JP2003267704A - 金属酸化物ナノ粒子の製造方法 - Google Patents

金属酸化物ナノ粒子の製造方法

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JP2003267704A JP2002069089A JP2002069089A JP2003267704A JP 2003267704 A JP2003267704 A JP 2003267704A JP 2002069089 A JP2002069089 A JP 2002069089A JP 2002069089 A JP2002069089 A JP 2002069089A JP 2003267704 A JP2003267704 A JP 2003267704A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 粒子同士の融着がなく、平均粒径が数10n
m以下でありかつ粒度分布の狭い様々な種類の金属酸化
物ナノ粒子を容易に製造することができ、しかも、生産
性に優れた金属酸化物ナノ粒子の製造方法を提供する。 【解決手段】 本発明の金属酸化物ナノ粒子の製造方法
は、金属元素を含有する高分子(A)と、該高分子
(A)と相溶せずかつ金属元素を含有しない高分子
(B)とを溶媒中に溶解し、得られた溶液を乾燥し、そ
の後加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とすることを特徴
とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は金属酸化物ナノ粒子
の製造方法に関し、特に、平均粒径が数10nm以下の
金属酸化物ナノ粒子を容易に作製することが可能な金属
酸化物ナノ粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、金属酸化物微粒子を低コスト
で大量に製造する方法として、各種の金属塩溶液にアル
カリ溶液を加えることにより中和し、金属水酸化物など
の金属酸化物前駆体を生成させた後、金属酸化物が生成
する温度以上に加熱して、金属酸化物微粒子を製造する
方法が一般的に用いられている。しかし、この方法で
は、金属酸化物前駆体が凝集した状態で加熱されるため
に、生成した金属酸化物微粒子が加熱により粒成長し、
比較的粗大な微粒子となってしまう結果、粒度分布がシ
ャープな微粒子を得ることができなかった。
【0003】そこで、金属酸化物前駆体の加熱時の粒成
長を抑制する方法として、火炎法や噴霧熱分解法等が提
案されている。火炎法は、金属塩溶液を高温火炎中に噴
霧し、この液滴を高速で酸化することで金属微粒子を製
造する方法であり、噴霧熱分解法は、金属塩溶液を高温
気流中に噴霧し、この液滴を高速で熱分解することで金
属微粒子を製造する方法である。これらの方法では、数
10nm程度の大きさの金属酸化物微粒子を製造するこ
とが可能である。
【0004】一方、粒子核生成と粒子核成長を分離して
金属酸化物微粒子を製造する方法として、予め調整して
おいた金属酸化物前駆体(粒子核)を密閉容器を用いて
高温高圧の熱水中で酸化・結晶化させて金属酸化物微粒
子を得る、いわゆる水熱法が提案されている。この水熱
法を用いて金属酸化物微粒子を製造した例としては、シ
リカ(特開昭53−33996号公報)、ジルコニア
(特開昭59−69429号公報)、酸化セリウム(特
開昭64−65017号公報)等がある。この方法で
は、粒子核生成と粒子核成長を別々の工程(容器)で行
っているため、比較的粒度分布の狭い数10nm程度の
大きさの金属酸化物微粒子が得られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来の
火炎法や噴霧熱分解法は、数10nm程度の大きさの金
属酸化物微粒子を得ることはできるものの、粒子核生成
と粒子核成長が同一工程内(同一容器内)で生じるため
に、粒径制御が難しく、粒度分布も広くなってしまうと
いう問題点があった。また、工程中で粒子同士が融着し
てしまうために、粒子が粗大化し易いという問題点もあ
った。さらに、10nm程度以下の金属酸化物微粒子を
得るためには、濃度の極めて希薄な溶液を用いざるを得
ず、生産性が著しく低下し、製造コストが非常に高くな
ってしまうという問題点があった。
【0006】一方、従来の水熱法は、比較的粒度分布の
狭い数10nm程度の大きさの金属酸化物微粒子が得ら
れるものの、粒子核生成と粒子核成長を別々の工程(容
器)で行っているために、工程毎に密閉容器を使用する
必要があり、したがって、工程が複雑でしかも生産性が
低いという問題点があった。さらに、上述した様に、限
られたごく一部の金属酸化物しか得ることができず、汎
用性に欠けるという問題点もあった。
【0007】本発明は、上記の課題を解決するためにな
されたものであって、粒子同士の融着がなく、平均粒径
が数10nm以下でありかつ粒度分布の狭い様々な種類
の金属酸化物ナノ粒子を容易に製造することができ、し
かも、生産性に優れた金属酸化物ナノ粒子の製造方法を
提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明は、以下に示すような金属酸化物ナノ粒子の
製造方法を採用した。
【0009】すなわち、本発明の金属酸化物ナノ粒子の
製造方法は、金属元素を含有する高分子(A)と、該高
分子(A)と相溶せずかつ金属元素を含有しない高分子
(B)とを溶媒中に溶解し、得られた溶液を乾燥し、そ
の後加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とすることを特徴
とする。
【0010】前記高分子(A)の表面張力は、前記高分
子(B)の表面張力よりも大であることが好ましい。前
記高分子(A)は、高分子金属錯体、金属アルコキシド
の縮重合物のいずれかであることが好ましい。
【0011】前記高分子(A)中の金属元素は、Li、
Cu、Zn、Sr、Ba、Al、Y、In、Ce、S
i、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、C
r、W、Mn、Fe、Ni、Ruから選択された1種ま
たは2種以上であることが好ましい。
【0012】本発明の金属酸化物ナノ粒子の製造方法で
は、前記溶液を液滴化し、その後、この液滴より溶媒を
蒸発させて高分子粉体とし、該高分子粉体を加熱処理し
て金属酸化物ナノ粒子とすることが好ましい。前記加熱
処理の温度は、前記高分子粉体中の高分子が燃焼する温
度以上であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明の金属酸化物ナノ粒子の製
造方法の一実施の形態について説明する。本実施形態の
金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、金属元素を含有する
高分子(A)と、この高分子(A)と相溶せずかつ金属
元素を含有しない高分子(B)とを溶媒中に溶解し、得
られた溶液を乾燥し、その後加熱処理して金属酸化物ナ
ノ粒子とする。
【0014】金属元素を含有する高分子(A)として
は、特に限定はされないが、高分子金属錯体、金属アル
コキシドの縮重合物等が好適に用いられる。高分子金属
錯体としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、ア
ミド基等を繰り返し単位として含有する高分子、例え
ば、ポリビニルアルコール(PVA)、糖類、ポリアク
リル酸、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミ
ン、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリイミド、
ポリオキサゾリン、ポリウレタン、ゼラチン等のタンパ
ク類等の高分子の金属錯体を挙げることができる。
【0015】金属アルコキシドの縮重合物としては、各
種の金属アルコキシドを、硝酸、塩酸等の無機酸あるい
は酢酸、蓚酸、酒石酸等の有機酸の触媒下で、加水分解
反応あるいは縮重合反応を生じさせて得られるものが好
適に用いられる。高分子(A)中に含まれる金属元素と
しては、特に限定されないが、例えば、Li、Cu、Z
n、Sr、Ba、Al、Y、In、Ce、Si、Ti、
Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、Cr、W、M
n、Fe、Ni、Ru等が好適に用いられる。
【0016】高分子(B)としては、上記の高分子
(A)と相溶せずかつ金属元素を含有しないものであれ
ば、特段の制限はないが、少なくとも600℃程度以下
の温度で熱分解して得られる金属酸化物ナノ粒子中に不
純物として残留しないものが好ましく、例えば、酢酸ビ
ニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、
ポリビニルホルマール等のビニル系高分子、ポリビニル
アセタール系高分子、ポリアクリル酸等のアクリル系高
分子、スチレン系高分子、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等のポリオレフィン系高分子、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系高分
子、フェノール系高分子、尿素系高分子、ウレタン系高
分子、エポキシ系高分子、ポリエステル系高分子、アル
キド系高分子、ポリアミド系高分子、メチルセルロー
ス、エチルセルロース、ヒドロキシエチル・メチルセル
ロース、ヒドロキシエチル・エチルセルロース等のセル
ロースエーテル高分子、澱粉、ロジン等の天然高分子が
好適に用いられる。これらの高分子は、これら単独また
は共重合物を、単独で、または組み合わせて用いること
ができる。
【0017】また、高分子(A)と高分子(B)とは、
表面張力が異なることが好ましい。溶媒としては、高分
子(A)及び高分子(B)が共に溶解するものであれ
ば、特に限定されないが、例えば、水、アルコール類、
グリコール類、エステル類、ケトン類、セロソルブ類、
芳香族等が挙げられる。
【0018】本実施形態では、高分子(A)と高分子
(B)とを溶媒に溶解させて、高分子(A)と高分子
(B)とが均一に溶解した溶液を作製する。次いで、こ
の溶液を、シャワー、スプレー、超音波、インクジェッ
ト、バブルジェット(登録商標)等の液滴発生装置を使
用して液滴化し、この液滴を所定温度に加熱された乾燥
装置内に導入して溶媒を蒸発させ、高分子乾燥粉末とす
る。
【0019】図1は、本実施形態にて用いられるスプレ
ー減圧乾燥装置を示す概略構成図であり、図において、
符号1は溶液Sを貯留する溶液槽、2は溶液Sを液滴化
するスプレーノズル、3は液滴を加熱乾燥する減圧スプ
レー乾燥器、4は溶剤トラップ、5は真空ポンプ、6は
溶液搬送用の配管、7は空気供給用の配管、8は圧力調
整用の配管、9は減圧スプレー乾燥器の側壁に設けられ
たヒータ、10は配管6に設けられたヒータ、11は配
管6に設けられた流量調整バルブ、12は配管7に設け
られた空気量調整バルブ、13は配管8に設けられた圧
力調整バルブである。
【0020】この乾燥装置では、スプレーノズル2によ
り所定の温度に加熱された溶液Sを液滴化し、減圧スプ
レー乾燥器3内に噴霧する。この減圧スプレー乾燥器3
内は、真空ポンプ5により外部の圧力に比べて減圧状態
とされかつ所定の温度に調整されているので、スプレー
ノズル2から噴霧された液滴は、溶媒が蒸発して高分子
乾燥粉末となり、減圧スプレー乾燥器3の底部に滞留す
る。本実施形態では、上記のスプレーノズル2により発
生させる液滴の大きさや形状については特に制限はな
い。また、得られる高分子乾燥粉末の大きさや形状に特
段の制限を設けるものではない。
【0021】本実施形態では、高分子(A)と高分子
(B)は溶液中で均一に溶解しているが、高分子(A)
と高分子(B)とは相溶性がないため、液滴を乾燥させ
て得られる高分子乾燥粉末は、内部で、高分子(A)と
高分子(B)がナノオーダーあるいはミクロンオーダー
で2相に分離した状態になっている。
【0022】図2は、本実施形態における金属酸化物ナ
ノ粒子の生成メカニズムを示す説明図である。この図で
は、高分子乾燥粉末の構造は、高分子(A)の表面張力
をT(A)、高分子(B)の表面張力をT(B)とする
と、 T(A)>T(B) の場合には、N(ナノ粒子)となり、また、 T(A)<T(B) の場合には、P(ナノポーラス粒子)となる。
【0023】ここで、中実の金属酸化物ナノ粒子を作製
するには、高分子乾燥粉末の内部の相分離構造をN(ナ
ノ粒子)構造とするのが好ましい。なお、高分子乾燥粉
末の内部の相分離構造をP(ナノポーラス粒子)構造と
すると、多孔質状の金属酸化物微粒子が得られる。
【0024】本実施形態では、この二相分離された高分
子(A)が金属酸化物微粒子の粒子核となる。従って、
この製造方法においては、高分子乾燥粉末中の高分子
(A)と高分子(B)の相分離構造および相分離された
高分子(A)の大きさにより金属酸化物微粒子の粒径を
制御することが可能である。高分子(A)の大きさは、
主として、高分子(A)と高分子(B)の配合比率及び
高分子溶液の乾燥速度を変えることにより制御可能であ
る。
【0025】特に、平均粒径が数10nm以下の金属酸
化物ナノ粒子を作製するためには、高分子(A)と高分
子(B)の配合比率(体積比率)は、概ね 高分子(A)/{高分子(A)+高分子(B)}≦0.
8 が好ましい範囲である。その理由は、この配合比率(体
積比率)が0.8より大きくなると、高分子乾燥粉末を
加熱し、高分子を燃焼させて金属酸化物ナノ粒子を生成
させる際に、生成した粒子が融着し易くなるという問題
が生じるからである。
【0026】溶媒を蒸発除去する際の乾燥速度は、金属
酸化物ナノ粒子の粒度分布を小さくするためには速い方
が好ましく、乾燥速度を速める方法としては、乾燥装置
内を減圧にしたり、乾燥温度を高くすることによって制
御することが可能である。
【0027】次いで、上記により得られた高分子乾燥粉
末を高分子が燃焼する温度以上の温度で加熱し、高分子
成分を燃焼除去させることにより、金属酸化物ナノ粒子
を作製する。本実施形態では、金属酸化物ナノ粒子の粒
子核は、図2に示すように、あらかじめ1ヶ1ヶが独立
して高分子マトリクス(高分子B)中にナノオーダーで
分散された状態で存在する。そして、この高分子乾燥粉
末を加熱すると、粒子核の周りの高分子マトリクス(高
分子B)が燃焼することにより発生する炭酸ガス等のガ
ス、及び高分子Aの有機成分が燃焼することにより発生
する炭酸ガス等のガスの作用により、加熱時の粒子核の
粒成長が抑制され、粒子核が成長することなく、粒度分
布のシャープな金属酸化物ナノ粒子を得ることができ
る。
【0028】したがって、本実施形態では、粒子濃度が
比較的高い状態で加熱することが可能であるため、大量
に金属酸化物ナノ粒子を製造することが可能になる。こ
こで、高分子乾燥粉末を加熱し高分子成分を燃焼除去さ
せる方法としては、粉末を所定温度の電気炉中に静置し
て加熱する方法、流動床型の電気炉で加熱する方法、粉
末を管状型の電気炉中に気流により導入し加熱する方
法、粉末を火炎と共に燃焼させる方法等、いずれの方法
を用いても、金属酸化物ナノ粒子を作製することができ
る。
【0029】本実施形態の金属酸化物ナノ粒子の製造方
法により、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、酸
化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、酸化銅、酸化ニッケル、
酸化チタン、酸化スズ、酸化タンタル、酸化タングステ
ン、酸化マンガン、酸化ストロンチウム、酸化ビスマ
ス、酸化ニオブ、酸化ルテニウム等の単体の金属酸化物
のナノ粒子を作製することができる。
【0030】また、アンチモンドープ酸化スズ、スズド
ープ酸化インジウム、希土類ドープ酸化イットリウム、
イットリウムドープ酸化ジルコニウム、等の金属元素が
固溶した金属酸化物のナノ粒子を作製することができ
る。また、チタン酸バリウムのようなペロブスカイト構
造、マンガン酸リチウム、ニッケルフェライト等のスピ
ネル構造、イットリウムアルミネートガーネット等のガ
ーネット構造等の複合金属酸化物のナノ粒子を製造する
ことができる。
【0031】本実施形態の金属酸化物ナノ粒子の製造方
法によれば、金属元素を含有する高分子(A)と、この
高分子(A)と相溶せずかつ金属元素を含有しない高分
子(B)とを溶媒中に溶解し、得られた溶液を乾燥し、
その後加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とするので、乾
燥時に、高分子(A)及び(B)の2相分離により高分
子マトリクス中に金属酸化物ナノ粒子の粒子核となる金
属含有高分子粒子を均一に析出させることができ、しか
も、この金属含有高分子粒子が加熱により高分子成分を
燃焼除去させる際に粒子成長することがない。したがっ
て、粒子同士の融着がなく、得られた金属酸化物粒子の
ナノ粒子化とシャープな粒度分布を達成することができ
る。
【0032】また、粒子濃度が高い状態でも金属酸化物
ナノ粒子を生成させることができ、大量に金属酸化物ナ
ノ粒子を合成することができる。以上により、粒径が数
10nm以下の金属酸化物ナノ粒子を、簡便な方法で、
しかも大量に合成することができる。また、高分子
(A)及び高分子(B)の種類や組み合わせ等を変える
ことにより、多種多様の金属酸化物ナノ粒子を合成する
ことができる。
【0033】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明を具体
的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定
されるものではない。
【0034】(実施例1)本実施形態の金属酸化物ナノ
粒子の製造方法に基づき「シリカナノ粒子」を作製し
た。
【0035】(シリコンアルコキシド縮重合物の調整) テトラエトキシシラン 208g 0.01N 硝酸 108g エタノール 284g 各々を秤量し、これらを室温で混合した後、エバポレー
タを用いて50℃で1時間反応させた。その後、5℃ま
で放冷してシリコンアルコキシド縮重合物(高分子A
1)を得た。
【0036】(混合高分子溶液の調整)高分子(B)と
してポリアクリル酸(高分子B1)を用い、 高分子A1 200g ポリアクリル酸(高分子B1) 100g エタノール 200g 各々を秤量し、これらを室温で2時間攪拌混合し、高分
子A1と高分子B1が溶解した溶液C1を調整した。
【0037】(高分子乾燥粉末の調整)溶液C1を、図
1に示すスプレー減圧乾燥装置により、以下の条件で乾
燥して高分子乾燥粉末D1を作製した。得られた高分子
乾燥粉末D1の粒径は2〜30μmであった。
【0038】(高分子乾燥粉末の乾燥条件) スプレーノズル:2流体ノズル((株)いけうち BI
MK6004S) 溶液C1の流量:0.3l/分 真空度 :300mmHg ヒータ9の温度:40℃
【0039】(シリカナノ粒子粉末の作製)上記の高分
子乾燥粉末D1をステンレス製のパッドに入れ、このパ
ッドを電気炉中で酸素を供給しながら500℃で2時間
加熱し、シリカナノ粒子粉末を得た。得られたシリカナ
ノ粒子は球状で、平均粒径が10nmであった。図3
は、本実施例1で得られたシリカナノ粒子の透過電子顕
微鏡像(TEM像)であり、10万倍の倍率で撮影した
ものである。
【0040】(実施例2)本実施形態の金属酸化物ナノ
粒子の製造方法に基づき「チタン酸鉛ナノ粒子」を作製
した。
【0041】(ポリエステル金属錯体の調整) エチレングリコール 2480g クエン酸 1920g 酢酸鉛 315g チタンイソプロポキシド 284g 各々を秤量し、これらを室温で混合した後、エバポレー
タを用いて100℃で5時間反応させた。その後、室温
まで放冷し、(Pb,Ti)元素を含有するポリエステ
ル金属錯体溶液(高分子A2)を調整した。
【0042】(混合高分子溶液の調整)高分子(B)と
して塩化ビニル−酢酸ビニル−ポリビニルアルコール共
重合体(高分子B2:電気化学工業(株)社製:デンカ
CSA)を用い、 高分子A2 200g 塩化ビニル−酢酸ビニル−ポリビニルアルコール共重
合体(高分子B2)50g メチルエチルケトン 100g 各々を秤量し、これらを室温で1時間攪拌することによ
り、高分子A2と高分子B2が溶解した溶液C2を調整
した。
【0043】(高分子乾燥粉末の調整)溶液C2を、図
1に示すスプレー減圧乾燥装置により、実施例1と同一
の条件で乾燥して高分子乾燥粉末D2を作成した。得ら
れた高分子乾燥粉末D2の粒径は2〜30μmであっ
た。
【0044】(チタン酸鉛ナノ粒子粉末の作製)上記の
高分子乾燥粉末D2を石英製のパッドに入れ、このパッ
ドを電気炉中で酸素を供給しながら500℃で3時間加
熱し、チタン酸鉛ナノ粒子粉末を得た。得られたチタン
酸鉛ナノ粒子は球状で、平均粒径が10nmであった。
【0045】
【発明の効果】本発明の金属酸化物ナノ粒子の製造方法
によれば、金属元素を含有する高分子(A)と、該高分
子(A)と相溶せずかつ金属元素を含有しない高分子
(B)とを溶媒中に溶解し、得られた溶液を乾燥し、そ
の後加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とするので、乾燥
時に、高分子(A)及び(B)の2相分離により高分子
マトリクス中に金属酸化物ナノ粒子の粒子核となる金属
含有高分子粒子を均一に析出させることができ、しか
も、この金属含有高分子粒子が加熱により高分子成分を
燃焼除去させる際に粒子成長することがない。したがっ
て、粒子同士の融着がなく、得られた金属酸化物粒子の
ナノ粒子化とシャープな粒度分布を達成することができ
る。
【0046】また、粒子濃度が高い状態でも金属酸化物
ナノ粒子を生成させることができ、大量に金属酸化物ナ
ノ粒子を合成することができる。以上により、粒径が数
10nm以下の金属酸化物ナノ粒子を、簡便な方法で、
しかも大量に合成することができる。また、高分子
(A)及び高分子(B)の種類や組み合わせ等を変える
ことにより、多種多様の金属酸化物ナノ粒子を合成する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の金属酸化物ナノ粒子の
製造方法にて用いられるスプレー減圧乾燥装置を示す概
略構成図である。
【図2】 本発明の一実施形態の金属酸化物ナノ粒子の
製造方法における金属酸化物ナノ粒子の生成メカニズム
を示す説明図である。
【図3】 本発明の一実施形態の金属酸化物ナノ粒子の
製造方法で得られたシリカナノ粒子の透過電子顕微鏡像
である。
【符号の説明】
1 溶液槽 2 スプレーノズル 3 減圧スプレー乾燥器 4 溶剤トラップ 5 真空ポンプ 6 溶液搬送用の配管 7 空気供給用の配管 8 圧力調整用の配管 9、10 ヒータ 11 流量調整バルブ 12 空気量調整バルブ 13 圧力調整バルブ S 溶液
フロントページの続き Fターム(参考) 4G042 DA01 DA02 DB10 DB12 DB22 DB31 DD04 DE07 DE09 DE12 4G047 CA05 CB06 CB08 CD04 4G072 AA26 BB05 DD08 GG03 HH30 JJ45 LL11 MM31 MM36 RR03 TT01

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 金属元素を含有する高分子(A)と、該
    高分子(A)と相溶せずかつ金属元素を含有しない高分
    子(B)とを溶媒中に溶解し、得られた溶液を乾燥し、
    その後加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とすることを特
    徴とする金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記高分子(A)の表面張力は、前記高
    分子(B)の表面張力よりも大であることを特徴とする
    請求項1記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記高分子(A)は、高分子金属錯体、
    金属アルコキシドの縮重合物のいずれかであることを特
    徴とする請求項1または2記載の金属酸化物ナノ粒子の
    製造方法。
  4. 【請求項4】 前記高分子(A)中の金属元素は、L
    i、Cu、Zn、Sr、Ba、Al、Y、In、Ce、
    Si、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、C
    r、W、Mn、Fe、Ni、Ruから選択された1種ま
    たは2種以上であることを特徴とする請求項1、2また
    は3記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記溶液を液滴化し、その後、この液滴
    より溶媒を蒸発させて高分子粉体とし、該高分子粉体を
    加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とすることを特徴とす
    る請求項1ないし4のいずれか1項記載の金属酸化物ナ
    ノ粒子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記加熱処理の温度は、前記高分子粉体
    中の高分子が燃焼する温度以上であることを特徴とする
    請求項5記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
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