JP2003265519A

JP2003265519A - 吸収性物品

Info

Publication number: JP2003265519A
Application number: JP2002068924A
Authority: JP
Inventors: Yukio Kume; 幸夫久米; Masaya Fujita; 雅也藤田
Original assignee: Daio Paper Corp
Current assignee: Daio Paper Corp
Priority date: 2002-03-13
Filing date: 2002-03-13
Publication date: 2003-09-24
Anticipated expiration: 2022-03-13
Also published as: JP4124322B2

Abstract

(57)【要約】【課題】縦方向エンボス溝と幅方向エンボス溝とが形成
され、これらエンボス溝の底面に溝長手方向に沿って高
圧搾部と低圧搾部とが交互に配置された吸収性物品にお
いて、前記表面シートの浮きまたは破れを防止しなが
ら、前記縦方向エンボス溝および幅方向エンボス溝を形
成できるようにする。【解決手段】エンボス溝５，６を幅方向に横断する１本
の線を引いた場合に、この横断線が前記高圧搾部１２と
接触する部分の長さを横断線上において合計した長さを
もって「接触線長さ」と定義し、前記幅方向エンボス溝
６が存在する領域Ｈの接触線長さの最大値Ｓ_Ｈmaxと、
前記縦方向エンボス溝５が存在する領域Ｖの接触線長さ
の最大値Ｓ_Ｖmaxとの差が５mm以下となるように調整す
る。その調整は、主に前記幅方向エンボス溝６に形成さ
れる高圧搾部１２の間隔、幅および曲率の内のいずれか
又は組み合わせによって行う。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、経血やおりものな
どを吸収するための生理用ナプキン、パンティライナ
ー、失禁パッド等の吸収性物品、詳しくは表面側に略長
手方向に沿う方向に縦方向エンボス溝が形成されるとと
もに、略幅方向に沿う方向に平面視で円弧状の幅方向エ
ンボス溝が形成された吸収性物品に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来より、パンティライナー、生理用ナ
プキン、失禁パッドなどの吸収性物品として、ポリエチ
レンシートまたはポリエチレンシートラミネート不織布
などの不透液性裏面シートと、不織布または透液性プラ
スチックシートなどの透液性表面シートとの間に綿状パ
ルプ等からなる吸収体を介在したものが知られている。

【０００３】この種の吸収性物品にも幾多の改良が重ね
られ、体液漏れ等を防止するための手段が種々講じられ
ている。例えば、幅方向への体液の拡散を防止するとと
もに、吸収体のヨレを防止し、かつ吸収体中央部を隆起
させ局部への密着性を向上させるなどの目的で、表面側
に熱エンボスによってエンボス溝を形成する技術が存在
する。

【０００４】たとえば、本出願人による先の特願2000-3
14592号においては、図６に示されるように、生理用ナ
プキンＮの透液性表面シート面側に略長手方向に沿う方
向に長手方向中心線Ｓを跨いで左右一対の縦方向エンボ
ス溝５０，５０が形成されるとともに、略幅方向に沿う
方向に平面視で円弧状の幅方向エンボス溝５１，５１が
形成され、これら縦方向エンボス溝５０及び幅方向エン
ボス溝５１の底面に、図７に示されるように、溝長手方
向に沿って高圧搾部５３と低圧搾部５４とが交互に配置
されたものが示されている。

【０００５】前記エンボス溝５０，５１は、生理用ナプ
キンＮの製造過程において、吸収体と表面シートとを積
層させた状態で、所定温度に加熱された圧搾ロールと、
圧力を受け止めるアンビルロールとの間を通過させるこ
とによって、前記透液性表面シート側から前記圧搾ロー
ルの表面に形成されたエンボス溝用突部による圧搾によ
って形成される。この場合、前記圧搾ロールの表面に
は、前記縦方向エンボス溝用突部と幅方向エンボス溝用
突部とが形成され、前記圧搾ロールに一定の押圧力が加
えられた状態で、圧搾ロールが回転しながら、その母線
部分が順次生理用ナプキンＮと接触し、ナプキンＮの長
さ方向にエンボス溝が形成される。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】前述のように、従来の
エンボス加工においては、ナプキンの略長手方向に沿う
縦方向エンボス溝と、ナプキンの略幅方向に沿う幅方向
エンボス溝とが混在しているにも拘わらず、圧搾ロール
に一定の押圧力を作用させているため、エンボス溝のあ
る部分では圧力が高くなり、またある部分では圧力が小
さくなる。その結果、表面シートの一部に破れまたは浮
きが生じてしまうなどの問題があった。

【０００７】具体的に詳述すると、仮にエンボス溝を幅
方向に横断する１本の線を引いた場合に、その横断線は
“高圧搾部と接触する部分”と“低圧搾部と接触する部
分”とに分かれるが、その内、前記“高圧搾部と接触す
る部分”のみの長さを前記１本の横断線上において合計
した長さを「接触線長さ」と定義した場合、ナプキン表
面に形成された縦方向エンボス溝部分と幅方向エンボス
溝部分とでは、幅方向エンボス溝部分における接触線長
さが極端に長くなる。しかし、前記圧搾ロールに作用さ
せる押圧力は一定であるから、前記接触線長さの長い幅
方向エンボス溝部分では線圧（圧力）が小さくなり、接
触線長さの短い縦方向エンボス溝部分では線圧が大きく
なる。したがって、前記縦方向エンボス溝側に適した圧
力になるように圧搾ロールの押圧力を設定すると、幅方
向エンボス溝部では線圧が足らず、表面シートに浮きが
生じることになる。逆に、幅方向エンボス側に適した圧
力になるように圧搾ロールの押圧力を設定すると、縦方
向エンボス溝部では線圧が大きく成り過ぎて表面シート
に破れが生じることになる。

【０００８】本発明者等が行った試験に基づいて更に詳
述すると、図８(A)は、試験に供したナプキンの縦方向
エンボス溝５０及び幅方向エンボス溝５１の形成パター
ン図であり、図８(B)はそのエンボスパターンに対応す
る接触線長さの測定結果グラフである。

【０００９】図８(B)に示されるように、縦方向エンボ
ス溝５０の接触線長さの最大値は１．８mm前後で安定し
て推移しているが、幅方向エンボス溝５１の接触線長さ
の最大値は９．４mmまで達し、エンボス溝加工の始めと
終わりの幅方向エンボス領域Ｈ部分で接触線長さが極端
に長くなっていることが分かる。圧搾ロールの押圧力を
Ｗ＝1,178kgfと設定し、前記エンボスパターンの接触線
長さが最大となる位置での線圧を求めたところ、縦方向
エンボス溝５０部分では654kgf/mmとなるのに対し、幅
方向エンボス溝５１部分では125kgf/mmとなり、約500kg
f/mmの差が生じてしまうことになる。実際に、エンボス
加工を行った後、エンボス溝部の表面状態を目視観察す
ると、縦方向エンボス溝５０部分では表面シートの破
れ、浮き共に無く綺麗に加工されているのに対し、幅方
向エンボス溝５１部分では線圧が足らないため、表面シ
ートの一部に浮きが生じ、高圧搾部５３の跡が確認でき
ず、非常に見栄えの悪いものであった。

【００１０】そこで本発明の主たる課題は、透液性表面
シート面側に略長手方向に沿う方向に長手方向中心線を
跨いで左右一対の縦方向エンボス溝が形成されるととも
に、略幅方向に沿う方向に平面視で円弧状の幅方向エン
ボス溝が形成され、これら縦方向エンボス溝及び幅方向
エンボス溝の底面に溝長手方向に沿って高圧搾部と低圧
搾部とが交互に配置された吸収性物品において、前記表
面シートの浮きまたは破れを防止しながら、前記縦方向
エンボス溝および幅方向エンボス溝を形成できるように
することにある。

【００１１】

【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に請求項１に係る本発明として、透液性表面シートと、
不透液性裏面シートとの間に吸収体が介在され、前記透
液性表面シート面側に略長手方向に沿う縦方向エンボス
溝が形成されるとともに、略幅方向に沿う幅方向エンボ
ス溝が形成され、これら縦方向エンボス溝及び幅方向エ
ンボス溝の底面に溝長手方向に沿って高圧搾部と低圧搾
部とが交互に配置された吸収性物品において、前記エン
ボス溝を幅方向に横断する１本の線を引いた場合に、こ
の横断線が前記高圧搾部と接触する部分の長さを横断線
上において合計した長さをもって「接触線長さ」と定義
し、前記幅方向エンボス溝が存在する領域の接触線長さ
の最大値と、前記縦方向エンボス溝が存在する領域の接
触線長さの最大値との差が５mm以下であることを特徴と
する吸収性物品が提供される。

【００１２】また、請求項２に係る本発明として、透液
性表面シートと、不透液性裏面シートとの間に吸収体が
介在され、前記透液性表面シート面側に略長手方向に沿
う方向に長手方向中心線を跨いで左右一対の縦方向エン
ボス溝が形成されるとともに、略幅方向に沿う方向に平
面視で円弧状の幅方向エンボス溝が形成され、これら縦
方向エンボス溝及び幅方向エンボス溝の底面に溝長手方
向に沿って高圧搾部と低圧搾部とが交互に配置された吸
収性物品において、前記エンボス溝を幅方向に横断する
１本の線を引いた場合に、この横断線が前記高圧搾部と
接触する部分の長さを横断線上において合計した長さを
もって「接触線長さ」と定義し、前記幅方向エンボス溝
が存在する領域の接触線長さの最大値と、前記縦方向エ
ンボス溝が存在する領域の接触線長さの最大値との差が
５mm以下であることを特徴とする吸収性物品が提供され
る。

【００１３】更に請求項３に係る本発明として、前記幅
方向エンボス溝において、前記接触線長さは、高圧搾部
の間隔、高圧搾部の幅および曲率の内のいずれか又は組
み合わせによって調整されている請求項１、２いずれか
に記載の吸収性物品が提供される。

【００１４】上記請求項１〜３記載の発明においては、
幅方向エンボス溝が存在する領域の接触線長さの最大値
と、前記縦方向エンボス溝が存在する領域の接触線長さ
の最大値との差が５mm以下となるように調整してある。
従って、圧搾ロールの押圧力を一定としてエンボス加工
を行った場合でも、縦方向エンボス溝部分と幅方向エン
ボス溝部分とにおける極端な圧力（線圧）の違いを緩和
することができ、表面シートの浮きや破れを防止しなが
ら、縦方向エンボス溝および幅方向エンボス溝を形成で
きるようになる。なお、図８(A)のエンボスパターン例
のように、幅方向エンボス溝が存在する領域と縦方向エ
ンボス溝が存在する領域とが長手方向に一部重なり合う
場合、前記縦方向エンボス溝が存在する領域の接触線長
さの最大値は、前記重なり部分を除き、縦方向エンボス
溝のみが存在する領域の接触線長さの最大値とする。ま
た、前記縦方向エンボス溝と幅方向エンボス溝とが連続
し、全体として長円形、瓢箪形等を成している場合に
は、便宜的に縦方向エンボス領域と幅方向エンボス領域
とに区切り、それぞれの領域の接触線長さの最大値を求
めるようにする。

【００１５】具体的態様に係る請求項４の発明として、
前記幅方向エンボス溝の高圧搾部は、縦方向中心線から
外方に向かうに従って、高圧搾部の間隔を狭くしてある
請求項１〜３いずれかに記載の吸収性物品が提供され
る。

【００１６】具体的態様に係る請求項５の発明として、
前記幅方向エンボス溝の高圧搾部は、縦方向中心線から
外方に向かうに従って、高圧搾部の幅を大きくしてある
請求項１〜３いずれかに記載の吸収性物品が提供され
る。

【００１７】請求項６に係る本発明として、前記幅方向
エンボス溝が存在する領域の接触線長さの最大値が４．
５〜１０mmである請求項１〜５いずれかに記載の吸収性
物品が提供される。

【００１８】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照しながら詳述する。図１は本発明に係る生
理用ナプキン１の斜視図、図２は図１のＡ部拡大平面
図、図３は図２のIII−III線矢視図である。

【００１９】生理用ナプキン１は、不透液性裏面シート
２と、透液性表面シート３（以下、単に表面シートい
う。）との間に、クレープ紙によって囲繞された吸収体
４が介在された構造となっている。前記吸収体４の周囲
においては、前記不透液性裏面シート２と透液性表面シ
ート３とがホットメルト接着剤等の接着手段によって接
合されている。

【００２０】前記表面シート３としては、有孔または無
孔の不織布や多孔性プラスチックシートなどが好適に用
いられる。不織布を構成する素材繊維としては、例えば
ポリエチレンまたはポリプロピレン等のオレフィン系、
ポリエステル系、ポリアミド系等の合成繊維の他、レー
ヨンやキュプラ等の再生繊維、綿等の天然繊維とするこ
とができる。

【００２１】前記生理用ナプキン１の表面シート面側
に、該表面シート３と吸収体４とを一体化しズレを防止
するとともに、吸収体４の排血部位を隆起させて局部と
の密着性を向上させる。更には経血の横／縦漏れを防止
するなどの目的で、略長手方向に沿う方向に長手方向中
心線Ｓを跨いで左右一対の縦方向エンボス溝５，５と、
ナプキン前後部にそれぞれ略幅方向に沿って幅方向エン
ボス溝６，６とが形成されている。前記縦方向エンボス
溝５，５は平面視で長手方向中心線Ｓ側に向けて膨出す
る円弧状に形成され、前記幅方向エンボス溝６，６は平
面視で外側に向けて膨出する円弧形状に形成されてい
る。

【００２２】前記エンボス溝５、６は共に、図２に示さ
れるように、相対的に強く圧搾され厚みの薄い高圧搾部
１２と、相対的に弱く圧搾され厚みの厚い低圧搾部１４
とが溝の長手方向に交互に配置された構造となってい
る。前記エンボス溝５、６の断面形状は、エンボス溝
５、６の付与前における仮想ナプキン形状線Ｋを基準と
して、前記エンボス溝５、６部位のナプキン厚をＡとし
た場合、前記高圧搾部１２部位の厚みＣ＝０．０３〜
０．６×Ａ、好ましくは０．０５〜０．３×Ａとし、前
記低圧搾部１４部位の厚みＢ＝０．０５〜０．７×Ａ、
好ましくは０．０７〜０．４×Ａとし、かつ低圧搾部１
４部位の厚みＢ＞高圧搾部１２部位の厚みＣとする。ま
た、前記低圧搾部１４と高圧搾部１２との差（Ｂ−Ｃ）
は、０．０２〜２mm、好ましくは０．１〜１．０mmとす
るのが望ましい。なお、図示されるナプキン例では、吸
収体４は局部への密着性を良好とするため、吸収体中央
部を積繊量の増大、吸収体の積層などによって周囲より
も中高に形成してある。また、前記エンボス溝５、６の
底面幅Ｌは、１〜８mm、好ましくは２〜６mmとするのが
望ましく、前記高圧搾部１２の幅は０．５〜６mm、好ま
しくは１〜４mmとするのが望ましい。

【００２３】前記エンボス溝５、６は、図４に示される
ように、生理用ナプキン１の製造過程において、吸収体
４と表面シート３とを積層させた状態で圧搾溝成形装置
２０を通過させることにより成形される。

【００２４】前記圧搾溝成形装置２０は、エンボス溝形
成突部２２、２２…を周面に有する圧搾ロール２１と、
圧力を受け止めるアンビルロール２３とからなる装置
で、前記生理用ナプキン１を前記圧搾ロール２１とアン
ビルロール２３との狭空間を通過させることにより、前
記溝形成用突部２２が表面シート３側から該表面シート
３と共に吸収体４を圧搾しエンボス溝５、６が形成され
る。前記圧搾ロール２１の温度は、表面シート３の融点
および圧搾時間を考慮すると、５０〜２００℃の範囲と
するのが望ましい。この場合、前記表面シート３と吸収
体４との間にホットメルト接着剤を介在させるように
し、加熱下で圧搾した際、前記ホットメルト接着剤の接
着力により圧搾形状を安定させたり、吸収体４内に熱融
着性繊維を混入しておき、加熱下で圧搾した際、熱によ
って前記熱融着性繊維の接着を促し、圧搾形状を安定化
させたりすることができる。

【００２５】かかるエンボス加工時において、縦方向エ
ンボス領域Ｖと、幅方向エンボス領域Ｈとにおいて、前
述した「接触線長さ」が極端に異なることによって表面
シート３に浮きや破れが生じないようにするため、本発
明では前記幅方向エンボス溝６，６が存在する領域Ｈの
接触線長さの最大値Ｓ_Ｈmaxと、前記縦方向エンボス溝
５，５が存在する領域Ｖの接触線長さの接触線長さの最
大値Ｓ_Ｖmaxとの差が５mm以下、好ましくは４mm以下、
より好ましくは３mm以下となるように、主に前記幅方向
エンボス溝６，６側において高圧搾部１２の付与パター
ンを調整する。具体的には、高圧搾部１２の間隔、高圧
搾部１２の幅および曲率の内のいずれか又は組み合わせ
によって前記接触線長さを調整するようにする。前記縦
方向エンボス領域Ｖと幅方向エンボス領域Ｈとの接触線
長さの最大値の差を５mm以内にすることにより、溝幅等
にもよるが、縦方向エンボス溝５と幅方向エンボス幅６
との圧力の変動幅を概ね５０％以内、好ましくは４５％
以内に抑えることができ、表面シート３の浮きや破れな
どを防止できるようになる。この場合、前記幅方向エン
ボス溝６が存在する領域Ｈの接触線長さの最大値は４．
５〜１０mmとするのが望ましい。縦方向エンボス領域Ｖ
における接触線長さは縦方向エンボス溝５の溝幅等の制
限から大きくすることが難しいため、幅方向エンボス領
域Ｈにおける接触線長さが１０mmを超える場合には、前
記縦方向エンボス溝領域Ｖと幅方向エンボス溝領域Ｈと
の接触線長さの最大値の差を５mm以内にすることが困難
となる。

【００２６】具体的に図２に示される例では、幅方向エ
ンボス溝６の高圧搾部１２、１２…は、縦方向中心線Ｓ
から外方に向かうに従って、高圧搾部１２の間隔Ｐ_１〜
Ｐ_５を順次狭くすることにより、幅方向エンボス領域Ｈ
における接触線長さの最大値Ｓ_Ｈmaxと、前記縦方向エ
ンボス領域Ｖにおける接触線長さの最大値Ｓ_Ｖmaxとの
差が５mm以下となるように調整している。

【００２７】上記幅方向エンボス領域Ｈにおける接触線
長さと、前記縦方向エンボス領域Ｖにおける接触線長さ
との差を調整する他の方法としては、例えば図５(A)に
示されるように、縦方向中心線Ｓから外方に向かうに従
って、高圧搾部１２の幅を大きくすることにより、換言
すれば幅方向エンボス６の接線が幅方向となる領域、す
なわち接触線長さが最大となる領域の高圧搾部幅を小さ
くすることにより接触線長さを調整する方法や、図５
(B)(C)に示されるように、幅方向エンボス領域Ｈにおけ
る接触線長さの最大値Ｓ_Ｈmaxと、前記縦方向エンボス
領域Ｖにおける接触線長さの最大値Ｓ_Ｖmaxとの差が５m
m以下となるように高圧搾幅１２の間隔を決定する方法
や、図５(D)に示されるように、幅方向エンボス６の円
弧の曲率半径を小さくすることにより、幅方向エンボス
６の接線が幅方向となる近傍領域において接触線長さが
小さくなるように調整する方法などを挙げることができ
る。

【００２８】ところで、上記例では高圧搾部１２はすべ
てナプキン長手方向に沿って形成するようにしたが、溝
長手方向線に対して垂線方向に形成してもよいし、傾斜
方向に形成してもよい。

【００２９】

【実施例】３５g/m²のポリエチレン／エチレン酢酸ビニ
ル共重合体フィルムを表面シートとし、３５g/m²のポリ
エチレンフィルムを裏面シートとし、クレープ紙で囲繞
したパルプ300g/m²の吸収体とにより生理用ナプキンを
作成し、この生理用ナプキンの表面側に、圧搾ロールに
よる圧搾（押圧力＝1、178kgf)により、接触線長さの最
大値Ｓ_Ｖmaxが３．３mmの縦方向エンボス溝５，５を形
成するとともに、高圧搾部１２のパターンを変えた幅方
向エンボス溝６，６を形成し、幅方向エンボス領域Ｈの
接触線長さの最大値Ｓ_Ｈmax、前記縦方向エンボス領域
Ｖと幅方向エンボス領域Ｈとの接触線長さの差を求める
とともに、表面シートの破れや浮きを目視確認し、かつ
液拡散性について官能評価を行った。前記液拡散性評価
は、左右のエンボス溝から等距離にある中央部に、３cc
の人工血液を１秒間で注入し３分間放置した後、２０名
のモニターに外観が良いか悪いかの２段階評価をしても
らい、良いと答えた人数で評価した。

【００３０】

【表１】

【００３１】表１より、縦方向エンボス領域Ｖと幅方向
エンボス領域Ｈとの接触線長さの差を５mm以内とした実
施例１〜５については、表面材の破れや浮きが無く、エ
ンボス加工が良好に行えていることが分かる。但し、実
施例４については高圧搾部１２の間隔を空け過ぎたた
め、液拡散性については低い評価となっている。

【００３２】

【発明の効果】以上詳説のとおり本発明によれば、透液
性表面シート面側に略長手方向に沿う方向に長手方向中
心線を跨いで左右一対の縦方向エンボス溝が形成される
とともに、略幅方向に沿う方向に平面視で円弧状の幅方
向エンボス溝が形成され、これら縦方向エンボス溝及び
幅方向エンボス溝の底面に溝長手方向に沿って高圧搾部
と低圧搾部とが交互に配置された吸収性物品において、
前記表面シートの浮きまたは破れを防止しながら、前記
縦方向エンボス溝および幅方向エンボス溝を形成するこ
とができるようになる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る生理用ナプキン１の斜視図であ
る。

【図２】図１のＡ部拡大平面図である。

【図３】図２のIII−III線矢視図である。

【図４】エンボス溝５，６の形成要領図である。

【図５】(A)〜(D)は幅方向エンボス溝６の他の形成態様
図である。

【図６】従来のエンボス溝５０，５１を形成した生理用
ナプキンＮの平面図である。

【図７】エンボス溝５０（５１）の拡大斜視図である。

【図８】(A)は、試験に供したナプキンの縦方向エンボ
ス溝５０及び幅方向エンボス溝５１の形成パターン図で
あり、(B)はそのエンボスパターンに対応する接触線長
さの測定結果グラフである。

【符号の説明】

１…生理用ナプキン、２…不透液性裏面シート、３…透
液性表面シート、４…吸収体、５…縦方向エンボス溝、
６…幅方向エンボス溝、１２…高圧搾部、１４…低圧搾
部

Claims

【特許請求の範囲】

【請求項１】透液性表面シートと、不透液性裏面シート
との間に吸収体が介在され、前記透液性表面シート面側
に略長手方向に沿う縦方向エンボス溝が形成されるとと
もに、略幅方向に沿う幅方向エンボス溝が形成され、こ
れら縦方向エンボス溝及び幅方向エンボス溝の底面に溝
長手方向に沿って高圧搾部と低圧搾部とが交互に配置さ
れた吸収性物品において、前記エンボス溝を幅方向に横断する１本の線を引いた場
合に、この横断線が前記高圧搾部と接触する部分の長さ
を横断線上において合計した長さをもって「接触線長
さ」と定義し、前記幅方向エンボス溝が存在する領域の接触線長さの最
大値と、前記縦方向エンボス溝が存在する領域の接触線
長さの最大値との差が５mm以下であることを特徴とする
吸収性物品。
【請求項２】透液性表面シートと、不透液性裏面シート
との間に吸収体が介在され、前記透液性表面シート面側
に略長手方向に沿う方向に長手方向中心線を跨いで左右
一対の縦方向エンボス溝が形成されるとともに、略幅方
向に沿う方向に平面視で円弧状の幅方向エンボス溝が形
成され、これら縦方向エンボス溝及び幅方向エンボス溝
の底面に溝長手方向に沿って高圧搾部と低圧搾部とが交
互に配置された吸収性物品において、前記エンボス溝を幅方向に横断する１本の線を引いた場
合に、この横断線が前記高圧搾部と接触する部分の長さ
を横断線上において合計した長さをもって「接触線長
さ」と定義し、前記幅方向エンボス溝が存在する領域の接触線長さの最
大値と、前記縦方向エンボス溝が存在する領域の接触線
長さの最大値との差が５mm以下であることを特徴とする
吸収性物品。
【請求項３】前記幅方向エンボス溝において、前記接触
線長さは、高圧搾部の間隔、高圧搾部の幅および曲率の
内のいずれか又は組み合わせによって調整されている請
求項１、２記載の吸収性物品。
【請求項４】前記幅方向エンボス溝の高圧搾部は、縦方
向中心線から外方に向かうに従って、高圧搾部の間隔を
狭くしてある請求項１〜３いずれかに記載の吸収性物
品。
【請求項５】前記幅方向エンボス溝の高圧搾部は、縦方
向中心線から外方に向かうに従って、高圧搾部の幅を大
きくしてある請求項１〜３いずれかに記載の吸収性物
品。
【請求項６】前記幅方向エンボス溝が存在する領域の接
触線長さの最大値が４．５〜１０mmである請求項１〜５
いずれかに記載の吸収性物品。