JP3276330B2 - 球状粉末の製造方法とこの方法により製造された球状粉末 - Google Patents

球状粉末の製造方法とこの方法により製造された球状粉末

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、金属元素が含まれ
る溶液を出発原料とした噴霧熱分解法による粒径サブミ
クロンからミクロン範囲の球状粉末の製造方法とこの方
法により製造された球状粉末に係り、特に、製造される
球状粉末が中空体や多孔体になり難い製造方法の改良と
この改良方法により製造された球状粉末に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】球状で結晶性のよい粒子(球状粉末)を
合成するには、粒子を互い接触させないまま高温で熱処
理することが必要である。そして、噴霧熱分解法はこの
条件を満たす製造方法の一つである。すなわち、この噴
霧熱分解法は、金属元素が含まれる溶液(出発原料)を
ノズルや超音波により霧化して微小な液滴にし、この液
滴の溶媒を高温で蒸発させて溶質から成る固体粒子を得
ると共に、得られた固体粒子を高温で熱分解させて初期
の液滴と略相似形の球状粉末を得る方法であった(特開
平8−170112号公報参照)。
【0003】そして、この噴霧熱分解法により製造され
る球状粉末は結晶性が良好なため酸化され難く、かつ、
粒径分布が狭く、凝集が少ないといった特徴を有してい
る。また、この方法に使用される製造装置の構造が比較
的簡単でメンテナンスが容易であり、長時間連続運転が
可能となる利点を有している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、この様な利点
を有している反面、噴霧熱分解法の問題点として、上記
液滴を急速に蒸発させたり固体粒子を急速に熱分解させ
た場合、生成される球状粉末が中空体や多孔体になって
しまうことがあった。
【0005】そして、中空体や多孔体となった上記球状
粉末はその密度が小さいため、この球状粉末を焼結体や
厚膜等の原料に適用した場合、焼結時の収縮が大きくな
り、これに起因して得られる焼結体に変形やクラック等
内部欠陥を生じたり、厚膜にボイドや不連続化等が生ず
る問題点を有していた。
【0006】そこで、従来においては原料や球状粉末の
性質に合わせてその合成条件を求めると共に合成条件を
精密に制御することで上記中空体や多孔体の生成を抑制
する方法が採られていた。但し、この方法を採るために
は、その前提として合成の最適条件を確定することが必
要となる。
【0007】しかし、合成の最適条件は出発原料と合成
装置に強く依存することが多く、この条件確定のために
は試行錯誤的な実験を繰返し行わなければならない問題
を有しており、かつ、条件確定に困難性が伴うことから
装置のスケールアップや量産化には適さない問題点を有
していた。
【0008】本発明はこの様な問題点に着目してなされ
たもので、その課題とするところは、中空体や多孔体に
なり難い噴霧熱分解法による簡便な球状粉末の製造方法
を提供し、合わせてこの方法により製造された球状粉末
を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】そこで、この様な課題を
解決するため、本発明者等は噴霧熱分解法における粒子
構造の形成メカニズムを詳細に検討しかつこの形成メカ
ニズムに基づき中空体や多孔体の生成原因の究明に鋭意
努力した。以下、Ni(NO32 ・6H2Oの水溶液
を出発原料とした通常の噴霧熱分解法によりNiOやN
i粒子を合成する場合を例に挙げ粒子の生成機構につい
て考察する。
【0010】まず、霧化されたNi(NO32 ・6H
2O水溶液の液滴はキャリアガスにより搬送されて加熱
された反応管内に導入されると、上記液滴は乾燥されて
(すなわち液滴の溶媒が蒸発して)溶質から成るNi
(NO32 水和物の固体粒子となる。
【0011】尚、液滴が乾燥される際、液滴中の溶媒部
分が蒸発して溶質の濃縮が起こりかつ液滴の表面に局所
的な過飽和領域が生成されて溶質成分から成る固体シェ
ルが形成され易くなるため、この固体シェルの形成が中
空体粒子生成の一因になっていると考えられる。
【0012】次に、更に加熱されると、温度の上昇に伴
いNi(NO32 の一部がその結晶水に溶けて(すな
わち融解して)粒子は部分的に液滴状となり、次いでこ
の液滴がより高温に晒されると液滴状のNi(NO3
2 が中空状のNiO粒子に熱分解され、更に、熱分解時
に発生したガスにより上記NiO粒子が膨張されてバル
ーン状になり易い。還元性雰囲気が適用されている場合
には、400℃程度の温度条件下において雰囲気中の還
元性ガスによりNiOはNiに還元される。
【0013】尚、上記Ni(NO32 水和物固体粒子
の一部が融解されて粒子の一部がバルーン状になってい
ることから、上記固体粒子の融解(すなわち液滴化)が
中空体粒子生成の最も重要な原因になっていると考えら
れる。
【0014】そして、部分的にバルーン状となったNi
O若しくはNi粒子が更に高温条件に晒されると、各粒
子中においてNiの焼結が進行し、粒子が緻密化して初
期の液滴と略相似形の球状Ni粉末が得られる。
【0015】この様な粒子構造の形成メカニズムの分析
から上記中空体粒子生成の原因として、(1)液滴乾燥時
における固体シェルの形成、及び、(2)Ni(NO3
2 水和物固体粒子の部分的液滴化(融解)現象が考えら
れる。
【0016】そして、(1)固体シェルの形成について
は、従来、合成プロセスにおける液滴の乾燥条件を精密
に制御することである程度防止することは可能であっ
た。
【0017】しかし、(2)固体粒子の部分的液滴化(融
解)現象を防止するには出発原料に硝酸塩以外のものを
適用するか溶液調製の段階で塩の種類を変える必要があ
り、加熱条件等の制御で融解現象を防止することはでき
ないため、従来の噴霧熱分解法で中空体等の生成を完全
に防止することは困難であることが確認された。
【0018】この様な粒子構造の形成メカニズムの検討
と中空体等の生成原因の究明を経て、本発明者等は合成
プロセス段階において固体シェルの形成と固体粒子の融
解現象を回避できる新たな噴霧熱分解法を見出だすに至
った。
【0019】すなわち、請求項1に係る発明は、金属元
素が含まれる溶液を出発原料とした噴霧熱分解法により
球状粉末を製造する方法を前提とし、一種以上の金属元
素が含まれる溶液に、当該金属イオンと配位結合可能な
添加物を配合して室温条件下では安定性を有し加熱条件
下では分解されて沈殿物を生成する錯体を形成し、この
錯体が含まれる溶液を上記出発原料とすることを特徴と
するものである。
【0020】そして、この請求項1記載の発明に係る球
状粉末の製造方法によれば、一種以上の金属元素が含ま
れる溶液に当該金属イオンと配位結合可能な添加物を配
合して従来の原料塩とは異なる錯体を形成しかつこの錯
体が含まれる溶液を出発原料にしているため、上述した
固体粒子の部分的液滴化(融解)現象を回避することが
可能となり粒子のバルーン化が防止される。
【0021】また、上記錯体が室温条件下では安定性を
有し加熱条件下では分解されて沈殿物を生成する性質を
備えていることから、加熱された液滴の中で溶質全体の
沈殿反応が起こり、これにより液滴全体に亘って溶質か
ら成る固体が一様に析出するため、従来のように液滴表
面において固体シェルが形成されることがない。
【0022】従って、従来のように合成条件を精密に制
御しなくとも中空体や多孔体の生成が回避されるため、
製造条件が緩和されて噴霧熱分解法による球状粉末の量
産化を図ることが可能となる。
【0023】この様な技術的手段において上記金属イオ
ンと配位結合が可能でかつ室温条件下では安定性を有し
加熱条件下では分解されて沈殿物を生成する錯体を形成
させる添加物としては、適宜沈殿剤、配位剤、還元剤等
が挙げられる。
【0024】次に、請求項2に係る発明は、金属イオン
と配位結合が可能でかつ室温条件下では安定性を有し加
熱条件下では分解されて沈殿物を生成する錯体を形成さ
せる添加物を特定した発明に関する。
【0025】すなわち、請求項2に係る発明は、請求項
1記載の発明に係る球状粉末の製造方法を前提とし、上
記金属イオンと配位結合可能な添加物を、アンモニア、
アンモニウム塩類、過酸化水素、可溶性炭酸塩、有機酸
及びその塩類、ジアミノエチレンから選択された一種類
若しくは複数種類により構成したことを特徴とするもの
である。
【0026】また、請求項3に係る発明は上記添加物と
金属元素が含まれる溶液を特定した発明に関し、請求項
4に係る発明は本発明により製造された球状粉末を特定
した発明に関する。
【0027】すなわち、請求項3に係る発明は、請求項
1または2記載の発明に係る球状粉末の製造方法を前提
とし、上記金属元素が含まれる溶液を硝酸ニッケル溶液
で構成し、かつ、上記金属イオンと配位結合可能な添加
物をアンモニアにより構成したことを特徴とし、また、
請求項4に係る発明は、請求項1、2または3記載の発
明に係る球状粉末の製造方法にて製造される球状粉末を
前提とし、Pt、Pd、Ag、Au、Ni、Co、F
e、Mo、W、Al、Ti、Zr、Ba、Pbから選択
された金属粉末若しくはこれ等の合金粉末、上記金属の
酸化物若しくは複酸化物粉末、上記金属の非酸化物粉
末、または、これ等の複合粉末であることを特徴とする
ものである。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0029】図1は、本発明に係る球状粉末の製造方法
に適用される噴霧熱分解製造装置の概略構成を示す説明
図である。
【0030】すなわち、この噴霧熱分解製造装置1は、
ミスト発生部(超音波噴霧器、二流体ノズル、静電噴霧
器等)10と、キャリアガス混合・供給系11と、反応
管12と、この反応管12の長さ方向に亘り配置された
第1番目の加熱炉13、第2番目の加熱炉14並びに第
3番目の加熱炉15と、これ等加熱炉の温度制御・記録
系(図示せず)と、金属粉末材料の回収部(サイクロ
ン、フィルタ、静電集塵器等)16と、排気ガス処理部
17とでその主要部が構成されている。
【0031】以下、アンモニア(NH3 )が添加された
Ni(NO32 ・6H2Oの水溶液を出発原料とし、
噴霧熱分解法によりNi若しくはNiO粒子を合成する
場合を例に挙げて実施の形態に係る球状粉末の製造方法
を説明する。
【0032】まず、Ni(NO32 ・6H2Oの水溶
液にアンモニア(NH3 )を添加すると、NH3 はNi
イオンと配位し、溶液は事実上アルカリ性Ni(N
3 6(NO32 溶液に変わる。この溶液は室温で
安定するが加熱されるとすぐに分解して沈殿を生成す
る。
【0033】そこで、アンモニア(NH3 )が添加され
たNi(NO32 ・6H2Oの水溶液を出発原料とし
た場合、噴霧熱分解の過程で液滴が加熱されると、液滴
全体に亘ってNi(OH)2 の沈殿が析出する。これに
より、上述した液滴乾燥時における固体シェルの形成、
及び、Ni(NO32 水和物固体粒子の部分的液滴化
(融解)現象が防止されて中空体の生成を回避すること
が可能となる。
【0034】そして、合成雰囲気や合成温度によって中
空体や多孔体をほとんど含まない緻密なNiO球状粉末
若しくはNi球状粉末を合成することができる。
【0035】この場合、生成直後のNiOが合成雰囲気
中のNH3 に還元されて直接Niになるため、還元性ガ
ス(水素、一酸化炭素等)を適用することなく窒素、ア
ルゴン、ヘリウム等キャリアガス雰囲気中でも金属Ni
粒子が得られる。実際に、アンモニアが添加された窒素
中での噴霧熱分解法による合成では、600℃以下では
NiO粒子が生成し、600℃以上でNi粒子が生成さ
れ、熱分解温度が高い程、Niの純度が単調に高くなる
ことが判明している。
【0036】尚、適宜配位剤を選ぶことにより、Ni以
外の、例えば、Pt、Pd、Ag、Au、Co、Fe、
Mo、W、Al、Ti、Zr、Ba、Pb等ほとんどの
元素の金属単体若しくは酸化物の粉末合成にも本発明が
有効であることが各種実験を経て確認されている。
【0037】
【実施例】以下、本発明の実施例について具体的に説明
する。
【0038】[実施例1]第1番目の加熱炉13が40
0℃、第2番目の加熱炉14が800℃、第3番目の加
熱炉15が1200℃に設定された図1の噴霧熱分解製
造装置1を用いると共に、Ni2+に対してモル比6倍の
アンモニアが添加された0.5モル/lの硝酸ニッケル
水溶液を超音波噴霧し、かつ、得られた液滴を窒素ガス
のみでそのガス流速が2.0cm/sec のキャリアガス
により反応管12内に搬入して、平均粒径が約0.7μ
mの純粋な真球状ニッケル粒子を合成した。
【0039】そして、得られたニッケル粒子について超
ミクロトームで薄片化し、透過型電子顕微鏡(TEM)
で粒子の内部構造を観察した結果、ニッケル粒子は略単
結晶化した緻密なものであり、かつ中空粒子が含まれて
いないことが確認された。
【0040】[実施例2]第1番目の加熱炉13が20
0℃、第2番目の加熱炉14が400℃、第3番目の加
熱炉15が400℃に設定されている点を除き実施例1
と略同一の条件で噴霧熱分解法により球状粉末の合成を
試みたところ、平均粒径が約1.1μmの純粋な真球状
NiO粒子が得られた。
【0041】そして、得られたNiO粒子について実施
例1と同様の方法により粒子の内部構造を観察した結
果、粒子は数十ナノメートルの微結晶NiOから成る緻
密なものであり、かつ、中空粒子が含まれていないこと
も確認された。
【0042】[実施例3]第1番目の加熱炉13が30
0℃、第2番目の加熱炉14が500℃、第3番目の加
熱炉15が850℃に設定された図1の噴霧熱分解製造
装置1を用いると共に、Ag2+に対してモル比2.5倍
のアンモニアが添加された0.5モル/lの硝酸銀溶液
を超音波噴霧し、かつ、得られた液滴を窒素ガスのみで
そのガス流速が2.0cm/sec のキャリアガスにより
反応管12内に搬入して、平均粒径が約0.6μmの純
粋な真球状金属銀粒子を合成した。
【0043】そして、得られた合成粒子について超ミク
ロトームで薄片化し、透過型電子顕微鏡(TEM)で粒
子の内部構造を観察した結果、この合成粒子は単結晶に
近い粒子であり、かつ、中空粒子が含まれていないこと
が確認された。
【0044】[実施例4]硝酸ニッケル水溶液に代えて
0.5モル/lの硝酸銅水溶液を適用した点を除き実施
例1と略同一の条件で噴霧熱分解法により球状粉末の合
成を試みたところ、平均粒径が約0.7μmの純粋な真
球状金属銅粒子が得られた。
【0045】[実施例5]第1番目の加熱炉13が20
0℃、第2番目の加熱炉14が600℃、第3番目の加
熱炉15が1000℃に設定された図1の噴霧熱分解製
造装置1を用い、かつ0.5モル/lの硝酸チタン[T
iO(NO32 ]溶液に、TiO2+に対しモル比2.
2倍の過酸化水素(H22)溶液を添加して錯体[Ti
O(H2222+を生成した。そして、この錯体が含
まれる溶液を出発原料として超音波噴霧し、かつ、得ら
れた液滴を窒素ガスのみでそのガス流速が1.0cm/
secのキャリアガスにより反応管12内に搬入して、平
均粒径が約0.7μmの真球状TiO2 粒子を合成し
た。
【0046】そして、得られた合成粒子について超ミク
ロトームで薄片化し、透過型電子顕微鏡(TEM)で粒
子の内部構造を観察した結果、この合成粒子はほとんど
緻密なものであり、かつ、中空粒子が含まれていないこ
とが確認された。
【0047】[比較例1]アンモニアが添加されていな
い0.5モル/lの硝酸ニッケル水溶液を出発原料とし
ている点と、水素と窒素の比率が1対5の混合キャリア
ガスを適用している点を除き実施例1と略同一の条件で
噴霧熱分解法により球状Ni粒子の合成を試みたとこ
ろ、平均粒径が約1.1μmの純粋な球状Ni粒子が得
られた。
【0048】そして、得られた合成粒子について超ミク
ロトームで薄片化し、透過型電子顕微鏡(TEM)で粒
子の内部構造を観察した結果、この合成粒子はその半分
ぐらいが中空体であることが確認された。
【0049】[比較例2]アンモニアが添加されていな
い0.5モル/lの硝酸ニッケル水溶液を出発原料とし
ている点を除き実施例2と略同一の条件で噴霧熱分解法
により球状NiO粒子の合成を試みたところ平均粒径が
約1.1μmの純粋な球状NiO粒子が得られた。
【0050】そして、得られた合成粒子について超ミク
ロトームで薄片化し、透過型電子顕微鏡(TEM)で粒
子の内部構造を観察した結果、全ての粒子は数十ナノメ
ートルの微結晶NiOから成る中空体であることが確認
された。
【0051】[比較例3]アンモニアが添加されていな
い0.5モル/lの硝酸銀溶液を出発原料としている点
を除き実施例3と略同一の条件で噴霧熱分解法により球
状粉末の合成を試みたところ、平均粒径が約0.7μm
の純粋な球状金属銀粒子が得られた。
【0052】そして、得られた合成粒子について超ミク
ロトームで薄片化し、透過型電子顕微鏡(TEM)で粒
子の内部構造を観察した結果、その数%の粒子が中空体
であることが確認された。
【0053】[比較例4]アンモニアが添加されていな
い0.5モル/lの硝酸銅溶液を出発原料としている点
と、水素と窒素の比率が1対5の混合キャリアガスを適
用している点を除き実施例4と略同一の条件で噴霧熱分
解法により球状粉末の合成を試みたところ、平均粒径が
約0.7μmの緻密な真球状金属銅粒子が得られた。
【0054】そして、得られた合成粒子について超ミク
ロトームで薄片化し、透過型電子顕微鏡(TEM)で粒
子の内部構造を観察した結果、その数%の粒子が中空体
であることが確認された。
【0055】
【発明の効果】請求項1〜3記載の発明に係る球状粉末
の製造方法によれば、一種以上の金属元素が含まれる溶
液に当該金属イオンと配位結合可能な添加物を配合して
従来の原料塩とは異なる錯体を形成しかつこの錯体が含
まれる溶液を出発原料にしているため、上述した固体粒
子の部分的液滴化(融解)現象を回避することが可能と
なり粒子のバルーン化が防止される。
【0056】また、上記錯体が室温条件下では安定性を
有し加熱条件下では分解されて沈殿物を生成する性質を
備えていることから、加熱された液滴の中で溶質全体の
沈殿反応が起こり、これにより液滴全体に亘って溶質か
ら成る固体が一様に析出するため、従来のように液滴表
面において固体シェルが形成されることがない。
【0057】従って、従来のように合成条件を精密に制
御しなくとも中空体や多孔体の生成が回避されるため、
製造条件が緩和されて噴霧熱分解法による球状粉末の量
産化を図ることが可能となる。
【0058】また、請求項4記載の発明に係る球状粉末
によれば、Pt、Pd、Ag、Au、Ni、Co、F
e、Mo、W、Al、Ti、Zr、Ba、Pbから選択
された金属粉末若しくはこれ等の合金粉末、上記金属の
酸化物若しくは複酸化物粉末、上記金属の非酸化物粉
末、または、これ等の複合粉末が請求項1〜3記載の製
造方法により製造されていることから中空体や多孔体の
含有割合が少ないため、焼結体や厚膜等に好適に利用で
きる効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る球状粉末の製造方法に適用される
噴霧熱分解製造装置の概略構成を示す説明図。
【符号の説明】
1 噴霧熱分解製造装置 10 ミスト発生部 11 キャリアガス混合・供給系 12 反応管 13 加熱炉 14 加熱炉 15 加熱炉 16 回収部 17 排気ガス処理部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 Journal of MATERI ALS RESEACH,Vol.11, No.3,pp.663−670(1996) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 9/30 C01G 1/00 C04B 35/00 H01B 1/00

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属元素が含まれる溶液を出発原料とした
    噴霧熱分解法により球状粉末を製造する方法において、 一種以上の金属元素が含まれる溶液に、当該金属イオン
    と配位結合可能な添加物を配合して室温条件下では安定
    性を有し加熱条件下では分解されて沈殿物を生成する錯
    体を形成し、この錯体が含まれる溶液を上記出発原料と
    することを特徴とする球状粉末の製造方法。
  2. 【請求項2】上記金属イオンと配位結合可能な添加物
    を、アンモニア、アンモニウム塩類、過酸化水素、可溶
    性炭酸塩、有機酸及びその塩類、ジアミノエチレンから
    選択された一種類若しくは複数種類により構成したこと
    を特徴とする請求項1記載の球状粉末の製造方法。
  3. 【請求項3】上記金属元素が含まれる溶液を硝酸ニッケ
    ル溶液で構成し、かつ、上記金属イオンと配位結合可能
    な添加物をアンモニアにより構成したことを特徴とする
    請求項1または2記載の球状粉末の製造方法。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3記載の製造方法にて
    製造される球状粉末が、Pt、Pd、Ag、Au、N
    i、Co、Fe、Mo、W、Al、Ti、Zr、Ba、
    Pbから選択された金属粉末若しくはこれ等の合金粉
    末、上記金属の酸化物若しくは複酸化物粉末、上記金属
    の非酸化物粉末、または、これ等の複合粉末であること
    を特徴とする球状粉末。
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Title
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