JP2018076243A - 超分子金属錯体粒子、フィルム及び超分子金属錯体粒子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の課題は、粒径及び粒子形状が均一で、かつ、分散安定性に優れた超分子金属錯体粒子を提供することである。【解決手段】本発明の超分子金属錯体粒子は、少なくとも、二つ以上の金属原子Mと多座配位子Lとを有する超分子金属錯体を含有し、金属原子Mが2価以上の金属原子であり、多座配位子Lが複数の金属原子Mに配位しており、超分子金属錯体粒子における1次粒子の円形度が0.9〜1.0の範囲内であることを特徴とする。【選択図】図1
Description
本発明は、超分子金属錯体粒子、フィルム及び超分子金属錯体粒子の製造方法に関し、より詳しくは、粒径及び粒子形状が均一で、かつ、分散安定性に優れた超分子金属錯体粒子、超分子金属錯体粒子を含有するフィルム及び超分子金属錯体粒子の製造方法に関する。
有機金属錯体は、様々な金属元素と有機配位子との組み合わせにより構成され、顔料や蛍光体、生体材料など様々な分野に用いられている。有機金属錯体を利用する際は、塗料やインキ、樹脂やゴム中に分散させることが多く、分散性を持たせるために有機金属錯体の粒子化は必須となる。
有機金属錯体を粒子化する方法として、一般的には錯体を形成したのち凝集させて粒子とする方法が知られており、例えば、この方法により合成された超分子希土類錯体粒子をプラスチック材料に分散させた成形体に関する技術が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。
しかし、このような手法で得られた超分子希土類錯体粒子は、粒径や粒子形状が不揃いとなる傾向がある。このような粒子は表面エネルギーが増大するため、粒子同士の凝集力が大きく、分散媒に分散させると凝集やそれに伴う粒子の沈降が起こり、分散安定性に劣り、ヘイズが発生し、更には発光効率が低下するという問題がみられる。
また、錯体を形成してから凝集する上記の一般的な方法では、錯体を形成する工程の後に錯体を粒子化する工程が必要となるため、製造工程が多く生産性に劣るという問題がある。
しかし、このような手法で得られた超分子希土類錯体粒子は、粒径や粒子形状が不揃いとなる傾向がある。このような粒子は表面エネルギーが増大するため、粒子同士の凝集力が大きく、分散媒に分散させると凝集やそれに伴う粒子の沈降が起こり、分散安定性に劣り、ヘイズが発生し、更には発光効率が低下するという問題がみられる。
また、錯体を形成してから凝集する上記の一般的な方法では、錯体を形成する工程の後に錯体を粒子化する工程が必要となるため、製造工程が多く生産性に劣るという問題がある。
一方で、特許文献2は、活性な配位子と金属イオンとをそれぞれ分散させて滴下し、超分子希土類錯体を合成する方法を開示している。しかし、活性な配位子と金属イオンとの濃度比が不均一であるため、超分子希土類錯体粒子の粒径や粒子形状のコントロールが難しいという問題がある。
また、特許文献3には、希土類イオンにホスフィンオキシド多座配位子に加えて、単座配位子及び/又はキレート配位子を配位させることにより、溶媒やプラスチック材料中での分散安定性を向上させた超分子希土類錯体粒子に関する技術が開示されている。しかし、このようにして得られた粒子は、小粒径のときには分散安定性に優れているものの、粒子形状が揃っていないために、大粒径になると粒子の表面積が大きくなることから容易に凝集してしまい、分散安定性に劣るという問題がある。
本発明は、上記問題・状況に鑑みてなされたものであり、その解決課題は、粒径及び粒子形状が均一で、かつ、分散安定性に優れた超分子金属錯体粒子、フィルム及び超分子金属錯体粒子の製造方法を提供することである。
本発明者は、上記課題を解決すべく、上記問題の原因等について検討する過程において、不活性な配位子前駆体と金属錯体とを含む混合溶液を乳化分散させ、この混合溶液に配位子前駆体を活性化させる酸化剤を滴下することにより、粒径及び粒子形状が均一で、かつ、分散安定性に優れた超分子金属錯体粒子を提供できることを見出し、本発明に至った。
すなわち、本発明に係る上記課題は、以下の手段により解決される。
1.少なくとも、二つ以上の金属原子Mと多座配位子Lとを有する超分子金属錯体を含有する超分子金属錯体粒子であって、
前記金属原子Mが、2価以上の金属原子であり、
前記多座配位子Lが、複数の前記金属原子Mに配位しており、
前記超分子金属錯体粒子の1次粒子の円形度が、0.9〜1.0の範囲内であることを特徴とする超分子金属錯体粒子。
前記金属原子Mが、2価以上の金属原子であり、
前記多座配位子Lが、複数の前記金属原子Mに配位しており、
前記超分子金属錯体粒子の1次粒子の円形度が、0.9〜1.0の範囲内であることを特徴とする超分子金属錯体粒子。
2.前記超分子金属錯体粒子の1次粒子のアスペクト比が、1.0〜2.0の範囲内であることを特徴とする第1項に記載の超分子金属錯体粒子。
3.前記超分子金属錯体粒子の1次粒子のSEM画像において、前記超分子金属錯体粒子の1次粒子の長軸の1/5の長さを直径とする真円Xを前記超分子金属錯体粒子の1次粒子の界面に沿って内接するように転がすとき、前記超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して前記真円Xが重複する面積が、90%以上であることを特徴とする第1項又は第2項に記載の超分子金属錯体粒子。
4.複数の前記超分子金属錯体粒子が分散された状態において、前記複数の超分子金属錯体粒子の平均1次粒径が、0.01〜100μmの範囲内であることを特徴とする第1項から第3項までのいずれか一項に記載の超分子金属錯体粒子。
5.前記複数の超分子金属錯体粒子の平均1次粒径が、0.01〜50μmの範囲内であることを特徴とする第4項に記載の超分子金属錯体粒子。
6.前記2価以上の金属原子が、希土類金属であることを特徴とする第1項から第5項までのいずれか一項に記載の超分子金属錯体粒子。
7.第1項から第6項までのいずれか一項に記載の超分子金属錯体粒子を含有することを特徴とするフィルム。
8.少なくとも、二つ以上の金属原子Mと多座配位子Lとを有する超分子金属錯体を含有する超分子金属錯体粒子の製造方法であって、
前記多座配位子Lの配位子前駆体と前記金属原子Mを有する金属錯体とを、少なくとも分散安定剤又は界面活性剤を用いて乳化分散処理することを特徴とする超分子金属錯体粒子の製造方法。
前記多座配位子Lの配位子前駆体と前記金属原子Mを有する金属錯体とを、少なくとも分散安定剤又は界面活性剤を用いて乳化分散処理することを特徴とする超分子金属錯体粒子の製造方法。
9.前記多座配位子Lの配位子前駆体と、前記金属原子Mを有する金属錯体と、疎水性溶媒とを含む疎水性溶液を調製する工程と、
分散安定剤と、界面活性剤とを含む水溶液を調製する工程と、
前記疎水性溶液と前記水溶液とを混合して混合溶液を調製し、前記混合溶液を乳化分散処理する工程と、
前記乳化分散処理した混合溶液に、前記配位子前駆体を活性化させる酸化剤を添加する工程と、
を有することを特徴とする第8項に記載の超分子金属錯体粒子の製造方法。
分散安定剤と、界面活性剤とを含む水溶液を調製する工程と、
前記疎水性溶液と前記水溶液とを混合して混合溶液を調製し、前記混合溶液を乳化分散処理する工程と、
前記乳化分散処理した混合溶液に、前記配位子前駆体を活性化させる酸化剤を添加する工程と、
を有することを特徴とする第8項に記載の超分子金属錯体粒子の製造方法。
10.前記混合溶液を乳化分散処理する工程では、超音波を用いて前記混合溶液を乳化分散処理することを特徴とする第9項に記載の超分子金属錯体粒子の製造方法。
本発明の上記手段により、粒径及び粒子形状が均一で、かつ、分散安定性に優れた超分子金属錯体粒子、フィルム及び超分子金属錯体粒子の製造方法を提供することができる。
本発明の効果の発現機構・作用機構については明確になっていないが、以下のように推察している。
本発明の超分子金属錯体粒子は、1次粒子の円形度が0.9〜1.0の範囲内であることを特徴とする。
すなわち、球状あるいは円板状の超分子金属錯体粒子を用いることにより、粒子の表面積が小さくなるとともに、粒子間の接触面積が低減し、2次凝集を抑制することができるものと考えられる。このため、分散媒に分散させた場合においても、凝集やそれに伴う沈降が起きず、どのような平均粒径であっても分散安定性に優れた分散体を得ることができるものと推察される。
すなわち、球状あるいは円板状の超分子金属錯体粒子を用いることにより、粒子の表面積が小さくなるとともに、粒子間の接触面積が低減し、2次凝集を抑制することができるものと考えられる。このため、分散媒に分散させた場合においても、凝集やそれに伴う沈降が起きず、どのような平均粒径であっても分散安定性に優れた分散体を得ることができるものと推察される。
本発明の超分子金属錯体粒子は、少なくとも、二つ以上の金属原子Mと多座配位子Lとを有する超分子金属錯体を含有し、金属原子Mが2価以上の金属原子であり、多座配位子Lが複数の金属原子Mに配位しており、超分子金属錯体粒子における1次粒子の円形度が0.9〜1.0の範囲内であることを特徴とする。この特徴は、各請求項に係る発明に共通する技術的特徴である。
本発明の実施態様としては、凝集やそれに伴う沈降を抑制する観点から、超分子金属錯体粒子の1次粒子のアスペクト比が1.0〜2.0の範囲内であることが好ましい。
また、凝集やそれに伴う沈降を抑制する観点から、超分子金属錯体粒子の1次粒子のSEM画像において、超分子金属錯体粒子の1次粒子の長軸の1/5の長さを直径とする真円Xを超分子金属錯体粒子の1次粒子の界面に沿って内接するように転がすとき、超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して真円Xが重複する面積が90%以上であることが好ましい。
また、分散状態を安定に維持することができ、透明性や発光においてムラのないフィルムを得ることができる観点から、複数の超分子金属錯体粒子が分散された状態において、複数の超分子金属錯体粒子の平均1次粒径が、0.01〜100μmの範囲内であることが好ましく、0.01〜50μmの範囲内であることがより好ましい。
また、目的とする発光色を容易に得ることができる観点から、2価以上の金属原子が希土類金属であることが好ましい。
本発明は、上記超分子金属錯体粒子を含有するフィルムを提供することができる。
本発明は、少なくとも、二つ以上の金属原子Mと多座配位子Lとを有する超分子金属錯体粒子の製造方法であって、多座配位子Lの配位子前駆体と金属原子Mを有する金属錯体とを、少なくとも分散安定剤又は界面活性剤を用いて乳化分散処理する超分子金属錯体粒子の製造方法を提供することができる。
本発明の実施態様としては、乳化分散することで反応場を作り、そこで反応を完結させて超分子金属錯体粒子を得る観点から、多座配位子Lの配位子前駆体と、金属原子Mを有する金属錯体と、疎水性溶媒とを含む疎水性溶液を調製する工程と、分散安定剤と、界面活性剤とを含む水溶液を調製する工程と、疎水性溶液と水溶液とを混合して混合溶液を調製し、混合溶液を乳化分散処理する工程と、乳化分散処理した混合溶液に、配位子前駆体を活性化させる酸化剤を添加する工程と、を有することが好ましい。
また、原料にダメージを与えず(原料の形状を変化させない)に分散可能であることから、混合溶液を乳化分散処理する工程では、超音波を用いて混合溶液を乳化分散処理することが好ましい。
以下、本発明とその構成要素、及び本発明を実施するための形態・態様について詳細な説明をする。なお、本願において、数値範囲を表す「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用している。
《超分子金属錯体粒子》
本発明の超分子金属錯体粒子は、少なくとも、二つ以上の金属原子Mと多座配位子Lとを有する超分子金属錯体を含有することを特徴とする。
本発明の超分子金属錯体粒子は、少なくとも、二つ以上の金属原子Mと多座配位子Lとを有する超分子金属錯体を含有することを特徴とする。
〈超分子金属錯体〉
本発明に係る超分子金属錯体は、二つ以上の金属原子Mと多座配位子Lとを有している。
なお、本発明における超分子金属錯体とは、複数の金属原子Mが多座配位子Lによる配位結合を介して連結された構造を有する配位高分子のことをいう。すなわち、多座配位子Lがその複数の配位可能な部位により、二つ以上の異なる金属原子Mに配位することにより、それら二つ以上の金属原子Mを橋かけし、更に、その金属原子Mに別の多座配位子Lが配位することによって、次々と金属原子M同士を橋かけし、超分子金属錯体を形成している。
本発明に係る超分子金属錯体は、二つ以上の金属原子Mと多座配位子Lとを有している。
なお、本発明における超分子金属錯体とは、複数の金属原子Mが多座配位子Lによる配位結合を介して連結された構造を有する配位高分子のことをいう。すなわち、多座配位子Lがその複数の配位可能な部位により、二つ以上の異なる金属原子Mに配位することにより、それら二つ以上の金属原子Mを橋かけし、更に、その金属原子Mに別の多座配位子Lが配位することによって、次々と金属原子M同士を橋かけし、超分子金属錯体を形成している。
図1に、本発明に係る超分子金属錯体の構造の一例を示すが、特にこれに限定されない。
図1(a)に示す超分子金属錯体は、金属原子Mと多座配位子Lとが交互に連結した直鎖構造となっている。
図1(b)に示す超分子金属錯体は、三つの金属原子Mが一つの多座配位子Lを介して繰り返し連結されたネットワーク構造となっている。
図1(c)に示す超分子金属錯体は、金属原子Mと多座配位子Lとが交互に連結した直鎖構造となっており、金属原子Mには、更に単座又は多座配位子L′が配位している。
図1(a)に示す超分子金属錯体は、金属原子Mと多座配位子Lとが交互に連結した直鎖構造となっている。
図1(b)に示す超分子金属錯体は、三つの金属原子Mが一つの多座配位子Lを介して繰り返し連結されたネットワーク構造となっている。
図1(c)に示す超分子金属錯体は、金属原子Mと多座配位子Lとが交互に連結した直鎖構造となっており、金属原子Mには、更に単座又は多座配位子L′が配位している。
(金属原子M)
本発明に係る金属原子Mは、2価以上の金属原子である。
金属原子Mは、錯形成可能な2価以上のものであれば特に制限されないが、好ましくはNi、Co、Cu、Fe、又は希土類金属が挙げられ、より好ましくは希土類金属であり、特に好ましくは、Eu又はTbである。
本発明に係る金属原子Mは、2価以上の金属原子である。
金属原子Mは、錯形成可能な2価以上のものであれば特に制限されないが、好ましくはNi、Co、Cu、Fe、又は希土類金属が挙げられ、より好ましくは希土類金属であり、特に好ましくは、Eu又はTbである。
(多座配位子L)
本発明に係る多座配位子Lとしては、特に制限されないが、好ましくは下記一般式(1)で表される構造を有する配位子が挙げられる。
本発明に係る多座配位子Lとしては、特に制限されないが、好ましくは下記一般式(1)で表される構造を有する配位子が挙げられる。
一般式(1)中、X及びX′は、それぞれ独立に、金属原子Mと配位結合又は共有結合可能な部位を表す。X及びX′は、それぞれ異なる金属原子Mに配位結合又は共有結合している。Lは、連結基を表す。nは、1以上の整数である。nが2以上の整数であるとき、X′は同一であってもよいし、異なっていてもよい。
一般式(1)におけるX及びX′としては、金属原子Mに配位結合又は共有結合可能であれば特に制限されず、公知の構造を用いることができる。好ましくは、強固な配位結合又は共有結合を形成できる観点から、酸素原子、窒素原子、硫黄原子で金属原子Mに配位結合又は共有結合可能な構造である。このうち、酸素原子を介して金属原子Mに配位結合又は共有結合可能な構造としては、例えば、下記一般式(2a)、(2b)及び(2c)で表される構造が挙げられる。
一般式(2a)〜(2c)中、Ar及びAr′は、それぞれ独立に、芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を表す。Ar及びAr′は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。*は、連結基Lとの結合部位を表す。
一般式(2a)〜(2c)においてAr及びAr′で表される芳香族炭化水素環基としては、ベンゼン環、p−クロロベンゼン環、メシチレン環、トルエン環、キシレン環、ナフタレン環、アントラセン環、アズレン環、アセナフテン環、フルオレン環、フェナントレン環、インデン環、ピレン環、ビフェニル環等から導出される1価の基が挙げられる。
これらの基は、本発明の効果を阻害しない範囲において、公知の置換基を有していてもよい。
これらの基は、本発明の効果を阻害しない範囲において、公知の置換基を有していてもよい。
一般式(2a)〜(2c)においてAr及びAr′で表される芳香族複素環基としては、ピリジン環、ピリミジン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、ピラジン環、トリアゾール環から導出される1価の基が挙げられる。
これらの基は、本発明の効果を阻害しない範囲において、公知の置換基を有していてもよい。
これらの基は、本発明の効果を阻害しない範囲において、公知の置換基を有していてもよい。
一般式(2a)〜(2c)においてAr及びAr′で表される芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基が有していてもよい置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、芳香族炭化水素基(アリール基ともいい、例えば、フェニル基、p−クロロフェニル基、メシチル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントリル基、アズレニル基、アセナフテニル基、フルオレニル基、フェナントリル基、インデニル基、ピレニル基、ビフェニリル基等)、非芳香族複素環基、芳香族複素環基(ヘテロアリール基ともいい、ピリジル基、ピリミジニル基、フリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、ピラゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基、オキサゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、チアゾリル基、イソオキサゾリル基、イソチアゾリル基、フラザニル基、チエニル基、キノリル基、ベンゾフリル基、ジベンゾフリル基、ベンゾチエニル基、ジベンゾチエニル基、インドリル基、カルバゾリル基、カルボリニル基、ジアザカルバゾリル基、キノキサリニル基、ピリダジニル基、トリアジニル基、キナゾリニル基、フタラジニル基等)、ハロゲン原子、アルコキシル基、シクロアルコキシル基、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシル基、アシルオキシ基、アミド基、アリールスルホニル基、アミノ基、アリールシリル基、アリールホスフィノ基、アリールホスホリル基等が挙げられる。これらの置換基は、さらに上記の置換基によって置換されていてもよいし、また、それらが互いに縮合して更に環を形成してもよい。
連結基Lは、耐熱性を向上できる観点から、好ましくは芳香族炭化水素環基又は芳香族複素環基を含むものがよい。
芳香族炭化水素環基としては、例えば、ベンゼン環、p−クロロベンゼン環、メシチレン環、トルエン環、キシレン環、ナフタレン環、アントラセン環、アズレン環、アセナフテン環、フルオレン環、フェナントレン環、インデン環、ピレン環、ビフェニル環等から導出される基が挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、ピラジン環、トリアゾール環から導出される基が挙げられる。
芳香族炭化水素環基としては、例えば、ベンゼン環、p−クロロベンゼン環、メシチレン環、トルエン環、キシレン環、ナフタレン環、アントラセン環、アズレン環、アセナフテン環、フルオレン環、フェナントレン環、インデン環、ピレン環、ビフェニル環等から導出される基が挙げられる。
芳香族複素環基としては、例えば、ピリジン環、ピリミジン環、フラン環、ピロール環、イミダゾール環、ベンゾイミダゾール環、ピラゾール環、ピラジン環、トリアゾール環から導出される基が挙げられる。
連結基Lとしては、より好ましくは、下記一般式(3a)、(3b)、(3c)及び(3d)で表される構造を有する連結基が挙げられる。
一般式(3a)〜(3d)中、R1は、置換基を表す。mは、0からR1が結合している芳香環における置換可能な部位の数までの整数である。
一般式(3a)〜(3d)におけるR1で表される置換基としては、特に制限されないが、例えば、炭素数1〜20の炭化水素基、ヒドロキシ基、ニトロ基、アミノ基、スルホニル基、シアノ基、シリル基、ホスホン酸基、ジアゾ基等が挙げられる。
(その他の配位子L′)
本発明に係る超分子金属錯体は、金属原子Mに対し、多座配位子Lに加えて、その他の単座又は多座配位子L′が配位していてもよい。
配位子L′としては、本発明の効果を阻害しない範囲において特に制限されず、公知のものを用いることができるが、超分子金属錯体の耐熱性向上の観点から、多座配位子であることが好ましく、下記一般式(4)で表される構造を有する配位子であることがより好ましい。
本発明に係る超分子金属錯体は、金属原子Mに対し、多座配位子Lに加えて、その他の単座又は多座配位子L′が配位していてもよい。
配位子L′としては、本発明の効果を阻害しない範囲において特に制限されず、公知のものを用いることができるが、超分子金属錯体の耐熱性向上の観点から、多座配位子であることが好ましく、下記一般式(4)で表される構造を有する配位子であることがより好ましい。
一般式(4)中、R2は、水素原子又はハロゲン原子を表す。R3は、水素原子又は重水素原子を表す。
〈超分子金属錯体粒子の物性〉
(円形度)
本発明の超分子金属錯体粒子の1次粒子の円形度は、0.9〜1.0の範囲内であることを特徴とする。
ここで、1次粒子とは、後述する乳化分散処理によって発生したミセルの中でできた塊状物のことを指す。
(円形度)
本発明の超分子金属錯体粒子の1次粒子の円形度は、0.9〜1.0の範囲内であることを特徴とする。
ここで、1次粒子とは、後述する乳化分散処理によって発生したミセルの中でできた塊状物のことを指す。
円形度とは、粒子表面の凹凸度合いを表すもので、Wadellの円形度のことを示しており、下記式で求められる。
凹凸度合いを表す円形度=投影面積の等しい円の周長/粒子の周長
ここで、「投影面積の等しい円の周長」とは、ある粒子を真上から観察したとき、下の平面に映った粒子の影の面積を求め、この面積に等しい円を計算し、その円の輪郭の長さである。「粒子の周長」とは、粒子を真上から観察したとき、下の平面に映った粒子の影の輪郭の長さである。
ここで、「投影面積の等しい円の周長」とは、ある粒子を真上から観察したとき、下の平面に映った粒子の影の面積を求め、この面積に等しい円を計算し、その円の輪郭の長さである。「粒子の周長」とは、粒子を真上から観察したとき、下の平面に映った粒子の影の輪郭の長さである。
粒子表面の凹凸度合いが小さいほど、円形度は1に近くなる。
本発明において、円形度の測定/評価は、Image Pro Plusという画像解析ソフトを用いて粒子の面積と周長を求め、円形度の計算式に当てはめて算出する。
本発明の超分子金属錯体粒子の1次粒子の円形度は0.9〜1.0の範囲内であるが、円形度が0.9より小さい場合には、単位体積当たりの表面積が大きくなるため、凝集しやすくなってしまう。
(アスペクト比)
本発明の超分子金属錯体粒子の1次粒子のアスペクト比は、1.0〜2.0の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5の範囲内である。アスペクト比が2.0以下であれば、単位体積当たりの表面積が小さくなり、粒子の凝集を抑制することができる。
本発明の超分子金属錯体粒子の1次粒子のアスペクト比は、1.0〜2.0の範囲内であることが好ましく、より好ましくは1.0〜1.5の範囲内である。アスペクト比が2.0以下であれば、単位体積当たりの表面積が小さくなり、粒子の凝集を抑制することができる。
超分子金属錯体粒子のアスペクト比は、以下のように求められる。
まず、超分子金属錯体粒子の1次粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択する。選択された超分子金属錯体粒子の1次粒子に外接する長方形を複数描き、長方形の最大の長辺の長さを長径a、最小の短辺の長さを短径bとし、長径aと短径bとの比(a/b)からアスペクト比を算出する。
まず、超分子金属錯体粒子の1次粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択する。選択された超分子金属錯体粒子の1次粒子に外接する長方形を複数描き、長方形の最大の長辺の長さを長径a、最小の短辺の長さを短径bとし、長径aと短径bとの比(a/b)からアスペクト比を算出する。
(超分子金属錯体粒子の1次粒子に対する真円Xの重複面積割合)
本発明の超分子金属錯体粒子は、超分子金属錯体粒子の1次粒子のSEM画像において、超分子金属錯体粒子の1次粒子の長軸の1/5の長さを直径とする真円Xを超分子金属錯体粒子の1次粒子の界面に沿って内接するように転がすとき、超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して真円Xが重複する面積の割合が、90%以上であることが好ましい。
超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して真円Xが重複する面積の割合が90%以上であることにより、単位面積当たりの表面積が大きくなり、凝集を抑制することができる。
本発明の超分子金属錯体粒子は、超分子金属錯体粒子の1次粒子のSEM画像において、超分子金属錯体粒子の1次粒子の長軸の1/5の長さを直径とする真円Xを超分子金属錯体粒子の1次粒子の界面に沿って内接するように転がすとき、超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して真円Xが重複する面積の割合が、90%以上であることが好ましい。
超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して真円Xが重複する面積の割合が90%以上であることにより、単位面積当たりの表面積が大きくなり、凝集を抑制することができる。
なお、「超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して真円Xが重複する面積の割合が90%以上である」とは、超分子金属錯体粒子の1次粒子が突起を有さず、円に近い粒子形状であることを意味する。このような粒子形状としては、例えば、球形や平坦な円板状などが挙げられる。反対に、超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して真円Xが重複する面積の割合が90%未満である粒子形状の例としては、立方晶、多角柱などが挙げられる。
超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して真円Xが重複する面積の割合は、以下のようにして決定される。
まず、超分子金属錯体粒子の1次粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択する。選択された超分子金属錯体粒子の1次粒子それぞれについて長軸の1/5の長さを直径とする真円Xをパワーポイント上で描き、各粒子の界面に沿って内接するように転がし、各粒子に対して真円Xが重複する面積の割合を算出する。図2(a)は、超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して真円Xが重複する面積の割合が90%以上であるSEM画像(本発明の超分子金属錯体粒子)であり、図2(b)は、超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して真円Xが重複する面積の割合が90%未満であるSEM画像(比較としての超分子金属錯体粒子)である。図2(b)に示す粒子は、多角形状をしており、多くの真円Xが粒子界面から粒子外側に向かってはみ出していることがわかる。
まず、超分子金属錯体粒子の1次粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択する。選択された超分子金属錯体粒子の1次粒子それぞれについて長軸の1/5の長さを直径とする真円Xをパワーポイント上で描き、各粒子の界面に沿って内接するように転がし、各粒子に対して真円Xが重複する面積の割合を算出する。図2(a)は、超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して真円Xが重複する面積の割合が90%以上であるSEM画像(本発明の超分子金属錯体粒子)であり、図2(b)は、超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して真円Xが重複する面積の割合が90%未満であるSEM画像(比較としての超分子金属錯体粒子)である。図2(b)に示す粒子は、多角形状をしており、多くの真円Xが粒子界面から粒子外側に向かってはみ出していることがわかる。
(平均1次粒径)
本発明の超分子金属錯体粒子の平均1次粒径は、複数の超分子金属錯体粒子が分散された状態において、0.01〜100μmの範囲内であることが好ましく、0.01〜50μmの範囲内であることが好ましい。平均1次粒径が0.01μm以上であれば、分散状態を安定に維持することができ、100μm以下であれば、フィルムとして使用する際に、透明性や発光においてムラのないフィルムとすることができる。
超分子金属錯体粒子の平均1次粒径は、超分子金属錯体粒子の1次粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択してこれらの直径を測定し、平均値を算出することで特定される。
本発明の超分子金属錯体粒子の平均1次粒径は、複数の超分子金属錯体粒子が分散された状態において、0.01〜100μmの範囲内であることが好ましく、0.01〜50μmの範囲内であることが好ましい。平均1次粒径が0.01μm以上であれば、分散状態を安定に維持することができ、100μm以下であれば、フィルムとして使用する際に、透明性や発光においてムラのないフィルムとすることができる。
超分子金属錯体粒子の平均1次粒径は、超分子金属錯体粒子の1次粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択してこれらの直径を測定し、平均値を算出することで特定される。
〈超分子金属錯体粒子の製造方法〉
本発明の超分子金属錯体粒子の製造方法は、多座配位子Lの配位子前駆体と金属原子Mを有する金属錯体とを、少なくとも分散安定剤又は界面活性剤を用いて乳化分散処理することを特徴とする。
この手法は、少なくとも分散安定剤又は界面活性剤を用いて乳化分散することにより、あらかじめ形状や粒径の揃ったミセルを形成し、形成したミセルが反応場となりそのまま粒子の形になるという新しい微粒子の合成方法である。
本発明の超分子金属錯体粒子の製造方法は、多座配位子Lの配位子前駆体と金属原子Mを有する金属錯体とを、少なくとも分散安定剤又は界面活性剤を用いて乳化分散処理することを特徴とする。
この手法は、少なくとも分散安定剤又は界面活性剤を用いて乳化分散することにより、あらかじめ形状や粒径の揃ったミセルを形成し、形成したミセルが反応場となりそのまま粒子の形になるという新しい微粒子の合成方法である。
以下に、本発明の超分子金属錯体粒子の製造方法の一例として、下記工程(i)〜(iv)を有する製造方法について説明する。
工程(i)多座配位子Lの配位子前駆体と、金属原子Mを有する金属錯体と、疎水性溶媒とを含む疎水性溶液を調製する工程
工程(ii)分散安定剤と、界面活性剤とを含む水溶液を調製する工程
工程(iii)疎水性溶液と水溶液とを混合して混合溶液を調製し、混合溶液を乳化分散処理する工程
工程(iv)乳化分散処理した混合溶液に、配位子前駆体を活性化させる酸化剤を添加する工程
工程(ii)分散安定剤と、界面活性剤とを含む水溶液を調製する工程
工程(iii)疎水性溶液と水溶液とを混合して混合溶液を調製し、混合溶液を乳化分散処理する工程
工程(iv)乳化分散処理した混合溶液に、配位子前駆体を活性化させる酸化剤を添加する工程
(工程(i):疎水性溶液調製工程)
工程(i)では、多座配位子Lの配位子前駆体と、金属原子Mを有する金属錯体と、疎水性溶媒とを含む疎水性溶液を調製する。
多剤配位子Lの前駆体である不活性な配位子前駆体としては、後述する酸化工程において配位能を得ることが可能であるリン原子、硫黄原子又は窒素原子を構成原子として有する配位子であることが好ましいが、その他の構造は特に限定されない。好ましくは、π−πスタックを形成可能とする部位を有する構造であることが好ましい。
疎水性溶媒としては、特に制限はなく公知の疎水性溶媒を用いることができるが、好ましくは塩化メチレン又は酢酸エチルである。
工程(i)では、多座配位子Lの配位子前駆体と、金属原子Mを有する金属錯体と、疎水性溶媒とを含む疎水性溶液を調製する。
多剤配位子Lの前駆体である不活性な配位子前駆体としては、後述する酸化工程において配位能を得ることが可能であるリン原子、硫黄原子又は窒素原子を構成原子として有する配位子であることが好ましいが、その他の構造は特に限定されない。好ましくは、π−πスタックを形成可能とする部位を有する構造であることが好ましい。
疎水性溶媒としては、特に制限はなく公知の疎水性溶媒を用いることができるが、好ましくは塩化メチレン又は酢酸エチルである。
(工程(ii):水溶液調製工程)
工程(ii)では、分散安定剤と、界面活性剤とを含む水溶液を調製する。
分散安定剤としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の親水性コロイド、ゼラチンと他の高分子のグラフト共重合体、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一又は共重合体の合成親水性高分子物質等の親水性コロイドが挙げられる。好ましくはゼラチンである。
水溶液中の分散安定剤の濃度は、2.0〜30.0体積%の範囲内であることが好ましい。分散安定剤の濃度が2.0体積%以上であれば、アスペクト比を小さくすることができ、30.0体積%以下であれば、粘土が高くなり過ぎず、水溶液を撹拌しやすい。
界面活性剤としては、一般的な界面活性剤であれば制限はないが、アニオン系界面活性剤が好ましい。アニオン系界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤、リン酸系界面活性剤や、それらのエステル系界面活性剤等が挙げられる(特開2015−67470号公報等参照。)。より好ましくはスルホン酸系界面活性剤である。
添加する界面活性剤の濃度は、2.0〜10.0質量%の範囲内であることが好ましい。界面活性剤の濃度が2.0質量%以上であれば、安定なミセルを形成することができ、10.0質量%以下であればミセルが大きく十分な原料を含むことができるので、安定して超分子金属錯体粒子を作製することができる。
工程(ii)では、分散安定剤と、界面活性剤とを含む水溶液を調製する。
分散安定剤としては、ゼラチン、ゼラチン誘導体等の親水性コロイド、ゼラチンと他の高分子のグラフト共重合体、ゼラチン以外のタンパク質、糖誘導体、セルロース誘導体、単一又は共重合体の合成親水性高分子物質等の親水性コロイドが挙げられる。好ましくはゼラチンである。
水溶液中の分散安定剤の濃度は、2.0〜30.0体積%の範囲内であることが好ましい。分散安定剤の濃度が2.0体積%以上であれば、アスペクト比を小さくすることができ、30.0体積%以下であれば、粘土が高くなり過ぎず、水溶液を撹拌しやすい。
界面活性剤としては、一般的な界面活性剤であれば制限はないが、アニオン系界面活性剤が好ましい。アニオン系界面活性剤としては、例えば、カルボン酸系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤、リン酸系界面活性剤や、それらのエステル系界面活性剤等が挙げられる(特開2015−67470号公報等参照。)。より好ましくはスルホン酸系界面活性剤である。
添加する界面活性剤の濃度は、2.0〜10.0質量%の範囲内であることが好ましい。界面活性剤の濃度が2.0質量%以上であれば、安定なミセルを形成することができ、10.0質量%以下であればミセルが大きく十分な原料を含むことができるので、安定して超分子金属錯体粒子を作製することができる。
(工程(iii):乳化分散処理工程)
工程(iii)では、工程(i)及び(II)にて調製した疎水性溶液と水溶液とを混合して混合溶液を調製し、当該混合溶液を乳化分散処理する。
乳化分散方法としては、アルカリ水溶液分散法、固体分散法、ラテックス分散法、水中油滴型乳化分散法等、様々な方法を用いることができるが、水中油滴型乳化分散法が好ましい。水中油滴型乳化分散法は、不活性な配位子前駆体と金属錯体とを疎水性溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性コロイドバインダー中に界面活性剤を用いて分散する方法である。
撹拌方法としては、攪拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いた方法を挙げることができ、好ましくは超音波分散機を用いて撹拌する。
工程(iii)では、工程(i)及び(II)にて調製した疎水性溶液と水溶液とを混合して混合溶液を調製し、当該混合溶液を乳化分散処理する。
乳化分散方法としては、アルカリ水溶液分散法、固体分散法、ラテックス分散法、水中油滴型乳化分散法等、様々な方法を用いることができるが、水中油滴型乳化分散法が好ましい。水中油滴型乳化分散法は、不活性な配位子前駆体と金属錯体とを疎水性溶媒に溶解し、ゼラチン水溶液などの親水性コロイドバインダー中に界面活性剤を用いて分散する方法である。
撹拌方法としては、攪拌機、ホモジナイザー、コロイドミル、フロージェットミキサー、超音波分散機等を用いた方法を挙げることができ、好ましくは超音波分散機を用いて撹拌する。
(工程(iv):配位子前駆体酸化工程)
工程(iv)では、乳化分散処理した混合溶液に、配位子前駆体を活性化させる酸化剤を添加する。
酸化剤としては、空気、酸素、オゾン、過酸化水素、酸化度の高い酸化物(二酸化マンガン、二酸化鉛等)、酸素酸(硝酸、過マンガン酸、クロム酸等)とその塩類、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)等、様々な酸化剤が挙げられるが、中でも過酸化水素の水溶液(過酸化水素水)が好ましい。
酸化剤を溶液として滴下する場合、その滴下速度は1秒間に1滴間隔であることが好ましい。滴下温度は、特に制限されないが、室温(25℃)が好ましい。
工程(iv)では、乳化分散処理した混合溶液に、配位子前駆体を活性化させる酸化剤を添加する。
酸化剤としては、空気、酸素、オゾン、過酸化水素、酸化度の高い酸化物(二酸化マンガン、二酸化鉛等)、酸素酸(硝酸、過マンガン酸、クロム酸等)とその塩類、ハロゲン(塩素、臭素、ヨウ素)等、様々な酸化剤が挙げられるが、中でも過酸化水素の水溶液(過酸化水素水)が好ましい。
酸化剤を溶液として滴下する場合、その滴下速度は1秒間に1滴間隔であることが好ましい。滴下温度は、特に制限されないが、室温(25℃)が好ましい。
本発明においては、界面活性剤の種類や量、乳化分散処理時の撹拌方法やその速度、酸化剤の種類や滴下速度・温度・濃度を調整することで、任意の平均1次粒径の超分子金属錯体粒子を製造することができる。
〈超分子金属錯体粒子の用途〉
本発明の超分子金属錯体粒子をプラスチック材料に配合させて作製したフィルムは、様々な用途に応用することができ、例えば、光るプラスチック、ディスプレイの発光色制御フィルム、感温シートなどが挙げられる。特に、ディスプレイ用カラーフィルターに有用である。
本発明の超分子金属錯体粒子をプラスチック材料に配合させて作製したフィルムは、様々な用途に応用することができ、例えば、光るプラスチック、ディスプレイの発光色制御フィルム、感温シートなどが挙げられる。特に、ディスプレイ用カラーフィルターに有用である。
本発明の超分子金属錯体粒子は、有機配位子を有し、かつ平均1次粒径の小さい粒子とすることができることから、プラスチック材料及び溶媒への分散性を良好とすることができる。
プラスチック材料に粒子を分散させようとする際には、一般的に、例えば、粒子をあらかじめ溶媒に分散させてから、粒子が分散した溶媒をプラスチック材料等と混合するという方法が用いられる。本発明の超分子金属錯体粒子においては、超分子金属錯体粒子を溶媒中に分散させた懸濁液をプラスチック材料等に適用することによって、均一に分散した超分子金属錯体粒子を含有するプラスチック材料及びプラスチック成形体を容易に得ることができる。得られるプラスチック成形体は、高い透明性を有することができる。
プラスチック材料に粒子を分散させようとする際には、一般的に、例えば、粒子をあらかじめ溶媒に分散させてから、粒子が分散した溶媒をプラスチック材料等と混合するという方法が用いられる。本発明の超分子金属錯体粒子においては、超分子金属錯体粒子を溶媒中に分散させた懸濁液をプラスチック材料等に適用することによって、均一に分散した超分子金属錯体粒子を含有するプラスチック材料及びプラスチック成形体を容易に得ることができる。得られるプラスチック成形体は、高い透明性を有することができる。
超分子金属錯体粒子を配合するプラスチック材料としては、特に制限されず、種々の材料を適用することができる。プラスチック材料としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、ポリスルフォン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、フェノール樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂等が挙げられる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
《超分子金属錯体粒子の作製》
以下のようにして、超分子金属錯体粒子101〜113を作製した。
以下のようにして、超分子金属錯体粒子101〜113を作製した。
〈配位子前駆体a(4,4′−ビフェニリレンビス(ジフェニルホスフィン))の合成〉
4,4′−ジヨードビフェニル(8.12g)を脱水テトラヒドロフラン(100mL)に溶解させ、−80℃に冷却した。そこに、n−ブチルリチウム(31.25mL)を滴下し、−80℃で2時間撹拌した。さらに、ジフェニルホスフィノクロリド(9.2mL)を滴下し、徐々に昇温させた。テトラヒドロフランを減圧条件下で除去し、酢酸エチルと水とを加え、有機層の抽出を行って、配位子前駆体aを得た(白色、収量5.2g(収率:50%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
4,4′−ジヨードビフェニル(8.12g)を脱水テトラヒドロフラン(100mL)に溶解させ、−80℃に冷却した。そこに、n−ブチルリチウム(31.25mL)を滴下し、−80℃で2時間撹拌した。さらに、ジフェニルホスフィノクロリド(9.2mL)を滴下し、徐々に昇温させた。テトラヒドロフランを減圧条件下で除去し、酢酸エチルと水とを加え、有機層の抽出を行って、配位子前駆体aを得た(白色、収量5.2g(収率:50%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
ESI−Mass(m/z)=523.6[M+H]+
なお、配位子前駆体aは、酸化されることでビフェニル−4,4′−ジイルビス(ジフェニルホスフィンオキシド(dpbp)となり、金属原子Mに酸素原子を介して配位する。
〈活性配位子b(ビフェニル−4,4′−ジイルビス(ジフェニルホスフィンオキシド)、略称:dpbp)の合成〉
上記で得られた配位子前駆体a(1.0g)を塩化メチレン(14mL)に溶解させ、0℃に冷却した。その後、30質量%過酸化水素水(3mL)を滴下して0℃のまま2時間撹拌した。反応液に水を加え、有機層の抽出を行って、活性配位子bを得た(白色、収量0.8g(収率75%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
上記で得られた配位子前駆体a(1.0g)を塩化メチレン(14mL)に溶解させ、0℃に冷却した。その後、30質量%過酸化水素水(3mL)を滴下して0℃のまま2時間撹拌した。反応液に水を加え、有機層の抽出を行って、活性配位子bを得た(白色、収量0.8g(収率75%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
ESI−Mass(m/z)=555.2[M+H]+
〈活性配位子c(3,6−ビス(ジフェニルホスホリル)−9−フェニルカルバゾール、略称:dppcz)の合成〉
3,6−ジブロモ−9−フェニルカルバゾール(5.2g)を脱水テトラヒドロフラン52.5mLに溶解に溶解させ、−80℃に冷却した。そこに、n−ブチルリチウム(17mL)を滴下し、−80℃で2時間撹拌した。さらに、ジフェニルホスフィノクロリド(5mL)を滴下し、徐々に昇温させた。テトラヒドロフランを減圧条件下で除去し、酢酸エチルと水とを加え、有機層の抽出を行って、白色の析出物を得た。
3,6−ジブロモ−9−フェニルカルバゾール(5.2g)を脱水テトラヒドロフラン52.5mLに溶解に溶解させ、−80℃に冷却した。そこに、n−ブチルリチウム(17mL)を滴下し、−80℃で2時間撹拌した。さらに、ジフェニルホスフィノクロリド(5mL)を滴下し、徐々に昇温させた。テトラヒドロフランを減圧条件下で除去し、酢酸エチルと水とを加え、有機層の抽出を行って、白色の析出物を得た。
上記で得られた白色粉末(4.3g)を塩化メチレン(47mL)に溶解させ、0℃に冷却した。その後、30質量%過酸化水素水(9.3mL)を滴下して0℃のまま2時間撹拌した。反応液に水を加え、有機層の抽出を行って、活性配位子cを得た(白色、収量1.88g(収率42%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
生成物の分析結果を以下に示す。
ESI−Mass(m/z)=644.2[M+H]+
〈金属錯体A(Eu(hfa)3(H2O)2(トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)ユーロピウム(III)))の合成〉
酢酸ユーロピウム(Eu(CH3COO)3:6.6g)を80mLの蒸留水に溶解させ、ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)(CF3COCH2COCF3:8.4mL)を加え、室温(25℃)で2時間撹拌した。沈殿した固体をろ過し、蒸留水で洗った後、メタノールと蒸留水とで再結晶を行って金属錯体Aを得た(淡黄色、収量7.8g(収率50%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
酢酸ユーロピウム(Eu(CH3COO)3:6.6g)を80mLの蒸留水に溶解させ、ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)(CF3COCH2COCF3:8.4mL)を加え、室温(25℃)で2時間撹拌した。沈殿した固体をろ過し、蒸留水で洗った後、メタノールと蒸留水とで再結晶を行って金属錯体Aを得た(淡黄色、収量7.8g(収率50%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
IR(KBr):3450cm−1(O−H,st)、1650cm−1(C−O,st)、1250〜1150cm−1(C−F)
〈金属錯体B(Tb(hfa)3(H2O)2(トリス(ヘキサフルオロアセチルアセトナト)テルビウム(III)))の合成〉
酢酸テルビウム(Tb(CH3COO)3:8.2g)を80mLの蒸留水に溶解させ、ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)(CF3COCH2COCF3:8.4mL)を加え、室温(25℃)で2時間撹拌した。沈殿した固体をろ過し、蒸留水で洗った後、メタノールと蒸留水とで再結晶を行って金属錯体Bを得た(白色、収量12g(収率75%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
酢酸テルビウム(Tb(CH3COO)3:8.2g)を80mLの蒸留水に溶解させ、ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfa)(CF3COCH2COCF3:8.4mL)を加え、室温(25℃)で2時間撹拌した。沈殿した固体をろ過し、蒸留水で洗った後、メタノールと蒸留水とで再結晶を行って金属錯体Bを得た(白色、収量12g(収率75%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
IR(KBr):3450cm−1(O−H,st)、1650cm−1(C−O,st)、1250〜1150cm−1(C−F)
〈超分子金属錯体粒子101の作製〉
配位子前駆体a(0.6g)と金属錯体A(0.91g)とを、酢酸エチル(0.6mL)と塩化メチレン(4.5mL)との混合溶媒に溶解させ、疎水性溶液を調製した。
一方、分散安定剤としてゼラチン(1.2g)と界面活性剤として3.38質量%の1,3,4−トリイソプロピル−2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム水溶液(4.2mL)とを蒸留水(19.2mL)に溶解させた。
配位子前駆体a(0.6g)と金属錯体A(0.91g)とを、酢酸エチル(0.6mL)と塩化メチレン(4.5mL)との混合溶媒に溶解させ、疎水性溶液を調製した。
一方、分散安定剤としてゼラチン(1.2g)と界面活性剤として3.38質量%の1,3,4−トリイソプロピル−2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム水溶液(4.2mL)とを蒸留水(19.2mL)に溶解させた。
ここで、本実施例における水溶液中の分散安定剤の濃度は、以下のようにして算出した。
分散安定剤濃度(体積%)
=分散安定剤の質量(g)/(界面活性剤水溶液の体積(mL)+蒸留水の体積(mL))×100
分散安定剤濃度(体積%)
=分散安定剤の質量(g)/(界面活性剤水溶液の体積(mL)+蒸留水の体積(mL))×100
この水溶液に疎水性溶液を加え、室温(25℃)で1分間、エスエムテー製の超音波分散機(UH−150)を用いて、50Hzで超音波処理を行った。
そこに、30質量%過酸化水素水(1.6mL)を滴下することで、超分子金属錯体粒子101([Eu(hfa)3(dpbp)]n)を得た(白色、収量0.6g(収率40%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
そこに、30質量%過酸化水素水(1.6mL)を滴下することで、超分子金属錯体粒子101([Eu(hfa)3(dpbp)]n)を得た(白色、収量0.6g(収率40%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
IR(KBr):1653cm−1(C=O,st)、1255〜1145cm−1(C−F,st)、1127cm−1(P=O,st)
ESI−Mass(m/z)=1120.08[Eu(hfa)2(dpbp)]+、2447.15[Eu2(hfa)5(dpbp)2]+
ESI−Mass(m/z)=1120.08[Eu(hfa)2(dpbp)]+、2447.15[Eu2(hfa)5(dpbp)2]+
〈超分子金属錯体粒子102及び103の作製〉
超分子金属錯体粒子101の作製において、水溶液中の分散安定剤の濃度をそれぞれ9.3体積%、2.4体積%に変更した以外は同様にして、超分子金属錯体粒子102([Eu(hfa)3(dpbp)]n)及び103([Eu(hfa)3(dpbp)]n)を得た(超分子金属錯体粒子102:白色、収量0.7g(収率45%)、超分子金属錯体粒子103:白色、収量1g(収率51%))。
生成物を分析(IR及びESI−Mass)した結果、超分子金属錯体粒子101と同様の結果が得られた。
超分子金属錯体粒子101の作製において、水溶液中の分散安定剤の濃度をそれぞれ9.3体積%、2.4体積%に変更した以外は同様にして、超分子金属錯体粒子102([Eu(hfa)3(dpbp)]n)及び103([Eu(hfa)3(dpbp)]n)を得た(超分子金属錯体粒子102:白色、収量0.7g(収率45%)、超分子金属錯体粒子103:白色、収量1g(収率51%))。
生成物を分析(IR及びESI−Mass)した結果、超分子金属錯体粒子101と同様の結果が得られた。
〈超分子金属錯体粒子104の作製〉
活性配位子c(2.4g)と金属錯体A(1.9g)をメタノール(50mL)に溶解させ、5時間撹拌しながら還流した。その後、得られた反応混合物を吸引濾過することで超分子金属錯体粒子104([Eu(hfa)3(dppcz)]n)を得た(白色、収量2.2g(収率72%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
活性配位子c(2.4g)と金属錯体A(1.9g)をメタノール(50mL)に溶解させ、5時間撹拌しながら還流した。その後、得られた反応混合物を吸引濾過することで超分子金属錯体粒子104([Eu(hfa)3(dppcz)]n)を得た(白色、収量2.2g(収率72%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
IR(KBr):1652cm−1(C=O,st)、1256〜1145cm−1(C−F,st)、1128cm−1(P=O,st)
ESI−Mass(m/z)=1210.13[Eu(hfa)2(dppcz)]+、1853.34[Eu(hfa)2(dppcz)2]+
ESI−Mass(m/z)=1210.13[Eu(hfa)2(dppcz)]+、1853.34[Eu(hfa)2(dppcz)2]+
〈超分子金属錯体粒子105の作製〉
金属錯体A(0.1g)をジエチルエーテル(2mL)に溶解させた。また、水溶性の界面活性剤であるn−オクチルトリメチルアンモニウムブロミド(TMOA)(5g)を蒸留水(100mL)に溶解させた。TMOA水溶液に、金属錯体溶液を加え、混合した。得られた混合液を撹拌することで、金属錯体Aを含むミセルが水中に分散した、金属錯体ミセル分散液を得た。
金属錯体A(0.1g)をジエチルエーテル(2mL)に溶解させた。また、水溶性の界面活性剤であるn−オクチルトリメチルアンモニウムブロミド(TMOA)(5g)を蒸留水(100mL)に溶解させた。TMOA水溶液に、金属錯体溶液を加え、混合した。得られた混合液を撹拌することで、金属錯体Aを含むミセルが水中に分散した、金属錯体ミセル分散液を得た。
一方、活性配位子b(0.1g)を塩化メチレン(2mL)に溶解させた。また、水溶性の界面活性剤であるドデシル酸硫酸ナトリウム(SDS)(3g)を蒸留水(100mL)に溶解させて、SDS水溶液を調製した。このSDS水溶液に、活性配位子bの塩化メチレン溶液を加え、混合した。得られた混合液を振とうすることで、活性配位子bを含むミセルが水中に分散した、活性配位子ミセル分散液を得た。
調製した金属錯体ミセル分散液に、金属錯体ミセル分散液を攪拌しながら、活性配位子ミセル分散液を滴下した。滴下を完了した後も60分間攪拌を行った。攪拌を終えてから24時間経過した後、遠心分離することにより超分子金属錯体粒子105([Eu(hfa)3(dpbp)]n)を得た(白色、収量0.1g(収率49%))。
生成物を分析(IR及びESI−Mass)した結果、超分子金属錯体粒子101と同様の結果が得られた。
生成物を分析(IR及びESI−Mass)した結果、超分子金属錯体粒子101と同様の結果が得られた。
〈超分子金属錯体粒子106の作製〉
活性配位子b(2.16g)とトリフェニルホスフィンオキシド(0.24g)と金属錯体A(1.9g)とを、メタノール(50mL)に溶解させ、6時間撹拌しながら還流した。その後、反応溶液中の白色沈殿物を分離し、更にメタノール及びクロロホルムで数回洗浄することで、超分子金属錯体粒子106([Eu(hfa)3(dpbp)]n(TPPO)2)を得た。
生成物は、IR及びESI−Massを用いて同定した。
活性配位子b(2.16g)とトリフェニルホスフィンオキシド(0.24g)と金属錯体A(1.9g)とを、メタノール(50mL)に溶解させ、6時間撹拌しながら還流した。その後、反応溶液中の白色沈殿物を分離し、更にメタノール及びクロロホルムで数回洗浄することで、超分子金属錯体粒子106([Eu(hfa)3(dpbp)]n(TPPO)2)を得た。
生成物は、IR及びESI−Massを用いて同定した。
〈超分子金属錯体粒子107の作製〉
配位子前駆体a(1.0g)と金属錯体B(1.6g)とを、メタノール(2mL)と塩化メチレン(50mL)に溶解させ、分散安定剤として分子量1万のポリビニルピロリドン(0.26g)を加え、撹拌羽根を用いてiuchi製のメカニカルスターラーで撹拌した(2000rpm)。そこに、30質量%過酸化水素水(2.8mL)を滴下することで、超分子金属錯体粒子107([Tb(hfa)3(dpbp)]n)を得た(白色、収量1.7g(収率68%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
配位子前駆体a(1.0g)と金属錯体B(1.6g)とを、メタノール(2mL)と塩化メチレン(50mL)に溶解させ、分散安定剤として分子量1万のポリビニルピロリドン(0.26g)を加え、撹拌羽根を用いてiuchi製のメカニカルスターラーで撹拌した(2000rpm)。そこに、30質量%過酸化水素水(2.8mL)を滴下することで、超分子金属錯体粒子107([Tb(hfa)3(dpbp)]n)を得た(白色、収量1.7g(収率68%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
IR(KBr):1653cm−1(C=O,st)、1255〜1145cm−1(C−F,st)、1127cm−1(P=O,st)
ESI−Mass(m/z)=1127.08[Tb(hfa)2(dpbp)]+、2461.15[Tb2(hfa)5(dpbp)2]+
ESI−Mass(m/z)=1127.08[Tb(hfa)2(dpbp)]+、2461.15[Tb2(hfa)5(dpbp)2]+
〈超分子金属錯体粒子108の作製〉
超分子金属錯体粒子107の作製において、水溶液中の分散安定剤の濃度を0.8体積%に変更した以外は同様にして、超分子金属錯体粒子108([Tb(hfa)3(dpbp)]n)を得た(白色、収量1.6g(収率54%))。
生成物を分析(IR及びESI−Mass)した結果、超分子金属錯体粒子107と同様の結果が得られた。
超分子金属錯体粒子107の作製において、水溶液中の分散安定剤の濃度を0.8体積%に変更した以外は同様にして、超分子金属錯体粒子108([Tb(hfa)3(dpbp)]n)を得た(白色、収量1.6g(収率54%))。
生成物を分析(IR及びESI−Mass)した結果、超分子金属錯体粒子107と同様の結果が得られた。
〈超分子金属錯体粒子109の作製〉
配位子前駆体a(0.45g)と金属錯体B(0.67g)とを、酢酸エチル(0.6mL)と塩化メチレン(4.5mL)との混合溶媒に溶解させ、疎水性溶液を調製した。
一方、分散安定剤としてゼラチン(1.2g)と界面活性剤として2.24質量%の1,3,4−トリイソプロピル−2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム水溶液(4.2mL)とを蒸留水(19.2mL)に溶解させた。
この水溶液に疎水性溶液を加え、室温(25℃)で1分間、エスエムテー製の超音波分散機(UH−150)を用いて、50Hzで超音波処理を行った。
そこに、30質量%過酸化水素水(1.6mL)を滴下することで、超分子金属錯体粒子109([Tb(hfa)3(dpbp)]n)を得た(白色、収量0.58g(収率52%))。
生成物を分析(IR及びESI−Mass)した結果、超分子金属錯体粒子107と同様の結果が得られた。
配位子前駆体a(0.45g)と金属錯体B(0.67g)とを、酢酸エチル(0.6mL)と塩化メチレン(4.5mL)との混合溶媒に溶解させ、疎水性溶液を調製した。
一方、分散安定剤としてゼラチン(1.2g)と界面活性剤として2.24質量%の1,3,4−トリイソプロピル−2−ナフタレンスルホン酸ナトリウム水溶液(4.2mL)とを蒸留水(19.2mL)に溶解させた。
この水溶液に疎水性溶液を加え、室温(25℃)で1分間、エスエムテー製の超音波分散機(UH−150)を用いて、50Hzで超音波処理を行った。
そこに、30質量%過酸化水素水(1.6mL)を滴下することで、超分子金属錯体粒子109([Tb(hfa)3(dpbp)]n)を得た(白色、収量0.58g(収率52%))。
生成物を分析(IR及びESI−Mass)した結果、超分子金属錯体粒子107と同様の結果が得られた。
〈超分子金属錯体粒子110の作製〉
超分子金属錯体粒子109の作製において、添加する界面活性剤の濃度を5.51質量%に変更した以外は同様にして、超分子金属錯体粒子110([Tb(hfa)3(dpbp)]n)を得た(白色、収量0.48g(収率43%))。
生成物を分析(IR及びESI−Mass)した結果、超分子金属錯体粒子107と同様の結果が得られた。
超分子金属錯体粒子109の作製において、添加する界面活性剤の濃度を5.51質量%に変更した以外は同様にして、超分子金属錯体粒子110([Tb(hfa)3(dpbp)]n)を得た(白色、収量0.48g(収率43%))。
生成物を分析(IR及びESI−Mass)した結果、超分子金属錯体粒子107と同様の結果が得られた。
〈超分子金属錯体粒子111の作製〉
活性配位子c(1.9g)と金属錯体B(2.4g)をメタノール(50mL)に溶解させ、5時間撹拌しながら還流した。その後、得られた反応混合物を吸引濾過することで超分子金属錯体粒子111([Tb(hfa)3(dppcz)]n)を得た(白色、収量4.2g(収率72%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
活性配位子c(1.9g)と金属錯体B(2.4g)をメタノール(50mL)に溶解させ、5時間撹拌しながら還流した。その後、得られた反応混合物を吸引濾過することで超分子金属錯体粒子111([Tb(hfa)3(dppcz)]n)を得た(白色、収量4.2g(収率72%))。
生成物の分析結果を以下に示す。
IR(KBr):1652cm−1(C=O,st)、1256〜1145cm−1(C−F,st)、1128cm−1(P=O,st)
ESI−Mass(m/z)=1217.13[Tb(hfa)2(dppcz)]+、1860.34[Tb(hfa)2(dppcz)2]+
ESI−Mass(m/z)=1217.13[Tb(hfa)2(dppcz)]+、1860.34[Tb(hfa)2(dppcz)2]+
〈超分子金属錯体粒子112の作製〉
金属錯体B(0.1g)をジエチルエーテル(2mL)に溶解させた。また、水溶性の界面活性剤であるn−オクチルトリメチルアンモニウムブロミド(TMOA)(5g)を蒸留水(100mL)に溶解させた。TMOA水溶液に、金属錯体溶液を加え、混合した。得られた混合液を撹拌することで、金属錯体Bを含むミセルが水中に分散した、金属錯体ミセル分散液を得た。
金属錯体B(0.1g)をジエチルエーテル(2mL)に溶解させた。また、水溶性の界面活性剤であるn−オクチルトリメチルアンモニウムブロミド(TMOA)(5g)を蒸留水(100mL)に溶解させた。TMOA水溶液に、金属錯体溶液を加え、混合した。得られた混合液を撹拌することで、金属錯体Bを含むミセルが水中に分散した、金属錯体ミセル分散液を得た。
一方、活性配位子b(0.1g)を塩化メチレン(2mL)に溶解させた。また、水溶性の界面活性剤であるドデシル酸硫酸ナトリウム(SDS)(3g)を蒸留水(100mL)に溶解させて、SDS水溶液を調製した。このSDS水溶液に、活性配位子bの塩化メチレン溶液を加え、混合した。得られた混合液を振とうすることで、活性配位子bを含むミセルが水中に分散した、活性配位子ミセル分散液を得た。
調製した金属錯体ミセル分散液に、金属錯体ミセル分散液を攪拌しながら、活性配位子ミセル分散液を滴下した。滴下を完了した後も60分間攪拌を行った。攪拌を終えてから24時間経過した後、遠心分離することにより超分子金属錯体粒子112([Tb(hfa)3(dpbp)]n)を得た(白色、収量0.14g(収率70%))。
生成物を分析(IR及びESI−Mass)した結果、超分子金属錯体粒子107と同様の結果が得られた。
生成物を分析(IR及びESI−Mass)した結果、超分子金属錯体粒子107と同様の結果が得られた。
〈超分子金属錯体粒子113の作製〉
活性配位子b(0.96g)とトリフェニルホスフィンオキシド(1.44g)と金属錯体B(1.9g)とを、メタノール(50mL)に溶解させ、6時間撹拌しながら還流した。その後、反応溶液中の白色沈殿物を分離し、更にメタノール及びクロロホルムで数回洗浄することで、超分子金属錯体粒子106([Tb(hfa)3(dpbp)]n(TPPO)2)を得た。
生成物は、IR及びESI−Massを用いて同定した。
活性配位子b(0.96g)とトリフェニルホスフィンオキシド(1.44g)と金属錯体B(1.9g)とを、メタノール(50mL)に溶解させ、6時間撹拌しながら還流した。その後、反応溶液中の白色沈殿物を分離し、更にメタノール及びクロロホルムで数回洗浄することで、超分子金属錯体粒子106([Tb(hfa)3(dpbp)]n(TPPO)2)を得た。
生成物は、IR及びESI−Massを用いて同定した。
《評価》
作製した超分子金属錯体101〜113について、下記評価を行った。
評価結果を表1に示す。
作製した超分子金属錯体101〜113について、下記評価を行った。
評価結果を表1に示す。
〈円形度の測定〉
作製した各超分子金属錯体粒子について、各超分子金属錯体粒子の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択した。選択した粒子それぞれについて面積と周長とを画像解析ソフト(Image Pro Plus)を用いて求め、下記式に従って円形度を算出し、その平均値を各超分子金属錯体粒子の円形度とした。
作製した各超分子金属錯体粒子について、各超分子金属錯体粒子の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択した。選択した粒子それぞれについて面積と周長とを画像解析ソフト(Image Pro Plus)を用いて求め、下記式に従って円形度を算出し、その平均値を各超分子金属錯体粒子の円形度とした。
円形度=投影面積の等しい円の周長(μm)/粒子の周長(μm)
〈アスペクト比の測定〉
作製した各超分子金属錯体粒子について、各超分子金属錯体粒子の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択した。選択した粒子それぞれについて外接する長方形を複数描き、長方形の最大の長辺の長さを長径a(μm)とし、最小の短辺の長さを短径b(μm)とし、長径aと短径bとの比(a/b)からアスペクト比を算出し、その平均値を各超分子金属錯体粒子のアスペクト比とした。
作製した各超分子金属錯体粒子について、各超分子金属錯体粒子の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択した。選択した粒子それぞれについて外接する長方形を複数描き、長方形の最大の長辺の長さを長径a(μm)とし、最小の短辺の長さを短径b(μm)とし、長径aと短径bとの比(a/b)からアスペクト比を算出し、その平均値を各超分子金属錯体粒子のアスペクト比とした。
〈超分子金属錯体粒子の粒子に対する真円Xの重複面積割合〉
作製した各超分子金属錯体粒子について、各超分子金属錯体粒子の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択した。選択した粒子それぞれについて長軸の1/5の長さを直径とする真円Xをパワーポイント上で描き、各粒子の界面に沿って内接するように転がし、各粒子に対して真円Xが重複する面積の割合を算出し、下記評価基準に従って評価した。
作製した各超分子金属錯体粒子について、各超分子金属錯体粒子の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択した。選択した粒子それぞれについて長軸の1/5の長さを直径とする真円Xをパワーポイント上で描き、各粒子の界面に沿って内接するように転がし、各粒子に対して真円Xが重複する面積の割合を算出し、下記評価基準に従って評価した。
○:粒子と重複する面積の割合が90%未満となる真円Xが一つもない
×:粒子と重複する面積の割合が90%未満となる真円Xが一つ以上ある
×:粒子と重複する面積の割合が90%未満となる真円Xが一つ以上ある
〈平均1次粒径の測定〉
作製した各超分子金属錯体粒子について、各超分子金属錯体粒子の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択した。これらの投影面を同面積の円に換算した場合の直径を各超分子金属錯体粒子の粒径とし、その平均値を算出することにより、平均1次粒径を得た。
作製した各超分子金属錯体粒子について、各超分子金属錯体粒子の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、粒子100個を無作為に選択した。これらの投影面を同面積の円に換算した場合の直径を各超分子金属錯体粒子の粒径とし、その平均値を算出することにより、平均1次粒径を得た。
〈粒子形状の評価〉
作製した各超分子金属錯体粒子について、各超分子金属錯体粒子の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、目視にて粒子形状を観察した。
なお、各超分子金属錯体粒子の95個数%以上が、略同一形状であった。
作製した各超分子金属錯体粒子について、各超分子金属錯体粒子の粒子を走査型電子顕微鏡(SEM)にて撮影し、目視にて粒子形状を観察した。
なお、各超分子金属錯体粒子の95個数%以上が、略同一形状であった。
〈発光効率の評価〉
まず、超分子金属錯体粒子(0.02g)を塩化メチレン(5.34g)に溶解し、そこにポリメチルメタクリレート(PMMA)(2g)を加えて溶解させ、高分子溶液を調製した。得られた高分子溶液を(株)小平製作所製のナイフコーターにて塗布、成膜し、高温乾燥器(DX401、ヤマト科学株式会社製)を用いて120℃で15分間乾燥させて、超分子金属錯体粒子を含む測定用フィルムをそれぞれ作製した。得られたフィルムの厚さは、それぞれ表1に示すとおりであった。
まず、超分子金属錯体粒子(0.02g)を塩化メチレン(5.34g)に溶解し、そこにポリメチルメタクリレート(PMMA)(2g)を加えて溶解させ、高分子溶液を調製した。得られた高分子溶液を(株)小平製作所製のナイフコーターにて塗布、成膜し、高温乾燥器(DX401、ヤマト科学株式会社製)を用いて120℃で15分間乾燥させて、超分子金属錯体粒子を含む測定用フィルムをそれぞれ作製した。得られたフィルムの厚さは、それぞれ表1に示すとおりであった。
この各測定用フィルムについて、絶対量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製Quantaurus−QY C11347)を用いて、発光効率を測定し、下記評価基準に従って評価した。
◎:95%以上
○:90%以上95%未満
△:50%以上89%未満
×:0%以上50%未満
○:90%以上95%未満
△:50%以上89%未満
×:0%以上50%未満
〈ヘイズ(凝集性)の評価〉
作製した各超分子金属錯体粒子について、各超分子金属錯体粒子をメタノールに再分散させ、沈降速度(時間)を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
作製した各超分子金属錯体粒子について、各超分子金属錯体粒子をメタノールに再分散させ、沈降速度(時間)を目視で観察し、下記評価基準に従って評価した。
◎:沈降しない
○:24時間程度で沈降する
△:1時間程度で沈降する
×:すぐに沈降する
○:24時間程度で沈降する
△:1時間程度で沈降する
×:すぐに沈降する
〈発光面内依存性の評価〉
発光効率の評価にて作製したものと同様の測定用フィルムを無作為に10か所切り取り、絶対量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製Quantaurus−QY C11347)を用いて発光効率を測定し、そのばらつきを下記評価基準に従って評価した。
発光面内依存性のばらつきが小さいほど、超分子金属錯体粒子の粒径が均一であることを示している。
発光効率の評価にて作製したものと同様の測定用フィルムを無作為に10か所切り取り、絶対量子収率測定装置(浜松ホトニクス社製Quantaurus−QY C11347)を用いて発光効率を測定し、そのばらつきを下記評価基準に従って評価した。
発光面内依存性のばらつきが小さいほど、超分子金属錯体粒子の粒径が均一であることを示している。
◎:ばらつきが±1%以下
○:ばらつきが±1%より大きく±2%以下
△:ばらつきが±2%より大きく5%以下
×:ばらつきが±5%より大きい
○:ばらつきが±1%より大きく±2%以下
△:ばらつきが±2%より大きく5%以下
×:ばらつきが±5%より大きい
〈まとめ〉
表1から明らかなように、本発明の超分子金属錯体粒子は、比較例の超分子金属錯体粒子と比べて、発光効率、ヘイズ、発光面内依存性等の点において優れていることが確認された。
また、本発明の超分子金属錯体粒子は、粒子形状(円形度やアスペクト比を用いて評価)、粒径をすべて無作為に抽出した100個の粒子を用いて評価しており、その数値のばらつきが小さく実質上均一であることから、合理的に考えてすべての粒子が均一であり、本発明の効果を達成できたものと考えられる。
特に、本発明の超分子金属錯体粒子は、アスペクト比が小さく、球状あるいは円板状であるため、ヘイズや発光面内依存性に優れる結果となった。また、粒径及びアスペクト比がともに小さいため、単位体積当たりの表面積が大きく、凝集しにくいため、発光効率に優れる結果となった。
表1から明らかなように、本発明の超分子金属錯体粒子は、比較例の超分子金属錯体粒子と比べて、発光効率、ヘイズ、発光面内依存性等の点において優れていることが確認された。
また、本発明の超分子金属錯体粒子は、粒子形状(円形度やアスペクト比を用いて評価)、粒径をすべて無作為に抽出した100個の粒子を用いて評価しており、その数値のばらつきが小さく実質上均一であることから、合理的に考えてすべての粒子が均一であり、本発明の効果を達成できたものと考えられる。
特に、本発明の超分子金属錯体粒子は、アスペクト比が小さく、球状あるいは円板状であるため、ヘイズや発光面内依存性に優れる結果となった。また、粒径及びアスペクト比がともに小さいため、単位体積当たりの表面積が大きく、凝集しにくいため、発光効率に優れる結果となった。
また、原料として希土類金属のほかにCuやZnを含む原料(酢酸銅(II)、酢酸亜鉛)を用いたところ、上記と同様の方法で本発明に係る効果を有する粒子を得ることができた。
さらに、配位子前駆体の原料として、4,4′−ジヨードビフェニルのほかに、1,4−ジヨードベンゼン、3,6−ジブロモ−9−フェニルカルバゾール、3,6−ジブロモジベンゾフラン、3,6−ジブロモジベンゾチオフェンを用いたところ、同様の方法で本発明に係る効果を有する粒子を得ることができた。
さらに、配位子前駆体の原料として、4,4′−ジヨードビフェニルのほかに、1,4−ジヨードベンゼン、3,6−ジブロモ−9−フェニルカルバゾール、3,6−ジブロモジベンゾフラン、3,6−ジブロモジベンゾチオフェンを用いたところ、同様の方法で本発明に係る効果を有する粒子を得ることができた。
以上から、少なくとも、二つ以上の金属原子Mと多座配位子Lとを有する超分子金属錯体を含有し、金属原子Mが2価以上の金属原子であり、多座配位子Lが複数の金属原子Mに配位しており、超分子金属錯体粒子における1次粒子の円形度が0.9〜1.0の範囲内であることが、粒径及び粒子形状が均一で、かつ、分散安定性に優れた超分子金属錯体粒子を提供することに有用であることがわかる。
また、得られた超分子金属錯体粒子について、耐熱性及び耐溶剤性を特開2016−124888号公報に記載の方法と同様にして評価したところ、良好な結果が得られ、カラーフィルターとしても有用であることが示唆された。
L 多座配位子
L′ 単座又は多座配位子
M 金属原子
L′ 単座又は多座配位子
M 金属原子
Claims (10)
- 少なくとも、二つ以上の金属原子Mと多座配位子Lとを有する超分子金属錯体を含有する超分子金属錯体粒子であって、
前記金属原子Mが、2価以上の金属原子であり、
前記多座配位子Lが、複数の前記金属原子Mに配位しており、
前記超分子金属錯体粒子の1次粒子の円形度が、0.9〜1.0の範囲内であることを特徴とする超分子金属錯体粒子。 - 前記超分子金属錯体粒子の1次粒子のアスペクト比が、1.0〜2.0の範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の超分子金属錯体粒子。
- 前記超分子金属錯体粒子の1次粒子のSEM画像において、前記超分子金属錯体粒子の1次粒子の長軸の1/5の長さを直径とする真円Xを前記超分子金属錯体粒子の1次粒子の界面に沿って内接するように転がすとき、前記超分子金属錯体粒子の1次粒子に対して前記真円Xが重複する面積が、90%以上であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の超分子金属錯体粒子。
- 複数の前記超分子金属錯体粒子が分散された状態において、前記複数の超分子金属錯体粒子の平均1次粒径が、0.01〜100μmの範囲内であることを特徴とする請求項1から請求項3までのいずれか一項に記載の超分子金属錯体粒子。
- 前記複数の超分子金属錯体粒子の平均1次粒径が、0.01〜50μmの範囲内であることを特徴とする請求項4に記載の超分子金属錯体粒子。
- 前記2価以上の金属原子が、希土類金属であることを特徴とする請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の超分子金属錯体粒子。
- 請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の超分子金属錯体粒子を含有することを特徴とするフィルム。
- 少なくとも、二つ以上の金属原子Mと多座配位子Lとを有する超分子金属錯体を含有する超分子金属錯体粒子の製造方法であって、
前記多座配位子Lの配位子前駆体と前記金属原子Mを有する金属錯体とを、少なくとも分散安定剤又は界面活性剤を用いて乳化分散処理することを特徴とする超分子金属錯体粒子の製造方法。 - 前記多座配位子Lの配位子前駆体と、前記金属原子Mを有する金属錯体と、疎水性溶媒とを含む疎水性溶液を調製する工程と、
分散安定剤と、界面活性剤とを含む水溶液を調製する工程と、
前記疎水性溶液と前記水溶液とを混合して混合溶液を調製し、前記混合溶液を乳化分散処理する工程と、
前記乳化分散処理した混合溶液に、前記配位子前駆体を活性化させる酸化剤を添加する工程と、
を有することを特徴とする請求項8に記載の超分子金属錯体粒子の製造方法。 - 前記混合溶液を乳化分散処理する工程では、超音波を用いて前記混合溶液を乳化分散処理することを特徴とする請求項9に記載の超分子金属錯体粒子の製造方法。
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