JP2005175289A - 磁性材料及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 磁気デバイスの高性能化に資する磁性材料を提供すること。
【解決手段】 本発明の磁性材料製造方法は、次の工程:(a)沸点200℃以上の有機溶媒中に、強磁性を示す金属を構成元素とする有機金属化合物と、多価アルコールと、少なくとも一種のアニオン界面活性剤とを含む組成液を用意する工程、ここで前記組成液中に含まれる強磁性金属元素(M)とアニオン界面活性剤(A)とのモル比(A/M)は3≦A/M<6の範囲内に設定され、且つ、強磁性金属元素(M)と多価アルコール(P)とのモル比(P/M)は5<P/M<15の範囲内に設定される;(b)前記組成液を非酸化条件下で加熱することによって、還元された前記強磁性金属元素から成る磁性金属微粒子であって形状磁気異方性を有する非球状磁性金属微粒子を形成する工程;及び(c)前記磁性金属微粒子を回収する工程;を包含する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、強磁性材料の製造に関し、特に、ナノサイズの磁性金属微粒子及び該微粒子から構成され磁気異方性を有する強磁性成形体の製造に関する。
MRAM(Magnetic Random Access Memory)等の磁気記録媒体、その他のマイクロ磁気デバイスを高性能化するための一手段として、それら電子部品を構成する磁性材料の微細化が挙げられる。例えば、強磁性体はその質量が同じ場合、磁性体を構成する粒子サイズを小さくすることによってノイズを低下させ、磁気記録密度をより高くすることが可能となる。
従来、この種の磁性材料の開発では、上述の磁気特性の粒子サイズ依存性を念頭に、磁性粒子の平均粒子サイズを精密に制御することに主眼が置かれてきた。例えば、特許文献1、特許文献2及び非特許文献1には、強磁性を示す金属を構成元素とする化合物を含む溶液中から粒子サイズ1〜20nm程度に制御された所謂ナノサイズの磁性金属微粒子を形成する方法が記載されている。
特開2000−54012号公報 特開2003−239006号公報 サイエンス(SCIENCE)、2000年3月17日、第287巻、p.1989−1992 サイエンス(SCIENCE)、2002年12月13日、第298巻、p.2176−2179 サイエンス(SCIENCE)、1996年6月28日、第272巻、p.1924−1926 ネイチャー(NATURE)、2000年3月2日、第404巻、p.59−61
磁性金属微粒子(磁性ナノ粒子)の磁気特性は、粒子サイズのみならず、その形状にも大きく影響される。即ち、磁性体の結晶方位及び形状に依存した磁気異方性(それぞれ、結晶磁気異方性及び形状磁気異方性とよばれている。)が発現する。このため、それらを正確に制御することにより、所望する磁気特性を有する高性能磁性材料を提供することが実現される。例えば、棒状の磁性ナノ粒子では、長軸方向に磁化が向きやすく、同程度のサイズの球状粒子に比べて強磁性状態がより安定化されるという特徴を持つ。また、将来の超高密度磁気記録媒体の候補としてサイズの揃った磁性ナノ粒子を磁気的に断絶しながら規則配列させた超格子構造体が有力視されている。
しかしながら、従来の技術で製造される磁性ナノ粒子はいずれも球形であるため、当該ナノ粒子が規則配列しても個々の粒子の結晶方位はランダムになってしまい、データを書き込む際の反転磁場の不均一化や読み出す際のノイズの増大といった問題を抱えている。理想的には、磁化の向きやすい結晶方位(磁化容易軸)を全ての粒子に関して一方向に揃えてやることが望ましいが、これまでそのような高度な構造制御法は確立されていなかった。なお、上記非特許文献2〜4には、貴金属や半導体から成るナノ粒子の形状制御合成方法が記載されているが、これら文献に記載の方法は、鉄、コバルト、ニッケル等の強磁性金属元素(典型的にはこれら鉄属元素)から成るナノ粒子の合成には適さない。
本発明は、上述した課題を解決すべく創出されたものであり、その目的とするところは、高密度磁気記録媒体等の高性能磁気デバイスを構築するのに適した磁性金属微粒子(ナノ粒子)ならびに該微粒子から成る結晶磁気異方性及び/又は形状磁気異方性を有する磁性体(典型的には強磁性体)を提供することである。また、それら磁性材料の製造方法を提供することである。
本発明は、次の磁性材料製造方法を提供する。すなわち、本明細書で開示される一つの方法は、ナノサイズ(1μm以下、典型的には1〜100nm程度のサイズ)の微粒子状磁性材料を製造する方法である。この方法は、(1)沸点200℃以上の有機溶媒中に、強磁性を示す金属を構成元素とする有機金属化合物と、多価アルコール(還元剤)と、少なくとも一種のアニオン界面活性剤(水中で電離した際に有機陰イオンとなり得る両親媒性分子をいう。)とを含む組成液を用意する工程と、(2)前記組成液を非酸化条件下で加熱することによって還元された前記強磁性金属元素から成る磁性金属微粒子であって形状磁気異方性を有する非球状磁性金属微粒子を形成する工程と、そして典型的には(3)前記磁性金属微粒子を回収する工程とを包含する。
この方法で使用する組成液は、該液中に含まれる強磁性金属元素(M)とアニオン界面活性剤(A)とのモル比(A/M)が3≦A/M<6の範囲内に設定されており、且つ、強磁性金属元素(M)と多価アルコール(P)とのモル比(P/M)が5<P/M<15の範囲内に設定されていることを特徴とする。
本明細書において「非球状磁性金属微粒子」とは、複数の金属原子が集合して成るナノサイズ(典型的には1〜100nm)の微粒子であって電子顕微鏡観察(TEM等)によりその粒子形状について異方性が認められる程度に非球状である微粒子をいう。例えば、一次粒子サイズが1〜50nm程度であり、TEM観察においてほぼ六面体形状(例えば立方体形状)と認められ得る磁性金属微粒子は、ここでいう非球状磁性金属微粒子に包含される典型例である。
上記モル比となるように各成分を混合して得た上記組成液(非水原料溶液)を使用する本発明の製造方法で製造される金属微粒子は概して非球状であり、結果、製造される個々の粒子に磁気異方性を付与することができる。すなわち、本発明の方法によると、磁気モーメントの熱揺動(いわゆる熱揺らぎ)を抑え、高い保磁力を有する高密度磁気記録媒体その他の硬磁性デバイスを構築するのに好適な強磁性金属ナノ粒子から成る粉末状磁性材料を製造することができる。例えば、本発明の製造方法によると、平均粒子サイズが1〜50nmの範囲内にある実質的に六面体形状(より好ましくは平均粒子サイズが5〜30nmの範囲内にある実質的に立方体形状)である磁性金属微粒子を主体に構成される磁性材料を製造することができる。好ましくは前記磁性材料は、そのような六面体形状の磁性金属微粒子(磁性粉末)を適当な液状媒体(典型的には有機溶媒)に分散して成る組成物(即ち磁性粉末を含むインク又はペースト状組成物、或いは磁性流体)として提供される。例えば、本発明によって、非酸化的状態が確保された形態の組成物(例えば不活性ガスが充填され密閉された容器内に保持された有機溶媒に六面体形状の強磁性金属微粒子(Fe等)を分散して成る組成物)が提供される。
ここで開示される磁性材料製造方法として好適な一つの方法は、前記金属微粒子形成工程において、前記組成液を前記有機溶媒の沸点近傍まで加熱することによって前記組成液中に金属核を生成する処理と、前記金属核が生成された組成液を一旦冷却して金属核生成を実質的に終了させた後、該組成液を前記金属核生成処理のときよりも緩やかな昇温速度で再び加熱することによって該組成液中の金属核を非球状磁性金属微粒子に成長させる処理とを包含することを特徴とする。
金属微粒子形成工程において、このように核生成過程と粒子成長過程を分離・独立制御することにより、核生成過多及びそれに起因する粒子相互の無秩序な合体・融合を防止し、粒子のサイズ或いは形状の揃った非球状(好ましくは実質的に六面体形状)ナノ粒子を効率的に製造することができる。このため、高い結晶磁気異方性及び/又は形状磁気異方性を有する強磁性材料を提供することができる。
ここで開示される製造方法に適用される強磁性金属元素としては、鉄属元素(Fe、Ni、Co)が挙げられる。本方法では、強磁性金属元素としてFeを含む有機金属化合物を用いて、磁気異方性の高い鉄系強磁性材料を製造することができる。
また、ここで開示される製造方法に適用される組成液としては、含有する強磁性金属元素(M)と多価アルコール(P)とのモル比(P/M)が7≦P/M≦10の範囲内に設定されたものが好ましい。また、含有する強磁性金属元素(M)とアニオン界面活性剤(A)とのモル比(A/M)が4≦A/M≦5の範囲内に設定されたものが特に好ましい。
このような組成の非水原料溶液を用いると、高密度磁気記録媒体等を製造するのに好適な粒子サイズ(好ましくは5〜30nm)の形状の揃った非球状(典型的には実質的に六面体形状、例えば立方体形状)の磁気異方性の高いナノ粒子を製造することができる。
また、本発明によって提供される好ましい磁性材料製造方法は、ここで開示された方法に従って製造及び回収した磁性金属微粒子(ナノ粒子)を集積して磁気異方性を有する所定形状の強磁性体を形成する工程を更に包含する方法である。ここで開示された方法により製造された高い形状磁気異方性を有する非球状ナノ粒子を集積させる(好ましくは、ナノ粒子をその形状に特有な並び方で規則配列させ、実質的に全ての粒子の結晶方位を揃えるように集積させる)ことによって、高い保持力の硬磁性体を得ることができる。
また、ここで開示された方法によれば、上記組成液中に形成される磁性金属微粒子は単分散であり得る。従って、当該ナノ粒子単分散系を回収し適当な基材上に塗布した際には、粒子同士が凝集することなく均一に分散した状態を保ちつつ集積させることが容易に行える。このため、当該集積物を例えばアニールすることによって、高密度磁気記録媒体等として好適な強磁性体(硬磁性体)を製造することができる。
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。なお、本明細書において特に言及している内容以外の技術的事項であって本発明の実施に必要な事項は、従来技術に基づく当業者の設計事項として把握され得る。本発明は、本明細書及び図面によって開示されている技術内容と当該分野における技術常識とに基づいて実施することができる。
本発明の製造方法では、強磁性元素である鉄属元素のイオン化及び酸化を防止すべく非水系の原料溶液(上記組成液)を使用する。この組成液は、沸点200℃以上の有機溶媒を使用するとともに、その溶媒中に強磁性金属を構成元素とする有機金属化合物と、多価アルコールと、少なくとも一種のアニオン界面活性剤とを含む。
使用する有機溶媒としては、沸点250℃以上の非親水性溶媒、例えばジフェニルエーテル(沸点:259℃)、n−オクチルエーテル(沸点:287℃)等のエーテル類が好ましい。
有機金属化合物としては組成液中で還元剤(後述するアルコール類)の作用を受けて容易に還元され金属原子から成る核を生成し得るものが好ましく、その際に副生成物として毒性物質が生成されないものが特に好ましい。特に制限はされないが、この種の化合物として磁性金属(例えばFe、Ni、Co)と種々の有機配位子との錯体、例えば、有機溶媒によく溶けるアセチルアセトナト錯体(Fe(acac)、Co(acac)、Ni(acac)等)が特に好ましい。
多価アルコールは、還元剤として機能し得るものである限り、特に制限なく用いることができる。種々のポリオール、例えば沸点200℃以上の長鎖ジオール(1,2−オクタンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,2−ヘキサデカンジオール等)を好適に用いることができる。
アニオン界面活性剤は原料液中での粒子の成長及び/又は形態の制御のために使用される。好ましいアニオン界面活性剤として、種々の飽和又は不飽和の長鎖脂肪酸(オレイン酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ミリスチン酸等)が挙げられる。粒子サイズの揃った六面体(好ましくは直方体)形状のナノ粒子を生成するには、C15〜C30程度の長鎖脂肪酸が好ましく、ステアリン酸等の飽和脂肪酸が特に好ましい。
また、脂肪酸のようなアニオン界面活性物質とともに脂肪族アミン(例えばオレイルアミン)若しくは芳香族アミンのようなカチオン界面活性剤(水中で電離した際に有機陽イオンとなる両親媒性分子をいう。)を添加してもよい。この場合、使用するアニオン界面活性剤とカチオン界面活性剤のイオン価を考慮し、ほぼ等価となるように添加することが好ましい。例えば、1価のアニオン界面活性剤に対して1価のカチオン界面活性剤を添加する場合、好ましくはアニオン界面活性剤1モルに対してほぼ等しいモル数(例えば0.8〜1.2モル)添加する。
ここで開示される製造方法では、使用する原料溶液中の有機金属化合物(例えばアセチルアセトナト錯体)を構成する強磁性金属元素とアニオン界面活性剤とのモル比および該金属元素と多価アルコール(典型的には二価アルコール)とのモル比を最適化し、非球状(典型的には電子顕微鏡観察において立方体その他の六面体形状と認識され得る形状)の強磁性ナノ粒子を製造する方法である。
すなわち、原料溶液を用意する際、強磁性金属元素(M)とアニオン界面活性剤(A)とのモル比A/Mは、3以上であって6よりも小さい(3≦A/M<6)範囲内(好ましくは3.5≦A/M≦5.5)に設定されることが適当である。4以上5以下(4≦A/M≦5)の範囲内に設定されることが特に好ましい。
モル比A/Mが3より小さすぎると原料溶液中に生成された微粒子同士の合体・融合が高頻度に発生し得るため適当でない。他方、モル比A/Mが6より大きすぎると異方的な成長が生じ難く、等方的に成長した比較的小さいサイズの球状微粒子が高頻度で形成されるため好ましくない。
また、原料溶液を用意する際、強磁性金属元素(M)と多価アルコール(P)とのモル比P/Mは、5<P/M<15の範囲内に設定されることが適当であり、7≦P/M≦10の範囲内に設定されることが特に好ましい。このようなモル比に設定することにより、アニオン界面活性剤(例えば長鎖脂肪酸)の金属微粒子表面への吸着作用が弱められ、結果、金属微粒子結晶面に依存した選択的(部分的)なアニオン界面活性剤の配位(換言すれば金属微粒子表面のアニオン界面活性剤による保護即ち被覆)が実現され得る。これにより、異方性の付与された粒子成長が促進される。
モル比P/Mが5より小さすぎると還元剤が少ないために十分量の金属核が生成され難いため好ましくない。他方、モル比P/Mが15より大きすぎると金属核の生成過多となりがちであり、微粒子同士の合体・融合も高頻度に発生し得るため好ましくない。
従って、本発明の実施にあたっては先ず上記のモル比となるように、適当な高沸点有機溶媒中に少なくとも一種の有機金属化合物(Fe(acac)等)と多価アルコールと少なくとも一種のアニオン界面活性剤とを添加し混合した組成液を用意するとよい。なお、上記モル比を維持しつつ所定量の有機溶媒に対する各原料の添加量を増減することによって、生成する非球状金属微粒子(例えば鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの合金)の粒子サイズ及び/又は生産量(原料反応液中に分散する粒子密度)を調整することができる。
本発明の方法では、上記のようにして用意した組成液(原料溶液)を使用し、いわゆるアルコール還元法(即ち弱還元剤である多価アルコールで金属イオンを還元する方法)を適用して組成液(原料溶液)中に強磁性金属元素から成る磁性金属微粒子(強磁性ナノ粒子)を形成する。ところで、本発明の製造対象である磁性材料を構成する強磁性金属(典型的には鉄その他の鉄属元素)は、イオン化傾向が大きく且つ酸化雰囲気に弱い。このことから、これら強磁性金属から成る強磁性ナノ粒子(純金属ナノ粒子)を製造するため、以後の全ての反応を昇温した有機溶媒中で行うとともに、反応の際に酸化の原因となる水や空気を実質的に介在させない非酸化条件下で行うことが好ましい。
典型的には、原料溶液を反応容器に入れ、容器内のガスを置換して不活性雰囲気とする。より高度な非酸化条件を形成するため、原料溶液を撹拌又は振動させつつAr、N等の不活性ガスを供給して容器内のガス置換を行うとよい。また、吸湿した原料物質(金属化合物等)の使用等に起因して原料溶液中に水分が含まれている場合があるので、磁性金属微粒子形成工程前に原料溶液を予備加熱して残留水分を除去することが好ましい。例えば、原料溶液を撹拌しつつ金属微粒子形成(核生成)が生じない温度(例えば100〜150℃)まで加熱して適当時間(例えば30〜60分)保持することによって、容器内の水分を除去することができる。
上記のようにして反応容器内を所望する非酸化条件にした後、磁性ナノ粒子を形成すべく、原料溶液を加熱する。上記予備加熱を行った場合には、予備加熱終了後にそのまま昇温すればよい。
典型的には、使用した高沸点有機溶媒の沸点近傍(200℃以上、好ましくは270〜290℃)まで、例えば10〜20℃/1分程度の昇温速度で急速に加熱する。このとき、好ましくは、還流処理(即ち、蒸発した溶媒や反応生成物を冷却した凝縮管で液化・回収して反応容器に戻す処理)等を施すことにより、原料物質の濃度、モル比或いは反応生成物又は有機溶媒の減少を防止しつつ金属核生成反応及びそれをコアとする金属微粒子成長反応を所定の温度で持続することができる。特に限定しないが、かかる高温域での処理を30分〜5時間(好ましくは1〜2時間)継続する。その後、速やかに(典型的には室温まで)冷却して磁性金属微粒子の形成(核生成及び粒子成長)を終了させる。
あるいは、磁性金属微粒子の形成工程を二つのプロセス、すなわち原料液中に金属核を生成する処理と該金属核から所定ナノサイズの微粒子に成長させる処理とを区分して段階的に行うことが好ましい。
かかる二段階処理を行う場合、典型的には上記の一段階処理と同様、使用した高沸点有機溶媒の沸点近傍(200℃以上、好ましくは270〜290℃)まで、例えば10〜20℃/1分程度の昇温速度で急速に加熱し、当該温度域で適当時間(例えば5〜15分)保持する。次いで、原料溶液を急速に冷却し、核生成処理を終了させる。典型的には室温域まで冷却する。
特に限定するものではないが、平均粒子サイズが1〜50nmであってシャープな粒度分布(好ましくは電子顕微鏡観察、小角X線散乱、光散乱法等に基づいて測定した平均粒径に対する粒度分布の標準偏差が10%以下、特に好ましくは5%程度以下)を有するナノ粒子群(粉末磁性材料)を製造する場合には、原料溶液中に生じた金属核(超微粒子)の光散乱法等に基づく粒度分布のピーク値が概ね1〜4nmとなるまで加熱し、急速冷却することが好ましい。
次いで、処理溶液を再び200℃以上に昇温することによって、ナノ粒子成長処理を開始する。粒子サイズの揃った即ち粒度分布のシャープな粒子群を生成するためには、2次核生成が生じないようにゆっくりと再加熱することが好ましい。典型的には1〜3℃/1分程度の緩やかな昇温速度で粒子成長可能な温度域(好ましくは核生成処理時の最高温度よりも15〜30℃程度低い温度:例えば240〜275℃)まで加熱し、その温度域で適当時間(例えば1〜5時間)保持する。容器中の溶液を撹拌又は振動させつつ加熱するとよい。保持時間を適宜変えることによって、得られる粒子の平均サイズを制御することができる。
また、粒子成長処理を開始する前に種々の原料物質を容器内に追加補充してもよい。加える分量としては、例えば、上記モル比A/Mが3≦A/M<6の範囲内に設定され、且つ、上記モル比P/Mが5<P/M<15の範囲内になるように、有機金属化合物と、多価アルコールと、アニオン界面活性剤とを添加する。これにより、粒子成長を促進し得るとともに粒子サイズの揃った(粒度分布がシャープな)ナノ粒子群(粉末磁性材料)を得ることができる。また、この時点で高沸点有機溶媒を追加することも好ましい。処理溶液を希釈することによって、粒子成長途中での粒子同士の衝突確率を抑えて合体・融合をより効果的に防止することができる。
なお、追加する各原料の分量を変えることにより、粒子の成長速度や最終サイズを調整することができるが、サイズを均一に保つため、追加分量は過多にならないよう設定されるべきである。好ましくはスタート時(核生成処理前)の原料溶液中に含まれる強磁性金属元素に対しモル比1〜3に相当する量の当該金属元素が追加補充されるように各原料物質を上記モル比(A/M、P/M)で添加する。
なお、原料物質の追加処理後、非酸化条件を維持する観点から上述したような手法により反応容器内を再度不活性ガスで置換するとよい。
上記のようにして所定のサイズに成長した強磁性金属微粒子は、上記処理された溶液中で単分散系を構成し得る。従って、当該強磁性金属微粒子を含む単分散液を磁気記録媒体その他、種々の磁気デバイス構築用材料として使用し得る。
好ましくは、上記処理された溶液から強磁性金属微粒子を回収し、用途に応じた媒体中に貯蔵する。具体的には、エタノール等の極性溶媒を処理溶液に添加して金属微粒子を沈殿させ、遠心分離により粒子のみを分離・抽出する。こうして得られた強磁性金属微粒子(磁性粉末)をヘキサン、オクタン、トルエン等の無極性有機溶媒中に再分散させる。このようにして有機溶媒中に分散されたナノ粒子は、保護剤により被覆されているため極めて安定であり、半年経た後でも沈殿することなく良好な分散状態を保つことができる。
本発明の製造方法では、200℃以上、典型的には250〜300℃の高温下で粒子成長が進行する。このため、成長する粒子内において金属原子の再配列が促進され、個々のナノ粒子は結晶性の良好な単結晶となる。従って、小さなサイズでもより安定な強磁性を示す磁性ナノ粒子を生成し得る。本発明によると、硬磁性を有する磁気デバイスの構築用として好適な粉末磁性材料(例えば鉄、コバルト、ニッケル又はこれらの合金から成る粉末磁性材料)を製造し得る。
さらに非球形状(典型的には立方体その他の六面体形状)であるから個々の粒子に形状磁気異方性を付与することができる。さらに、得られた粒子をその形状に特有な並び方で規則配列させ得る。好ましくは、全ての粒子の結晶方位を揃えることができる。すなわち、特定の方向に巨視的な磁気異方性を有する強磁性体(強磁性金属ナノ粒子集合体)を製造することが容易である。
例えば、粒子サイズの揃った六面体形状(好ましくは立方体形状)磁性金属ナノ粒子をヘキサン等に分散させて成る単分散系組成物を所定の基板上に少量滴下して乾燥させる。これにより、磁性ナノ粒子が自発的に集積し、結果、高温でのアニール処理を施さない場合であっても、正方格子状に密に規則配列した強磁性体を形成することができる。或いは、いわゆるLangmuir−Blodgett法(LB法)に基づいて気−液界面上での自己組織化現象を利用してもよい。すなわち、粒子サイズの揃った立方体形状磁性金属ナノ粒子をヘキサン等に分散させて成る単分散系組成物を水面に滴下して有機溶媒を自然蒸発させると、アニオン界面活性剤の疎水性部分(典型的にはアルキル鎖)に覆われた金属ナノ粒子が疎水性相互作用により気−液界面に自己集積する。この集積物を気−液界面から基板表面に転写することによって、基板上に広範囲にわたって規則配列された磁性体を形成することができる。
このとき従来の球状ナノ粒子では充填率を最大にするため、通常は六方格子状に稠密充填配置をとるのであるが、本発明により得られた立方体形状のナノ粒子は面同士が合接するように正方格子状に配列される。立方体形状のナノ粒子が面同士を接して正方格子状に配列した場合、典型的には実質的に全ての粒子の結晶方位が面内および面直方向に揃う。従って、ある特定の方向に磁気異方性を揃えた強磁性金属ナノ粒子集合体の形成ができる。このように、優先配向性を有した磁性ナノ粒子集合体は、磁気記録媒体や磁気センサーへの応用が期待される。
従って、本発明によると、磁場に対して強い応答性を有する磁性流体、特定方向への外部磁場に対して鋭敏に応答する高性能磁気センサー、超高密度磁気記録媒体、等を製造することができる。
以下、本発明の好適ないくつかの実施例を説明するが、ここに開示した発明の技術的範囲をこれら実施例として記載したものに限定することを意図したものではない。なお、以下に説明する実施例には、次の試薬類を使用した。
(1)Fe原子供給源:鉄(III)アセチルアセトナート(Fe(acac)3:純度98%)
(2)多価アルコール(還元剤):1,2−ヘキサデカンジオール(純度90%)
(3)界面活性剤:オレイン酸(純度99%)、ステアリン酸(純度95%)、オレイン酸とオレイルアミン(純度70%)の1:1混合物
(4)高沸点有機溶媒:ジオクチルエーテル(純度99%)
<実施例1>
本実施例は、核生成過程と粒子成長過程を分離・独立制御することにより、粒子サイズの均一な立方体形状の鉄ナノ粒子を製造した例である。
まず、上記試薬類をそれぞれ必要量秤量して反応容器(マントルヒーター付きフラスコ)に充填した。その後、スターラー(撹拌子)を用いて原料溶液をよく撹拌しながらフラスコ内に不活性ガスとしてArガスを流してガス置換した。本実施例ではジオクチルエーテル10mLに対して、Fe(acac)30.5 mmol、1,2−ヘキサデカンジオール5mmol、オレイン酸2.0mmol及びオレイルアミン2.0mmolを加えて原料溶液(A/M=約4、P/M=約10)を調製した。
その後、試薬が吸湿している水分を除去するために、撹拌しながら130℃まで徐々に温度を上げることにより30〜60分程度の予備加熱を行った。130℃に達した時点で本加熱に移り、約10℃/1分の昇温速度で原料溶液を有機溶媒の沸点近傍(ここでは286℃)まで還流・加熱した。その際、約200℃を超えた付近から溶液が黒くなり始め、Fe微小核粒子の生成(核生成)が生じていることが確認された。急加熱の開始から30分経過した後、加熱器であるマントルヒーターをフラスコから取り外し、処理溶液を室温まで空冷して粒子成長を一端終了させた。
室温まで冷却した後、処理溶液中に各試薬を補充した。本実施例ではジオクチルエーテル20mL、Fe(acac)31mmol、1,2−ヘキサデカンジオール5〜6mmol、オレイン酸3mmol及びオレイルアミン3mmolを補充添加した。試薬を追加した後、上述した方法でフラスコ内の空気をArガスで置換し、スターラーでよく撹拌しながら核生成過程よりは若干低温である265℃まで約2℃/1分の昇温速度でゆっくり還流・加熱した。265℃近傍で約2時間保持した後、室温まで冷却した。
このようにして作製したFeナノ粒子を回収し、無極性有機溶媒に再分散した。すなわち、上記粒子成長処理後、室温まで冷却した処理溶液を遠心分離用小型容器(50mL容積の遠沈管)に小分けして入れ、それらにメタノール等の極性溶媒(ここではメタノールとエタノールの容積比1:1の混合液)を加え、ナノ粒子を凝集させた。本実施例では処理溶液10mLに対して極性溶媒を30〜40mL程度加えた。極性溶媒を添加後、溶液は速やかに白濁し、ナノ粒子が凝集・沈殿していることが確認された。その後、遠沈管を遠心機にセットし、5000〜8000rpmで30〜60分程度遠心分離を行った。なお、遠心分離条件は、生成された粒子のサイズ、濃度によって適宜調整するとよい(例えば、比較的大きな粒子は沈殿しやすいので低回転数・短時間の遠心分離で十分であるが、比較的小さな粒子ではより高回転・長時間の遠心分離が必要となる。)。
所定時間の遠心分離後、遠沈管の底あるいは側壁に黒く沈殿した粒子が認められた。遠沈管から透明がかった上澄み液のみを全て捨て、次いで、ヘキサンを遠沈管に加えて粒子を再分散させた後に、再び極性溶媒(エタノールとメタノールの混合液)を上記と同様の要領で加えてナノ粒子を沈殿させ、再び遠心分離を行った。このような遠心(精製)工程を2〜3回繰り返した。これにより、未反応原料物質、副生成物、高沸点溶媒等をきれいに取り除くことができた。最終的に、所定量のヘキサンにFeナノ粒子を再分散させた。
こうして得られたFeナノ粒子を透過電子顕微鏡(TEM)で観察した。すなわち、上記ヘキサンにナノ粒子を分散させた懸濁液をピペットで少量とり、TEM用のグリッド上に滴下し乾燥させた。これにより、溶媒のみが蒸発し、Feナノ粒子はグリッド上に担時された。このようにして作製した試料を200kVの加速電圧を有する市販のTEM(株式会社日立製作所製品「HF−2000」)を用いて観察した。そのときの顕微鏡写真である図1に示すように、本実施例により、粒子サイズがほぼ均一(15〜20nm)の立方体形状ナノ粒子が製造された。
<実施例2>
実施例1と同様の材料と手順により130℃まで予備加熱を行った。但し、本実施例ではジオクチルエーテル10mLに対して、Fe(acac)30.5 mmol、1,2−ヘキサデカンジオール3.75mmol及びステアリン酸2mmolを添加して原料溶液(A/M=約4、P/M=約7.5)を調製した。
実施例1と同様の予備加熱後、約10℃/1分の昇温速度で原料溶液を有機溶媒の沸点近傍(ここでは286℃)まで還流・加熱し、その温度で約2時間保持した後、室温まで速やかに冷却した。
このようにして作製したFeナノ粒子を実施例1と同様に処理してヘキサンに再分散した。次いで同様に電子顕微鏡(TEM)で観察した。図2に示すように、本実施例によっても、粒子サイズがほぼ均一(10〜15nm)の立方体形状ナノ粒子が製造された。
<実施例3>
実施例2と同様の材料と手順によりFeナノ粒子を製造した。但し、本実施例ではジオクチルエーテル10mLに対して、Fe(acac)30.5 mmol、1,2−ヘキサデカンジオール3.75mmol及びオレイン酸1.5mmolを添加して原料溶液(A/M=約3、P/M=約7.5)を調製した点が実施例2と異なる。
このようにして作製したFeナノ粒子を実施例1と同様に処理してヘキサンに再分散した。次いで同様に電子顕微鏡(TEM)で観察した。図3に示すように、本実施例によっても、粒子サイズがほぼ揃っている(10〜20nm)六面体形状ナノ粒子が製造された。
<実施例4>
実施例2と同様の材料と手順によりFeナノ粒子を製造した。但し、本実施例ではジオクチルエーテル10mLに対して、Fe(acac)30.5 mmol、1,2−ヘキサデカンジオール5mmol及びオレイン酸1.5mmolを添加して原料溶液(A/M=約3、P/M=約10)を調製した点が実施例2と異なる。
このようにして作製したFeナノ粒子を実施例1と同様に処理してヘキサンに再分散した。次いで同様に電子顕微鏡(TEM)で観察した。図4に示すように、本実施例によっても、粒子サイズがほぼ揃っている(10〜30nm)六面体形状ナノ粒子が製造された。
<実施例5>
実施例1と同様の材料と手順によりFeナノ粒子を製造した。但し、本実施例ではジオクチルエーテル10mLに対して、Fe(acac)30.5 mmol、1,2−ヘキサデカンジオール5mmol、オレイン酸1.5mmol及びオレイルアミン1.5mmolを加えて原料溶液(A/M=約3、P/M=約10)を調製した点が実施例1と異なる。
このようにして作製したFeナノ粒子を実施例1と同様に処理してヘキサンに再分散した。次いで同様に電子顕微鏡(TEM)で観察した。図5に示すように、実施例1〜4と比較してサイズ及び形状がやや不揃いではあるものの本実施例によっても非球状の磁気異方性を有し得るFeナノ粒子が製造された。
<比較例1>
実施例2と同様の材料と手順によりFeナノ粒子を製造した。但し、本比較例ではジオクチルエーテル10mLに対して、Fe(acac)30.5 mmol、1,2−ヘキサデカンジオール1.25mmol及びオレイン酸1.5mmolを添加して原料溶液(A/M=約3、P/M=約2.5)を調製した点が実施例2と異なる。
このようにして作製したFeナノ粒子を実施例1と同様に処理してヘキサンに再分散した。次いで同様に電子顕微鏡(TEM)で観察した。図6に示すように、本比較例に係るFeナノ粒子は、全体的に球形状であり、粒子サイズも不揃いであった。
<比較例2>
実施例2と同様の材料と手順によりFeナノ粒子を製造した。但し、本比較例ではジオクチルエーテル10mLに対して、Fe(acac)30.5 mmol、1,2−ヘキサデカンジオール2.5mmol及びオレイン酸1.5mmolを添加して原料溶液(A/M=約3、P/M=約5)を調製した点が実施例2と異なる。
このようにして作製したFeナノ粒子を実施例1と同様に処理してヘキサンに再分散した。次いで同様に電子顕微鏡(TEM)で観察した。図7に示すように、本比較例に係るFeナノ粒子は、比較例1のものと同様、全体的に球形状であった。
<比較例3>
実施例1と同様の材料と手順によりFeナノ粒子を製造した。但し、本比較例ではジオクチルエーテル10mLに対して、Fe(acac)30.5 mmol、1,2−ヘキサデカンジオール5mmol、オレイン酸3mmol及びオレイルアミン3mmolを加えて原料溶液(A/M=約6、P/M=約10)を調製した点が実施例1と異なる。
このようにして作製したFeナノ粒子を実施例1と同様に処理してヘキサンに再分散した。次いで同様に電子顕微鏡(TEM)で観察した。図8に示すように、本比較例に係るFeナノ粒子は、比較例1のものと同様、全体的に球形状であった。
<実施例6>
実施例1で製造したFeナノ粒子の分散液(1〜5mg/mL、溶媒:ヘキサン)を、スパッタリングにより形成された厚さ200nmのカーボン層を有するガラス基板の当該カーボン面に滴下した。溶媒を蒸発後、粒子の配列性を改善することを目的として、ガラス基板を不活性ガス雰囲気の容器内に入れ、ヘキサンの飽和蒸気圧のもとで低温加熱(50〜100℃で1〜2日程度の加熱が適当である。ここでは80℃で1日)を行った。これにより、立方体形状Feナノ粒子が自発的に集積し、規則配列して成る磁気異方性を有するFe被膜が形成された。その後、ガラス基板を電気炉に入れ、不活性ガス雰囲気のもと400〜500℃で30〜60分間のアニーリングを行うことにより、界面活性剤を炭化させてカーボンマトリックス中にFeナノ粒子を分散した形態に変化させた。このようにして、Feを構成金属とする強磁性層すなわち膜状強磁性体(厚さ50nm以下、典型的には20〜30nm)を有する磁気記録媒体を作製した。
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
一実施例で得られたFeナノ粒子の形態を示す透過電子顕微鏡(TEM)写真である。 一実施例で得られたFeナノ粒子の形態を示すTEM写真である。 一実施例で得られたFeナノ粒子の形態を示すTEM写真である。 一実施例で得られたFeナノ粒子の形態を示すTEM写真である。 一実施例で得られたFeナノ粒子の形態を示すTEM写真である。 一比較例で得られたFeナノ粒子の形態を示すTEM写真である。 一比較例で得られたFeナノ粒子の形態を示すTEM写真である。 一比較例で得られたFeナノ粒子の形態を示すTEM写真である。

Claims (8)

  1. 磁性材料を製造する方法であって、以下の工程:
    沸点200℃以上の有機溶媒中に、強磁性を示す金属を構成元素とする有機金属化合物と、多価アルコールと、少なくとも一種のアニオン界面活性剤とを含む組成液を用意する工程、ここで前記組成液中に含まれる強磁性金属元素(M)とアニオン界面活性剤(A)とのモル比(A/M)は3≦A/M<6の範囲内に設定され、且つ、強磁性金属元素(M)と多価アルコール(P)とのモル比(P/M)は5<P/M<15の範囲内に設定される;
    前記組成液を非酸化条件下で加熱することによって、還元された前記強磁性金属元素から成る磁性金属微粒子であって形状磁気異方性を有する非球状磁性金属微粒子を形成する工程;および
    前記磁性金属微粒子を回収する工程;
    を包含する、磁性材料製造方法。
  2. 前記金属微粒子形成工程は、
    前記組成液を前記有機溶媒の沸点近傍まで加熱することによって前記組成液中に金属核を生成する処理と、
    前記金属核が生成された組成液を一旦冷却して金属核生成を実質的に終了させた後、該組成液を前記金属核生成処理のときよりも緩やかな昇温速度で再び加熱することによって該組成液中の金属核を非球状磁性金属微粒子に成長させる処理と、
    を包含する、請求項1に記載の方法。
  3. 前記強磁性金属元素としてFeを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記組成液中に含まれる強磁性金属元素(M)とアニオン界面活性剤(A)とのモル比(A/M)は4≦A/M≦5の範囲内に設定され、且つ、強磁性金属元素(M)と多価アルコール(P)とのモル比(P/M)は7≦P/M≦10の範囲内に設定される、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
  5. 回収した磁性金属微粒子を集積して磁気異方性を有する所定形状の強磁性体を形成する工程を更に包含する、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
  6. 平均粒子サイズが1〜50nmの範囲内にある実質的に六面体形状の磁性金属微粒子を主体に構成される磁性材料。
  7. 前記磁性金属微粒子はFe微粒子である、請求項6に記載の磁性材料。
  8. 請求項6又は7に記載の磁性金属微粒子を液状媒体に分散して成る組成物。
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