JPH0553627B2

JPH0553627B2 -

Info

Publication number: JPH0553627B2
Application number: JP59279746A
Authority: JP
Inventors: Taizo Mori; Shunichi Tsugawa; Hiroshi Hosoda; Shigeru Kobayashi; Toshiro Ichida; Toshio Irie
Original assignee: Kawasaki Steel Corp
Current assignee: JFE Steel Corp
Priority date: 1984-12-25
Filing date: 1984-12-25
Publication date: 1993-08-10
Also published as: JPS61152444A

Description

【発明の詳細な説明】

＜産業上の利用分野＞本発明は、自動車重防食用有機被覆鋼板、更に
詳しくは、溶接性、加工性、耐食性の性能を満足
するジンクリツチ鋼板に関するものである。＜従来技術とその問題点＞北米やカナダでは、冬期の自動車スリツプ事故
防止のため、岩塩散布による道路の凍結防止がな
されているが、自動車の腐食の面からは苛酷な腐
食環境にさらされており、特に塩水の溜りやすい
合わせ目や袋構造部は錆びやすいという問題点が
ある。そこで、自動車メーカーでは、車体構造お
よび塗装システムの改善とともに、素材面では高
耐食性の表面処理鋼板を使用している。このよう
な自動車用表面処理鋼板には、亜鉛糸めつき鋼板
の他に、有機被覆鋼板としてのジンクリツチ塗料
を塗布した塗装鋼板がある。一般に、自動車の車体の製造工程は、プレス成
形→組立て→塗装工程から成り、自動車用鋼板の
性能としては、プレス成形性の面から、加工性、
組立て時のスポツト溶接性が耐食性とともに要求
される。現在、自動車用鋼板として一般に使用されてい
るジンクリツチ塗装鋼板は、80重量％以上の亜鉛
粉末を含有し、塗膜厚が12〜17μｍのジンクリツ
チ塗膜層を有する。このようなジンクリツチ塗装
鋼板については、塗膜中の亜鉛粉末の含有量と塗
膜厚が、自動車用鋼板に要求される性能、溶接
性、加工性、耐食性に大きく影響する。現在一般に使用されているジンクリツチ塗装鋼
板は、溶接性、加工性、耐食性のバランスのとれ
た設計がなされているものの、特に加工時のパウ
ダリングやスポツト溶接性の点で、自動車用鋼板
として十分な性能を備えているとは言い難い。すなわち、このような塗装鋼板においては、塗
膜中の亜鉛粉末が80重量％以上と高配合量である
ことと、塗膜厚が約15μｍと厚膜であるため、亜
鉛の電気化学的防食効果と塗膜のバリヤー効果に
よつて、平板部の耐食性は良好であるが、塗膜中
の亜鉛粉末が高配合量であるため、塗膜の伸びが
悪くなり、また膜厚が厚いため、加工部では、塗
膜が剥離し易く、ジンクリツチ被膜による防食効
果がなくなる。加工性については、プレス成形加
工時に塗膜が剥離してパウダリング現象が起り易
く、プレス作業性の面で問題がある。溶接性につ
いては、塗膜中の亜鉛配合量が高く、塗膜層内の
導電性を増してはいるが、粒子が小さいため電極
と鋼板間の導電性が十分なレベルではなく、電極
の消耗が速く、連続スポツト溶接性として不十分
である。一方、最近、特開昭57−189842号のように、ジ
ンクリツチ塗膜と鋼板間にZn−Ni等の電気合金
めつきとクロメート処理を施し、ジンクリツチ塗
膜を薄くすることによつて、加工性、溶接性を向
上させる試みが開示されているが、加工性、溶接
性を重視して塗膜厚を薄くすれば、耐食性が劣化
すること、耐食性を重視して塗膜厚を厚くすれ
ば、加工性、溶接性が劣化するという矛盾を未だ
解決し得ていない。＜発明の目的＞本発明の目的は、上述の従来塗装鋼板の欠点を
解決し、溶接性、加工性、耐食性のすべての性能
の優れたジンクリツチ塗装鋼板を提供することに
ある。＜発明の構成＞本発明は、Zn−Ni合金めつき鋼板上にクロメ
ート被膜層と、さらにその上にジンクリツチ塗膜
層を形成して成る塗装鋼板において、 Ni含有量が５〜20重量％で、めつき付着量が
５〜30ｇ／m²であるZn−Ni合金めつき層と、ク
ロム付着量が10〜50mg／m²であるクロメート被膜
層と、クロム系防錆顔料を、塗料不揮発分に対し、２
〜８重量％含有し、かつ平均粒径が３〜20μｍで
ある亜鉛粉末を塗料不揮発分に対し、70〜80重量
％含有するジンクリツチ塗料を塗布乾燥して得ら
れた膜厚３〜10μｍをジンクリツチ被膜層を有す
ることを特徴とする溶接性、加工性、耐食性の優
れた塗装鋼板を提供することにある。以下、本発明を更に詳細に説明する。本発明者らは、Zn−Ni合金めつき鋼板上にク
ロメート処理被膜層と亜鉛粉末を含有するジンク
リツチ塗膜層から成る塗装鋼板の最適条件を得る
ため、素材鋼板として、Zn−Niめつきの付着量、
Ni含有量およびクロメートの付着量、かつ、ジ
ンクリツチ塗料中の亜鉛粉末の粒径および添加
量、更にクロム系防錆顔料の種類および添加量に
ついて検討した結果、本発明に至つたものであ
る。即ち、高耐食性のジンクリツチ鋼板を得るた
め、素材鋼板として、犠牲防食性を有する亜鉛系
めつき鋼板について検討したところ、苛酷な腐食
環境においては、通常の亜鉛めつき鋼板を用いた
場合、下地の亜鉛めつき層の亜鉛の溶出速度がき
わめて速いため、塗膜面にブリスターを生じ、塗
膜剥離を引き起し、防食性能が低下することがわ
かつた。ところが、亜鉛の溶出速度が適当にコントロー
ルされた合金化亜鉛めつきのうちでも、特にZn
−Ni合金めつき鋼板を使用することにより、耐
食性のきわめて優れたジンクリツチ塗装鋼板が得
られることを見出した。本発明で用いたZn−Niめつき鋼板は、Ni含有
量が５〜20重量％が好ましい。Ni含有量が５重
量％未満では、亜鉛の溶出速度が速くてブリスタ
ーが発生し易く、20重量％を越えると、亜鉛によ
る犠牲防食効果は小さくなる。一方、めつき付着
量については、５〜30ｇ／m²が好ましい。５ｇ／
m²未満では十分な防食効果がなく、30ｇ／m²を越
えると経済性の面から不利である。本発明では、このようなZn−Ni合金めつき鋼
板を素材鋼板として使用し、その上にクロメート
処理を施し、さらにジンクリツチ塗料を塗布す
る。本発明で用いるクロメート処理は、塗布型クロ
メート処理が好ましく、ロール塗布後、板温約
150℃で90秒程度加熱乾燥して、クロメート被膜
層を鋼板上に形成させる。この被膜層は、クロム
酸による素地面の不働態化によつて、耐食性に対
してきわめて有効に作用する。クロメート処理被
膜付着量としては、クロム量として10〜50mg／m²
が好ましい。クロム付着量が10mg／m²未満では十
分な耐食性が得られず、50mg／m²を超えると、加
工性、溶接性が著しく低下する。更に、本発明におけるクロメート被膜上に施す
ジンクリツチ塗膜の特徴は、従来の亜鉛粉末が平
均粒径３〜６ミクロン、塗料不揮発分に対し80重
量％以上、かつ、従来の塗膜厚が12〜17ミクロン
であるのに対し平均粒径３〜20ミクロン塗料不揮
発分に対し70〜80重量％、かつ塗膜厚が３〜10ミ
クロンで、クロム系防錆顔料を２〜８重量％含有
することである。本発明のジンクリツチ塗膜は、塗膜厚に対し亜
鉛平均粒子径が塗膜厚よりも大きいため、塗膜表
面上に亜鉛粒子が突出しているので、溶接時の通
電性が良い。この効果は、平均粒子径が塗膜厚と
同等以上で発揮される。同等未満では通電性が劣
る。従来の塗膜では膜厚に対して亜鉛粒子が小さ
く、溶接時の通電性が低いことから難点であつ
た。以上のように、本発明の塗膜では亜鉛粒子径
が大きいため、塗料不揮発分に対し含有量70〜80
重量％と、従来のジンクリツチ塗膜よりも少ない
量の亜鉛で優れた溶接性を示す。従つて、塗料と
亜鉛粒子の溶接面積も極端に少なくなり、塗膜の
伸びが向上し、加工時に亜鉛が脱離しにくくな
る。ただし、亜鉛粒子径が塗膜厚の２倍超では粒
子の剥落が起り易い。一方、本発明の塗膜厚は３〜10ミクロンと、従
来のジンクリツチ塗膜の1/4〜3/5であり、この点
でも加工時の脱離量を低減し、かつ溶接性も向上
させる効果がある。塗膜厚を薄くすることができ
るのは、前述したZn−Ni合金めつきによる防食
効果はもちろん、クロム系可溶性防錆顔料の添加
により防錆効果を著しく向上させたためである。クロム系可溶性防錆顔料としては、ジンククロ
メートのうち（ZPC：K₂O・4CrO₃・4ZnO・
3H₂O）または（ZTO：ZnCrO₄・4Zn（OH）₂）お
よびストロンチウムクロメート（SrCrO₄）が有
効である。これら防錆顔料の添加量は、塗料不揮
発に対し２〜８重量％が良い。２重量％未満では
防錆効果がなく、８重量％を超えると塗膜にブリ
スターを発生し易くなる。本発明で用いるジンクリツチ塗料は、70〜80重
量％の配合量の亜鉛粉末を含有する有機樹脂系の
一般のジンクリツチ塗料をベースとしている。有
機樹脂としてはエポキシ系樹脂が好ましいが、他
の樹脂でも支障ない。一方、本発明で用いるジンクリツチ塗料の塗膜
厚については、3μｍ未満では均一な塗膜を得る
ことが困難で、耐食性が劣るし、10μｍを超える
と加工時の剥離量が増える。したがつて、乾燥塗
膜厚は３〜10μｍとするのがよい。＜実施例＞以下、本発明を実施例につき具体的に説明す
る。 (1) 試験片の作製厚さ0.8mmのZn−Niめつき鋼板上に、クロム
酸を主体とする塗布型クロメート処理液をロー
ルコーターで塗布し、150℃で90秒加熱乾燥し
た。放冷後、直ちにエポキシ樹脂をベースとし、
第１表に示した添加物を含有するジンクリツチ
塗料をロールコーターで塗布し、270℃で90秒
焼き付けて試料を作製した。これを第１表にま
とめた。 (2) 上記試料について、以下に示す試験を行なつ
て性能を評価した。連続スポツト溶接試験を以下の条件で行な
い、100点毎に30×100mmの試験片に溶接し、
引張剪断強度が400Kg以上確保できるまでの
打点数で評価した。溶接面：塗膜−冷延面加圧力：200Kg 電流：8.5KA 通電時間：10サイクル電極：R40（ラジアス型）材質クロム−銅加工性試験ブランク径69mmφ、ダイス径33mmφで、25mm
高さまでカツプ絞り加工し、加工部をセロハ
ンテープで３回くり返し剥離し、以下のよう
に被膜剥離量で加工性を評価した。剥離量＝（ブランクの重量）−（剥離後のカツプ
重量）加工性評価 ○：被膜剥離量５mg以下 △：〃５〜20mg ×：〃 20mg以上耐食性試験表面にクロスカツトを入れた試料および
に示した条件で円筒絞り加工をした試料を、
塩水噴霧４時間、乾燥（60℃）２時間、湿潤
（50℃、RH95％以上）２時間を１サイクル
とする複合腐食試験法により試験し、赤錆発
生状態から平板および加工部の耐食性を評価
した。耐食性評価（100サイクルでの赤錆発生状態） ○：赤錆発生面積率０％ △：〃１〜５％ ×：〃５％以上第１表に本発明例、比較例の性能試験結果を示
した。表から明らかなように、本発明の塗装鋼板
は従来のジンクリツチ鋼板に比べて、溶接性、加
工性、耐食性、すべての性能において遥かに優れ
ており、また、本発明においては、Zn−Ni合金
めつき鋼板、塗布型クロメート処理および平均粒
径6.0〜14.0μｍの亜鉛粉末、クロム系防錆顔料を
含有するジンクリツチ塗料の塗布処理を組合せる
ことによつて、初めて本発明の目的を達成するこ
とができる。

【表】

【表】＜発明の効果＞本発明によれば、耐食性のすぐれたZn−Ni合
金めつき鋼板上に、クロメート処理被膜および亜
鉛粉末、クロム系防錆顔料を含有するジンクリツ
チ塗料被膜を形成させることにより、従来のジン
クリツチ鋼板にくらべて、溶接性、加工性および
耐食性のすべての性能において遥かに優れたジン
クリツチ鋼板が得られる。

Claims

【特許請求の範囲】１ Zn−Ni合金めつき鋼板上にクロメート被膜
層と、さらにその上にジンクリツチ塗膜層を形成
して成る塗装鋼板において、 Ni含有量が５〜20重量％で、めつき付着量が
５〜30ｇ／m²であるZn−Ni合金めつき層と、ク
ロム付着量が10〜50mg／m²であるクロメート被膜
層と、クロム系防錆顔料を、塗料不揮発分に対し、２
〜８重量％含有し、かつ平均粒径が３〜20μｍで
ある亜鉛粉末を、塗料不揮発分に対し、70〜80重
量％含有するジンクリツチ塗料を塗布、乾燥して
得られた膜厚３〜10μｍのジンクリツチ被膜層を
有し、かつ含有する亜鉛粉末の平均粒子径が膜厚
と同等から２倍であることを特徴とする溶接性、
加工性、耐食性の優れた塗装鋼板。