JP3900414B2 - ナノ粒子およびナノ粒子の製造方法、並びに、磁気記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ナノ粒子およびナノ粒子の製造方法、並びに、磁気記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
磁性層に含有される磁性体の粒子サイズを小さくすることは、磁気記録密度を高くする上で必要である。たとえば、ビデオテープ、コンピュータテープ、ディスクなどとして広く用いられている磁気記録媒体では、強磁性体の質量が同じ場合、粒子サイズを小さくしていった方がノイズは下がる。
CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規則合金は、規則化時に発生する歪みのために、結晶磁気異方性が大きく、粒子サイズを小さくし、いわゆるナノ粒子といわれる状態としても硬磁性を示すことから、磁気記録密度向上に有望な素材である。
【0003】
CuAu型あるいはCu3Au型合金を形成しうるナノ粒子の合成法としては、沈殿法で分類すると、▲1▼1級アルコールを用いるアルコール還元法、▲2▼2級、3級、2価または3価のアルコールを用いるポリオール還元法、▲3▼熱分解法、▲4▼超音波分解法、▲5▼強力還元剤還元法、などがある。
また、反応系で分類すると、▲6▼高分子存在法、▲7▼高沸点溶媒法、▲8▼正常ミセル法、▲9▼逆ミセル法、などがある。
【0004】
▲1▼のアルコール還元法の場合は、還元力が弱く、貴な金属と卑な金属とを同時に還元する場合、均一合金が生成しにくく、コア/シェル構造になることが多い。▲2▼のポリオール還元法、および▲3▼の熱分解法の場合は、高温反応が必要であるため製造適性が劣る。▲4▼の超音波分解法、および▲5▼の強力還元剤還元法は、比較的簡便な方法であるが、凝集や沈殿が発生しやすく、反応系を工夫しないと単分散で小さいナノ粒子を得ることが困難である。
【0005】
また、▲1▼と▲6▼とを組み合わせた系として、ポリビニルピロリドン中のエタノール還元法があるが、この場合、合成後のポリマー量が非常に多く、必要量まで減少させることが困難である。
▲2▼、▲3▼および▲7▼を組み合わせた系として、特開2000−54012号、US6,254,662号が知られている。この方法は、毒性の高い物質を用いるため危険性が高く、さらに、不活性ガス中で、かつ300℃近い高温で反応させる必要があるため、装置構成が複雑で製造適性が劣る欠点を有している。
▲5▼と▲8▼を組み合わせた系、▲5▼と▲9▼を組み合わせた系は一般的な方法ではあるが、目的とする組成および粒子サイズを有する金属ナノ粒子を得る方法についての詳しい条件等は未だ見出されていない。
【0006】
上記方法で合成されたナノ粒子の構造は、面心立方晶となる。面心立方晶は通常、軟磁性あるいは常磁性を示す。軟磁性あるいは常磁性では記録媒体用には適していない。磁気記録媒体に必要な95.5kA/m(1200Oe)以上の保磁力を有する硬磁性規則合金を得るには、不規則相から規則相へ変態する変態温度以上でアニール処理を施す必要がある。
しかし、上記方法で製造されたナノ粒子を支持体上に塗布し、アニール処理を施して磁気記録媒体を作製する場合、ナノ粒子が互いに凝集しやすいため塗布適性が低下し、磁気特性が低下したり、得られるナノ粒子の粒径が不均一なため熱処理を施しても完全に規則相とすることが困難で、所望の硬磁性が得られなかったりすることがあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
以上から、本発明は、互いに凝集しにくく、塗布適性に優れ、粒子のサイズおよび組成が制御可能なナノ粒子と該ナノ粒子を製造する方法を提供することを目的とする。また、本発明は、前記ナノ粒子を磁性層として含有し、硬磁性を示す磁気記録媒体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく鋭意検討の結果、本発明者は、下記本発明により上記課題を解決することができることを見出した。すなわち、本発明は、
<1> 界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と還元剤水溶液とを混合した逆ミセル溶液(I)に、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と金属塩水溶液とを混合した逆ミセル溶液(II)を添加して還元反応を行う還元工程と、還元反応終了後に昇温して熟成する熟成工程と、を有するナノ粒子の製造方法であって、
前記逆ミセル溶液(I)および逆ミセル溶液(II)のそれぞれの溶液中の水と界面活性剤との質量比(水/界面活性剤)が20以下であり、
前記金属塩水溶液に含有される金属塩としては、作製しようとするナノ粒子がCuAu型あるいはCu 3 Au型強磁性規則合金を形成し得るように選択され、
前記還元反応の温度が−5〜30℃の範囲で一定であり、
前記熟成の温度が前記還元反応の温度より高く、30〜90℃の範囲で一定であり、さらに、前記熟成の時間が5〜180分、
であることを特徴とするナノ粒子の製造方法である。
【0009】
また、前記熟成を行った後、水と1級アルコールとの混合溶液で熟成後の溶液を洗浄し、その後、1級アルコールで沈殿化処理を施して沈殿物を生成させ、該沈殿物を有機溶媒で分散させる洗浄・分散工程を設けることが好ましい。
さらに、前記逆ミセル溶液(I)および(II)の少なくともいずれかに、アミノ基またはカルボキシ基を1〜3個有する少なくとも1種の分散剤を、作製しようとする金属ナノ粒子1モル当たり、0.001〜10モル添加することが好ましい。
【0010】
<2> <1>に記載のナノ粒子製造方法により製造されたことを特徴とするナノ粒子である。
<3> 少なくとも、支持体上に磁性層が形成された磁気記録媒体であって
前記磁性層が、<2>に記載のナノ粒子を分散した分散液を支持体上に塗布し、アニール処理が施されて形成されていることを特徴とする磁気記録媒体である。
【0011】
【発明の実施の形態】
<ナノ粒子の製造方法およびナノ粒子>
本発明のナノ粒子の製造方法は、少なくとも、2種の逆ミセル溶液を混合して還元反応を行う還元工程と、還元反応後に所定温度で熟成する熟成工程と、を有する。
以下、各工程について説明する。
【0012】
(還元工程)
まず、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と還元剤水溶液とを混合した逆ミセル溶液(I)を調製する。
【0013】
前記界面活性剤としては、油溶性界面活性剤が用いられる。具体的には、スルホン酸塩型(例えば、エーロゾルOT(和光純薬製))、4級アンモニウム塩型(例えば、セチルトリメチルアンモニウムブロマイド)、エーテル型(例えば、ペンタエチレングリコールドデシルエーテル)などが挙げられる。
【0014】
前記界面活性剤を溶解する非水溶性有機溶媒として好ましいものは、アルカンおよびエーテルである。アルカンは、炭素数7〜12のアルカン類であることが好ましい。具体的には、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカンが好ましい。エーテルは、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテルが好ましい。
非水溶性有機溶媒中の界面活性剤量は、20〜200g/リットルであることが好ましい。
【0015】
還元剤水溶液中の還元剤としては、アルコール類;ポリアルコール類;H2;HCHO、S2O6 2-、H2PO2 -、BH4 -、N2H5 +、H2PO3 -などを含む化合物;を単独で使用、または2種以上を併用することが好ましい。
水溶液中の還元剤量は、金属塩1モルに対して、3〜50モルであることが好ましい。
【0016】
ここで、逆ミセル溶液(I)中の水と界面活性剤との質量比(水/界面活性剤)は、20以下となるようにする。質量比が20を超えると、沈殿が起きやすく、粒子も不揃いとなりやすいといった問題が生じる。質量比は、15以下とすることが好ましく、0.5〜10とすることがより好ましい。
【0017】
上記とは別に、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と金属塩水溶液とを混合した逆ミセル溶液(II)を調製する。
界面活性剤および非水溶性有機溶媒の条件(使用する物質、濃度等)については、逆ミセル溶液(I)の場合と同様である。なお、逆ミセル溶液(I)と同種のものまたは異種のものを使用することができる。また、逆ミセル溶液(II)中の水と界面活性剤との質量比も逆ミセル溶液(I)の場合と同様であり、逆ミセル溶液(I)の質量比と同一としてもよく、異なっていてもよい。
【0018】
金属塩水溶液に含有される金属塩としては、作製しようとするナノ粒子がCuAu型あるいはCu3Au型強磁性規則合金を形成し得るように、適宜選択することが好ましい。
具体的には、H2PtCl6、K2PtCl4、Pt(CH3COCHCOCH3)2、Na2PdCl4、Pd(OCOCH3)2、PdCl2、Pd(CH3COCHCOCH3)2、HAuCl4、Fe2(SO4)3、Fe(NO3)3、(NH4)3Fe(C2O4)3、Fe(CH3COCHCOCH3)3、NiSO4、CoCl2、Co(OCOCH3)2などが挙げられる。
【0019】
金属塩水溶液中の濃度(金属塩濃度として)は、0.1〜1000μmol/mlであることが好ましく、1〜100μmol/mlであることがより好ましい。
【0020】
前記金属塩を適宜選択することで、卑な金属と貴な金属とが合金を形成したCuAu型もしくはCu3Au型強磁性規則合金を形成し得るナノ粒子が作製される。当該作製されるCuAu型強磁性規則合金としては、FeNi、FePd、FePt、CoPt、CoAuなどが挙げられ、なかでもFePd、FePt、CoPtであることが好ましい。また、Cu3Au型強磁性規則合金としては、Ni3Fe、FePd3、Fe3Pt、FePt3、CoPt3、Ni3Pt、CrPt3、Ni3Mnが挙げられ、なかでもFePd3、FePt3、CoPt3、Fe3Pd、Fe3Pt、Co3Ptが好ましい。
【0021】
ナノ粒子をアニールする際に合金相を不規則相から規則相へ変態させる必要があるが、当該変態温度を下げるために、前記2元系合金に、Sb、Pb、Bi、Cu、Ag、Zn、Inなどの第三元素を加えることが好ましい。これらの第三元素は、それぞれの第三元素の前駆体を、前記金属塩溶液に予め添加しておくことが好ましい。添加量としては、2元系合金に対し、1〜30at%がであることが好ましく、5〜20at%であることがより好ましい。
【0022】
以上のようにして、調製した逆ミセル溶液(I)と(II)とを混合する。混合方法としては、特に限定されるものではないが、還元の均一性を考慮して、逆ミセル溶液(I)を撹拌しながら、逆ミセル溶液(II)を添加していって混合することが好ましい。混合終了後、還元反応を進行させることになるが、その際の温度は、−5〜30℃の範囲で、一定の温度とする。
還元温度が−5℃未満では、水相が凝結して還元反応が不均一になるといった問題が生じ、30℃を超えると、凝集または沈殿が起こりやすく系が不安定となる。好ましい還元温度は0〜25℃であり、より好ましくは5〜25℃である。
ここで、前記「一定温度」とは、設定温度をT(℃)とした場合、当該TがT±3℃の範囲にあることをいう。なお、このようにした場合であっても、当該Tの上限および下限は、上記還元温度(−5〜30℃)の範囲にあるものとする。
【0023】
還元反応の時間は、逆ミセル溶液の量等により適宜設定する必要があるが、1〜30分とすることが好ましく、5〜20分とすることがより好ましい。
【0024】
還元反応は、粒径分布の単分散性に大きな影響を与えるため、できるだけ高速攪拌しながら行うことが好ましい。
好ましい攪拌装置は高剪断力を有する攪拌装置であり、詳しくは、攪拌羽根が基本的にタービン型あるいはパドル型の構造を有し、さらに、その羽根の端もしくは、羽根と接する位置に鋭い刃を付けた構造であり、羽根をモーターで回転させる攪拌装置である。具体的には、ディゾルバー(特殊機化工業製)、オムニミキサー(ヤマト科学製)、ホモジナイザー(SMT製)などの装置が有用である。これらの装置を用いることにより、単分散なナノ粒子を安定な分散液として合成することができる。
【0025】
前記逆ミセル溶液(I)および(II)の少なくともいずれかに、アミノ基またはカルボキシ基を1〜3個有する少なくとも1種の分散剤を、作製しようとする金属ナノ粒子1モル当たり、0.001〜10モル添加することが好ましい。
【0026】
かかる分散剤を添加することで、より単分散で、凝集の無いナノ粒子を得ることが可能となる。
添加量が、0.001未満では、ナノ粒子の単分散性をより向上させることできない場合があり、10モルを超えると凝集が起こる場合がある。
【0027】
前記分散剤としては、金属ナノ粒子表面に吸着する基を有する有機化合物が好ましい。具体的には、アミノ基、カルボキシ基、スルホン酸基またはスルフィン酸基を1〜3個有するものであり、これらを単独または併用して用いることができる。
構造式としては、R−NH2、NH2−R−NH2、NH2−R(NH2)−NH2、R−COOH、COOH−R−COOH、COOH−R(COOH)−COOH、R−SO3H、SO3H−R−SO3H、SO3H−R(SO3H)−SO3H、R−SO2H、SO2H−R−SO2H、SO2H−R(SO2H)−SO2Hで表される化合物であり、式中のRは直鎖、分岐または環状の飽和、不飽和の炭化水素である。
【0028】
分散剤として特に好ましい化合物はオレイン酸である。オレイン酸はコロイドの安定化において周知の界面活性剤であり、鉄ナノ粒子を保護するのに用いられてきた。オレイン酸の比較的長い(たとえば、オレイン酸は18炭素鎖を有し長さは〜20オングストローム(〜2nm)である。オレイン酸は脂肪族ではなく二重結合が1つある)鎖は粒子間の強い磁気相互作用を打ち消す重要な立体障害を与える。
エルカ酸やリノール酸など類似の長鎖カルボン酸もオレイン酸同様に(たとえば、8〜22の間の炭素原子を有する長鎖有機酸を単独でまたは組み合わせて用いることができる)用いられる。オレイン酸は(オリーブ油など)容易に入手できる安価な天然資源であるので好ましい。また、オレイン酸から誘導されるオレイルアミンもオレイン酸同様有用な分散剤である。
【0029】
以上のような還元工程では、CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規則合金相中のCo、Fe、Ni、Cr等の酸化還元電位が卑な金属(−0.2V(vs.N.H.E)程度以下の金属)が還元され、極小サイズで単分散な状態で析出するものと考えられる。その後、昇温段階および後述する熟成工程において、析出した卑な金属を核とし、その表面で、Pt、Pd、Rh等の酸化還元電位が貴な金属(−0.2V(vs.N.H.E)程度以上の金属)が卑な金属で還元されて置換、析出する。イオン化した卑な金属は還元剤で再度還元されて析出すると考えられる。このような繰返しによって、CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規則合金を形成し得るナノ粒子が得られる。
【0030】
(熟成工程)
還元反応終了後、反応後の溶液を熟成温度まで昇温する。
前記熟成温度は、30〜90℃で一定の温度とするが、その温度は、前記還元反応の温度より高くする。また、熟成時間は、5〜180分とする。熟成温度および時間が上記範囲より高温長時間側にずれると、凝集または沈殿が起きやすく、逆に低温短時間側にずれると、反応が完結しなくなり組成が変化する。好ましい熟成温度および時間は40〜80℃および10〜150分であり、より好ましい熟成温度および時間は40〜70℃および20〜120分である。
【0031】
ここで、前記「一定温度」とは、還元反応の温度の場合と同義(但し、この場合、「還元温度」は「熟成温度」となる)であるが、特に、上記熟成温度の範囲(30〜90℃)内で、前記還元反応の温度より5℃以上高いことが好ましく、10℃以上高いことがより好ましい。5℃未満では、処方通りの組成が得られないことがある。
【0032】
以上のような熟成工程では、還元工程で還元析出した卑な金属上に貴な金属が析出する。すなわち、卑な金属上でのみ貴な金属の還元が起こり、卑な金属と貴な金属とが別々に析出することが無いため、効率良くCuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規則合金を形成し得るナノ粒子を、高収率で処方組成比どおりに作製することが可能で、所望の組成に制御することができる。また、熟成の際の温度で撹拌速度を適宜調整することで、得られるナノ粒子の粒径を所望なものとすることができる。
【0033】
前記熟成を行った後は、水と1級アルコールとの混合溶液で前記熟成後の溶液を洗浄し、その後、1級アルコールで沈殿化処理を施して沈殿物を生成させ、該沈殿物を有機溶媒で分散させる洗浄・分散工程を設けることが好ましい。
かかる洗浄工程を設けることで、不純物が除去され、磁気記録媒体の磁性層を塗布により形成する際の塗布性をより向上させることができる。
上記洗浄および分散は、少なくともそれぞれ1回、好ましくは、それぞれ2回以上行う。
【0034】
洗浄で用いる前記1級アルコールとしては、特に限定されるものではないが、メタノール、エタノール等が好ましい。体積混合比(水/1級アルコール)は、10/1〜2/1の範囲にあることが好ましく、5/1〜3/1の範囲にあることがより好ましい。
水の比率が高いと、界面活性剤が除去されにくくなることがあり、逆に1級アルコールの比率が高いと、凝集を起こしてしまうことがある。
【0035】
以上のようにして、溶液中に分散したナノ粒子が得られる。当該ナノ粒子は、単分散であるため、支持体に塗布しても、これらが凝集することなく均一に分散した状態を保つことができる。従って、アニール処理を施しても、それぞのナノ粒子が凝集することがないため、効率良く硬磁性化することが可能で、塗布適性に優れる。
【0036】
アニール前のナノ粒子の粒径は1〜20nmであることが好ましく、3〜10nmであることがより好ましい。磁気記録媒体として用いるにはナノ粒子を最密充填することが記録容量を高くする上で好ましい。そのためには、本発明の金属ナノ粒子の変動係数は10%未満が好ましく、より好ましくは5%以下である。粒子サイズが小さすぎると、熱ゆらぎのため超常磁性となり好ましくない。構成元素によって最小安定粒径が異なるが、必要な粒径を得るために、H2O/界面活性剤質量比を変化させて合成することが有効である。
【0037】
本発明のナノ粒子の粒径評価には透過型電子顕微鏡(TEM)を用いることができる。加熱により硬磁性化したナノ粒子の結晶系を決めるにはTEMによる電子線回折でもよいが、精度高く行うにはX線回折を用いた方が良い。硬磁性化したナノ粒子の内部の組成分析には電子線を細く絞ることができるFE−TEMにEDAXを付け評価することが好ましい。硬磁性化したナノ粒子の磁気的性質の評価はVSMを用いて行うことができる。
【0038】
アニールした後の当該ナノ粒子の保磁力は95.5〜636.8kA/m(1200〜8000Oe)であることが好ましく、磁気記録媒体に適用した場合、記録ヘッドが対応できるという観点から、95.5〜398kA/m(1200〜5000Oe)であることがより好ましい。
【0039】
ナノ粒子を変態温度以上に加熱する方法は任意でよいが、ナノ粒子の融合を避けるために、支持体に塗布した後加熱する方が好ましい。
耐熱温度の低い有機支持体に塗布した後で加熱する場合は、パルスレーザを用いることが好ましい。
【0040】
硬磁性化したナノ粒子は、ビデオテープ、コンピュータテープ、フロッピー(R)ディスク、ハードディスクに好ましく用いることができる。また、MRAMへの適用も好ましい。
【0041】
<磁気記録媒体>
本発明の磁気記録媒体は、少なくとも、支持体上に磁性層が形成されており、前記磁性層が、本発明の製造方法によって得られたナノ粒子を含有している。当該磁性層は、上記ナノ粒子を分散した塗布液を支持体上に塗布し、アニール処理を施して形成される。また、必要に応じて他の層を有してなる。
即ち、本発明の磁気記録媒体は、支持体表面にナノ粒子を含有する磁性層を有し、必要に応じて磁性層と支持体の間に非磁性層が設けられたり、ディスクの場合では支持体の反対側の面にも同様に磁性層、必要に応じ磁性層と非磁性層を設けられたりする。テープの場合では、磁性層の反対側の支持体上にはバックコート層が設けられたりする。
以下、本発明の製造方法により得られたナノ粒子を好ましく用いることができる磁気記録媒体の作製方法を詳細に説明し、該作製方法を通じて本発明の磁気記録媒体について詳述する。
【0042】
ナノ粒子を分散した塗布液としては、既述のナノ粒子の製造方法によって得られたナノ粒子を含んだ状態の溶液を使用することができる。実際には、このナノ粒子を含有する塗布液に公知の添加剤を加えたり、種々の溶媒などを加えてナノ粒子の含有量を所望の濃度(0.01〜0.1mg/ml)とすることが好ましい。
【0043】
前記塗布液を支持体上に塗布して、下層塗布層あるいは磁性層を形成する。本発明の磁気記録媒体の製造は、例えば、支持体の表面に前記塗布液を、好ましくは磁性層の乾燥後の層厚が5nm〜200nmの範囲内、より好ましくは5nm〜100nmの範囲内になるように塗布する。
ここで、複数の塗布液を逐次あるいは同時に重層塗布してもよい。
塗布液を塗布する方法としては、エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコート、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコート、含浸コート、リバースロールコート、トランスファーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャストコート、スプレイコート、スピンコートなどが利用できる。
【0044】
支持体としては、無機物および有機物のいずれをも使用することができる。無機物の支持体としては、Al、Al−Mg合金、Mg−Al−ZnなどのMg合金、ガラス、石英、カーボン、シリコン、セラミックスが用いられる。これらの支持体は耐衝撃性に優れ、また薄型化や高速回転に適した剛性を有する。また、有機物支持体に対し熱に強い特徴を有している。
【0045】
有機物の支持体としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ−ストリアセテート、ポリカ−ボネート、ポリアミド(脂肪族ポリアミドやアラミド等の芳香族ポリアミドを含む)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリベンゾオキサゾール等を用いる事ができる。
【0046】
アニール処理前のナノ粒子は不規則相である。規則相を得るためには、アニール処理を施す必要がある。アニール処理としては、粒子の融着防止のため塗布後に基板を加熱することが好ましい。加熱温度は示差熱分析(DTA)を用い、ナノ粒子を構成する合金の規則不規則変態温度を求め、その温度より上の温度で行うことが必要である。
なお、変態温度は元素組成によって、また、第三元素の導入によって変化する。
【0047】
有機物の支持体を用いる場合は、支持体の耐熱温度以下の変態温度を有するナノ粒子を用いるか、パルスレーザによる磁性層のみの加熱が有効である。
パルスレーザーによる場合のレーザーの波長は、紫外から赤外まで用いる事ができるが、有機物の支持体は紫外域に吸収を持つ事から、可視から赤外域のレーザー光を用いる事が好ましい。
レーザー出力は、塗布膜を短時間で加熱するため、0.1W以上が好ましく、0.3W以上がより好ましい。出力が高すぎると有機物支持体も熱の影響を受けることがあるため、3W以下が好ましい。
レーザーの波長及び出力の観点から、好ましく用いられるレーザとしては、Arイオンレーザー、Cu蒸気レーザー、HF化学レーザー、色素レーザー、ルビーレーザー、YAGレーザー、ガラスレーザー、チタンサファイアレーザー、アレキサンドライトレーザー、GaAlAsアレイ半導体レーザー等が挙げられる。
【0048】
レーザー光を走査する際の線速度は、アニールが十分に起こり、かつ、アブレーションを起こさないといった効果を得るため、1〜10m/sとすることが好ましく、2〜5m/sとすることがより好ましい。
【0049】
磁性層上に非常に薄い保護膜を形成して耐磨耗性を改善し、さらにその上に潤滑剤を塗布して滑り性を高めることによって、十分な信頼性を確保することが有効である。
【0050】
保護膜としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物;窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物;炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物;グラファイト、無定型カーボンなどの炭素;からなる保護膜があげられるが、好ましくは、炭素からなるカーボン保護膜である。また、カーボン保護膜でも、一般にダイヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質の非晶質カーボンが特に好ましい。
カーボン保護膜の製造方法として、ハードディスクにおいては、スパッタ法が一般的であるが、ビデオテープ等の連続成膜を行う必要のある製品ではより成膜速度の高いプラズマCVDを用いる方法が多数提案されている。中でもプラズマインジェクションCVD(PI−CVD)法は成膜速度が非常に高く、得られるカーボン保護膜も硬質かつピンホールが少ない良質な保護膜が得られると報告されている(例えば、特開昭61−130487、特開昭63−279426、特開平3−113824等)。
【0051】
カーボン保護膜はビッカース硬度で1000Kg/mm2以上、好ましくは2000Kg/mm2以上の硬質の炭素膜である。また、その結晶構造はアモルファス構造であり、かつ非導電性である。そして、カーボン保護膜として、ダイヤモンド状炭素膜を使用した場合、その構造をラマン光分光分析によって測定した場合には、1520〜1560cm-1にピークが検出されることによって確認することができる。膜の構造がダイヤモンド状構造からずれてくるとラマン光分光分析により検出されるピークが上記範囲からずれるとともに、膜の硬度も低下する。
【0052】
カーボン保護膜を作製するための原料としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等のアルカン;エチレン、プロピレン等のアルケン;アセチレン等のアルキン;をはじめとした炭素含有化合物を用いることができる。また、必要に応じてアルゴンなどのキャリアガスや膜質改善のための水素や窒素などの添加ガスを加えることができる。
【0053】
カーボン保護膜の膜厚が厚いと電磁変換特性の悪化や磁性層に対する密着性の低下が生じ、膜厚が薄いと耐磨耗性が不足するために、膜厚2.5〜20nmが好ましく、5〜10nmが特に好ましい。また、この硬質炭素保護膜と支持体となる強磁性金属薄膜の密着性を改善するために、あらかじめ強磁性金属薄膜表面を不活性ガスでエッチングしたり、酸素などの反応性ガスプラズマにさらして表面改質する事もできる。
【0054】
磁性層は電磁変換特性を改善するため重層構成としたり、非磁性下地層や中間層を有していても良い。
【0055】
本発明の磁気記録媒体において、走行耐久性および耐食性を改善するため、上記磁性層もしくは保護膜上に潤滑剤や防錆剤を付与することが好ましい。添加する潤滑剤としては公知の炭化水素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤などが使用できる。
【0056】
炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン酸、オレイン酸等のカルボン酸類;ステアリン酸ブチル等のエステル類;オクタデシルスルホン酸等のスルホン酸類;リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類;ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコール類;ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類;ステアリルアミン等のアミン類;などが挙げられる。
【0057】
フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤滑剤が挙げられる。
パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)nまたはこれらの共重合体等が挙げられる。また、末端や分子内に水酸基、エステル基、カルボキシル基などの極性官能基を有する化合物が摩擦力を低減する効果が高く好適である。この分子量は500〜5000であることが好ましく、1000〜3000であることがより好ましい。上記範囲未満では揮発性が高くなり、潤滑性が低くなることがある。また、上記範囲を超えると粘度が高くなるため、スライダーとディスクが吸着しやすく、走行停止やヘッドクラッシュなどを発生しやすくなる。
このパーフルオロポリエーテルで置換した潤滑剤の具体例としては、アウジモンド社からFOMBLIN、デュポン社からKRYTOXなどの商品名で市販されている。
【0058】
極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル等のリン酸エステル類、亜リン酸トリラウリル等の亜リン酸エステル類、トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチオ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類、二硫化ジベンジル等の硫黄系極圧剤などが挙げられる。
【0059】
上記潤滑剤は単独もしくは複数を併用して使用される。これらの潤滑剤を磁性層もしくは保護膜上に付与する方法としては、潤滑剤を有機溶剤に溶解し、ワイヤーバー法、グラビア法、スピンコート法、ディップコート法等で塗布するか、真空蒸着法によって付着させればよい。
【0060】
防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベンズイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した誘導体、ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチアゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導体等が挙げられる。
【0061】
本発明で用いる支持体の磁性層が形成されていない面にバックコート層(バッキング層)が設ける場合の当該バックコート層は、支持体の磁性層が形成されていない面に、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤とを有機溶剤に分散したバックコート層形成塗料を塗布して設けることができる。
粒状成分としては、各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。
なお、支持体のナノ粒子の分散液およびバックコート層形成塗料の塗布面に接着剤層が設けられていてもよい。
【0062】
本発明の磁気記録媒体は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25mmにおいて0.1〜5nm、好ましくは1〜4nmの範囲という極めて優れた平滑性を有する表面であることが高密度記録用の磁気記録媒体として好ましい。かかる表面とするには、磁性層を塗布した後にカレンダー処理を施せばよい。また、バーニッシュ処理を施してもよい。
【0063】
得られた磁気記録媒体は、打ち抜き機で打ち抜くあるいは裁断機などを使用して所望の大きさに裁断して使用することができる。
【0064】
【実施例】
本発明を以下に示す実施例をもとに、さらに詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0065】
〔実施例1〕
高純度N2ガス中で下記の操作を行った。
NaBH4(和光純薬製)0.76gを水(脱酸素:0.1mg/リットル以下)16mlに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT(和光純薬製)10.8gとデカン(和光純薬製)80mlとオレイルアミン(東京化成製)2mlとを混合したアルカン溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(I)を調製した。
【0066】
三シュウ酸三アンモニウム鉄(Fe(NH4)3(C2O4)3)(和光純薬製)0.46gと塩化白金酸カリウム(K2PtCl4)(和光純薬製)0.38gとを水(脱酸素)8mlに溶解した金属塩水溶液に、エーロゾルOT5.4gとデカン40mlとを混合したアルカン溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(II)を調製した。
【0067】
逆ミセル溶液(I)を22℃でオムニミキサー(ヤマト科学製)で高速攪拌しながら、逆ミセル溶液(II)を瞬時に添加した。10分後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃に昇温して60分間熟成した。
オレイン酸(和光純薬製)2mlを添加して、室温まで冷却した。冷却後大気中に取出した。逆ミセルを破壊するために、水100mlとメタノール100mlとの混合溶液を添加して水相と油相とに分離した。油相側にナノ粒子が分散した状態が得られた。油相側をH2O600mlとメタノール200mlとの混合溶液で5回洗浄した。
【0068】
その後、メタノールを1100ml添加してナノ粒子にフロキュレーションを起こさせて沈降させた。上澄み液を除去して、ヘプタン(和光純薬製)20mlを添加して再分散した。
さらに、メタノール100ml添加による沈降とヘプタン20ml分散との沈降分散を3回繰り返して、最後にヘプタン5mlを添加して、水と界面活性剤との質量比(水/界面活性剤)が2のFePtナノ粒子分散液を調製した。
【0069】
得られたナノ粒子について、収率、組成、体積平均粒径および分布(変動係数)、保磁力の測定を行ったところ、下記のような結果が得られた。
なお、組成および収率は、ICP分光分析(誘導結合高周波プラズマ分光分析)で測定した。
体積平均粒径および分布は、TEM撮影した粒子を計測して統計処理して求めた。
保磁力の測定は、東英工業製の高感度磁化ベクトル測定機と同社製DATA処理装置を使用し、印加磁場790kA/m(10kOe)の条件で行った。測定用ナノ粒子は、調製したナノ粒子分散液からナノ粒子を捕集し、十分乾燥させ、電気炉で加熱した後のものを使用した。
【0070】
組成:Pt44.5at%のFePt合金、収率:85%、
平均粒径:4.2nm、変動係数:5%、
保磁力(電気炉550℃、30分加熱後):576.7kA/m(7300Oe)
【0071】
〔実施例2〕
逆ミセル溶液(I)中の水を40mlとし、逆ミセル溶液(II)中の水を20mlとした以外は実施例1と同様にして、水と界面活性剤との質量比が5のFePtナノ粒子分散液を調製した。
得られたナノ粒子について、実施例1と同様にして、収率、組成、体積平均粒径および分布(変動係数)、保磁力の測定を行った。結果を以下に示す。
【0072】
組成:Pt45.0at%のFePt合金、収率:88%、
体積平均粒径:5.8nm、変動係数:4%、
保磁力(電気炉550℃、30分加熱後):521.4kA/m(6600Oe)
【0073】
〔実施例3〕
逆ミセル溶液(I)中の水を64mlとし、逆ミセル溶液(II)中の水を32mlとした以外は実施例1と同様にして水と界面活性剤との質量比が8のFePtナノ粒子分散液を調製した。
得られたナノ粒子について、実施例1と同様にして、収率、組成、体積平均粒径および分布(変動係数)、保磁力の測定を行った。結果を以下に示す。
【0074】
組成:Pt44.8at%のFePt合金、収率:82%、
体積平均粒径:7.6nm、変動係数:4%、
保磁力(電気炉550℃、30分加熱後):417.8kA/m(5300Oe)
【0075】
〔実施例4〕
高純度N2ガス中で下記の操作を行った。
NaBH4(和光純薬製)0.57gを水(脱酸素:0.1mg/リットル以下)16mlに溶解した還元剤水溶液に、エーロゾルOT(和光純薬製)10.8gとジブチルエーテル(和光純薬製)80mlとオレイルアミン(東京化成製)2mlとを混合したエーテル溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(I)を調製した。
【0076】
三シュウ酸三アンモニウム鉄(Fe(NH4)3(C2O4)3)(和光純薬製)0.46gと塩化パラジウム酸ナトリウム(Na2PdCl4・3H2O)(和光純薬製)0.32gとを水(脱酸素)8mlに溶解した金属塩水溶液に、エーロゾルOT5.4gとジブチルエーテル40mlとを混合したエーテル溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(II)を調製した。
【0077】
逆ミセル溶液(I)を22℃でオムニミキサー(ヤマト科学製)で高速攪拌しながら、逆ミセル溶液(II)を瞬時に添加した。10分後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃に昇温して60分間熟成した。
オレイン酸(和光純薬製)2mlを添加して、室温まで冷却した。冷却後大気中に取出した。逆ミセルを破壊するために、水100mlとメタノール100mlとの混合溶液を添加して水相と油相とに分離した。油相側にナノ粒子が分散した状態が得られた。油相側を水600mlとメタノール200mlとの混合溶液で5回洗浄した。
【0078】
その後、メタノールを1100ml添加してナノ粒子にフロキュレーションを起こさせて沈降させた。上澄み液を除去して、ヘプタン(和光純薬製)20mlを添加して再分散した。
さらに、メタノール100ml添加による沈降とヘプタン20ml分散との沈降分散を3回繰り返して、最後にヘプタン5mlを添加して、FePdナノ粒子分散液を調製した。
得られたナノ粒子について、実施例1と同様にして、収率、組成、体積平均粒径および分布(変動係数)、保磁力の測定を行った。結果を以下に示す。
【0079】
組成:Pd45.2at%のFePd合金、収率:83%、
体積平均粒径:5.6nm、変動係数:4%、
保磁力(電気炉550℃、30分加熱後):331.8kA/m(4200Oe)
【0080】
〔実施例5〕
三シュウ酸三アンモニウム鉄(Fe(NH4)3(C2O4)3)(和光純薬製)0.39gと塩化白金酸カリウム(K2PtCl4)(和光純薬製)0.32gと塩化二アンモニウム銅(Cu(NH4)2Cl4・2H2O)(和光純薬製)0.08gとを水(脱酸素)8mlに溶解した金属塩水溶液に、エーロゾルOT5.4gとデカン40mlとを混合したアルカン溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(II)を調製した以外は、実施例1と同様にして、FePtCuナノ粒子分散液を調製した。
得られたナノ粒子について、実施例1と同様にして、収率、組成、体積平均粒径および分布(変動係数)、保磁力の測定を行った。結果を以下に示す。
【0081】
組成:Pt38.5at%、Cu14.6at%のFePtCu合金、収率:88%、
体積平均粒径:4.4nm、変動係数:5%、
保磁力(電気炉250℃、30分加熱後):371.3kA/m(4700Oe)
保磁力(電気炉550℃、30分加熱後):497.7kA/m(6300Oe)
【0082】
〔比較例1〕
逆ミセル溶液(I)と逆ミセル溶液(II)との混合を室温(約25℃)で行い、マグネチックスターラー攪拌により還元反応を行い、そのままの温度(25℃)で120分間熟成した以外は、実施例1と同様にして、FePtナノ粒子分散液を調製した。
得られたナノ粒子について、実施例1と同様にして、収率、組成、体積平均粒径および分布(変動係数)、保磁力の測定を行った。結果を以下に示す。
【0083】
組成:Pt23.1at%のFePt合金、収率:25%、
体積平均粒径:3.9nm、変動係数:33%、
保磁力(電気炉550℃、30分加熱後):49.77kA/m(630Oe)
【0084】
〔比較例2〕
逆ミセル溶液(I)と逆ミセル溶液(II)とを60℃で、マグネチックスターラー攪拌により還元反応させ、そのままの温度で20分間熟成した以外は、実施例1と同様にして、FePtナノ粒子分散液を調製した。
得られたナノ粒子について、実施例1と同様にして、収率、組成、体積平均粒径および分布(変動係数)、保磁力の測定を行った。結果を以下に示す。
【0085】
組成:Pt52.0at%のFePt合金、収率:19%、
平均粒径:4.8nm、変動係数:41%、
保磁力(電気炉550℃、30分加熱後):120.08kA/m(1520Oe)
【0086】
〔比較例3〕
逆ミセル溶液(I)と逆ミセル溶液(II)において、水と界面活性剤と質量比が30となるようにし、室温(約25℃)で、マグネチックスターラー攪拌により還元反応させ、10分後に50℃で60分間熟成した以外は、実施例1と同様にしてFePtナノ粒子分散液を調製した。
得られたナノ粒子について、実施例1と同様にして、収率、組成、体積平均粒径および分布(変動係数)、保磁力の測定を行った。結果を以下に示す。
【0087】
組成:Pt47.2at%のFePt合金、収率:45%、
体積平均粒径:4.1nm、変動係数:30%、
保磁力(電気炉550℃、30分加熱後):153.26kA/m(1940Oe)
【0088】
上記、実施例1〜5のナノ粒子は、比較例1〜3と比較して、高い収率で処方値に近い組成が得られた。また、粒径分布の変動係数が小さく単分散であり、加熱後の保磁力が高いなどの優位性を持っていることが明らかとなった。
【0089】
実施例1〜5および比較例1〜3で調製したナノ粒子分散液を、厚さ200nmのカーボンからなる層をスパッタリングにより形成したガラス基板(支持体)のスパッタ面上に、スピンコート法により塗布した。塗布量は、それぞれ0.4g/m2とした。
【0090】
塗布後、それぞれのガラス基板について、電気炉(500℃、30分間)にてアニール処理を施して磁気記録媒体(磁性層の厚さ:40nm)を作製した。なお、別に、実施例5で調製されたナノ粒子分散液を塗布したガラス基板については、250℃、30分間のアニール処理を施して磁気記録媒体も作製した。
作製したそれぞれの磁気記録媒体について、東英工業製の高感度磁化ベクトル測定機と同社製DATA処理装置を使用し、印加磁場790kA/m(10kOe)の条件で、保磁力(Hc)の測定を行った。
結果を下記表1に示す。
【0091】
【表1】
【0092】
表1から明らかなように、本発明の金属ナノ粒子(実施例1〜5)は、塗布状態での加熱処理でも高い保磁力を示すことが確認された。
【0093】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、互いに凝集しにくく、塗布適性に優れ、粒子のサイズおよび組成が制御可能なナノ粒子と該ナノ粒子を製造する方法を提供することができる。また、本発明によれは、ナノ粒子を磁性層として含有させることで、硬磁性を示す磁気記録媒体を提供することができる。
Claims (5)
- 界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と還元剤水溶液とを混合した逆ミセル溶液(I)に、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と金属塩水溶液とを混合した逆ミセル溶液(II)を添加して還元反応を行う還元工程と、還元反応終了後に昇温して熟成する熟成工程と、を有するナノ粒子の製造方法であって、
前記逆ミセル溶液(I)および逆ミセル溶液(II)のそれぞれの溶液中の水と界面活性剤との質量比(水/界面活性剤)が20以下であり、
前記金属塩水溶液に含有される金属塩としては、作製しようとするナノ粒子がCuAu型あるいはCu 3 Au型強磁性規則合金を形成し得るように選択され、
前記還元反応の温度が−5〜30℃の範囲で一定であり、
前記熟成の温度が前記還元反応の温度より高く、30〜90℃の範囲で一定であり、さらに、前記熟成の時間が5〜180分、
であることを特徴とするナノ粒子の製造方法。 - 前記熟成を行った後、水と1級アルコールとの混合溶液で熟成後の溶液を洗浄し、その後、1級アルコールで沈殿化処理を施して沈殿物を生成させ、該沈殿物を有機溶媒で分散させる洗浄・分散工程を含むことを特徴とする請求項1に記載のナノ粒子の製造方法。
- 前記逆ミセル溶液(I)および(II)の少なくともいずれかに、アミノ基またはカルボキシ基を1〜3個有する少なくとも1種の分散剤を、作製しようとする金属ナノ粒子1モル当たり、0.001〜10モル添加することを特徴とする請求項1または2に記載のナノ粒子の製造方法。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のナノ粒子の製造方法により製造されたことを特徴とするナノ粒子。
- 少なくとも、支持体上に磁性層が形成された磁気記録媒体であって、
前記磁性層が、請求項4に記載のナノ粒子を分散した分散液が支持体上に塗布され、アニール処理が施されて形成されていることを特徴とする磁気記録媒体。
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