JP4165083B2 - 樹脂被覆鋼板 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼板の表面に樹脂が被覆されてなる樹脂被覆鋼板に関し、特に、樹脂と鋼板との密着性を向上させるために有効な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、鋼板の表面に樹脂フィルムが被覆されてなる樹脂被覆鋼板は、耐蝕性が要求される食料缶、飲料缶などの一般缶において広く適用されている。
ここで、ポリオレフィン樹脂やポリエステル樹脂などからなる樹脂フィルムと鋼板との密着性を向上させるために、樹脂被覆鋼板として一般的に用いられるSnめっき鋼板の表面に、クロム酸化物などからなるクロメート被膜を施す技術が提案されている。
【0003】
ところが、上述したクロメート被膜を形成するためには、その処理工程における作業環境上の安全確保や排水処理に多大なコストを要するのみならず、クロメート被膜を構成するクロメート処理液が漏洩した場合には、環境へ多大な悪影響を与えてしまうという恐れがあった。そこで、鋼板に施されるクロメート処理に代わる化成処理として、様々な提案がなされている。
【0004】
例えば、特公昭52ー90426号公報において、鋼板の表面に、リン酸塩、キレート化剤、アミン化合物、ホウ酸、シリカゾル、アルミナゾル、ジルコニヤゾル、チタンゾル、シランカップリングなどから選択される一種または二種以上の化合物からなる化成被膜を形成するという技術が提案されている(第一の従来例)。
【0005】
また、特開平1−192546号公報や特開平11−291399号公報において、鋼板の表面に、リン酸塩処理による化成被膜を形成するという技術が提案されている(第二の従来例)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述の第一の従来例においては、鋼板の表面に塗装を施す場合の技術であり、鋼板とポリエステルとの密着性については示唆されていない。また、本公報において開示された化成被膜は、リン酸塩単独或いはシランカップリング剤単独からなる化成被膜であるため、鋼板とポリエステルとの密着性においては未だ改善の余地があった。
【0007】
また、上述の第二の従来例においては、化成被膜が、リン酸塩単独から構成されているため、鋼板とポリエステルとの密着性においては未だ改善の余地があった。
そこで、本発明者らは、鋼板と樹脂との密着性を改善させるために鋭意研究を重ねた結果、Snめっき鋼板の表面にPとSiとを含有する化成被膜を形成するとともに、樹脂として特定のポリエステルフィルムを用いることで、密着性が向上することを見いだした。
【0008】
より具体的には、Snめっき鋼板におけるSn合金層の表面に、Pとシランカップリング剤とを含有する化成処理液により、適正量のPとSiとを含有する化成被膜を形成することによって、このシランカップリング剤に存在するシラノール基の脱水縮合反応が、密着性に大きく寄与することが判明した。
本発明は、上記知見に鑑みてなされたものであり、鋼板と樹脂との密着性を向上させることを可能とした樹脂被覆鋼板を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このような問題を解決するために、本発明における樹脂被覆鋼板は、鋼板の表面に、Fe及び/又はNiを含有するSn合金層と、化成処理層と、共重合ポリエステル層と、配向性ポリエチレンテレフタレート層とを順次設けてなる樹脂被覆鋼板であって、前記化成被膜層が、0.5〜100mg/mのP及び0.1〜250mg/mのSiを含有し、かつPとシランカップリング剤とを含有する化成処理液により形成されていることを特徴としている。
【0010】
成被膜層を、Pとシランカップリング剤とを含有した化成処理液により形成することによって、このシランカップリング剤の官能基が配向し、共重合ポリエステル層との密着性をさらに向上させることが可能となる。
【0011】
すなわち、化成被膜層に含有させたPが、共重合ポリエステル層との密着性を向上させるためのアンカー効果として作用するとともに、シランカップリング剤から生成したシラノール基が、Sn合金層の表面で脱水縮合反応を起こすことによって、共重合ポリエステル層との密着性を向上させることが可能となる。
このように本発明における樹脂被覆鋼板によれば、環境への悪影響が懸念されるクロメート被膜を用いることなく、樹脂と鋼板との密着性を大幅に向上させることが可能となる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は、本発明の樹脂被覆鋼板における一構成例を示す断面図である。
本実施形態における樹脂被覆鋼板100は、図1に示すように、ぶりき原板からなる鋼板1の表面に、Sn合金層2と化成被膜層3とが順次形成されたSnめっき鋼板10の表面に、樹脂層4が被覆された構成をしている。
【0013】
本発明におけるSn合金層2は、Fe及び/又はNiを含有するものであればよい。Sn合金層2は、樹脂被覆鋼板100の耐蝕性を向上させるために、次のようなものが好ましい。Fe−Sn合金層の場合には、FeSn合金層やFeSn合金層であることが好ましい。また、Sn−Ni合金層の場合には、SnNi合金層やSnNi合金層であることが好ましい。さらに、Fe−Sn−Ni合金層の場合には、(Fe・Ni)Sn合金層であることが好ましい。特に、質量比でNi/(Fe+Ni)の値が0.02〜0.50の範囲とするFe−Ni合金層とその上面に形成したFe−Sn−Ni合金層との二層であることがより好ましい。
【0014】
ここで、Ni/(Ni+Fe)の値が0.02未満であると、Fe−Sn−Ni層が、Fe−Sn合金主体の四角柱状の結晶からなり、化成被膜層3が連続的に形成されず、共重合ポリエステル層4aとの密着性を十分に向上させることができなくなる。一方、Ni/(Ni+Fe)の値が0.50を超えると、Fe−Sn−Ni合金層を構成するFe−Sn−Ni合金結晶が粗となり、化成被膜層3が緻密に形成されず、共重合ポリエステル層4aとの密着性を十分に向上させることができなくなる。このNi/(Ni+Fe)の値は、μ−AES(マイクロオージェ電子分光)によるFeとNiとの深さ方向分析を行い、各ピーク値と相対感度係数の乗数値を深さに対して積分し、Niの積分値/(Niの積分値+Feの積分値)から求めることができる。なお、Sn合金層2中のSnの付着量は、化成被膜層3との密着性を効率的に向上させるために、0.1〜3.0g/m2 の範囲とすることが好ましい。
【0015】
化成被膜層3は、少なくともPとSiとが含有されており、共重合ポリエステル層4aとの密着性を効率的に確保するために、付着量として、Pを0.5〜100mg/m2 、Siを0.1〜250mg/m2 の範囲で含有するようにしている。なお、P及びSiの付着量は、それぞれ蛍光X線による表面分析により測定できる。
【0016】
ここで、化成被膜層3中のPの含有量を、その付着量として0.5mg/m2 未満とすると共重合ポリエステル層4aとの密着性が不十分であり、一方、付着量として100mg/m2 を超えると化成被膜層3に欠陥が生じやすくなり、結果的に共重合ポリエステル層4aとの密着性が劣化してしまう。このため、化成被膜層3中のP含有量は、0.5〜100mg/m2 の範囲とする。
【0017】
同様に、化成被膜層3中のSi含有量を、その付着量として0.1mg/m2 未満とすると密着性向上効果が十分に得られず、一方、付着量として250mg/m2 を超えると未反応のSiによって、密着性向上効果が低減してしまう。このため、化成被覆層3中のSi含有量は、0.1〜250mg/m2 の範囲とする。
【0018】
この化成処理層3中にSiを含有させるために、シランカップリング剤を含有する化成処理液を用いる。
シランカップリング剤は、一般式X−Si−OR(OR:アルコキシル基、nは2又は3)で表され、アルコキシシリル基(Si−OR)が水により加水分解されてシラノール基(Si−OH)を生成し、金属表面のOH基と脱水縮合反応を起すため、Sn合金層2との密着性を向上させる。また、Sn合金層2の表面には、一般式Xに当たる官能基が配向し、共重合ポリエステル層4aと相溶若しくは結合する。
【0019】
このシランカップリング剤としては、特に限定されるものではないが、例えば、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヒキシル)エチルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2(アミノオエチル)3−アミノプリピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニルー3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−2−(アミノエチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン、Nー2−(アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシランなどが挙げられる。特に、共重合ポリエステル層4aとの親和性、反応性、及び密着性を向上させるために、シランカップリング剤の一般式におけるX−Si−ORn (n:2又は3)のXがエポキシ基であることが好ましい。このエポキシ基としては、例えば、2ー(3、4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランや、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシランなどが好適である。
【0020】
樹脂層4は、共重合ポリエステル層4aと配向性ポリエチレンテレフタレート層4bとが積層された二層構造を有しており、共重合ポリエステル層4a側が化成被膜層3と接するように被覆されている。
ここで、共重合ポリエステル層4aは、ジカルボン酸成分とジオール成分とからなり、少なくともいずれかの成分が二種以上のものが重縮合したポリエステルである。この共重合ポリエステル層の融点は、170℃未満であると共重合ポリエステル層4aの耐溶剤性が低下し、一方、240℃を超えると、共重合ポリエステル層4aと化成被膜層3との密着性が低下してしまうため、170〜240℃の範囲とすることが好ましい。なお、融点の測定は、例えば示差走査熱計(DSC)を用い、10℃/minで昇温した時の吸熱曲線のピーク温度として求めるようにした。
【0021】
前記したジカルボン成分は、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、セバシン酸、2,6ナフタレンジカルボン酸などのモノマーを単重合或いは共重合によって形成されるが、少なくともテレフタル酸とイソテレフタル酸との両方を共重合することが好ましい。この場合、テレフタル酸とイソテレフタル酸との共重合割合は、イソテレフタル酸が5〜80mol%、テレフタル酸が95〜20mol%とするのが好ましい。なお、イソフタル酸の割合がこの範囲よりも小さいと、共重合ポリエステル層4aと化成被膜層3との密着性が低下し、一方、この範囲よりも大きいと、共重合ポリエステル層4aの耐溶剤性が低下する。
【0022】
前記したジオール成分は、例えば、エチレングリコール、ブタジオール、ジエチレングリコール、ビスフェノールA、トリエチレングリコール、プロピレングリコールなどのモノマーを単重合或いは共重合することによって形成される。
なお、共重合ポリエステル層4aの厚みは、特に限定されないが、好ましくは0.5〜40μm、さらに好ましくは1〜20μmとするのがよい。ここで、この範囲よりも薄いと共重合ポリエステル層4aと化成被膜層3との密着性が低下し、一方、この範囲よりも厚いとコストが増大してしまう。
【0023】
配向性ポリエチレンテレフタレート層4bは、エチレングリコールからなるジオール成分と、テレフタル酸からなるジカルボン酸成分とを重縮合させて得られるポリエステルであるのが好ましく、例えばTダイ法などにより製膜した後、ガラス転移点以上融点以下の温度で二軸延伸して得られる。この二軸延伸によって、ポリエチレンテレフタレートに配向結晶が生じ、ポリエチレンテレフタレートの耐溶剤性、酸素バリアー性、保香性、水蒸気バリアー性が増加し、樹脂被覆鋼板100の耐蝕性を向上させることが可能となる。
【0024】
このとき、配向結晶性の目安である面配向係数は、特に限定されるものではないが、好ましくは0.10〜0.20、さらに好ましくは0.12〜0.18とするのがよい。この範囲よりも配向係数が小さい場合には耐溶剤性、バリアー性などが低下し、この範囲よりも配向係数が大きい場合には樹脂被覆鋼板100の加工時に配向性ポリエチレンテレフタレート層4bが収縮しやすくなり好ましくない。なお、この配向係数は、アッベ屈折率計を用い、樹脂厚み方向(α)、幅方向(β)、長手方向(γ)の屈折率を測定して以下の式により算出することができる。
配向係数ΔP=(β+γ)/2−α
また、配向性ポリエチレンテレフタレート層4bは、その耐溶剤性、保香性、バリアー性などの性能が損なわれない範囲内で、少量のブタジオール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ビスフェノールA、アジピン酸、セバシン酸、イソフタル酸、2,6ナフタレンジカルボン酸などを共重合するようにしてもよい。
【0025】
なお、配向性ポリエチレンテレフタレート層4bの厚みは、特に限定されないが、好ましくは3〜45μm、さらに好ましくは10〜35μmとするのがよい。ここで、この範囲よりも薄いと耐蝕性が低下し、一方、この範囲よりも厚いと絞り加工などの際に極少のクラックなどが発生しやすくなってしまう。
本発明の樹脂被覆鋼板100は、少なくとも片面に、前記したSn合金層2、化成被膜層3、樹脂層4が形成されていればよい。他方の面は、Sn合金層2のみ、Sn合金層2と化成被膜層3、Sn合金層2と化成被膜層3と樹脂層4のいずれかが形成されていてもよく、本発明と異なる層が形成されていてもよい。
【0026】
次に、本実施形態における樹脂被覆鋼板100の製造方法について説明する。まず、鋼板1としてぶりき原板の表面にSnめっきを形成した後、Snの融点(231.9℃)以上の温度で加熱溶融(リフロー処理)を行い、Snを地鉄と合金化させることで、Fe−SnからなるSn合金層2を形成する。なお、鋼板1としてはこれに限らず、例えば、Niフラッシュめっき処理を施したぶりき原板や、Ni拡散処理を施したぶりき原板にSnめっきを形成するようにすれば、Ni−SnやNi−Fe−SnからなるSn合金層2を形成することができる。
【0027】
ここで、鋼板1へのSn合金層2の形成方法としてはこれに限らず、例えば、鋼板1の表面に、Feイオン及び/又はNiイオンを含有させたSnめっき液を用いて、Sn合金層2を形成するようにしても構わない。 次に、リン酸イオン換算で1〜80g/lのリン酸と、Snイオン換算で0.001〜10g/lの塩化第一錫と、0.1〜1.0g/lの塩素酸ナトリウムとを含有し、さらに、シランカップリング剤を0.5〜20.0質量%添加した化成処理液を作成し、浸漬処理によって化成処理を行う。このとき、シランカップリング剤を化成処理液中に均一に溶解するため、化成処理液のpHを1.5〜5.5の範囲に調整することが好ましい。
【0028】
ここで、化成処理液中のリン濃度を、リン酸イオン換算で、1g/l未満とすると、共重合ポリエステル層4aとの密着性及び耐蝕性が劣化し、一方、80g/lを超えると、化成被膜層3に欠陥が生じやすく、且つ、未反応のリン酸が残存するため、共重合ポリエステル層4aとの密着性及び耐蝕性が劣化してしまう。このリン酸イオンとして換算される化合物としては、リン酸に限らず、リン酸ナトリウム、リン酸アルミニウム、リン酸カリウム、水素リン酸塩などを用いても構わない。
【0029】
また、化成処理液中のSn濃度を、Snイオン換算で、0.001g/l未満とすると、耐蝕性が劣化する傾向にあり、一方、10g/lを超えると、化成処理液の安定性が低下する恐れがある。この錫イオンとして換算される化合物は、塩化第一錫に限らず、塩化第二錫、硫酸第一錫などを用いても構わない。
さらに、化成処理液中のシランカップリング剤の添加量を、0.1質量%未満とすると共重合ポリステル層4aとの密着性向上効果が不十分であり、一方、5.0質量%を超えると共重合ポリエステル層4aとの密着性が低下するとともに、化成処理液の安定性が低下してゲル化してしまう場合がある。
【0030】
化成処理の条件は、40〜60℃の温度で1〜5秒の浸漬処理を行うことが好ましい。なお、化成処理の反応性を向上させるために、リフロー処理後のSnめっき鋼板10に、15g/lの炭酸ナトリウム水溶液中で1C/dm2 の陰極処理を行うようにしてもよい。
次いで、この化成処理液を、好ましくは35〜150℃の温風で乾燥処理することによって、Sn合金層2の表面にPとSiとを含有する化成被膜層3が形成されたSnめっき鋼板10を完成させる。
【0031】
ここで、化成被膜層3を形成する方法としてはこれに限らず、Pとシランカップリング剤とを別個に含む二種の化成処理液により形成するようにしてもよい。この場合、まず、Pを含有する第一の化成処理液によってPを含有する化成被膜層を形成した後、シランカップリング剤を含有する第二の化成処理液によって処理することで、結果的にPとシランカップリング剤とを含む化成被膜層3を形成するようにする。
【0032】
具体的には、まず、シランカップリング剤を含有しない第一の化成処理液(具体的には、リン酸イオン換算で1〜80g/lのリン酸と、Snイオン換算で0.001〜10g/lの塩化第一錫と、0.1〜1.0g/lの塩素酸ナトリウムとを含有する成処理液)で化成処理を行う。その後、シランカップリング剤を含有する第二の化成処理液(具体的には、エタノールを50質量%以上、シランカップリング剤を0.5〜20.0質量%、残部を水とした化成処理液)を均一に塗布し、Snめっき鋼板10の表面温度が50〜150℃に到達するように乾燥させるようにしてもよい。ここで、Sn合金層2の表面に、PとSiとを含有させた化成被膜層3が形成されたSnめっき鋼板10を完成させることができる。
【0033】
なお、化成処理液中には、少なくともPとシランカップリング剤とが含有されているのであれば、他の化合物が含有されていてもよく、例えば、SnCl2 、FeCl2 、NiCl2 などの金属塩を適宜添加することができる。また、炭素酸ナトリウム、亜硝酸塩ナトリウム、亜硝酸塩などの酸化剤やフッ素イオンなどのエッチング剤を適宜添加するようにしてもよい。
【0034】
次いで、共重合ポリエチレン層4aとして、融点205℃のポリエチレンテレフタレート/イソフタレート共重合体と、配向性ポリエチレンテレフタレート層4bとして、融点252℃のポリエチレンテレフタレート(配向係数=0.163)とからなる二層構造の樹脂フィルムを、共重合ポリエステル層4a側が化成被膜層3と接するように220℃に加熱したSnめっき鋼板10上に積層し、ロールを用いて熱圧着を行う。ここで、Snめっき鋼板10の表面が、樹脂フィルムで被覆された樹脂被覆鋼板100を完成させる。
【0035】
この二層構造からなる樹脂フィルムの製造方法としては、いずれの方法を用いてもよいが、例えば、以下の方法などが挙げられる。まず、二台の押出機を用い、二層の原料である樹脂を溶融した後、Tダイ法を用いて共押出フィルムを作成する。次いで、この共押出フィルムを、ガラス転移温度以上、且つ、融点以下の温度で、縦横方向に所望の比率で延伸させることで二層構造を有する樹脂フィルムを形成させる。このとき、二層からなる樹脂フィルムの総厚みは、特に限定されないが、好ましくは5〜50μm、さらに好ましくは10〜40μmとするのがよい。
【0036】
本実施形態における樹脂被覆鋼板100によれば、鋼板1の表面に、Sn合金層2と、Pとシランカップリング剤とを含有する化成処理液から形成された化成被膜層3とを順次形成したことによって、化成被膜層3中のPにおけるアンカー効果と、シラノール基における脱水縮合反応とにより共重合ポリエステル層4aとの密着性を向上させることが可能となった。
【0037】
【実施例】
以下、本実施形態の樹脂被覆鋼板における樹脂フィルムの密着性に関する評価について説明する。
表1に、実施例1〜12及び比較例1〜7における樹脂被覆鋼板を構成する成分組成及び化成被膜層を形成するための化成処理条件と、樹脂フィルムの密着性に関する評価とを示す。なお、実施例及び比較例における樹脂被覆鋼板は、いずれも板厚0.23mmのぶりき原板に、片面あたりの付着量として0.1〜3.0g/m2 のSn合金層を形成させたSnめっき鋼板を用いた。
【0038】
ここで、樹脂フィルムの密着性の性能試験は、以下の条件で行い、以下の評価基準に基づいて評価を行った。まず、表1に示した樹脂被覆鋼板にクロスカットを入れ、樹脂フィルム内面が凸側になるようにエリクセンで5mm張り出しておく。次いで、この樹脂被覆鋼板を、沸騰水中に5時間浸漬後、クロスカット部からピンセットで樹脂フィルムを引き剥がし、その剥離状況によっり樹脂フィルムの密着性を評価した。
(密着性評価基準)
・評価1=剥離あり
・評価2=わずかに剥離あり
・評価3=剥離なし
【0039】
【表1】
Figure 0004165083
【0040】
表2に、表1における化成処理条件の詳細を示す。
なお、化成処理A〜Dにおいては、いずれも化成処理液中にPとシランカプリング剤が含有されているため、化成被膜層中にはPとSiとが含有されるようになる。また、化成処理Eにおいては、化成処理液中にPは含有されるが、シランカップリング剤が含有されていないため、化成被膜層中にはPのみが含有されるようになる。さらに、化成処理Fにおいては、化成処理液中にシランカップリング剤は含有されるが、Pが含有されていないため、化成被膜層中にはSiのみが含有されるようになる。
【0041】
【表2】
Figure 0004165083
【0042】
表3に、表1に示した樹脂フィルムの詳細を示す。
【0043】
【表3】
Figure 0004165083
【0044】
そして、表1〜表3から分かるように、Snめっき鋼板の上面に、PとSiとが含有された化成被膜層が形成されるとともに、共重合ポリエステル層と配向性ポリエチレンテレフタレート層との二層構造からなる樹脂フィルムが形成された実施例1〜12においては、いずれの樹脂フィルムも密着性に優れていることが確認できた。
【0045】
一方、化成被膜層を構成するPの含有量を0.4mg/m2 とした比較例1と、Pの含有量を110mg/m2 とした比較例3においては、樹脂フィルムとの密着性が不十分であることが分かる。この結果より、化成被膜層を構成するPの含有量として、0.5〜100mg/m2 の範囲が好ましいことが確認できた。また、化成被膜層を構成するるSiの含有量を0.07mg/m2 とした比較例2と、Siの含有量を260.00mg/m2 とした比較例4においては、樹脂フィルムとの密着性が不十分であることが分かる。この結果より、化成被膜層を構成するSiの含有量として、0.1〜250mg/m2 の範囲が好ましいことが確認できた。
【0046】
さらに、樹脂フィルムとして、共重合ポリエステル層を含まず、配向性ポリエチレンテレフタレート層の単層から構成した比較例5においては、樹脂フィルムとの密着性が不十分であることが分かる。この結果より、樹脂フィルムは、共重合ポリエステル層と、配向性ポリエチレンテレフタレート層とからなる二層構造とするのが好ましいことが確認できた。
【0047】
さらに、化成被膜層としてSiが含有されていない比較例6と、同様にPが含有されていない比較例7とにおいては、いずれの樹脂フィルムとの密着性が不十分であることが分かる。この結果より、化成被膜層にはPとSiとがともに含有されていることが好ましいことが確認できた。
【0048】
以上説明したように、本発明の樹脂被覆鋼板によれば、Fe及び/又はNiを含有するSn合金層と、化成処理層と、共重合ポリエステル層と、配向性ポリエチレンテレフタレート層とを順次設けてなる樹脂被覆鋼板であって、前記化成被膜層が、0.5〜100mg/mのP及び0.1〜250mg/mのSiを含有することによって、樹脂と鋼板との密着性を向上させることができる。
【0049】
特に、化成被膜層を、Pとシランカップリング剤とを含有した化成処理液により形成することによって、このシランカップリング剤の官能基が配向し、樹脂との密着性をさらに向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の樹脂被覆鋼板における一構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 鋼板
2 Sn合金層
3 化成被膜層
4 樹脂層
4a 共重合ポリエステル層
4b 配向性ポリエチレンテレフタレート層
10 Snめっき鋼板
100 樹脂被覆鋼板

Claims (1)

  1. 鋼板の表面に、Fe及び/又はNiを含有するSn合金層と、化成処理層と、共重合ポリエステル層と、配向性ポリエチレンテレフタレート層とを順次設けてなる樹脂被覆鋼板であって、
    前記化成被膜層が、0.5〜100mg/mのP及び0.1〜250mg/mのSiを含有し、かつPとシランカップリング剤とを含有する化成処理液により形成されていることを特徴とする樹脂被覆鋼板。
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