共振器を構成してその中に結晶を配置する必要があり、装置構成が複雑化し、緻密な調整を必要とするという不利点をも有する。後者KTP結晶の示す非線形光学定数は、LBO結晶のそれと比べて大きい。そのため、KTP結晶は、LBO結晶のように共振器を構成せずとも高変換効率を得ることができる。しかしながら、KTP結晶は、基本波および結晶内で基本波より発生した第2高調波による結晶破壊・劣化が起こりやすいという不利点を有する。
上述の結晶劣化には、光による屈折率変化(フォトリフラクティブ)が含まれる。従来、結晶劣化の一つであるフォトリフラクティブを抑制するには結晶中の吸収ピークを生じさせる不純物を可能な限り除去し、それでもなお発生する空孔、または、結晶を構成する元素が本来と違うサイトに存在するアンチサイト欠陥により発生する電荷を補償するために、酸化マグネシウムや酸化亜鉛を添加して透過率の吸収端をより短波長側にシフトさせるよう制御したり可視域の透過率を改善したりするのが一般的であった。
特許文献1は、結晶(ニオブ酸リチウム(LN)およびタンタル酸リチウム(LT))に添加物を導入することにより、また、特許文献2は、結晶組成を理想的な組成(化学量論:ストイキオメトリー組成)に近づけることが出来る方法を用いて結晶育成することにより、光による屈折率変化(フォトリフラクティブ)の抑制を試みている。
しかし、現在のところ、上記特許文献1および特許文献2の試みをもってしても結晶破壊・劣化を完全に抑制するには至っていない。
このように、非線形光学結晶にはそれぞれに有利点および不利点があり、不利点の完全な抑制に成功していない現状において、非線形光学結晶の有利点と不利点は、トレードオフの関係性を有する。そのため、現状においては、我々はこのトレードオフの関係性を考慮しつつ用途に応じて使用する結晶を決定せねばならない。
また、特許文献3は、複数個の波長変換素子を有する波長変換器を開示する。図1は、特許文献3に記載の波長変換器の構成概略図である。この波長変換器は、2つの波長変換素子102a、102bのそれぞれに入力する基本波のパワー密度を低く抑えることにより波長変換素子の劣化を抑止すると共に、波長変換器全体の変換効率を向上させる。しかしながら、このような装置構成を有する波長変換器は、高い製造コスト、装置調整の煩雑さ等の問題を含む。
特開平06−16500号(特許第3261594号)公報 特開2002−72266号(特許第3424125号)公報 特開平11−271823号公報
本発明の課題は、波長変換素子の提供である。本発明は、素子内部に存在する紫外光に起因した、結晶破壊および第2高調波の出力飽和が生じない、または、少なくとも従来よりも結晶破壊および第2高調波の出力飽和がよく抑制された波長変換素子を提供する。
本発明は、第1の態様において、波長λを有する光である基本波を受けて波長λ/2を有する光である第2高調波と、基本波と第2高調波の和周波である第3高調波を出力する波長変換素子であって、Sc、Y、La、Ce、G、Yb、および、Luからなる群から選択される少なくとも1つの元素を添加物として含む結晶を含んでなり、出力する第2高調波のパワー密度が50kW/cm 以上であり、基本波の波長が800ないし1110ナノメートルであり、第2高調波の波長が400ないし555ナノメートルであり、第3高調波の波長が370ナノメートル以下であり、結晶は、ニオブ酸リチウムLiNbO 結晶またはタンタル酸リチウムLiTaO 結晶のみからなる波長変換素子である。
本発明は、第2の態様において、波長λを有する光である基本波を受けて波長λ/2を有する光である第2高調波と、基本波と第2高調波の和周波である第3高調波を出力する波長変換素子であって、Sc、Y、La、Ce、G、Yb、および、Luからなる群から選択されるいずれか1つの元素を添加物として含む結晶を含んでなり、出力する第2高調波のパワー密度が50kW/cm 以上であり、基本波の波長が800ないし1110ナノメートルであり、第2高調波の波長が400ないし555ナノメートルであり、第3高調波の波長が370ナノメートル以下であり、結晶は、ニオブ酸リチウムLiNbO 結晶またはタンタル酸リチウムLiTaO 結晶のみからなる波長変換素子である。
本発明の第1および第2の態様において、添加物は、Ceであることが好ましい。
あるいは、本発明の第1および第2の態様において、添加物は、Sc、Y、La、Gd、Yb、または、Luであることが好ましい。
好ましくは、添加物は、Luである。
さらに好ましくは、添加物は、Yである。
さらに好ましくは、添加物は、Ybである。
さらに好ましくは、添加物は、Laである。
さらに好ましくは、添加物は、Scである。
さらに好ましくは、添加物は、Gdである。
本発明の第1および第2の態様において、添加物は、3価の酸化物として結晶に添加されることが好ましい。
本発明の第1および第2の態様において、結晶は、ニオブ酸リチウム単結晶であることが好ましい。
本発明の第1および第2の態様において、結晶は、タンタル酸リチウム単結晶であることが好ましい。
本発明の第1および第2の態様において、結晶であるニオブ酸リチウム単結晶は、さらに、酸化マグネシウムおよび酸化亜鉛のいずれか1つを添加物として有することが好ましい。
本発明の第1および第2の態様において、結晶であるタンタル酸リチウム単結晶は、さらに、酸化マグネシウムおよび酸化亜鉛のいずれか1つを添加物として有することが好ましい。
本発明は、第3の態様において、レーザ光源と、本発明の第1および第2の態様による波長変換素子を備え、波長変換素子がレーザ光源の発するレーザ光を受けて発生させるレーザ光の第2高調波を出力レーザ光として出射するレーザ光源装置であって、出力レーザ光の波長は、480ないし555nmの範囲に含まれ、出力レーザ光の出力は、1.2W以上であるレーザ光源装置である。
本発明の第3の態様において、出力レーザ光の出力は、2.5W以上であることが好ましい。
本発明は、第4の態様において、レーザ光源と本発明の第1および第2の態様による波長変換素子でありかつ特にSc、Y、La、Gd、Yb、および、Luの少なくともいずれか1つを添加物として含む波長変換素子を備え、波長変換素子がレーザ光源の発するレーザ光を受けて発生させるレーザ光の第2高調波を出力レーザ光として出射するレーザ光源装置であって、出力レーザ光の波長は、400ないし480nmの範囲に含まれ、出力レーザ光の出力は、1.2W以上であるレーザ光源装置である。
本発明の第4の態様において、出力レーザ光の出力は、2.0W以上であることが好ましい。
本発明は、第5の態様において、光源とスクリーンを備える画像表示装置であって、光源が、本発明の第1および第2の態様による波長変換素子を備える画像表示装置である。
本発明の波長変換素子は、第2高調波高出力時において、素子内部における紫外光の存在に起因する結晶破壊および第2高調波の出力飽和がよく抑制される。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
本願の発明者は、QPM−LN素子を用いて数Wの高調波出力を得る場合、QPM−LN素子内部においては、その大きな非線形光学定数のため、入力である赤外光(基本波)とその相互作用より素子内で発生した緑色光(第2高調波)とが位相整合条件からはずれた場合においても相互作用し、基本波と第2高調波の和周波である紫外光(第3高調波)が発生することを発見した。この発見により、紫外光の存在に起因した第2高調波の出力飽和、および、結晶破壊が素子内部において生じていることが明らかになった。
図2は、素子に波長λの基本波が入力された場合に素子(例えば、QPM−LN素子)内で生じる相互作用の略図である。基本波は、素子内において相互作用し、基本波の一部が波長(λ/2)の第2高調波に変換される。さらに、基本波と第2高調波は素子内において相互作用し、一部が波長(λ/3)の第3高調波に変換される。基本波波長(λ)が所定の範囲内に含まれる場合、第3高調波波長(λ/3)は紫外光となる。例えば、λが1110nm以下の場合、第3高調波は、波長(λ/3)370nm以下の紫外光となり、素子内を紫外光(波長370nm以下)が伝播する。素子内に波長370nm以下の紫外光が存在する場合、その紫外光が原因となって緑色光(第2高調波)の吸収を誘起し、吸収されたエネルギが熱に変換され、よって、素子の緑色光(第2高調波)出力飽和、および、熱による結晶破壊が生じる。
紫外光に起因する結晶破壊は、素子によっても異なるが、緑色光である第2高調波の出力に関し、およそ2.5〜2.8W以上(素子内部ビームウエスト部分における緑色光のパワー密度に関し50kW/cm〜80kW/cm以上、または、素子内部ビームウエスト部分における基本波のパワー密度に関し250kW/cm以上、)になった場合に発生し始める(但し、素子の温度に依存してこれらの閾値は変化する。)。第2高調波として緑色光よりもさらに短波長の光を発生させる場合、結晶破壊発生の閾出力値はさらに低下する。第2高調波として青色光を発生させる場合では、青色光出力がおよそ2W以上になった場合に結晶破壊が発生し始める。
この、紫外光による結晶破壊の問題は、特許文献1に記載されているような、不純物添加LN、LT結晶や、特許文献2に記載されているストイキオメトリー組成のLN(SLN)、LT(SLT)を用いても、抑制できないことが実験より判明している。
本発明にかかる実施形態による波長変換素子は、従来の波長変換素子における紫外光に起因した、結晶破壊および第2高調波の出力飽和の問題を解決する。本発明にかかる実施形態による波長変換素子は、結晶に所定の希土類元素の少なくとも1種類を添加(ドープ)してなる非線形光学材料を有する波長変換素子である。
本発明にかかる波長変換素子に含まれる非線形光学材料は、添加物として所定の希土類元素の少なくとも1種類を含む。この非線形光学材料は、添加された希土類イオンの働きにより、所定のスペクトル帯に吸収ピークを有する。本発明にかかる波長変換素子に対し、所定の波長を有する光を基本波として入力した場合、波長変換素子内において発生する第3高調波の波長は、上記希土類イオンの吸収スペクトル帯に含まれ、よって第3高調波は希土類イオンに吸収される。
吸収された第3高調波のエネルギは、希土類イオンの電子の励起−緩和過程により、熱、または、第3高調波より長波長の光に変換される。希土類イオンの第3高調波吸収により、(従来の波長変換素子において問題であった)内在第3高調波(紫外光)に起因する第2高調波吸収が抑制され、第2高調波(例えば、緑色光)高出力時における出力飽和の問題は回避される。また、吸収された第3高調波のエネルギは、その一部が熱に変換され、残る部分は第3高調波よりも長波長の光に変換される。故に、波長変換素子内で発生する熱量も低く抑えられ、(従来の波長変換素子において問題であった)結晶破壊も回避される。
図3は、本発明にかかる実施形態による波長変換素子に所定波長(λ)の基本波が入力された場合に素子内で生じる相互作用の略図である。基本波(λ)は、素子内において相互作用し、その一部が第2高調波(波長λ/2)に変換される。さらに、基本波(λ)と第2高調波(λ/2)が素子内において相互作用し、一部が第3高調波(波長λ/3)に変換される。λが所定の範囲に含まれる場合においては、第3高調波(λ/3)は紫外光領域の光である。このとき、第3高調波の波長(λ/3)は、ドープされた希土類イオンの吸収スペクトル帯に含まれる。よって、紫外光(第3高調波(λ/3))は、添加された希土類イオンに吸収され、熱、および、第3高調波よりも長波長の光に変換される。そのため、第2高調波と第3高調波の相互作用は、殆ど発生せず、内在紫外光に起因する第2高調波の出力飽和および結晶破壊はよく抑制される。
(実施の形態1)
本発明にかかる第1の実施形態による波長変換素子は、結晶に希土類元素の1つであるプラセオジム(Pr)が添加してなる非線形光学材料を有する波長変換素子である。
<結晶育成方法>
先ず、プラセオジムイオン(Pr3+)を添加したニオブ酸リチウム(Pr:LN)の結晶育成方法について説明する。
通常、ニオブ酸リチウムは結晶育成法の一つであるチョクラルスキー法を用いて作製される。以下、図4を参照しながらPr3+を添加したニオブ酸リチウム(Pr:LN)の作製方法について説明する。
まず、純度4Nの炭酸リチウム(LiCO)と酸化ニオブ(Nb)および酸化プラセオジム(Pr)を秤量し、1100℃で10時間仮焼する。この場合、酸化プラセオジム添加量は、モル比、Pr/(LiNbO+Pr)において0.05mol%としている。このようにして作製した原料を直径100mm、高さ100mmの白金るつぼ205に入れ、加熱装置(図示せず)の高周波誘導加熱により溶融させる。原料を補給しながら溶融させる操作を繰り返し、原料融液203がるつぼ205に満たされたところで、融液203表面の温度を1260℃になるよう設定し、ニオブ酸リチウムの種結晶202を導入する。本実施形態では、引き上げ方向を結晶の誘電主軸であるz軸方向(結晶軸方向ではc軸)とし、2日間程度で、約30mmPr:LiNbO単結晶204を得る。このときの種結晶202の回転速度は20rpm、引き上げ速度は2mm/hとする。
酸化プラセオジム添加量のモル比は、0.5mol%程度を上限とすることが望ましい。0.5mol%以下であれば、任意の添加量を選択し、結晶を育成することは容易である。添加量のモル比は、0.01ないし0.1mol%が好ましく、さらに好ましくは、0.01ないし0.05mol%である。
図4(a)に示すように本実施形態では結晶育成装置として、原料を連続的に導入できる結晶育成炉を使用する。その機構について図4(a)を参照して説明する。結晶の原料は白金るつぼ205に満たされており、引き上げロッド201に固定された種結晶202を融液203に接触させ、徐々に引き上げることで単結晶204を成長させる。(図4(b)にその拡大図が示される)白金るつぼ205には白金製のガイド206が設けられており、2重構造のるつぼとなっている。ガイド206の下部には隙間が空いており、その隙間から融液の行き来が出来るようになっている。このるつぼ203は結晶育成中、ロードセル1および2(重量モニター)207aおよび207bによりその重さの計量が可能であり、ロードセル1および2(207aおよび207b)と接続されたコントロールPC208により結晶化による重量減少分だけ原料供給装置209より原料が供給される仕組みとなっている。このような仕組みとすることで、結晶の引き上げ方向に沿って上部と下部で添加物の組成が変化する偏析を防止する。
育成した結晶体の上部(ショルダ)と下部(テール)部分を切断し、単一分域化処理を行い、z軸と垂直な方向にカット及び表面を端面研磨してPr:LN(プラセオジムイオン(Pr3+)を添加したニオブ酸リチウム(Pr:LiNbO))ウエハ(z板)を得る。
<透過スペクトル測定結果>
このようにして得たPr:LNウエハの透過スペクトルを分光光度計により測定した。図5は、Pr:LNウエハの透過率のスペクトル特性図である。本図において、横軸は、波長[nm]とし、縦軸は、透過率[%]とする。測定対象Pr:LNウエハは、酸化プラセオジム添加量のモル比に関し、0.01mol%、0.05mol%、および、0.1mol%の3種のPr:LNウエハとした。以後、酸化プラセオジム添加量モル比xmol%のPr:LNを、xmol%Pr:LNと表記する。本図は、0.01mol%Pr:LN透過率曲線501、0.05mol%Pr:LN透過率曲線505、0.1mol%Pr:LN透過率曲線510をプロットする。また、本図には、理解を助けるため、赤外光を基本波(λ)とした場合における第2高調波(λ/2)(緑色光)および第3高調波(λ/3)(紫外光)のスペクトル帯に、網掛けを施している。
本図を参照すれば、3つの透過率曲線501、505、および、510は、共通して、緑色光領域に含まれる波長542nm付近において、実質的に平坦でありかつ高い透過率特性を示すと共に、紫外光領域に含まれる波長361nm付近においては、波長542nm付近との比較において相対的に低い透過率特性を示す。つまり、測定対象となった3種のPr:LNウエハは、共通して、542nm付近の波長の光をよく透過し、361nm付近の波長の光をよく吸収する。よって、波長(λ:λ≒1084nm付近)の赤外光を基本波とした場合、これら3種のPr:LNウエハは、共通して、第2高調波(λ/2:λ/2≒542nm)付近の緑色光をよく透過し、第3高調波(λ/3:λ/3≒361nm)付近の紫外光をよく吸収する。
従来、波長変換に用いる非線形光学結晶の吸収端は出来るだけ短い方がよいとされており、吸収を生じさせる元素を出来るだけ排除する方法が一般的であった。ニオブ酸リチウムのように大きな非線形光学定数から予期しない高調波(例えば、第3高調波)が発生し、必要な高調波(例えば、第2高調波)の吸収を誘起することは、全く着目されていなかった。それに対し、本発明にかかる波長変換素子を構成する非線形光学材料は、第3高調波付近に吸収線を有し、不要な第3高調波を吸収・除去し、紫外光(例えば、第3高調波)が誘起する緑色光(例えば第2高調波)の吸収を抑制する。第3高調波の発生によって第2高調波の吸収が誘起される現象を抑制するには、本発明のように、結晶に第3高調波を吸収させる方法が最も望ましい。本実施形態による非線形光学結晶は、吸収した第3高調波のエネルギを熱と光に変換する。具体的には、プラセオジム(Pr)は、第3高調波のエネルギを、熱、および、波長515nm〜555nmの光に変換する。そのため、第2高調波の出力増加に伴う結晶の発熱量の増加はよく抑制される。また、例えば、別の希土類元素であるユーロピウム(Eu)は、第3高調波のエネルギを、熱、および、波長610nm〜660nmの光に変換する。このように、添加する希土類元素を変更することにより、変換され出力される光の波長を制御することも可能である。
<緑色光吸収率測定結果>
次に、非線形光学材料内に存在する紫外光に起因する、緑色光の吸収を評価する測定を行った(以後、この測定を「水銀ランプ照射試験」と呼ぶ)。
図6は、水銀ランプ照射試験で用いる測定光学系の模式図である。この測定光学系は、光源であるグリーン光源401、レンズ402、水銀ランプ405、透過光のパワーを測定するパワーメータ404を有する。グリーン光源401は、YAGレーザを備え、YAGレーザの発するレーザ光から第2高調波(波長532nm、25mW)を発生させる素子を備え、波長532nmの光(532nm光)を出射することができる。レンズ402は、焦点距離25mmを有するレンズであり、結晶サンプル403において焦点を結ぶ位置に配される。測定対象である結晶サンプル403は、基板厚1mm、ビームパスが25mmとなる寸法にカット・研磨された測定対象の結晶である。水銀ランプ405は、結晶サンプル403上方より紫外光406を結晶サンプル403に向けて照射可能である。紫外光406照射時、および、紫外光406非照射時における532nm光の結晶サンプル403透過量を、透過した532nm光のパワーをパワーメータ404で測定することにより求める。
紫外光非照射時における透過532nm光パワーと紫外光照射時における透過532nm光パワーの差と、紫外光非照射時における透過532nm光パワーの比をもって、吸収率とする。図7は、水銀ランプ照射試験(緑色光吸収率測定)の結果を示す図である。本図において、横軸は、吸収率の百分率とし、縦に、3種の結晶サンプル403を配し測定結果を示す。3種の結晶サンプル403は、本実施形態で育成したPr:LiNbO、ならびに、リファレンスである、non−dope LiNbO、および、MgOを5mol%添加したMgO:LiNbOである。
従来良く用いられている、光損傷抑止を目的としてMgOが添加されたMgO:LiNbOは、紫外光を照射した場合、非照射時と比べて透過率が15%ほど低下することがわかる。一方、non−dopeのLiNbOおよび本実施形態で育成したPr:LiNbOは透過率低下が発生していない。つまり、Prを添加することにより、紫外光が誘起する緑色光吸収がよく抑制されていることがわかる。なお、non−dopeのLiNbOは、先述の通り光による屈折率変化(劣化)が起こりやすいため、波長変換素子には不適であることを注記する。
<Pr:LiNbOを用いた波長変換素子>
次に、Pr:LiNbOを用いた波長変換素子について説明する。
≪波長変換素子の形成≫
育成により得たPr:LiNbOウエハに対しフォトプロセスを行って電極を形成し、電界を印加することで分極反転処理を行う。まず、結晶の誘電主軸であるz軸方向が基板表面に垂直となるような(z板)、両面光学研磨された基板上(本実施の形態では1mm厚)に電極材料となる金属膜を蒸着する。続いて、フォトレジストを塗布し、密着露光法により電極パターンをパターニングする。その後、ドライエッチング装置により金属電極を形成する。それから、金属膜の上に誘電体を形成し、電極に直流のパルス列(回数5000回、パルス幅0.5msec)を引加して結晶に分極反転構造を形成する。このときの反転周期は1084nmの第2高調波が発生する周期であるΛ=7.36μmとし、波長変換素子長を25mmとする。
≪Pr:LiNbO結晶波長変換素子特性評価≫
このようにして形成した素子について、波長変換特性評価を行う。ここで、波長変換特性は、入力である基本波のパワーを変えて出力される第2高調波のパワーを測定することにより行う。図8は、波長変換特性評価に用いた光学系の概略図である。本光学系は、基本波光源601、集光レンズ602、再コリメートレンズ604、および、波長分離フィルタ606を備え、さらに、波長変換素子である分極反転素子603の温度管理を行うペルチェ素子605を備える。基本波光源601は、発振波長1084nmのYbドープファイバレーザを含み、赤外光(平行光:ビーム径760μm)を出射することができる。集光レンズ602は、f=30mmを有し、基本波光源601の出射する赤外平行光を、ペルチェ素子605に固定された分極反転素子603内に集光する。再コリメートレンズ604は、分極反転素子603から出射する光を再コリメーションして波長分離フィルタ606に送る。波長分離フィルタ606は、分極反転素子603から出射した光を基本波(ω)と第2高調波(2ω)に分離し、(図示しない)パワーメータで第2高調波のパワーを測定する。また、ペルチェ素子605は、特性評価の間、分極反転素子603を摂氏約25度に温度管理する。
図9は、本特性評価の結果を示すグラフである。本図において、横軸は、分極反転素子603に入力される基本波のパワー[W]であり、縦軸は、パワーメータが測定した2倍波(第2高調波(2ω))のパワー[W]である。本特性評価結果は、分極反転素子603として、従来のMgOを5mol%添加したMgO:LiNbOおよび本実施形態で育成したPr:LiNbOに分極反転構造を形成した波長変換素子の2種類を用いた。
先ず、従来の結晶素材であるMgO:LiNbOに分極反転構造を形成した分極反転素子(波長変換素子)の特性曲線901に注目すれば、曲線901は、第2高調波出力が1.2Wを超えるあたりで明らかな屈曲を示し、そこから出力1.7Wに至る範囲の曲線901の傾きは、低出力時(1.2W以下)の傾きに較べて小さくなっている。これは、基本波と第2高調波の相互作用で発生する第3高調波(紫外光)による第2高調波(緑色光)吸収の発生に起因する。さらに、曲線901は、第2高調波出力が1.7Wを超えたあたりで再度明らかな屈曲を示しており、出力1.7W以上の領域(入力がおよそ8Wを超える領域)においては、曲線901の傾きは、出力1.2Wないし1.7Wの領域に較べてさらに小さくなっている。これは、第2高調波出力飽和の発生を示す。そして、最終的には、第2高調波(緑色光)の出力が2.5Wに達したあたりで結晶に内部ダメージ損傷(結晶破壊)が発生し、2.5W以上の出力を得ることはできなかった。
対照的に、本実施形態によるPr:LiNbOに分極反転構造を形成した分極反転素子(波長変換素子)の特性曲線903は、第2高調波出力が増加するにつれ、理論値特性曲線905との比較においては、変換効率の低下が若干拡大するものの、第3高調波(紫外光)による第2高調波(緑色光)吸収の発生(例えば、曲線901における出力1.2W近傍)、および、第2高調波の出力飽和の発生(例えば、曲線901における出力1.7W近傍)はよく抑制され、第2高調波出力が2.5Wを超えても結晶破壊は見られず、4Wを超える第2高調波出力を得ることができた。これは、添加したプラセオジム(Pr)による紫外光吸収の効果である。なお、理論値曲線905は、理論式をオーダー評価して得た2次多項式による放物曲線である。
本実施形態によるPr:LiNbO結晶に分極反転構造を形成した分極反転素子を含む波長変換素子は、赤外光を基本波として入力し緑色光を第2高調波として出力する場合において、1.2W以上の第2高調波(緑色光)出力を得る場合に有利であり、1.7W以上の第2高調波出力を得る場合にはなおさらに有利である。ここで、第2高調波は、例えば、波長:480ないし560nmの緑色光であってよく、その場合、基本波は、波長960ないし1120nmの赤外光であればよい。なおさらには、第2高調波は、波長480ないし555nmの緑色光であることが望ましく、その場合、基本波は、波長960ないし1110nmの赤外光であればよい。
なお、本実施形態による波長変換素子に用いる非線形光学材料は、結晶内に添加物として、プラセオジム(Pr)の他、セリウム(Ce)、および、ユウロピウム(Eu)を含むことができる。Pr、Ce、および、Euは、共通して紫外光を吸収し、吸収した紫外光のエネルギを熱および光に変換することができる。Prは、紫外光のエネルギを熱、および、波長515nm〜555nmの光に変換することができる。Ceは、紫外光のエネルギを熱、および、波長430nm〜470nmの光に変換することができる。また、Euは、紫外光のエネルギを熱、および、波長610nm〜660nmの光に変換することができる。
好ましくは、本実施形態による波長変換素子に用いる非線形光学材料は、結晶内に添加物として、少なくともプラセオジム(Pr)、セリウム(Ce)、および、ユウロピウム(Eu)のいずれか1つ以上を含む。
さら好ましくは、本実施形態による波長変換素子に用いる非線形光学材料は、結晶内に添加物として、少なくともプラセオジム(Pr)、および、セリウム(Ce)のいずれか1つ以上を含む。なぜなら、PrおよびCeは、Euにおいて存在する緑色光領域(波長500nm〜550nm)の小さな吸収ピークを持たないからである。そのため、PrおよびCeのいずれか1つ以上を含む波長変換素子は、高効率な波長変換が可能である。
さらに好ましくは、本実施形態による波長変換素子に用いる非線形光学材料は、結晶内に添加物として、プラセオジム(Pr)を含む。なぜなら、Prの紫外光吸収能は、Ceの紫外光吸収能に優るからである。Prは緑色光領域において優れた透明性を有し、かつ、紫外光吸収能に優れる点で添加物として最も望ましい。
上記3種の希土類元素の添加による紫外領域の光の吸収能の向上は、Prを添加した場合が最も大きく、次にCeが大きい。さらにその次にEuが大きい。上記3種の希土類元素は、いずれも本実施形態による波長変換素子に適するが、紫外光領域の光の吸収能が高ければ高い程より有利である。
上記3種の希土類元素添加物に関し、共通に、上述した酸化プラセオジムの例と同様、酸化物の添加量のモル比では、0.5mol%程度を上限とすることが望ましい。0.5mol%以下であれば、任意の添加量を選択し、結晶を育成することが容易である。添加量モル比は、0.01ないし0.1mol%が好ましく、さらに好ましくは、0.01ないし0.05mol%である。
(実施の形態2)
本発明にかかる第2の実施形態による波長変換素子は、結晶に希土類元素の1つであるガドリニウム(Gd)を添加してなる非線形光学材料を有する波長変換素子である。
<結晶育成方法>
先ず、ガドリニウムイオン(Gd3+)を添加したニオブ酸リチウム(Gd:LN)の結晶育成方法について説明する。
ガドリニウムイオン(Gd3+)を添加したニオブ酸リチウム(Gd:LN)の結晶育成方法は、第1の実施形態において説明した結晶育成方法と同様である。
まず、純度4Nの炭酸リチウムと酸化ニオブおよび酸化ガドリニウム(Gd)を秤量し、1100℃で10時間仮焼する。この場合、酸化ガドリニウム添加量は、モル比、Gd/(LiNbO+Gd)において0.05mol%としている。このようにして作製した原料を直径100mm、高さ100mmの白金るつぼ205(図4(a)および(b)参照。)に入れ、加熱装置(図示せず)の高周波誘導加熱により溶融させる。原料を補給しながら溶融させる操作を繰り返し、原料融液203(図4(a)および(b)参照。)がるつぼ205に満たされたところで、融液203表面の温度を1260℃になるよう設定し、ニオブ酸リチウムの種結晶202を導入する。本実施形態では、引き上げ方向を結晶の誘電主軸であるz軸方向(結晶軸方向ではc軸)とし、2日間程度で、約30mmGd:LiNbO単結晶204を得る。このときの種結晶202の回転速度は20rpm、引き上げ速度は2mm/hとする。
酸化ガドリニウム添加量のモル比は、0.5mol%程度を上限とすることが望ましい。0.5mol%以下であれば、任意の添加量を選択し、結晶を育成することは容易である。添加量のモル比は、0.05ないし0.5mol%が好ましく、さらに好ましくは、0.05ないし0.1mol%である。
第1の実施形態同様、結晶育成装置として、2重るつぼを用いて原料を連続的に導入できる結晶育成炉を使用する。このような仕組みとすることで、結晶の引き上げ方向に沿って上部と下部で添加物の組成が変化する偏析を防止する。
育成した結晶体の上部(ショルダ)と下部(テール)部分を切断し、単一分域化処理を行い、z軸と垂直な方向にカット及び表面を端面研磨してGd:LN(ガドリニウムイオン(Gd3+)を添加したニオブ酸リチウム(Gd:LiNbO))ウエハ(z板)を得る。
<透過スペクトル測定結果>
第1の実施形態同様、得たGd:LNウエハの透過スペクトルを分光光度計により測定した。図10は、Gd:LNウエハの透過率のスペクトル特性図である。測定対象Gd:LNウエハは、酸化ガドリニウム添加量のモル比に関し、0.05mol%、および、0.1mol%の2種のGd:LNウエハとした。以後、酸化ガドリニウム添加量モル比xmol%のGd:LNを、xmol%Gd:LNと表記する。本図は、0.05mol%Gd:LN透過率曲線1005、0.1mol%Gd:LN透過率曲線1010をプロットする。また、本図には、理解を助けるため、赤外光を基本波(λ)とした場合における第2高調波(λ/2)(緑色光)および第3高調波(λ/3)(紫外光)のスペクトル帯に、網掛けを施している。
本図を参照すれば、2つの透過率曲線1005、および、1010は、共通して、緑色光領域に含まれる波長542nm付近において、実質的に平坦でありかつ高い透過率特性を示すと共に、紫外光領域に含まれる波長361nm付近においては、波長542nm付近との比較において相対的に低い透過率特性を示す。つまり、測定対象となった2種のGd:LNウエハは、共通して、542nm付近の波長の光をよく透過し、361nm付近の波長の光をよく吸収する。よって、波長(λ:λ≒1084nm付近)の赤外光を基本波とした場合、これら2種のGd:LNウエハは、共通して、第2高調波(λ/2:λ/2≒542nm)付近の緑色光をよく透過し、第3高調波(λ/3:λ/3≒361nm)付近の紫外光をよく吸収する。また、本実施形態のGd:LNウエハは、第1の実施形態によるPr:LNウエハの場合(図5参照。)と比較対照すれば、Pr:LNウエハの場合と同様に第3高調波(波長≒361nm)において吸収が大きく、同時に、可視光および赤外光領域のほぼ全領域において、極めて平坦でありかつ高い透過特性を示す。このことは、Gd:LNウエハを用いた波長変換素子である第2の実施形態に特有の有利点である。
純結晶が本来有する吸収端を長波長シフトした非線形光学材料を用いるという考えは、従来の結晶材料設計から考えると正反対の考え方であるが、不用意に発生する高次高調波の低減には最も望ましい方法である。
<緑色光吸収率測定結果>
第1の実施形態と同様の方法(水銀ランプ照射実験(図6参照。))で非線形光学材料内に存在する紫外光に起因する緑色光の吸収を評価する測定を行った。
図11は、水銀ランプ照射試験(緑色光吸収率測定)の結果を示す図である。本図において、横軸は、吸収率の百分率とし、縦に、3種の結晶サンプル403を配し測定結果を示す。3種の結晶サンプル403は、本実施形態で育成したGd:LiNbO、ならびに、リファレンスである、non−dope LiNbO、および、MgOを5mol%添加したMgO:LiNbOである。
従来良く用いられている、光損傷抑止を目的としてMgOが添加されたMgO:LiNbOは、紫外光を照射した場合、非照射時と比べて透過率が15%ほど低下することがわかる。一方、non−dopeのLiNbOおよび本実施形態で育成したGd:LiNbOは透過率低下が発生していない。つまり、Gdを添加することにより、紫外光が誘起する緑色光吸収がよく抑制されていることがわかる。なお、non−dopeのLiNbOは、先述の通り光による屈折率変化(劣化)が起こりやすいため、波長変換素子には不適であることを注記する。
<Gd:LiNbO結晶を用いた波長変換素子>
次に、Gd:LiNbO結晶を用いた波長変換素子について説明する。
≪波長変換素子の形成≫
得たウエハに対し、第1の実施形態に記載の方法と同様な方法でフォトプロセスにより電極を形成し、電界を印加することで分極反転処理を行う。このときの反転周期は1084nmの第2高調波が発生する周期であるΛ=7.36μmとし、素子長を25mmとした点についても第1の実施形態と同様である。
≪Gd:LiNbO結晶波長変換素子特性評価≫
このようにして形成した素子について、波長変換特性評価を行う。ここで、波長変換特性は、入力である基本波のパワーを変えて出力される第2高調波のパワーを測定することにより行う。本測定に用いた光学系および方法は、第1の実施形態のものと同様である(図8参照。)。
図12は、本特性評価の結果を示すグラフである。本図において、横軸は、分極反転素子603(図8参照。)に入力される基本波のパワー[W]であり、縦軸は、パワーメータが測定した2倍波(第2高調波(2ω))のパワー[W]である。本特性評価結果は、分極反転素子603として、従来のMgOを5mol%添加したMgO:LiNbOおよび本実施形態で育成したGd:LiNbOに分極反転構造を形成した波長変換素子の2種類を用いた。
従来の結晶素材であるMgO:LiNbOに分極反転構造を形成した分極反転素子(波長変換素子)の特性曲線1201は、図9の曲線901と同一のものである。曲線1201は、第2高調波出力が1.2Wを超えるあたりで明らかな屈曲を示し、そこから出力1.7Wに至る範囲の曲線1201の傾きは、低出力時(1.2W以下)の傾きに較べて小さくなっている。これは、基本波と第2高調波の相互作用で発生する第3高調波(紫外光)による第2高調波(緑色光)吸収の発生に起因する。さらに、曲線1201は、第2高調波出力が1.7Wを超えたあたりで再度明らかな屈曲を示しており、出力1.7W以上の領域(入力がおよそ8Wを超える領域)においては、曲線1201の傾きは、出力1.2Wないし1.7Wの領域に較べてさらに小さくなっている。これは、第2高調波出力飽和の発生を示す。そして、最終的には、第2高調波(緑色光)の出力が2.5Wに達したあたりで結晶に内部ダメージ損傷(結晶破壊)が発生し、2.5W以上の出力を得ることはできなかった。
対照的に、本実施形態によるGd:LiNbOに分極反転構造を形成した分極反転素子(波長変換素子)の特性曲線1203は、第2高調波出力が増加するにつれ、理論値特性曲線1205との比較においては、変換効率の低下が若干拡大するものの、第3高調波(紫外光)による第2高調波(緑色光)吸収の発生(例えば、曲線1201における出力1.2W近傍)、および、第2高調波の出力飽和の発生(例えば、曲線1201における出力1.7W近傍)はよく抑制され、出力2.5Wを超えても結晶破壊は見られず、4Wを超える第2高調波出力を得ることができた。これは、添加したガドリニウム(Gd)による紫外光吸収の効果である。なお、理論値曲線1205は、理論式をオーダー評価して得た2次多項式による放物曲線である。
第1の実施形態の場合とは異なり、本実施形態のようにGdイオンを添加した場合、吸収した第3高調波のエネルギのほとんどは、熱として放出される。その結果、第2高調波出力により結晶は発熱するものの、第3高調波の出力がμWオーダと非常に小さいことから、ペルチェ素子による温度管理をしておけば、波長変換特性に悪影響を与えることはほとんどない。これは、添加したガドリニウム(Gd)による紫外光吸収の効果である。
本実施形態によるGd:LiNbO結晶に分極反転構造を形成した分極反転素子を含む波長変換素子は、基本波を入力して第2高調波を出力する場合において、1.2W以上の第2高調波出力を得る場合に有利であり、1.7W以上の第2高調波出力を得る場合にはなおさらに有利である。ここで、基本波は、波長800ないし1120nmの赤外光であればよく、その場合、第2高調波は、波長:400ないし560nmの青色光ないし緑色光とすることができる。また、基本波は、波長960ないし1110nmの赤外光であってもよく、その場合、第2高調波は、波長480ないし555nmの緑色光とすることができる。本実施形態による波長変換素子を構成する非線形光学材料は、ガドリニウムノンドープの非線形光学材料と比較して、吸収端が10nmほど長波長側にシフトされる。そのため、本実施形態による波長変換素子は、その透過率のスペクトル特性より、青色光〜緑色光(波長400〜560nm)を第2高調波として発生させる用途に供される波長変換素子に適することがわかる。本実施形態の説明では、赤外光を基本波として用いて緑色光を第2高調波として発生させる場合を用いて説明をしているが、本実施形態の構成では、青色光〜緑色光(波長400nm〜560nm)の光を第2高調波として高出力で発生させることが可能である。
なお、本実施形態による波長変換素子に用いる非線形光学材料は、結晶内に添加物として、ガドリニウム(Gd)の他、スカンジウム(Sc)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、ホルミウム(Ho)および、ルテチウム(Lu)を含むことができる。
好ましくは、本実施形態による波長変換素子に用いる非線形光学材料は、結晶内に添加物として、少なくともガドリニウム(Gd)、スカンジウム(Sc)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、ホルミウム(Ho)および、ルテチウム(Lu)のいずれか1つ以上を含む。
さらに好ましくは、本実施形態による波長変換素子に用いる非線形光学材料は、結晶内に添加物として、少なくともガドリニウム(Gd)、スカンジウム(Sc)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、イッテルビウム(Yb)、および、ホルミウム(Ho)のいずれか1つ以上を含む。なぜなら、Gd、Sc、La、Y、Yb、および、Hoのいずれか1つ以上を添加した場合の吸収端のシフト幅は、Luを添加した場合の吸収端のシフト幅よりも大きく、よく紫外光領域の光を吸収可能だからである。
さらに好ましくは、本実施形態による波長変換素子に用いる非線形光学材料は、結晶内に添加物として、少なくともガドリニウム(Gd)、スカンジウム(Sc)、ランタン(La)、イットリウム(Y)、および、イッテルビウム(Yb)のいずれか1つ以上を含む。なぜなら、Gd、Sc、La、Y、および、Ybは、Hoにおいて存在する波長1060nm〜1080nmの帯域における極めて小さな吸収が存在しないからである。また、Gd、Sc、La、Y、および、Ybのいずれか1つ以上を添加した場合の吸収端のシフト幅は、Hoを添加した場合の吸収端のシフト幅よりも大きく、さらによく紫外光領域の光を吸収可能である。
さらに好ましくは、本実施形態による波長変換素子に用いる非線形光学材料は、結晶内に添加物として、少なくともガドリニウム(Gd)、スカンジウム(Sc)、および、ランタン(La)のいずれか1つ以上を含む。なぜなら、Gd、Sc、および、Laのいずれか1つ以上を添加した場合の吸収端のシフト幅は、Y、および、Ybのいずれか1つ以上を添加した場合の吸収端のシフト幅よりも大きく、さらによく紫外光領域の光を吸収可能だからである。
さらに好ましくは、本実施形態による波長変換素子に用いる非線形光学材料は、結晶内に添加物として、少なくともガドリニウム(Gd)、および、スカンジウム(Sc)のいずれか1つ以上を含む。なぜなら、Gd、および、Scのいずれか1つ以上を添加した場合の吸収端のシフト幅は、Laを添加した場合の吸収端のシフト幅よりも大きく、さらによく紫外光領域の光を吸収可能だからである。
さらに好ましくは、本実施形態による波長変換素子に用いる非線形光学材料は、結晶内に添加物として、ガドリニウム(Gd)を含む。なぜなら、Gdを添加した場合の吸収端のシフト幅は、Scを添加した場合の吸収端のシフト幅よりも大きく、さらによく紫外光領域の光を吸収可能だからである。さらに、Gdは紫外光領域に吸収ピークを有する(図10参照。)。
上記7種の希土類元素の添加による吸収端のシフト幅は、Gdを添加した場合が最も大きく、次にScが大きい。さらにその次には、YおよびYbが大きく、これら2元素は、ほぼ同等のシフト幅を示す。さらにその次にLaが大きく、その次にHoが大きく、その次にLuが大きい。上記7種の希土類元素は、いずれも本実施形態による波長変換素子に適するが、吸収端のシフト幅が大きければ大きい程、紫外光領域の光の吸収能に関しより有利である。最も大きな吸収端シフト幅を示すGdであっても可視光領域の光に対しては、平坦な透過特性を有するため、本実施形態による波長変換素子は、あらゆる色の可視光の変換に用いることができる。
上記7種の希土類元素添加物のうちガドリニウム(Gd)、ランタン(La)、イッテルビウム(Yb)、ホルミウム(Ho)および、ルテチウム(Lu)に関しては、共通に、上述した酸化ガドリニウムの例と同様、酸化物の添加量のモル比では、0.5mol%程度を上限とすることが望ましい。0.5mol%以下であれば、任意の添加量を選択し、結晶を育成することが容易である。添加量モル比は、0.05ないし0.5mol%が好ましく、さらに好ましくは、0.05ないし0.1mol%である。
上記7種の希土類元素添加物のうちスカンジウム(Sc)およびイットリウム(Y)に関しては、共通に、上述した酸化ガドリニウムの例とは異なり、酸化物の添加量のモル比で0.5mol%以上のドーピングも可能である。なぜならば、ScおよびYは、イオン半径が小さく、上記他の5種類の希土類元素よりもハイドープが可能であるためである。添加量モル比は、1.3ないし4.0mol%が好ましく、さらに好ましくは、1.5ないし2.0mol%である。
<本発明による波長変換素子を用いた波長変換装置>
第1および第2の実施形態による波長変換素子のいずれにおいても、図8に示した波長変換特性評価に用いた光学系は、そのまま波長変換装置としても利用可能である。また、波長変換素子の発熱量は従来よりも低く抑えることができるため、ペルチェ素子605を省略してもよい。またさらに、集光レンズ602および再コリメーションレンズ604の設置も任意である。図8の光学系を図2に記載の波長変換器従来例の構成と比較すれば、構成・部材ともより簡略化されていることがわかる。本実施形態による波長変換素子を用いた波長変換装置は、従来よりも簡単な構成を有する点で有利である。ひいては、波長変換装置の低コスト化も可能となる。
<本発明による波長変換素子を用いた高出力レーザディスプレイ>
また、上記第1および第2の実施形態に例示した波長変換素子を用いれば、従来の限界であった2.5W以上の緑色光、2.0W以上の青色光の発生が可能となる。1000lmの輝度を有するディスプレイ(プロジェクタ)を構成する場合、各色の必要光量は構成により多少変化するものの、赤色については3.0W、緑色については2.8W、青色については3.0Wである。本発明にかかる波長変換素子を用いることで、このような1000lm以上の輝度を有する高輝度レーザディスプレイ(画像表示装置)を実現できる。本発明にかかる波長変換素子を用いたレーザディスプレイ(画像表示装置)の構成の一例を図13に示す。
光源には赤、緑、青の3色のレーザ光源を用いる。赤色光源1101には波長635nmのGaAs系半導体レーザを用いる。半導体レーザは3個〜8個の半導体レーザの出力をバンドルファイバにより1本のファイバ出力で得られるような構造をしており、その波長スペクトル幅は数nmと非常にブロードな物となっている。この広いスペクトルによりスペックルノイズの発生を抑制する。
青色光源1103には本願で提案している素子を用いた波長変換青色光源を用い、緑色光源1102には本願で提案している素子を用いた波長変換緑色光源を用いる。
赤色光源1101、緑色光源1102、および、青色光源1103から出射したビームはそれぞれ、反射型変調素子1104、1105、および、1106に送られて空間変調される。緑色光は、ミラー1107を介し、合波プリズム1108により赤色光、青色光と混合されカラー画像を形成する。形成した画像は投射レンズ1109によりスクリーン1110に投影される。
なお、このような構成の画像表示装置のほかに、スクリーンの背後から投影する形態をとることも可能である。
なお、図13では超小型ミラーが集積された反射型空間変調素子を用いたが、液晶を用いた変調素子やガルバノミラーを用いることももちろん可能である。
<まとめ>
第1の実施形態においては、Prイオンをニオブ酸リチウム単結晶に添加してなる非線形光学材料を用いた波長変換素子について説明した。Prイオンをニオブ酸リチウム単結晶に添加してなる非線形光学材料は、緑色光領域で高い透過率を示し、かつ、紫外光領域でブロードな吸収ピークを有する。
第2の実施形態においては、Gdイオンをニオブ酸リチウム単結晶に添加してなる非線形光学材料を用いた波長変換素子について説明した。Gdイオンをニオブ酸リチウム単結晶に添加してなる非線形光学材料は、可視光領域から赤外光領域でほぼ透明であり、かつ、紫外光領域(350nm付近)にシャープな吸収ピークを有する。
上記Pr、Gdに加え、Sc、Y、La、Ce、Eu、Ho、Yb、および、Luといった希土類元素を添加した非線形光学材料を用いた波長変換素子も、第1および第2の実施形態で説明した効果と同様の効果を示す。
上記7種の希土類元素のうち、第1の実施形態で説明したPr、ならびに、Ce、および、Euといった希土類元素を添加した非線形光学材料を用いた波長変換素子は、緑色光領域で高い透過率を示し、かつ、紫外光領域でブロードな吸収ピークを有する。そのため、紫外光領域に含まれる不要な高次高調波を除去し、緑色光量域に含まれる低次高調波を高パワーで出力可能である。
これら、Pr、Ce、Euといった希土類元素を添加した非線形光学材料を用いた波長変換素子では、紫外光を吸収してより波長の長い光(可視光)を発光する性質を持たせることが可能である。したがって、光吸収による発熱を押さえることが可能であり位相整合状態を安定に保つことが容易である。
また、上記7種の希土類元素のうち、第2の実施形態で説明したGd、ならびに、Sc、Y、La、Ho、Yb、および、Luといった希土類元素を添加した非線形光学材料を用いた波長変換素子は、可視光領域から赤外光領域でほぼ透明であり、かつ、結晶の吸収端を、紫外光領域(350nm付近)にシフトさせる効果を有する。そのため、紫外光領域に含まれる不要な高次高調波を除去し、可視光領域に含まれる低次高調波は波長変換素子に再吸収されること無く高パワーで出力することができる。
上記第1および第2の実施形態においては、ニオブ酸リチウム結晶に希土類元素を添加する場合について述べているが、ニオブ酸リチウム結晶と同様の結晶構造を持ち、性質が類似するタンタル酸リチウム結晶、酸化マグネシウム(MgO)添加ニオブ酸リチウム結晶、酸化マグネシウム(MgO)添加タンタル酸リチウム結晶、酸化亜鉛(ZnO)添加ニオブ酸リチウム結晶、酸化亜鉛(ZnO)添加タンタル酸リチウム結晶に上記の希土類元素を添加する場合においても同様の効果が得られる。
なお、自己逓倍波発生素子(セルフダブリング素子)として、NdやYbを添加したニオブ酸リチウム結晶などが研究されていたが、これはNdやYbのイオンを別のレーザで励起することで赤外光を発生させ、分極反転結晶で2倍波を発生させ、部品点数を減らすことを目的としており、本願とは全く異なる効果を目的としたものである。
本発明にかかる非線形光学材料を用いた非線形光学素子(波長変換素子)は、少なくとも1種類の希土類元素を添加物として含む。添加物(希土類イオン)は、その吸収ピークにより素子内に存在する不要な紫外光を吸収し、当該イオンの電子の励起−緩和過程により熱および/または紫外光よりも長波長の光に変換する。この作用により、紫外光(例えば、第3高調波)が原因となって引き起こされる第2高調波(緑色光)の吸収を抑制し、出力の飽和・結晶破壊を回避することが可能である。
加えて、従来大きな出力を得るには、基本波出力を分配し複数の波長変換素子を用いて発生させていたが、本願発明の非線形光学素子を用いた波長変換装置は、装置構成が簡略化され、複雑な調整も不要となり、製造にかかるコストの低減が可能でなる。
なお、以上の各実施形態に例示した波長変換素子はあくまでも一例であり、本願発明の思想の範囲に含まれる他の態様も可能である。
本発明による波長変換素子を用いれば、従来よりも簡単な構成で波長変換装置を構成可能であり、よって装置の信頼性が向上するとともに複雑な調整を回避することができ、波長変換装置、および、高輝度レーザディスプレイ(画像表示装置)等を従来よりも低い製造コストで提供可能である。
波長変換器従来例の構成概略図 波長変換素子従来例における光の相互作用を示す模式図 本発明にかかる波長変換素子における光の相互作用を示す模式図 (a)第1および第2の実施形態で使用する単結晶育成装置模式図、および、(b)単結晶育成用るつぼの模式図 Pr:LiNbO単結晶の透過率のスペクトル特性図 紫外光誘起光吸収評価装置の測定光学系模式図 紫外光誘起光吸収評価装置によるPr:LiNbOの光吸収評価結果を示す図 波長変換特性評価装置の測定光学系模式図 Pr:LiNbOを有する分極反転波長変換素子の波長変換特性評価結果を示す図 Gd:LiNbO単結晶の透過率のスペクトル特性図 紫外光誘起光吸収評価装置によるGd:LiNbOの光吸収評価結果を示す図 Gd:LiNbOを有する分極反転波長変換素子の波長変換特性評価結果を示す図 本発明による波長変換素子を用いたレーザディスプレイ(画像表示装置)例を示す模式図
符号の説明
101 基本波光源
102a、102b 波長変換素子
103a、102b 分離ミラー
104 ビーム径変換機構
105a、105b 第2高調波(緑色光)
106 残留基本波
201 引き上げロッド
202 種結晶
203 融液
204 単結晶
205 白金るつぼ
206 白金ガイド
207a ロードセル1(重量モニター)
207b ロードセル2(重量モニター)
208 コントロールPC
209 原料供給装置
401 グリーン光源
402 集光レンズ
403 結晶サンプル
404 パワーメータ
405 水銀ランプ
406 紫外光
501 0.01mol%Pr:LiNbOの透過率曲線
505 0.05mol%Pr:LiNbOの透過率曲線
510 0.1mol%Pr:LiNbOの透過率曲線
601 基本波光源
602 集光レンズ
603 分極反転素子
604 再コリメートレンズ
605 ペルチェ素子
606 波長分離フィルタ
901 MgO:LiNbO分極反転波長変換素子波長変換特性曲線
903 Pr:LiNbO分極反転波長変換素子波長変換特性曲線
905 波長変換特性理論値曲線
1005 0.05mol%Gd:LiNbOの透過率曲線
1010 0.1mol%Gd:LiNbOの透過率曲線
1101 赤色光源
1102 緑色光源
1103 青色光源
1104 赤色用空間変調素子
1105 緑色用空間変調素子
1106 青色用空間変調素子
1107 ミラー
1108 合波プリズム
1109 投射レンズ
1110 スクリーン
1201 MgO:LiNbO分極反転波長変換素子波長変換特性曲線
1203 Gd:LiNbO分極反転波長変換素子波長変換特性曲線
1205 波長変換特性理論値曲線

Claims (15)

  1. 波長λを有する光である基本波を受けて波長λ/2を有する光である第2高調波と、前記基本波と前記第2高調波の和周波である第3高調波を発生し出力する波長変換素子であって、
    Y、La、Ce、Gd、Yb、および、Luからなる群から選択される少なくとも1つの元素を添加物として含む結晶を含んでなり、
    出力する前記第2高調波のパワー密度が50kW/cm 以上であり、
    前記基本波の波長が800ないし1110ナノメートルであり、
    前記第2高調波の波長が400ないし555ナノメートルであり、
    前記第3高調波の波長が370ナノメートル以下であり、
    前記結晶は、ニオブ酸リチウムLiNbO結晶またはタンタル酸リチウムLiTaO結晶のみからなる波長変換素子。
  2. 前記添加物は、Ceである請求項1に記載の波長変換素子。
  3. 前記添加物は、Y、La、Gd、Yb、または、Luである請求項1に記載の波長変換素子。
  4. 前記添加物は、Yである請求項3に記載の波長変換素子。
  5. 前記添加物は、Laである請求項3に記載の波長変換素子。
  6. 前記添加物は、Gdである請求項3に記載の波長変換素子。
  7. 前記添加物は、Ybである請求項3に記載の波長変換素子。
  8. 前記添加物は、Luである請求項3に記載の波長変換素子。
  9. 前記添加物は、3価の酸化物として前記結晶に添加される請求項1に記載の波長変換素子。
  10. 前記結晶は、ニオブ酸リチウム単結晶である請求項1に記載の波長変換素子。
  11. 前記結晶は、タンタル酸リチウム単結晶である請求項1に記載の波長変換素子。
  12. さらに、酸化マグネシウムおよび酸化亜鉛のいずれか1つを添加物として有する請求項1に記載の波長変換素子。
  13. 前記基本波は、960ないし1110ナノメートルの波長を有し、
    前記第2高調波は、480ないし555ナノメートルの波長を有する請求項1に記載の波長変換素子。
  14. 前記ニオブ酸リチウム結晶およびタンタル酸リチウム結晶は、単結晶である請求項1に記載の波長変換素子。
  15. 前記Y、La、Ce、Gd、Yb、および、Luからなる群から選択される少なくとも1つの元素、のかわりに、
    cを添加物として含む前記結晶を含んでなる、請求項1に記載の波長変換素子。
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