JP2005183898A - 磁性粒子およびその製造方法、並びに、磁気記録媒体 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 強磁性規則合金相を有する磁性粒子であって、表面が有機物に接触してなることを特徴とする磁性粒子である。
また、強磁性規則合金相を有する磁性粒子であって、強磁性規則合金相を形成し得る合金粒子を作製し、溶媒中でアニール処理を施してなることを特徴とする磁性粒子である。
強磁性規則合金相を有する磁性粒子の製造方法であって、
強磁性規則合金相を形成し得る合金粒子を作製し、該合金粒子に酸化処理を施した後、溶媒中でアニール処理を施すことを特徴とする磁性粒子の製造方法である。
磁性層を有する磁気記録媒体であって、前記磁性層が、既述の磁性粒子を含有してなることを特徴とする磁気記録媒体である。
【選択図】 なし
Description
磁気記録密度向上に有望な磁性粒子の素材としては、CuAu型またはCu3Au型強磁性規則合金がある(例えば、特許文献1参照)。前記強磁性規則化合金は規則化時に発生する歪みのために結晶磁気異方性が大きく、磁性粒子のサイズを小さくしても強磁性を示すことが知られている。
すなわち、本発明は、CuAu型またはCu3Au型強磁性規則合金相を有する磁性粒子であって、表面が有機物に接触してなることを特徴とする磁性粒子である。当該磁性粒子は、第3元素が含有されてなることが好ましい。
前記合金粒子は逆ミセル法により作製されることが好ましい。そして、前記溶媒中でのアニール処理を施す前に、酸化処理を施すことが好ましい。
前記支持体は、有機物支持体であることが好ましい。
さらに、導電層が少なくとも1層形成されてなることが好ましい。
また、前記磁性層が形成されていない側の前記支持体上には、バック層が形成されてなることが好ましい。
本発明の第1の磁性粒子は、CuAu型またはCu3Au型強磁性規則合金相を有する磁性粒子であって、その表面が有機物に接触してなる。
本発明の第1の磁性粒子は、それぞれの磁性粒子の表面に有機物が接触してなる、すなわち、磁性粒子の表面に有機物が存在するため、磁性粒子同士が直接接触することがない。従って、支持体上に塗布した状態でアニール処理を施して作製された磁性粒子よりも、凝集する可能性が低くなるため、磁気記録媒体の磁性層などに使用しても高分散な状態を維持することができる。
なお、かかる第1の磁性粒子は、後述するような本発明の製造方法により作製することができる。
また、溶媒中でアニール処理を施すので、気相中でアニール処理を施して磁性粒子を作製するよりも、均一に強磁性化された磁性粒子が得られる。
なお、「有機物」の意義については、第1の磁性粒子と同様である。
本発明の磁性粒子の製造方法は、強磁性規則合金相を形成し得る合金粒子を液相法等により作製し(合金粒子作製工程)、合金粒子作製後(酸化処理が施される場合は、酸化処理工程後)に溶媒中でアニール処理を施す(アニール処理工程)ものである。
以下、上記各工程を説明しながら、本発明の磁性粒子の製造方法について説明する。
アニール処理により磁性粒子となる合金粒子は、液相法により製造することができる。液相法としては、従来から知られている種々の方法を適用することができるが、これらに改良を加えた還元法を適用することが好ましく、還元法のなかでも粒径が制御しやすい逆ミセル法が特に好ましい。
上記逆ミセル法は、少なくとも、(1)2種の逆ミセル溶液を混合して還元反応を行う還元工程と、(2)還元反応後に所定温度で熟成する熟成工程と、を有する。
以下、各工程について説明する。
まず、界面活性剤を含有する非水溶性有機溶媒と還元剤水溶液とを混合した逆ミセル溶液(I)を調製する。
非水溶性有機溶媒中の界面活性剤量は、20〜200g/リットルであることが好ましい。
アルカンとしては、炭素数7〜12のアルカン類であることが好ましい。具体的には、ヘプタン、オクタン、イソオクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン等が好ましい。
エーテルとしては、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジブチルエーテル等が好ましい。
アルコールとしては、エトキシエタノール、エトキシプロパノール等が好ましい。
水溶液中の還元剤量は、金属塩1モルに対して、3〜50モルであることが好ましい。
界面活性剤および非水溶性有機溶媒の条件(使用する物質、濃度等)については、逆ミセル溶液(I)の場合と同様である。
なお、逆ミセル溶液(I)と同種のものまたは異種のものを使用することができる。また、逆ミセル溶液(II)溶液中の水と界面活性剤との質量比も逆ミセル溶液(I)の場合と同様であり、逆ミセル溶液(I)の質量比と同一としてもよく、異なっていてもよい。また、逆ミセル溶液(II)溶液とともに、目的に応じて、上記質量比や使用原料を変えた逆ミセル溶液(II’)、(II’’)等を調製し、これらを併用してもよい。
ここで、当該CuAu型強磁性規則合金としては、FeNi、FePd、FePt、CoPt、CoAuなどが挙げられ、なかでもFePd、FePt、CoPtであることが好ましい。
Cu3Au型強磁性規則合金としては、Ni3Fe、FePd3、Fe3Pt、FePt3、CoPt3、Ni3Pt、CrPt3、Ni3Mnが挙げられ、なかでもFePd3、FePt3、CoPt3、Fe3Pd、Fe3Pt、Co3Ptが好ましい。
還元温度を−5〜30℃とすることで、水相が凝結して還元反応が不均一になるといった問題を解消し、凝集または沈殿が起こりやすく系が不安定となる問題をも解消することができる。好ましい還元温度は0〜25℃であり、より好ましくは5〜25℃である。
ここで、前記「一定温度」とは、設定温度をT(℃)とした場合、当該TがT±3℃の範囲にあることをいう。なお、このようにした場合であっても、当該Tの上限および下限は、上記還元温度(−5〜30℃)の範囲にあるものとする。
好ましい攪拌装置は高剪断力を有する攪拌装置であり、詳しくは、攪拌羽根が基本的にタービン型あるいはパドル型の構造を有し、さらに、その羽根の端もしくは、羽根と接する位置に鋭い刃を付けた構造であり、羽根をモーターで回転させる攪拌装置である。具体的には、ディゾルバー(特殊機化工業製)、オムニミキサー(ヤマト科学製)、ホモジナイザー(SMT製)などの装置が有用である。これらの装置を用いることにより、単分散な合金粒子を安定な分散液として合成することができる。
添加量が、0.001〜10モルとすることで、合金粒子の単分散性をより向上させながら、凝集の発生を抑制することができる。
構造式としては、R−NH2、NH2−R−NH2、NH2−R(NH2)−NH2、R−COOH、COOH−R−COOH、COOH−R(COOH)−COOH、R−SO3H、SO3H−R−SO3H、SO3H−R(SO3H)−SO3H、R−SO2H、SO2H−R−SO2H、SO2H−R(SO2H)−SO2Hで表される化合物であり、式中のRは直鎖、分岐または環状の飽和、不飽和の炭化水素である。
エルカ酸やリノール酸など類似の長鎖カルボン酸もオレイン酸同様に(たとえば、8〜22の間の炭素原子を有する長鎖有機酸を単独でまたは組み合わせて用いることができる)用いられる。オレイン酸は(オリーブ油など)容易に入手できる安価な天然資源であるので好ましい。また、オレイン酸から誘導されるオレイルアミンもオレイン酸同様有用な分散剤である。
還元反応終了後、反応後の溶液を熟成温度まで昇温する。
前記熟成温度は、30〜90℃で一定の温度とすることが好ましく、その温度は、前記還元反応の温度より高くする。また、熟成時間は、5〜180分とすることが好ましい。熟成温度および時間が上記範囲にあることで、凝集または沈殿を防ぎ、不完全な反応による組成変化を防ぐことができる。好ましい熟成温度および時間は40〜80℃および10〜150分であり、より好ましい熟成温度および時間は40〜70℃および20〜120分である。
すなわち、卑な金属上でのみ貴な金属の還元が起こり、卑な金属と貴な金属とが別々に析出することが無いため、効率良くCuAu型あるいはCu3Au型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子を、高収率で処方組成比どおりに作製することが可能で、所望の組成に制御することができる。また、熟成の際の温度の撹拌速度を適宜調整することで、得られる合金粒子の粒径を所望なものとすることができる。
かかる洗浄・分散工程を設けることで、不純物が除去され、磁気記録媒体の磁性層を塗布により形成する際の塗布性をより向上させることができる。
上記洗浄および分散は、少なくともそれぞれ1回、好ましくは、それぞれ2回以上行う。
水の比率が高いと、界面活性剤が除去されにくくなることがあり、逆に1級アルコールの比率が高いと、凝集を起こしてしまうことがある。
当該合金粒子は、単分散であるため、支持体に塗布しても、これらが凝集することなく均一に分散した状態を保つことができる。従って、アニール処理を施しても、それぞの合金粒子が凝集することがないため、効率良く強磁性化することが可能で、塗布適性に優れる。
還元法でCuAu型あるいはCu3Au型強磁性規則合金を形成し得る合金粒子を作製するには種々の方法があるが、少なくとも、酸化還元電位が卑な金属(以下、単に「卑な金属」ということがある)と、酸化還元電位が貴な金属(以下、単に「貴な金属」ということがある)と、を有機溶剤もしくは水、または有機溶剤と水との混合溶液中で還元剤等を使用して還元する方法を適用することが好ましい。
卑な金属と貴な金属との還元順序は、特に限定されず、同時に還元してもよい。
なお、CuAu型あるいはCu3Au型強磁性規則合金の例としては、既述の逆ミセル法の場合と同様である。
また、貴な金属を先に析出させて合金粒子を調製する方法としては、特願2001−269255号の段落18〜30等に記載の方法等を適用することができる。
酸化還元電位は系のpHに依存するが、酸化還元電位が−0.2V(vs.N.H.E)より貴な還元剤には、1,2−ヘキサデカンジオール等のアルコール類、グリセリン類、H2、HCHOが好ましく用いられる。
−0.2V(vs.N.H.E)より卑な還元剤にはS2O6 2-、H2PO2 -、BH4 -、N2H5 +、H2PO3 -が好ましく用いる事ができる。
なお、卑な金属の原料として、Feカルボニル等の0価の金属化合物と用いる場合は、特に卑な金属の還元剤は必要ない。
前記ポリマーとしては、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリN−ビニル−2ピロリドン(PVP)、ゼラチン等が挙げられる。なかでも、特に好ましくはPVPである。
また、分子量は2万〜6万が好ましく、より好ましくは3万〜5万である。ポリマーの量は生成する合金粒子の質量の0.1〜10倍であることが好ましく、0.1〜5倍がより好ましい。
粒子サイズ(粒径)を大きくする方法としては種晶法が有効である。磁気記録媒体として用いるには合金粒子を最密充填することが記録容量を高くする上で好ましく、そのためには、合金粒子のサイズの標準偏差は10%未満が好ましく、より好ましくは5%以下である。
以上のような還元法により合金粒子含有液が作製される。
酸化処理工程は、合金粒子作製工程とアニール処理工程との間に、適宜設けられる工程で、合金粒子に酸化処理を施す工程である。作製した合金粒子に酸化処理を施すことで、後の溶媒中でアニール処理を施す際の温度を高くすることなく、強磁性を有する磁性粒子を効率よく製造することができる。これは、以下に説明する現象によると考えられる。
すなわち、まず、合金粒子を酸化することで、その結晶格子上に酸素が進入する。酸素が進入した状態でアニール処理を行うと、熱により酸素が結晶格子上から脱離する。酸素が脱離することで欠陥が生じ、かかる欠陥を通じて合金を構成する金属原子の移動が容易になるため、比較的低温でも相変態が起こりやすくなると考えられる。
例えば、Fe−Pt合金粒子で酸化処理を施さない合金粒子では、Fe原子と、Pt原子やFe原子との結合の存在が確認できる。
これに対し、酸化処理を施した合金粒子では、Fe原子と酸素原子との結合の存在を確認できる。しかし、Pt原子やFe原子との結合はほとんど見えなくなる。このことは、酸素原子によりFe−Pt、Fe−Feの結合が切られていることを意味する。これによりアニール時にPt原子やFe原子が動きやすくなったと考えられる。
そして、当該合金粒子にアニール処理を施した後は、酸素の存在を確認することができず、Fe原子の周りにはPt原子やFe原子との結合の存在が確認できる。
よって、合金粒子の酸化状態を制御することが重要となり、そのためには酸化処理条件を最適なものに設定する必要がある。
このときの酸素分圧は、全圧の10〜100%とすることが好ましく、15〜50%とすることが好ましい。
また、酸化処理温度は、0〜250℃とすることが好ましく、0〜100℃とすることがより好ましく、15〜80℃とすることがさらに好ましい。
酸化処理は酸素存在下たとえば空気中で粒子分散液を攪拌して行ってもよいし、これらの気体を液中に送り込みバブリングして行ってもよい。
酸化処理を施した合金粒子は不規則相である。既述のように不規則相では強磁性は得られない。そこで、規則相とするためには、熱処理(アニール処理)を施す必要がある。本発明においてアニール処理は溶媒中で行う。これにより分散状態で粒子を得る事が出来るからである。また、再分散を必要とせずに塗布を行う事が出来る。アニール処理は、150℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましく、300℃以上がさらに好ましく、350℃以上が特に好ましく、リフラックスにより行う事が好ましい。時間は30分〜6時間であることが好ましく、1〜4時間であることがより好ましい。
有機溶媒は、合金粒子1mgあたり、100〜1000mlとすることが好ましく、200〜500mlでリフラックス処理することがより好ましい。
また、当該磁性粒子の粒径は1〜100nmであることが好ましく、3〜20nmであることがより好ましく、3〜10nmであることがさらに好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、支持体上に形成された磁性層に本発明の磁性粒子を含有してなることを特徴とする。
当該磁気記録媒体としては、ビデオテープ、コンピューターテープ等の磁気テープ;フロッピー(R)ディスク、ハードディスク等の磁気ディスク;等が挙げられる。
なお、有機物支持体は、一般的に耐熱性に問題があるが、本発明では支持体上に塗布する前に、既述のようなアニール処理を施しているため、有機物支持体の耐熱性が問題とならない。従って、反りや変質のない良好な磁気記録媒体を作製することが可能となる。
このときの磁性粒子の含有量は所望の濃度(0.01〜0.1mg/ml)とすることが好ましい。
本発明の磁気記録媒体は、磁性層にすでの強磁性化された磁性粒子を含有するため、支持体上に塗布した後に高温でのアニール処理をする必要がない。従って、高温による磁性粒子の凝集がなく、磁性粒子が高分散な状態で磁性層中に存在する磁気記録媒体とすることができる。
なお、支持体と磁性層との間には密着性向上のための下塗層を設けてもかまわない。下塗層の厚みは0.005〜0.5μmが好ましく、0.01〜0.5μmがより好ましく、0.02〜0.5μmであることがさらに好ましい。
例えば、ディスクの場合、磁性層の反対側の面にさらに磁性層や非磁性層を設けることが好ましい。テープの場合、磁性層の反対側の不溶性支持体面上にバック層を設けることが好ましい。
以下、保護膜、バック層、導電層について詳説する。
保護膜の材質としては、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケルなどの酸化物;窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素などの窒化物;炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等の炭化物;グラファイト、無定型カーボンなどの炭素(カーボン);等があげられるが、特に好ましくは、一般に、ダイヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質の非晶質のカーボンである。
カーボン保護膜の形成方法として、ハードディスクにおいては、スパッタリング法が一般的であるが、ビデオテープ等の連続成膜を行う必要のある製品ではより成膜速度の高いプラズマCVDを用いる方法が多数提案されている。従って、これらの方法を適用することが好ましい。
中でもプラズマインジェクションCVD(PI−CVD)法は成膜速度が非常に高く、得られるカーボン保護膜も硬質かつピンホールが少ない良質な保護膜が得られると報告されている(例えば、特開昭61−130487号公報、特開昭63−279426号公報、特開平3−113824号公報等)。
そして、カーボン保護膜として、ダイヤモンド状炭素(ダイヤモンドライクカーボン)膜を使用した場合、この構造はラマン光分光分析によって確認することができる。すなわち、ダイヤモンド状炭素膜を測定した場合には、1520〜1560cm-1にピークが検出されることによって確認することができる。炭素膜の構造がダイヤモンド状構造からずれてくるとラマン光分光分析により検出されるピークが上記範囲からずれるとともに、保護膜としての硬度も低下する。
また、この保護膜と基板となる磁性層の密着性を改善するために、あらかじめ磁性層表面を不活性ガスでエッチングしたり、酸素等の反応性ガスプラズマに曝して表面改質する事が好ましい。
パーフルオロポリエーテル基としては、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピレンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフルオロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)CF2O)nまたはこれらの共重合体等である。
さらに、この分子量は、500〜5000、好ましくは1000〜3000である。500〜5000とすることで、揮発を抑え、また潤滑性の低下を抑えることができる。また、粘度が高くなるのを防ぎ、スライダーとディスクが吸着しやすなって走行停止やヘッドクラッシュなどを発生するのを防ぐことができる。
このパーフルオロポリエーテルは、具体例的には、アウジモンド社製のFOMBLIN、デュポン社製のKRYTOXなどの商品名で市販されている。
既述のように、磁気記録媒体が磁気テープ等の場合は、支持体の磁性層が形成されていない面側にバック層が設けられていてもよい。繰り返し走行性が強く要求される磁気記録媒体では、高い走行耐久性が要求されることがある。そこで、バック層を形成することで、高い耐久性を実現することができる。
バック層は、非磁性支持体の磁性層が形成されていない面に、研磨材、帯電防止剤などの粒状成分と結合剤とを公知の有機溶剤に分散したバック層形成塗料を塗布して設けられる層である。バック層の厚みは、0.1〜4μmであることが好ましく、0.2〜2.0μmであることがより好ましく、0.2〜0.5μmであることがさらに好ましい。
粒状成分としては各種の無機顔料やカーボンブラックを使用することができ、また結合剤としてはニトロセルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウレタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用することができる。
また、合金粒子含有液の塗布面およびバックコート層が形成される面には、公知の接着剤層が設けられていてもよい。
また、粗粒子カーボンブラックの具体的な製品名としては、サーマルブラック(270nm)(カーンカルブ社製);RAVEN MTP(275nm)(コロンビアカーボン社製);を挙げることができる。
本発明の磁気記録媒体において導電層を設ける場合、当該導電層は、非磁性支持体の少なくとも一方の面側に設ければよいが、磁性層の上に導電層を設けると磁性層とヘッドの間に間隔があき、スペーシングロスにより出力が下がることから、支持体と磁性層との間に導電層を設けることが好ましい。磁性層を片側のみ設ける場合は、磁性層と同じ側に導電性層を設けても、反対側の面に導電層を設けてもよい。反対側に導電層を設ける場合は、磁性層をアニールするような場合、アニール後に設けることも可能であることから、耐熱性を考慮する必要がなくなることから素材選択の幅が広くなり好ましい。また、支持体の端面に導電層を設けてもよい。導電層を形成することで、静電気による埃の付着などを抑制することができる。
なお、既述のバックコート層は、導電層としての機能を果たす場合がある。逆に、当該導電層が既述のバックコート層としての機能を果たす場合がある。
このような表面を得る方法として、磁性層を形成した後にカレンダー処理を施す方法が挙げられる。また、バーニッシュ処理を施してもよい。
また、磁気記録媒体の表面電気抵抗としては、1010Ω/sq以下が好ましく、109Ω/sq以下がより好ましい。
(FePtCu合金粒子の作製)
高純度N2ガス中で下記の操作を行った。
三シュウ酸三アンモニウム鉄(Fe(NH4)3(C2O4)3)(和光純薬製)0.35gと塩化白金酸カリウム(K2PtCl4)(和光純薬製)0.35gとをH2O(脱酸素処理済み)24mlに溶解した金属塩水溶液に、エーロゾルOT10.8gをデカン80mlに溶解したアルカン溶液を添加、混合して逆ミセル溶液(II)を調製した。
合金粒子が4質量%となるように真空脱気を行って、調製した合金粒子含有液を濃縮した。濃縮後、雰囲気を常圧にし合金粒子を酸化するため、酸素ガスを合金粒子含有液中に供給した。なお、酸素ガスの供給温度および時間は、25℃および1分間とした。
合金粒子0.4mgを含む酸化処理を施した合金粒子含有液(10ml)を、下記表1記載の溶媒(100ml)中で360℃で90分間リフラックス処理を行い(アニール処理)、表面が有機物に接触してなる磁性粒子を作製した。この後、5000rpmで遠心分離処理を行い、表面が有機物に接触してなる磁性粒子を分離した。
アニール処理における溶媒を、トリエタノールアミンからトリオクチルアミンへ変更した以外は、実施例1と同様にして磁性粒子を作製した。
アニール処理における溶媒を、トリエタノールアミンからテトラデカンとエチレングリコールとの1:1(体積比)溶液とし、リフラックスにアニール処理温度を250℃とした以外は実施例1と同様にして磁性粒子を作製した。
酸化処理を行わなかった以外は実施例1と同様にして磁性粒子を作製した。
酸化処理を行わなかった以外は実施例2と同様にして磁性粒子を作製した。
逆ミセル溶液(I’)および(II’)を添加しなかった以外は実施例1と同様にして磁性粒子を作製した。
逆ミセル溶液(I’)および(II’)を添加しなかった以外は実施例2と同様にして磁性粒子を作製した。
アニール処理を施さなかった以外は、実施例1と同様にして磁性粒子を作製した。
アニール処理を施さなかった以外は、実施例6と同様にして磁性粒子を作製した。
なお、磁気特性の評価(保磁力の測定)は、東英工業製の高感度磁化ベクトル測定機と同社製DATA処理装置を使用し、印加磁場790kA/m(10kOe)の条件で行った。
結晶構造の解析は、理学電機製のX線回折装置を用い、管電圧50kV、管電流300mAとし、線源にCuKα線を使用しゴニオメーターを用いた粉末法で行った。結果を下記表1に示す。
また、酸化処理を施すことで、より高い保磁力が得られ、第3元素(Cu)を添加することでさらに高い保磁力が得られることが確認できた。
実施例3で作製した磁性粒子分散物を磁性粒子が4重量%となうように真空脱気を行い、磁性粒子分散液Aを調製した。その後、マトリックス剤として東レ製トレフィルR910をデカン溶液に溶解して1重量%とした溶液を、磁性粒子分散液A1mlあたり54マイクロリットル加え攪拌した後、クリーンルーム内でフィルターろ過を行い磁性粒子分散液Bを調製した。
それぞれの磁性層表面に400WのRfスパッタでカーボン保護層を形成した。この時の膜厚は10nmであった。
下記のバーニッシュヘッドを用い、媒体を7200rpmで回転させながらバーニッシュ処理を行った。
−バーニッシュヘッド仕様(グライドシグナス社)−
(1)スライダー:24pads、
(2)荷重:5g、
(3)サスペンション:Type 2030、
(4)Z−height:29mil(0.7366mm)。
上記バーニッシュ処理を施した媒体表面をフロリナートFC72(住友スリーエム社製)で洗浄後乾燥した。フォンブリンZゾル(アウジモント社製)を溶媒(フロリナートFC72)で1重量%とした後、磁気記録媒体をディップコータで10mm/minで引き上げながら塗布した。
記録媒体の回転数は7200rpmにて電磁変換特性が評価可能かを調べ、いずれの磁気記録媒体も原理的に記録再生できる事を確認した。
実施例8で作製した磁性粒子分散液Aに下記材料を混合して、磁性層用塗料を調製した。
・ポリウレタン樹脂UR8200(東洋紡社製):3質量部
・α−アルミナHIT55(住友化学社製):2質量部
・カーボンブラック♯55(旭カーボン社製):1質量部
・ブチルステアレート:1質量部
・ステアリン酸:5質量部
・メチルエチルケトン:l00質量部
・シクロヘキサノン:20質量部
・トルエン:60質量部
なお、上記材料の混合量は、磁性粒子100質量部に対する量である。
・非磁性粉末〜TiO2(結晶系はルチル):80質量部
なお、上記非磁性粉末の平均一次粒子径は0.035μmであり、BET法による比表面積は40m2/g、TiO2含有量は90%以上、pHは7、DBP吸油量は27〜38g/100g、表面処理剤(A12O3)は8質量%であった。
・カーボンブラック:20質量部
なお、製品名はコンダクテックスSC−U(コロンビアンカーボン社製)である。
・塩化ビニル共重合体MRI10(日本ゼオン社製):12質量部
・ポリウレタン樹脂:UR8200(東洋紡社製):5質量部
・フェニルホスホン酸:4質量部
・ブチルステアレート:1質量部
・ステアリン酸:3質量部
・カーボンブラック(平均粒子サイズ:17μm):100部
・炭酸カルシウム(平均粒子サイズ:40μm):80部
・α−アルミナ(平均粒子サイズ:200μm):5部
上記材料をニトロセルース樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイソシアネー卜に分散し塗布した。具体的には、3.8mm幅にスリットし、スリット品の送り出し、巻き取り装置を持った装置に不織布とカミソリブレードが磁性面に押し当たるように取り付け、テープクリーニング装置で磁性層の表面のクリーニングを行い、テープ試料(磁気記録媒体)とした。
バック層を形成しなかったこと以外は、実施例10と同様にして磁気記録媒体を作製した。
なお、磁気特性は、東英工業製の高感度磁化ベクトル測定機と同社製DATA処理装置を使用し、印加磁場15kOeで測定した。
また、粒子径は、日立製作所製の透過電子顕微鏡(TEM:加速電圧300kV)で評価した。
粒子径はいずれも5nmであった。
さらに、デジタル表面電気抵抗メーターTR−861lA(タケダ理研(株)製を用いて、表面電気抵抗(測定環境が23℃70%RH)を測定した。結果を下記表3に示す。
実施例10,11および参考例のそれぞれの磁気記録媒体に対して、23℃50%RH環境下にて、摺動部材にφ4mmのSUS420Jを用い、バック層の表面が摺動部材に当たるようにして、10gの荷重で、ラップ角180度、速度18mm/minで500回擦った。そして、バック層の表面を200倍の光学顕微鏡で観察し傷の有無を調べた。結果を下記表3に示す。
Claims (12)
- CuAu型またはCu3Au型強磁性規則合金相を有する磁性粒子であって、表面が有機物に接触してなることを特徴とする磁性粒子。
- CuAu型またはCu3Au型強磁性規則合金相を有する磁性粒子であって、
CuAu型またはCu3Au型強磁性規則合金相を形成し得る合金粒子を作製し、溶媒中でアニール処理を施してなることを特徴とする磁性粒子。 - 前記合金粒子が逆ミセル法により作製されてなることを特徴とする請求項2に記載の磁性粒子。
- 前記溶媒中でのアニール処理を施す前に、酸化処理が施されてなることを特徴とする請求項2または3に記載の磁性粒子。
- さらに、第3元素が含有されてなることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の磁性粒子。
- CuAu型またはCu3Au型強磁性規則合金相を有する磁性粒子の製造方法であって、
CuAu型またはCu3Au型強磁性規則合金相を形成し得る合金粒子を作製し、溶媒中でアニール処理を施すことを特徴とする磁性粒子の製造方法。 - 前記合金粒子が逆ミセル法により作製されることを特徴とする請求項6に記載の磁性粒子の製造方法。
- 前記溶媒中でのアニール処理を施す前に、酸化処理を施すことを特徴とする請求項6または7に記載の磁性粒子の製造方法。
- 支持体上に磁性層を有する磁気記録媒体であって、前記磁性層が、請求項1〜5のいずれかに記載の磁性粒子を含有してなることを特徴とする磁気記録媒体。
- 前記支持体が、有機物支持体であることを特徴とする請求項9に記載の磁気記録媒体。
- さらに、導電層が少なくとも1層形成されてなることを特徴とする請求項9または10に記載の磁気記録媒体。
- 前記磁性層が形成されていない側の前記支持体上に、バック層が形成されてなることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載の磁気記録媒体。
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