JP2003258491A - 電磁波シールド材料 - Google Patents

電磁波シールド材料

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JP2003258491A
JP2003258491A JP2002382634A JP2002382634A JP2003258491A JP 2003258491 A JP2003258491 A JP 2003258491A JP 2002382634 A JP2002382634 A JP 2002382634A JP 2002382634 A JP2002382634 A JP 2002382634A JP 2003258491 A JP2003258491 A JP 2003258491A
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electromagnetic wave
wave shielding
graphite
carbon black
rubber
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Yoshiharu Kiyohara
好晴 清原
Takahiko Yoshida
隆彦 吉田
Shinichi Sato
真一 佐藤
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Nitta Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い電磁波シールド性を有する電磁波シール
ド材料を提供することである。 【解決手段】 ゴム、熱可塑性エラストマーなどの高分
子材料にカーボンブラックおよび黒鉛を含有させた電磁
波シールド材料であって、前記黒鉛の平均粒子径が15
μm以上であることにより、高い電磁波シールド性が得
られる。前記黒鉛は見掛け密度が0.6g/cm3以下
であり、カーボンブラックは窒素吸着比表面積が150
〜1000m2/gでDBP吸油量が120〜400ml
/100gであるのが好ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁波を遮断する
ための電磁波シールド材料に関する。
【従来の技術】
【0002】電磁波から電子機器等をシールド(遮蔽)
するために、電磁波シールド材料で電子機器等を被覆す
ることが行われている。電磁波シールド材料が有する電
磁波シールド性能に関しては、周波数範囲30MHz〜
1000MHzにおける電磁波シールドの性能レベルと
して、0〜10dBでは電磁波シールド性能がほとんど
なく、10〜30dBで電磁波シールドといえる対応が
可能となり、30〜60dBで中位の障害への対応が可
能であるとされ、60〜90dBでほとんどの障害に対
応が可能であり、90dB以上で最も優れた電磁波シー
ルドを有すると分類されている。このことにより電磁波
シールド材として用いられるためには、20dB以上、
できれば30dB以上のシールド性を有する必要がある
といえる。
【0003】電磁波シールド性能を向上させるために
は、電磁波シールド材料に導電性に優れた材料を使用す
るのがよく、このため導電性に優れた金属が電磁波シー
ルド材料として従来から広く使用されている。しかし、
金属は重く、かつ加工性、量産性、コスト等に難点があ
った。
【0004】このような問題を解決するために、特許文
献1〜特許文献3には、プラスチック材料やゴム材料に
カーボンブラック、黒鉛などを含有させて、導電性を付
与した電磁波シールド材料が開示されている。特に、特
許文献2および特許文献3には、カーボンブラックと黒
鉛とを併用した電磁波シールド材料が開示されている。
このような電磁波シールド材料は、素材にプラスチック
やゴムを使用しているために、金属に比べて軽く、加工
性、量産性に優れ、比較的安価に製造できるという利点
がある。
【0005】カーボンブラックと黒鉛とを併用する場合
には、黒鉛に比べて粒子径が非常に小さいカーボンブラ
ックが線状に多数凝集して黒鉛の粒子間を繋ぐ、いわゆ
るブリッジ機能を果たすことにより導電性が得られるも
のと推測される。しかしながら、これらの電磁波シール
ド材料は、目的とする電磁波シールド性が充分でないと
いう問題があった。
【0006】
【特許文献1】特開平10−298355号公報
【特許文献2】特開昭61‐200604号公報
【特許文献3】特開昭59‐217737号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高い
電磁波シールド性を有する電磁波シールド材料を提供す
ることである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、前記した
黒鉛やカーボンブラックを含有した従来の電磁波シール
ド材料の電磁波シールド性が充分でない原因を種々検討
した結果、使用される黒鉛粉末の平均粒子径が電磁波シ
ールド性に大きく関与していることを突きとめた。すな
わち、カーボンブラックと黒鉛とを併用した従来の電磁
波シールド材料で高い電磁波シールド性を達成できない
のは、平均粒子径が10μm以下の微細紛である黒鉛を
使用しているのが原因で、前記したブリッジ機能が充分
に果たされないのではないかと推測し、本発明者らがさ
らに検討を重ねた結果、平均粒子径が15μm以上の粒
子径の大きな黒鉛を使用し、これをカーボンブラックと
共に、ゴム、熱可塑性エラストマーなどの素材材料に含
有させる場合には、意外にも高い電磁波シールド性を有
する電磁波シールド材料が得られるという新たな事実を
見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】すなわち、本発明の電磁波シールド材料
は、以下の構成からなる。 (1)カーボンブラックおよび黒鉛を含有し、前記黒鉛
は平均粒子径が15μm以上であることを特徴とする電
磁波シールド材料。 (2)前記黒鉛は、見掛け密度が0.6g/cm3以下
である(1)記載の電磁波シールド材料。これにより、
電磁波シールドをより一層向上させることができる。 (3)前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面積が1
50〜1000m2/g、DBP吸油量が120〜400
ml/100gである(1)または(2)記載の電磁波
シールド材料。 (4)材料素材100重量部に対して、カーボンブラッ
クが20〜120重量部、黒鉛が20〜180重量部で
含有される(1)〜(3)のいずれかに記載の電磁波シ
ールド材料。 (5)カーボンブラックおよび黒鉛を含有したゴムまた
は熱可塑性エラストマーからなる(1)〜(4)のいず
れかに記載の電磁波シールド材料。 (6)導電性繊維をさらに含有した(1)〜(5)のい
ずれかに記載の電磁波シールド材料。これにより、より
高い電磁波シールド性が得られる。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の電磁波シールド材料は、
素材材料にカーボンブラックおよび特定の黒鉛を添加し
たものである。素材材料としては、例えばゴム、熱可塑
性エラストマー、各種プラスチックなどの高分子材料が
挙げられる。前記ゴムとしては、例えば天然ゴムのほ
か、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンーブタ
ジエンゴム、エチレンープロピレンゴム、ブチルゴム、
クロロプレンゴム、ニトリルゴム、アクリルゴム、エピ
クロロヒドリンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、塩素
化ポリエチレンゴム、水素添加ニトリルゴム、シリコン
ゴムなどの合成ゴム単独、もしくはこれらのゴムを各種
変性処理にて改質したものが挙げられる。また、これら
のゴムは単独で使用するほか、複数をブレンドして用い
ることができる。ゴムには、加硫剤のほか、加硫促進
剤、老化防止剤、軟化剤、可塑剤、充填剤、着色剤など
の従来からゴムの配合剤として使用されていたものを適
宜配合することができる。
【0011】熱可塑性エラストマーとしては、例えばポ
リスチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、
ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系などの
各種熱可塑性エラストマーが挙げられる。
【0012】さらに、ポリエチレン、ポリプロピレン、
AS樹脂、ABS樹脂、ポリスチレン、ポリ塩化ビニ
ル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ酢酸ビニル、フッ素樹
脂、アクリル系樹脂、ナイロン、ポリカーボネート、ポ
リエチレンテレフタレート、アルキド樹脂、不飽和ポリ
エステル、ポリスルホン、ポリウレタン、フェノール樹
脂、尿素樹脂、エポキシ樹脂などの熱可塑性樹脂または
熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0013】前記カーボンブラックとしては、ファーネ
スブラック、チャンネルブラックなどが挙げられ、特に
窒素吸着比表面積(ASTM D3037‐93)が1
50〜1000m2/g、DBP吸油量(ASTM D2
414‐96)が120〜400ml/100gである
カーボンブラック、例えばライオン・アクゾー社製のケ
ッチェンブラックなどを使用するのが好ましい。
【0014】前記黒鉛としては、人造黒鉛;鱗片状黒
鉛、塊状黒鉛、土状黒鉛などの天然黒鉛などが挙げられ
る。本発明においては、特に平均粒子径が15μm以
上、好ましくは20μm以上である黒鉛が使用される。
この場合、後述する図1に示すように、平均粒子径の増
加に伴って電磁波シールド効果も増大する傾向にあるの
で、黒鉛の平均粒子径の上限は特に限定されるものでは
ない。これに対して、平均粒子径が15μm未満の場合
は、高い電磁波シールド性を得ることができない。
【0015】前記黒鉛は見掛け密度が0.6g/cm3
以下であるのが好ましい。黒鉛の見掛け密度が0.6g
/cm3を超える場合は、電磁波シールド性が低下する
おそれがある。黒鉛の見掛け密度の下限は、特に限定さ
れるものではない。なお、黒鉛の見掛け密度はJIS
M8511に記載の方法にて測定したものである。ま
た、黒鉛は結晶化度の高いものを使用するのが高い電磁
波シールド性を得るうえで好ましい。黒鉛の純度を表す
固定炭素分は特に限定されるものではないが、固定炭素
分97%以上であるのが好ましい。
【0016】カーボンブラックは、材料素材100重量
部に対して20〜120重量部、好ましくは20〜10
0重量部の割合で、黒鉛は、材料素材100重量部に対
して20〜180重量部、好ましくは40〜160重量
部の割合で含有されるのがよい。又、カーボンブラック
と黒鉛とは材料素材100重量部に対して総量で55〜
240重量部、好ましくは70〜200重量部である。
総量が55重量部未満では電磁波シールド性が低く、2
40重量部を超えると加工性が著しく阻害される。
【0017】本発明においては、上記カーボンブラック
および黒鉛に加えて、導電性繊維を素材材料に含有させ
ることにより、電磁波シールド性を向上させることがで
きる。このような導電性繊維としては、例えばカーボン
繊維、黒鉛繊維、金属繊維(例えばステンレス鋼繊維、
アルミニウム繊維、ニッケル繊維、銅繊維)などが挙げ
られる。導電性繊維は平均繊維長が10μm〜10mm
程度であるのがよい。また、導電性繊維は、材料素材1
00重量部に対して0〜20重量部の割合で含有され
る。
【0018】材料素材としてゴムを用いた場合、本発明
の電磁波シールド材料は、原料ゴムにカーボンブラック
および黒鉛を含む各種配合剤を加え、混練した後、シー
トなどに成形し、所定形状に加硫を行って製造される。
また、本発明の電磁波シールド材料は常温液状物で、常
温硬化または熱を加えることで硬化する形態でも使用す
ることができる。
【0019】また、熱可塑性エラストマーやプラスチッ
クの場合、本発明の電磁波シールド材料は、原料となる
熱可塑性エラストマーにカーボンブラックおよび黒鉛を
含む各種配合剤を加え、射出成形、押出成形などの任意
な成形手段にて所定形状に成形して製造される。
【0020】以下、本発明にかかる電磁波シールド材料
の適用例を説明する。図7はPC版(プレキャストコン
クリート版)の一例を示す概略断面図、図8はボルト1
6および挿通孔17付近を示す拡大断面図、図9は本発
明の電磁波シールド材料からなるリング状のシール材を
示す斜視図である。PC版は例えばビルなどの建物の壁
面に貼り付けて使用されるものである。
【0021】同図に示すように、このPC版は、構造層
11および表層13により構成されている。構造層11
はコンクリートにより形成されており、側面にはアルミ
ニウムなどの金属からなる枠体14が配置され、表面に
はステンレス鋼板などの金属板(電磁波シールド層)1
5が配置されている。表層13はコンクリートにより形
成されている。構造層11と表層13とはボルト16な
どの棒状の連結部材により互いに連結されている。
【0022】金属板15にはボルト16を挿通させるた
めの挿通孔17が形成されている。通常、この挿通孔1
7は誤差を考慮してボルト16の径(外径)よりも大き
く形成されているため、ボルト16と挿通孔17との隙
間から電磁波が漏洩するおそれがある。したがって、従
来は、前記隙間が生じる部位において、ボルトにナット
を螺合させ、さらにボルトおよびナットに導電性のテー
プを貼り付けて隙間を塞いでいた。しかし、このような
従来の方法では、手間がかかり、製造コストが増大する
おそれがある。
【0023】これに対して、本適用例では、図9に示す
ような本発明の電磁波シールド材料からなるリング状の
シール材19をボルト16に挿通し、金属板15に接す
るように配置することによって、ボルト16と挿通孔1
7との隙間が塞がれている。これにより、前記隙間から
電磁波が漏洩するのを抑制することができる。
【0024】シール材19の外径、孔径dおよび厚さ
は、ボルト16と挿通孔17との隙間を塞いで電磁波の
漏洩を抑制できるサイズであればよい。すなわち、通
常、シール材19の外径は挿通孔17の孔径よりも大き
くなるように設定され、好ましくはこれらの比(シール
材の外径/挿通孔17の孔径)が1.2以上、より好ま
しくは1.2〜3程度であるのがよい。シール材19の
孔径dはボルト16の径と同程度ないしボルト16の径
よりも小さくなるように設定され、好ましくはこれらの
比(シール材19の孔径/ボルト16の径)が0.6〜
1.0程度、より好ましくは0.8〜0.95程度であ
るのがよい。ボルト16とシール材19との間に隙間が
できるのを極力防止するためである。シール材19がゴ
ムなどの弾性部材からなる場合は、例え孔径dがボルト
16の径よりも小さくても、強く嵌め込むことにより、
容易に隙間なく装着することができる。なお、シール材
19の形状は、図9に示すような円形に限定されるもの
ではなく、四角形、五角形、六角形などの多角形であっ
てもよい。
【0025】構造層11は、例えば枠体14、金属板1
5、ボルト16およびシール材19を所定の位置に配置
した後、枠体14および金属板15で形成される枠の中
にコンクリートを流し込み、これを硬化させることによ
って製造することができる。シール材19はゴム、熱可
塑性エラストマーなどの素材材料で形成されており弾性
を有しているので、構造層11を上記のように製造する
ことにより、金属板15およびボルト16によく密着す
るので、前記隙間を確実に塞ぐことができる。
【0026】なお、シール材19をボルト16に挿通し
た後、さらにボルト16にナット(図示せず)を螺着し
てもよい。これにより、シール材19が挿通孔17に押
圧されるので、隙間をより確実に塞ぐことができる。ま
た、必要ならシール材19と、金属板15やボルト16
との接触部分を接着剤で接着してもよい。
【0027】図10は、枠体14と金属板15とが連結
された構造層11の端部を示す拡大断面図である。枠体
14と金属板15とは、通常、ビスやボルト・ナット
(図示せず)などにより連結されているが、枠体14と
金属板15との間にわずかな隙間があると、この隙間か
ら電磁波が漏洩してしまうおそれがある。したがって、
枠体14と金属板15との重なり部分に、本発明の電磁
波シールド材料からなるリボン状のシール材20を載置
している。このシール材20は、コンクリートを流し込
む前に、枠体14と金属板15との重なり部分を覆うよ
うにして配置される。ゴムなどの弾性部材からなるシー
ル材20は、その柔軟性により形状追従性を有するの
で、枠体14と金属板15とに隙間なく密着させること
ができる。このとき、必要ならシール材20と枠体14
および金属板15との接触部分を接着剤で接着してもよ
い。この用途としては、リボン状シートに限定すること
なく必要なサイズに整えた任意の形状で使用することが
できる。さらに施工時に液状で、その後硬化する様なシ
ール材の場合はシートの貼れない様なコーナー部分にも
使用できることとなる。
【0028】なお、本発明の電磁波シールド材料は、前
記金属板15に代わる電磁波シールド層として使用する
こともできる。また、金属板15などの電磁波シールド
層を構造層11に代えて、表層13に設けてもよい。
【0029】また、リング状のシール材は、例えば図1
1(a),(b)に示すような形状であってもよい。同図に示
すシール材51は片面に中心に向かって傾斜する凹部5
2を有する。このシール材51は、図12(a)に示すよ
うに、凹部52を金属板15に向けて配置される。そし
て、このシール材51を押し込むと、図12(b)に示す
ように、金属板15に密着しやすいため、より高い電磁
波シールド効果を得ることができる。
【0030】以上のように、本適用例のPC版は、電磁
波が漏洩するおそれのある部位に、本発明の電磁波シー
ルド材料からなるシール材を配置しているので、高い電
磁波シールド性能を有している。なお、本発明の電磁波
シールド材料は、上記PC版だけでなく、電磁波の漏洩
を抑制・防止する用途であれば特に限定されることなく
適用可能である。
【0031】
【実施例】以下、実施例および比較例を挙げて本発明の
電磁波シールド材料を詳細に説明するが、本発明は以下
の実施例に限定されるものではない。
【0032】実施例1 カーボンブラックおよび黒鉛を含む各配合剤を表1に示
す割合でクロロプレンゴムに混合し、混練した後、厚さ
3mmにシーティングし、ついでプレスにて150℃で
20分間加硫して試料No.1a〜10aを得た。使用し
たカーボンブラックは、ライオン・アクゾー社製のケッ
チェンブラックEC(窒素吸着比表面積800m2/g、
DBP吸油量365ml/100g)である。また、使
用した黒鉛の種類、平均粒子径および見掛け密度は表2
に示した。表2に示す黒鉛はいずれも日本黒鉛工業
(株)製の商品名である。
【表1】 得られた各試料について、KEC法に規定される電界シ
ールド効果評価装置を使用して、各周波数での電磁波シ
ールド性を評価した。その結果を表2に併せて示す。表
2に示す電磁波シールド効果は、試料に対する入射電磁
波と透過電磁波の強さの比を受信電力の比(減衰量:単
位dB)で表したものである。
【表2】
【0033】実施例2 黒鉛の配合量を90重量部としたほかは、実施例1と同
様にして試料No. 1b〜10bを得た。各試料No.
1b〜10bについて、実施例1と同様にして電磁波シ
ールド性を評価した。その結果を、使用した黒鉛の種類
等と共に表3に示す。
【表3】 表1,2に示した周波数1GHzでの黒鉛の平均粒子径
と電磁波シールド効果との関係を図1に示す。表1,2
および図1から、平均粒子径が15μm以上の黒鉛を使
用することにより、高い電磁波シールド効果が得られて
いることがわかる。
【0034】比較例1 カーボンブラックを50重量部配合し、黒鉛を配合しな
かったほかは、実施例1と同様にして電磁波シールド材
料を得た。この電磁波シールド材料は加工性が悪く、周
波数1GHzにおけるシールド効果も21.5dBと低
いものであった。得られた電磁波シールド材料の周波数
とシールド効果との関係を図2に示す。なお、図2にお
いて、「測定限界」とは、測定装置が各周波数に置いて
測定できる電磁波シールド効果の限界値をいう(以下、
図3〜図5において同じ)。
【0035】比較例2 カーボンブラックを配合せずに、黒鉛CB100を12
0重量部配合したほかは、実施例1と同様にして電磁波
シールド材料を得た。この電磁波シールド材料は、周波
数1GHzにおける電磁波シールド効果が13.7dB
と低いものであった。得られた電磁波シールド材料の周
波数とシールド効果との関係を図3に示す。
【0036】実施例3 カーボンブラックを45重量部、黒鉛CB100を80
重量部配合したほかは、実施例1と同様にして電磁波シ
ールド材料を得た。この電磁波シールド材料は、周波数
1GHzにおける電磁波シールド効果が61.7dBで
あった。得られた電磁波シールド材料の周波数とシール
ド効果との関係を図4に示す。
【0037】実施例4 カーボンブラックを55重量部、黒鉛CB100を11
0重量部配合したほかは、実施例1と同様にして電磁波
シールド材料を得た。この電磁波シールド材料は、周波
数1GHzにおける電磁波シールド効果が65.2dB
であった。得られた電磁波シールド材料の周波数とシー
ルド効果との関係を図5に示す。
【0038】実施例5 カーボンブラックを25重量部、黒鉛CB100を50
重量部と共に、カーボン繊維(繊維長:6mm)を20
重量部配合したほかは、実施例1と同様にして電磁波シ
ールド材料を得た。この電磁波シールド材料は、周波数
1GHzにおける電磁波シールド効果が34.2dBで
あった。得られた電磁波シールド材料の周波数とシール
ド効果との関係を図6に示す。
【0039】実施例6 カーボンブラックおよび黒鉛を含む各配合剤を表4に示
す割合でクロロプレンゴムに混合し、混練した後、厚さ
5mmにシーティングし、ついでプレスにて150℃で
20分間加硫してシートを得た。得られたシートを図9
に示す形状に打ち抜いてシール材19を得た。このシー
ル材は、外径が40mm、孔径が14mm、厚さが5m
mである。使用したカーボンブラックは、ライオン・ア
クゾー社製の「商品名:ケッチェンブラックEC」(窒
素吸着比表面積800m2/g、DBP吸油量365ml
/100g)である。また、使用した黒鉛は、日本黒鉛
工業(株)製の「商品名:CB100」(平均粒子径8
0μm、見掛け密度0.36cm3)である。
【表4】
【0040】得られたシール材19を用いて、以下に示
す手順で電磁波シールド効果評価用のサンプルを作製し
た。図13(a)〜(c)はこの評価に使用したサンプルの形
態を示す断面図である。 サンプルa: 図13(a)に示すように、ステンレス板
31の中央付近に孔径25mmの孔を開け、この孔に外
径が16mmのボルト32を挿通させた状態で、ボルト
32の先端からシール材19を嵌め込んでステンレス板
31と接触させるようにして配置し、かつボルト32の
ボルト頭32a(略十字形状に形成)を、ステンレス板
31との間に10mm程度の隙間が形成されるように取
り付けたスペーサによって保持している。 サンプルb: 図13(b)に示すように、サンプルaと
同様にして、シール材19をステンレス板31と接触さ
せるようにして配置した後、さらにボルト32にナット
33を螺合して固定した。 サンプルc: 図13(c)に示すように、サンプルaと
同様にして、シール材19をステンレス板31と接触さ
せるようにして配置した後、ボルト32にワッシャ34
を挿通し、ついでナット33を螺合し固定した。
【0041】得られたサンプルa〜cについて、実施例
1と同様にしてKEC法に規定される電界シールド効果
評価装置を使用して、各周波数での電磁波シールド性を
評価した。その結果を表5に示す。
【0042】実施例7〜10 表1に示す厚さおよび孔径dを有するシール材を用いた
他は、実施例6と同様にしてサンプルa〜cを作製し、
電磁波シールド性を評価した。その結果を表5に併せて
示す。
【0043】なお、実施例6で得られたシートについ
て、KEC法に規定される電界シールド効果評価装置を
使用して、各周波数での電磁波シールド性を評価した。
その結果、500MHzでは46.1dB、1GHzで
は44.9dBであった。
【0044】
【表5】
【0045】電磁波シールド効果が20dBのときには
電磁波を約90%カットし、40dBのときには電磁波
を約99%カットしている。したがって、表5から、サ
ンプルa(シール材のみ)の場合であっても、ほぼ90
%近い電磁波をカットしており、高い電磁波シールド効
果が得られていることがわかる。サンプルb(シール材
+ナット)およびサンプルc(シール材+ワッシャ+ナ
ット)の場合には、サンプルaと比較して、より優れた
電磁波シールド効果が得られており、参考例(シートの
み)と比較しても、同等あるいはそれ以上の極めて優れ
た効果が得られていることがわかる。また、ボルトの径
に対してシール材の孔径が小さいほど電磁波シールド効
果が高くなる傾向にあるが、ボルトの径とシール材の孔
径が同程度であっても、高い電磁波シールド効果が得ら
れている。さらに、シール材の厚さが厚いほど電磁波シ
ールド効果が高くなる傾向にあるが、シール材の厚さが
1mmの場合でも高い電磁波シールド効果が得られてい
る。したがって、厚さが1mmないし2mm程度のシー
ル材は、高い電磁波シールド効果と柔軟性を兼ね備えた
ものになると言える。
【0046】実施例11 実施例6と同じ厚さ5mmのシートを図9に示す形状に
打ち抜いてシール材19を得た。このシール材は、外径
が40mm、孔径が15mmである。得られたシール材
19を用いて以下に示す手順で電磁波シールド効果評価
用サンプルを作製した。図14(a),(b)はこの評価に使
用したサンプルの形態を示す断面図である。 サンプルA: 図14(a)に示すように、まず、アルミ
ニウム製の枠体41(縦150mm、横150mm、深
さ10mm)の底部に、中央付近に孔径25mmの孔を
有した縦100mm、横100mm、厚さ1mmのステ
ンレス板42を落とし込み、ついで、このステンレス板
42の端部と枠体41との間に生じる隙間から電磁波が
漏洩しないように、この部分に電磁波シールド効果を有
するテープを貼り付けた。ついでステンレス板42の孔
に、一端に略十字形状の頭部43aを有する円柱状の棒
体43を挿通し、ついで棒体43の先端からシール材1
9を挿通しステンレス板42と接触させて配置した。 サンプルB: 図14(b)に示すように、サンプルAと
同様にして、シール材19をステンレス板42と接触さ
せて配置した後、枠体41内にコンクリートを流し込
み、硬化させた。
【0047】得られたサンプルA,Bについて、実施例
1と同様にしてKEC法に規定される電界シールド効果
評価装置を使用して、各周波数での電磁波シールド性を
評価した。その結果を表6に示す。
【0048】実施例12 ステンレス板に代えて、中央付近に孔径25mmの孔を
有した縦100mm、横100mm、厚さ1.5mmの
電磁波シールドゴムシートを用いた他は、実施例11と
同様にしてサンプルA,Bを作製し、電磁波シールド性
を評価した。その結果を表6に併せて示す。
【0049】実施例13 厚さ2mmのシール材を用いた他は、実施例11と同様
にしてサンプルA,Bを作製し、電磁波シールド性を評
価した。その結果を表6に併せて示す。
【0050】
【表6】
【0051】表6から、実施例11〜13のサンプルA
(シール材のみ)およびサンプルB(シール材+コンク
リート)は、いずれも高い電磁波シールド性を有してい
ることがわかる。
【0052】
【発明の効果】本発明の電磁波シールド材料は、カーボ
ンブラックと共に、平均粒子径が15μm以上の黒鉛を
含有しているので、高い電磁波シールド性を有するとい
う効果がある。とくに、前記黒鉛の見掛け密度が0.6
g/cm3以下であることにより、あるいは前記カーボ
ンブラックの窒素吸着比表面積が150〜1000m2/
gでDBP吸油量が120〜400ml/100gであ
ることにより、電磁波シールド性をより一層向上させる
ことができる。さらに、本発明の電磁波シールド材料
は、材料素材100重量部に対して、カーボンブラック
が20〜120重量部、黒鉛が20〜180重量部で含
有されることにより、加工性、量産性を損なわずに、電
磁波シールド性を向上させることができる。とりわけ、
カーボンブラックおよび黒鉛を含有した材料素材がゴム
または熱可塑性エラストマーである場合に、加工性、量
産性に優れたものになる。また、本発明では、カーボン
ブラックおよび黒鉛に加えて、導電性繊維を含有するこ
とにより、より高い電磁波シールド性を付与することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1および2における黒鉛の平均粒子径と
電磁波シールド効果との関係を示すグラフである。
【図2】比較例1におけるシールド効果と周波数との関
係を示すグラフである。
【図3】比較例2におけるシールド効果と周波数との関
係を示すグラフである。
【図4】実施例3におけるシールド効果と周波数との関
係を示すグラフである。
【図5】実施例4におけるシールド効果と周波数との関
係を示すグラフである。
【図6】実施例5におけるシールド効果と周波数との関
係を示すグラフである。
【図7】本発明の電磁波シールド材料を使用したPC版
の一例を示す概略断面図である。
【図8】図7のPC版におけるボルトおよび挿通孔付近
を示す拡大断面図である。
【図9】本発明の電磁波シールド材料からなるリング状
のシール材を示す斜視図である。
【図10】図7のPC板における枠体と金属板とが連結
された構造層の端部を示す拡大断面図である。
【図11】(a)は、シール材の他の形態を示す斜視図で
あり、(b)はその断面図である。
【図12】(a)は、図11に示すシール材をボルトに挿
通した状態を示す断面図で、(b)は、そのシール材がボ
ルトおよび金属板の形状に追従した状態を示す断面図で
ある。
【図13】(a)〜(c)は実施例6の評価に使用したサンプ
ルの形態を示す断面図である。
【図14】(a),(b)は実施例11の評価に使用したサン
プルの形態を示す断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 真一 奈良県大和郡山市池沢町172 ニッタ株式 会社奈良工場内 Fターム(参考) 4J002 AC031 AC061 AC071 AC081 AC091 BB151 BB181 BB241 BD121 BG041 CH041 CK021 CP031 DA026 DA037 FD116 GQ02 GR00 5E321 AA50 BB32 BB44 GG05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カーボンブラックおよび黒鉛を含有し、前
    記黒鉛は平均粒子径が15μm以上であることを特徴と
    する電磁波シールド材料。
  2. 【請求項2】前記黒鉛は、見掛け密度が0.6g/cm
    3以下である請求項1記載の電磁波シールド材料。
  3. 【請求項3】前記カーボンブラックは、窒素吸着比表面
    積が150〜1000m2/g、DBP吸油量が120〜
    400ml/100gである請求項1または2記載の電
    磁波シールド材料。
  4. 【請求項4】材料素材100重量部に対して、カーボン
    ブラックが20〜120重量部、黒鉛が20〜180重
    量部で含有される請求項1〜3のいずれかに記載の電磁
    波シールド材料。
  5. 【請求項5】カーボンブラックおよび黒鉛を含有したゴ
    ムまたは熱可塑性エラストマーからなる請求項1〜4の
    いずれかに記載の電磁波シールド材料。
  6. 【請求項6】導電性繊維をさらに含有した請求項1〜5
    のいずれかに記載の電磁波シールド材料。
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