JP2003263724A - 磁気記録媒体 - Google Patents

磁気記録媒体

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JP2003263724A
JP2003263724A JP2002066608A JP2002066608A JP2003263724A JP 2003263724 A JP2003263724 A JP 2003263724A JP 2002066608 A JP2002066608 A JP 2002066608A JP 2002066608 A JP2002066608 A JP 2002066608A JP 2003263724 A JP2003263724 A JP 2003263724A
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JP2002066608A
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Hiroyuki Hirai
博幸 平井
Koji Hattori
康志 服部
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Fujifilm Holdings Corp
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 支持体とナノ粒子層との密着性を改良し、か
つ、支持体からの不純物拡散を阻止し変態温度を上昇さ
せることなく硬磁性規則合金を形成した高密度の磁気記
録媒体を提供する。 【解決手段】 支持体上に、金属アルコキシド化合物、
金属フェノキシド化合物、及びカップリング剤からなる
群より選択される少なくとも1種を含有する非磁性層
と、CuAu型又はCu3Au型硬磁性規則からなるナ
ノ粒子層とをこの順に有する磁気記録媒体である。

Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、磁気記録媒体に関
し、特に磁性層としてナノ粒子層を有する磁気記録媒体
に関する。 【0002】 【従来の技術】粒子サイズを小さくすることは磁気記録
密度を高くする上で必要である。例えば、ビデオテー
プ、コンピューターテープ、ディスク等として広く用い
られている磁気記録媒体では、強磁性体の質量が同じ場
合、粒子サイズを小さくした方がノイズは下がる。Cu
Au型あるいはCu3Au型硬磁性規則合金は、規則化
時に発生する歪みのために結晶磁気異方性が大きく、粒
子サイズを小さくしても硬磁性を示すことから磁気記録
密度向上に有望な素材である。 【0003】CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規
則合金を形成する合金組成のナノ粒子は、液相法あるい
は気相法で合成した直後は不規則相で軟磁性あるいは常
磁性であり、この状態では磁気記録媒体に用いることが
できない。規則合金相を得るためには500℃程度の温
度でアニールする必要がある。この温度でアニールした
場合、支持体から不純物が拡散し相変態を阻害すること
が問題となる。さらに、特に有機物の支持体を使用する
場合、支持体と規則合金層(ナノ粒子層)との密着性が
悪いという問題もある。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】本発明は以上の従来の
問題点に鑑みなされたものであり以下の目的を達成する
ことを課題とする。即ち、本発明の目的は、支持体から
の不純物が、CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規
則合金からなるナノ粒子を含有するナノ粒子層へ拡散す
るのを阻止し、変態温度を上昇させることなくナノ粒子
層を形成できるとともに、該ナノ粒子層の密着性が高い
磁気記録媒体を提供することにある。 【0005】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決する手段
は以下の通りである。即ち、支持体上に、金属アルコキ
シド化合物、金属フェノキシド化合物、及びカップリン
グ剤からなる群より選択される少なくとも1種を含有す
る非磁性層と、CuAu型又はCu3Au型硬磁性規則
合金からなるナノ粒子を含有するナノ粒子層とをこの順
に有することを特徴とする磁気記録媒体である。 【0006】金属アルコキシド化合物、金属フェノキシ
ド化合物、及びカップリング剤は、下記一般式〔I〕で
表わされる化合物が好ましい。 一般式〔I〕 M−(R)n [一般式〔I〕において、Mは3価ないし5価の原子価
を有する金属を表わし、nは金属の原子価に相当する整
数を表わす。Rは同じでも異なっていてもよく、その中
の少なくとも1つはアルコキシ基またはフェノキシ基を
表わす。] 【0007】 【発明の実施の形態】以下、本発明の磁気記録媒体の実
施の形態について説明する。本発明で用いる金属アルコ
キシド化合物または金属フェノキシド化合物は、無機質
と結合する反応基を分子中に2つ以上有しているもので
ある。本発明で用いるカップリング剤は、分子中に反応
基を2つ以上有し、その中の少なくとも一つが無機質と
結合し、残りの少なくとも一つが有機質と結合すること
により、無機質と有機質の橋かけを行なうものである。
以下、金属アルコキシド化合物、金属フェノキシド化合
物、及びカップリング剤をまとめて「本発明に係る化合
物」と呼ぶ。 【0008】本発明に係る化合物は、下記一般式〔I〕
で表わされる化合物が好ましい。 一般式〔I〕 M−(R)n 一般式〔I〕において、Mは3価ないし5価の原子価を
有する金属を表わし、nは金属の原子価に相当する整数
を表わす。Rは同じであっても異なっていてもよく、そ
の中の少なくとも1つはアルコキシ基またはフェノキシ
基を表わす。 【0009】Mは3価ないし5価の原子価を有する金属
を表わすが、該金属としては、IIIA族、IIIB
族、IVA族、IVB族、VA族、VB族から選ばれ
る。好ましい金属としては、Si、Ge、Sn、Pb、
Ti、V、Al、Ga、In、Sb、Biである。 【0010】Rで表わされるアルコキシ基としては、炭
素数が8以下のものが望ましく、メトキシ基、エトキシ
基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキ
シ基、n−ブトキシ基などが挙げられ、化合物中の複数
のアルコキシ基は同じでも異なってもよい。また、アル
コキシ基やフェノキシ基はさらに置換基を有していても
よい。Rで表わされる残りの置換基としては任意のもの
でよいが、好ましくは末端に吸着性の基を有する炭素数
が8以下のものである。吸着性の基としては、−SH、
−CN、−NH2、−SO2OH、−SOOH、−OPO
(OH)2、−COOH等が挙げられる。 【0011】以下に、本発明に係る化合物の具体例を列
挙するが、本発明はこれらの化合物に限定されるもので
はない。テトラエトキシオルソシラン、N−(2−アミ
ノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラ
ン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルト
リメトキシシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニ
ルシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−ア
ミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシ
シリルプロピル)アミン、(p−クロロメチル)フェニ
ルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)
トリメトキシシラン、チタニウムジクロライドジエトキ
シド、テトラエトキシチタン、テトラ−n−ブトキシゲ
ルマン、3−メルカプトプロピルトリエトキシゲルマ
ン、3−メタクリルオキシプロピルトリエトキシゲルマ
ン、アミノフェニルアルミニウムジメトキシド、3−ア
ミノプロピルゲルマニウムジエトキシド、アミノプロピ
ルインジウムジメトキシエトキシド、テトライソプロポ
キシスズ−イソプロパノール付加物、3−グリシドキシ
プロピルトリエトキシスズ、3−メタクリルオキシプロ
ピルトリt−ブトキシスズ、N−(2−アミノエチル)
−3−アミノプロピルメチルジメトキシスズ、ビニル−
トリス(2−エトキシメトキシ)鉛(IV)、3−メタ
クリルオキシプロピルテトラメトキシアンチモン
(V)、3−メルカプトプロピルビスマス(III)ジ
t−ペントキシド、3−アミノプロピルバナジウムジブ
トキシドオキシド、アミノプロピルインジウムジメトキ
シエトキシド、などである。 【0012】本発明に係る化合物を、水とアルコール類
との混合溶媒に溶解し塗布液を調製する。そして、この
塗布液を支持体上に塗布し非磁性層を形成する。該塗布
液中には必要に応じてpH調整剤やバインダーを含有し
てもよい。本発明に係る化合物の塗布量は任意に設定で
きるが、好ましくは0.1〜10g/m2である。本発
明に係る化合物は、アルコキシ基またはフェノキシ基の
加水分解および脱水縮合により支持体表面を金属化合物
が強く被覆し、同時にその上に塗布されるナノ粒子にも
吸着する。そのため、ナノ粒子層の密着性が高い。 【0013】本発明に用いるCuAu型あるいはCu3
Au型合金の硬磁性ナノ粒子を形成するには、気相法、
液相法、その他公知のナノ粒子形成法を採用することが
できる。量産性に優れる液相法が方法としては好まし
い。液相法における溶媒は有機溶剤でも水でもよく、ま
た有機溶剤と水の混合液を用いてもよい。 【0014】CuAu型あるいはCu3Au型合金を形
成し得る金属ナノ粒子の液相法による製造法としては、
沈殿法で分けると、1級アルコールを用いるアルコー
ル還元法、2級、3級、2価または3価のアルコール
を用いるポリオール還元法、熱分解法、超音波分解
法、強力還元剤還元法などがあり、反応系で分ける
と、高分子存在法、高沸点溶媒法、正常ミセル
法、逆ミセル法などがありいずれも本発明に適用する
ことができる。 【0015】CuAu型強磁性規則合金としては、Fe
Ni、FePd、FePt、CoPt等が挙げられ、な
かでもFePd、FePt、CoPtであることが好ま
しい。FePtが最も磁気異方性定数が大きいことから
最も好ましい素材である。Cu3Au型強磁性規則合金
としては、Ni3Fe、FePd3、Fe3Pt、FeP
3、CoPt3、Ni3Pt、CrPt3、Ni3Mnが
挙げられ、なかでもFePd3、FePt3、CoP
3、Fe3Pd、Fe3Pt、Co3Ptを使用すること
が好ましい。 【0016】本発明において、合金の合成に使用する金
属塩としては、H2PtCl6、K2PtCl4、Pt(C
3COCHCOCH32、Na2PdCl4、Pd(O
COCH32、PdCl2、Pd(CH3COCHCOC
32、HAuCl4、Fe2(SO43、Fe(N
33、(NH43Fe(C243、Fe(CH3CO
CHCOCH33、NiSO4、CoCl2、Co(OC
OCH32などの金属塩を溶媒に溶解して反応に用いる
ことができる。溶液の濃度は0.1〜1000μmol
/mlが好ましく、より好ましくは1〜100μmol
/mlである。 【0017】本発明で用いる還元剤としては、アルコー
ル類、ポリアルコール類、H2、HCHO、S26 2-
2PO2 -、BH4 -、N25 +、H2PO3 -などを含む化
合物を単独または併用で用いることができる。 【0018】硬磁性ナノ粒子合成後に溶液から塩類を除
くことは、粒子の分散安定性を向上させる意味から好ま
しい。脱塩にはアルコールを過剰に加え、軽凝集を起こ
し、自然沈降あるいは遠心沈降させ塩類を上澄みと共に
除去する方法があるが、これらの方法では凝集が生じや
すいため、本発明においては限外濾過法を採用すること
が好ましい。 【0019】形成した金属ナノ粒子は不規則相であり、
規則相を得るためにアニールする必要がある。アニール
は粒子の融着防止のため塗布後基板上で行うことが望ま
しい。アニール温度は示差熱分析(DTA)を用い規則
不規則変態温度を求め、その温度より上の温度で行うこ
とが必要である。変態温度は元素組成によって、また、
第三元素の導入によって変化する。有機物支持体を用い
る場合は、支持体の耐熱温度以下の変態温度を有する金
属ナノ粒子を用いるか、パルスレーザによるナノ粒子層
のみのアニールが有効である。 【0020】硬磁性規則合金への変態温度を下げるため
に、2元系合金に加える第三元素としてはSb、Pb、
Bi、Cu、Ag、Zn等が挙げられる。添加量として
は1〜30at%が好ましく、より好ましくは5〜20
at%である。 【0021】金属ナノ粒子をアニールして得られる硬磁
性ナノ粒子の保磁力は95.5〜636.8kA/m
(1200〜8000Oe)が好ましく、磁気記録媒体
として、記録ヘッドが対応できるという観点から95.
5〜398kA/m(1200〜5000Oe)が好ま
しい。 【0022】金属ナノ粒子の粒径は1〜20nmが好ま
しく、より好ましくは3〜10nmである。磁気記録媒
体として用いるには金属ナノ粒子を最密充填することが
記録容量を高くする上で好ましく、そのためには、本発
明に係る金属ナノ粒子の変動係数は10%未満が好まし
く、より好ましくは5%以下である。構成元素によって
最小安定粒径が異なるが、粒子サイズが小さすぎると、
熱ゆらぎのため超常磁性となり好ましくない。 【0023】本発明において、金属ナノ粒子の粒径評価
には透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることができ
る。アニールにより硬磁性化した金属ナノ粒子の結晶系
を決めるにはTEMによる電子線回折でもよいが、精度
高く行うにはX線回折を用いた方がよい。硬磁性化した
金属ナノ粒子の内部の組成分析には電子線を細く絞るこ
とができるFE―TEMにEDAXを付け評価すること
が好ましい.硬磁性化した金属ナノ粒子の磁気的性質の
評価はVSMを用いて行うことができる。 【0024】本発明における硬磁性化した金属ナノ粒子
はビデオテープ、コンピュータテープ、フロッピー
(R)ディスク、ハードディスクに好ましく用いること
ができる。また、MRAMへの適用も好ましい。 【0025】以下、硬磁性化した金属ナノ粒子を好まし
く用いることができる本発明の磁気記録媒体の作製方法
を述べ、該作製方法を通じて本発明の磁気記録媒体につ
いて詳述する。本発明の磁気記録媒体は、前記本発明に
係る化合物を含有する液を塗布して形成した非磁性層の
上に、硬磁性ナノ粒子分散液を塗布してなるナノ粒子層
を有し、必要に応じて他の層を有してなる。即ち、本発
明の磁気記録媒体は、非磁性支持体(基板)表面に、少
なくともカップリング反応生成物を含有する非磁性層を
有し、その上に硬磁性ナノ粒子を含有するナノ粒子層を
有している。このように、支持体とナノ粒子層との間に
非磁性層を有する構成により、支持体からの不純物の拡
散を阻止することができるとともに、ナノ粒子層の密着
性の向上を図ることができる。また、支持体に起因する
微小突起を緩和することもできる。 【0026】前記非磁性層の層厚としては、好ましくは
乾燥後の層厚が1nm〜10μmの範囲内、より好まし
くは10nm〜1μmになるように塗布して形成する。
非磁性層の層厚を1nm〜10μmの範囲内とすること
により、面あれを生ずることなく、本発明の効果を発揮
することができる。 【0027】ディスクでは支持体の反対側の前にも同様
に非磁性層、ナノ粒子層、必要に応じ他の層を設けるこ
とができる。テープの場合、ナノ粒子層と反対側の支持
体面上にはバック層を設けることが好ましい。ナノ粒子
層は電磁変換特性を改善するため、重層構成にしてもよ
い。また、さらに非磁性下地層や中間層を有していても
よい。 【0028】本発明の磁気記録媒体のナノ粒子層は、乾
燥後の層厚が5nm〜5μmの範囲内、より好ましくは
5nm〜0.2μmになるように塗布して形成する。こ
こで複数のナノ粒子層塗布液を逐次あるいは同時に重層
塗布してもよく、非磁性層塗布液(本発明に係る化合物
含有液)とナノ粒子層塗布液とを逐次あるいは同時に重
層塗布してもよい。上記ナノ粒子層塗布液もしくは非磁
性層塗布液を塗布する塗布機としては、エアードクター
コート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコー
ト、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、
リバースロールコート、トランスファーロールコート、
グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレ
イコート、スピンコートなどが利用できる。 【0029】非磁性支持体には無機物と有機物とがあ
る。無機物の支持体としてはAl、Al−Mg合金,M
g−Al−ZnなどのMg合金,ガラス、石英、カーボ
ン、シリコン、セラミックスなどが用いられる。これら
の支持体は耐衝撃性に優れ、また薄型化や高速回転に適
した剛性を有する。また、有機物支持体に対し熱に強い
特徴を有している。 【0030】有機物の支持体としてはポリエチレンテレ
フタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステ
ル類、ポリオレフィン類、セルローストリアセテート、
ポリカーボネート、ポリアミド(脂肪族ポリアミドやア
ラミド等の芳香族ポリアミドを含む)、ポリイミド、ポ
リアミドイミド、ポリスルフォン、ポリベンゾオキサゾ
ール、ポリエーテルスルホン等を用いることができる。 【0031】本発明の磁気記録媒体は、ナノ粒子層上に
非常に薄い保護膜を形成して耐磨耗性を改善し、さらに
その上に潤滑剤を塗布して滑り性を高めることによっ
て、十分な信頼性を確保することが望ましい。 【0032】本発明において保護膜としては、シリカ、
アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化
ニッケルなどの酸化物、窒化チタン、窒化ケイ素、窒化
ホウ素などの窒化物、炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホ
ウ素等の炭化物、グラファイト、無定型カーボンなどの
炭素類があげられるが、特に好ましくは一般にダイヤモ
ンドライクカーボンと呼ばれる硬質の非晶質カーボンで
ある。カーボン保護膜の製造方法として、ハードディス
クにおいては、スパッタ法が一般的であるが、ビデオテ
ープ等の連続成膜を行う必要のある製品ではより成膜速
度の高いプラズマCVDを用いる方法が多数提案されて
いる。中でもプラズマインジェクションCVD(PI−
CVD)法は成膜速度が非常に高速で、得られる炭素保
護膜も硬質かつピンホールが少ない良質な保護膜が得ら
れると報告されている(例えば、特開昭61−1304
87号公報、特開昭63−279426号公報、特開昭
3−113824号公報等)。 【0033】この硬質炭素保護膜は、ビッカース硬度で
1000Kg/mm2以上、好ましくは2000Kg/
mm2以上の硬質の炭素膜である。また、その結晶構造
はアモルファス構造であり、かつ非導電性である。そし
て、本発明におけるダイヤモンド状炭素膜の構造をラマ
ン光分光分析によって測定した場合には、1520〜1
560cm-1にピークが検出されることによって確認す
ることができる。炭素膜の構造がダイヤモンド状構造か
らずれてくるとラマン光分光分析により検出されるピー
クが上記範囲からずれるとともに、炭素膜の硬度も低下
する。 【0034】この硬質炭素保護膜を作製するための原料
としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等のアル
カン、あるいはエチレン、プロピレン等のアルケン、ま
たはアセチレン等のアルキンをはじめとした炭素含有化
合物を用いることができる。また、必要に応じてアルゴ
ンなどのキャリアガスや膜質改善のための水素や窒素な
どの添加ガスを加えることができる。 【0035】硬質炭素保護膜の膜厚が厚いと電磁変換特
性の悪化やナノ粒子層に対する密着性の低下が生じ、膜
厚が薄いと耐磨耗性が不足するために、膜厚2.5〜2
0nmが好ましく、特に好ましくは5〜10nmであ
る。また、この硬質炭素保護膜と基板となる強磁性金属
薄膜の密着性を改善するために、あらかじめ強磁性金属
薄膜表面を不活性ガスでエッチングできる。また、酸素
などの反応性ガスプラズマにさらして表面改質すること
もできる。 【0036】本発明において、走行耐久性および耐食性
を改善するため、上記ナノ粒子層もしくは保護膜上に潤
滑剤や防錆剤を付与することが好ましい。添加する潤滑
剤としては公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、
極圧添加剤などが使用できる。 【0037】炭化水素系潤滑剤としてはステアリン酸、
オレイン酸等のカルボン酸類、ステアリン酸ブチル等の
エステル類、オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸
類、リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類、ス
テアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコー
ル類、ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類、ス
テアリルアミン等のアミン類などが挙げられる。 【0038】フッ素系潤滑剤としては上記炭化水素系潤
滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル
基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑
剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基としては
パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエ
チレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレン
オキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロ
イソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF
2O)nまたはこれらの共重合体等である。また、末端や
分子内に水酸基、エステル基、カルボキシル基などの極
性官能基を有する化合物が摩擦力を低減する効果が高く
好適である。またこの分子量は500〜5000、好ま
しくは1000〜3000である。それ以下では揮発性
が高く、また潤滑性も低い。またこれ以上では粘度が高
くなるため、スライダーとディスクが吸着しやすく、走
行停止やヘッドクラッシュなどを発生しやすくなる。こ
のパーフルオロポリエーテルの具体例としてはアウジモ
ンド社からFOMBLIN、デュポン社からKRYTO
Xなどの商品名で市販されている。 【0039】極圧添加剤としてはリン酸トリラウリル等
のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン
酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ
亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベ
ンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。 【0040】上記潤滑剤は単独もしくは複数を併用して
使用される。これらの潤滑剤をナノ粒子層もしくは保護
膜上に付与する方法としては潤滑剤を有機溶剤に溶解
し、ワイヤーバーは、グラビア法、スピンコート法、デ
ィップコート法等で塗布するか、真空蒸着法によって付
着させればよい。 【0041】本発明の磁気記録媒体では防錆剤を使用で
きる。防錆剤としてはベンゾトリアゾール、ベンズイミ
ダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類お
よびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、
ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾー
ル、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等
の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体等が挙
げられる。 【0042】本発明で用いる支持体のナノ粒子層が形成
されていない面にバックコート層(バッキング層)が設
けられていてもよい。バックコート層は、支持体のナノ
粒子層が形成されていない面に、研磨材、帯電防止剤な
どの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバックコ
ート層形成塗料を塗布して設けられる層である。粒状成
分として各種の無機顔料やカーボンブラックを使用する
ことができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フ
ェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹
脂を単独またはこれらを混合して使用することができ
る。なお、支持体の硬磁性ナノ粒子分散液およびバック
コート層形成塗料の塗布面に接着剤層が設けられていて
もよい。 【0043】本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平
均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜
5nm、好ましくは1〜4nmの範囲という極めて優れ
た平滑性を有する表面であることが高密度記録用の磁気
記録媒体として好ましい。その方法として、ナノ粒子層
を形成した後にカレンダー処理を施すことにより行われ
る。また、バーニッシュ処理を施してもよい。 【0044】得られた磁気記録媒体は、打ち抜き機で打
ち抜くあるいは裁断機などを使用して所望の大きさに裁
断して使用することができる。 【0045】以下、実施例で具体的に説明するが、本発
明はこれらの実施例に限定されるものではない。 【0046】 【実施例】(実施例1〜4、比較例1〜2) 1.本発明に係る化合物を塗布した基板の作製 80mmφ、厚さ1.1mmのガラス支持体、または8
0mmφ、厚さ1.2mmのポリカーボネート(PC)
支持体の片面に、各実施例及び比較例毎に下記表1に記
載の化合物の2%溶液(エタノール95%水溶液に必要
により酢酸でpHを4〜5に調整したもの)を乾燥時の
膜厚が100nmとなるようにスピンコートして各実施
例及び比較例に供する基板を作製した。 【0047】2.FePtナノ粒子分散液の調製 高純度Arガス中で下記の操作を行った。鉄(III)
アセチルアセトナート〔CH3COCH=C(O−)C
33Feを0.64mmol、1,2−ヘキサデカン
ジオールを1.5mmol、及びジオクチルエーテル2
0mlを混合し100℃で加熱した。そして、オレイン
酸0.5mmolとオレイルアミン0.5mmolを加
え200℃で30分間還流した(A液)。プラチナ(I
I)アセチルアセトナート〔CH3COCH=C(O
−)CH3 2Ptを0.5mmo1と、1,2−ヘキサ
デカンジオールを1.5mmolと、ジオクチルエーテ
ル20mlとを混合し100℃で加熱した。この液に1
00℃に冷却した前記A液を加え、297℃で30分間
還流した。冷却後、エタノールを40ml加え、析出物
を沈降させた後上澄みを取り除いた。次いで、オレイン
酸0.16mmol、オレイルアミン0.15mmol
を加えた後に25mlのヘキサンを加え分散した。再び
エタノールを20ml加え、析出物を沈降させた後上澄
みを取り除いた。オレイン酸0.16mmol、オレイ
ルアミン0.15mmolを加えた後に20mlのヘキ
サンを加え分散した。また、エタノールを15ml加
え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。オレイ
ン酸0.16mmol、オレイルアミン0.15mmo
lを加えた後に20mlのヘキサンを加え分散し、Fe
Ptナノ粒子分散液を得た。調製した分散液をTEM観
察用のメッシュに載せ乾燥させてTEM用試料を作製し
た。加速電圧300KVの日立製作所製透過電子顕微鏡
(TEM)を用い粒子サイズを調べたところ、平均直径
5nmのナノ粒子であった。 【0048】3.磁気記録媒体サンプルの作製 N2ガス雰囲気下で下記の操作を行った。表1に記載の
各基板に、上記FePtナノ粒子分散液を各80ml/
2塗布し乾燥した。その後、波長808nmのレーザ
を500mJ/cm2で照射しアニールを行なった。 【0049】4.結晶構造の確認 レーザ照射後のサンプルを、理学電機製X線回折装置で
管電圧50KV管電流300mAの条件でCuのKα線
を発生させゴニオメータを用いた粉末法でX線回折を行
なった。結晶構造から不規則相、規則相を区別した。結
果を表1に示す。 【0050】5.密着性の評価 塗布面に3M社製スコッチメンディングテープを貼付
し、剥離法により試験した。剥離が生じなかった場合を
「良好」とし、剥離が生じた場合を「不良」として評価
した。結果を表1に示す。 【0051】6.磁気特性の評価 磁気特性は東英工業製の高感度磁化ベクトル測定機と同
社製DATA処理装置を使用し、印加磁場796kA/
m(10kOe)で測定した。結果を表1に示す。 【0052】 【表1】 【0053】表1より、実施例1〜4においては、磁気
特性及び密着性に優れ、硬磁性規則ナノ粒子層を有する
磁気記録媒体が得られたことが分かる。これに対して、
比較例1〜2の磁気特性、密着性、及び結晶構造(規則
相)のすべてを同時に満足させることができなかった。 【0054】 【発明の効果】本発明によれば、支持体からの不純物
が、CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規則合金か
らなるナノ粒子を含有するナノ粒子層へ拡散するのを阻
止し、変態温度を上昇させることなくナノ粒子層を形成
できるとともに、該ナノ粒子層の密着性が高い磁気記録
媒体を提供することにある。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 支持体上に、金属アルコキシド化合物、
    金属フェノキシド化合物、及びカップリング剤からなる
    群より選択される少なくとも1種を含有する非磁性層
    と、CuAu型又はCu3Au型硬磁性規則合金からな
    るナノ粒子を含有するナノ粒子層とをこの順に有するこ
    とを特徴とする磁気記録媒体。
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