JP2003255089A - X線分光素子およびそれを用いた蛍光x線分析装置 - Google Patents
X線分光素子およびそれを用いた蛍光x線分析装置Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 積分強度が十分に大きく適切に単色化された
1次X線を生成できるX線分光素子などを提供する。 【解決手段】 蛍光X線分析において、X線源3 から発
生するX線2 を分光して、試料1 に照射する1次X線5
とするために用いられ、反射層4aとスペーサ層4bからな
る層対を基板4c上に多数積層して構成されたX線分光素
子4 であって、所定の周期長d を有する単数または複数
の層対からなる多層膜4eを複数備え、基板4cに近い多層
膜4eほど前記所定の周期長d が小さく設定されている。
1次X線を生成できるX線分光素子などを提供する。 【解決手段】 蛍光X線分析において、X線源3 から発
生するX線2 を分光して、試料1 に照射する1次X線5
とするために用いられ、反射層4aとスペーサ層4bからな
る層対を基板4c上に多数積層して構成されたX線分光素
子4 であって、所定の周期長d を有する単数または複数
の層対からなる多層膜4eを複数備え、基板4cに近い多層
膜4eほど前記所定の周期長d が小さく設定されている。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、蛍光X線分析にお
いて、X線源から発生するX線を分光して、試料に照射
する1次X線とするためのX線分光素子およびそれを用
いた蛍光X線分析装置に関する。
いて、X線源から発生するX線を分光して、試料に照射
する1次X線とするためのX線分光素子およびそれを用
いた蛍光X線分析装置に関する。
【0002】
【従来の技術】例えば、Si (シリコン)ウエハを試料
としてその上の微量な付着物を検出するために、試料に
微小な入射角で1次X線を照射して全反射蛍光X線分析
を行う場合、十分な強度の蛍光X線を発生させかつバッ
クグラウンドを抑制するため、試料に照射する1次X線
は、高強度で適切に単色化されたものが望ましい。この
ような場合に、W(タングステン)をターゲットとする
X線管から発生するX線を、W/Si (反射層:タング
ステン/スペーサ層:シリコン)の多層膜X線分光素子
で分光し、所望のエネルギーに単色化された連続X線を
1次X線として利用することがある。従来このような場
合に用いられる多層膜X線分光素子では、反射層とスペ
ーサ層からなる1層対の厚さすなわち周期長が深さ方向
に一定であり、X線の入射角も固定されているので、そ
れに応じて、反射できるX線のエネルギー範囲(エネル
ギー幅)、ひいては生成される1次X線の(エネルギー
に対する)積分強度も限定されている。
としてその上の微量な付着物を検出するために、試料に
微小な入射角で1次X線を照射して全反射蛍光X線分析
を行う場合、十分な強度の蛍光X線を発生させかつバッ
クグラウンドを抑制するため、試料に照射する1次X線
は、高強度で適切に単色化されたものが望ましい。この
ような場合に、W(タングステン)をターゲットとする
X線管から発生するX線を、W/Si (反射層:タング
ステン/スペーサ層:シリコン)の多層膜X線分光素子
で分光し、所望のエネルギーに単色化された連続X線を
1次X線として利用することがある。従来このような場
合に用いられる多層膜X線分光素子では、反射層とスペ
ーサ層からなる1層対の厚さすなわち周期長が深さ方向
に一定であり、X線の入射角も固定されているので、そ
れに応じて、反射できるX線のエネルギー範囲(エネル
ギー幅)、ひいては生成される1次X線の(エネルギー
に対する)積分強度も限定されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、より正確な分
析のためには、バックグラウンドの増加などが分析に影
響しない範囲で、1次X線の積分強度はより大きいこと
が望ましい。
析のためには、バックグラウンドの増加などが分析に影
響しない範囲で、1次X線の積分強度はより大きいこと
が望ましい。
【0004】本発明は、このような問題に鑑みてなされ
たもので、積分強度が十分に大きく適切に単色化された
1次X線を生成できるX線分光素子およびそれを用いた
蛍光X線分析装置を提供することを目的とする。
たもので、積分強度が十分に大きく適切に単色化された
1次X線を生成できるX線分光素子およびそれを用いた
蛍光X線分析装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、本発明のX線分光素子は、蛍光X線分析において、
X線源から発生するX線を分光して、試料に照射する1
次X線とするために用いられ、反射層とスペーサ層から
なる層対を基板上に多数積層して構成されたX線分光素
子であって、所定の周期長を有する単数または複数の層
対からなる多層膜を複数備え、基板に近い多層膜ほど前
記所定の周期長が小さく設定されている。
に、本発明のX線分光素子は、蛍光X線分析において、
X線源から発生するX線を分光して、試料に照射する1
次X線とするために用いられ、反射層とスペーサ層から
なる層対を基板上に多数積層して構成されたX線分光素
子であって、所定の周期長を有する単数または複数の層
対からなる多層膜を複数備え、基板に近い多層膜ほど前
記所定の周期長が小さく設定されている。
【0006】本発明のX線分光素子によれば、深さ方向
に周期長の相異なる複数の多層膜が、相異なるエネルギ
ーのX線を反射する(いわゆるスーパーミラー)。しか
も、基板に近い多層膜ほど周期長が小さく設定されてい
るので、エネルギーが小さくて吸収されやすいX線ほ
ど、入射面から浅い位置で反射されることになり、全体
としての反射の効率もよい。したがって、全体として積
分強度が十分に大きく適切に単色化された1次X線を生
成でき、より正確な蛍光X線分析が可能となるととも
に、検出限界も向上する。ここで、多層膜の数が2ない
し4であり、すべての多層膜が複数の層対からなること
が好ましい。
に周期長の相異なる複数の多層膜が、相異なるエネルギ
ーのX線を反射する(いわゆるスーパーミラー)。しか
も、基板に近い多層膜ほど周期長が小さく設定されてい
るので、エネルギーが小さくて吸収されやすいX線ほ
ど、入射面から浅い位置で反射されることになり、全体
としての反射の効率もよい。したがって、全体として積
分強度が十分に大きく適切に単色化された1次X線を生
成でき、より正確な蛍光X線分析が可能となるととも
に、検出限界も向上する。ここで、多層膜の数が2ない
し4であり、すべての多層膜が複数の層対からなること
が好ましい。
【0007】本発明の蛍光X線分析装置は、前記本発明
のX線分光素子で分光された1次X線を試料に照射する
X線照射手段と、試料から発生する蛍光X線の強度を測
定する検出手段とを備え、前記本発明のX線分光素子と
同様の作用効果を有する。
のX線分光素子で分光された1次X線を試料に照射する
X線照射手段と、試料から発生する蛍光X線の強度を測
定する検出手段とを備え、前記本発明のX線分光素子と
同様の作用効果を有する。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態の蛍光
X線分析装置を図面にしたがって説明する。この装置
は、図2に示すように、1次X線5を試料1の表面に対
して例えば0.05度程度の微小な入射角α(図におい
ては誇張して表す)で照射させる全反射蛍光X線分析装
置であって、X線分光素子4で分光された1次X線5
を、試料台10に載置されたSi ウエハなどの試料1に
照射するX線照射手段6と、試料1から発生する蛍光X
線7の強度を測定する検出手段であるSSD8とを備え
ている。ただし、本発明の蛍光X線分析装置は、全反射
蛍光X線分析装置に限定されない。X線照射手段6は、
X線源3、すなわちここではWのターゲットからX線2
を発生するX線管3と、そのX線管3から発生するX線
2を分光するX線分光素子4とを有する。
X線分析装置を図面にしたがって説明する。この装置
は、図2に示すように、1次X線5を試料1の表面に対
して例えば0.05度程度の微小な入射角α(図におい
ては誇張して表す)で照射させる全反射蛍光X線分析装
置であって、X線分光素子4で分光された1次X線5
を、試料台10に載置されたSi ウエハなどの試料1に
照射するX線照射手段6と、試料1から発生する蛍光X
線7の強度を測定する検出手段であるSSD8とを備え
ている。ただし、本発明の蛍光X線分析装置は、全反射
蛍光X線分析装置に限定されない。X線照射手段6は、
X線源3、すなわちここではWのターゲットからX線2
を発生するX線管3と、そのX線管3から発生するX線
2を分光するX線分光素子4とを有する。
【0009】このX線分光素子4は、単独でも本発明の
一実施形態をなすもので、蛍光X線分析において、X線
管3から発生するX線2を分光して、試料1に照射する
1次X線5とするために用いられ、図1に示すように、
反射層4aとスペーサ層4bからなる層対を基板4c上
に多数積層して構成されたX線分光素子4であって、所
定の周期長dを有する単数または複数の層対からなる多
層膜4eを複数備え、基板4cに近い多層膜4eほど前
記所定の周期長dが小さく設定されている。この実施形
態では、反射層4aの物質がW、スペーサ層4bの物質
がSi であるが、本発明では特に限定されない。また、
反射層4aとスペーサ層4bとの膜厚比も、特に限定さ
れない。形状については、図では平板型として示してい
るが、湾曲型でもよい。なお、湾曲型の場合、1つの多
層膜(深さ方向に周期長が一定の多層膜)において、湾
曲方向に異なる部分でも同じエネルギーのX線を反射す
るように、湾曲方向に沿って周期長dを変化させること
は、周知技術であり、本発明にこの周知技術を適用して
もよい。
一実施形態をなすもので、蛍光X線分析において、X線
管3から発生するX線2を分光して、試料1に照射する
1次X線5とするために用いられ、図1に示すように、
反射層4aとスペーサ層4bからなる層対を基板4c上
に多数積層して構成されたX線分光素子4であって、所
定の周期長dを有する単数または複数の層対からなる多
層膜4eを複数備え、基板4cに近い多層膜4eほど前
記所定の周期長dが小さく設定されている。この実施形
態では、反射層4aの物質がW、スペーサ層4bの物質
がSi であるが、本発明では特に限定されない。また、
反射層4aとスペーサ層4bとの膜厚比も、特に限定さ
れない。形状については、図では平板型として示してい
るが、湾曲型でもよい。なお、湾曲型の場合、1つの多
層膜(深さ方向に周期長が一定の多層膜)において、湾
曲方向に異なる部分でも同じエネルギーのX線を反射す
るように、湾曲方向に沿って周期長dを変化させること
は、周知技術であり、本発明にこの周知技術を適用して
もよい。
【0010】さて、W/Si の多層膜X線分光素子につ
いて、本発明のX線分光素子で多層膜の数(段数)を
2、3としたものと、多層膜の数を1とした従来のX線
分光素子とで、20000〜30000eVの連続X線
を分光したときの積分反射強度をシミュレーション計算
して比較した結果を図3に示す。ここで、多層膜段数1
の従来のX線分光素子は、Si 基板上に、反射層の厚さ
12.5Å、スペーサ層の厚さ17.5Å、すなわち周
期長30Åの層対を20積層したものである。多層膜段
数2の本発明のX線分光素子は、多層膜段数1のX線分
光素子の多層膜と基板との間に、反射層の厚さ12.5
Å、スペーサ層の厚さ15.5Å、すなわち周期長28
Åの層対を20積層したものである。多層膜段数3の本
発明のX線分光素子は、多層膜段数2のX線分光素子の
周期長28Åの多層膜と基板との間に、さらに、反射層
の厚さ12.5Å、スペーサ層の厚さ14Å、すなわち
周期長26.5Åの層対を40積層したものである。X
線分光素子への入射角は、いずれも0.5度とした。
いて、本発明のX線分光素子で多層膜の数(段数)を
2、3としたものと、多層膜の数を1とした従来のX線
分光素子とで、20000〜30000eVの連続X線
を分光したときの積分反射強度をシミュレーション計算
して比較した結果を図3に示す。ここで、多層膜段数1
の従来のX線分光素子は、Si 基板上に、反射層の厚さ
12.5Å、スペーサ層の厚さ17.5Å、すなわち周
期長30Åの層対を20積層したものである。多層膜段
数2の本発明のX線分光素子は、多層膜段数1のX線分
光素子の多層膜と基板との間に、反射層の厚さ12.5
Å、スペーサ層の厚さ15.5Å、すなわち周期長28
Åの層対を20積層したものである。多層膜段数3の本
発明のX線分光素子は、多層膜段数2のX線分光素子の
周期長28Åの多層膜と基板との間に、さらに、反射層
の厚さ12.5Å、スペーサ層の厚さ14Å、すなわち
周期長26.5Åの層対を40積層したものである。X
線分光素子への入射角は、いずれも0.5度とした。
【0011】これによると、多層膜段数2で積分反射強
度が従来の約1.5倍になり、多層膜段数3で約2倍に
なっており、X線分光素子の製造の容易さを考え合わせ
ると、多層膜の数は2ないし4が好ましい。一方、各多
層膜を構成する層対数については、単数すなわち1つの
層対で1つの多層膜を構成することも考えられるが、そ
れを押し進めてすべての多層膜を1層対で構成すると、
全体としてのエネルギー分解能が低下することを見いだ
したので、多層膜段数2、3のX線分光素子のようにす
べての多層膜が複数の層対からなる方が好ましい。
度が従来の約1.5倍になり、多層膜段数3で約2倍に
なっており、X線分光素子の製造の容易さを考え合わせ
ると、多層膜の数は2ないし4が好ましい。一方、各多
層膜を構成する層対数については、単数すなわち1つの
層対で1つの多層膜を構成することも考えられるが、そ
れを押し進めてすべての多層膜を1層対で構成すると、
全体としてのエネルギー分解能が低下することを見いだ
したので、多層膜段数2、3のX線分光素子のようにす
べての多層膜が複数の層対からなる方が好ましい。
【0012】また、図3と同様に、多層膜段数3の本発
明のX線分光素子と、多層膜段数1の従来のX線分光素
子とで、20000〜30000eVの連続X線を分光
したときの反射率をシミュレーション計算して比較した
結果を図4に示す。実線が本発明のX線分光素子の反射
率で、破線が従来のX線分光素子の反射率である。これ
によると、周期長の小さい多層膜を2段追加したことに
より、反射できるX線のエネルギー範囲(エネルギー
幅)が、高エネルギー側に広がっていることが明らかで
ある。
明のX線分光素子と、多層膜段数1の従来のX線分光素
子とで、20000〜30000eVの連続X線を分光
したときの反射率をシミュレーション計算して比較した
結果を図4に示す。実線が本発明のX線分光素子の反射
率で、破線が従来のX線分光素子の反射率である。これ
によると、周期長の小さい多層膜を2段追加したことに
より、反射できるX線のエネルギー範囲(エネルギー
幅)が、高エネルギー側に広がっていることが明らかで
ある。
【0013】以上のような検討結果から、上述の多層膜
段数3のX線分光素子を本実施形態のX線分光素子4と
して作製した。つまり、図1でいうと、3つの多層膜4
e1,4e2 ,4e3 のそれぞれにおいては、周期長は
一定であるが、基板4cに近い側から、多層膜4e3 の
周期長d3 (26.5Å)<多層膜4e2 の周期長d2
(28Å)<多層膜4e1 の周期長d1 (30Å)とな
るように設定されている。一方、比較のため、上述の多
層膜段数1のX線分光素子を従来のX線分光素子として
用意した。
段数3のX線分光素子を本実施形態のX線分光素子4と
して作製した。つまり、図1でいうと、3つの多層膜4
e1,4e2 ,4e3 のそれぞれにおいては、周期長は
一定であるが、基板4cに近い側から、多層膜4e3 の
周期長d3 (26.5Å)<多層膜4e2 の周期長d2
(28Å)<多層膜4e1 の周期長d1 (30Å)とな
るように設定されている。一方、比較のため、上述の多
層膜段数1のX線分光素子を従来のX線分光素子として
用意した。
【0014】そして、図2の全反射蛍光X線分析装置を
用いて、ターゲットがWであるX線管3から発生するX
線2を、それぞれのX線分光素子で分光して、分光され
た連続X線を1次X線5として、Mo (モリブデン)の
付着したSi ウエハである試料1に入射角αを変えて
(0〜0.07度)照射し、試料1から発生するMo −
Kα線7の強度をSSD8で測定した。図5に、従来の
X線分光素子による測定強度に対する本実施形態のX線
分光素子4による測定強度の比と、入射角αとの関係を
示す。これによると、本実施形態のX線分光素子4では
分光された1次X線5の積分強度が十分に大きいため
に、分析すべきMo −Kα線7が、従来の約2〜5倍の
強度で検出されることが分かる。また、この場合の検出
限界が従来比で0.544に向上することから、1次X
線5の単色化も適切になされていることが分かる。
用いて、ターゲットがWであるX線管3から発生するX
線2を、それぞれのX線分光素子で分光して、分光され
た連続X線を1次X線5として、Mo (モリブデン)の
付着したSi ウエハである試料1に入射角αを変えて
(0〜0.07度)照射し、試料1から発生するMo −
Kα線7の強度をSSD8で測定した。図5に、従来の
X線分光素子による測定強度に対する本実施形態のX線
分光素子4による測定強度の比と、入射角αとの関係を
示す。これによると、本実施形態のX線分光素子4では
分光された1次X線5の積分強度が十分に大きいため
に、分析すべきMo −Kα線7が、従来の約2〜5倍の
強度で検出されることが分かる。また、この場合の検出
限界が従来比で0.544に向上することから、1次X
線5の単色化も適切になされていることが分かる。
【0015】以上のように、本実施形態のX線分光素子
4によれば、深さ方向に周期長の相異なる3つの多層膜
膜4e1 ,4e2 ,4e3 が、相異なるエネルギーのX
線を反射する。しかも、基板4cに近い多層膜ほど周期
長が小さく設定されているので(d3 <d2 <d1 )、
エネルギーが小さくて吸収されやすいX線ほど、入射面
から浅い位置で反射されることになり、全体としての反
射の効率もよい。したがって、例えば24000〜28
000eVあたりにおいて、全体として積分強度が十分
に大きく(シミュレーションでは約2倍)適切に単色化
された1次X線5を生成でき、従来の約2〜5倍の強度
でMo −Kα線が実測されて、より正確な蛍光X線分析
が可能となるとともに、検出限界も従来比で0.544
に向上する。このような作用効果は、連続X線を1次X
線として利用する場合に特に顕著である。本実施形態の
蛍光X線分析装置も、このX線分光素子4と同様の作用
効果を有する。
4によれば、深さ方向に周期長の相異なる3つの多層膜
膜4e1 ,4e2 ,4e3 が、相異なるエネルギーのX
線を反射する。しかも、基板4cに近い多層膜ほど周期
長が小さく設定されているので(d3 <d2 <d1 )、
エネルギーが小さくて吸収されやすいX線ほど、入射面
から浅い位置で反射されることになり、全体としての反
射の効率もよい。したがって、例えば24000〜28
000eVあたりにおいて、全体として積分強度が十分
に大きく(シミュレーションでは約2倍)適切に単色化
された1次X線5を生成でき、従来の約2〜5倍の強度
でMo −Kα線が実測されて、より正確な蛍光X線分析
が可能となるとともに、検出限界も従来比で0.544
に向上する。このような作用効果は、連続X線を1次X
線として利用する場合に特に顕著である。本実施形態の
蛍光X線分析装置も、このX線分光素子4と同様の作用
効果を有する。
【0016】
【発明の効果】以上詳細に説明したように、本発明のX
線分光素子によれば、深さ方向に周期長の相異なる複数
の多層膜が、相異なるエネルギーのX線を反射する。し
かも、基板に近い多層膜ほど周期長が小さく設定されて
いるので、エネルギーが小さくて吸収されやすいX線ほ
ど、入射面から浅い位置で反射されることになり、全体
としての反射の効率もよい。したがって、全体として積
分強度が十分に大きく適切に単色化された1次X線を生
成でき、より正確な蛍光X線分析が可能となるととも
に、検出限界も向上する。このX線分光素子で分光され
た1次X線を試料に照射する本発明の蛍光X線分析装置
も、同様の作用効果を有する。
線分光素子によれば、深さ方向に周期長の相異なる複数
の多層膜が、相異なるエネルギーのX線を反射する。し
かも、基板に近い多層膜ほど周期長が小さく設定されて
いるので、エネルギーが小さくて吸収されやすいX線ほ
ど、入射面から浅い位置で反射されることになり、全体
としての反射の効率もよい。したがって、全体として積
分強度が十分に大きく適切に単色化された1次X線を生
成でき、より正確な蛍光X線分析が可能となるととも
に、検出限界も向上する。このX線分光素子で分光され
た1次X線を試料に照射する本発明の蛍光X線分析装置
も、同様の作用効果を有する。
【図1】本発明の一実施形態であるX線分光素子を示す
図である。
図である。
【図2】同X線分光素子を用いた本発明の一実施形態で
ある全反射蛍光X線装置を示す図である。
ある全反射蛍光X線装置を示す図である。
【図3】本発明のX線分光素子と従来のX線分光素子と
について、連続X線を分光したときの積分反射強度をシ
ミュレーション計算して比較した一例を示す図である。
について、連続X線を分光したときの積分反射強度をシ
ミュレーション計算して比較した一例を示す図である。
【図4】本発明のX線分光素子と従来のX線分光素子と
について、連続X線を分光したときの反射率をシミュレ
ーション計算して比較した一例を示す図である。
について、連続X線を分光したときの反射率をシミュレ
ーション計算して比較した一例を示す図である。
【図5】Mo の付着したSi ウエハである試料から発生
するMo −Kα線について、従来のX線分光素子で分光
した1次X線による測定強度に対する本実施形態のX線
分光素子で分光した1次X線による測定強度の比と、1
次X線の入射角との関係を示す図である。
するMo −Kα線について、従来のX線分光素子で分光
した1次X線による測定強度に対する本実施形態のX線
分光素子で分光した1次X線による測定強度の比と、1
次X線の入射角との関係を示す図である。
1…試料、2…X線源から発生するX線、3…X線源
(X線管)、4…X線分光素子、4a…反射層、4b…
スペーサ層、4c…基板、4e…多層膜、5…1次X
線、6…X線照射手段、7…試料から発生する蛍光X
線、8…検出手段、d…周期長。
(X線管)、4…X線分光素子、4a…反射層、4b…
スペーサ層、4c…基板、4e…多層膜、5…1次X
線、6…X線照射手段、7…試料から発生する蛍光X
線、8…検出手段、d…周期長。
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Fターム(参考) 2G001 AA01 BA04 CA01 DA01 EA02
EA09 EA20 KA01 LA11 MA05
NA07 NA15 NA17
Claims (3)
- 【請求項1】 蛍光X線分析において、X線源から発生
するX線を分光して、試料に照射する1次X線とするた
めに用いられ、反射層とスペーサ層からなる層対を基板
上に多数積層して構成されたX線分光素子であって、 所定の周期長を有する単数または複数の層対からなる多
層膜を複数備え、 基板に近い多層膜ほど前記所定の周期長が小さく設定さ
れているX線分光素子。 - 【請求項2】 請求項1において、 前記多層膜の数が2ないし4であり、すべての多層膜が
複数の層対からなるX線分光素子。 - 【請求項3】 請求項1または2のX線分光素子で分光
された1次X線を試料に照射するX線照射手段と、 試料から発生する蛍光X線の強度を測定する検出手段と
を備えた蛍光X線分析装置。
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- 2003-02-12 DE DE10305813A patent/DE10305813B4/de not_active Expired - Fee Related
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