JP2003253480A - マグネシウム合金部材のボルト締結部の防錆方法 - Google Patents

マグネシウム合金部材のボルト締結部の防錆方法

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克利 安藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 マグネシウム合金部材と異種金属部材とから
なるボルト締結構造において、ボルト軸力の低下を来す
ことなく各部材間を絶縁し、水などの電解質が接触して
も電食の発生を防止することができるマグネシウム合金
部材のボルト締結部の防錆方法を提供する。 【解決手段】 電着塗装と、粉体塗装、水性塗装および
溶剤系塗装のうち少なくとも1つを施したマグネシウム
合金部材の両面に、異種金属部材を重ねてボルトにより
締結後、さらにこの締結構造全体に化成処理および電着
塗装を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マグネシウム合金
部材のボルト締結部の防錆方法に係り、特に、マグネシ
ウム合金部材をドアパネルとして適用した場合に、ドア
ヒンジ締結部近傍におけるマグネシウム合金部材の電気
的腐食(電食)の発生を未然に防止する技術に関するも
のである。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車産業においては、環境問題
への関心が高まるにつれてさらなる燃費向上が要望され
るようになってきている。このような要望に対応するた
めに、自動車産業では、自動車車体の軽量化の検討が必
要となり、実用金属の中で最も軽いマグネシウム合金を
部品として使用することが多くなってきている。特に最
近では、外装や構造部品(特にテールゲートインナーパ
ネルやドアパネル)のように非常に高い耐食性が求めら
れる部位への適用が進められようとしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、マグネ
シウム合金は最も卑な実用合金であるため、鉄やアルミ
ニウムといった異種金属と締結する場合に、電解質を含
む水分の存在下において電食が発生し易いという問題が
ある。特に、野外で使用される自動車においては、雨水
や海水および融雪塩等に含まれる電解質の働きにより電
食が著しく促進され、部品の欠陥や破損を招きかねな
い。
【0004】特開平5−302614号公報には、マグ
ネシウム合金部材と鋼製のボルトとの間に、樹脂でコー
ティングした紙製のワッシャーを介装し、ボルトとマグ
ネシウム合金部材とを接触させないことで電食を防止す
る技術が提案されている。しかしながら、ボルトの腐食
に伴って腐食生成物がマグネシウム合金上に流出し、そ
れが電食の原因となるため、耐食性が求められる部位へ
の適用は不可能であった。また、樹脂製のワッシャによ
ってボルトの頭部とマグネシウム合金部材との間を絶縁
する方法も考えられるが、塗装時の熱によって樹脂がク
リープし、ボルトの軸力が低下して増し締めが必要とな
るなど実用的ではない。さらに、無機フィラーを含有す
る有機材料をマグネシウム合金部材とボルトとの間に介
装する技術がある。しかしながら、このような技術にあ
っても、塩水噴霧による複合腐食試験を20サイクル行
った時点で電食の発生が認められており、近年の要望に
応えられるものではなかった。
【0005】また、マグネシウム合金部材をドアパネル
に用いた例として、粉体塗装されたマグネシウム合金部
材の両面に、予め電着塗装が施されたアルミニウム部材
を介して、鉄製のヒンジ部材およびブラケットが、鉄製
ボルトによって締結されているものがある。また、これ
らの鉄製部材には、めっきが施されているのみで塗装が
行われていないため、腐食し易い状態である。さらに、
マグネシウム合金部材には、粉体塗装が施されているも
のの、これだけでは防食効果が充分ではない。そのた
め、この締結構造においては、上記の鉄製部材が腐食し
た場合、赤錆がマグネシウム部材にまで到達して電食が
発生してしまうおそれがある。
【0006】したがって、本発明は、マグネシウム合金
部材と異種金属部材とからなるボルト締結構造におい
て、ボルト軸力の低下を来すことなく各部材間を絶縁
し、塩水などの電解質が接触しても電食の発生を防止す
ることができるマグネシウム合金部材のボルト締結部の
防錆方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明のマグネシウム合
金部材のボルト締結部の防錆方法は、電着塗装と、粉体
塗装、水性塗装および溶剤系塗装のうち少なくとも1つ
を施したマグネシウム合金部材の両面に、異種金属部材
を重ねてボルトにより締結後、さらにこの締結構造全体
に化成処理および電着塗装を行うことを特徴としてい
る。
【0008】本発明によれば、締結後の締結構造全体に
化成処理および電着塗装を行うことによって、ボルトに
も良好な塗装耐食性および塗装密着性が得られるので、
赤錆流出による電食を防止することができるとともに、
さらに、付廻り性の高い電着塗装を施すことによって、
マグネシウム合金部材を完全に保護した後に、粉体塗
装、水性塗装および溶剤系塗装のうち少なくとも1つを
施すことによって、充分な膜厚が確保でき、優れた絶縁
性および耐傷付き性を向上させることができる。また、
本発明によれば、マグネシウム合金部材の両面に、異種
金属部材を重ね合わせてあるので、ボルト締結時におけ
る傷付きを防止することもできる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明のマグネシウム合金
部材のボルト締結部の防錆方法についてさらに詳細に説
明する。本発明においては、マグネシウム合金部材に、
予め、電着塗装と、粉体塗装、水性塗装および溶剤系塗
装のうち少なくとも1つを施すことが必要である。電着
塗装は、付廻り性が高く、均一な塗布を行うことができ
る塗装方法であるが、形成し得る塗膜の膜厚が不十分な
ために、この電着塗装のみでは、マグネシウム合金部材
の絶縁を維持することはできずに電食が発生してしま
う。一方、粉体塗装、水性塗装および溶剤系塗装は、十
分な膜厚を得ることができるが、これらの塗装のみで
は、均一な塗布が困難なため、部分的な点状腐食や電食
が生じてしまう。よって、本発明においては、電着塗装
と、粉体塗装、水性塗装および溶剤系塗装のうち少なく
とも1つとを併用することが必要となる。
【0010】これらの塗装を予めマグネシウム合金部材
に施すことによって、異種金属部材とのボルト締結後
に、マグネシウム合金部材と異種金属部材とに対して同
時に化成処理および電着塗装を施すことが可能となる。
マグネシウム合金部材への予めの塗装が施されなけれ
ば、ボルト締結部におけるマグネシウム合金部材と異種
金属部材との接触面において容易に電食が発生するのみ
ならず、ボルト締結後に、マグネシウム合金部材と異種
金属部材とに対して同時に化成処理を施しても、マグネ
シウム合金部材には化成皮膜が形成されずに充分な塗装
性能が得られないばかりか、異種金属部材の化成皮膜形
成に必要な成分によりマグネシウム合金部材の腐食が促
進されてしまうおそれもある。なお、本発明における電
着塗装、粉体塗装、水性塗装および溶剤系塗装は、一般
公知の方法を用いることができる。
【0011】また、本発明におけるマグネシウム合金部
材に施す電着塗装の膜厚は、15〜25μmが好まし
い。この膜厚が15μm未満であると、十分な耐食性が
得られず、また、この表面上に塗装される後述の塗膜が
均一に形成することができない。一方、この膜厚が25
μmを越えてもこれ以上の耐食性向上効果が得られな
い。また、本発明における粉体塗装、水性塗装および溶
剤系塗装のうち少なくとも1つの膜厚は40〜150μ
mであることが好ましい。この膜厚が40μm未満で
は、塗料外観が著しく低下するとともに、局部的に膜厚
が薄くなって電食を発生し易くなる。一方、この膜厚が
150μmを超えると、ボルトを締結したときに軸力の
低下が見られる。
【0012】本発明における化成処理は、リン酸マンガ
ン、リン酸亜鉛および酸化ジルコンのうち少なくとも1
つを主成分とする処理であることが好ましい。リン酸マ
ンガン処理においては、マグネシウム合金部材の表面に
Mnが含有され、このMnの酸化還元反応(価数変化)
によってマグネシウムの酸化反応が抑制され、腐食を効
果的に防止することが可能となる。リン酸亜鉛処理にお
いては、結晶性の皮膜により塗膜密着性を向上させる。
酸化ジルコン処理においては、強靱な非晶質皮膜により
腐食因子の侵入を防止する。ここで、従来のマグネシウ
ム合金部材の化成処理では、クロム酸クロム処理やリン
酸クロム処理等の処理方法が用いられていたが、環境汚
染の観点からCrを用いるこれらの方法は好ましくな
い。なお、リン酸マンガン処理には、リン酸塩と過マン
ガン酸塩から構成される処理等も含まれる。
【0013】また、本発明に用いるマグネシウム合金部
材としては、Alを5重量%以上含有することが望まし
い。Alの含有量が5重量%未満であると、マグネシウ
ム合金部材の耐食性が低下し、塗装面の耐食性が低下し
てボルトの締結に適さなくなる。
【0014】本発明におけるマグネシウム合金部材の両
面に締結する異種金属部材としては、具体的には、アル
ミニウム合金製のドアヒンジ部材や鉄製のドアビームブ
ラケット等が挙げられる。このような締結部材の少なく
ともマグネシウム合金部材と接触する面には、塗装を施
すことが望ましい。また、その膜厚は15μm以上とす
ることが望ましい。その理由は、マグネシウム合金部材
に電着塗装を施す場合と同等である。さらに、このよう
な締結部材が鉄製の場合、上記の電着塗装を施す前に、
亜鉛めっきや亜鉛ニッケルめっき等のめっきを施すとさ
らに耐食性を向上させることができるので好ましい。
【0015】また、上記塗装を施していることから、本
発明におけるボルトには亜鉛めっきボルト等の安価な低
耐食性ボルトを適用できる。実車パーツ交換等でドアを
取り外す必要性が生じた場合は、ボディー側締結ボルト
を外すことにより、マグネシウムドア締結ボルトの塗装
は保持できる。ところが、作業ミスなどによりボルト塗
装を傷つけてしまう可能性も考えられるので、無塗装時
の耐食性に優れた亜鉛ニッケルめっき処理を施した後に
コスマー処理を施したものの適用が好ましい。一般に、
無塗装時においては、マグネシウムとの電位差の小さい
錫亜鉛めっきを施したボルトが好ましいと考えられる。
しかしながら、錫亜鉛めっきは耐食性があまり良好では
ないため、ボルトが容易に腐食する。そして、ボルトが
腐食すると腐食生成物が流出し、腐食生成物とマグネシ
ウム合金との間で電食が発生する。これに対して、亜鉛
ニッケルめっきとコスマー処理を施したボルトは耐食性
に優れているため、錫亜鉛めっきの場合のような不具合
がなく、また、市販されているので容易に入手すること
ができる。なお、コスマー処理は、一般には、エチレン
−アクリル酸共重合体樹脂ディスパージョンに、水分散
型シリカ、シランカップリング剤、および水分散型クロ
ム化合物を添加したものをボルトの表面に塗布する処理
である。
【0016】本発明におけるボルト締結方法としては、
上記のように塗装されたマグネシウム合金部材を両側か
ら挟み込むようにして異種金属部材を重ね合わせ、その
上でボルト締結を行う。通常、ボルト締結によるトルク
によりマグネシウム合金上の塗膜に傷が入り、ボルトや
ナットとマグネシウムとの間で電食が発生することが問
題となるが、本発明によれば、マグネシウム合金部材の
両面が異種金属部材により保護されているため、ボルト
締結時に傷付きを生じる危険性がない。そのため、マグ
ネシウム合金部材の絶縁性を保持することが可能であ
り、これにより、ボルト締結部の長期にわたる防錆効果
を維持することができる。
【0017】さらに、本発明では、マグネシウム合金と
異種金属との接触面において、接着剤を塗布したり、熱
軟化性の樹脂シーラーでコーティングすることにより、
シール材層を設けることが望ましく、これにより、電解
質の浸入を防いで耐電食性を向上させることもできる。
一方、このシール材層を設けないと、糸錆状腐食を発生
する場合があるため、機能上問題が無くても、外観上商
品性が損なわれてしまう。
【0018】また、本発明のマグネシウム合金部材を用
いたドアパネル締結構造は、図1に示すように、電着塗
装と、粉体塗装、水性塗装および溶剤系塗装のうち少な
くとも1つとを施したマグネシウム合金部材1の両面
に、異種金属部材であるドアヒンジ2とドアビーム3と
が配置され、かつボルト4により締結されており、マグ
ネシウム合金と異種金属との接触面間において、シール
材層が設けられており、かつ締結部表面全体に同一の塗
装が施されていることを特徴としている。なお、本発明
のドアパネル締結構造における各塗装の条件は、上記に
示したものと同様である。
【0019】さらに、本発明のドアパネル締結構造は、
マグネシウム合金部材1の端部において、アルミニウム
製ドアスキン5がアルミニウム用接着剤により取り付け
られることによって、自動車用ドアが製造される。
【0020】
【実施例】次に、具体的な実施例によって本発明をさら
に詳細に説明する。 <実施例1> マグネパネルの作製 マグネシウム合金(AM60B)製の板材をダイカスト
により成型してマグネシウム合金製ドアパネル(以下、
マグネパネルと称す)を作製し、このマグネパネルにリ
ン酸マンガン処理(商品名:SF570、日本ペイント
社製)を行った。次いで、マグネパネルに、パワートッ
プV50(商品名、日本ペイント社製)を用いて、膜厚
25μmとなるように電着塗装を行い、さらに、エポキ
シ/ポリエステル系の塗料(商品名:パウダックスP6
0、日本ペイント社製)を用いて、膜厚100μmとな
るように粉体塗装を行った。
【0021】 ボルト締結構造の作製 次に、上記のマグネパネルの両面に、シーラー(商品
名:ペンギンセメント1549A、サンスター技研社
製)を塗布し、このマグネパネルを挟むように、亜鉛め
っきを施した鉄製ブラケット(オーハシテクニカ社製)
と、アルミニウム合金(A6061材)製のアルミニウ
ムヒンジとを重ね合わせ、さらに、亜鉛めっきおよびコ
スマー処理を施した直径8mmのフランジ付鋼ボルト
(強度7T/オーハシテクニカ社製)により締結し、ボ
ルト締結構造を作製した。
【0022】 ボルト締結構造の塗装 次いで、上記の締結構造全体に、リン酸亜鉛処理(商品
名:SD6800、日本ペイント社製)を施した後、H
G10R(商品名、関西ペイント社製)を用いて電着塗
装を行った。次に、ポリエステル(商品名:HS48、
関西ペイント社製)を用いて中塗り塗装を、アクリル
(商品名:HM32、関西ペイント社製)を用いてベー
ス塗装を、アクリル(商品名:HK4、関西ペイント社
製)を用いてクリヤー塗装を順次行い、本発明のマグネ
シウム合金部材のボルト締結部の防錆方法による実施例
1の試料を作製した。
【0023】<実施例2>実施例1のボルト締結構造
の作製工程において、マグネパネルの両面へのシーラー
の塗布を行わなかった以外は、実施例1と同様にして、
本発明のマグネシウム合金部材のボルト締結部の防錆方
法による実施例2の試料を作製した。
【0024】<実施例3>実施例1のマグネパネルの
作製工程における電着塗装を15μmとし、さらに、粉
体塗装を40μmとした以外は、実施例1と同様にし
て、本発明のマグネシウム合金部材のボルト締結部の防
錆方法による実施例3の試料を作製した。
【0025】<実施例4>実施例1のマグネパネルの
作製工程における粉体塗装を150μmとした以外は、
実施例1と同様にして、本発明のマグネシウム合金部材
のボルト締結部の防錆方法による実施例4の試料を作製
した。
【0026】<比較例1>実施例1のマグネパネルの
作製工程において、マグネパネルに対して、リン酸マン
ガン処理、電着塗装、および粉体塗装を行わなかった以
外は、実施例1と同様にして、本発明に対する比較例1
の試料を作製した。
【0027】<比較例2>実施例1のマグネパネルの
作製工程において、マグネパネルに対して、粉体塗装を
行わなかった以外は、実施例1と同様にして、本発明に
対する比較例2の試料を作製した。
【0028】<比較例3>実施例1のマグネパネルの
作製工程において、マグネパネルに対して、電着塗装を
行わなかった以外は、実施例1と同様にして、本発明に
対する比較例3の試料を作製した。
【0029】<比較例4>実施例1のボルト締結構造
の塗装工程を行わなかった以外は、実施例1と同様にし
て、本発明に対する比較例4の試料を作製した。
【0030】(1)塗装性能評価 塩水噴霧試験(SST) 上記の各実施例および比較例のボルト締結構造の塗膜面
に長さ10センチ×2本のクロスカットを入れ、これら
のボトル締結構造に対して1200時間の塩水噴霧試験
を実施し、マグネシウム合金部材におけるボルト締結部
近傍の塗膜の最大塗膜膨れ幅を測定した。なお、塩水噴
霧試験とは、35℃にて5%NaCl溶液を1.5mL
/hrの流量で試料に対して一定時間噴霧する試験であ
る。また、塗膜の膨れとは、マグネシウム合金部材のボ
ルト締結部近傍において塗膜の下側が腐食することによ
り、塗膜が膨れて見える状態を言う。
【0031】 市場曝露試験(沖縄海浜地区) 上記の各実施例および比較例のボルト締結構造の塗膜面
に長さ10センチ×2本のクロスカットを入れ、これら
のボトル締結構造を沖縄海浜地区に設置、3年経過後の
最大塗膜膨れ幅を測定した。
【0032】(2)耐電食性能評価 塩水噴霧試験(SST) 上記の各実施例および比較例のボルト締結構造に対して
3600時間の塩水噴霧試験を実施し、マグネシウム合
金部材におけるボルト締結部近傍の電食発生有無を確認
した。なお、電食とは、ボルト締結部近傍において塗膜
の剥離を伴う大規模な孔食が生じている状態を言う。
【0033】 市場曝露試験(沖縄海浜地区) 上記の各実施例および比較例のボルト締結構造を沖縄海
浜地区に設置、5年経過後の電食発生有無を確認した。
これらの結果を表1に示した。
【0034】
【表1】
【0035】表1に示すように、マグネパネルに予め電
着塗装および粉体塗装を施した実施例1〜4について
は、マグネシウム合金と異種金属との間にシール材層を
設けていない実施例2において、耐電食性能の沖縄曝露
で僅かな電食がみられたものの、その他の評価試験にお
いては優れた特性が示された。また、これらの実施例か
ら、マグネパネルへの電着塗装は膜厚が15〜25μm
の範囲内、また、粉体塗装は膜厚が40〜150μmの
範囲内であれば良好な特性が発揮されることが示され
た。
【0036】これに対し、マグネパネルへの予めの塗装
のうちいずれかを施さなかった比較例2および3では、
塗装性能および耐電食性能のいずれもが劣っており、実
用上問題を有するものであった。さらに、マグネパネル
への予めの塗装を全く施していない比較例1において
は、マグネシウム合金と異種金属との間にシール材層を
設けても、塗装性能および耐電食性能のいずれもが著し
く劣ったものであった。また、マグネパネルへの予めの
塗装は施したものの、ボルト締結後の塗装を全く施さな
かった比較例4では、鉄製部材からの赤錆流出によって
マグネパネルエッジ部にて電食が生じ、耐電食性能が劣
っていた。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、電着塗装と、粉体
塗装、水性塗装および溶剤系塗装のうち少なくとも1つ
とを施したマグネシウム合金部材の両面に、異種金属部
材を重ねてボルトにより締結後、さらにこの締結構造全
体に化成処理および電着塗装を行うことによって、マグ
ネシウム合金部材と異種金属部材とからなるボルト締結
構造において、ボルト軸力の低下を来すことなく各部材
間を絶縁し、水などの電解質が接触しても電食の発生を
防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のマグネシウム合金部材を用いたドア
パネル締結構造の一例を模式的に示した図である。
【符号の説明】
1…マグネパネル、2…アルミニウム製ドアヒンジ、3
…鉄製ドアビームブラケット、4…鉄製ボルト、5…ア
ルミニウム製ドアスキン。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C23C 22/56 C23C 22/56 22/57 22/57 22/82 22/82 C25D 13/00 C25D 13/00 L 13/12 13/12 A 13/20 13/20 A F16B 33/06 F16B 33/06 A Fターム(参考) 4D075 BB75Z BB89Z CA33 DA33 DB01 DC13 4K026 AA01 AA02 AA09 BA01 BA04 BA05 BB07 CA18 CA23 DA02 DA03 DA06 DA11 EB08 4K062 AA01 BA08 BC12 BC13 DA07 FA16 GA01

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電着塗装と、粉体塗装、水性塗装および
    溶剤系塗装のうち少なくとも1つを施したマグネシウム
    合金部材の両面に、異種金属部材を重ねてボルトにより
    締結後、さらにこの締結構造全体に化成処理および電着
    塗装を行うことを特徴とするマグネシウム合金部材のボ
    ルト締結部の防錆方法。
  2. 【請求項2】 前記化成処理は、リン酸マンガン、リン
    酸亜鉛および酸化ジルコンのうち少なくとも1つを主成
    分とする処理であることを特徴とする請求項1に記載の
    マグネシウム合金部材のボルト締結部の防錆方法。
  3. 【請求項3】 前記マグネシウム合金部材は、電着塗装
    の膜厚が15〜25μmであり、前記粉体塗装、水性塗
    装および溶剤系塗装のうち少なくとも1つの膜厚が40
    〜150μmであることを特徴とする請求項1に記載の
    マグネシウム合金部材のボルト締結部の防錆方法。
  4. 【請求項4】 前記マグネシウム合金と前記異種金属と
    の接触面において、シール材層を設けることを特徴とす
    る請求項1に記載のマグネシウム合金部材のボルト締結
    部の防錆方法。
  5. 【請求項5】 電着塗装と、粉体塗装、水性塗装および
    溶剤系塗装のうち少なくとも1つを施したマグネシウム
    合金部材の両面に、異種金属部材であるドアヒンジとド
    アビームとが配置され、かつボルトにより締結されてお
    り、前記マグネシウム合金と前記異種金属との接触面間
    において、シール材層が設けられていおり、かつ締結部
    表面全体に同一の塗装が施されていることを特徴とする
    マグネシウム合金部材を用いたドアパネル締結構造。
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