JP4112250B2 - 金属酸化物ナノ粒子の製造方法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は金属酸化物ナノ粒子の製造方法に関し、特に、平均粒径が数10nm以下の金属酸化物ナノ粒子を容易に作製することが可能な金属酸化物ナノ粒子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、金属酸化物微粒子を低コストで大量に製造する方法として、各種の金属塩溶液にアルカリ溶液を加えることにより中和し、金属水酸化物などの金属酸化物前駆体を生成させた後、金属酸化物が生成する温度以上に加熱して、金属酸化物微粒子を製造する方法が一般的に用いられている。
しかし、この方法では、金属酸化物前駆体が凝集した状態で加熱されるために、生成した金属酸化物微粒子が加熱により粒成長し、比較的粗大な微粒子となってしまう結果、粒度分布がシャープな微粒子を得ることができなかった。
【0003】
そこで、金属酸化物前駆体の加熱時の粒成長を抑制する方法として、火炎法や噴霧熱分解法等が提案されている。火炎法は、金属塩溶液を高温火炎中に噴霧し、この液滴を高速で酸化することで金属微粒子を製造する方法であり、噴霧熱分解法は、金属塩溶液を高温気流中に噴霧し、この液滴を高速で熱分解することで金属微粒子を製造する方法である。
これらの方法では、数10nm程度の大きさの金属酸化物微粒子を製造することが可能である。
【0004】
一方、粒子核生成と粒子核成長を分離して金属酸化物微粒子を製造する方法として、予め調整しておいた金属酸化物前駆体(粒子核)を密閉容器を用いて高温高圧の熱水中で酸化・結晶化させて金属酸化物微粒子を得る、いわゆる水熱法が提案されている。この水熱法を用いて金属酸化物微粒子を製造した例としては、シリカ(特開昭53−33996号公報)、ジルコニア(特開昭59−69429号公報)、酸化セリウム(特開昭64−65017号公報)等がある。
この方法では、粒子核生成と粒子核成長を別々の工程(容器)で行っているため、比較的粒度分布の狭い数10nm程度の大きさの金属酸化物微粒子が得られている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の火炎法や噴霧熱分解法は、数10nm程度の大きさの金属酸化物微粒子を得ることはできるものの、粒子核生成と粒子核成長が同一工程内(同一容器内)で生じるために、粒径制御が難しく、粒度分布も広くなってしまうという問題点があった。また、工程中で粒子同士が融着してしまうために、粒子が粗大化し易いという問題点もあった。さらに、10nm程度以下の金属酸化物微粒子を得るためには、濃度の極めて希薄な溶液を用いざるを得ず、生産性が著しく低下し、製造コストが非常に高くなってしまうという問題点があった。
【0006】
一方、従来の水熱法は、比較的粒度分布の狭い数10nm程度の大きさの金属酸化物微粒子が得られるものの、粒子核生成と粒子核成長を別々の工程(容器)で行っているために、工程毎に密閉容器を使用する必要があり、したがって、工程が複雑でしかも生産性が低いという問題点があった。さらに、上述した様に、限られたごく一部の金属酸化物しか得ることができず、汎用性に欠けるという問題点もあった。
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、粒子同士の融着がなく、平均粒径が数10nm以下でありかつ粒度分布の狭い様々な種類の金属酸化物ナノ粒子を容易に製造することができ、しかも、生産性に優れた金属酸化物ナノ粒子の製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明は、以下に示すような金属酸化物ナノ粒子の製造方法を採用した。
【0009】
すなわち、本発明の金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、高分子金属錯体、金属アルコキシドの縮重合物のいずれかからなる高分子(A)と、該高分子(A)よりも表面張力が小であり該高分子(A)と相溶せずかつ金属元素を含有しない高分子(B)とを溶媒中に溶解し、得られた溶液を乾燥し、その後加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とすることを特徴とする。
【0011】
前記高分子(A)中の金属元素は、Li、Cu、Zn、Sr、Ba、Al、Y、In、Ce、Si、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、Cr、W、Mn、Fe、Ni、Ruから選択された1種または2種以上であることが好ましい。
【0012】
本発明の金属酸化物ナノ粒子の製造方法では、前記溶液を液滴化し、その後、この液滴より溶媒を蒸発させて高分子粉体とし、該高分子粉体を加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とすることが好ましい。
前記加熱処理の温度は、前記高分子粉体中の高分子が燃焼する温度以上であることが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の金属酸化物ナノ粒子の製造方法の一実施の形態について説明する。
本実施形態の金属酸化物ナノ粒子の製造方法は、高分子金属錯体、金属アルコキシドの縮重合物のいずれかからなる高分子(A)と、該高分子(A)よりも表面張力が小であり該高分子(A)と相溶せずかつ金属元素を含有しない高分子(B)とを溶媒中に溶解し、得られた溶液を乾燥し、その後加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とする。
【0014】
高分子金属錯体としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基等を繰り返し単位として含有する高分子、例えば、ポリビニルアルコール(PVA)、糖類、ポリアクリル酸、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミン、ポリアミド、ポリビニルピロリドン、ポリイミド、ポリオキサゾリン、ポリウレタン、ゼラチン等のタンパク類等の高分子の金属錯体を挙げることができる。
【0015】
金属アルコキシドの縮重合物としては、各種の金属アルコキシドを、硝酸、塩酸等の無機酸あるいは酢酸、蓚酸、酒石酸等の有機酸の触媒下で、加水分解反応あるいは縮重合反応を生じさせて得られるものが好適に用いられる。
高分子(A)中に含まれる金属元素としては、特に限定されないが、例えば、Li、Cu、Zn、Sr、Ba、Al、Y、In、Ce、Si、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、Cr、W、Mn、Fe、Ni、Ru等が好適に用いられる。
【0016】
高分子(B)としては、上記の高分子(A)よりも表面張力が小であり該高分子(A)と相溶せずかつ金属元素を含有しないものであれば、特段の制限はないが、少なくとも600℃程度以下の温度で熱分解して得られる金属酸化物ナノ粒子中に不純物として残留しないものが好ましく、例えば、酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール等のビニル系高分子、ポリビニルアセタール系高分子、ポリアクリル酸等のアクリル系高分子、スチレン系高分子、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン系高分子、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等のポリエーテル系高分子、フェノール系高分子、尿素系高分子、ウレタン系高分子、エポキシ系高分子、ポリエステル系高分子、アルキド系高分子、ポリアミド系高分子、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチル・メチルセルロース、ヒドロキシエチル・エチルセルロース等のセルロースエーテル高分子、澱粉、ロジン等の天然高分子が好適に用いられる。
これらの高分子は、これら単独または共重合物を、単独で、または組み合わせて用いることができる。
【0017】
溶媒としては、高分子(A)及び高分子(B)が共に溶解するものであれば、特に限定されないが、例えば、水、アルコール類、グリコール類、エステル類、ケトン類、セロソルブ類、芳香族等が挙げられる。
【0018】
本実施形態では、高分子(A)と高分子(B)とを溶媒に溶解させて、高分子(A)と高分子(B)とが均一に溶解した溶液を作製する。
次いで、この溶液を、シャワー、スプレー、超音波、インクジェット、バブルジェット(登録商標)等の液滴発生装置を使用して液滴化し、この液滴を所定温度に加熱された乾燥装置内に導入して溶媒を蒸発させ、高分子乾燥粉末とする。
【0019】
図1は、本実施形態にて用いられるスプレー減圧乾燥装置を示す概略構成図であり、図において、符号1は溶液Sを貯留する溶液槽、2は溶液Sを液滴化するスプレーノズル、3は液滴を加熱乾燥する減圧スプレー乾燥器、4は溶剤トラップ、5は真空ポンプ、6は溶液搬送用の配管、7は空気供給用の配管、8は圧力調整用の配管、9は減圧スプレー乾燥器の側壁に設けられたヒータ、10は配管6に設けられたヒータ、11は配管6に設けられた流量調整バルブ、12は配管7に設けられた空気量調整バルブ、13は配管8に設けられた圧力調整バルブである。
【0020】
この乾燥装置では、スプレーノズル2により所定の温度に加熱された溶液Sを液滴化し、減圧スプレー乾燥器3内に噴霧する。この減圧スプレー乾燥器3内は、真空ポンプ5により外部の圧力に比べて減圧状態とされかつ所定の温度に調整されているので、スプレーノズル2から噴霧された液滴は、溶媒が蒸発して高分子乾燥粉末となり、減圧スプレー乾燥器3の底部に滞留する。
本実施形態では、上記のスプレーノズル2により発生させる液滴の大きさや形状については特に制限はない。また、得られる高分子乾燥粉末の大きさや形状に特段の制限を設けるものではない。
【0021】
本実施形態では、高分子(A)と高分子(B)は溶液中で均一に溶解しているが、高分子(A)と高分子(B)とは相溶性がないため、液滴を乾燥させて得られる高分子乾燥粉末は、内部で、高分子(A)と高分子(B)がナノオーダーあるいはミクロンオーダーで2相に分離した状態になっている。
【0022】
図2は、本実施形態における金属酸化物ナノ粒子の生成メカニズムを示す説明図である。
この図では、高分子乾燥粉末の構造は、高分子(A)の表面張力をT(A)、高分子(B)の表面張力をT(B)とすると、
T(A)>T(B)
の場合には、N(ナノ粒子)となり、
また、
T(A)<T(B)
の場合には、P(ナノポーラス粒子)となる。
【0023】
ここで、中実の金属酸化物ナノ粒子を作製するには、高分子乾燥粉末の内部の相分離構造をN(ナノ粒子)構造とするのが好ましい。なお、高分子乾燥粉末の内部の相分離構造をP(ナノポーラス粒子)構造とすると、多孔質状の金属酸化物微粒子が得られる。
【0024】
本実施形態では、この二相分離された高分子(A)が金属酸化物微粒子の粒子核となる。従って、この製造方法においては、高分子乾燥粉末中の高分子(A)と高分子(B)の相分離構造および相分離された高分子(A)の大きさにより金属酸化物微粒子の粒径を制御することが可能である。
高分子(A)の大きさは、主として、高分子(A)と高分子(B)の配合比率及び高分子溶液の乾燥速度を変えることにより制御可能である。
【0025】
特に、平均粒径が数10nm以下の金属酸化物ナノ粒子を作製するためには、高分子(A)と高分子(B)の配合比率(体積比率)は、概ね
高分子(A)/{高分子(A)+高分子(B)}≦0.8
が好ましい範囲である。その理由は、この配合比率(体積比率)が0.8より大きくなると、高分子乾燥粉末を加熱し、高分子を燃焼させて金属酸化物ナノ粒子を生成させる際に、生成した粒子が融着し易くなるという問題が生じるからである。
【0026】
溶媒を蒸発除去する際の乾燥速度は、金属酸化物ナノ粒子の粒度分布を小さくするためには速い方が好ましく、乾燥速度を速める方法としては、乾燥装置内を減圧にしたり、乾燥温度を高くすることによって制御することが可能である。
【0027】
次いで、上記により得られた高分子乾燥粉末を高分子が燃焼する温度以上の温度で加熱し、高分子成分を燃焼除去させることにより、金属酸化物ナノ粒子を作製する。本実施形態では、金属酸化物ナノ粒子の粒子核は、図2に示すように、あらかじめ1ヶ1ヶが独立して高分子マトリクス(高分子B)中にナノオーダーで分散された状態で存在する。
そして、この高分子乾燥粉末を加熱すると、粒子核の周りの高分子マトリクス(高分子B)が燃焼することにより発生する炭酸ガス等のガス、及び高分子Aの有機成分が燃焼することにより発生する炭酸ガス等のガスの作用により、加熱時の粒子核の粒成長が抑制され、粒子核が成長することなく、粒度分布のシャープな金属酸化物ナノ粒子を得ることができる。
【0028】
したがって、本実施形態では、粒子濃度が比較的高い状態で加熱することが可能であるため、大量に金属酸化物ナノ粒子を製造することが可能になる。ここで、高分子乾燥粉末を加熱し高分子成分を燃焼除去させる方法としては、粉末を所定温度の電気炉中に静置して加熱する方法、流動床型の電気炉で加熱する方法、粉末を管状型の電気炉中に気流により導入し加熱する方法、粉末を火炎と共に燃焼させる方法等、いずれの方法を用いても、金属酸化物ナノ粒子を作製することができる。
【0029】
本実施形態の金属酸化物ナノ粒子の製造方法により、シリカ、アルミナ、ジルコニア、セリア、酸化亜鉛、酸化鉄、酸化クロム、酸化銅、酸化ニッケル、酸化チタン、酸化スズ、酸化タンタル、酸化タングステン、酸化マンガン、酸化ストロンチウム、酸化ビスマス、酸化ニオブ、酸化ルテニウム等の単体の金属酸化物のナノ粒子を作製することができる。
【0030】
また、アンチモンドープ酸化スズ、スズドープ酸化インジウム、希土類ドープ酸化イットリウム、イットリウムドープ酸化ジルコニウム、等の金属元素が固溶した金属酸化物のナノ粒子を作製することができる。
また、チタン酸バリウムのようなペロブスカイト構造、マンガン酸リチウム、ニッケルフェライト等のスピネル構造、イットリウムアルミネートガーネット等のガーネット構造等の複合金属酸化物のナノ粒子を製造することができる。
【0031】
本実施形態の金属酸化物ナノ粒子の製造方法によれば、高分子金属錯体、金属アルコキシドの縮重合物のいずれかからなる高分子(A)と、該高分子(A)よりも表面張力が小であり該高分子(A)と相溶せずかつ金属元素を含有しない高分子(B)とを溶媒中に溶解し、得られた溶液を乾燥し、その後加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とするので、乾燥時に、高分子(A)及び(B)の2相分離により高分子マトリクス中に金属酸化物ナノ粒子の粒子核となる金属含有高分子粒子を均一に析出させることができ、しかも、この金属含有高分子粒子が加熱により高分子成分を燃焼除去させる際に粒子成長することがない。したがって、粒子同士の融着がなく、得られた金属酸化物粒子のナノ粒子化とシャープな粒度分布を達成することができる。
【0032】
また、粒子濃度が高い状態でも金属酸化物ナノ粒子を生成させることができ、大量に金属酸化物ナノ粒子を合成することができる。
以上により、粒径が数10nm以下の金属酸化物ナノ粒子を、簡便な方法で、しかも大量に合成することができる。
また、高分子(A)及び高分子(B)の種類や組み合わせ等を変えることにより、多種多様の金属酸化物ナノ粒子を合成することができる。
【0033】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって限定されるものではない。
【0034】
(実施例1)
本実施形態の金属酸化物ナノ粒子の製造方法に基づき「シリカナノ粒子」を作製した。
【0035】
(シリコンアルコキシド縮重合物の調整)
▲1▼テトラエトキシシラン 208g
▲2▼0.01N 硝酸 108g
▲3▼エタノール 284g
各々を秤量し、これらを室温で混合した後、エバポレータを用いて50℃で1時間反応させた。その後、5℃まで放冷してシリコンアルコキシド縮重合物(高分子A1)を得た。
【0036】
(混合高分子溶液の調整)
高分子(B)としてポリアクリル酸(高分子B1)を用い、
▲4▼高分子A1 200g
▲5▼ポリアクリル酸(高分子B1) 100g
▲6▼エタノール 200g
各々を秤量し、これらを室温で2時間攪拌混合し、高分子A1と高分子B1が溶解した溶液C1を調整した。
【0037】
(高分子乾燥粉末の調整)
溶液C1を、図1に示すスプレー減圧乾燥装置により、以下の条件で乾燥して高分子乾燥粉末D1を作製した。得られた高分子乾燥粉末D1の粒径は2〜30μmであった。
【0038】
(高分子乾燥粉末の乾燥条件)
スプレーノズル:2流体ノズル((株)いけうち BIMK6004S)
溶液C1の流量:0.3l/分
真空度 :300mmHg
ヒータ9の温度:40℃
【0039】
(シリカナノ粒子粉末の作製)
上記の高分子乾燥粉末D1をステンレス製のパッドに入れ、このパッドを電気炉中で酸素を供給しながら500℃で2時間加熱し、シリカナノ粒子粉末を得た。得られたシリカナノ粒子は球状で、平均粒径が10nmであった。
図3は、本実施例1で得られたシリカナノ粒子の透過電子顕微鏡像(TEM像)であり、10万倍の倍率で撮影したものである。
【0040】
(実施例2)
本実施形態の金属酸化物ナノ粒子の製造方法に基づき「チタン酸鉛ナノ粒子」を作製した。
【0041】
(ポリエステル金属錯体の調整)
▲1▼エチレングリコール 2480g
▲2▼クエン酸 1920g
▲3▼酢酸鉛 315g
▲4▼チタンイソプロポキシド 284g
各々を秤量し、これらを室温で混合した後、エバポレータを用いて100℃で5時間反応させた。その後、室温まで放冷し、(Pb,Ti)元素を含有するポリエステル金属錯体溶液(高分子A2)を調整した。
【0042】
(混合高分子溶液の調整)
高分子(B)として塩化ビニル−酢酸ビニル−ポリビニルアルコール共重合体(高分子B2:電気化学工業(株)社製:デンカCSA)を用い、
▲5▼高分子A2 200g
▲6▼塩化ビニル−酢酸ビニル−ポリビニルアルコール共重合体(高分子B2)50g
▲7▼メチルエチルケトン 100g
各々を秤量し、これらを室温で1時間攪拌することにより、高分子A2と高分子B2が溶解した溶液C2を調整した。
【0043】
(高分子乾燥粉末の調整)
溶液C2を、図1に示すスプレー減圧乾燥装置により、実施例1と同一の条件で乾燥して高分子乾燥粉末D2を作成した。得られた高分子乾燥粉末D2の粒径は2〜30μmであった。
【0044】
(チタン酸鉛ナノ粒子粉末の作製)
上記の高分子乾燥粉末D2を石英製のパッドに入れ、このパッドを電気炉中で酸素を供給しながら500℃で3時間加熱し、チタン酸鉛ナノ粒子粉末を得た。得られたチタン酸鉛ナノ粒子は球状で、平均粒径が10nmであった。
【0045】
【発明の効果】
本発明の金属酸化物ナノ粒子の製造方法によれば、高分子金属錯体、金属アルコキシドの縮重合物のいずれかからなる高分子(A)と、該高分子(A)よりも表面張力が小であり該高分子(A)と相溶せずかつ金属元素を含有しない高分子(B)とを溶媒中に溶解し、得られた溶液を乾燥し、その後加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とするので、乾燥時に、高分子(A)及び(B)の2相分離により高分子マトリクス中に金属酸化物ナノ粒子の粒子核となる金属含有高分子粒子を均一に析出させることができ、しかも、この金属含有高分子粒子が加熱により高分子成分を燃焼除去させる際に粒子成長することがない。したがって、粒子同士の融着がなく、得られた金属酸化物粒子のナノ粒子化とシャープな粒度分布を達成することができる。
【0046】
また、粒子濃度が高い状態でも金属酸化物ナノ粒子を生成させることができ、大量に金属酸化物ナノ粒子を合成することができる。
以上により、粒径が数10nm以下の金属酸化物ナノ粒子を、簡便な方法で、しかも大量に合成することができる。
また、高分子(A)及び高分子(B)の種類や組み合わせ等を変えることにより、多種多様の金属酸化物ナノ粒子を合成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態の金属酸化物ナノ粒子の製造方法にて用いられるスプレー減圧乾燥装置を示す概略構成図である。
【図2】 本発明の一実施形態の金属酸化物ナノ粒子の製造方法における金属酸化物ナノ粒子の生成メカニズムを示す説明図である。
【図3】 本発明の一実施形態の金属酸化物ナノ粒子の製造方法で得られたシリカナノ粒子の透過電子顕微鏡像である。
【符号の説明】
1 溶液槽
2 スプレーノズル
3 減圧スプレー乾燥器
4 溶剤トラップ
5 真空ポンプ
6 溶液搬送用の配管
7 空気供給用の配管
8 圧力調整用の配管
9、10 ヒータ
11 流量調整バルブ
12 空気量調整バルブ
13 圧力調整バルブ
S 溶液
Claims (4)
- 高分子金属錯体、金属アルコキシドの縮重合物のいずれかからなる高分子(A)と、該高分子(A)よりも表面張力が小であり該高分子(A)と相溶せずかつ金属元素を含有しない高分子(B)とを溶媒中に溶解し、得られた溶液を乾燥し、その後加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とすることを特徴とする金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
- 前記高分子(A)中の金属元素は、Li、Cu、Zn、Sr、Ba、Al、Y、In、Ce、Si、Ti、Zr、Sn、Nb、Sb、Ta、Bi、Cr、W、Mn、Fe、Ni、Ruから選択された1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
- 前記溶液を液滴化し、その後、この液滴より溶媒を蒸発させて高分子粉体とし、該高分子粉体を加熱処理して金属酸化物ナノ粒子とすることを特徴とする請求項1または2記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
- 前記加熱処理の温度は、前記高分子粉体中の高分子が燃焼する温度以上であることを特徴とする請求項3記載の金属酸化物ナノ粒子の製造方法。
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