JP2003253466A - ポリエステル樹脂被覆錫合金めっき鋼板 - Google Patents

ポリエステル樹脂被覆錫合金めっき鋼板

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JP2003253466A
JP2003253466A JP2002050868A JP2002050868A JP2003253466A JP 2003253466 A JP2003253466 A JP 2003253466A JP 2002050868 A JP2002050868 A JP 2002050868A JP 2002050868 A JP2002050868 A JP 2002050868A JP 2003253466 A JP2003253466 A JP 2003253466A
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polyester resin
layer
steel sheet
film
tin alloy
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JP2002050868A
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Tomofumi Shigekuni
智文 重国
Naomasa Nakakoji
尚匡 中小路
Kazuya Takemura
一也 竹村
Chiaki Kato
千昭 加藤
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JFE Steel Corp
Original Assignee
JFE Steel Corp
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    • C23COATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; CHEMICAL SURFACE TREATMENT; DIFFUSION TREATMENT OF METALLIC MATERIAL; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL; INHIBITING CORROSION OF METALLIC MATERIAL OR INCRUSTATION IN GENERAL
    • C23CCOATING METALLIC MATERIAL; COATING MATERIAL WITH METALLIC MATERIAL; SURFACE TREATMENT OF METALLIC MATERIAL BY DIFFUSION INTO THE SURFACE, BY CHEMICAL CONVERSION OR SUBSTITUTION; COATING BY VACUUM EVAPORATION, BY SPUTTERING, BY ION IMPLANTATION OR BY CHEMICAL VAPOUR DEPOSITION, IN GENERAL
    • C23C28/00Coating for obtaining at least two superposed coatings either by methods not provided for in a single one of groups C23C2/00 - C23C26/00 or by combinations of methods provided for in subclasses C23C and C25C or C25D

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特にポリエステル樹脂フィルムとの密着性に
優れたポリエステル樹脂被覆錫合金めっき鋼板を提供す
ることにある。 【解決手段】 鋼板表面上に、FeおよびNiのうちから選
んだ1種または2種を含有する錫合金層を有し、その上
層に0.5〜100mg/m2のPと0.1〜250mg/m2のSiを含有する
化成皮膜を有し、前記化成皮膜の表面に熱硬化性樹脂層
を有し、前記熱硬化性樹脂層の上に、テレフタル酸およ
びイソフタル酸からなるジカルボン酸成分と、ジオール
成分とを共重合させた共重合ポリエステル樹脂層を有
し、前記共重合ポリエステル樹脂層の上に、97mol%以上
のテレフタル酸を含むジカルボン酸成分と、97mol%以上
のエチレングリコールを含むジオール成分とを重合させ
た配向性ポリエステル樹脂層を有することを特徴とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、食缶、飲料缶、一
般缶などに使用される缶用表面処理鋼板に関するもので
あって、ポリエステル樹脂フィルム、特に二層構造を有
するポリエチレンテレフタレートフィルムを熱硬化性樹
脂層でラミネート被覆したポリエステル樹脂被覆錫合金
めっき鋼板に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、食缶、飲料缶、一般缶などを製缶
するには、錫めっき鋼板や薄クロムめっき鋼板に塗装を
施した表面処理鋼板が用いられていた。塗装は複数回行
われることが多く、塗料の焼き付け工程が煩雑であるば
かりでなく、塗装に使用する塗料のほとんどが大気への
放出によって公害問題を引き起こしかねない有機溶剤で
あるため、廃棄溶剤を処理する設備が必要となって、設
備コスト負担が大きくなるという問題がある。また、有
機溶剤の塗料を使用しないようにするため、水性の塗料
も開発されているが、塗膜性能が劣るため、実用化レベ
ルにまでは達していないのが現状である。
【0003】これらの問題点を解決するため、熱可塑性
の樹脂フィルムをラミネートする試みが多数なされてお
り、ポリエチレン樹脂やポリプロピレン樹脂などのポリ
オレフィン樹脂フィルムやポリエチレンテレフタレート
樹脂などのポリエステル樹脂フィルムをラミネートする
検討が行われた。これらの中で、ポリエステル樹脂フィ
ルム、特に、二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィ
ルムを、錫めっき鋼板や薄クロムめっき鋼板に熱硬化性
樹脂層を用いてラミネートした樹脂被覆表面処理鋼板
が、フィルムの密着性に優れることからいち早く実用化
されている。
【0004】熱硬化性樹脂層を用いてポリエステル樹脂
フィルムをラミネートした鋼板としては、例えば特公昭
63−13829号公報、特公平4−74176号公報、特公平5−
71035号公報等が知られているが、これらに開示されて
いる樹脂被覆鋼板はいずれも、従来の塗装缶に使われて
いたのと同じ公知の缶用表面処理鋼板である。
【0005】代表的な缶用表面処理鋼板としては、従来
からぶりきと称される錫めっき鋼板と薄クロムめっき鋼
板があり、錫めっき鋼板では、通常、ぶりき原板に錫め
っきを施した後に、重クロム酸、クロム酸などの6価の
クロム化合物を使った水溶液中に浸漬もしくはこの溶液
中で電解することによってクロム酸化物あるいは金属ク
ロムとクロム酸化物からなるクロメート皮膜を形成する
のが一般的であり、また、薄クロムめっき鋼板は、同様
の原板をクロム酸の水溶液中での電解処理によって金属
クロムとクロム酸化物からなる層を形成させる。これら
缶用表面処理鋼板の最表層にはクロム酸化物があり、こ
のクロム酸化物は、ポリエステル樹脂フィルム、特に二
軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムとの密着性
を向上させる作用を有することが知られている。
【0006】しかし、重クロム酸、クロム酸などの6価
のクロム化合物を使った水溶液で浸漬処理または電解処
理を行う場合、作業環境上の安全性確保及び廃水処理に
多大な費用を要するだけでなく、万が一、事故等でクロ
メート処理液が漏洩した場合には環境に大きな被害を及
ぼす危険性が大きい。昨今の環境問題から、クロムを規
制する動きが各分野で進行しており、缶用表面処理鋼板
においてもクロムを使わずに、ポリエステル樹脂フィル
ムとの密着性を向上させる化成処理の必要性が増大して
いる。
【0007】缶用表面処理鋼板のクロメート処理に代わ
る化成処理に関する技術としては、例えば、特公昭55-2
4516号公報に、リン酸系溶液中で錫めっき鋼板を陰極と
して直流電解することにより、錫めっき鋼板上にCrを含
有しない化成皮膜を形成した錫めっき鋼板の表面処理法
が開示されており、また、特公平1-32308号公報には、
化成皮膜中にPもしくはPとAlを含有させて、Crを含有
しない化成皮膜を錫めっき層表面に施したシームレス缶
用電気めっきぶりきが開示されている。
【0008】しかしながら、ポリエステル樹脂フィルム
とのラミネートにおいて、上掲公報に記載された化成皮
膜はいずれも、従来の重クロム酸やクロム酸溶液によっ
て形成したクロメート皮膜に比べると密着性が十分に得
られているとはいえない。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】この発明の目的は、錫
合金層の上層に形成される化成皮膜中に、その皮膜特性
を向上させる作用を有するものの環境上の問題から望ま
しくないとされるCrを含有させることなく、特にポリエ
チレンテレフタレート被覆との密着性に優れたポリエス
テル樹脂被覆錫合金めっき鋼板を提供することにある。
【0010】
【課題を解決しようとするための手段】以下にこの発明
をさらに詳細に説明する。発明者らは、表面処理鋼板に
おける上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、錫
合金層の上層にPとSiを含有する化成皮膜を形成させ、
その化成皮膜の上に、熱硬化性樹脂層を介して、適正化
を図った二層構造のポリエステル樹脂層、例えば、ポリ
エチレンテレフタレート複合層を形成した場合には、前
記化成皮膜とポリエチレンテレフタレート層との十分な
密着性を満足させることができることを見出した。
【0011】より具体的には、錫合金層の上層に、好ま
しくはPとシランカップリング剤を含有する化成処理液
により、適正量のPとSiを含有する化成皮膜を形成すれ
ば、このシランカップリング剤に存在する反応基が配向
して密着性に大きく寄与することがわかった。
【0012】この発明の表面処理鋼板は、鋼板表面上
に、FeおよびNiのうちから選んだ1種または2種を含有
する錫合金層を有し、その上層に、好ましくはPとシラ
ンカップリング剤を含有する化成処理液により形成し
た、0.5〜100mg/m2のPと0.1〜250mg/m2のSiを含有する
化成皮膜を有し、前記化成皮膜の表面に熱硬化性樹脂層
を有し、前記熱硬化性樹脂層の上に、テレフタル酸およ
びイソフタル酸からなるジカルボン酸成分と、ジオール
成分とを共重合させた共重合ポリエステル樹脂層を有
し、前記共重合ポリエステル樹脂層の上に、97mol%以上
のテレフタル酸を含むジカルボン酸成分と、97mol%以上
のエチレングリコールを含むジオール成分とを重合させ
た配向性ポリエステル樹脂層を有する。
【0013】また、前記化成皮膜は、Pとシランカップ
リング剤を含有する化成処理液により形成することが好
ましい。さらに、前記錫合金層中のSnの付着量は0.1〜
3.0 g/m2であることが好ましい。さらにまた、前記シラ
ンカップリング剤がエポキシ基を有することがより好適
である。
【0014】
【発明の実施の形態】以下にこの発明の実施形態を詳細
に説明する。この発明の表面処理鋼板は、通常のぶりき
原板に錫合金層を形成したものであり、この発明におけ
る「錫合金層」とは、FeおよびNiのうちから選んだ1種
または2種を含有する錫合金層を意味する。
【0015】通常のぶりきは、ぶりき原板にSnめっきし
た後、そのままか、あるいはSnを加熱溶融するための一
般的な加熱処理(リフロー処理)を施すが(この場合、ぶ
りき原板とSnめっき層との間にFe-Sn合金層が形成され
ることになる。)、表面の大部分は金属Snであるため、
使用されるまでの保管期間が長いと、金属Snの表面でSn
酸化物が成長する。このSn酸化物は脆いため、ラミネー
ト後にこのSn酸化物を起点としてフィルム剥離が生じや
すくフィルム密着性を著しく悪化させる。
【0016】この欠点を解決するため、従来はクロメー
ト処理を施すことによって対処していたが、クロメート
処理を施したとしても、金属Snの表面で生じがちなSn酸
化物の成長を完全には抑制することができない。
【0017】そこで、この発明では、金属Snのない前記
錫合金層の上層に化成皮膜を形成することとし、これに
よって、優れた密着性を得ることができる。
【0018】錫合金層を形成する手段としては、錫めっ
き後の加熱処理でSnを地鉄と完全に合金化させてFe-Sn
合金層とする方法がよく用いられる。また、地鉄表面に
Ni系の前処理を施しておけば、より緻密なFe-Sn-Ni合金
層を形成することができる。
【0019】Ni系前処理としては、Niフラッシュめっき
処理や、Niめっき後に熱処理するNi拡散処理がよく用い
られている。Niフラッシュめっき処理では、その上層に
施したSnめっきと常温でも合金化が進み、NiとSnの比が
1:3のときに合金化するので、Ni量とSn量の比を1:
3にしておけば、熱処理なしでNi−Sn合金層が得られ
る。また、Ni拡散処理では、錫合金層の下層にNi拡散層
であるFe−Ni合金層が存在する。
【0020】さらに、錫合金層の他の形成方法として、
めっき後の拡散合金化反応によらず、Feイオンおよび/
またはNiイオンを含有させたSnめっき液を用いてSn合金
めっきを施すことによって錫合金層を形成してもよい。
【0021】尚、この発明は、FeおよびNiのうちから選
んだ1種または2種を含有する錫合金層を有する表面処
理鋼板に限定しているが、これは上述したように、優れ
た密着性を得るのに適しているからである。
【0022】また、この発明では、錫合金層中のSnの付
着量が0.1〜3.0 g/m2の範囲であることが好ましい。錫
合金層中のSn付着量が0.1 g/m2未満だと十分な密着性が
得られなくなるおそれがあるからであり、また、3.0 g/
m2超えだと、性能は十分であるがコスト高になるので好
ましくなく、特に熱処理による合金化の場合には、合金
化を高温かつ長時間で行う必要があり、生産性の点から
も好ましくないからである。尚、Sn付着量は、電量法又
は蛍光X線による表面分析により測定できる。
【0023】尚、この発明における錫合金層は、Feおよ
びNiのうちから選んだ1種または2種を含有する錫合金
層であればよく、特に限定はしないが、Sn-Fe合金層の
場合には、FeSn2合金層またはFeSn合金層であることが
好ましく、Sn-Ni合金層の場合には、Sn3Ni合金層または
SnNi合金層であることが好ましく、Sn-Fe-Ni合金層の場
合には、(Fe・Ni)Sn2合金層または(Fe・Ni)Sn合金層
であることが好ましい。
【0024】そして、この発明の構成上の主な特徴は、
錫合金層の上層に、0.5〜100mg/m2のPと0.1〜250mg/m2
のSiを含有する化成皮膜を有し、前記化成皮膜の表面
に、熱硬化性樹脂層を介してラミネートされたポリエス
テル樹脂被覆を有することにある。
【0025】(1)化成皮膜中のP含有量をその付着量に
して0.5〜100mg/m2の範囲とすること化成皮膜中のP含
有量は、その付着量にして0.5〜100mg/m2の範囲とする
ことが必要である。0.5mg/m2未満では、密着性が十分に
得られず、また、100mg/m2超えでは化成皮膜に欠陥が生
じやすくなり、密着性が劣化するからである。尚、P付
着量の測定は、蛍光X線による表面分析により行った。
【0026】また、Pを含有させた化成皮膜の形成方法
としては、例えば、リン酸系化成処理によって行なうこ
とが好ましく、この場合、化成処理液中のPの供給源と
してはリン酸イオン換算で1〜80g/lのリン酸、リン酸
ナトリウム、リン酸アルミニウム、リン酸カリウム等の
金属塩、及び/又は、1水素リン酸塩など使用すること
がより好適である。
【0027】尚、化成処理液には、Sn、Fe、Niの金属
塩、例えば、SnCl2、FeCl2、NiCl2、SnSO4、FeSO4、NiS
O4などの金属塩を適宜添加することができる。この場合
には、促進剤として塩素酸ナトリウム、亜硝酸塩などの
酸化剤、フッ素イオンなどのエッチング剤を適宜添加し
てもよい。
【0028】上記錫合金層を形成した鋼板を上記リン酸
系化成処理液に浸漬または電解処理することによりPを
含有させた化成皮膜を形成することができる。
【0029】(2)化成皮膜中のSi含有量をその付着量に
して0.1〜250mg/m2の範囲とすること化成皮膜中に含有
するSiは、好ましくは処理液中に含有させたシランカッ
プリング剤によって含有させたものである。シランカッ
プリング剤の一般化学式は、X-Si-OR2or3(OR:ア
ルコキシ基)である。
【0030】シランカップリング剤は、アルコキシシリ
ル基(Si-OR)が水により加水分解されてシラノール
基を生成し、金属表面のOH基との脱水縮合反応により
密着する。また、鋼板の上層には、一般化学式のXにあ
たる反応基が配向し樹脂と相溶もしくは結合する。
【0031】尚、シランカップリング剤としては、3-
メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2-
(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ン、N-2-(アミノエチル)3-アミノプロピルトリメ
トキシシラン、N-2(アミノエチル)3-アミノプロピ
ルメチルジメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエ
トキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメ
トキシシラン、3‐メルカプトプロピルメトキシシラ
ン、3-クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルト
リエトキシシラン、ビニルトリス(2-メトキシエトキ
シ)シラン、アミノ基の存在する、N-2(アミノエチ
ル)3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-2-
(アミノエチル)3-アミノプロピルメチルジメトキシ
シラン、3‐アミノプロピルトリエトキシシランなどが
使用できるが、特にシランカップリング剤の一般化学式
におけるX-Si-OR2o r3のXにエポキシ基が存在する2
-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキ
シシランや3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラ
ンが好適である。これは、二軸延伸ポリエチレンテレフ
タレートフィルムとのラミネートに使用する熱硬化性樹
脂層との相溶性と反応性に優れるためである。
【0032】この発明では、化成皮膜中に含有するSiの
付着量は、密着性向上効果が顕著に現われる0.1〜250 m
g/m2の範囲とする。0.1 mg/m2未満だと、密着性向上効
果が十分に得られないからであり、また、250 mg/m2
えでは、未反応のSi成分が残存する(シランカップリン
グ剤が自己縮合する)ため、密着性向上効果が低減する
からである。尚、Si付着量の測定は蛍光X線による表面
分析により行った。
【0033】PとSiを含有する化成皮膜の形成方法とし
ては、前述のリン酸系化成処理液を用いてPを含有させ
た化成皮膜を形成させ、さらにシランカップリング剤を
水に希釈した溶液で処理することによって行うことがで
きる。尚、シランカップリング剤を水に希釈した溶液で
処理した場合に、表面の濡れ性が悪いためはじきが発生
するときは、アルコールで希釈した溶液を使用すること
ができる。例えば、エタノールを50mass%以上、シラン
カップリング剤を0.5〜20mass%、残りを水とした溶液
にて均一に処理することができる。シランカップリング
剤を含有する溶液を用いた処理は、溶液の塗布、乾燥あ
るいは浸漬処理によって行えばよい。
【0034】また、Pを含有する化成皮膜の形成方法で
あるリン酸系化成処理溶液にシランカップリング剤を含
有させることで、1液でPとSiを含有する化成皮膜を形
成することもできる。この場合、pHを1.5〜5.5の範囲
にすることが好ましい。即ち、化成処理液のpHを1.5
〜5.5の範囲に調整すれば、シランカップリング剤を化
成処理液中に均一に溶解することができ、優れた密着性
が得られる。pHが上記範囲外であるとシランカップリ
ング剤を化成処理液に均一に溶解させることが難しくな
り、密着性向上効果が十分に得られなくなる傾向がある
からである。
【0035】また、この発明では、上記化成処理錫合金
めっき鋼板に、熱硬化性樹脂層を介し、二層構造を有す
るポリエステル樹脂、例えばポリエチレンテレフタレー
トを被覆する。ここで、熱硬化性樹脂層と、二層構造の
ポリエステル樹脂を構成する共重合ポリエステル樹脂層
及び配向性ポリエステル樹脂層の効果について述べる。
缶に充填された強い腐食性を有する内容物による発錆を
抑制させるには、一般的に(a)樹脂フィルムのバリヤ
ー性(透過性と硬さ)を向上させること、および、
(b)金属板と樹脂フィルムとの密着性が優れているこ
との双方を満足させることが重要である。
【0036】すなわち、樹脂フイルムのバリヤー性が劣
ると、腐食因子の透過性が高くなり、有機溶剤を含有す
る内容物を充填した場合には、短時間で発錆が起こりや
すくなり、加えて、硬さが不十分となり、製缶時の研削
屑や、溶接スパッタによるピンホールが多数発生し、内
容物に対する耐食性が十分に得られないからである。こ
こで耐ピンホール性とは製缶時の研削屑や、溶接スパッ
タによるピンホール(フィルムの疵など)の発生のしに
くさをいう。また、樹脂フイルムのバリヤー性が優れて
いても、金属板と樹脂フィルムとの密着性が劣ると、発
錆が起こりやすくなるからである。
【0037】そのため、上記(a)を満足させるには、
面配向係数の大きなポリエステル層や、エポキシ−フェ
ノ−ル樹脂やポリエステル−イソシアネ−トなどの熱硬
化性樹脂層を皮膜中に設ける方法が考えられる。また、
上記(b)を満足させるには、面配向係数の小さな無定
形なポリエステル層で金属板と密着させる方法や、樹脂
フィルムと金属板とを熱硬化性樹脂で接着させる方法が
考えられる。
【0038】そこで、発明者らが最適な皮膜構成を検討
したところ、上記(a)を満足させるため、面配向係数
の大きなポリエステル樹脂層と熱硬化性樹脂層の二層を
有する構造とすること、また、上記(b)を満足させる
ため、面配向係数が小さなポリエステル樹脂層を熱硬化
性樹脂層を介して鋼板上に施すことがよいことが判明し
た。
【0039】さらに、ポリエステル樹脂層と熱硬化性樹
脂との密着性は、ポリエステルの面配向係数に大きく影
響し、面配向係数が一定値以上だと、加工時の層間剥離
が生じやすいが、適正な面配向係数であれば、十分強固
な層間接着が得られ、結果的に、内容物耐食性や加工後
密着性が向上することも判明した。
【0040】そして、これらの知見から、バリヤー性に
優れた面配向係数の大きな配向性ポリエステル樹脂層を
上層とし、金属板との密着性に優れた面配向係数の小さ
な共重合ポリエステル樹脂層を下層とする二層構成のポ
リエステル樹脂複合層を、接着剤としての熱硬化性樹脂
層を介して金属板上に施せば、上記(a)および(b)
の双方を満足でき、結果的に、内容物耐食性や鋼板との
密着性が向上することを見出した。
【0041】すなわち、この発明の樹脂積層金属板は、
前述した化成処理錫合金めっき鋼板の少なくとも片面
に、熱硬化性樹脂層を有し、前記熱硬化性樹脂層の上
に、テレフタル酸およびイソフタル酸からなるジカルボ
ン酸成分と、ジオール成分とを共重合させた共重合ポリ
エステル樹脂層を有し、前記共重合ポリエステル樹脂層
の上に、97mol%以上のテレフタル酸を含むジカルボン酸
成分と、97mol%以上のエチレングリコールを含むジオー
ル成分とを重合させた配向性ポリエステル樹脂層を有す
ることにある。
【0042】尚、この発明の樹脂積層金属板に用いられ
る共重合ポリエステル樹脂層と配向性ポリエステル樹脂
層は、いずれも飽和ポリエステル樹脂で、ジオール成分
とジカルボン酸成分との縮重合で得られる熱可塑性ポリ
エステル樹脂で、ポリエチレンテレフタレート/イソフ
タレート共重合体およびポリエチレンテレフタレートで
代表されるものである。
【0043】(i)共重合ポリエステル樹脂層 共重合ポリエステル樹脂層は、テレフタル酸およびイソ
フタル酸からなるジカルボン酸成分と、ジオール成分と
を1:1のモル比で共重合させた材料からなっている。
【0044】ジカルボン酸成分は、テレフタル酸とイソ
フタル酸の2種からなることが必要である。テレフタル
酸とイソフタル酸以外のジカルボン酸成分と、1種以上
のジオール成分と重合させたポリエステルは、化成皮膜
と接している熱硬化性樹脂との密着性を劣化させ、加工
時、ポリエステル樹脂層と熱硬化性樹脂層の界面で層間
剥離現象を引き起こしやすくなるからである。テレフタ
ル酸とイソフタル酸のモル比は、特に限定されないが、
好ましくはイソフタル酸の割合が5〜30mol%、さらに好
ましくは7〜25mol%である。これよりもイソフタル酸量
が少ないと密着性が低下し、多いと接着層自体の強度が
低下する傾向があるからである。
【0045】また、ジオール成分としては、エチレング
リコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコ−ル
1,4-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキ
サンジオール、プロピレングリコール、ポリテトラメチ
レングリコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチ
ルグリコール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリ
メチロールプロパン、ペンタエリスリトールの中から選
択した1種あるいは2種以上を用いることが好ましい。
【0046】特に熱硬化性樹脂との接着性向上の点で、
テレフタル酸とイソフタル酸からなるジカルボン酸成分
と、エチレングリコ−ルとブチレングリコ−ルの1種も
しくは2種からなるジオール成分とを共重合させること
がより好適である。
【0047】尚、共重合ポリエステル樹脂層は、面配向
係数を0.01〜0.15の範囲にすることが好ましい。面配向
係数が0.01未満では、バリヤー性が低下して十分な内容
物耐食性が得られなくなるおそれがあり、また、0.15を
超えると、非晶質部分が減少するため、鋼板と接してい
る熱硬化性樹脂との密着性が劣化して、加工時、ポリエ
ステル樹脂層と熱硬化性樹脂層の界面で層間剥離現象を
引き起こしやすくなるからである。
【0048】面配向係数を0.01〜0.15の範囲に調整する
方法としては、例えばポリエステルフイルムを延伸する
ときの延伸倍率によって調整することができる。フィル
ムは、通常は、Tダイ・Iダイ・丸ダイ等から溶融押し
出ししたシート状物または円筒状物を冷却キャストロー
ルや水、圧空等により急冷し非晶質に近い状態で固化さ
せた後、ロール法・テンター法・チューブラー法等によ
り一軸または二軸に延伸する方法が、工業的に望ましく
採用される。延伸条件としては、延伸温度50〜100℃、
延伸倍率1.5〜5倍、延伸速度100%/分〜10000%/分
が一般的ではあるが、この適正範囲は組成や、未延伸シー
トの熱履歴によって異なってくるので、面配向関係の値
を見ながら適宜決められる。
【0049】共重合ポリエステル樹脂層の膜厚は、0.1
〜10.0μm、さらに好ましくは、1.0〜9.0μmの範囲で
あることが、熱硬化性樹脂層との密着性および内容物耐
食性の点で好ましい。0.1μm未満では密着性が低下し、
10.0μm超では、加工時、上層の配向性ポリエステル樹
脂層との間で膜ずれを起こすおそれがあるからである。
【0050】(ii)配向性ポリエステル樹脂層 配向性ポリエステル樹脂層は、97mol%以上のテレフタル
酸を含むジカルボン酸成分と、97mol%以上のエチレング
リコールを含むジオール成分とを1:1のモル比で重合
させた材料からなっている。
【0051】ジカルボン酸成分は、97mol%以上のテレフ
タル酸を含むことが必要である。テレフタル酸が97mol%
以上であると、フィルム製膜時に延伸することで極めて
高い結晶配向性が得られ、フイルムとしてのバリヤー性
や耐ピンホール性が格段に向上するからであり、また、
テレフタル酸を97mol%未満、すなわちテレフタル酸以外
のジカルボン酸成分が3mol%よりも多く存在すると、製
膜時の延伸による結晶配向性が低くなり、フイルムとし
てのバリヤー性や耐ピンホール性の向上効果が小さくな
るからである。
【0052】ジオール成分としては、100mol%のエチレ
ングリコールからなるか、又は、97mol%以上のエチレン
グリコールと、3mol%以下の他のジオール成分、例え
ば、ジエチレングリコール、ブチレングリコ−ル1,4-ブ
タンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジ
オール、プロピレングリコール、ポリテトラメチレング
リコール、ポリエチレングリコール、ネオペンチルグリ
コール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、トリメチロ
ールプロパン、ペンタエリスリトールなどから選んだ1
種あるいは2種以上との混合からなることが好ましい。
尚、ジオール成分が97mol%以上のエチレングリコールを
含むとする理由は、エチレングリコールが97mol%以上で
あると、内容物に対するバリヤー性とフィルム成膜性に
優れるからであり、また、エチレングリコールが97mol%
未満、すなわちエチレングリコール以外のジオール成分
が3mol%よりも多く存在すると、エチレングリコールよ
り低い分子量のジオールでは、フィルム硬さが極端に硬
くなり、成膜時欠陥を伴いやすい。逆に、エチレングリ
コールより大きい分子量のジオールでは、内容物に対す
るバリヤー性が低下する。からである。
【0053】特にジカルボン酸成分としてテレフタル
酸、ジオール成分としてエチレングリコ−ルとブチレン
グリコ−ルの1種もしくは2種とを用いて重合させたポ
リエステルが、耐食性とコストの点から好ましい。
【0054】尚、配向性ポリエステル樹脂層は、面配向
係数を0.05〜0.18の範囲、好適には0.16〜0.18の範囲と
することが好ましい。面配向係数が0.05未満では、内容
物に対するバリヤー性が低下し、また、表面硬さが低下
するので、傷やピンホールが発生し易くなるからであ
り、また、0.18を超えると、加熱時に収縮し易くなり、
フィルムエッジ部の精度が低下するなどの問題が生じる
おそれがあるからである。面配向係数を0.05〜0.18の範
囲に調整する方法としては、例えばポリエステルフイル
ムを延伸するときの延伸倍率によって調整することがで
きる。ここで、「延伸倍率」とは、未延伸のフィルム長
に対する延伸後のフィルム長の比を意味する。
【0055】面配向係数は、フィルムの厚み方向に対す
る面方向の配向度を表わし、アッベの屈折計により直交
する軸方向の屈折率を測定し以下の式で算出される。 △P={(γ+β)/2}−α (α<β<γ) ここで、γ、βがフィルム面に平行な直交2軸の屈折
率、αはフィルム厚さ方向の屈折率である。面配向係数
は結晶化度や結晶配向にも依存するが、大きくはフィル
ム面内の分子配向に依存する。つまりフィルム面内、特
にフィルムの流れ方向および/またはそれと直交する方
向の1または2方向に対し、分子配向を増大させること
により、大きくすることができる。
【0056】配向性ポリエステル樹脂層の膜厚は、10〜
70μmとすることが好ましい。10μm未満だと、フィル
ムとしてのバリヤ性が不足して内容物耐食性が劣化する
傾向があるからであり、また、70μm超では、フィルム
の内部応力が大きくなり、張り出し加工時にフィルム剥
離を生じる場合があるからである。
【0057】さらに、配向性ポリエステル樹脂層の膜厚
は、共重合ポリエステル樹脂層の膜厚に対して1〜100
倍の範囲に設定することが好ましい。1倍未満では、内
容物耐食性の劣化や膜ずれなどを起こしやすくなるから
であり、また、100倍を超えると、配向性ポリエステル
樹脂層が厚くなりすぎ、内部応力の増大から加工密着性
が劣化する恐れがあるからである。
【0058】二層構造のポリエステル樹脂複合層を上層
と下層に分離する方法としては、例えばミクロトームを
用い、上層側および下層側を精密研削することが好まし
い。
【0059】(iii)熱硬化性樹脂層 この発明における熱硬化性樹脂層とは、熱による低分子
のモノマーと硬化剤との架橋反応により3次元的網状構
造を持つ高分子となるものであれば特に規定するもので
はないが、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ・
フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ・メラミン樹
脂、ユリア樹脂、エポキシ・ユリア樹脂、アルキド樹
脂、ポリエステル樹脂等で、接着機能のために水酸基、
カルボキシル基、ウレタン基、エポキシ基、アミド基、
エステル基のうちの1種以上を有するものであればよ
い。
【0060】その中でも、エポキシ‐フェノ−ル系樹脂
もしくはポリエステル‐イソシアネ−ト系樹脂を用いる
ことが、密着性や耐食性の点で好ましい。エポキシ‐フ
ェノ−ル系樹脂を用いる場合、用いるエポキシ樹脂の数
平均分子量は、好ましくは、2000〜14000、さらに好ま
しくは、3000〜12000である。エポキシ樹脂の数平均分
子量がこの範囲より小さいと、熱硬化性樹脂層の強度が
低下し、ひいては密着性が低下する。一方、数平均分子
量がこの範囲より大きいと、硬化時間が長くなり生産性
が低下する。
【0061】また、熱硬化性樹脂層の重量は、0.2〜10.
0g/m2とすることが、金属板及びポリエステルフィル
ムとの良好な密着性を得る上で好ましい。なお、より好
ましくは0.5〜5.0g/m2である。
【0062】熱硬化性樹脂層は、化成処理した錫めっき
鋼板上あるいはポリエステル樹脂フィルムの片面、もし
くは化成処理した錫めっき鋼板とポリエステル樹脂フィ
ルムの接着面同士に設ければよく、化成処理した錫めっ
き鋼板とポリエステル樹脂フィルムの間で両者を接着す
るように構成すればよい。
【0063】熱硬化性樹脂層は、適当な有機溶媒か水で
溶液状態にしたものを、ロールコートやスプレーコート
によって、化成処理した錫めっき鋼板および/またはポ
リエステル樹脂フィルムに塗布し、適当な温度、好まし
くは50〜180℃で乾燥させることで化成処理した錫めっ
き鋼板および/またはポリエステル樹脂フィルム上に設
けることができる。乾燥後の熱硬化性樹脂層の重量は、
0.2〜10.0 g/m2であることがラミネートに必要な接着を
行う上で好ましく、より好ましくは0.5〜5.0 g/m2であ
る。
【0064】化成処理した錫めっき鋼板とポリエステル
樹脂フィルムを熱硬化性接着剤でラミネートするには、
鋼板を190〜280℃に加熱し、熱硬化性接着剤が接着界面
となるようにポリエステル樹脂をロール等で押しつけて
圧着することによってラミネートすればよい。
【0065】次にこの発明に従うポリエステル樹脂被覆
錫合金めっき鋼板の具体的な製造方法の一例を説明す
る。通常のぶりき原板あるいはNiフラッシュめっき処理
を施した原板若しくはNi拡散処理を施した原板にSnめっ
きを施した後、錫の融点(231.9℃)以上の温度で加熱
溶融(リフロー)処理を行ってSnを地鉄と合金化し、引き
続き、浸漬処理によって化成処理を行うことによって、
化成皮膜を形成した錫合金めっき鋼板を製造する。尚、
リフロー処理後に、化成処理の反応性を向上させるた
め、15g/lの炭酸ナトリウム水溶液中で1C/dm2の陰極処
理を行ってもよい。
【0066】化成処理液としては、リン酸イオン換算で
1〜80g/lのリン酸、錫イオン換算で0.001〜10g/lの塩
化第一錫、及び0.1〜1.0 g/lの塩素酸ナトリウムを含有
し、さらにシランカップリング剤を0.5〜20.0mass%添
加した水溶液を用いる。
【0067】化成処理の条件は、温度を40〜60℃、処理
(浸漬)時間を1〜5秒とすることが好ましい。化成処理
後の表面処理鋼板は、35〜150℃の温風で乾燥する。
【0068】また、化成皮膜を形成する別の方法として
は、シランカップリング剤を含まない上記化成処理液で
処理した後、シランカップリング層を形成するためのシ
ランカップリング処理液、例えば、エタノールを50mass
%以上、シランカップリング剤を0.5〜20mass%、残り
を水とした溶液を均一に塗布し、鋼板表面温度が50〜15
0℃に到達するように乾燥する方法がある。
【0069】その後、化成皮膜を形成した錫合金めっき
鋼板に、厚さ25μmの二層構造のポリエステル樹脂フィ
ルムを、有機溶剤で溶液化したエポキシ・フェノール系
熱硬化性樹脂を介して熱圧着することによって、ポリエ
ステル樹脂被覆錫合金めっき鋼板を製造する。尚、前記
熱圧着は、ポリエステル樹脂フィルムの前記鋼板との接
着面に相当する面に、前記熱硬化性樹脂をロールコータ
ーで乾燥後重量が2g/m2となるように塗布し、170℃で
乾燥させた後、熱硬化性樹脂が前記鋼板と前記フィルム
の界面になるように、200℃に加熱した前記鋼板にロー
ルで圧着することによって行う。
【0070】上述したところは、この発明の実施形態の
一例を示したにすぎず、請求の範囲において種々の変更
を加えることができる。
【0071】
【実施例】次に、この発明の実施例について以下で詳細
に説明する。 ・実施例1〜12 板厚0.1〜1.0mmの低炭素鋼または極低炭素鋼からなるぶ
りき原板に、片面当り0.1〜3.0g/m2の付着量の錫合金層
を形成させた表1に示す表面処理鋼板に、4種類の化成
処理条件(A〜D)のいずれかを適用して化成皮膜を形
成させた。その後、3種類の熱硬化性接着剤(イ、ロ、
ハ)のいずれかを用いてポリエステル樹脂フィルムをラ
ミネートし、ポリエステル樹脂被覆錫合金めっき鋼板を
製造した。化成皮膜の組成については表1に、4種類の
化成処理条件(A〜D)については表2に、3種類の熱
硬化性接着剤(イ〜ハ)については表3に、共重合ポリ
エステル樹脂層の樹脂種の配合割合を表4に、そして、
配向性ポリエステル樹脂層の樹脂種の配合割合を表5に
示す。
【0072】・比較例1〜8 尚、比較のため、化成皮膜中のPおよびSi付着量、なら
びに共重合ポリエステル樹脂層および配向性ポリエステ
ル樹脂層の樹脂種の配合割合のうちの少なくとも一つが
この発明の適正範囲外である表面処理鋼板についても製
造した。
【0073】
【表1】
【0074】
【表2】
【0075】
【表3】
【0076】
【表4】
【0077】(性能評価)実施例及び比較例の各表面処
理鋼板について、性能評価を行った。
【0078】(1)フィルム密着性試験 ポリエステル樹脂被覆錫合金めっき鋼板にクロスカット
を入れた後、エリクセン試験機を用いてポリエステル樹
脂フィルム面が5mmだけ凸側になるように張出し成形
を行い、その後、沸騰水中に5時間浸漬した後、クロス
カット部からピンセットでポリエステル樹脂フィルムを
引き剥がし、剥離状況によってフィルムの密着性(フィ
ルムが剥離するかどうか)を下記に示す3段階で評価し
た。その評価結果を表1に示す。 (密着性評価)評点3=フィルムが剥離しない場合 評点2=フィルムが僅かに剥離する場合 評点1=フィルムが剥離する場合
【0079】(2)内容物耐食性評価試験 製缶した缶に、非イオン性界面活性剤含有アルカリ性床
用洗浄剤を充填し、50℃の恒温室に90日間放置し、発錆
の有無を観察した。下記に示す「○」、「△」および
「×」の3段階で評価した。表1にその評価結果を示
す。
【0080】(3)耐ピンホール性評価試験 上記各樹脂積層鋼板を用いて18L缶を10缶製造し、各18
L缶の胴部に発生したピンホールの数を湿式ピンホール
計により測定し、この測定値により耐ピンホール性を3
段階で評価した。表1にその評価結果を示す。尚、表1
中の「○」は、10缶当たりのピンホール発生数が10以下
と少ない場合、「△」は、10缶当たりのピンホール発生
数が11〜99の範囲である場合、そして、「×」は、10缶
当たりのピンホール発生数が100以上の場合である。
【0081】表1の結果から明らかなように、実施例は
いずれも、フィルム密着性、内容物耐食性および耐ピン
ホール性に優れていた。一方、比較例はいずれも、フィ
ルム密着性、内容物耐食性および耐ピンホール性のうち
の少なくとも一つの性能が悪く、実用レベルにないこと
がわかる。
【0082】
【発明の効果】この発明によれば、錫合金層の上層に形
成される化成皮膜中に、その皮膜特性を向上させる作用
を有するものの環境上の問題から望ましくないとされる
Crを含有させることなく、ポリエステル樹脂層との密着
性に優れるとともに、内容物耐食性および耐ピンホール
性にも優れたポリエステル樹脂被覆錫合金めっき鋼板の
提供を可能にした。
フロントページの続き (72)発明者 竹村 一也 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 加藤 千昭 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 Fターム(参考) 4F100 AB03A AB21B AB31B AK01C AK41D AK41J AK41K BA04 BA07 BA10A BA10D BA13 CA02B EH71B EJ68B GB16 JB13C YY00B YY00D 4K026 AA02 AA13 AA22 BA03 BA12 BB06 CA03 CA11 CA18 DA03 4K027 AA05 AA22 AB03 AB28 AB46 AC15 AC72 AC73 4K044 AA02 AB02 BA10 BA17 BA21 BB02 BC02 CA11 CA16 CA17 CA31

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 鋼板表面上に、FeおよびNiのうちから選
    んだ1種または2種を含有する錫合金層を有し、その上
    層に0.5〜100mg/m2のPと0.1〜250mg/m2のSiを含有する
    化成皮膜を有し、前記化成皮膜の表面に熱硬化性樹脂層
    を有し、前記熱硬化性樹脂層の上に、テレフタル酸およ
    びイソフタル酸からなるジカルボン酸成分と、ジオール
    成分とを共重合させた共重合ポリエステル樹脂層を有
    し、前記共重合ポリエステル樹脂層の上に、97mol%以上
    のテレフタル酸を含むジカルボン酸成分と、97mol%以上
    のエチレングリコールを含むジオール成分とを重合させ
    た配向性ポリエステル樹脂層を有することを特徴とする
    ポリエステル樹脂被覆錫合金めっき鋼板。
  2. 【請求項2】 前記化成皮膜は、Pとシランカップリン
    グ剤を含有する化成処理液により形成することを特徴と
    する請求項1に記載のポリエステル樹脂被覆錫合金めっ
    き鋼板。
  3. 【請求項3】前記錫合金層中のSnの付着量が0.1〜3.0g/
    m2であることを特徴とする請求項1又は2に記載のポリ
    エステル樹脂被覆錫合金めっき鋼板。
  4. 【請求項4】 前記シランカップリング剤がエポキシ基
    を有することを特徴とする請求項2又は3に記載のポリ
    エステル樹脂被覆錫合金めっき鋼板。
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