JP2003260409A - ナノ粒子塗布物の製造方法 - Google Patents
ナノ粒子塗布物の製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 支持体が有機物および無機物のいずれであっ
ても、その材質や形状等を変化させずに、ナノ粒子の合
金相を、効率良く、CuAu型あるいはCu3Au型硬
磁性規則合金相とすることが可能なナノ粒子塗布物の製
造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも、CuAu型あるいはCu3
Au型硬磁性規則合金相を形成し得るナノ粒子を含有す
る塗布液を支持体上に塗布して塗布膜を形成する塗布膜
形成工程と、前記塗布膜にレーザー光を照射することで
ナノ粒子層を形成するナノ粒子層形成工程と、を有する
ことを特徴とするナノ粒子塗布物の製造方法である。
ても、その材質や形状等を変化させずに、ナノ粒子の合
金相を、効率良く、CuAu型あるいはCu3Au型硬
磁性規則合金相とすることが可能なナノ粒子塗布物の製
造方法を提供する。 【解決手段】 少なくとも、CuAu型あるいはCu3
Au型硬磁性規則合金相を形成し得るナノ粒子を含有す
る塗布液を支持体上に塗布して塗布膜を形成する塗布膜
形成工程と、前記塗布膜にレーザー光を照射することで
ナノ粒子層を形成するナノ粒子層形成工程と、を有する
ことを特徴とするナノ粒子塗布物の製造方法である。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は磁気記録媒体、MR
AM等に用いる事が可能なナノ粒子塗布物の製造方法に
関する。 【0002】 【従来の技術】磁気記録媒体に使用する磁性体の粒子サ
イズを小さくする事は磁気記録密度を高くする上で必要
である。たとえば、ビデオテープ、コンピューターテー
プ、ディスク等として広く用いられている磁気記録媒体
では,強磁性体の質量が同じ場合、粒子サイズを小さく
していった方がノイズは下がる。 【0003】CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規
則合金は、規則化時に発生する歪みのために結晶磁気異
方性が大きく、粒子サイズを小さくしても硬磁性を示す
事から磁気記録密度向上に有望な素材である。 【0004】CuAu型あるいはCu3Au型合金を形
成しうる金属ナノ粒子を形成した場合、その構造は面芯
立方晶となる。面芯立方晶は通常、軟磁性あるいは常磁
性を示す。軟磁性あるいは常磁性では記録媒体用には適
していない。そこで、磁気記録媒体に必要な95.5K
A/m以上の保持力を有する硬磁性規則合金を得るに
は、500℃以上で熱処理をする必要があった。しかし
ながら熱処理後に直径1〜100nmの粒子を支持体上
に分散するのは困難であった。また、支持体上に金属ナ
ノ粒子を塗布した磁気記録媒体を熱処理するには、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等
のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ−ストリ
アセテート、ポリカ−ボネート、ポリアミド(脂肪族ポ
リアミドやアラミド等の芳香族ポリアミドを含む)、ポ
リイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリベ
ンゾオキサゾール等の有機物支持体を使用した場合、支
持体そのものの耐熱性が問題になり、また、ガラス、ア
ルミナ、Si、SiO2等の無機物支持体の場合におい
ても、熱処理時の歪みの発生等が問題となり実用に供す
る事が出来なかった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】以上から、本発明は、
支持体が有機物および無機物のいずれであっても、その
材質や形状等を変化させずに、ナノ粒子の合金相を、効
率良く、CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規則合
金相とすることが可能なナノ粒子塗布物の製造方法を提
供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく鋭
意研究の結果、本発明者は、以下に示す本発明により上
記課題を解決することができることを見出した。すなわ
ち、本発明は、 <1> 少なくとも、CuAu型あるいはCu3Au型
硬磁性規則合金相を形成し得るナノ粒子を含有する塗布
液を支持体上に塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成工
程と、前記塗布膜にレーザー光を照射することでナノ粒
子層を形成するナノ粒子層形成工程と、を有することを
特徴とするナノ粒子塗布物の製造方法である。 <2> 前記塗布液中にレーザー光吸収剤を含有させる
ことを特徴とする<1>に記載のナノ粒子塗布物の製造
方法である。 <3> 前記塗布膜形成工程の前に、前記塗布膜が形成
される側の支持体上に、レーザー光吸収剤を含有するレ
ーザー光吸収層を形成するレーザー光吸収層形成工程を
有することを特徴とする<1>または<2>に記載のナ
ノ粒子塗布物の製造方法である。 上記本発明のナノ粒子塗布物の製造方法により得られる
ナノ粒子塗布物は、磁気記録媒体の磁性層等に使用する
ことが好ましい。 【0007】 【発明の実施の形態】CuAu型あるいはCu3Au型
硬磁性規則合金相を有するナノ粒子塗布物は、下記〜
に示すようにして製造される。まず、CuAu型あ
るいはCu3Au型硬磁性規則合金相を形成し得るナノ
粒子を調製する(ナノ粒子調製工程)。調製したナノ
粒子を含有する塗布液を支持体上に塗布して塗布膜を形
成する(塗布膜形成工程)。形成した塗布膜にレーザ
ー光を照射することでナノ粒子層を形成する(ナノ粒子
層形成工程)ことで、支持体上にナノ粒子層が形成され
たナノ粒子塗布物が製造される。以下、ナノ粒子塗布物
の製造方法について詳細に説明する。 【0008】ナノ粒子調製工程:CuAu型あるいは
Cu3Au型硬磁性規則合金相を形成し得るナノ粒子
(以下、単に「ナノ粒子」ということがある)を調製す
るには気相法や液相法、その他公知のナノ粒子形成法を
用いる事が出来る。量産性に優れることを考慮すると、
液相法が好ましい。液相法における溶媒は、有機溶剤で
も水でもよく、また有機溶剤と水の混合液を用いてもか
まわない。有機溶剤としては、アルコール、ポリアルコ
ール等を使用することが可能で、アルコールとしては、
メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられ、ポ
リアルコールとしては、エチレングリコール、グリセリ
ン等が挙げられる。 【0009】CuAu型強磁性規則合金としては、Fe
Ni、FePd、FePt、CoPt等が挙げられ、な
かでもFePd、FePt、CoPtであることが好ま
しい。FePtが最も磁気異方性定数が大きい事から特
に好ましい。Cu3Au型強磁性規則合金としては、N
i3Fe、FePd3、Fe3Pt、FePt3、CoPt
3、Ni3Pt、CrPt3、Ni3Mnが挙げられ、なか
でもFePd3、FePt3、CoPt3、Fe3Pd、F
e3Pt、Co3Ptを使用することが好ましい。 【0010】液相法でナノ粒子を調製するには、種々の
方法があるが、少なくとも、酸化還元電位が卑な金属
(以下、単に「卑な金属」ということがある)と、酸化
還元電位が貴な金属(以下、単に「貴な金属」というこ
とがある)と、を液相中で還元剤等を使用して還元する
方法を適用することが好ましい。卑な金属と貴な金属と
の還元順序は、特に限定されず、同時に還元してもよ
い。なお、貴な金属を先に析出させてナノ粒子を調製す
る方法としては、特願2001−269255号の段落
18〜30等に記載の方法等を適用することができる。 【0011】酸化還元電位が貴な金属としては、Pt、
Pd、Rh等が好ましく用いることができ、H2PtC
l6・6H2O、Pt(CH3COCHCOCH3)2、R
hCl 3・3H2O、Pd(OCOCH3)2、PdC
l2、Pd(CH3COCHCOCH 3)2等を溶媒に溶解
して用いることができる。溶液中の金属の濃度は、0.
1〜1000μmol/mlが好ましく、0.1〜10
0μmol/mlがより好ましい。 【0012】また、酸化還元電位が卑な金属としては、
Co、Fe、Ni、Crを好ましく用いることができ、
特に好ましくは、Fe、Coである。このような金属
は、FeSO4・7H2O、NiSO4・7H2O、CoC
l2・6H2O、Co(OCOCH3)2・4H2O等を溶
媒に溶解して用いることができる。溶液中の金属の濃度
は、0.1〜1000μmol/mlがよく、好ましく
は0.1〜100μmol/mlである。 【0013】また、2元系合金に、Sb、Pb、Bi、
Cu、Ag、Zn等の第三元素を加える事で硬磁性規則
合金への変態温度を下げる事が好ましい。添加量として
は、全体量(2元合金+第三元素)に対し、1〜20a
t%が好ましく、5〜15at%がより好ましい。 【0014】例えば、還元剤を用いて卑な金属と貴な金
属をこの順に還元して析出させる場合、−0.2V(v
s.N.H.E)より卑な還元電位を持つ還元剤を用い
て卑な金属あるいは卑な金属と貴な金属の一部を還元し
たものを貴な金属源に加え酸化還元電位が−0.2V
(vs.N.H.E)より貴な還元剤を用いた後,−
0.2V(vs.N.H.E)より卑な還元電位を持つ
還元剤を用いる事が好ましい。なお、卑な金属を析出さ
せるには還元剤を用いてもよいが、卑な金属の0価の化
合物を添加してもよい。0価の化合物の例として金属カ
ルボニルが挙げられる。酸化還元電位は系のpHに依存
するが、酸化還元電位が−0.2V(vs.N.H.
E)より貴な還元剤には、1,2−ヘキサデカンジオー
ル等のアルコール類、グリセリン類、H2、HCHOが
好ましく用いられる。−0.2V(vs.N.H.E)
より卑な還元剤には、S2O6 2-、H2PO2 -、BH4 -、
N2H5 +、H2PO3 -が好ましく用いる事ができる。な
お、卑な金属の原料として、Feカルボニル等の0価の
金属化合物と用いる場合は、特に卑な金属の還元剤は必
要ない。 【0015】貴な金属を還元析出させる際に吸着剤を存
在させる事でナノ粒子を安定に形成させることができ
る。吸着剤としてはポリマーや界面活性剤を使用するこ
とが好ましい。該ポリマーとしては、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、ポリN−ビニル−2ピロリドン(PV
P)、ゼラチンである。特に好ましくはPVPである。
分子量は2万〜6万が好ましく、より好ましくは3万〜
5万である。ポリマーの量は生成する硬磁性ナノ粒子の
質量の0.1〜10倍であることが好ましく、0.1〜
5倍のがより好ましい。 【0016】吸着剤として好ましく用いられる界面活性
剤は、一般式:R−Xで表される長鎖有機化合物である
「有機安定剤」を含むことが好ましい。上記一般式中の
Rは、直鎖または分岐ハイドロカーボンまたはフルオロ
カーボン鎖である「テール基」であり、通常8〜22の
炭素原子を含む。また、上記一般式中のXは、ナノ粒子
表面に特定の化学結合を提供する部分(X)である「ヘ
ッド基」であり、スルフィネート(−SOOH)、スル
ホネート(−SO2OH)、ホスフィネート(−POO
H)、ホスホネート−OPO(OH)2、カルボキシレ
ート、およびチオールのいずれかであることが好まし
い。 【0017】前記有機安定剤としては、スルホン酸(R
−SO2OH)、スルフィン酸(R−SOOH)、ホス
フィン酸(R2POOH)、ホスホン酸(R−OPO
(OH)2)、カルボン酸(R−COOH)、チオール
(R−SH)等のいずれかであることが好ましい。これ
らのなかでも、オレイン酸が特に好ましい。 【0018】オレイン酸はコロイドの安定化において周
知の界面活性剤であり、鉄系ナノ粒子の保護に好適であ
る。オレイン酸は18炭素鎖を有し、その長さは〜20
オングストローム(〜2nm)である。また、オレイン
酸には脂肪族ではなく二重結合が1つ存在する。そし
て、オレイン酸の比較的長い鎖は粒子間の強い磁気相互
作用を打ち消す重要な立体障害を与える。エルカ酸やリ
ノール酸など類似の長鎖カルボン酸もオレイン酸同様に
(たとえば、8〜22の間の炭素原子を有する長鎖有機
酸を単独でまたは組み合わせて用いることができる)用
いられてきた。オレイン酸は(オリーブ油など)容易に
入手できる安価な天然資源であるので好ましい。 【0019】前記ホスフィンと有機安定剤の組合せ(ト
リオルガノホスフィン/酸など)は粒子の成長および安
定化に対する秀れた制御を提供する。ジデシルエーテル
およびジドデシルエーテルも用いることができるが、フ
ェニルエーテルまたはn−オクチルエーテルはその低コ
ストおよび高沸点のため溶媒として好適に用いられる。 【0020】反応は必要なナノ粒子および溶媒の沸点に
より80℃〜360℃の範囲の温度で行うことができる
が、80℃〜240℃がより好ましい。温度がこの温度
範囲より低いと粒子が成長しないことがある。温度がこ
の範囲より高いと粒子は制御されないで成長し、望まし
くない副産物の生成が増加することがある。 【0021】得られるナノ粒子の保持力は95.5〜3
98kA/m(1200〜5000Oe)が好ましく、
磁気記録媒体に適用した場合、記録ヘッドが対応できる
という観点から95.5〜278.6kA/m(120
0〜3500Oe)が好ましい。ナノ粒子の粒径は1〜
100nmが好ましく、より好ましくは3〜20nmで
あり、さらに好ましくは3〜10nmである。粒子サイ
ズ(粒径)を大きくする方法としては種晶法が有効であ
る。磁気記録媒体として用いるにはナノ粒子を最密充填
することが記録容量を高くする上で好ましく、そのため
には、ナノ粒子のサイズの標準偏差は10%未満が好ま
しく、より好ましくは5%以下である。 【0022】粒子サイズが小さすぎると超常磁性となり
好ましくない。そこで粒子サイズを大きくするため既述
のように、種晶法を用いることが好ましい。その際、粒
子を構成する金属より貴な金属を析出させるケースが出
てくる。この時、粒子の酸化が懸念されるため、予め粒
子を水素化処理することが好ましい。 【0023】ナノ粒子の最外層は酸化防止の観点から貴
な金属にすることが好ましいが、凝集しやすいため、本
発明では貴な金属と卑な金属の合金であることが好まし
い。 【0024】ナノ粒子合成後に溶液から塩類を除くこと
は、ナノ粒子の分散安定性を向上させる意味から好まし
い。脱塩にはアルコールを過剰に加え、軽凝集を起こ
し、自然沈降あるいは遠心沈降させ塩類を上澄みと共に
除去する方法があるが、これらの方法では凝集が生じや
すいため、限外濾過法を採用することが好ましい。 【0025】ナノ粒子の粒径評価には透過型電子顕微鏡
(TEM)を用いることができる。ナノ粒子の結晶系を
決めるにはTEMによる電子回折でもよいが、X線回折
を用いた方が精度が高いため好ましい。ナノ粒子の内部
の組成分析には、電子線を細く絞ることができるFE−
TEMにEDAXを付け評価することが好ましい。ナノ
粒子の磁気的性質の評価はVSMを用いて行うことがで
きる。 【0026】塗布膜形成工程:液相法で調製したナノ
粒子は、該ナノ粒子が溶液中に分散した状態となってい
るため、この溶液に適宜溶媒等を添加し、ナノ粒子の含
有量を0.01〜0.1g/リットルとして、塗布液を
調製する。調製した塗布液を支持体上に塗布して塗布膜
を形成する。塗布量としては、ナノ粒子の含有量等の条
件によるが、0.01〜1g/m2程度とすることが好
ましい。 【0027】また、後述するナノ粒子層形成工程におい
て照射されるレーザー光の吸収効率を向上させるため、
塗布液中にレーザー光吸収剤を含有させることが好まし
い。レーザー光吸収剤は、塗布膜中に1〜1000mg
含有されていることが好ましく、1〜100mg含有さ
れていることがより好ましい。1〜1000質量%とす
ることで、レーザー光を吸収し、効率よく熱に変換する
ことができる。レーザー光吸収剤を塗布膜に含有させる
場合は、前記吸収材が固体であると、ナノ粒子の配列を
乱す事から分子状である事が好ましい。分子状とするに
は、溶媒に溶かした上で塗布することが好ましい。レー
ザー光吸収剤としては、後述するレーザー光吸収層形成
工程において使用されるものと同一のものを使用するこ
とができる。 【0028】支持体としては、無機物および有機物のい
ずれも使用することができるが、磁気テープやフロッピ
ー(R)ディスクなどの用途性を考慮すると、有機物を
使用することが好ましい。 【0029】無機物の支持体としては、Si、Al、M
g合金(Al−Mg合金、Mg−Al−Znなど)、ガ
ラス、石英、カーボン、シリコン、セラミックス等が用
いられる。これらの支持体は耐衝撃性に優れ、また薄型
化や高速回転に適した剛性を有する。また、有機物支持
体に比べ熱に強い特徴を有している。 【0030】有機物の支持体としては、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエス
テル類;ポリオレフィン類;セルローストリアセテー
ト、ポリカ−ボネート、ポリアミド(脂肪族ポリアミド
やアラミド等の芳香族ポリアミドを含む)、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリベンゾオ
キサゾール等を用いる事ができる。 【0031】支持体上への塗布液の塗布方法としては、
エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコー
ト、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコー
ト、含浸コート、リバースロールコート、トランスファ
ーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャス
トコート、スプレイコート、スピンコート等が利用でき
る。 【0032】気相法で調製したナノ粒子を前記支持体上
に塗布する場合は、まず、前記ナノ粒子を公知の方法で
混練あるいは公知の方法で溶媒に微分散して塗布液を調
製し、液相法の場合と同様にして、支持体上に塗布し、
塗布膜を形成する。塗布液のナノ粒子の含有量やレーザ
ー光吸収剤等については、液相法の場合と同様である。 【0033】なお、塗布膜を形成する前(塗布膜形成工
程を経る前)に、レーザー光吸収剤を含有するレーザー
光吸収層を支持体上に形成することが好ましい。レーザ
ー光吸収層を設けるときは、塗布膜と支持体との間に形
成することが好ましい。支持体と反対側に設けると、磁
気記録材料として本発明のナノ粒子塗布物を用いる場
合、スペーシングロスが大きくなり出力が下がる事から
好ましくはない。 【0034】レーザー吸収剤としては、主に、染料を使
用することが好ましい。染料としては、下記一般式
(I)、(II)、(III)のいずれかで表わされる
化合物を、1種または2種以上混合して使用することが
できる。 【0035】 【化1】 ・・・一般式(I) 【0036】一般式(I)中、Zは5員又は6員の含窒
素複素環を完成するのに必要な非金属原子群を表わす。
R11は水素原子、アルキル基、アルケニル基、置換アル
キル基、置換アルケニル基を表わし、R12は水素原子、
低級アルキル基、置換アルキル基を表わす。Xは酸アニ
オンを表わし、qは0〜2の整数を表わす。 【0037】 【化2】 ・・・一般式(II) 【0038】一般式(II)中、Dは発色団を有する化
合物を表し、XはDに直接もしくは2価の連結基を介し
て結合した解離性プロトン又は解離性プロトンを有する
基を表し、yは1〜7の整数を表す。 【0039】 【化3】 ・・・一般式(III) 【0040】一般式(III)中、A1、A2はオキソノ
ール染料を形成するのに必要な酸性核を表し、m、nは
各々0又は1を表す。 【0041】以下、一般式(III)で表わされる染料
をさらに具体的に示すが、本発明はこれらに限定される
ものではない。当然、実施例で使用している染料(A)
および(B)も好ましい具体例である。 【0042】 【化4】 【0043】 【化5】【0044】 【化6】【0045】 【化7】【0046】 【化8】【0047】 【化9】【0048】 【化10】【0049】 【化11】【0050】 【化12】【0051】以上のような染料は、アルコール等の溶媒
に溶解して染料溶液を調製し、該染料溶液を支持体上に
塗布する。塗布方法としては、前記塗布膜を形成する際
に使用する方法を適用することが好ましい。塗布膜形成
後は、適宜乾燥処理等を施すことが好ましい。 【0052】レーザー吸収剤(染料)の塗布量として
は、後述するレーザー光吸収層の所望の厚さにより適宜
設定されるが、1mg/m2〜1g/m2が好ましく、1
0mg/m2〜500mg/m2がより好ましい。レーザ
ー光吸収層の厚さは、レーザー光の吸収効率や膜強度の
観点から、50nm〜2μmとすることが好ましく、5
0nm〜0.5μmとすることがより好ましい。 【0053】ナノ粒子層形成工程:液相法あるいは気
相法で作製したCuAu型あるいはCu3Au型硬磁性
規則合金を形成し得るナノ粒子は不規則相である。一般
に、不規則相では硬磁性は得られないため、規則相とす
るために熱処理(アニール)する必要がある。熱処理温
度は示差熱分析(DTA)を用い、ナノ粒子を構成する
合金が規則不規則変態する変態温度を求め、その温度以
上で行う事が必要であり、通常は500℃以上である。
上記変態温度以上では、当然の事ながら、テープ、フロ
ッピー(R)ディスク等の磁気記録媒体に用いられる有
機物の支持体を使用することはできず、無機物に限定さ
れる。また、無機物の支持体といっても、ガラス、アル
ミナ、Si、SiO2等の無機物支持体の場合において
は、熱処理時に歪みが発生する等の問題が生じ、実用に
供する事ができない。 【0054】そこで本発明では、ナノ粒子層形成工程に
おいて、形成した塗布膜にレーザー光を照射するレーザ
ー光照射処理を施す。レーザー光を塗布膜に照射するこ
とによって、塗布膜中のナノ粒子だけを選択的に加熱す
ることができる。従って、支持体に有機物を使用して
も、熱による変形や変質を防ぎ、効率良くナノ粒子の合
金相を規則化することができる。 【0055】レーザーの波長は、紫外から赤外まで用い
る事ができるが、有機物の支持体は紫外域に吸収を持つ
事から、可視から赤外域のレーザー光を用いる事が好ま
しい。レーザー出力は、塗布膜を短時間で加熱するた
め、0.1W以上が好ましく、0.3W以上がより好ま
しい。出力が高すぎると有機物支持体も熱の影響を受け
ることがあるため、3W以下が好ましい。レーザーの波
長及び出力の観点から、好ましく用いられるレーザとし
ては、Arイオンレーザー、Cu蒸気レーザー、HF化
学レーザー、色素レーザー、ルビーレーザー、YAGレ
ーザー、ガラスレーザー、チタンサファイアレーザー、
アレキサンドライトレーザー、GaAlAsアレイ半導
体レーザー等が挙げられる。但し、本発明の製造方法で
は、これらのレーザーに限られるものではない。 【0056】レーザー光を走査する際の線速度は、相変
態が十分に起き、かつ、アブレーションを起こさないと
いった効果を得るため、1〜10m/sとすることが好
ましく、2〜5m/sとすることがより好ましい。 【0057】支持体に熱の影響を与えないという観点か
ら、支持体とナノ粒子層との間、またはレーザー光吸収
層がある場合は該レーザー光吸収層と支持体との間に、
レーザー反射層を設ける事が好ましい。レーザー反射層
を設けることで、基板に達するレーザー光をほとんど、
もしくは完全にカットすることが可能となり、支持体の
熱による変形や変質の防止効果をより向上させることが
できる。 【0058】レーザー反射層を構成する材料としては、
レーザー光を反射し得るものであれば特に限定されず、
例えば、Al、Ag、Au、Cu、Mo、Ti、Cr、
Ni、Pt、Ta,Pd、SiC、Al+TiO2等が
挙げられ、これらは、レーザー反射層中に分散している
事が好ましい。レーザー反射層は、上記材料をスパッタ
リングや蒸着などして形成することができる。レーザー
反射層の厚さは、薄すぎると熱が拡散しやすく、厚すぎ
ると反射率が低下することがあるため、30〜1000
nmとすることが好ましく、50〜300nmとするこ
とがより好ましい。 【0059】レーザー加熱した後は、ナノ粒子層あるい
はレーザー光吸収層中の有機物は炭化している。これら
の層を安定に存在させるためには、ポリマーに結合剤を
塗布し、浸透させる事が好ましい。結合剤としては、ポ
リウレタン樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹
脂;塩化ビニル系樹脂;スチレン、アクリロニトリル、
メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹
脂;ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂;エポキ
シ樹脂;フェノキシ樹脂;ポリビニルアセタール、ポリ
ビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂;
などから単独あるいは複数の樹脂を混合して用いること
ができる。これらの中で好ましいのは、ポリウレタン樹
脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂である。 【0060】本発明の製造方法により得られたナノ粒子
塗布物は、ビデオテープ、コンピューターテープ、フロ
ッピー(R)ディスク、ハードディスクに好ましく用い
ることができる。また、MRAMへの適用も好ましい。 【0061】<磁気記録媒体>本発明の製造方法で得ら
れたナノ粒子塗布物は、既述のように、ビデオテープ、
コンピューターテープ等の磁気テープ;フロッピー
(R)ディスク、ハードディスク等の磁気ディスク;等
の少なくとも磁性層を有する磁気記録媒体に好ましく用
いることができる。 【0062】かかる磁気記録媒体は、ナノ粒子塗布物上
に形成されたナノ粒子層(磁性ナノ粒子層)のほかに、
必要に応じて他の層を有してなる。例えば、ディスクの
場合、ナノ粒子層の反対側の面に磁性層や非磁性層を設
けることができる。テープの場合、ナノ粒子層の反対側
の不溶性支持体面上にバック層を設けることが好まし
い。 【0063】例えば、ナノ粒子層上に非常に薄い保護膜
を形成することで、耐磨耗性を改善し、さらにその保護
膜上に潤滑剤を塗布して滑り性を高めることによって、
十分な信頼性を有する磁気記録媒体とすることができ
る。 【0064】保護膜の材質としては、シリカ、アルミ
ナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケ
ルなどの酸化物;窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素
などの窒化物;炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等
の炭化物;グラファイト、無定型カーボンなどの炭素
(カーボン);等があげられるが、特に好ましくは、一
般に、ダイヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質の非
晶質のカーボンである。 【0065】カーボンからなるカーボン保護膜は、非常
に薄い膜厚で十分な耐磨耗性を有し、摺動部材に焼き付
きを生じ難いため、保護膜の材料としては好適である。
カーボン保護膜の形成方法として、ハードディスクにお
いては、スパッタリング法が一般的であるが、ビデオテ
ープ等の連続成膜を行う必要のある製品ではより成膜速
度の高いプラズマCVDを用いる方法が多数提案されて
いる。従って、これらの方法を適用することが好まし
い。中でもプラズマインジェクションCVD(PI−C
VD)法は成膜速度が非常に高く、得られるカーボン保
護膜も硬質かつピンホールが少ない良質な保護膜が得ら
れると報告されている(例えば、特開昭61−1304
87号公報、特開昭63−279426号公報、特開平
3−113824号公報等)。 【0066】このカーボン保護膜は、ビッカース硬度で
1000Kg/mm2以上であることが好ましく、20
00Kg/mm2以上であることがより好ましい。ま
た、その結晶構造はアモルファス構造であり、かつ非導
電性であることが好ましい。そして、カーボン保護膜と
して、ダイヤモンド状炭素(ダイヤモンドライクカーボ
ン)膜を使用した場合、この構造はラマン光分光分析に
よって確認することができる。すなわち、ダイヤモンド
状炭素膜を測定した場合には、1520〜1560cm
-1にピークが検出されることによって確認することがで
きる。炭素膜の構造がダイヤモンド状構造からずれてく
るとラマン光分光分析により検出されるピークが上記範
囲からずれるとともに、保護膜としての硬度も低下す
る。 【0067】このカーボン保護膜を形成するための炭素
原料としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の
アルカン;エチレン、プロピレン等のアルケン;アセチ
レン等のアルキン;をはじめとした炭素含有化合物を用
いることが好ましい。また、必要に応じてアルゴンなど
のキャリアガスや膜質改善のための水素や窒素などの添
加ガスを加えることができる。 【0068】カーボン保護膜の膜厚が厚いと、電磁変換
特性の悪化や磁性ナノ粒子層に対する密着性の低下が生
じ、膜厚が薄いと耐磨耗性が不足する。従って、膜厚
は、2.5〜20nmとすることが好ましく、5〜10
nmとすることがより好ましい。また、この保護膜と基
板となる磁性ナノ粒子層の密着性を改善するために、あ
らかじめ磁性ナノ粒子層表面を不活性ガスでエッチング
したり、酸素等の反応性ガスプラズマに曝して表面改質
する事が好ましい。 【0069】磁性ナノ粒子層は電磁変換特性を改善する
ため重層構成としたり、磁性ナノ粒子層の下に公知の非
磁性下地層や中間層を有していてもよい。走行耐久性お
よび耐食性を改善するため、既述のように、上記磁性ナ
ノ粒子層もしくは保護膜上に潤滑剤や防錆剤を付与する
ことが好ましい。添加する潤滑剤としては公知の炭化水
素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤などが使用で
きる。 【0070】炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン
酸、オレイン酸等のカルボン酸類;ステアリン酸ブチル
等のエステル類;オクタデシルスルホン酸等のスルホン
酸類;リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類;
ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコ
ール類;ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類;
ステアリルアミン等のアミン類;などが挙げられる。 【0071】フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系
潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキ
ル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤
滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基として
は、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオ
ロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピ
レンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフル
オロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)C
F2O)nまたはこれらの共重合体等である。 【0072】また、炭化水素系潤滑剤のアルキル基の末
端や分子内に水酸基、エステル基、カルボキシル基など
の極性官能基を有する化合物が、摩擦力を低減する効果
が高く好適である。さらに、この分子量は、500〜5
000、好ましくは1000〜3000である。500
未満では揮発性が高く、また潤滑性が低いなることがあ
る。また、5000を超えると、粘度が高くなるため、
スライダーとディスクが吸着しやすく、走行停止やヘッ
ドクラッシュなどを発生しやすくなることがある。この
パーフルオロポリエーテルは、具体例的には、アウジモ
ンド社製のFOMBLIN、デュポン社製のKRYTO
Xなどの商品名で市販されている。 【0073】極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル
等のリン酸エステル類;亜リン酸トリラウリル等の亜リ
ン酸エステル類;トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチ
オ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類;二硫化ジ
ベンジル等の硫黄系極圧剤;などが挙げられる。 【0074】前記潤滑剤は単独もしくは複数を併用して
使用される。これらの潤滑剤を磁性ナノ粒子層もしくは
保護膜上に付与する方法としては、潤滑剤を有機溶剤に
溶解し、ワイヤーバー法、グラビア法、スピンコート
法、ディップコート法等で塗布するか、真空蒸着法によ
って付着させればよい。 【0075】防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベ
ンゾイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複
素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した
誘導体;ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチ
アゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化
合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導
体;等が挙げられる。 【0076】既述のように、磁気記録媒体が磁気テープ
等の場合は、非磁性支持体の磁性ナノ粒子層が形成され
ていない面にバックコート層(バッキング層)が設けら
れていてもよい。バックコート層は、非磁性支持体の磁
性ナノ粒子層が形成されていない面に、研磨材、帯電防
止剤などの粒状成分と結合剤とを公知の有機溶剤に分散
したバックコート層形成塗料を塗布して設けられる層で
ある。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラッ
クを使用することができ、また結合剤としてはニトロセ
ルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウ
レタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用する
ことができる。また、ナノ粒子分散液の塗布面およびバ
ックコート層が形成される面には、公知の接着剤層が設
けられていてもよい。 【0077】以上のようにして製造される磁気記録媒体
は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25m
mにおいて、好ましくは0.1〜5nm、より好ましく
は1〜4nmの範囲とする。このように、極めて優れた
平滑性を有する表面とすることが、高密度記録用の磁気
記録媒体として好ましいからである。このような表面を
得る方法として、磁性層を形成した後にカレンダー処理
を施す方法が挙げられる。また、バーニッシュ処理を施
してもよい。 【0078】得られた磁気記録媒体は、適宜、打ち抜き
機で打ち抜いたり、裁断機などを使用して所望の大きさ
に裁断して使用することができる。 【0079】 【実施例】本発明を以下に示す実施例により具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0080】(ナノ粒子を含有する塗布液の調製) 塗布液(1)−カルボニル法−:高純度Arガス中で下
記の操作を行った。パラジウム(II)アセチルアセト
ナート[CH3COCH=C(O−)CH3]2Pdを
0.5mmolと、1,2−ヘキサデカンジオールを
1.5mmolと、ジオクチルエーテル20mlと、を
混合し100℃で加熱した。オレイン酸0.5mmol
と、オレイルアミン0.5mmolと、Fe(CO)5
1mmolと、をさらに加え100℃で30分間加熱し
た後、297℃で30分間還流した。冷却後、エタノー
ルを40ml加え、析出物を沈降させた後上澄みを取り
除いた。 【0081】オレイン酸0.16mmolと、オレイル
アミン0.15mmolと、をさらに加えた後に25m
lのヘキサンを加え分散した。再びエタノールを20m
l加え、析出物を沈降させた後、上澄みを取り除いた。 【0082】オレイン酸0.16mmolと、オレイル
アミン0.15mmolと、をさらに加えた後に20m
lのヘキサンを加え分散した。また、エタノールを15
ml加え、析出物を沈降させた後、上澄みを取り除い
た。 【0083】オレイン酸0.16mmolと、オレイル
アミン0.15mmolと、をさらに加えた後に20m
lのヘキサンを加え分散し、Fe−Pdからなるナノ粒
子を含有する塗布液(1)を調製した。 【0084】塗布液(2)−カルボニル法−:高純度A
rガス中で下記の操作を行った。プラチナ(II)アセ
チルアセトナート[CH3COCH=C(O−)CH3]
2Ptを0.5mmolと、1,2−ヘキサデカンジオ
ールを1.5mmolと、ジオクチルエーテル20ml
と、を混合し100℃で加熱した。 【0085】オレイン酸0.5mmolとオレイルアミ
ン0.5mmolとFe(CO)51mmolと、を加
え297℃で30分間還流した。冷却後,エタノールを
40ml加え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除い
た。 【0086】オレイン酸0.16mmolと、オレイル
アミン0.15mmolと、を加えた後に25mlのヘ
キサンを加え分散した。再びエタノールを20ml加
え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。 【0087】オレイン酸0.16mmolと、オレイル
アミン0.15mmolと、を加えた後に20mlのヘ
キサンを加え分散した。また、エタノールを15ml加
え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。 【0088】オレイン酸0.16mmolと、オレイル
アミン0.15mmolと、を加えた後に20mlのヘ
キサンを加え分散し、Fe−Ptからなるナノ粒子を含
有する塗布液(2)を調製した。 【0089】(ナノ粒子である事の確認)調製した塗布
液(1)および(2)をTEM観察用のメッシュに乗
せ、乾燥する事でTEMサンプルを作成した。加速電圧
300KVの日立製作所製、透過電子顕微鏡(TEM)
を用い粒子サイズを調べた。この結果、それぞれ、平均
体積粒径が、5nmのナノ粒子である事を確認した。 【0090】ICP(セイコーインストルメント社製、
SPS1200A)を用い、ナノ粒子全体中のPd/F
e、Pt/Fe比を求めた。塗布液(1)の場合、Pd
/Fe=0.98であり、塗布液(2)の場合、Pt/
Fe=1.03であった。 【0091】(実施例1)厚さ40μmのPPTAフィ
ルム(:ポリパラフェニレンテレフタルアミド、旭化成
株式会社製「アラミカ」)に、Pt−Feナノ粒子を
0.04mg/ml含有する塗布液(2)をPt−Fe
ナノ粒子が0.5g/m2になるように塗布し、乾燥し
て塗布膜を形成した。 【0092】形成した塗布膜に下記条件でレーザー光を
照射してナノ粒子層を形成して、ナノ粒子塗布物を作製
した。 Arレーザー・・・波長488nm、 レーザビーム径・・・φ25μm、 線速度・・・5m/s パワー・・・0.3W 【0093】(実施例2)塗布液(2)を塗布液(1)
(Pd−Feナノ粒子:0.04mg/ml)とした以
外は、実施例1と同様にして、ナノ粒子塗布物を作製し
た。 【0094】(実施例3)レーザー照射を下記条件とし
た以外は、実施例1と同様にして、ナノ粒子塗布物を作
製した。 アレキサンドライトレーザー・・・波長780nm、 レーザビーム径・・・φ60μm、 線速度・・・5m/s パワー・・・0.5W 【0095】(実施例4)レーザー照射条件を実施例3
の条件とした以外は、実施例2と同様にして、ナノ粒子
塗布物を作製した。 【0096】(実施例5)支持体上に厚さ50nmレー
ザー光吸収層を形成し、該レーザー光吸収層上に、実施
例1と同様にして、ナノ粒子を含有する塗布膜を形成
し、レーザー光を照射してナノ粒子層を形成し、ナノ粒
子塗布物を作製した。なお、前記レーザー光吸収層は、
以下の通りにして形成した。すなわち、下記化学式
(1)で表わされる染料(A)をレーザー光吸収剤と
し、これを10質量%含有するDMF(ジメチルホルム
アミド)溶液を支持体上に0.2ml/cm 2塗布し、
80℃で乾燥して形成した。 【0097】 【化13】【0098】(実施例6)塗布液(2)を塗布液(1)
(Pd−Feナノ粒子:0.04mg/ml)とした以
外は、実施例5と同様にして、ナノ粒子塗布物を作製し
た。 【0099】(実施例7)支持体上に厚さ50nmレー
ザー光吸収層を形成し、該レーザー光吸収層上に、実施
例3と同様にして、ナノ粒子を含有する塗布膜を形成
し、レーザー光を照射してナノ粒子層を形成し、ナノ粒
子塗布物を作製した。なお、前記レーザー光吸収層は、
以下の通りにして形成した。すなわち、下記化学式
(2)で表わされる染料(B)をレーザー光吸収剤と
し、これを10質量%含有するDMF(ジメチルホルム
アミド)溶液を支持体上に0.2ml/cm 2塗布し、
80℃で乾燥して形成した。 【0100】 【化14】 【0101】(実施例8)塗布液(2)を塗布液(1)
(Pd−Feナノ粒子:0.04mg/ml)とした以
外は、実施例7と同様にして、ナノ粒子塗布物を作製し
た。 【0102】(比較例1)厚さ40μmのPPTAフィ
ルム(:ポリパラフェニレンテレフタルアミド、旭化成
株式会社製「アラミカ」)に、Pt−Feナノ粒子を5
mg/ml含有する塗布液(2)を0.04ml/cm
2塗布し、乾燥して塗布膜を形成した。その後、電気炉
で温度を600℃とし、N2雰囲気下、10分間加熱し
ナノ粒子層を形成してナノ粒子塗布物を作製した。 【0103】(比較例2)厚さ40μmのPPTAフィ
ルム(:ポリパラフェニレンテレフタルアミド、旭化成
株式会社製「アラミカ」)に、Pd−Feナノ粒子を5
mg/ml含有する塗布液(1)を0.04ml/cm
2塗布し、乾燥して塗布膜を形成した。その後、電気炉
で温度を600℃とし、N2雰囲気下、10分間加熱し
ナノ粒子層を形成してナノ粒子塗布物を作製した。 【0104】(特性評価) (1)X線回折:水晶の無反射試料板上に、レーザー照
射後もしくは電気炉加熱後のナノ粒子塗布物のサンプル
から、歪が入らないようにスパチェラでナノ粒子を掻き
落とし、乾燥する事でX線回折用サンプルを作製した。
理学電機製X線回折装置で管電圧50KV 管電流30
0mAの条件でCuKα線を発生させゴニオメータを用
いた粉末法でX線回折を行なった。結晶構造から不規則
相、規則相を区別した。結果を表1に示す。 【0105】(2)磁気特性:実施例1〜8および比較
例1、2のそれぞれの磁気特性は、東英工業製の高感度
磁化ベクトル測定機と同社製DATA処理装置とを使用
し、印加磁場790kA/m(10kOe)でHcを測
定した。結果を表1に示す。 【0106】 【表1】【0107】実施例1〜8および比較例1、2では、ナ
ノ粒子は規則相であり、良好な磁気特性を有することが
確認できた。しかし、比較例1、2では、電気炉加熱を
行ったため、有機物である支持体が炭化してしまい、実
用に供することが不可能であることが確認された。 【0108】 【発明の効果】以上、本発明によれば、支持体が有機物
および無機物のいずれであっても、その材質や形状等を
変化させずに、ナノ粒子の合金相を、効率良く、CuA
u型あるいはCu3Au型硬磁性規則合金相とすること
が可能なナノ粒子塗布物の製造方法を提供することがで
きる。
AM等に用いる事が可能なナノ粒子塗布物の製造方法に
関する。 【0002】 【従来の技術】磁気記録媒体に使用する磁性体の粒子サ
イズを小さくする事は磁気記録密度を高くする上で必要
である。たとえば、ビデオテープ、コンピューターテー
プ、ディスク等として広く用いられている磁気記録媒体
では,強磁性体の質量が同じ場合、粒子サイズを小さく
していった方がノイズは下がる。 【0003】CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規
則合金は、規則化時に発生する歪みのために結晶磁気異
方性が大きく、粒子サイズを小さくしても硬磁性を示す
事から磁気記録密度向上に有望な素材である。 【0004】CuAu型あるいはCu3Au型合金を形
成しうる金属ナノ粒子を形成した場合、その構造は面芯
立方晶となる。面芯立方晶は通常、軟磁性あるいは常磁
性を示す。軟磁性あるいは常磁性では記録媒体用には適
していない。そこで、磁気記録媒体に必要な95.5K
A/m以上の保持力を有する硬磁性規則合金を得るに
は、500℃以上で熱処理をする必要があった。しかし
ながら熱処理後に直径1〜100nmの粒子を支持体上
に分散するのは困難であった。また、支持体上に金属ナ
ノ粒子を塗布した磁気記録媒体を熱処理するには、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート等
のポリエステル類、ポリオレフィン類、セルロ−ストリ
アセテート、ポリカ−ボネート、ポリアミド(脂肪族ポ
リアミドやアラミド等の芳香族ポリアミドを含む)、ポ
リイミド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリベ
ンゾオキサゾール等の有機物支持体を使用した場合、支
持体そのものの耐熱性が問題になり、また、ガラス、ア
ルミナ、Si、SiO2等の無機物支持体の場合におい
ても、熱処理時の歪みの発生等が問題となり実用に供す
る事が出来なかった。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】以上から、本発明は、
支持体が有機物および無機物のいずれであっても、その
材質や形状等を変化させずに、ナノ粒子の合金相を、効
率良く、CuAu型あるいはCu3Au型硬磁性規則合
金相とすることが可能なナノ粒子塗布物の製造方法を提
供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】上記課題を解決すべく鋭
意研究の結果、本発明者は、以下に示す本発明により上
記課題を解決することができることを見出した。すなわ
ち、本発明は、 <1> 少なくとも、CuAu型あるいはCu3Au型
硬磁性規則合金相を形成し得るナノ粒子を含有する塗布
液を支持体上に塗布して塗布膜を形成する塗布膜形成工
程と、前記塗布膜にレーザー光を照射することでナノ粒
子層を形成するナノ粒子層形成工程と、を有することを
特徴とするナノ粒子塗布物の製造方法である。 <2> 前記塗布液中にレーザー光吸収剤を含有させる
ことを特徴とする<1>に記載のナノ粒子塗布物の製造
方法である。 <3> 前記塗布膜形成工程の前に、前記塗布膜が形成
される側の支持体上に、レーザー光吸収剤を含有するレ
ーザー光吸収層を形成するレーザー光吸収層形成工程を
有することを特徴とする<1>または<2>に記載のナ
ノ粒子塗布物の製造方法である。 上記本発明のナノ粒子塗布物の製造方法により得られる
ナノ粒子塗布物は、磁気記録媒体の磁性層等に使用する
ことが好ましい。 【0007】 【発明の実施の形態】CuAu型あるいはCu3Au型
硬磁性規則合金相を有するナノ粒子塗布物は、下記〜
に示すようにして製造される。まず、CuAu型あ
るいはCu3Au型硬磁性規則合金相を形成し得るナノ
粒子を調製する(ナノ粒子調製工程)。調製したナノ
粒子を含有する塗布液を支持体上に塗布して塗布膜を形
成する(塗布膜形成工程)。形成した塗布膜にレーザ
ー光を照射することでナノ粒子層を形成する(ナノ粒子
層形成工程)ことで、支持体上にナノ粒子層が形成され
たナノ粒子塗布物が製造される。以下、ナノ粒子塗布物
の製造方法について詳細に説明する。 【0008】ナノ粒子調製工程:CuAu型あるいは
Cu3Au型硬磁性規則合金相を形成し得るナノ粒子
(以下、単に「ナノ粒子」ということがある)を調製す
るには気相法や液相法、その他公知のナノ粒子形成法を
用いる事が出来る。量産性に優れることを考慮すると、
液相法が好ましい。液相法における溶媒は、有機溶剤で
も水でもよく、また有機溶剤と水の混合液を用いてもか
まわない。有機溶剤としては、アルコール、ポリアルコ
ール等を使用することが可能で、アルコールとしては、
メタノール、エタノール、ブタノール等が挙げられ、ポ
リアルコールとしては、エチレングリコール、グリセリ
ン等が挙げられる。 【0009】CuAu型強磁性規則合金としては、Fe
Ni、FePd、FePt、CoPt等が挙げられ、な
かでもFePd、FePt、CoPtであることが好ま
しい。FePtが最も磁気異方性定数が大きい事から特
に好ましい。Cu3Au型強磁性規則合金としては、N
i3Fe、FePd3、Fe3Pt、FePt3、CoPt
3、Ni3Pt、CrPt3、Ni3Mnが挙げられ、なか
でもFePd3、FePt3、CoPt3、Fe3Pd、F
e3Pt、Co3Ptを使用することが好ましい。 【0010】液相法でナノ粒子を調製するには、種々の
方法があるが、少なくとも、酸化還元電位が卑な金属
(以下、単に「卑な金属」ということがある)と、酸化
還元電位が貴な金属(以下、単に「貴な金属」というこ
とがある)と、を液相中で還元剤等を使用して還元する
方法を適用することが好ましい。卑な金属と貴な金属と
の還元順序は、特に限定されず、同時に還元してもよ
い。なお、貴な金属を先に析出させてナノ粒子を調製す
る方法としては、特願2001−269255号の段落
18〜30等に記載の方法等を適用することができる。 【0011】酸化還元電位が貴な金属としては、Pt、
Pd、Rh等が好ましく用いることができ、H2PtC
l6・6H2O、Pt(CH3COCHCOCH3)2、R
hCl 3・3H2O、Pd(OCOCH3)2、PdC
l2、Pd(CH3COCHCOCH 3)2等を溶媒に溶解
して用いることができる。溶液中の金属の濃度は、0.
1〜1000μmol/mlが好ましく、0.1〜10
0μmol/mlがより好ましい。 【0012】また、酸化還元電位が卑な金属としては、
Co、Fe、Ni、Crを好ましく用いることができ、
特に好ましくは、Fe、Coである。このような金属
は、FeSO4・7H2O、NiSO4・7H2O、CoC
l2・6H2O、Co(OCOCH3)2・4H2O等を溶
媒に溶解して用いることができる。溶液中の金属の濃度
は、0.1〜1000μmol/mlがよく、好ましく
は0.1〜100μmol/mlである。 【0013】また、2元系合金に、Sb、Pb、Bi、
Cu、Ag、Zn等の第三元素を加える事で硬磁性規則
合金への変態温度を下げる事が好ましい。添加量として
は、全体量(2元合金+第三元素)に対し、1〜20a
t%が好ましく、5〜15at%がより好ましい。 【0014】例えば、還元剤を用いて卑な金属と貴な金
属をこの順に還元して析出させる場合、−0.2V(v
s.N.H.E)より卑な還元電位を持つ還元剤を用い
て卑な金属あるいは卑な金属と貴な金属の一部を還元し
たものを貴な金属源に加え酸化還元電位が−0.2V
(vs.N.H.E)より貴な還元剤を用いた後,−
0.2V(vs.N.H.E)より卑な還元電位を持つ
還元剤を用いる事が好ましい。なお、卑な金属を析出さ
せるには還元剤を用いてもよいが、卑な金属の0価の化
合物を添加してもよい。0価の化合物の例として金属カ
ルボニルが挙げられる。酸化還元電位は系のpHに依存
するが、酸化還元電位が−0.2V(vs.N.H.
E)より貴な還元剤には、1,2−ヘキサデカンジオー
ル等のアルコール類、グリセリン類、H2、HCHOが
好ましく用いられる。−0.2V(vs.N.H.E)
より卑な還元剤には、S2O6 2-、H2PO2 -、BH4 -、
N2H5 +、H2PO3 -が好ましく用いる事ができる。な
お、卑な金属の原料として、Feカルボニル等の0価の
金属化合物と用いる場合は、特に卑な金属の還元剤は必
要ない。 【0015】貴な金属を還元析出させる際に吸着剤を存
在させる事でナノ粒子を安定に形成させることができ
る。吸着剤としてはポリマーや界面活性剤を使用するこ
とが好ましい。該ポリマーとしては、ポリビニルアルコ
ール(PVA)、ポリN−ビニル−2ピロリドン(PV
P)、ゼラチンである。特に好ましくはPVPである。
分子量は2万〜6万が好ましく、より好ましくは3万〜
5万である。ポリマーの量は生成する硬磁性ナノ粒子の
質量の0.1〜10倍であることが好ましく、0.1〜
5倍のがより好ましい。 【0016】吸着剤として好ましく用いられる界面活性
剤は、一般式:R−Xで表される長鎖有機化合物である
「有機安定剤」を含むことが好ましい。上記一般式中の
Rは、直鎖または分岐ハイドロカーボンまたはフルオロ
カーボン鎖である「テール基」であり、通常8〜22の
炭素原子を含む。また、上記一般式中のXは、ナノ粒子
表面に特定の化学結合を提供する部分(X)である「ヘ
ッド基」であり、スルフィネート(−SOOH)、スル
ホネート(−SO2OH)、ホスフィネート(−POO
H)、ホスホネート−OPO(OH)2、カルボキシレ
ート、およびチオールのいずれかであることが好まし
い。 【0017】前記有機安定剤としては、スルホン酸(R
−SO2OH)、スルフィン酸(R−SOOH)、ホス
フィン酸(R2POOH)、ホスホン酸(R−OPO
(OH)2)、カルボン酸(R−COOH)、チオール
(R−SH)等のいずれかであることが好ましい。これ
らのなかでも、オレイン酸が特に好ましい。 【0018】オレイン酸はコロイドの安定化において周
知の界面活性剤であり、鉄系ナノ粒子の保護に好適であ
る。オレイン酸は18炭素鎖を有し、その長さは〜20
オングストローム(〜2nm)である。また、オレイン
酸には脂肪族ではなく二重結合が1つ存在する。そし
て、オレイン酸の比較的長い鎖は粒子間の強い磁気相互
作用を打ち消す重要な立体障害を与える。エルカ酸やリ
ノール酸など類似の長鎖カルボン酸もオレイン酸同様に
(たとえば、8〜22の間の炭素原子を有する長鎖有機
酸を単独でまたは組み合わせて用いることができる)用
いられてきた。オレイン酸は(オリーブ油など)容易に
入手できる安価な天然資源であるので好ましい。 【0019】前記ホスフィンと有機安定剤の組合せ(ト
リオルガノホスフィン/酸など)は粒子の成長および安
定化に対する秀れた制御を提供する。ジデシルエーテル
およびジドデシルエーテルも用いることができるが、フ
ェニルエーテルまたはn−オクチルエーテルはその低コ
ストおよび高沸点のため溶媒として好適に用いられる。 【0020】反応は必要なナノ粒子および溶媒の沸点に
より80℃〜360℃の範囲の温度で行うことができる
が、80℃〜240℃がより好ましい。温度がこの温度
範囲より低いと粒子が成長しないことがある。温度がこ
の範囲より高いと粒子は制御されないで成長し、望まし
くない副産物の生成が増加することがある。 【0021】得られるナノ粒子の保持力は95.5〜3
98kA/m(1200〜5000Oe)が好ましく、
磁気記録媒体に適用した場合、記録ヘッドが対応できる
という観点から95.5〜278.6kA/m(120
0〜3500Oe)が好ましい。ナノ粒子の粒径は1〜
100nmが好ましく、より好ましくは3〜20nmで
あり、さらに好ましくは3〜10nmである。粒子サイ
ズ(粒径)を大きくする方法としては種晶法が有効であ
る。磁気記録媒体として用いるにはナノ粒子を最密充填
することが記録容量を高くする上で好ましく、そのため
には、ナノ粒子のサイズの標準偏差は10%未満が好ま
しく、より好ましくは5%以下である。 【0022】粒子サイズが小さすぎると超常磁性となり
好ましくない。そこで粒子サイズを大きくするため既述
のように、種晶法を用いることが好ましい。その際、粒
子を構成する金属より貴な金属を析出させるケースが出
てくる。この時、粒子の酸化が懸念されるため、予め粒
子を水素化処理することが好ましい。 【0023】ナノ粒子の最外層は酸化防止の観点から貴
な金属にすることが好ましいが、凝集しやすいため、本
発明では貴な金属と卑な金属の合金であることが好まし
い。 【0024】ナノ粒子合成後に溶液から塩類を除くこと
は、ナノ粒子の分散安定性を向上させる意味から好まし
い。脱塩にはアルコールを過剰に加え、軽凝集を起こ
し、自然沈降あるいは遠心沈降させ塩類を上澄みと共に
除去する方法があるが、これらの方法では凝集が生じや
すいため、限外濾過法を採用することが好ましい。 【0025】ナノ粒子の粒径評価には透過型電子顕微鏡
(TEM)を用いることができる。ナノ粒子の結晶系を
決めるにはTEMによる電子回折でもよいが、X線回折
を用いた方が精度が高いため好ましい。ナノ粒子の内部
の組成分析には、電子線を細く絞ることができるFE−
TEMにEDAXを付け評価することが好ましい。ナノ
粒子の磁気的性質の評価はVSMを用いて行うことがで
きる。 【0026】塗布膜形成工程:液相法で調製したナノ
粒子は、該ナノ粒子が溶液中に分散した状態となってい
るため、この溶液に適宜溶媒等を添加し、ナノ粒子の含
有量を0.01〜0.1g/リットルとして、塗布液を
調製する。調製した塗布液を支持体上に塗布して塗布膜
を形成する。塗布量としては、ナノ粒子の含有量等の条
件によるが、0.01〜1g/m2程度とすることが好
ましい。 【0027】また、後述するナノ粒子層形成工程におい
て照射されるレーザー光の吸収効率を向上させるため、
塗布液中にレーザー光吸収剤を含有させることが好まし
い。レーザー光吸収剤は、塗布膜中に1〜1000mg
含有されていることが好ましく、1〜100mg含有さ
れていることがより好ましい。1〜1000質量%とす
ることで、レーザー光を吸収し、効率よく熱に変換する
ことができる。レーザー光吸収剤を塗布膜に含有させる
場合は、前記吸収材が固体であると、ナノ粒子の配列を
乱す事から分子状である事が好ましい。分子状とするに
は、溶媒に溶かした上で塗布することが好ましい。レー
ザー光吸収剤としては、後述するレーザー光吸収層形成
工程において使用されるものと同一のものを使用するこ
とができる。 【0028】支持体としては、無機物および有機物のい
ずれも使用することができるが、磁気テープやフロッピ
ー(R)ディスクなどの用途性を考慮すると、有機物を
使用することが好ましい。 【0029】無機物の支持体としては、Si、Al、M
g合金(Al−Mg合金、Mg−Al−Znなど)、ガ
ラス、石英、カーボン、シリコン、セラミックス等が用
いられる。これらの支持体は耐衝撃性に優れ、また薄型
化や高速回転に適した剛性を有する。また、有機物支持
体に比べ熱に強い特徴を有している。 【0030】有機物の支持体としては、ポリエチレンテ
レフタレート、ポリエチレンナフタレート等のポリエス
テル類;ポリオレフィン類;セルローストリアセテー
ト、ポリカ−ボネート、ポリアミド(脂肪族ポリアミド
やアラミド等の芳香族ポリアミドを含む)、ポリイミ
ド、ポリアミドイミド、ポリスルフォン、ポリベンゾオ
キサゾール等を用いる事ができる。 【0031】支持体上への塗布液の塗布方法としては、
エアードクターコート、ブレードコート、ロッドコー
ト、押出しコート、エアナイフコート、スクイズコー
ト、含浸コート、リバースロールコート、トランスファ
ーロールコート、グラビヤコート、キスコート、キャス
トコート、スプレイコート、スピンコート等が利用でき
る。 【0032】気相法で調製したナノ粒子を前記支持体上
に塗布する場合は、まず、前記ナノ粒子を公知の方法で
混練あるいは公知の方法で溶媒に微分散して塗布液を調
製し、液相法の場合と同様にして、支持体上に塗布し、
塗布膜を形成する。塗布液のナノ粒子の含有量やレーザ
ー光吸収剤等については、液相法の場合と同様である。 【0033】なお、塗布膜を形成する前(塗布膜形成工
程を経る前)に、レーザー光吸収剤を含有するレーザー
光吸収層を支持体上に形成することが好ましい。レーザ
ー光吸収層を設けるときは、塗布膜と支持体との間に形
成することが好ましい。支持体と反対側に設けると、磁
気記録材料として本発明のナノ粒子塗布物を用いる場
合、スペーシングロスが大きくなり出力が下がる事から
好ましくはない。 【0034】レーザー吸収剤としては、主に、染料を使
用することが好ましい。染料としては、下記一般式
(I)、(II)、(III)のいずれかで表わされる
化合物を、1種または2種以上混合して使用することが
できる。 【0035】 【化1】 ・・・一般式(I) 【0036】一般式(I)中、Zは5員又は6員の含窒
素複素環を完成するのに必要な非金属原子群を表わす。
R11は水素原子、アルキル基、アルケニル基、置換アル
キル基、置換アルケニル基を表わし、R12は水素原子、
低級アルキル基、置換アルキル基を表わす。Xは酸アニ
オンを表わし、qは0〜2の整数を表わす。 【0037】 【化2】 ・・・一般式(II) 【0038】一般式(II)中、Dは発色団を有する化
合物を表し、XはDに直接もしくは2価の連結基を介し
て結合した解離性プロトン又は解離性プロトンを有する
基を表し、yは1〜7の整数を表す。 【0039】 【化3】 ・・・一般式(III) 【0040】一般式(III)中、A1、A2はオキソノ
ール染料を形成するのに必要な酸性核を表し、m、nは
各々0又は1を表す。 【0041】以下、一般式(III)で表わされる染料
をさらに具体的に示すが、本発明はこれらに限定される
ものではない。当然、実施例で使用している染料(A)
および(B)も好ましい具体例である。 【0042】 【化4】 【0043】 【化5】【0044】 【化6】【0045】 【化7】【0046】 【化8】【0047】 【化9】【0048】 【化10】【0049】 【化11】【0050】 【化12】【0051】以上のような染料は、アルコール等の溶媒
に溶解して染料溶液を調製し、該染料溶液を支持体上に
塗布する。塗布方法としては、前記塗布膜を形成する際
に使用する方法を適用することが好ましい。塗布膜形成
後は、適宜乾燥処理等を施すことが好ましい。 【0052】レーザー吸収剤(染料)の塗布量として
は、後述するレーザー光吸収層の所望の厚さにより適宜
設定されるが、1mg/m2〜1g/m2が好ましく、1
0mg/m2〜500mg/m2がより好ましい。レーザ
ー光吸収層の厚さは、レーザー光の吸収効率や膜強度の
観点から、50nm〜2μmとすることが好ましく、5
0nm〜0.5μmとすることがより好ましい。 【0053】ナノ粒子層形成工程:液相法あるいは気
相法で作製したCuAu型あるいはCu3Au型硬磁性
規則合金を形成し得るナノ粒子は不規則相である。一般
に、不規則相では硬磁性は得られないため、規則相とす
るために熱処理(アニール)する必要がある。熱処理温
度は示差熱分析(DTA)を用い、ナノ粒子を構成する
合金が規則不規則変態する変態温度を求め、その温度以
上で行う事が必要であり、通常は500℃以上である。
上記変態温度以上では、当然の事ながら、テープ、フロ
ッピー(R)ディスク等の磁気記録媒体に用いられる有
機物の支持体を使用することはできず、無機物に限定さ
れる。また、無機物の支持体といっても、ガラス、アル
ミナ、Si、SiO2等の無機物支持体の場合において
は、熱処理時に歪みが発生する等の問題が生じ、実用に
供する事ができない。 【0054】そこで本発明では、ナノ粒子層形成工程に
おいて、形成した塗布膜にレーザー光を照射するレーザ
ー光照射処理を施す。レーザー光を塗布膜に照射するこ
とによって、塗布膜中のナノ粒子だけを選択的に加熱す
ることができる。従って、支持体に有機物を使用して
も、熱による変形や変質を防ぎ、効率良くナノ粒子の合
金相を規則化することができる。 【0055】レーザーの波長は、紫外から赤外まで用い
る事ができるが、有機物の支持体は紫外域に吸収を持つ
事から、可視から赤外域のレーザー光を用いる事が好ま
しい。レーザー出力は、塗布膜を短時間で加熱するた
め、0.1W以上が好ましく、0.3W以上がより好ま
しい。出力が高すぎると有機物支持体も熱の影響を受け
ることがあるため、3W以下が好ましい。レーザーの波
長及び出力の観点から、好ましく用いられるレーザとし
ては、Arイオンレーザー、Cu蒸気レーザー、HF化
学レーザー、色素レーザー、ルビーレーザー、YAGレ
ーザー、ガラスレーザー、チタンサファイアレーザー、
アレキサンドライトレーザー、GaAlAsアレイ半導
体レーザー等が挙げられる。但し、本発明の製造方法で
は、これらのレーザーに限られるものではない。 【0056】レーザー光を走査する際の線速度は、相変
態が十分に起き、かつ、アブレーションを起こさないと
いった効果を得るため、1〜10m/sとすることが好
ましく、2〜5m/sとすることがより好ましい。 【0057】支持体に熱の影響を与えないという観点か
ら、支持体とナノ粒子層との間、またはレーザー光吸収
層がある場合は該レーザー光吸収層と支持体との間に、
レーザー反射層を設ける事が好ましい。レーザー反射層
を設けることで、基板に達するレーザー光をほとんど、
もしくは完全にカットすることが可能となり、支持体の
熱による変形や変質の防止効果をより向上させることが
できる。 【0058】レーザー反射層を構成する材料としては、
レーザー光を反射し得るものであれば特に限定されず、
例えば、Al、Ag、Au、Cu、Mo、Ti、Cr、
Ni、Pt、Ta,Pd、SiC、Al+TiO2等が
挙げられ、これらは、レーザー反射層中に分散している
事が好ましい。レーザー反射層は、上記材料をスパッタ
リングや蒸着などして形成することができる。レーザー
反射層の厚さは、薄すぎると熱が拡散しやすく、厚すぎ
ると反射率が低下することがあるため、30〜1000
nmとすることが好ましく、50〜300nmとするこ
とがより好ましい。 【0059】レーザー加熱した後は、ナノ粒子層あるい
はレーザー光吸収層中の有機物は炭化している。これら
の層を安定に存在させるためには、ポリマーに結合剤を
塗布し、浸透させる事が好ましい。結合剤としては、ポ
リウレタン樹脂;ポリエステル系樹脂;ポリアミド系樹
脂;塩化ビニル系樹脂;スチレン、アクリロニトリル、
メチルメタクリレートなどを共重合したアクリル系樹
脂;ニトロセルロースなどのセルロース系樹脂;エポキ
シ樹脂;フェノキシ樹脂;ポリビニルアセタール、ポリ
ビニルブチラールなどのポリビニルアルキラール樹脂;
などから単独あるいは複数の樹脂を混合して用いること
ができる。これらの中で好ましいのは、ポリウレタン樹
脂、塩化ビニル系樹脂、アクリル系樹脂である。 【0060】本発明の製造方法により得られたナノ粒子
塗布物は、ビデオテープ、コンピューターテープ、フロ
ッピー(R)ディスク、ハードディスクに好ましく用い
ることができる。また、MRAMへの適用も好ましい。 【0061】<磁気記録媒体>本発明の製造方法で得ら
れたナノ粒子塗布物は、既述のように、ビデオテープ、
コンピューターテープ等の磁気テープ;フロッピー
(R)ディスク、ハードディスク等の磁気ディスク;等
の少なくとも磁性層を有する磁気記録媒体に好ましく用
いることができる。 【0062】かかる磁気記録媒体は、ナノ粒子塗布物上
に形成されたナノ粒子層(磁性ナノ粒子層)のほかに、
必要に応じて他の層を有してなる。例えば、ディスクの
場合、ナノ粒子層の反対側の面に磁性層や非磁性層を設
けることができる。テープの場合、ナノ粒子層の反対側
の不溶性支持体面上にバック層を設けることが好まし
い。 【0063】例えば、ナノ粒子層上に非常に薄い保護膜
を形成することで、耐磨耗性を改善し、さらにその保護
膜上に潤滑剤を塗布して滑り性を高めることによって、
十分な信頼性を有する磁気記録媒体とすることができ
る。 【0064】保護膜の材質としては、シリカ、アルミ
ナ、チタニア、ジルコニア、酸化コバルト、酸化ニッケ
ルなどの酸化物;窒化チタン、窒化ケイ素、窒化ホウ素
などの窒化物;炭化ケイ素、炭化クロム、炭化ホウ素等
の炭化物;グラファイト、無定型カーボンなどの炭素
(カーボン);等があげられるが、特に好ましくは、一
般に、ダイヤモンドライクカーボンと呼ばれる硬質の非
晶質のカーボンである。 【0065】カーボンからなるカーボン保護膜は、非常
に薄い膜厚で十分な耐磨耗性を有し、摺動部材に焼き付
きを生じ難いため、保護膜の材料としては好適である。
カーボン保護膜の形成方法として、ハードディスクにお
いては、スパッタリング法が一般的であるが、ビデオテ
ープ等の連続成膜を行う必要のある製品ではより成膜速
度の高いプラズマCVDを用いる方法が多数提案されて
いる。従って、これらの方法を適用することが好まし
い。中でもプラズマインジェクションCVD(PI−C
VD)法は成膜速度が非常に高く、得られるカーボン保
護膜も硬質かつピンホールが少ない良質な保護膜が得ら
れると報告されている(例えば、特開昭61−1304
87号公報、特開昭63−279426号公報、特開平
3−113824号公報等)。 【0066】このカーボン保護膜は、ビッカース硬度で
1000Kg/mm2以上であることが好ましく、20
00Kg/mm2以上であることがより好ましい。ま
た、その結晶構造はアモルファス構造であり、かつ非導
電性であることが好ましい。そして、カーボン保護膜と
して、ダイヤモンド状炭素(ダイヤモンドライクカーボ
ン)膜を使用した場合、この構造はラマン光分光分析に
よって確認することができる。すなわち、ダイヤモンド
状炭素膜を測定した場合には、1520〜1560cm
-1にピークが検出されることによって確認することがで
きる。炭素膜の構造がダイヤモンド状構造からずれてく
るとラマン光分光分析により検出されるピークが上記範
囲からずれるとともに、保護膜としての硬度も低下す
る。 【0067】このカーボン保護膜を形成するための炭素
原料としては、メタン、エタン、プロパン、ブタン等の
アルカン;エチレン、プロピレン等のアルケン;アセチ
レン等のアルキン;をはじめとした炭素含有化合物を用
いることが好ましい。また、必要に応じてアルゴンなど
のキャリアガスや膜質改善のための水素や窒素などの添
加ガスを加えることができる。 【0068】カーボン保護膜の膜厚が厚いと、電磁変換
特性の悪化や磁性ナノ粒子層に対する密着性の低下が生
じ、膜厚が薄いと耐磨耗性が不足する。従って、膜厚
は、2.5〜20nmとすることが好ましく、5〜10
nmとすることがより好ましい。また、この保護膜と基
板となる磁性ナノ粒子層の密着性を改善するために、あ
らかじめ磁性ナノ粒子層表面を不活性ガスでエッチング
したり、酸素等の反応性ガスプラズマに曝して表面改質
する事が好ましい。 【0069】磁性ナノ粒子層は電磁変換特性を改善する
ため重層構成としたり、磁性ナノ粒子層の下に公知の非
磁性下地層や中間層を有していてもよい。走行耐久性お
よび耐食性を改善するため、既述のように、上記磁性ナ
ノ粒子層もしくは保護膜上に潤滑剤や防錆剤を付与する
ことが好ましい。添加する潤滑剤としては公知の炭化水
素系潤滑剤、フッ素系潤滑剤、極圧添加剤などが使用で
きる。 【0070】炭化水素系潤滑剤としては、ステアリン
酸、オレイン酸等のカルボン酸類;ステアリン酸ブチル
等のエステル類;オクタデシルスルホン酸等のスルホン
酸類;リン酸モノオクタデシル等のリン酸エステル類;
ステアリルアルコール、オレイルアルコール等のアルコ
ール類;ステアリン酸アミド等のカルボン酸アミド類;
ステアリルアミン等のアミン類;などが挙げられる。 【0071】フッ素系潤滑剤としては、上記炭化水素系
潤滑剤のアルキル基の一部または全部をフルオロアルキ
ル基もしくはパーフルオロポリエーテル基で置換した潤
滑剤が挙げられる。パーフルオロポリエーテル基として
は、パーフルオロメチレンオキシド重合体、パーフルオ
ロエチレンオキシド重合体、パーフルオロ−n−プロピ
レンオキシド重合体(CF2CF2CF2O)n、パーフル
オロイソプロピレンオキシド重合体(CF(CF3)C
F2O)nまたはこれらの共重合体等である。 【0072】また、炭化水素系潤滑剤のアルキル基の末
端や分子内に水酸基、エステル基、カルボキシル基など
の極性官能基を有する化合物が、摩擦力を低減する効果
が高く好適である。さらに、この分子量は、500〜5
000、好ましくは1000〜3000である。500
未満では揮発性が高く、また潤滑性が低いなることがあ
る。また、5000を超えると、粘度が高くなるため、
スライダーとディスクが吸着しやすく、走行停止やヘッ
ドクラッシュなどを発生しやすくなることがある。この
パーフルオロポリエーテルは、具体例的には、アウジモ
ンド社製のFOMBLIN、デュポン社製のKRYTO
Xなどの商品名で市販されている。 【0073】極圧添加剤としては、リン酸トリラウリル
等のリン酸エステル類;亜リン酸トリラウリル等の亜リ
ン酸エステル類;トリチオ亜リン酸トリラウリル等のチ
オ亜リン酸エステルやチオリン酸エステル類;二硫化ジ
ベンジル等の硫黄系極圧剤;などが挙げられる。 【0074】前記潤滑剤は単独もしくは複数を併用して
使用される。これらの潤滑剤を磁性ナノ粒子層もしくは
保護膜上に付与する方法としては、潤滑剤を有機溶剤に
溶解し、ワイヤーバー法、グラビア法、スピンコート
法、ディップコート法等で塗布するか、真空蒸着法によ
って付着させればよい。 【0075】防錆剤としては、ベンゾトリアゾール、ベ
ンゾイミダゾール、プリン、ピリミジン等の窒素含有複
素環類およびこれらの母核にアルキル側鎖等を導入した
誘導体;ベンゾチアゾール、2−メルカプトンベンゾチ
アゾール、テトラザインデン環化合物、チオウラシル化
合物等の窒素および硫黄含有複素環類およびこの誘導
体;等が挙げられる。 【0076】既述のように、磁気記録媒体が磁気テープ
等の場合は、非磁性支持体の磁性ナノ粒子層が形成され
ていない面にバックコート層(バッキング層)が設けら
れていてもよい。バックコート層は、非磁性支持体の磁
性ナノ粒子層が形成されていない面に、研磨材、帯電防
止剤などの粒状成分と結合剤とを公知の有機溶剤に分散
したバックコート層形成塗料を塗布して設けられる層で
ある。粒状成分として各種の無機顔料やカーボンブラッ
クを使用することができ、また結合剤としてはニトロセ
ルロース、フェノキシ樹脂、塩化ビニル系樹脂、ポリウ
レタン等の樹脂を単独またはこれらを混合して使用する
ことができる。また、ナノ粒子分散液の塗布面およびバ
ックコート層が形成される面には、公知の接着剤層が設
けられていてもよい。 【0077】以上のようにして製造される磁気記録媒体
は、表面の中心線平均粗さが、カットオフ値0.25m
mにおいて、好ましくは0.1〜5nm、より好ましく
は1〜4nmの範囲とする。このように、極めて優れた
平滑性を有する表面とすることが、高密度記録用の磁気
記録媒体として好ましいからである。このような表面を
得る方法として、磁性層を形成した後にカレンダー処理
を施す方法が挙げられる。また、バーニッシュ処理を施
してもよい。 【0078】得られた磁気記録媒体は、適宜、打ち抜き
機で打ち抜いたり、裁断機などを使用して所望の大きさ
に裁断して使用することができる。 【0079】 【実施例】本発明を以下に示す実施例により具体的に説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。 【0080】(ナノ粒子を含有する塗布液の調製) 塗布液(1)−カルボニル法−:高純度Arガス中で下
記の操作を行った。パラジウム(II)アセチルアセト
ナート[CH3COCH=C(O−)CH3]2Pdを
0.5mmolと、1,2−ヘキサデカンジオールを
1.5mmolと、ジオクチルエーテル20mlと、を
混合し100℃で加熱した。オレイン酸0.5mmol
と、オレイルアミン0.5mmolと、Fe(CO)5
1mmolと、をさらに加え100℃で30分間加熱し
た後、297℃で30分間還流した。冷却後、エタノー
ルを40ml加え、析出物を沈降させた後上澄みを取り
除いた。 【0081】オレイン酸0.16mmolと、オレイル
アミン0.15mmolと、をさらに加えた後に25m
lのヘキサンを加え分散した。再びエタノールを20m
l加え、析出物を沈降させた後、上澄みを取り除いた。 【0082】オレイン酸0.16mmolと、オレイル
アミン0.15mmolと、をさらに加えた後に20m
lのヘキサンを加え分散した。また、エタノールを15
ml加え、析出物を沈降させた後、上澄みを取り除い
た。 【0083】オレイン酸0.16mmolと、オレイル
アミン0.15mmolと、をさらに加えた後に20m
lのヘキサンを加え分散し、Fe−Pdからなるナノ粒
子を含有する塗布液(1)を調製した。 【0084】塗布液(2)−カルボニル法−:高純度A
rガス中で下記の操作を行った。プラチナ(II)アセ
チルアセトナート[CH3COCH=C(O−)CH3]
2Ptを0.5mmolと、1,2−ヘキサデカンジオ
ールを1.5mmolと、ジオクチルエーテル20ml
と、を混合し100℃で加熱した。 【0085】オレイン酸0.5mmolとオレイルアミ
ン0.5mmolとFe(CO)51mmolと、を加
え297℃で30分間還流した。冷却後,エタノールを
40ml加え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除い
た。 【0086】オレイン酸0.16mmolと、オレイル
アミン0.15mmolと、を加えた後に25mlのヘ
キサンを加え分散した。再びエタノールを20ml加
え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。 【0087】オレイン酸0.16mmolと、オレイル
アミン0.15mmolと、を加えた後に20mlのヘ
キサンを加え分散した。また、エタノールを15ml加
え、析出物を沈降させた後上澄みを取り除いた。 【0088】オレイン酸0.16mmolと、オレイル
アミン0.15mmolと、を加えた後に20mlのヘ
キサンを加え分散し、Fe−Ptからなるナノ粒子を含
有する塗布液(2)を調製した。 【0089】(ナノ粒子である事の確認)調製した塗布
液(1)および(2)をTEM観察用のメッシュに乗
せ、乾燥する事でTEMサンプルを作成した。加速電圧
300KVの日立製作所製、透過電子顕微鏡(TEM)
を用い粒子サイズを調べた。この結果、それぞれ、平均
体積粒径が、5nmのナノ粒子である事を確認した。 【0090】ICP(セイコーインストルメント社製、
SPS1200A)を用い、ナノ粒子全体中のPd/F
e、Pt/Fe比を求めた。塗布液(1)の場合、Pd
/Fe=0.98であり、塗布液(2)の場合、Pt/
Fe=1.03であった。 【0091】(実施例1)厚さ40μmのPPTAフィ
ルム(:ポリパラフェニレンテレフタルアミド、旭化成
株式会社製「アラミカ」)に、Pt−Feナノ粒子を
0.04mg/ml含有する塗布液(2)をPt−Fe
ナノ粒子が0.5g/m2になるように塗布し、乾燥し
て塗布膜を形成した。 【0092】形成した塗布膜に下記条件でレーザー光を
照射してナノ粒子層を形成して、ナノ粒子塗布物を作製
した。 Arレーザー・・・波長488nm、 レーザビーム径・・・φ25μm、 線速度・・・5m/s パワー・・・0.3W 【0093】(実施例2)塗布液(2)を塗布液(1)
(Pd−Feナノ粒子:0.04mg/ml)とした以
外は、実施例1と同様にして、ナノ粒子塗布物を作製し
た。 【0094】(実施例3)レーザー照射を下記条件とし
た以外は、実施例1と同様にして、ナノ粒子塗布物を作
製した。 アレキサンドライトレーザー・・・波長780nm、 レーザビーム径・・・φ60μm、 線速度・・・5m/s パワー・・・0.5W 【0095】(実施例4)レーザー照射条件を実施例3
の条件とした以外は、実施例2と同様にして、ナノ粒子
塗布物を作製した。 【0096】(実施例5)支持体上に厚さ50nmレー
ザー光吸収層を形成し、該レーザー光吸収層上に、実施
例1と同様にして、ナノ粒子を含有する塗布膜を形成
し、レーザー光を照射してナノ粒子層を形成し、ナノ粒
子塗布物を作製した。なお、前記レーザー光吸収層は、
以下の通りにして形成した。すなわち、下記化学式
(1)で表わされる染料(A)をレーザー光吸収剤と
し、これを10質量%含有するDMF(ジメチルホルム
アミド)溶液を支持体上に0.2ml/cm 2塗布し、
80℃で乾燥して形成した。 【0097】 【化13】【0098】(実施例6)塗布液(2)を塗布液(1)
(Pd−Feナノ粒子:0.04mg/ml)とした以
外は、実施例5と同様にして、ナノ粒子塗布物を作製し
た。 【0099】(実施例7)支持体上に厚さ50nmレー
ザー光吸収層を形成し、該レーザー光吸収層上に、実施
例3と同様にして、ナノ粒子を含有する塗布膜を形成
し、レーザー光を照射してナノ粒子層を形成し、ナノ粒
子塗布物を作製した。なお、前記レーザー光吸収層は、
以下の通りにして形成した。すなわち、下記化学式
(2)で表わされる染料(B)をレーザー光吸収剤と
し、これを10質量%含有するDMF(ジメチルホルム
アミド)溶液を支持体上に0.2ml/cm 2塗布し、
80℃で乾燥して形成した。 【0100】 【化14】 【0101】(実施例8)塗布液(2)を塗布液(1)
(Pd−Feナノ粒子:0.04mg/ml)とした以
外は、実施例7と同様にして、ナノ粒子塗布物を作製し
た。 【0102】(比較例1)厚さ40μmのPPTAフィ
ルム(:ポリパラフェニレンテレフタルアミド、旭化成
株式会社製「アラミカ」)に、Pt−Feナノ粒子を5
mg/ml含有する塗布液(2)を0.04ml/cm
2塗布し、乾燥して塗布膜を形成した。その後、電気炉
で温度を600℃とし、N2雰囲気下、10分間加熱し
ナノ粒子層を形成してナノ粒子塗布物を作製した。 【0103】(比較例2)厚さ40μmのPPTAフィ
ルム(:ポリパラフェニレンテレフタルアミド、旭化成
株式会社製「アラミカ」)に、Pd−Feナノ粒子を5
mg/ml含有する塗布液(1)を0.04ml/cm
2塗布し、乾燥して塗布膜を形成した。その後、電気炉
で温度を600℃とし、N2雰囲気下、10分間加熱し
ナノ粒子層を形成してナノ粒子塗布物を作製した。 【0104】(特性評価) (1)X線回折:水晶の無反射試料板上に、レーザー照
射後もしくは電気炉加熱後のナノ粒子塗布物のサンプル
から、歪が入らないようにスパチェラでナノ粒子を掻き
落とし、乾燥する事でX線回折用サンプルを作製した。
理学電機製X線回折装置で管電圧50KV 管電流30
0mAの条件でCuKα線を発生させゴニオメータを用
いた粉末法でX線回折を行なった。結晶構造から不規則
相、規則相を区別した。結果を表1に示す。 【0105】(2)磁気特性:実施例1〜8および比較
例1、2のそれぞれの磁気特性は、東英工業製の高感度
磁化ベクトル測定機と同社製DATA処理装置とを使用
し、印加磁場790kA/m(10kOe)でHcを測
定した。結果を表1に示す。 【0106】 【表1】【0107】実施例1〜8および比較例1、2では、ナ
ノ粒子は規則相であり、良好な磁気特性を有することが
確認できた。しかし、比較例1、2では、電気炉加熱を
行ったため、有機物である支持体が炭化してしまい、実
用に供することが不可能であることが確認された。 【0108】 【発明の効果】以上、本発明によれば、支持体が有機物
および無機物のいずれであっても、その材質や形状等を
変化させずに、ナノ粒子の合金相を、効率良く、CuA
u型あるいはCu3Au型硬磁性規則合金相とすること
が可能なナノ粒子塗布物の製造方法を提供することがで
きる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
Fターム(参考) 4D075 BB44Z BB48Z CA02 CA24
DA04 DA06 DB01 DB07 DB13
DB14 DB33 DB36 DB48 DB53
DC28 EA10 EB07 EB14 EB15
EB19 EB22 EB32 EB33 EB35
EB38 EB39 EC10
5D112 AA05 BB01 BB06 CC01 CC12
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 少なくとも、CuAu型あるいはCu3
Au型硬磁性規則合金相を形成し得るナノ粒子を含有す
る塗布液を支持体上に塗布して塗布膜を形成する塗布膜
形成工程と、前記塗布膜にレーザー光を照射することで
ナノ粒子層を形成するナノ粒子層形成工程と、を有する
ことを特徴とするナノ粒子塗布物の製造方法。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002063474A JP2003260409A (ja) | 2002-03-08 | 2002-03-08 | ナノ粒子塗布物の製造方法 |
US10/382,983 US6878445B2 (en) | 2002-03-08 | 2003-03-07 | Nanoparticle coated material and production method of same |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002063474A JP2003260409A (ja) | 2002-03-08 | 2002-03-08 | ナノ粒子塗布物の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003260409A true JP2003260409A (ja) | 2003-09-16 |
Family
ID=28670841
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002063474A Pending JP2003260409A (ja) | 2002-03-08 | 2002-03-08 | ナノ粒子塗布物の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003260409A (ja) |
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005328037A (ja) * | 2004-03-25 | 2005-11-24 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 膜パターンの形成方法、半導体装置の作製方法、液晶テレビジョン、及びelテレビジョン |
JP2006253325A (ja) * | 2005-03-09 | 2006-09-21 | Fuji Photo Film Co Ltd | 磁性材料の製造方法、磁性材料および高密度磁気記録媒体 |
JP2008071455A (ja) * | 2006-09-15 | 2008-03-27 | Matsushita Electric Ind Co Ltd | 磁気記録媒体とその製造方法、および、磁気記録媒体の記録再生装置と記録再生方法 |
US8167972B2 (en) | 2006-06-30 | 2012-05-01 | N.E. Chemcat Corporation | Process for producing metal nanoparticle and metal nanoparticle produced by the process |
CN111962070A (zh) * | 2020-09-08 | 2020-11-20 | 中国科学院上海应用物理研究所 | 一种无机盐纳米薄膜的制备方法以及由此得到的无机盐纳米薄膜 |
-
2002
- 2002-03-08 JP JP2002063474A patent/JP2003260409A/ja active Pending
Cited By (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2005328037A (ja) * | 2004-03-25 | 2005-11-24 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 膜パターンの形成方法、半導体装置の作製方法、液晶テレビジョン、及びelテレビジョン |
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CN111962070A (zh) * | 2020-09-08 | 2020-11-20 | 中国科学院上海应用物理研究所 | 一种无机盐纳米薄膜的制备方法以及由此得到的无机盐纳米薄膜 |
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