JP2003260967A - 車両用リヤシート - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡単な操作でリヤシートを垂直位置あるいは
反転位置まで回転することが可能で、目的に応じて荷室
の広さを変えることにより車両室内の多目的利用を図る
ことのでき、構成が簡素で信頼性の高い車両用リヤシー
トを提供すること。 【解決手段】 シートクッション２をその前部近傍に設
けられた回転中心回りに着座可能位置より略９０°回転
した垂直位置に保持した状態、あるいは、シートクッシ
ョン２を垂直位置よりさらに略９０°回転した反転位置
に保持した状態でシートバック４を前倒することによ
り、シートクッション２あるいはシートバック４の上方
空間を荷室として利用できるようにした。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、目的に応じて荷室
の広さを変えられるようにした車両用リヤシートに関す
る。

【０００２】

【従来の技術】従来、車室内スペースを有効利用するた
めに、様々な折り畳みシートが提案されており、その一
つとして、シートクッションをその前部を回転中心とし
て垂直位置まで回転し、さらにシートバックをリクライ
ニング機構を介して前倒させ、シートバックの上方空間
を荷室として利用するようにした車両用リヤシートが提
案されている。

【０００３】しかしながら、上記構成の車両用リヤシー
トにあっては、長尺物の荷物を載置することができない
という問題があり、シートクッションをその前部を回転
中心として略１８０°回転した後、さらにシートバック
をリクライニング機構を介して前倒させ、シートクッシ
ョン及びシートバックの上方空間を荷室として広く利用
するようにした車両用リヤシートも提案されている。

【０００４】例えば、特開平１１−２７８１１８号公報
に開示されている自動車のフラット化シート構造におい
ては、シートクッションをその前部を回転中心として略
１８０°回転し、シートクッションの後端部に設けられ
た略Ｕ字状のレッグ部材を回転させて立設し、シートク
ッションを略水平状態に保持するとともに、シートバッ
クを前倒させることによりフラット化を達成している。

【０００５】また、特開２０００−１２７８２０号公報
に開示されている車両用折り畳みシートにおいても、略
同様にリヤシートのフラット化が達成されており、反転
状態のシートクッションは、ブラケットあるいはステー
に形成されたストッパや、反転したシートクッションの
前端面に回動自在に取り付けられた脚体により略水平状
態に保持されている。

【０００６】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た特開平１１−２７８１１８号公報に開示の自動車のフ
ラット化シート構造や、特開２０００−１２７８２０号
公報に開示の車両用折り畳みシートにあっては、シート
クッションを略９０°回転させた垂直位置に保持するこ
とはできず、目的に応じて荷室の広さを変えられる構成
ではなかった。

【０００７】また、反転されたシートクッションを支え
る支持部材が必要になるとともに、１８０°反転させる
操作に手間がかかるという問題があった。さらに、荷室
を広くする場合には、シートクッションが前側に出る構
造のため、フロントシートを前方に移動させる必要が生
じ、フロントシートの着座スペース（足元）が狭くなる
という問題もあった。

【０００８】本発明は、従来技術の有するこのような問
題点に鑑みてなされたものであり、簡単な操作でリヤシ
ートを垂直位置あるいは反転位置まで回転することが可
能で、目的に応じて荷室の広さを変えることにより車両
室内の多目的利用を図ることができ、構成が簡素で信頼
性の高い車両用リヤシートを提供することを目的として
いる。

【０００９】

【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明のうちで請求項１に記載の発明は、車体フロ
アに回転機構を介して回動自在に取り付けられるシート
クッションと、車体フロアに傾倒自在に取り付けられる
シートバックとを備えた車両用リヤシートであって、上
記シートクッションをその前部近傍に設けられた回転中
心回りに着座可能位置より略９０°回転した垂直位置に
保持した状態で上記シートバックを前倒することによ
り、上記シートバックの上方空間を荷室として利用する
とともに、上記回転機構を介して上記シートクッション
を上記垂直位置よりさらに略９０°回転した反転位置に
保持した状態で上記シートバックを前倒することによ
り、上記シートクッション及びシートバックの上方空間
を荷室として利用できるようにしたことを特徴とする。

【００１０】また、請求項２に記載の発明は、上記回転
機構にロック機構を設け、該ロック機構により上記シー
トクッションを着座可能位置及び垂直位置のいずれか一
方に保持したことを特徴とする。

【００１１】さらに、請求項３に記載の発明は、上記回
転機構を、上記シートクッションを着座可能位置から垂
直位置まで回転させる第１回転機構と、上記シートクッ
ションを垂直位置からさらに略９０°回転した反転位置
まで回転させる第２回転機構とで構成したことを特徴と
する。

【００１２】また、請求項４に記載の発明は、上記第１
回転機構が上記回転中心に回動自在に取り付けられたア
ームを有する一方、上記第２回転機構が２本のリンクを
有することを特徴とする。

【００１３】また、請求項５に記載の発明は、上記アー
ムが垂直位置で上記ロック機構によりロックされた後、
上記２本のリンクが作動して上記シートクッションを反
転位置まで回転させ保持するようにしたことを特徴とす
る。

【００１４】また、請求項６に記載の発明は、上記シー
トクッションの反転位置で上記２本のリンクを当接させ
るようにしたことを特徴とする。

【００１５】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て、図面を参照しながら説明する。図１及び図２は、本
発明にかかる車両用リヤシートＳを示しており、シート
クッション２と、シートクッション２に対し傾斜角度を
変更可能なシートバック４とを備えている。シートクッ
ション２は、左右一対の回転機構６を介してシートスラ
イド機構を構成するアッパースライド８の前部に取り付
けられる一方、シートバック４は、左右一対のリクライ
ニング機構１０を介してアッパースライド８の後部に傾
倒自在に取り付けられている。また、アッパースライド
８は、車両前後方向に摺動自在にロワースライド（図示
せず）に取り付けられ、ロワースライドは、車体フロア
に固定される。なお、リクライニング機構１０は本発明
の主眼ではないので、その詳細説明は省略する。

【００１６】図３及び図４に示されるように、アッパー
スライド８の前部にはブラケット１２が螺着され、左右
一対のブラケット１２に穿設された円孔（図示せず）に
軸部材１４の両端が挿通している。

【００１７】また、回転機構６の各々は、軸部材１４の
一端に回動自在に一端が取り付けられ「く」字状に折曲
したアーム１６を有する第１回転機構と、アーム１６に
連結された第２回転機構により構成されている。第２回
転機構は、アーム１６の他端及び中間部（折曲部）に回
動自在に一端がそれぞれ取り付けられた第１リンク１８
及び第２リンク２０とを有し、第１及び第２リンク１
８，２０の他端は、シートクッションフレーム（図示せ
ず）に回動自在に取り付けられている。

【００１８】さらに、アーム１６とブラケット１２との
間には、ブラケット１２に一体的に接合されるとともに
外周部に所定の間隔で形成されたロック用溝２２ａを有
するロック部材２２が設けられており、ロック部材２２
に穿設された円孔（図示せず）に軸部材１４が挿通して
いる。

【００１９】また、アーム１６とブラケット１２との間
には、ロック部材２２に隣接しロック部材２２とともに
ロック手段を構成するロック用爪部材２４が回動自在に
取り付けられており、その回動軸２６はアーム１６の上
記一端と中間部との間を貫通して、アーム１６の外側に
配設されたロック解除用レバー２８に取り付けられてい
る。ロック解除用レバー２８は、ロック手段のロックを
解除するために設けられたもので、アーム１６と略平行
に延在し、Ｌ字状に折曲された先端部にロック用スプリ
ング３０の一端が係止されるとともに、ロック用スプリ
ング３０の他端は、アーム１６の一端に形成された突起
１６ａに係止され、ロック解除用レバー２８を矢印Ａの
方向に常時付勢している。また、ロック用爪部材２４も
ロック解除用レバー２８の先端部と略同じ方向に延在し
ていることから、ロック用爪部材２４のＬ字状に折曲さ
れた部位に形成されたロック部２４ａは、ロック部材２
２に向かって付勢されている。

【００２０】上記構成の車両用リヤシートＳの作用を以
下説明する。車両用リヤシートＳを通常の着座用として
使用する場合、図４に示されるように、ロック用爪部材
２４のロック部２４ａは、ロック部材２２の後方に開口
したロック用溝２２ａに嵌入しており、シートクッショ
ン２は、図１の状態に保持されている。この状態では、
リンク機構を構成する第１リンク１８の前部下縁側と、
これと相補形状を有する第２リンク２０の後部上縁側と
は互いに当接している。

【００２１】次に、リヤシートＳを着座用として使用せ
ず、荷室を広くしたい場合には、ロック解除用レバー２
８をロック用スプリング３０の付勢力に抗して引き上げ
ると、ロック解除用レバー２８に連結されたロック用爪
部材２４が矢印Ａの反対方向に回転し、ロック用爪部材
２４のロック部２４ａがロック部材２２の後部に形成さ
れたロック用溝２２ａより離脱する。したがって、シー
トクッション２の後部を持ち上げると、シートクッショ
ン２はその前部近傍に設けられた軸部材１４を回転中心
として自由に回転する。

【００２２】図５及び図６に示されるように、シートク
ッション２を回転させて跳ね上げ、シートクッション２
が垂直位置に到達すると、ロック用爪部材２４のロック
部２４ａはロック用スプリング３０の付勢力によりロッ
ク部材２２の上部に形成されたロック用溝２２ａに嵌入
する。その結果、シートクッション２は図５及び図６に
示される垂直位置に保持される。なお、この位置に到達
するまでは、アーム１６がシートクッション２とともに
一体的に回転し、第１及び第２リンク１８，２０により
構成されるリンク機構は、シートクッション２の回転に
は関与しない。

【００２３】その後、図７及び図８に示されるように、
リクライニング機構１０を操作して、シートバック４を
前倒させると、シートバック４の裏面は略水平になり、
その上方空間を荷室として利用することができる。

【００２４】荷室をさらに広くしたい場合には、図５及
び図６の状態にあるシートクッション２の上部を持ち上
げながら前方への力を加えると、アーム１６はロック位
置に保持された状態で、シートクッション２はリンク機
構を介してさらに略９０°回転する。その結果、図９乃
至図１１に示されるように、第１リンク１８の下縁部に
第２リンク２０の上端部が当接し、シートクッション２
の裏面は略水平に保持される。

【００２５】その後、図１２及び図１３に示されるよう
に、リクライニング機構１０を操作して、シートバック
４を前倒させると、シートバック４の裏面はシートクッ
ション２の裏面とともに略水平になり、その上方空間を
荷室として広く利用することができる。

【００２６】なお、図７及び図８の状態あるいは図１２
及び図１３の状態から、図１及び図２に示される着座可
能状態に戻す場合、まずリクライニング機構１０を介し
てシートバック４を所望の角度に設定して保持した後、
ロック解除用レバー２８を操作してロック用爪部材２４
とロック部材２２の嵌合を解除し、シートクッション２
に後方の力を加えると、シートクッション２は略９０°
あるいは略１８０°回転する。図１及び図２に示される
着座可能状態では、ロック用爪部材２４とロック部材２
２とが再び嵌合し、シートクッション２は着座可能状態
に保持される。

【００２７】なお、上記実施の形態は、スライド機構を
介して車両前後方向に摺動自在に取り付けられた車両用
リヤシートを例に取り説明を行ったが、本発明にかかる
車両用リヤシートは必ずしも車両前後方向に摺動自在に
取り付けられる必要はなく、シートクッション及びシー
トバックを車体フロアに回動あるいは傾倒自在に取り付
けた車両用リヤシートにも適用可能である。

【００２８】

【発明の効果】本発明は、以上説明したように構成され
ているので、以下に記載されるような効果を奏する。本
発明のうちで請求項１に記載の発明によれば、シートク
ッションをその前部近傍に設けられた回転中心回りに着
座可能位置より略９０°回転した垂直位置に保持した状
態、あるいは、垂直位置よりさらに略９０°回転した反
転位置に保持した状態でシートバックを前倒することに
より、シートクッションあるいはシートバックの上方空
間を荷室として利用できるようにしたので、シートクッ
ションの跳ね上げ位置を垂直あるいは反転位置に任意に
選択して、荷物の大きさや、荷室の広さの要求に対応す
ることができ、車両室内の多目的利用を図ることができ
る。

【００２９】また、請求項２に記載の発明によれば、回
転機構に設けたロック機構によりシートクッションを着
座可能位置及び垂直位置のいずれか一方に保持するよう
にしたので、シートクッションを所望の位置に確実に保
持することができる。

【００３０】さらに、請求項３に記載の発明によれば、
回転機構を、シートクッションを着座可能位置から垂直
位置まで回転させる第１回転機構と、垂直位置からさら
に略９０°回転した反転位置まで回転させる第２回転機
構とで構成したので、簡単な操作でリヤシートを垂直位
置あるいは反転位置まで回転することができる。

【００３１】また、請求項４に記載の発明によれば、第
１回転機構が回転中心に回動自在に取り付けられたアー
ムを有する一方、第２回転機構が２本のリンクを有する
ようにしたので、極めて簡素な構成で所望の荷室を確保
することができる。

【００３２】また、請求項５に記載の発明によれば、ア
ームが垂直位置でロック機構によりロックされた後、２
本のリンクが作動してシートクッションを反転位置まで
回転させ保持するようにしたので、極めて簡単な操作で
所望の荷室を確保することができる。

【００３３】また、請求項６に記載の発明によれば、シ
ートクッションの反転位置で２本のリンクを当接させる
ようにしたので、簡素な構成でシートクッションを反転
位置に保持することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】 着座可能状態の本発明にかかる車両用リヤシ
ートの斜視図である。

【図２】 図１の車両用リヤシートの側面図である。

【図３】 図１の車両用リヤシートに設けられた回転機
構の斜視図である。

【図４】 図３の回転機構の側面図である。

【図５】 荷室拡大途中の車両用リヤシートの斜視図で
ある。

【図６】 図５の車両用リヤシートの側面図である。

【図７】 荷室を拡大した状態の車両用リヤシートの斜
視図である。

【図８】 図７の車両用リヤシートの側面図である。

【図９】 荷室をさらに拡大している途中の車両用リヤ
シートの斜視図である。

【図１０】 図９の車両用リヤシートの側面図である。

【図１１】 図９の状態の回転機構の斜視図である。

【図１２】 荷室を最大限拡大した状態の車両用リヤシ
ートの斜視図である。

【図１３】 図１２の車両用リヤシートの側面図であ
る。

【符号の説明】

２ シートクッション、 ４ シートバック、 ６ 回
転機構、８ アッパースライド、 １０ リクライニン
グ機構、 １２ ブラケット、１４ 軸部材、 １６
アーム、 １６ａ 突起、 １８ 第１リンク、２０
第２リンク、 ２２ ロック部材、 ２２ａ ロック用
溝、２４ ロック用爪部材、 ２４ａ ロック部、 ２
６ 回転軸、２８ ロック解除用レバー、 ３０ ロッ
ク用スプリング、Ｓ 車両用リヤシート

Claims (6)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 車体フロアに回転機構を介して回動自在
   に取り付けられるシートクッションと、車体フロアに傾
   倒自在に取り付けられるシートバックとを備え、上記シ
   ートクッションをその前部近傍に設けられた回転中心回
   りに着座可能位置より略９０°回転した垂直位置に保持
   した状態で上記シートバックを前倒することにより、上
   記シートバックの上方空間を荷室として利用するととも
   に、上記回転機構を介して上記シートクッションを上記
   垂直位置よりさらに略９０°回転した反転位置に保持し
   た状態で上記シートバックを前倒することにより、上記
   シートクッション及びシートバックの上方空間を荷室と
   して利用できるようにしたことを特徴とする車両用リヤ
   シート。
2. 【請求項２】 上記回転機構にロック機構を設け、該ロ
   ック機構により上記シートクッションを着座可能位置及
   び垂直位置のいずれか一方に保持した請求項１に記載の
   車両用リヤシート。
3. 【請求項３】 上記回転機構を、上記シートクッション
   を着座可能位置から垂直位置まで回転させる第１回転機
   構と、上記シートクッションを垂直位置からさらに略９
   ０°回転した反転位置まで回転させる第２回転機構とで
   構成した請求項１あるいは２に記載の車両用リヤシー
   ト。
4. 【請求項４】 上記第１回転機構が上記回転中心に回動
   自在に取り付けられたアームを有する一方、上記第２回
   転機構が２本のリンクを有する請求項３に記載の車両用
   リヤシート。
5. 【請求項５】 上記アームが垂直位置で上記ロック機構
   によりロックされた後、上記２本のリンクが作動して上
   記シートクッションを反転位置まで回転させ保持するよ
   うにした請求項４に記載の車両用リヤシート。
6. 【請求項６】 上記シートクッションの反転位置で上記
   ２本のリンクを当接させるようにした請求項５に記載の
   車両用リヤシート。