JP2008201734A - 蛋白質内包球状遷移金属錯体及びその製造方法 - Google Patents

蛋白質内包球状遷移金属錯体及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】
遷移金属原子と二座有機配位子とから形成される中空の殻を有し、前記二座有機配位子の一つが、連結基を介して蛋白質が結合してなるものであり、前記蛋白質が中空の殻内部に配向するように形成されている蛋白質内包球状遷移金属錯体、前記二座有機配位子、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】
中空の殻を有する球状遷移金属錯体であって、前記中空の殻が、n個(nは、6〜60の整数を表す。)の遷移金属原子と、2n個の二座有機配位子とから形成されてなり、前記二座有機配位子の一つが、連結基を介して蛋白質が結合してなるものであり、かつ、前記蛋白質が中空の殻内部に配向するように形成されていることを特徴とする蛋白質内包球状遷移金属錯体。
【選択図】 図5

Description

本発明は、遷移金属原子と二座有機配位子とから形成される中空の殻を有し、前記二座有機配位子の一つが連結基を介して蛋白質が結合してなるものであり、前記蛋白質が中空の殻内部に配向するように形成されている蛋白質内包球状遷移金属錯体、及びその製造方法に関する。
本発明者らは、有機配位子と遷移金属イオンとの配位結合を利用した自己組織化を検討している。配位結合は適度な結合力があり方向性が明確に規定されているため、精密に構造が制御された分子集合体を自発的かつ定量的に構築することが可能である。また、金属の種類や酸化数に応じて配位数や結合角を制御することができるため、多様な配位結合性の構造体を得ることができる(非特許文献3〜5)。
例えば、平面四配位性のPd(II)イオンを用いた場合には、配位結合の方向を90度に規定でき、パネル状の有機配位子(L)を用いることにより、配位子に応じた様々な大きさの中空構造を有する球状パラジウム錯体を得ることができる(非特許文献6〜11)。
このような精密に制御された大きさの中空の殻内に、蛋白質を内包することが可能となれば、蛋白質の安定化だけでなく、蛋白構造の新たな情報取得手法の開発への利用が期待できる。
R.M.Kramer,C.Li,D.C.Carter,M.O.Stone,R.R.Naik,J.Am.Chem.Soc.,2004,126,13283 T.Douglas,E.Strable,D.Willits,A.Aitouchen,M.Libera,M.Young,Adv.Mater.,2002,14,415 P.J.Stang,B.Olenyuk,Acc.Chem.Res.1997,30,507 M.Fujita,Chem.Soc.Rev.,1998,27,417 B.Olenyuk,A.Fechtenkotter,P.J.Stang,J.Chem.Soc.Dalton Trans.1998,1707 M.Fujita,K.Umemoto,M.Yoshizawa,N.Fujita,T.Kusukawa,K.Biradha,Chem.Commun.,2001,509 M.Fujita,D.Oguro,M.Miyazawa,H.Oka,K.yamaguchi,K.Ogura,Nature,1995,378,469 N.Takeda,K.Umemoto,K.Yamaguchi,M.Fujita,Nature,1999,398,794 K.Umemoto,H.Tsukui,T.Kusukawa,K.Biradha,M.Fujita,Angew.Chem.Int.Ed.,2001,40,2620 M.Aoyagi,S.Tashiro,M.Tominaga,K.Biradha,M.Fujita,Chem.Commun.,2002,2036 T.Yamaguchi,S.Tashiro,M.Tominaga,M.Kawano,T.Ozeki,M.Fujita,J.Am.Chem.Soc.,2004,126,10818
本発明は、このような本発明者らの研究開発の一環としてなされたものであり、遷移金属原子と二座有機配位子とから形成される中空の殻を有し、前記二座有機配位子の一つが、連結基を介して蛋白質が結合してなるものであり、前記蛋白質が中空の殻内部に配向するように形成されている蛋白質内包球状遷移金属錯体、前記二座有機配位子、及びその製造方法を提供することを課題とする。
本発明者らは、精密に制御された大きさの中空の殻を有するM1224球状錯体の内部空間(中空の殻)を利用して、蛋白質の一種であるユビキチンの内包を試みた。その結果、1−(2−{2,6−ビス[4−(ピリジル)フェニルエチニル]フェノキシ}エチル)ピロール−2,5−ジオンにユビキチンを連結させた配位子、トリメチル{4−メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジル)フェニルエチニル]ベンジル}アンモニウムニトレイト、及びPd(II)イオンを1:23:12のモル比で混合したところ、ユビキチンが錯体の中空の殻内部に配置された球状遷移金属錯体を効率よく得ることができることを見出し、この知見を一般化することで、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、下記(1)〜(6)のいずれかに記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体が提供される。
(1)中空の殻を有する球状遷移金属錯体であって、前記中空の殻が、n個(nは、6〜60の整数を表す。)の遷移金属原子と、2n個の二座有機配位子とから形成されてなり、前記二座有機配位子の一つが、連結基を介して蛋白質が結合してなるものであり、かつ、前記蛋白質が中空の殻内部に配向するように形成されていることを特徴とする蛋白質内包球状遷移金属錯体。
(2)前記nが、6、12、24、30または60であることを特徴とする(1)に記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体。
(3)遷移金属化合物(M)、連結基を介して蛋白質が結合してなる二座有機配位子(L1)、および二座有機配位子(L2)とから、前記蛋白質が中空の殻内部に配向するように自己組織的に形成された、式:ML2(2n-1)L1(nは前記と同じ意味を表し、複数のM同士、L2同士は、それぞれ同一であっても、相異なっていても良い。)で表される化合物であることを特徴とする(1)または(2)に記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体。
(4)前記遷移金属錯体を構成する遷移金属原子が、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体。
(5)前記二座有機配位子(L1)が、式(I)
Figure 2008201734
{式中、Xは、エチニレン基またはp−フェニレン基を表し、
tは2〜6の整数を表し、複数のX同士は同一であっても相異なっていてもよい。
、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
m1、m2はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m1、m2が2以上のとき、複数のR同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていても良い。
は、下記式(a−1)〜(a−4)
Figure 2008201734
〔式中、Rは、式:−Y−D−Pro(式中、Yは、単結合または2価の連結基を表し、Dは、O、S、NH、又はO−(C=O)を表し、D−Proは、Pro−DHで表される蛋白質のHを除いた部分を表す。)で表される基を表す。
は、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミノアルキル基、または4級化アミノアルキル基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m4は0〜2の整数を表す。m3が2以上のとき、またはm4が2のとき、複数個のR同士は同一であっても、相異なっていても良い。
Qは、−Nr1−(r1は、水素原子、アルキル基、アリール基若しくはアシル基を表す。)、−O−、−C(=O)−、−S−、または−SO−を表す。〕で表される基の一種を示す。}で示される化合物であり、前記二座有機配位子(L2)が、式(II)
Figure 2008201734
{式中、Xおよびnは前記と同じ意味を表す。
、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
m5、m6はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m5、m6が2以上のとき、複数のR同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていても良い。
は、下記式(a−5)〜(a−8)
Figure 2008201734
(式中、Qは前記と同じ意味を表す。
は、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミノアルキル基、または4級化アミノアルキル基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロアルキル基を表す。
m7は0〜3の整数を表し、m8は0〜2の整数を表す。m7が2以上のとき、またはm8が2のとき、複数個のR同士は同一であっても、相異なっていても良い。)で表される基の一種を示す。}で示される化合物であることを特徴とする、(1)〜(4)のいずれかに記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体。
(6)前記Yが、下記式
Figure 2008201734
(式中、m9は1〜10の整数を表す。)で表される基であることを特徴とする(5)に記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体。
本発明の第2によれば、下記(7)の蛋白質内包球状遷移金属錯体の製造方法が提供される。
(7)遷移金属化合物(M)と、前記式(I)で表される二座有機配位子(L1)および式(II)で表される二座有機配位子(L2)とを、遷移金属化合物(M)nモル(nは6〜60の整数を表す)に対し、二座有機配位子(L1)を1モル、二座有機配位子(L2)を(2n−1)モルの割合で反応させることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体の製造方法。
本発明の第3によれば、下記(8)、(9)の化合物が提供される。
(8)式(I)
Figure 2008201734
{式中、Xは、エチニレン基またはp−フェニレン基を表し、
n1は1〜6の整数を表し、n1が2以上のとき、複数のX同士は同一であっても相異なっていてもよい。
、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
m1、m2はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m1、m2が2以上のとき、複数のR同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていても良い。
は、下記式(a−1)〜(a−4)
Figure 2008201734
〔式中、Rは、式:−Y−D−Pro(式中、Yは、単結合または2価の連結基を表し、Dは、O、S、NH、またはO−(C=O)を表し、D−Proは、Pro−DHで表される蛋白質のHを除いた部分を表す。)で表される基を表す。
は、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミノアルキル基、または4級化アミノアルキル基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m4は0〜2の整数を表す。m3が2以上のとき、またはm4が2のとき、複数個のR同士は同一であっても、相異なっていても良い。
Qは、−Nr1−(r1は、水素原子、アルキル基、アリール基若しくはアシル基を表す。)、−O−、−C(=O)−、−S−、または−SO−を表す。〕で表される基の一種を示す。}で示される化合物。
(9)前記Yが、下記式
Figure 2008201734
(式中、m9は1〜10の整数を表す。)で表される基であることを特徴とする(8)に記載の化合物。
本発明の第4によれば、下記(10)の化合物が提供される。
(10)式(II)
Figure 2008201734
{式中、Xは、エチニレン基またはp−フェニレン基を表し、
n1は1〜6の整数を表し、n1が2以上のとき、複数のX同士は同一であっても相異なっていてもよい。
、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
m5、m6はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m5、m6が2以上のとき、複数のR同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていても良い。
は、下記式(a−5)〜(a−8)
Figure 2008201734
(式中、Qは前記と同じ意味を表す。
は、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミノアルキル基、または4級化アミノアルキル基を表す。
は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロアルキル基を表す。
m10は1〜3の整数を表し、m11は1〜2の整数を表す。m10が2以上のとき、またはm11が2のとき、複数個のR同士は同一であっても、相異なっていても良い。)で表される基の一種を示す。}で示される化合物。
本発明の第1によれば、精密に制御された大きさの中空の殻を有し、該殻を形成する二座有機配位子の1つに連結基を介して蛋白質が結合し、該蛋白質が前記中空の殻内部に配向した特殊な構造を有する蛋白質内包球状遷移金属錯体が提供される。
本発明によれば、精密に制御された大きさの中空内に蛋白質を内包することができるため、蛋白質の安定化だけでなく、蛋白構造の新たな情報取得手法の開発への利用が期待できる。
本発明の第2によれば、複雑なステップを要することなく、球状構造内部に蛋白質を含有するナノメートルスケールの球状遷移金属錯体(本発明の球状遷移金属錯体)を効率よく製造できる球状遷移金属錯体の製造方法が提供される。
本発明の第3、第4によれば、新規な二座有機配位子が提供される。これらの一部は、本発明の球状遷移金属錯体の製造原料として用いることができる。
以下、本発明を、1)蛋白質内包球状遷移金属錯体、2)蛋白質内包球状遷移金属錯体の製造方法、及び、3)二座有機配位子に項分けして詳細に説明する。
1)蛋白質内包球状遷移金属錯体
本発明の蛋白質内包球状遷移金属錯体(以下、単に「球状遷移金属錯体」ということがある。)は、中空の殻を有する球状遷移金属錯体であって、前記中空の殻がn個の遷移金属原子と、2n個の二座有機配位子とから形成されてなり、前記二座有機配位子の一つが、連結基を介して蛋白質が結合してなるものであり、かつ、前記蛋白質が中空の殻内部に配向するように形成されていることを特徴とする。
ここで、nは、6〜60の整数である。
本発明の球状遷移金属錯体においては、自己組織化が容易に進行することから、前記nが、6、12、24、30または60であるのが好ましく、6または12であるのがより好ましく、12であるのが特に好ましい。
本発明の球状遷移金属錯体は、遷移金属イオンと二座有機配位子との配位結合を利用した自己組織化により形成されるものである。配位結合は適度な結合力があり方向性が明確に規定されているため、精密に構造が制御された分子集合体を自発的かつ定量的に構築することが可能である。また、金属の種類や酸化数に応じて配位数や結合角を制御することができるため、多様な配位結合性の構造体とすることができる。
本発明の球状遷移金属錯体としては、遷移金属化合物(M):2n個、連結基を介して蛋白質が結合してなる二座有機配位子(L1):1個、および二座有機配位子(L2):2n−1個により、前記蛋白質が中空の殻内部に配向するように自己組織的に形成された、式:ML2(2n-1)L1で表されるものが好ましい。ここで、nは前記と同じ意味を表す。複数のM同士、L2同士は、それぞれ同一であっても、相異なっていても良いが、同一であるのが好ましい。
本発明の球状遷移金属錯体の中空の殻の大きさは、蛋白質が内包されるため、直径が5〜15nmであるのが好ましい。
(1)遷移金属原子
本発明の球状遷移金属錯体を構成する遷移金属原子としては、特に制限されないが、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種であることが好ましく、平面4配位の錯体を容易に形成し得ることから、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt等の白金族原子が好ましく、Ru、Pd、Ptがより好ましく、Pdが特に好ましい。
遷移金属原子の価数は、通常0〜4価、好ましくは2価であり、配位数は、通常4〜6、好ましくは4である。
(2)二座有機配位子
本発明の球状遷移金属錯体を構成する二座有機配位子は、二座有機配位子(L1)と二座有機配位子(L2)である。
すなわち、遷移金属原子と自己組織的に二座有機配位子を反応させて球状遷移金属錯体を形成させる際、蛋白質を内包させるため、用いる二座有機配位子のうちの一つに蛋白質を連結基を介して結合させた二座有機配位子(二座有機配位子(L1))を用いる。
(i)二座有機配位子(L1)
二座有機配位子(L1)は、連結基を介して蛋白質が結合してなる二座有機配位子であり、形成される球状遷移金属錯体において、前記蛋白質が中空の殻内部に配向することができるものであれば特に制限されないが、下記式(I)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008201734
式(I)で表される化合物は、ピリジル基の隣にブリッジ部を有し、平面性を保ちつつ、両端のピリジル基の間に広い空間を形成し、この空間に連結基を介して結合された蛋白質が位置する構造を有する。
式(I)中、Xは、エチニレン基またはp−フェニレン基を表す。
tは2〜6の整数を表し、複数のX同士は同一であっても相異なっていてもよい。
式:−(X)t−で表される基の具体例を下記に示す。
Figure 2008201734
、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
、Rのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
置換されていても良いアルキル基のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜10のアルキル基が挙げられる。置換されていても良いアルキル基の置換基としては、ハロゲン原子、アルコキシル基、置換基を有していても良いフェニル基などが挙げられる。
置換されていても良いアルコキシル基のアルコキシル基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基等の炭素数1〜10のアルコキシル基が挙げられる。また、置換されていても良いアルコキシル基の置換基としては、ハロゲン原子、置換基を有していても良いフェニル基などが挙げられる。
m1、m2はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m1、m2が2以上のとき、複数のR同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていても良い。
は、下記式(a−1)〜(a−4)で示される基の一種を表す。
Figure 2008201734
式(a−1)〜(a−4)中、Rは、式:−Y−D−Proで表される基を表す。
式中、Yは単結合又は2価の連結基を表す。2価の連結基としては、前記Dと結合できるものであれば特に制約はない。例えば、−O−(CH)a−(aは1〜8の整数を表す。以下にて同じ)、−O−(CH)a−C(=O)−、−C(=O)−、−O−(CH)a−NH−、−NH−、及び式(y)
Figure 2008201734
で表される基等が挙げられる。式(y)中、m9は1〜10の整数を表し、1〜3であるのが好ましい。
これらの中でも、蛋白質の結合、脱離が容易で、蛋白質と結合する際、蛋白質の変性、分解が起こりにくい、式(y)で表される基が好ましい。
Dは、O、S、NH、又はO−(C=O)を表し、D−ProはPro−DHで表される蛋白質のHを除いた部分を表す。
Pro−DHの具体例としては、Pro−OH、Pro−NH、Pro−COOH、Pro−SH等が挙げられる。
例えば、Pro−SHは、C末端がメチオニンである蛋白質や、C末端がグリシンである蛋白質を、該グリシンをシステインへと変異させることによって得られる蛋白質である。なお、Pro−SHは、S−S結合を形成して2量体となっている場合がある。その場合は還元して単量体としてから用いる。
蛋白質は、一般的には、L−α−アミノ酸のカルボキシル基とアミノ基との間で脱水することにより重縮合したもの(ポリペプチド)のうち、その分子量が4,000以上のものである。本発明に用いる蛋白質としては、球状遷移金属錯体が形成する中空の殻内に収まる大きさを有する、アミノ酸残基が50〜500のものであって、その構造につき新たな情報取得を望むものであるのが好ましい。
そのような蛋白質の具体例としては、例えばユビキチンが挙げられる。
ユビキチンは、アミノ酸76残基からなり、外径3nm強の小さな蛋白質であり、有機溶媒や酵素、熱などに対して安定であることが知られており、扱いも比較的容易であると考えられる。ユビキチンは生体内で他の蛋白質の修飾に用いられており、蛋白質分解・細胞周期・シグナル伝達・DNA修復・転写調節・代謝制御など数多くの生命現象を制御する重要な蛋白質である。2004年に「ユビキチンを介した蛋白質分解の発見」に対してノーベル化学賞が授与され、その構造に注目が集められている。
は、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミノアルキル基、または4級化アミノアルキル基を表す。
の、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基としては、Rで例示したものと同様のものが挙げられる。
ヒドロキシアルキル基、カルボキシルアルキル基、置換基を有していてもよいアミノアルキル基、4級化アミノアルキル基のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基が挙げられる。
すなわち、ヒドロキシアルキル基としては、ヒドロキシメチル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシ−n−プロピル基等が挙げられる。
カルボキシアルキル基としては、カルボキシルメチル基、2−カルボキシルエチル基、3−カルボキシ−n−プロピル基等が挙げられる。
置換基を有していてもよいアミノアルキル基としては、アミノメチル基、メチルアミノメチル基、ジメチルアミノメチル基等が挙げられる。
4級化アミノアルキル基としては、−CH−NMe、−CH−NEt、−CHCH−NMe、−CHCH−NEt等が挙げられる(Meはメチル基、Etはエチル基を表す。)。
置換基を有していてもよいアミノ基としては、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、エチルアミノ基、メチルエチルアミノ基、アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、メシルアミノ基、トシルアミノ基等が挙げられる。
m3は0〜3の整数を表し、m4は0〜2の整数を表す。m3が2以上のとき、またはm4が2のとき、複数個のR同士は同一であっても、相異なっていても良い。
Qは、−Nr1−、−O−、−C(=O)−、−S−、または−SO−を表す。
式:−Nr1−で表される基において、r1は、水素原子、アルキル基、アリール基又はアシル基を表す。
前記r1のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等が挙げられる。アリール基としては、フェニル基、p−メチルフェニル基等が挙げられる。アシル基としては、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等が挙げられる。
本発明に用いる二座有機配位子(L1)としては、蛋白質を内包するのに好ましい大きさの球状遷移金属錯体が得られること、取り扱いが容易であること等から、下記式(I−1)、(I−2)で表される化合物であるのが好ましく、式(I−1a)、(I−2a)で表される化合物であるのが特に好ましい。
Figure 2008201734
Figure 2008201734
式中、D−Pro及びRは前記と同じ意味を表す。
二座有機配位子(L1)は、公知の合成法を適用することにより製造することができる。例えば、前記式(I)で表される化合物のうち、下記式(I−3)で表される化合物は、下記式に示すように、式(III)で表される化合物に、式:Pro−DHで表される蛋白質を反応させて製造することができる。
Figure 2008201734
式中、R、m1、X、t、Pro−D、及びYは前記と同じ意味を表す。
’は、A’−R=Aを成立させる基である。
Y’は、Pro−DHと反応してPro−D−Yとなる、連結基Yの前駆体を表す。
具体的には、−OH、−O−(CH)a−OH(aは1〜8の整数を表す。以下にて同じ)、−O−(CH)a−COOH、−COOH、−O−(CH)a−NH、−NH、及び式(y’)
Figure 2008201734
(式中、m9は前記と同じ意味を表す。)で表される基等が挙げられる。
式(III)で表される化合物にPro−DHを反応させて、前記式(I−3)で表される化合物を得る反応としては、公知のエステル化反応、脱水反応、マイケル付加反応等が挙げられる。
例えば、
(a)用いる蛋白質がPro−OHで表されるものである場合には、末端部にCOOH基を有するY’と反応させて、Pro−O−C(=O)−を形成させることで、式(I−3)で表される化合物を得ることができる。
(b)用いる蛋白質がPro−NHで表されるものである場合には、末端部にCOOH基を有するY’と反応させて、Pro−NH−C(=O)−を形成させることで、式(I−3)で表される化合物を得ることができる。
(c)用いる蛋白質がPro−COOHで表されるものである場合には、末端部にOH基を有するY’と反応させて、Pro−C(=O)−O−を形成させることで、式(I−3)で表される化合物を得ることができる。
(d)また、用いる蛋白質がPro−SHで表されるものである場合には、末端部に−CH=CH−を有するY’と反応させて(マイケル付加反応)、式
Figure 2008201734
で表される部分構造を形成させることで、式(I−3)で表される化合物を得ることができる。
これらの中でも、本発明においては、上記(d)の、蛋白質としてPro−SHで表されるものを用い、マイケル付加反応させる方法が、簡便性等の観点から好ましい。
前記式(III)で表される化合物は、以下に示すように、文献公知の方法(K.Sonogashira,Y.Tohda,N.Hagihara,Tetrahedron Lett.,1975,4467;J.F.Nguefack,V.Bolitt,D.Sinou,Tetrahedron Lett.,1996,31,5527)に従い製造することができる。
Figure 2008201734
式中、R、m1、X、t、A’及びY’は前記と同じ意味を表す。Y”は、Y’又はY’の前駆体(Y’を保護基で保護した基を含む)を表す。Zは塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子を表す。
すなわち、先ず、式(IV)で表される化合物と式(V)で表される化合物との薗頭クロスカップリング反応により、式(VI)で表される二座有機配位子を得る。Y”がY’を保護基で保護した基である場合には、適宜保護基を脱保護して、式(III)で表される化合物を合成することができる。
式(VI)で表される化合物は、適当な溶媒中、塩基、Pd(PhCN)Cl/P(t−Bu)、Pd(PPh等のパラジウム触媒、及びヨウ化第1銅等の銅塩の存在下に、式(III)で示される4−(4−ピリジル)フェニルアセチレン類(又はその塩)と、式(IV)で表される化合物とを反応させることにより得ることができる。
なお、上記反応は、2つの式(IV)で表される化合物を一挙に反応させて、同じブリッジ部を有する化合物を製造する例である。相異なる置換基で置換された相異なる2つのブリッジ部を有する化合物は、対応する式(IV)で表される化合物を、同様な反応条件で、段階的に反応させることにより得ることができる。
ここで用いる塩基としては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジイソプロピルアミン、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン等のアミン類が挙げられる。
用いる溶媒としては、1,4−ジオキサン、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル類;ジメチルホルムアミド等のアミド類;ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類;アセトニトリル等のニトリル類;等が挙げられる。
反応温度は、通常、0℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲、好ましくは10℃〜70℃であり、反応時間は、反応規模等にもよるが、通常、数分から数十時間である。
Y’’がY’を保護基で保護した基である場合、該保護基を公知の方法により適宜脱保護することにより、またY’’がY’の前駆体である場合、置換反応等により所望の変形を行うことにより、式(III)で表される化合物を得ることができる。
式(IV)で表される化合物、及び式(V)で表される化合物は、公知の方法で製造することができる。また、市販品を用いることもできる。
(ii)二座有機配位子(L2)
二座有機配位子(L2)は、前記遷移金属原子と自己組織的に球状遷移金属錯体を形成できるものであり、蛋白質が結合していないものであれば特に制限されないが、前記式(I)で表される化合物と配位子の大きさがほぼ同じである下記式(II)で表される化合物が好ましい。
Figure 2008201734
式(II)で表される化合物は、ピリジル基の隣に、複数の、エチニレン基及び/又はp−フェニレン基からなるブリッジ部を有し、平面性を保ちつつ、両端のピリジル基の間に広い空間をもった構造を有する。すなわち、前記式(I)で表される化合物であって、蛋白質を結合していない化合物である。
式(II)中、Xおよびtは前記と同じ意味を表す。
、Rはそれぞれ独立して、前記R、Rと同様の、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
m5、m6はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m5、m6が2以上のとき、複数のR同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていても良い。
は、下記式(a−5)〜(a−8)で表される基の一種を表す。
Figure 2008201734
式(a−5)〜(a−8)中、Qは前記と同じ意味を表す。
は、前記Rと同様の、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、カルボキシルアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミノアルキル基、または4級化アミノアルキル基を表す。
後述するように、球状遷移金属錯体の形成反応においては、蛋白質が変性することがないよう、水、又は水と有機溶媒との混合溶媒を反応溶媒として用いるのが好ましい。そのため、これらの溶媒への二座有機配位子(L2)の溶解性を向上させるべく、Rの少なくとも1つは、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、カルボキシルアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミノアルキル基、または4級化アミノアルキル基等の親水性の基であるのが好ましく、4級化アミノアルキル基であるのがより好ましい。
なお、4級化アミノアルキル基の対イオンとしては、後述するように、球状遷移金属錯体の製造原料となる遷移金属族化合物のアニオンと同じものであるのが好ましい。
m7は0〜3の整数を表し、m8は0〜2の整数を表す。m7が2以上のとき、またはm8が2のとき、複数個のR同士は同一であっても、相異なっていても良い。
は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロアルキル基を表す。
のハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などが挙げられる。
アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基等の炭素数1〜20のアルキル基等が挙げられる。
ハロアルキル基としては、クロロメチル基、ジクロロメチル基、ブロモメチル基、トリフルオロメチル基等が挙げられる。
これらの中でも、二座有機配位子(L2)としては、下記式(II−1)、(II−2)で表される化合物であるのが好ましい。
Figure 2008201734
式中、rはメチル基、エチル基、プロピル基等の炭素数1〜6のアルキル基;フェニル基、4−メチルフェニル基等の置換基を有していてもよいフェニル基;を表す。rとしては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。
は、Br、Cl、NO 、ClO 、BF 、SbF 、PF 、AsF 、SiF 2−、CHCO 等の対イオンを表す。
二座有機配位子(L2)は、前記式(III)で表される化合物と同様の方法で製造することができる。例えば、Rが親水性のトリアルキルアンモニウムカチオンを有する基である式(II−3)で表される化合物は、例えば、下記に示す反応式に従って製造することができる。
Figure 2008201734
(式中、r、X、t、Rは前記と同じ意味を表す。)
すなわち、式(VII)で表される化合物を、トリフェニルホスフィンと四臭化炭素を用いてベンジルブロマイド誘導体とした後、単離することなくトリアルキルアミン水溶液(Nraq.)を加えて、トリアルキルアンモニウムカチオン基を有する式(II−3)で表される化合物を合成することができる。
なお、式(II−3)で表される化合物の対イオンは臭素イオンであるが、必要に応じ、公知の方法により対イオンを交換してもよい。
2)球状遷移金属錯体の製造方法
本発明の球状遷移金属錯体の製造方法は、遷移金属化合物(M)と、前記式(I)で表される二座有機配位子(L1)および式(II)で表される二座有機配位子(L2)とを、遷移金属化合物(M)nモル(nは6〜60の整数を表す)に対し、二座有機配位子(L1)を1モル、二座有機配位子(L2)を(2n−1)モルの割合で反応させることを特徴とする。
本発明に用いる遷移金属化合物(M)は、二座有機配位子(L1)、(L2)と自己組織的に球状遷移金属錯体を形成できるものであれば特に制限されないが、二価の遷移金属化合物が好ましい。
遷移金属化合物(M)を構成する遷移金属原子としては、前記本発明の球状遷移金属錯体の遷移金属原子として例示したものと同様のものが挙げられる。
遷移金属化合物(M)として具体的には、遷移金属の、ハロゲン化物、硝酸塩、塩酸塩、硫酸塩、酢酸塩、メタンスルホン酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、p−トルエンスルホン酸塩などが挙げられる。これらの中でも、効率よく、目的とする中空遷移金属錯体が得られることから、遷移金属の、硝酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩が好ましい。
遷移金属化合物(M)と二座有機配位子(L1)、(L2)の使用割合は、目的とする球状遷移金属錯体の組成などに応じて適宜設定することができる。例えば、式:M12(L1)(L2)23の組成をもつ蛋白質内包球状遷移金属錯体を得たい場合には、遷移金属化合物(M)12モルに対し、二座有機配位子(L1)を1モル、二座有機配位子(L2)を23モルの割合で反応させればよい。
遷移金属化合物(M)と二座有機配位子(L1)、(L2)との反応は、適当な溶媒中で行うことができる。溶媒としては、蛋白質が変性しないものが好ましい。具体的には、、水、又は水と極性有機溶媒との混合溶媒が好ましい。
用いる極性有機溶媒としては、アセトニトリル等のニトリル類;ジメチルスルホキシド(DMSO)等のスルホキシド類;N,N−ジメチルホルムアミド等のアミド類;テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタン、1,4−ジオキサン等のエーテル類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;エチルセロソルブ等のセロソルブ類;等が挙げられる。これらの溶媒は一種単独で、あるいは二種以上を組み合わせて用いることができる。
遷移金属化合物(M)と二座有機配位子(L1)、(L2)との反応は、0℃から用いる溶媒の沸点までの温度範囲で円滑に進行する。
反応時間は、数分から数日間である。
反応終了後は、有機合成化学における通常の後処理操作を行い、所望によりイオン交換樹脂等によるカラム精製、蒸留、再結晶等の公知の分離精製手段により精製を行うことによって、目的とする球状遷移金属錯体を単離することができる。
なお、得られる球状遷移金属錯体の対イオンは、通常、用いる遷移金属化合物(M)の陰イオンであるが、結晶性を向上させたり、球状遷移金属錯体の安定性を向上させる目的で対イオンを交換してもよい。かかる対イオンとしては、PF 、ClO 、SbF 、AsF 、BF 、SiF 2−等が挙げられる。
得られた球状遷移金属錯体の構造は、H−NMR、DOSY NMR、13C−NMR、IRスペクトル、マススペクトル、可視光線吸収スペクトル、UV吸収スペクトル、反射スペクトル、X線結晶構造解析、元素分析等の公知の分析手段により確認することができる。
DOSY NMRはシグナルを拡散係数によって分離する手法であり、構造の大きさによってシグナルを分離することが可能である。すなわち、形成した球状遷移金属錯体と内包された蛋白質が同一の拡散係数で運動しているか確かめることにより、蛋白質が球状遷移金属錯体内へ内包されていることを確認することができると考えられる。
以上のようにして、極めて簡便な操作により、本発明の球状遷移金属錯体を効率よく製造することができる。そのため、グラムスケールでの大量合成も可能である。
本発明の球状遷移金属錯体は、ナノメートルスケールの一定の大きさを有し、二座有機配位子(L1)に結合した蛋白質が錯体の球状構造の内部に配向した、精密に制御された特殊な構造を有する。
このように、本発明の球状遷移金属錯体は、精密に制御された大きさの中空の殻内に蛋白質が内包されたものであるため、蛋白質の安定化だけでなく、蛋白構造の新たな情報取得手法への開発に貢献が期待できる。
3)二座有機配位子
本発明の二座有機配位子は、前記式(I’)で表される化合物(以下、「化合物(I’)」という。)及び前記(II’)で表される化合物(以下、「化合物(II’)」という。)である。
化合物(I’)は、前記式(I)で表される化合物において、tがn1(n1は1〜6の整数を表す。)の化合物である。化合物(II’)は、前記式(II)で表される化合物において、tがn1(n1は1〜6の整数を表す。)の化合物である。
本発明の二座有機配位子は新規化合物であり、二座有機配位子(L1)、(L2)と同様に製造することができる。
次に、実施例により、本発明をさらに詳細に説明する。但し、本発明は、実施例により何ら限定されるものではない。
(機器類)
(1)H−NMRスペクトルの測定
H−NMRスペクトルは、Bruker DRX 500(500MHz)NMR spectrometerにより測定した。なお、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準とした)。
(2)13C−NMRスペクトルの測定
13C−NMRスペクトルは、Bruker DRX 500(125MHz)NMR spectrometerを用いて測定した。
(3)マススペクトルの測定
CSI−MSスペクトル(コールドスプレーイオン化質量分析)は、JEOL、JMS−700C(4−セクター(BE/BE)−タンデム質量分析計)を用いて測定した。
(4)MALDI−TOF MS
MALDI−TOF MSは、質量分析装置(Applied Biosystem Voyager DE−STR)を用いて測定した。
(5)融点
融点は、融点測定器:Yanaco MP−500Vを用いて測定した。
(4)元素分析
炭素、水素、及び窒素の元素分析は、Yanaco MT−6を用いて行った。
(5)IRスペクトル
IRスペクトルは、DIGILAB Scimitar FTS−2000(KBr)を用いて測定した。
(試薬類)
溶媒及び試薬は、特に記載のないものは、東京化成工業株式会社、和光純薬工業株式会社、又は、Sigma−Aldrich Co.の市販品を使用した。
(実施例1)配位子4aの合成
(1)N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミドの合成
(i)N−メトキシカルボニルマレイミドの合成
Figure 2008201734
マレイミド(3.88g,40.0mmol)及びN−メチルモルフォリン(4.82mL,44.0mmol)の酢酸エチル(240mL)溶液中に、0℃にて、クロロギ酸メチル(3.40mL,44.0mmol)を加えて1時間撹拌した。沈殿物をろ別し、ろ液を減圧濃縮した。得られた残渣をクロロホルムとn−ヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより、標記化合物を白色固体(6.10g,39.3mmol)として得た。収率98%。
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃)δppm:6.84(s,2H),3.99(s,3H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃)δppm:165.6(C),148.1(C),135.3(CH),54.3(CH
IR(KBr,cm−1)3093,2972,1764,1713,1442,1337,1265,1139,1036,921,842,769,696,641,595
<参考文献>
Helvetica Chimica Acta,第58巻,536頁,1975年
(ii)N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミドの合成
N−メトキシカルボニルマレイミド(3.10g,20.0mmol)及び2−アミノエタノール(1.25g,20.5mmol)を炭酸水素ナトリウム(2.52g,30.0mmol)の水溶液(150mL)に加え、全容を室温で30分撹拌した。反応液をクロロホルム(200mL×6)で抽出した。有機層を濃縮して得られた残渣をクロロホルムとn−ヘキサンの混合溶媒から再結晶することにより、標記化合物を白色固体(1.45g,10.3mmol)として得た。収率52%。
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃)δppm:6.70(s,2H), 3.82−3.77(m,2H),3.76−3.72(m,2H),2.04(t,J=5.8Hz,1H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃)δppm:171.1(C),134.3(CH),61.0(CH),40.7(CH
IR(KBr,cm−1)3260,3114,2961,1712,1444,1407,1363,1322,1160,1068,973,853,833,695.
(2)化合物4aの合成
Figure 2008201734
(i)酢酸2,6−ビス[4−(4−ピリジル)フェニルエチニル]フェニルエステルの合成
トリt−ブチルホスフィン(0.462mL,0.184mmol;10重量%n−ヘキサン溶液)と、ジイソプロピルアミン(2.0mL,14mmol)を、1−アセトキシ−2,6−ジブロモベンゼン(441mg,1.50mmol)、4−(4−ピリジル)フェニルアセチレン(716mg,4.00mmol)、Pd(PhCN)Cl(34.5mg,0.090mmol)、及びヨウ化銅(I)(11.5mg,0.0060mmol)の1,4−ジオキサン(25mL)溶液に加え、全容を、アルゴン雰囲気下、45℃で12時間攪拌した。反応混合物に酢酸エチル(40mL)を加え、不溶物をろ別した。ろ液に水(100mL)及びエチレンジアミン(2mL)を加え、酢酸エチル層を分取した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を減圧留去した。
得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:メタノール=50:1(体積比))で精製することにより、標記化合物を白色固体(650mg,1.33mmol)として得た。収率88%。
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃)δppm:8.69(d,J=5.3Hz,4H),7.67−7.61(m,8H),7.59(d,J=7.7Hz,2H),7.51(d,J=5.9Hz,4H),7.27(t,J=7.9Hz,1H),2.47(s,3H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃)δppm:168.1(C),152.4(C),150.4(CH),147.3(C),138.4(C),133.0(CH),132.4(CH),127.1(CH),126.1(CH),123.6(C),121.5(CH),118.2(C),94.0(C),85.3(C),20.7(CH
IR(KBr,cm−1)3032,2215,1171,1594,1516,1488,1438,1402,1369,1181,1151,1072,902,811,682,530
(ii)1−(2−{2,6−ビス[4−(ピリジル)フェニルエチニル]フェノキシ}エチル)ピロール−2,5−ジオン(4a)の合成
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.089mL,0.45mmol)を、2,6−ビス[4−(4−ピリジル)フェニルエチニル]フェノール(168mg,0.375mmol)、及びトリフェニルホスフィン(110mg,0.42mmol)のTHF(20mL)溶液に加え、混合物をアルゴン雰囲気下、室温で30分間攪拌した。次いで、この溶液に、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド(59.2mg,0.42mmol)を加え、全容を室温で17時間攪拌した。反応混合物を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=50:1(体積比))により精製して、標記化合物を白色固体(42.9mg,0.0750mmol)として得た。収率20%。
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃)δppm:8.69(d,J=6.1Hz,4H),7.737.67(m,8H),7.54(d,J=6.2Hz,4H),7.50(d,J=7.7Hz,2H),7.11(t,J=7.7Hz,1H),6.53(s,2H),4.54(d,J=6.2Hz,2H),4.07(d,J=6.2Hz,2H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃)δppm:170.5(C),160.0(C),150.5(CH),147.4(C),138.1(C),134.0(CH),133.9(CH),132.5(CH),127.0(CH),124.0(CH),123.9(C),121.4(CH),117.5(C),93.6(C),86.5(C),69.8(CH),37.9(CH
IR(KBr,cm−1)3029,2211,1711,1596,1489,1439,1408,1325,1227,1169,1102,1070,1020,812,696
(3)配位子2aの合成
Figure 2008201734
先ず、球状遷移金属錯体に内包させる蛋白質として用いるユビキチン(Ubiquitin−SH)を準備した。ユビキチンは76残基からなる蛋白質であるが、今回はC末端のグリシンをシステインへと変異させたものを利用した。
まず、目的の蛋白質をコードするcDNAを、GSTを除去したベクター(pGEX−6P−1:GEヘルスケアバイオサイエンス)のマルチクローニングサイトに組み込みこんだものを発現ベクターとして用い、これを宿主大腸菌に導入した。大腸菌の培養はアンピシリンを入れたLB培地を用いて行ない、IPTGを添加することにより蛋白質の発現を行った。培養後に大腸菌を粉砕し、陰イオン交換カラム、陽イオン交換カラム、透析の順で生成を行うことにより、目的とするC末端にシステイン残基を有するユビキチンを得ることができた。
得られた変異ユビキチンのアミノ酸配列は下記のとおりである。
MQIFVKTLTGKTITLEVEPSDTIENVKAKIQDKEGIPPDQQRLIFAGKQLEDGRTLSDYNIQKESTLHLVLRLRGC
培養したユビキチンはユビキチン同士のS−S結合を形成していたため、まず5mMのトリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を用いてS−S結合を還元することにより単量体とした。すなわち、トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィン(TCEP)を、変異させたユビキチン(mutated ubiquitin)(22.4mg,2.60μmol)の20mMトリスバッファー溶液(15mL)に加え、全容を37℃で2時間ゆっくりと攪拌した。その溶液中には、モノマー化したユビキチンが含まれていることを、MALDI−TOF MSにより確認した。1M水酸化ナトリウム水溶液により、溶液のpHを8.0に調整したのち、化合物4a(22.8mg,39.9μmol)のTHF(10mL)溶液を添加し、37℃で2時間、室温で12時間攪拌した。
反応混合物を逆相(reversedphase)HPLC〔on an Inertsil Peptide C18 semi−preparative column(20mm×250mm)、溶離液:0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液とアセトニトリル〕で精製後、凍結乾燥し、標記化合物を白色粉末(15mg,1.6μmol)として得た。収率63%。
MALDI−TOF−MS:calcd for[M+Na]9205.4,found 9203.7
(実施例2)配位子1aの合成
Figure 2008201734
(1)3,5−ジブロモ−4−メチルフェニル)メタノールの合成
3,5−ジブロモ−4−メチル安息香酸(2.35g,8.00mmol)のTHF(20mL)様液を、1.0M(BH−THF)THF溶液(18.0mmol,18.0mL)に30分かけて滴下した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液にゆっくりと注いだ。反応混合物を酢酸エチル(200mL×3)で抽出した。有機層を集め溶媒を減圧留去した。得られた残渣をクロロホルムとn−ヘキサンの混合溶媒から再結晶して、標記化合物を白色固体(1.95g,6.97mmol)として得た。収率87%。
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃)δppm:7.52(s,2H),4.62(d,J=5.8Hz,2H),2.56(s,3H),1.70(t,J=6.0Hz,1H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃)δppm:141.2(C),136.5(C),130.1(CH),125.3(C),63.6(CH),23.4(CH
IR(KBr,cm−1)3314,3202,2928,1745,1594,1541,1431,1391,126,1216,1195,1064,1031,992,866,730,687,652
(2){4−メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジル)フェニルエチニル]フェニル}メタノールの合成
トリt−ブチルホスフィン(0.462mL,0.186mmol;10重量%n−ヘキサン溶液)、及びジイソプロピルアミン(1.5mL,10.7mmol)を、(3,5−ジブロモ−4メチルフェニル)メタノール(420mg,1.50mmol),4−(4−エチニルフェニル)ピリジン(716mg,4.00mmol),Pd(PhCN)Cl(34.5mg,0.090mmol)、及びヨウ化銅(I)(11.5mg,0.060mmol)の1,4−ジオキサン(25mL)溶液に添加し、全容を、アルゴン雰囲気下、45℃で16時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(30mL)を加え、不溶物をろ別した。ろ液に水(80mL)及びエチレンジアミン(1mL)を加え、酢酸エチル層を分取した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=40:1(体積比))で精製し、標記化合物を白色固体(634mg,1.33mmol)として得た。収率89%。
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃)δppm:8.68(d,J=6.2Hz,4H),7.677.65(m,8H),7.55(s,2H),7.53(d,J=6.2Hz,4H),4.71(d,J=5.5Hz,2H),2.74(s,3H),1.94(d,J=5.9Hz,1H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃)δppm:150.4(CH),147.4(C),141.4(C),138.5(C),138.0(C),132.3(CH),130.7(CH),127.0(CH),124.1(C),123.7(C),121.4(CH),93.1(C),89.5(C),64.3(CH),19.1(CH
IR(KBr,cm−1)3273,3039,2203,1597,1566,1489,1403,1329,1290,1226,1112,1064,997,81,686,566
(3)トリメチル{4−メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジル)フェニルエチニル]ベンジル}アンモニウムブロマイドの合成
トリフェニルホスフィン(367mg,1.40mmol)、及び四臭化炭素(663mg,3.00mmol)を、アルゴン雰囲気下、室温で、{4−メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジル)フェニルエチニル]フェニル}メタノール(238mg,0.500mmol)の乾燥THF(150mL)溶液に順次添加した。全容を3時間攪拌することにより、4−メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジル)フェニルエチニル]ベンジルブロマイドが定量的に生成していることを、MALDI−TOF MSにより確認した(単離せず)。
この溶液に、トリメチルアミン(7.0mL,30mmol;4.3M水溶液)を添加して、全容を室温で20時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣を酢酸エチル及び水で洗浄した後、真空乾燥することにより、標記化合物を白色固体(207mg,0.345mmol)として得た。収率69%
H−NMR(500MHz,DMSO−d,27℃)δppm:8.75(d,J=5.3Hz,4H),7.98(d,J=8.3Hz,2H),7.91(d,J=4.8Hz,4H),7.83(s,2H),7.78(d,J=8.2Hz,2H),4.56(s,2H),3.09(s,9H),2.77(s,3H)
13C−NMR(125MHz,DMSO−d,27℃)δppm:148.8(CH),147.3(C),143.5(C),137.0(C),136.1(CH),132.2(CH),127.4(CH),126.8(C),123.3(C),123.0(C),121.6(CH),93.9(C),88.5(C),66.5(CH),52.0(CH),18.9(CH
IR(KBr,cm−1)3429,2361,2206,1632,1599,1490,1401,1289,1214,1069,1004,878,812,685
(4)トリメチル{4−メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジル)フェニルエチニル]ベンジル}アンンモニウムニトレイト(1a)の合成
トリメチル{4−メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジル)フェニルエチニル]ベンジル}アンモニウムブロマイド(77.5mg,0.130mmol)、及び、亜硝酸銀(22.8mg,0.133mmol)の、アセトニトリル(10mL)及び水(40mL)溶液に加え、全容を、アルゴン雰囲気下、40℃で3時間攪拌した。
反応液をろ過し、ろ液を減圧下に濃縮して、標記化合物を白色固体(47mg,0.081mmol)として得た。収率62%。
H−NMR(500MHz,DMSO−d,27℃)δppm:8.69(d,J=4.7Hz,4H),7.94(d,J=8.3Hz,2H),7.82(s,2H),7.79(d,J=4.6Hz,4H),7.76(d,J=8.4Hz,2H),4.53(s,2H),3.09(s,9H),2.77(s,3H)
13C−NMR(125MHz,DMSO−d,27℃)δppm:150.2(CH),145.8(C),143.5(C),137.5(C),136.0(CH),132.1(CH),127.2(CH),126.8(C),123.3(C),122.5(C),121.1(CH),94.0(C),88.3(C),66.6(CH),52.0(CH),18.9(CH
IR(KBr,cm−1)3032,2929,2208,1633,1597,1539,1490,1343,1215,1113,993,880,812,723,684
(実施例3)配位子2bの合成
Figure 2008201734
(1)2,6−ビス[4−(4−ピリジルエチニル)フェニルエチニル]フェニルアセテートの合成
トリt−ブチルホスフィン(0.062mL,0.025mmol;10%n−ヘキサン溶液)、及びジイソプロピルアミン(0.20mL,1.4mmol)を、1−アセトキシ−2,6−ジブロモベンゼン(58.8mg,0.200mmol),1−エチニル−4−(ピリジルエチニル)ベンゼン(101.6mg,0.500mmol),Pd(PhCN)Cl(4.60mg,0.012mmol)、及びヨウ化銅(I)(1.52mg,0.0080mmol)の1,4−ジオキサン(1.5mL)溶液に加え、全容を、アルゴン雰囲気下、45℃で12時間攪拌した。
反応液に酢酸エチル(10mL)を加え、不溶物をろ別し、ろ液に水(30mL)を加え、エチレンジアミン(1mL)で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。有機層を集め、無水硫酸酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:メタノール=50:1(体積比))で精製して、標記化合物を白色固体(86.1mg,0.160mmol)として得た。収率80%。
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃)δppm:8.62(d,J=5.3Hz,4H),7.57(d,J=7.9Hz,2H),7.56−7.49(m,8H),7.39(d,J=5.7Hz,4H),7.26(t,J=7.7Hz,1H),2.45(s,3H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃)δppm:168.1(C),152.4(C),149.9(CH),133.1(CH),131.9(CH),131.7(CH),131.1(C),126.1(CH),125.5(CH),123.5(C),122.4(C),118.1(C),94.0(C),93.3(C),88.6(C),86.0(C),20.7(CH
IR(KBr,cm−1)3038,2217,1768,1590,1509,1430,1406,1368,1187,1077,1011,904,837,820,789,547
(2)1−(2−{2,6−ビス[4−(4−ピリジルエチニル)フェニルエチニル]フェノキシ}エチル)ピロール−2,5−ジオン(4b)の合成
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.032mL,0.16mmol)を、2,6−ビス[4−(4−ピリジルエチニル)フェニルエチニル]フェノール(69mg,0.14mmol)、トリフェニルホスフィン(36.7mg,0.14mmol)のTHF(10mL)溶液に添加し、全容を、アルゴン雰囲気下、室温で30分間攪拌した。
次いで、この溶液に、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド(19.8mg,0.14mmol)を添加し、アルゴン雰囲気下、室温で10時間攪拌した。
反応混合物を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=50:1(体積比))で精製することにより、標記化合物を白色固体(46.5mg,0.075mmol)として得た。収率54%。
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃)δppm:8.63(d,J=5.5Hz,4H),7.61−7.55(m,8H),7.48(d,J=7.7Hz,2H),7.39(d,J=5.6Hz,4H),7.10(t,J=7.7Hz,1H),6.51(s,2H),4.51(d,J=6.0Hz,2H),4.04(d,J=6.1Hz,2H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃)δppm:170.5(C),160.0(C),149.9(CH),134.0(CH),133.9(CH),131.9(CH),131.8(CH),131.2(C),125.6(CH),124.0(CH),123.9(C),122.2(C),117.4(C),93.7(C),93.5(C),88.5(C),87.3(C),69.9(CH),37.9(CH
IR(KBr,cm−1)3038,2217,1711,1589,1509,1439,1406,1230,1168,1102,1017,969,823,696,546
(3)配位子2bの合成
Figure 2008201734
トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンを、変異ユビキチン(mutated ubiquitin)(22.4mg,2.60μmol)の、20mMトリスバッファー溶液(15mL)に添加した。全容を37℃で2時間ゆっくりと攪拌することにより、溶液中でモノマー化したユビキチンの生成を、MALDI−TOF MSにより確認した。
この溶液を0.1M水酸化ナトリウム水溶液でpH8.0に調整し、そこへ、化合物4b(25.0mg,39.9μmol)のTHF(10mL)溶液を添加し、37℃で2時間、室温で12時間攪拌した。
反応混合物を逆相(reversedphase)HPLC〔on an Inertsil Peptide C18 semi−preparative column(20mm×250mm)、溶離液:0.1重量%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液とアセトニトリル〕で精製後、凍結乾燥し、標記化合物を白色粉末(14mg,1.5μmol)として得た。収率57%。
MALDI−TOF−MS calcd for [M+Na]9253.4,found 9248.9.
(実施例5)配位子1bの合成
Figure 2008201734
(1){4−、メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジルエチニル)フェニルエチニル]フェニル}メタノールの合成
トリt−ブチルホスフィン(0.462mL,0.0186mmol;10重量%n−ヘキサン溶液)、及びジイソプロピルアミン(1.5mL,11mmol)を、(3,5−ジブロモ−4−メチルフェニル)メタノール(420mg,1.50mmol),4−(4−エチニルフェニルエチニル)ピリジン(762mg,3.75mmol),Pd(PhCN)Cl(35mg,0.090mmol)、及びヨウ化銅(I)(11mg,0.060mmol)の1,4−ジオキサン(15ml)溶液に添加し、全容を、アルゴン雰囲気下、50℃で14時間攪拌した。反応混合物に酢酸エチル(30mL)を加え、不溶物をろ別した。ろ液に水(50mL)を加え、エチレンジアミン(1mL)で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=40:1(体積比))により、精製して、標記化合物を白色固体(703mg,1.34mmol)として得た。収率89%。
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃)δppm:8.61(d,J=5.6Hz,4H),7.55(s,8H),7.53(s,2H),7.39(d,J=5.6Hz,4H),4.69(s,2H),2.71(s,3H),1.94(s,1H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃)δppm:149.8(CH),141.4(C),138.6(C),131.9(CH),131.6(CH),131.2(C),130.7(CH),125.5(CH),124.1(C),123.6(C),122.1(C),93.5(C),93.2(C),90.2(C),88.5(C),64.3(CH),19.0(CH
IR(KBr,cm−1)3289,3041,2873,2218,1590,1540,1510,1407,1213,1102,1049,997,835,750,636,540
元素分析:Calcd for C3824O・1.5HO:C,82.74;H,4.93;N,5.08.
Found:C,82.54;H,4.57;N,4.80
(2)トリメチル{4−メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジルエチニル)フェニルエチニル]ベンジル}アンモニウムブロマイドの合成
トリフェニルホスフィン(367mg,1.40mmol)及び四臭化炭素(597mg,1.80mmol)を、アルゴン雰囲気下、室温で、{4−メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジルエチニル)フェニルエチニル]フェニル}メタノール(314mg,0.600mmol)の乾燥THF(150mL)溶液に順次添加した。
全容を3時間攪拌することにより、4−メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジルエチニル)フェニルエチニル]ベンジルブロマイドが定量的に生成していることを、MALDI−TOF MSにより確認した(単離せず。)。
この溶液をトリメチルアミン(7.0mL,30mmol;4.3M水溶液)を添加して、全容を室温で15時間攪拌した。溶媒を減圧留去したのち、得られた残渣を酢酸エチル及び水で洗浄し、真空乾燥することにより、標記化合物を白色固体(295mg,0.456mmol)として得た。収率76%。
H−NMR(500MHz,CDCN,27℃)δppm:8.61(d,J=4.8Hz,4H),7.71(s,2H),7.64(s,8H),7.46(d,J=4.6Hz,4H),4.49(s,2H),3.09(s,9H),2.78(s,3H)
13C−NMR(125MHz,CDCN,27℃)δppm:151.1(CH),145.7(C),137.2(CH),133.1(CH),132.8(CH),131.5(C),127.1(C),126.4(CH),125.3(C),124.4(C),123.5(C),95.1(C),93.6(C),89.9(C),89.5(C),68.9(CH),53.5(CH),19.7(CH
IR(KBr,cm−1)3431,3010,2218,1590,1510,1487,1407,1215,988,878,820,637,538
元素分析:Calcd for C4132Br・1.0HO・1.0EtOAc:C,71.80;H,5.62;N,5.58
Found:C,71.94;H,5.57;N,5.66
(3)トリメチル{4−メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジルエチニル)フェニルエチニル]ベンジル}アンモニウムニトレイトの合成
トリメチル{4−メチル−3,5−ビス[4−(4−ピリジルエチニル)フェニルエチニル]ベンジル}アンモニウムブロマイド(120mg,0.186mmol)、及び硝酸銀(32.6mg,0.192mmol)のアセトニトリル(10mL)及び水(60mL)の混合溶液に加え、全容を、アルゴン雰囲気下、40℃で12時間攪拌した。反応液をろ過し、真空乾燥することにより、標記化合物を白色固体(111mg,0.176mmol)として得た。収率95%。
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃)δppm:8.60(d,J=5.9Hz,4H),7.62(s,2H),7.55−7.51(m,8H),7.37(d,J=5.6Hz,4H),4.81(s,2H),3.28(s,9H),2.72(s,3H)
13C−NMR(125MHz,CDCN,27℃)δppm:149.8(CH),145.0(C),135.7(CH),131.9(CH),131.7(CH),131.0(C),125.5(CH),125.1(C),124.9(C),123.3(C),122.5(C),94.9(C),93.3(C),88.73(C),88.68(C),68.3(CH),53.0(CH),19.3(CH
IR(KBr,cm−1)3400,3034,2217,1591,1540,1509,1489,1407,1360,1336,1215,1103,988,880,819,636,539
元素分析: Calcd for C4132・1.8HO:C,74.48;H,5.43;N,8.47
Found:C,74.67;H,5.29;N,8.16
(実施例6)配位子2cの合成
(1)1−(2−{2,6−ビス[(4−ピリジル)エチニル]フェノキシ}エチニル)ピロール−2,5−ジオン(4c)の合成
Figure 2008201734
ジイソプロピルアゾジカルボキシレート(0.21mL,1.2mmol)を、2,6−ビス(4−ピリジルエチニル)フェノール(294mg,1.00mmol)、及びトリフェニルホスフィン(262mg,1.00mmol)のTHF(10mL)溶液に加え、全容を、アルゴン雰囲気下、室温で20分間攪拌した。そこへ、N−(2−ヒドロキシエチル)マレイミド(141mg,1.00mmol)を添加し、全容を、アルゴン雰囲気下、室温で12時間攪拌した。反応液を減圧濃縮し、得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:MeOH=50:1(体積比))により精製して、標記化合物を白色固体(310mg,0.740mmol)として得た。収率74%。
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃)δppm:8.65(d,J=5.6Hz,4H),7.53(d,J=7.5Hz,2H),7.46(d,J=5.6Hz,4H),7.13(t,J=7.6Hz,1H),6.55(s,2H),4.50(t,J=6.0Hz,2H),4.04(d,J=6.0Hz,2H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃)δppm:170.4(C),160.5(C),149.9(CH),134.7(CH),134.1(CH),131.0(C),125.6(CH),124.1(CH),116.8(C),91.5(C),89.1(C),70.0(CH),37.9(CH
IR(KBr,cm−1)3462,3049,2946,2215,1708,1593,1539,1446,1412,1324,1238,1171,1019,990,969,817,695
元素分析:Calcd for C2617:C,74.45;H,4.09;N,10.02
Found:C,74.20;H,4.09;N,9.81
(2)配位子2cの合成
Figure 2008201734
トリス(2−カルボキシエチル)ホスフィンを変異ユビキチン(mutated ubiquitin)(28.4mg,3.30μmol)の20mM トリスバッファー溶液(20mL)に添加し、37℃で2時間攪拌した。モノマー化したユビキチンの生成を、MALDI−TOF MSにて確認した。1M水酸化ナトリウム水溶液にてpHを8.0に調整し、化合物4c(68.2mg,110μmol)のTHF(10mL)を添加した。全容を37℃で2時間、室温で12時間攪拌した。
反応混合物を逆相(reversedphase)HPLC〔on an Inertsil Peptide C18 semi−preparative column(20mm×250mm)、溶離液:0.1重量%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液とアセトニトリル〕で精製後、凍結乾燥し、標記化合物を白色粉末(24mg,2.6μmol)として得た。収率80%。
MALDI−TOF−MS calcd for [M+Na]9053.3,found 9054.8
(実施例9)配位子1cの合成
Figure 2008201734
(1){4−メチル−3,5−ビス[(4−ピリジル)エチニル]フェニル}メタノールの合成
トリt−ブチルホスフィン(1.84mL,0.745mmol;10重量%n−ヘキサン溶液、及びジイソプロピルアミン(9.0mL,64mmol)を、(3,5−ジブロモ−4−メチルフェニル)メタノール(1.34g,4.79mmol),4−エチニルピリジン塩酸塩(2.18g,15.6mmol),Pd(PhCN)Cl(138mg,0.360mmol)、及びヨウ化銅(I)(45.7mg,0.2400mmol)の1,4−ジオキサン(30mL)溶液に加え、全容を、アルゴン雰囲気下、40℃で24時間攪拌した。反応液に酢酸エチル(40mL)を加え、不溶物をろ別し、ろ液に水(100mL)を加え、エチレンジアミン(3mL)で洗浄し、酢酸エチルで抽出した。有機層を集め、無水硫酸ナトリウムで乾燥し、溶媒を減圧留去した。得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(CHCl:メタノール=50:1(体積比))で精製することにより、標記化合物を白色固体(1.15g,3.54mmol)として得た。収率74%。
H−NMR(500MHz,CDCl,27℃)δppm:8.63(d,J=5.9Hz,4H),7.57(s,2H),7.40(d,J=6.0Hz,4H),4.71(d,J=4.9Hz,2H),2.69(s,3H),1.86(t,J=5.6Hz,1H)
13C−NMR(125MHz,CDCl,27℃)δppm:149.9(CH),142.0(C),138.8(C),131.4(CH),131.2(C),125.5(CH),122.9(C),92.1(C),91.0(C),64.1(CH),19.0(CH
IR(KBr,cm−1)3290,2858,2208,1594,1538,1490,1417,1215,1113,1064,998,869,819,742,554
(2)トリメチル(4−メチル−3,5−ビス[(4−ピリジル)エチニル]ベンジル)アンモニウムブロマイドの合成
トリフェニルホスフィン(1.73g,6.60mmol)、及び四臭化炭素(2.98g,9.00mmol)を、{4−メチル−3,5−ビス[(4−ピリジル)エチニル]フェニル}メタノール(930mg,3.00mmol)の乾燥THF(200mL)様液に、アルゴン雰囲気下、室温で順次添加した。全容を3時間攪拌することにより、4−メチル−3,5−ビス[(4−ピリジル)エチニル]ベンジルブロマイドが定量的に生成していることをMALDI−TOF MSにより確認した(単離せず。)。
この溶液に、トリメチルアミン(14.0mL,60mmol;4.3M水溶液)を加え、室温で18時間攪拌した。反応液から溶媒を減圧留去し、得られた残渣を酢酸エチル及び水で洗浄したのち、真空乾燥して、標記化合物を白色固体(1.21g,2.79mmol)として得た。収率97%。
H−NMR(500MHz,DMSO−d,27℃)δppm:8.69(d,J=6.1Hz,4H),7.89(s,2H),7.59(d,J=6.1Hz,4H),4.58(s,2H),3.09(s,9H),2.74(s,3H)
13C−NMR(125MHz,DMSO−d,27℃)δppm:150.0(CH),144.2(C),136.9(CH),129.5(C),127.0(C),125.2(CH),122.6(C),91.7(C),90.6(C),66.3(CH),51.9(CH),18.9(CH
IR(KBr,cm−1)3412,3005,2214,1593,1535,1488,1405,1211,1063,988,881,821,742,549
(2)トリメチル(4−メチル−3,5−ビス[(4−ピリジル)エチニル]ベンジル)アンモニウムトリフルロメタンスルホネート(1c)の合成
トリメチル(4−メチル−3,5−ビス[(4−ピリジル)エチニル]ベンジル)アンモニウムブロマイド(259mg,0.600mmol)、及びトリフルオロメタンスルホン酸の銀塩(AgOTf)(162mg,0.630mmol)のアセトニトリル(60mL)を、アルゴン雰囲気下、40℃で5時間攪拌した。反応液をろ過し、ろ液を減圧濃縮することにより、標記化合物を白色固体(295mg,0.589mmol)として得た。収率98%。
H−NMR(500MHz,DMSO−d,27℃)δppm:8.69(d,J=5.7Hz,4H),7.88(s,2H),7.59(d,J=6.0Hz,4H),4.53(s,2H),3.07(s,9H),2.74(s,3H)
13C−NMR(125MHz,DMSO−d,27℃)δppm:150.6(CH),144.8(C),137.5(CH),130.1(C),127.5(C),125.8(CH),123.2(C),92.2(C),91.2(C),67.0(CH),52.5(CH),19.4(CH
IR(KBr,cm−1)3041,2215,1594,1489,1408,1257,1224,1160,1030,988,880,820,639,573,547
(参考1)
得られた二座有機配位子2a、2b、2cにつき、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(SDS−PAGE)による分析を行った。SDS−PAGEは、アクリルアミドとN,N’−メチレンビスアクリルアミドの混合溶液を重合させた分子ふるいを用いて、その目の大きさによって蛋白質を分子量別によりわける手法である。サンプルを煮て蛋白質の高次構造をほどき、SDS(sodium dodecyl sulfate)を付加させることにより、分子量(=アミノ酸鎖の長さ)と対応する負電荷を蛋白質に与えた。ここに電圧をかけることにより蛋白質は陽極方向に移動し、ほぼ分子量によって分画することが可能である。最後に、Coomasie Brilliant Blueにより蛋白質を青色に着色を行った。
配位子2cについてSDS−PAGEを行った結果を図1に示す。図1中、aが分子量マーカー、bが還元前のユビキチン、c,dがTCEPによる還元後のユビキチン、e‐iが配位子2cである。還元前のユビキチンは、14400のマーカー付近に大きなスポットが現れている。これは、ユビキチンの分子量が8600程度であることを考えると、チオール基同士がS−S結合を形成したユビキチンの2量体であると考えられる。これをTCEPで還元したものについては二量体のスポットは消え、分子量6000付近のスポットのみとなったことから、すべてのS−S結合が還元され単量体となっていることが確認できた。さらに、配位子と結合した2cについても1つのスポットのみが確認され、分解物などは存在せずユビキチン連結配位子が得られたことが確かめられた。
(参考2)
続いて、錯体形成反応に用いる溶媒を決定するために、溶媒によるユビキチンのフォールディング構造への影響を調べた。蛋白質のフォールディング構造の情報は、H−NMRの測定により、シグナルが存在する化学シフト値の幅から読み取ることができる。フォールディング構造を維持している場合には、それぞれのプロトンの存在する環境が異なるため、アミドプロトンの化学シフト値が幅広い領域に観測される。一方、蛋白質が変性した場合には、ランダムコイル状になることによりアミドプロトンの観測される化学シフトの幅は狭くなることが知られている。
ユビキチンのH−NMRスペクトルを図2に示した。ユビキチンはHO中では安定なフォールディング構造をとることが知られているが、HO中でアミドプロトンは9.5ppm−7.0ppmの領域に観測された(図2(a))。一方、DMSO中でのスペクトルでは8.5ppm−7.0ppmにブロードなピークとして観測され、水中でのユビキチンの場合と比較してその領域は狭くなったといえる(図2(b))。ユビキチンを水とアセトニトリルの混合溶媒(HO/CDCN=1:1)に溶解させたところ、アミドプロトンは9.5ppm−7.0ppmに観測され、水中とほぼ同じ幅の領域に観測された(図2(c))。
以上の結果より、ユビキチンはDMSO中では変性が見られるのに対し、水とアセトニトリルの混合溶媒中では、フォールディング構造をほぼ維持していることが確認された。そこで、フォールディング構造を維持した状態でのユビキチンの内包を行うために、球状錯体の形成は水−アセトニトリルの混合溶媒を用いるのが好ましいことがわかった。
(実施例10)球状遷移金属錯体(3a)の製造
Figure 2008201734
配位子(1a)とユビキチン連結配位子(2a)、Pd(NOを23:1:12の比率で混合し、DO:CDCN=1:1(体積比)の混合溶媒中、45℃で3時間穏やかに攪拌することにより球状錯体(3a)の製造を行った。
これらの反応溶液についてのDOSY NMRを測定した。図3に、ユビキチン連結配位子(2a)のDOSYスペクトルと、錯体形成後のスペクトルを示した。
錯体形成後のスペクトルより、配位子骨格の拡散係数はlogD=−10.12に観測され、(1a)のみから形成する球状錯体の拡散係数(logD=−10.10)とほぼ等しいことより、直径6.3nmの球状錯体の形成が確認された。
一方、錯体形成前のユビキチン連結配位子(2a)の拡散係数はlogD=−10.08に観測された。錯体形成後のスペクトルからは、ユビキチンの拡散係数はlogD=−10.12となり、錯体形成前と比較してユビキチンの運動がわずかに緩慢になったことが分かった。注目すべき点として、ユビキチンの拡散係数が球状錯体の拡散係数とほぼ等しくなっており、球状錯体と同じ速度で運動していることが分かる。
(実施例11)球状遷移金属錯体(3b)の製造
Figure 2008201734
実施例10と同様にして、球状遷移金属錯体(3b)を製造し、反応溶液についてのDOSY NMRを測定した。図4に、ユビキチン連結配位子(2b)のDOSYスペクトルと、錯体形成後のスペクトルを示した。
錯体形成後、配位骨格に由来するシグナルの拡散係数が−10.26に観測されたことより、直径7.3nmの球状錯体の形成が確認できた。ユビキチン連結配位子(2b)については、錯体形成前の拡散係数はlogD=−10.08に観測された。
一方、球状錯体を形成することにより、ユビキチンの拡散係数はlogD=−10.26と大きく変化し、ユビキチンの運動が遅くなったことが分かる。ここでも、球状錯体形成後のユビキチンの拡散係数は、球状錯体の拡散係数とほぼ同じ値で観測され、球状錯体と同じ速度で運動していることが分かる。
以上の結果より、ユビキチンはそれぞれ直径6.3nm、7.3nmの球状錯体と同一の運動をしていることが強く示唆された。また、形成した球状錯体の拡散係数は、ユビキチンを導入していない球状錯体の拡散係数とほぼ同じであることから、ユビキチンは球状錯体の外側に存在するのではなく、球状錯体内に内包されていると考えられる。
ユビキチンを内包した球状錯体の分子モデルを図5に示した(図では外面のカチオン部位、内面のメチル基を省略して表示した)。それぞれ、6.3nm、7.3nmの球状錯体内にユビキチンが内包されているが、ともにユビキチンのサイズに対して十分な広さの空間を提供していることが分かる。
以下のDOSY NMRによる実験においても、球状錯体へのユビキチンの内包を支持する結果が得られた。
まず、配位子(1a)から直径7.3nmの球状錯体を形成した。この錯体に対し、配位子を連結していないユビキチンを添加し室温で攪拌後、DOSY NMRの測定を行った。その結果、添加したユビキチンの拡散係数は球状錯体と比較して大きな領域に観測され、ユビキチンは球状錯体よりもサイズが小さく、拡散運動が早いことが分かった。すなわち、溶液中にユビキチンと球状錯体が共存する場合において、これらの拡散係数は区別して観測されることが示された。これは、先の実験において球状錯体とユビキチンが同一の拡散係数で観測されたことは、ユビキチンが球状錯体内に内包されたと解釈できることを支持している。
(参考例3)
Figure 2008201734
配位子(1c)と配位子(2c)とPd(OTf)を23:1:12の比率で混合し、DO:CDCN=2:1(体積比)の溶媒中において45℃で3時間攪拌し、直径4.5nmの球状錯体を形成した。
得られた反応溶液についてH−NMR及びDOSY NMRの測定を行った。H−NMRにおいて8−10ppmの領域にlogD=−10.15の拡散係数で収束したシグナルが観測されたことより、M1224球状錯体の形成が確認できた。一方、ユビキチンの拡散係数はlogD=−10.20に観測されたことより、ユビキチンの運動は球状錯体よりも緩慢であることが分かる。すなわち、ユビキチンは球状錯体と別々に運動しており、球状錯体内には内包されていないことが示唆された。球状錯体内への内包か起こらなかったのは、直径4.5nmの球状錯体内にはユビキチンを内包できるだけの広い空間が存在していないためであると考えられる。
これらの結果より、内部空間の広さが十分でない4.5nmの錯体には、ユビキチンを内包することはできず、直径7.3nmおよび6.3nmの球状錯体には、ユビキチンを内包することができることがわかった。
配位子2cについてSDS−PAGEを行った結果を示す図である。 ユビキチンのH−NMRスペクト図である。(a)は、HO中で測定した図であり、(b)はDMSO中で測定した図であり、(c)は水とアセトニトリルの混合溶媒(HO/CDCN=1:1)中で測定した図である。 ユビキチン連結配位子(2a)のDOSYスペクトルと、錯体形成後のスペクトルを示す図である。 ユビキチン連結配位子(2b)のDOSYスペクトルと、錯体形成後のスペクトルを示す図である。 ユビキチンを内包した球状錯体の分子モデルを示す図である。(a)が中空の大きさが6.3nmの球状錯体内にユビキチンが内包されている場合、(b)が中空の大きさが7.3nmの球状錯体内にユビキチンが内包されている場合をそれぞれ示す。

Claims (10)

  1. 中空の殻を有する球状遷移金属錯体であって、前記中空の殻が、n個(nは、6〜60の整数を表す。)の遷移金属原子と、2n個の二座有機配位子とから形成されてなり、前記二座有機配位子の一つが、連結基を介して蛋白質が結合してなるものであり、かつ、前記蛋白質が中空の殻内部に配向するように形成されていることを特徴とする蛋白質内包球状遷移金属錯体。
  2. 前記nが、6、12、24、30または60であることを特徴とする請求項1に記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体。
  3. 遷移金属化合物(M)、連結基を介して蛋白質が結合してなる二座有機配位子(L1)、および二座有機配位子(L2)とから、前記蛋白質が中空の殻内部に配向するように自己組織的に形成された、式:ML2(2n-1)L1(nは前記と同じ意味を表し、複数のM同士、L2同士は、それぞれ同一であっても、相異なっていても良い。)で表される化合物であることを特徴とする請求項1または2に記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体。
  4. 前記遷移金属錯体を構成する遷移金属原子が、Ti、Fe、Co、Ni、Cu、Zn、Ru、Rh、Pd、Cd、Os、Ir及びPtからなる群から選ばれる一種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体。
  5. 前記二座有機配位子(L1)が、式(I)
    Figure 2008201734
    {式中、Xは、エチニレン基またはp−フェニレン基を表し、
    tは2〜6の整数を表し、複数のX同士は同一であっても相異なっていてもよい。
    、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
    m1、m2はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m1、m2が2以上のとき、複数のR同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていても良い。
    は、下記式(a−1)〜(a−4)
    Figure 2008201734
    〔式中、Rは、式:−Y−D−Pro(式中、Yは、単結合または2価の連結基を表し、Dは、O、S、NH、又はO−(C=O)を表し、D−Proは、Pro−DHで表される蛋白質のHを除いた部分を表す。)で表される基を表す。
    は、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミノアルキル基、または4級化アミノアルキル基を表す。
    m3は0〜3の整数を表し、m4は0〜2の整数を表す。m3が2以上のとき、またはm4が2のとき、複数個のR同士は同一であっても、相異なっていても良い。
    Qは、−Nr1−(r1は、水素原子、アルキル基、アリール基若しくはアシル基を表す。)、−O−、−C(=O)−、−S−、または−SO−を表す。〕で表される基の一種を示す。}で示される化合物であり、前記二座有機配位子(L2)が、式(II)
    Figure 2008201734
    {式中、Xおよびnは前記と同じ意味を表す。
    、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
    m5、m6はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m5、m6が2以上のとき、複数のR同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていても良い。
    は、下記式(a−5)〜(a−8)
    Figure 2008201734
    (式中、Qは前記と同じ意味を表す。
    は、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミノアルキル基、または4級化アミノアルキル基を表す。
    は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロアルキル基を表す。
    m7は0〜3の整数を表し、m8は0〜2の整数を表す。m7が2以上のとき、またはm8が2のとき、複数個のR同士は同一であっても、相異なっていても良い。)で表される基の一種を示す。}で示される化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体。
  6. 前記Yが、下記式
    Figure 2008201734
    (式中、m9は1〜10の整数を表す。)で表される基であることを特徴とする請求項5に記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体。
  7. 遷移金属化合物(M)と、前記式(I)で表される二座有機配位子(L1)および式(II)で表される二座有機配位子(L2)とを、遷移金属化合物(M)nモル(nは6〜60の整数を表す)に対し、二座有機配位子(L1)を1モル、二座有機配位子(L2)を(2n−1)モルの割合で反応させることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の蛋白質内包球状遷移金属錯体の製造方法。
  8. 式(I)
    Figure 2008201734
    {式中、Xは、エチニレン基またはp−フェニレン基を表し、
    n1は1〜6の整数を表し、n1が2以上のとき、複数のX同士は同一であっても相異なっていてもよい。
    、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
    m1、m2はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m1、m2が2以上のとき、複数のR同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていても良い。
    は、下記式(a−1)〜(a−4)
    Figure 2008201734
    〔式中、Rは、式:−Y−D−Pro(式中、Yは、単結合または2価の連結基を表し、Dは、O、S、NH、またはO−(C=O)を表し、D−Proは、Pro−DHで表される蛋白質のHを除いた部分を表す。)で表される基を表す。
    は、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミノアルキル基、または4級化アミノアルキル基を表す。
    m3は0〜3の整数を表し、m4は0〜2の整数を表す。m3が2以上のとき、またはm4が2のとき、複数個のR同士は同一であっても、相異なっていても良い。
    Qは、−Nr1−(r1は、水素原子、アルキル基、アリール基若しくはアシル基を表す。)、−O−、−C(=O)−、−S−、または−SO−を表す。〕で表される基の一種を示す。}で示される化合物。
  9. 前記Yが、下記式
    Figure 2008201734
    (式中、m9は1〜10の整数を表す。)で表される基であることを特徴とする請求項8に記載の化合物。
  10. 式(II)
    Figure 2008201734
    {式中、Xは、エチニレン基またはp−フェニレン基を表し、
    n1は1〜6の整数を表し、n1が2以上のとき、複数のX同士は同一であっても相異なっていてもよい。
    、Rはそれぞれ独立して、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基またはニトロ基を表す。
    m5、m6はそれぞれ独立して、0〜4の整数を表す。m5、m6が2以上のとき、複数のR同士、R同士はそれぞれ同一であっても、相異なっていても良い。
    は、下記式(a−5)〜(a−8)
    Figure 2008201734
    (式中、Qは前記と同じ意味を表す。
    は、ハロゲン原子、置換されていても良いアルキル基、置換されていても良いアルコキシル基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシル基、ヒドロキシアルキル基、カルボキシル基、カルボキシアルキル基、置換基を有していてもよいアミノ基、置換基を有していてもよいアミノアルキル基、または4級化アミノアルキル基を表す。
    は、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、またはハロアルキル基を表す。
    m10は1〜3の整数を表し、m11は1〜2の整数を表す。m10が2以上のとき、またはm11が2のとき、複数個のR同士は同一であっても、相異なっていても良い。)で表される基の一種を示す。}で示される化合物。
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