JP6622276B2 - 耐用寿命を延ばすためのリチウム電池用アルミニウムプラスチックフィルム包材 - Google Patents

耐用寿命を延ばすためのリチウム電池用アルミニウムプラスチックフィルム包材 Download PDF

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Description

本発明は、三価クロム修飾処理を施したクロム含有耐食層を有するアルミニウムプラスチックフィルム包材、特に、リチウム電池用アルミニウムプラスチックフィルム包材であって、フッ化水素酸(HF)及び他の溶媒に耐性を有するとともにリチウム電池をしてその耐用寿命を延ばせしめるのに好適な包材に関する。
電子機器のコンパクト化及び軽量化が進む中、軟包装電池は、iPhone(登録商標)、iPad(登録商標)、Ultrabook(登録商標)等の一般消費者向け電子機器で広く使用されており、電池駆動式車両又はスクーター及びエネルギー貯蔵デバイスでの利用がさらに見込まれている。
一般的なリチウム電池では、典型的には、アルミニウムプラスチックフィルム包材(以下、APF包材と称する)を使用する。水(HO)が電解液中のリチウムヘキサフルオロホスフェート(LiPF)と作用して、アルミニウム箔を腐食してショートや電池の爆発さえ引き起こす可能性があるフッ化水素酸(HF)が生成されないように、耐食処理が必要である。アルミニウム箔へのそのような耐食処理は通常、六価クロム(Cr6+)をアルミニウム箔の表面にコーティング又は含浸により塗布することを伴う。
また、ナイロンフィルムは電解液に弱いため、充填作業中に電解液があふれると包材の最外層は腐食、白化し易く、最外材は好ましくは、保護性を高めるために、一般的なポリエステルフィルムでナイロンフィルムを被覆して形成される。
ニーズに応えるため、従来技術では解決策が提案されている。以下に挙げる。
特許文献1は、リチウム電池用包材及びその製造方法を開示している。この包材は耐水性、耐高温性及び耐食性を有し、また基体層、結合層、アルミニウム箔層、耐食層、接着剤層及び内層を備える。従来技術のデバイスは、耐食層として機能する導電性の被覆材を適用したアルミニウム箔を有する。耐水性、耐高温性及び耐食性を備えた接着剤層は、OH含有修飾フルオロカーボン樹脂及びポリオールを混合し、この混合物をイソシアネートと反応させることでフッ素化ポリウレタンポリオールを生成し、このフッ素化ポリウレタンポリオールを耐熱性ビスフェノールエポキシ樹脂とブレンドしてリチウム電池用包材で使用する相互貫入網目構造を有するジョイント接着剤を生成することで形成する。
特許文献2はリチウム電池用の包材を開示しており、この包材は、基材層の一面上に連続的に積層される第1接着剤層、アルミニウム箔層、コーティング層、接着性樹脂層又は第2接着剤層及びシーラント層を有する。コーティング層は多層構造であり、1−100質量部のリン酸又はホスフェートを100質量部の希土類元素系酸化物にブレンドしている層(A)と、アニオン性重合体及びこのアニオン性重合体の架橋を引き起こす架橋剤を含有する層(X)とを備える。
このようにして製造されたリチウム電池用包材は、バッテリーセル業界で通用するフッ化水素酸(HF)又は溶媒耐性を有するものの、EUのRoHS、WEEE及びREACHの規制強化に伴い、六価クロム(Cr6+)の使用を禁止する管轄区域は増えつつあり、欧州の一部の国、また米国は六価クロム及び他の重金属の使用を将来、完全に禁止する予定である。加えて、従来技術の包材の製造では一般的なポリエステルフィルムでナイロンフィルムを被覆する必要があり、製造工程が複雑且つ高コストになる。
米国特許出願公開第2015/0104698号明細書 米国特許出願公開第2010/0255365号明細書
この問題に対処するために、本発明の第1の目的は、積層構造体として形成されるアルミニウムプラスチックフィルム包材(又はAPF包材と称する)を教示することであり、この包材は、ポリオレフィン重合体又はポリオレフィン共重合体の薄膜から形成され且つ厚さ10−80μmを有する内層と、所定のポリエステルフィルム又はナイロン−ポリエステル複合フィルムから形成され且つAPF包材の最外層として形成され、厚さ10−50μmを有する基体層と、軟アルミニウム箔から形成され且つ基体層に接合され、厚さ20−100μmを有するアルミニウム箔層と、水性修飾ポリオレフィン樹脂及びエポキシ硬化剤から硬化させ且つ内層とアルミニウム箔層との間に積層される第1接着剤層とを備える。
APF包材の第1接着剤層は以下の成分から構成される(全成分の総重量基準)。
(a)96−99.5重量%の水性修飾ポリオレフィン樹脂
(b)0.5−4重量%のエポキシ硬化剤
APF包材の基体層は、少なくとも2種の二塩基酸及びジオールから合成されるポリブチレンテレフタレート(PBT)から形成される、あるいはポリブチレンテレフタレート(PBT)をポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PPT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリブチレンナフタレート(PBN)の1種又は任意の組み合わせから選択される他のポリエステル樹脂と共重合させた共重合薄膜から形成されるポリエステルフィルムである。
本発明の第1の目的は、アルミニウムプラスチックフィルム包材を、以下のやり方の1つを用いた内層とアルミニウム箔層との間での耐食処理にさらに供することでAPF包材の電解液耐性を向上させ、良好な接着強度を付与できることを教示することでもある。
(1)クロム含有耐食層を三価クロム(Cr+3)を含有する水性修飾樹脂から形成し、内層に接着させた接着剤層とアルミニウム箔層との間に積層する。
(2)第2接着剤層を水性修飾樹脂、エポキシ硬化剤、シランカップリング剤及びナノサイズ金属酸化物粒子から形成し、内層とアルミニウム箔層との間に積層する
APF包材のクロム含有耐食層は以下の成分から形成する。
(a)90−98重量%の水性修飾樹脂:これはポリエステル樹脂、アクリル樹脂又はフルオロカーボン樹脂から選択される1種以上である。
(b)1.5−9重量%のリン酸
(c)0.5−1.5重量%の三価クロム:リン酸クロム又は硝酸クロムから選択される1種以上である。
APF包材の第2接着剤層は以下の成分から構成される(全成分の総重量基準)。
(a)95−98重量%の水性修飾ポリオレフィン樹脂
(b)1−4重量%のエポキシ硬化剤
(c)0.2−1重量%のシランカップリング剤
(d)0.01−0.05重量%のナノサイズ金属酸化物粒子
第1接着剤層又は第2接着剤層で使用するための水性修飾ポリオレフィン樹脂は、重量平均分子量(Mw)15000−40000の水性修飾ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン及びポリイソブチレンの1種又は任意の組み合わせを含む。
第2接着剤層で使用するためのシランカップリング剤は、ホスフェートエステル官能基シラン、エポキシ官能基シラン、アミノシラン及びビニル官能基シランの1種又は任意の組み合わせになり得る。
第2接着剤層で使用するためのシランカップリング剤は具体的にはエポキシ系シランカップリング剤をビニルシランカップリング剤と組み合わせて生成し、エポキシ系シランカップリング剤のビニルシランカップリング剤に対する好ましい重量比は2:1−8:1である。
第2接着剤層で使用するためのナノサイズ金属酸化物粒子は、二酸化ケイ素(SiO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)又は二酸化セリウム(CeO)の1種又は任意の組み合わせになり得て、ナノサイズ金属酸化物粒子は10−100nmの粒径を有する。
本発明により、開示のAPF包材及びその製造方法は、製造を簡略化し、電解液及びフッ化水素酸への耐性を改善し、製品構造を簡素化して製造コストを削減することができる。また、本発明のAPF包材は優れた耐食性及び加工性を有するリチウム電池での使用に適しており、また得られるリチウム電池の耐用寿命を延ばすのに役立つ。
本発明のAPF包材の積層構造の第1断面図である。 本発明のAPF包材の積層構造の第2断面図である。 本発明のAPF包材の積層構造の第3断面図である。
本発明において、APF包材10は積層構造を有し、リチウム電池用APF包装の作製に適している。APF包材10は適切にはコールドスタンプにより形成され、妥当な伸び率、より高い衝撃強さ、引裂き強さ及び破壊強さを有する。
本発明のAPF包材10の積層構造は3種類ある。
本発明のAPF包材10の第1積層構造は、図1に示すように、耐熱樹脂の薄膜から形成される基体層20を備え、この基体層20の片面上に、少なくとも1つの結合層30、アルミニウム箔層40、クロム含有耐食層50、接着剤層60及び熱可塑性樹脂の薄膜から形成される内層70が順に積層される。この構造においては、クロム含有耐食層50をアルミニウム箔層40の片面上に積層してアルミニウム箔層40を耐水性及び耐酸性にすることでアルミニウム箔層40を腐食から守る。
本発明のAPF包材10の第2の積層構造は、図2に示すように、アルミニウム箔層40の両面にクロム含有耐食層50を積層することでアルミニウム箔層40を腐食防止の観点で改善している点で第1の積層構造とは異なる。
本発明のAPF包材10の第3の積層構造は、図3に示すように、アルミニウム箔層40の片面に非クロム材料を含有する接着剤層60’を取り付けてアルミニウム箔層40を耐水性及び耐酸性にすることでアルミニウム箔層40を腐食から守る点で第1の積層構造とは異なる。
本発明のAPF包材10の積層構造組成についてはさらに後述する。
1.基体層20
図1に示すように、基体層20は耐熱性樹脂フィルムの単層又は多層から形成され、この耐熱性樹脂フィルムは、冷間成形法によるリチウム電池の最外層化材料としての作製における使用に適している。
耐熱性樹脂フィルムは、ポリアミド(NYLON)樹脂又はポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)及びPETとPBTとの共重合体から成る群から選択されるポリエステル樹脂から形成される延伸又は非延伸の薄膜である。
ポリエステル樹脂はさらにポリエステル樹脂添加剤としてポリアミドエラストマーを追加し得て、ポリアミドエラストマーはポリエーテル成分、ポリカーボネート成分又はポリエステル成分を含有し得る。
基体層20はポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルムになり得て、PBTフィルムは少なくとも2種の二塩基酸及びジオールから合成される。
好ましくは、この二塩基酸は好ましくは90−100モル%のテレフタル酸であるジカルボン酸であり、ジオールは好ましくは90−97モル%の1,4−ブチレングリコールであり、共重合ジオールが使用でき、例えばエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,2−プロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,5−ペンチルグリコール、1,6−ヘキシレングリコール又はカーボネートである。
加えて、共重合ジカルボン酸を使用し得て、イソフタル酸、フタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸、ヘキサン二酸、アゼライン酸又はデカン二酸の1種以上から選択し得る。
また、基体層20は、ポリブチレンテレフタレート(PBT)を、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリトリメチレンテレフタレート(PPT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)又はポリブチレンナフタレート(PBN)の1種又は任意の組み合わせから選択される他のポリエステル樹脂と共重合させる共重合薄膜になり得る。
ポリブチレンテレフタレート(PBT)の含有量は60−80重量%であり、より好ましくは80重量%を超える。ポリブチレンテレフタレート(PBT)の含有量が60重量%未満である場合、得られる共重合薄膜の衝撃強さ及びピンホール耐性は劣ったものになる。
明確にするために、ポリアミド(NYLON)樹脂から形成される延伸又は非延伸薄膜を以下、ナイロンフィルムと称し、ポリエステル樹脂から形成される延伸又は非延伸薄膜を以下、ポリエステルフィルムと称する。
リチウム電池がプラスチックフィルム包材として形成される本発明のAPF包材10を有する場合、APF包材10の基体層20の主な目的は、アルミニウム箔層40、クロム含有耐食層50及び接着剤層60等を含む中間層を保護することである。また、基体層20の他の目的は印刷用にテキストを目立たせることであるため、基体層20は優れた印刷適性を有する必要がある。
基体層20は、耐熱性を備えたポリアミド(NYLON)フィルム又はポリエステル(PET)フィルムから形成され、冷間成形法を経て厚さ10−50ミクロン(μm)を有する。基体層20は、もし厚さが10μm未満であるならば、伸長には不十分であり隔離性が低下する欠点を有し、本発明のAPF包材10は不適格なものとなる。加えて、基体層20は、もし厚さが50μmを超えるならば、軽量、且つ、厚み・長さ・寸法がそれぞれ薄く短く小さいことが求められているリチウム電池の製造には使用できない。
2.結合層30
図1−3に示すように、結合層30は基体層20及びアルミニウム箔層40を結合させるために使用する。結合層30は、完全に硬化した後のポリウレタン接着剤から形成される。
3.アルミニウム箔層40
アルミニウムは比重量の点で鉄及び銅より小さいため、軽量な部品に申し分ない。合金を銅、マグネシウム、ケイ素又は鉄と形成することにより、アルミニウム箔層40はより良好な強度を有し得る。
さらに、水蒸気又は空気中に存在する水分は、浸透性によりリチウム電池の内部に容易に浸透してリチウム電池を通常の条件下での作動に不適なものにするため、リチウム電池のライフサイクルは、使用条件下にあるならば、環境の大気湿度と密接に関係している。したがって、積層物の各層が防湿性を有することが求められている本発明のAPF包材10は極めて重要であり、リチウム電池において使用するアルミニウム箔層40は、水又は水分の浸透を効果的に防止するための極めて重要な構成要素としての役割を果たす。
アルミニウム箔層40は20ミクロン(μm)を超え、好ましくは30−100μmの厚さを有するように制限され、要求される条件を満たしたならば、優れた防湿能を有する。
アルミニウム箔層40は概してある種の軟アルミニウム箔から形成される。しかしながら、好ましいピンホール耐性及びより良好なスケーラビリティ及び成形性を有するアルミニウム箔層40を得るために、アルミニウム箔層40を好ましくは鉄元素及びケイ素元素を含有するアルミニウム箔から形成する。
アルミニウム箔層40の鉄含有量は好ましくはアルミニウム箔層40の0.1−5重量%、最も好ましくはその0.3−1重量%であり、アルミニウム箔層40のケイ素含有量は好ましくはアルミニウム箔層40の0.1−5重量%、最も好ましくはその0.3−1重量%である。
アルミニウム箔層40を好ましくは脱脂処理又は化成処理で処理して高いフッ化水素酸耐性を付与する。アルミニウム箔層40に対する化成処理は、酸化物コーティング層をアルミニウム箔層40の表面で成長させるためのものであり、この酸化物コーティングは、クロメート、ホスフェート又はフッ化物塩、例えばアルカリ金属クロメート、アルカリ金属ホスフェート、リン酸クロム、リン酸亜鉛又は有機/無機酸化ケイ素(SiO)等である。中でも、クロメート又はホスフェートが好ましく、アルミニウム箔層40の表面で酸化物コーティングを成長させるにはリン酸クロムがより好ましい。
4.クロム含有耐食層50
図1又は図2に示すように、クロム含有耐食層50は、三価クロム(Cr3+)を含有する水性修飾樹脂をアルミニウム箔層40の片面又は両面に噴霧又は塗布し、その修飾樹脂を高温で硬化させることで形成する。
三価クロム(Cr3+)を含有する水性修飾樹脂は以下の成分から構成される。
(a)90−98重量%の水性修飾樹脂:ポリエステル樹脂、アクリル樹脂又はフルオロカーボン樹脂から選択される1種以上である。
(b)1.5−9重量%のリン酸
(c)0.5−1.5重量%の三価クロム:リン酸クロム又は硝酸クロムから選択される1種以上である。
三価クロム(Cr3+)を含有する水性修飾樹脂は、高温での硬化後、厚さ20−100nmを有する緻密な金属酸化物フィルムの層としてアルミニウム箔層40の片面又は両面に形成されるため、アルミニウム箔層40中の金属の電極電位は不動態域にあり、アルミニウム箔層40は腐食から保護される。
5.接着剤層60
図1又は図2に示すように、接着剤層60は、クロム含有耐食処理、すなわち、先ず水性修飾ポリオレフィン樹脂ジョイント接着剤(以下「第1水性ジョイント接着剤」と称する)として形成された後にクロム含有耐食層50と内層70との間にコートされることとなる水性修飾ポリオレフィン樹脂とエポキシ硬化剤とを共に塗布し、次に第1水性ジョイント接着剤を硬化させる処理、によって形成される。
あるいは、図3に示すように、接着剤層60’は、別の非クロム耐食処理、すなわち、先ず水性修飾ポリオレフィン樹脂ジョイント接着剤(以下「第2水性ジョイント接着剤」と称する)として形成された後にアルミニウム箔層40と内層70との間にコートされることとなる水性修飾ポリオレフィン樹脂と、エポキシ硬化剤と、シランカップリング剤と、ナノサイズ金属酸化物粒子とを共に塗布し、次に第2水性ジョイント接着剤を硬化させる処理、によって形成される。
接着剤層60又は60’の第1又は第2水性ジョイント接着剤の成分は様々な比でブレンド可能であり、接着剤層60の形成に適した塗布可能で効果的なジョイント接着剤を生成するために適切な量の添加剤、例えば硬化剤を添加できる。
接着剤層60の第1水性ジョイント接着剤は以下の成分から構成される(第1水性ジョイント接着剤の総重量基準)。
(a)96−99.5重量%の水性修飾ポリオレフィン樹脂
(b)0.5−4重量%のエポキシ硬化剤
接着剤層60’の第2水性ジョイント接着剤は以下の成分から構成される(第1水性ジョイント接着剤の総重量基準)。
(a)95−98重量%の水性修飾ポリオレフィン樹脂
(b)1−4重量%のエポキシ硬化剤
(c)0.2−1重量%のシランカップリング剤
(d)0.01−0.05重量%のナノサイズ金属酸化物粒子
第1又は第2水性ジョイント接着剤は水性修飾ポリオレフィン樹脂を含有する。水性修飾ポリオレフィン樹脂のC−C結合は際立った耐薬品性及び疎水性を有するため、第1又は第2水性ジョイント接着剤はフッ化水素酸(HF)に対する耐性が高く、またクロム含有耐食層50及び内層70をしっかり結合でき、あるいはアルミニウム箔層40及び内層70をしっかり結合できる。
第1又は第2水性ジョイント接着剤のこれらの特徴により、本発明の開示のAPF包材10は、フッ化水素酸(HF)に対する良好な耐性を有する。
第1又は第2水性ジョイント接着剤で使用するための修飾ポリオレフィン樹脂は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリブテン及びポリイソブチレンから成る群から選択される1種以上になり得る。修飾ポリオレフィン樹脂は15000−40000、好ましくは25000−35000の重量平均分子量(Mw)を有する。
ポリオレフィン樹脂を修飾するために、グラフト共重合体、ブロック共重合体又は低分子量化合物を分子セグメント系に相溶化剤として添加する。相溶化剤の添加により2つの不相溶相が物理的作用又は化学反応により相乗作用を得て、混和性を強化し、修飾系の性能を改善する。
修飾ポリオレフィン樹脂の選択は、化学的不活性さを考慮して行うものとする。修飾ポリオレフィン樹脂は、電解液中のエチレンカーボネート(EC)、ジエチルカーボネート(DEC)又はジメチルカーボネート(DMC)溶媒等の高極性溶媒、また発生する可能性があるフッ化水素酸(HF)に対する優れた耐性を有さなければならず、同時に、修飾ポリオレフィン樹脂は内層70又はアルミニウム箔層40に対する優れた接着特性も有していなければならない。
第1又は第2水性ジョイント接着剤で使用するためのエポキシ硬化剤は、脂肪族アミン、脂肪族環状アミン、アミドアミン、ポリアミド及びジシアンジアミドの1種又は任意の組み合わせになり得る。
第2水性ジョイント接着剤で使用するためのシランカップリング剤は、ホスフェートエステル官能基シラン、エポキシ官能基シラン、アミノシラン及びビニル官能基シランの1種又は任意の組み合わせになり得る。
シランカップリング剤の選択は、
(1)アルミニウム箔層40の金属面との高い反応性を有するか否か、
(2)内層70又はアルミニウム箔層40に対する良好な接着性を有するか否か、
(3)コールドスタンプによる形成に適し、妥当な伸び率を有する本発明のAPF包材10が得られるか、
を考慮して行うものとする。
シランカップリング剤を特にビニルシランカップリング剤と組み合わせたエポキシ系シランカップリング剤から生成する場合、エポキシ系シランカップリング剤のビニルシランカップリング剤に対する好ましい重量比は2:1−8:1である。エポキシ系シランカップリング剤の割合がビニルシランカップリング剤の割合に対して高くなるにつれて、電解液に耐性の内層70及びアルミニウム箔層40の接着強度は大幅に改善される。
シランカップリング剤は適切な量のビニルシランカップリング剤と組み合わせたエポキシ系シランカップリグ剤から構成されるため、ビニルシランカップリング剤のC=C二重結合は重合につながり、接着剤層60’の第2水性ジョイント接着剤の耐食能を上昇させ、フッ化水素酸(HF)に対する耐性を効果的に引き上げる。これに対して、シランカップリング剤を過剰量のビニルシランカップリング剤と組み合わせたエポキシ系シランカップリング剤から構成する場合、ビニルシランカップリング剤のC=C二重結合は他の分子と重合しすぎ、高分子量を有する重合体が生成される可能性があり、これは接着剤層60’の第2水性ジョイント接着剤の接着性にとって好ましくない。
ナノサイズ金属酸化物粒子は、二酸化ケイ素(SiO)、二酸化ジルコニウム(ZrO)、酸化アルミニウム(Al)、二酸化チタン(TiO)及び二酸化セリウム(CeO)の1種又は任意の組み合わせになり得る。選択したナノサイズ金属酸化物粒子は耐食処理における考えられ得るナノサイズの細孔欠陥を修復し、腐食防止性を改善することで、内層70又はアルミニウム箔層40への電解液耐性及び良好な接着強度の付与を支援する。
ナノサイズ金属酸化物粒子は、10−100nm、好ましくは20−50nmの粒径を有する。
6.内層70
図1−3に示すように、内層70は単層又は多層の熱可塑性樹脂フィルムから形成される。この熱可塑性樹脂フィルムはポリオレフィン系重合体フィルム、ポリオレフィン共重合体フィルム又はポリプロピレン、ポリエチレン、マレイン酸修飾ポリプロピレン、エチレン−アクリル酸エステル共重合体若しくはイオン結合含有重合体樹脂から形成される非延伸フィルムである。
内層70がリチウム電池の電解液と接触するため、内層70は、リチウム電池に組み立てる場合に、電解液耐性能を改善するためにヒートシール可能でなくてはならない。
内層70は10−80μmの厚さを有する。厚さが10μm未満ならば、内層70のヒートシール性が損なわれ、リチウム電池の一部の電気的性質が無効となる。さらに、厚さが80μmを超えると、内層70は、軽量で薄く短く小さいことが求められているリチウム電池の製造には使用できない。
開示のAPF包材10は水、フッ化水素酸(HF)及び高温に耐性であり、リチウム電池用のAPF包材にする場合、優れた耐食性、加工性及び溶媒耐性をもたらし、またリチウム電池の耐用寿命を効果的に延ばす。
以下の実施例により本発明を例証する。実施例は本発明の範囲を限定しない。以下の実施例及び比較例で提示するAPF包材の物理的性質は以下の試験により評価する。
1.プレス成形性の評価
上記の方法で得られたサンプルを150mm×200mmに切断し、既定の直径のパンチでパンチする冷間成形法に供した。サンプルに形成されたパンチ穴の深さに基づいて、サンプルの最大パンチ深さを測定し、サンプルを冷間成形法にうまく供せるか否かを評価する。測定されたパンチ深さが深ければ深いほど、サンプルは冷間成形法に供しやすい。
2.剥離強さ試験による電解液耐性の評価
電解液を、1.0MのLiPFをエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/1の溶液に添加することで用意した。次に、サンプルを幅15mmの細片に切断し、用意した電解液に85℃で4時間にわたって浸した。剥離強さ試験機によりアルミニウム箔層と最内層との間の剥離強さ(単位:N/mm)を評価する。
3.包装性の評価
電解液を、1.0MのLiPFをエチレンカーボネート/ジエチルカーボネート=1/1の溶液に添加することで用意した。上記の方法で得られたサンプルに、電解液注入後、ヒートシールを行う。保管1ヶ月後に、ヒートシールしたサンプルから電解液の漏れがあるかを確認した。
実施例1
1.アルミニウム箔用のクロム含有耐食層の形成
(1)脱脂処理:5.0%のNaOH水溶液を使用してアルミニウム箔の表面から油分を除去した。また、続いてアルミニウム箔を水ですすぎ、乾燥させた。
(2)不動態化コーティング:三価クロム(Cr3+)を含有する水性修飾樹脂溶液をアルミニウム箔の表面に塗布又は噴霧すると、厚さ20nmを有するクロム含有耐食層でコートされたアルミニウム箔が乾燥後に得られた。
2.ジョイント接着剤(A)の調製
(1)100重量部の水性修飾ポリオレフィン樹脂(Dow Chemical Companyから市販。重量平均分子量(Mw)=30000)及び1重量部のエポキシ含有硬化剤(Ya Chung Industrial Corporation Ltd.、台湾から市販)を順に表1にしたがってブレンド槽に加えた。
(2)ジョイント接着剤(A)が十分な混合後に得られた。
3.アルミニウムプラスチックフィルム(APF)包材の製造
(1)厚さ25μmを有する所定のポリエステルフィルム(Toyobo Corporation Ltd.、日本から市販)を基体層として使用した。
(2)厚さ40μmを有するポリプロピレンフィルムを内層として使用した。
(3)不動態化を経た、厚さ40μmを有する軟アルミニウム箔をアルミニウム箔層として使用した。
(4)ウレタン結合剤(Nan Ya Plastics Corporation Ltd.、台湾から市販)を使用して基体層をアルミニウム箔層に面で耐食処理なく結合させた。
(5)ジョイント接着剤(A)を使用して内層をアルミニウム箔層にその面でクロム含有耐食層と共に付着させた。
(6)積層体を60℃で5日にわたって熟成させるとAPF包材が得られた。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に挙げる。
実施例2
表1を参照する。今度はエポキシ系硬化剤を2重量部添加してジョイント接着剤組成物を得た。APF包材の作製に関する残りのパラメータは実施例1で用いたものと全て同じであった。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に挙げる。
実施例3
表1を参照する。今度はエポキシ系硬化剤を4重量部添加してジョイント接着剤組成物を得た。APF包材の作製に関する残りのパラメータは実施例1で用いたものと全て同じであった。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に挙げる。
実施例4
アルミニウム箔上にコートしたクロム含有耐食層の厚さを20nmから100nmに変更した以外は実施例3と同じである。APF包材の作製に関する残りのパラメータは実施例3で用いたものと全て同じであった。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に示す。
実施例5
1.実施例1と同じアルミニウム箔用のクロム含有耐食層の形成
2.ジョイント接着剤(B)の調製
(1)100重量部の水性修飾ポリオレフィン樹脂(Dow Chemical Companyから市販。Mw=30000)及び3重量部のエポキシ含有硬化剤(Ya Chung Industrial Corporation Ltd.、台湾から市販)を順に表1にしたがってブレンド槽に加え、よく混合した。
(2)0.2重量部のエポキシ官能基シラン、0.1重量部のビニル官能基シラン及び0.03重量部のナノサイズ二酸化ケイ素(SiO)を順に添加し、よく混合した。
(3)ジョイント接着剤(B)が十分な混合後に得られた。
3.アルミニウムプラスチックフィルム(APF)包材の製造
(1)厚さ25μmを有する所定のポリエステルフィルム(Toyobo Corporation Ltd.、日本から市販)を基体層として使用した。
(2)厚さ40μmを有するポリプロピレンフィルムを内層として使用した。
(3)表面脱脂処理を施し、厚さ40μmを有する軟アルミニウム箔をアルミニウム箔層として使用した。
(4)ウレタン結合剤(Nan Ya Plastics Corporation Ltd.、台湾から市販)を使用して基体層をアルミニウム箔層に結合させた。
(5)ジョイント接着剤(B)を使用して内層及びアルミニウム箔層を結合させた。
(6)積層体を60℃で5日にわたって熟成させるとAPF包材が得られた。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に挙げる。
実施例6
実施例5に対し、表1にしたがって、今度はエポキシ官能基シランを0.4重量部添加してジョイント接着剤組成物を得た。APF包材の作製に関する残りのパラメータは実施例5で用いたものと全て同じであった。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に挙げる。
実施例7
実施例5に対して、表1にしたがって、今度はエポキシ官能基シランを0.8重量部添加してジョイント接着剤組成物を得た。APF包材の作製に関する残りのパラメータは実施例5で用いたものと全て同じであった。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に挙げる。
実施例8
実施例6との比較で、表1にしたがって、ナノサイズ二酸化ケイ素(SiO)の代わりにナノサイズ二酸化アルミニウム(Al)を使用してジョイント接着剤組成物を得て、基体層をナイロン複合フィルムに変更した。APF包材の作製に関する残りのパラメータは実施例6で用いたものと全て同じであった。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に挙げる。
比較例1
1.アルミニウム箔の準備
(1)脱脂処理:5.0%のNaOH水溶液を使用してアルミニウム箔の表面から油分を除去する。また、続いてアルミニウム箔を水ですすぎ、乾燥させた。
2.ジョイント接着剤(A)の調製は実施例3と同じであった。
3.アルミニウムプラスチックフィルム(APF)包材の製造
(1)厚さ25μmを有する所定のポリエステルフィルム(Toyobo Corporation Ltd.、日本から市販)を基体層として使用した。
(2)厚さ40μmを有するポリプロピレンフィルムを内層として使用した。
(3)表面脱脂処理を施し、厚さ40μmを有する軟アルミニウム箔をアルミニウム箔層として使用した。
(4)ウレタン結合剤(Nan Ya Plastics Corporation Ltd.、台湾から市販)を使用して基体層をアルミニウム箔層に結合させた。
(5)ジョイント接着剤(A)を使用して内層をアルミニウム箔層に結合させた。
(6)積層体を60℃で5日にわたって熟成させるとAPF包材が得られた。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に挙げる。
比較例2
1.アルミニウム箔に厚さ10nmを有するクロム含有耐食層をコートした以外は、アルミニウム箔は実施例3と同じように準備した。
2.ジョイント接着剤(A)の調製は実施例3と同じであった。
3.アルミニウムプラスチックフィルム(APF)包材の製造は実施例3と同じであった。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に示す。
比較例3
実施例5に対して、表1にしたがって、今度はエポキシ官能基シランを0.1重量部添加してジョイント接着剤組成物を得た。APF包材の作製に関する残りのパラメータは実施例5で用いたものと全て同じであった。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に挙げる。
比較例4
ジョイント接着剤組成物にナノサイズ金属酸化物粒子を添加しないこと以外は、実施例6と同じである。APF包材の作製に関する残りのパラメータは実施例6で用いたものと全て同じであった。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に示す。
比較例5
基体層がポリエステルフィルムの代わりに厚さ25μmを有するナイロンフィルムであった以外は、実施例6と同じである。APF包材の作製に関する残りのパラメータは実施例6で用いたものと全て同じであった。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に挙げる。
比較例6
アルミニウム箔を六価クロム(Cr6+)で処理したこと以外は、実施例3と同じである。APF包材の作製に関する残りのパラメータは実施例3で用いたものと全て同じであった。
得られたAPF包材を分析し、詳細な結果を表1に挙げる。
Figure 0006622276
結論
1.全ての実施例1−8を比較例1と比較することで、APF包材の内層とアルミニウム箔層との間で、以下のやり方の1つを用いて耐食処理を施したならば、APF包材の電解液耐性が向上し、良好な接着強度を示すことは明らかである。
(1)クロム含有耐食層を三価クロムを含有する水性修飾樹脂から形成し、内層とアルミニウム箔層との間に積層する。
2)水性修飾樹脂、エポキシ硬化剤、シランカップリング剤及びナノサイズ金属酸化物粒子から生成した接着剤層と、クロム含有耐食層を、内層とアルミニウム箔層との間に積層する。
2.実施例1−3に示すように、エポキシ硬化剤の重量が増大するにつれて、内層及びアルミニウム箔層の電解液に対する接着強度が大幅に改善した。これは、上昇した架橋密度によりフッ化水素酸(HF)に対する耐性が効果的に改善されたからである。
3.実施例3、4を比較例2と比較することで、アルミニウム箔クロム含有耐食層が好ましくは厚さ20−100nmを有することは明らかである。
4.実施例5−7及び比較例3において、エポキシ系シランカップリング剤の割合がビニルシランカップリング剤の割合に対して高くなるにつれて、内層とアルミニウム箔層との間の領域の電解液に対する接着強度が顕著に改善された。これは、重合を促進するC=C二重結合を有する適切な量のビニルシランカップリング剤が耐食処理の密度を上昇させ、フッ化水素酸(HF)に対する耐性を効果的に改善できるからである。
これに対し、ビニルシランカップリング剤が過剰な場合、ビニルシランカップリング剤のC=C二重結合は他の分子と重合しすぎ、高分子量を有する重合体が生成される可能性があり、これは内層とアルミニウム箔層との間に施される非クロム耐食処理により形成される接着剤層の接着性にとって好ましくない。
5.実施例6、8及び比較例5ではナノサイズSiO又はAlを添加することで内層及びアルミニウム箔層に、電解液に対する改善された接着強度を付与した。これは、ナノサイズSiO又はAl粒子が非クロム耐食処理における考えられ得るナノサイズの細孔欠陥を修復し、腐食防止性を改善できるからである。
比較例4をナノサイズSiO及びAlなしで行ったため、電解液に対する接着強度は実施例6のものより劣った。
6.実施例3において、アルミニウム箔には脱脂処理及び三価クロム(Cr3+)耐食処理を施した。
実施例3に対して、比較例1のアルミニウム箔には脱脂処理のみを行い、クロム処理を施さなかった。その結果、比較例1の内層及びアルミニウム箔層は電解液への曝露後に互いに剥離し、内層とアルミニウム箔層との間に接着強度がないことを示した。
したがって、比較例1のアルミニウム箔層は、クロム処理を施されていないため、耐酸性ではないことが明らかである。
7.電解液耐性試験は、ナイロンフィルムから形成される比較例5の基体層を所定のポリエステルフィルムから形成される実施例6の基体層と比較することで行った。比較例5の基体層は著しく変色した。
したがって、実施例6の所定のポリエステルフィルムから形成された基体層が良好な溶媒耐性、際立ったパンチ抵抗能及び良好な加工性を有することは明らかである。
8.六価クロム(Cr6+)及び他の重金属の使用は一部の欧州諸国及び米国でいずれ禁止される。
実施例3では三価クロム(Cr3+)をアルミニウム箔の処理に使用し、比較例6では依然として六価クロム(Cr6+)をアルミニウム箔の処理に使用し、実施例3と同じジョイント接着剤を使用した。
実施例3を比較例6と比較すると、クロム含有耐食層が三価クロム(Cr3+)を含有する水性修飾樹脂から形成され、内層とアルミニウム箔層との間に積層されることが明らかであり、この構造的特徴は、実施例3の内層及びアルミニウム箔層の両方にとって電解液に対する優れた接着強度及び際立ったパンチ抵抗能を得るのに役立ち、六価クロム(Cr6+)修飾処理を施す比較例6と同様である。
一方、非クロム材料を内層とアルミニウム箔層との間に接着させる接着剤層に導入することで、実施例6及び8もまた電解液に対する優れた接着強度及び際立ったパンチ抵抗能を有する。
したがって、本発明は、耐食処理を三価クロム(Cr3+)修飾処理で行う、あるいは3価クロム(Cr3+)修飾処理の代わりに非クロム材料を導入することで、APF包材を効果的にフッ化水素酸(HF)耐性にできることを開示するものであることがわかる。

Claims (9)

  1. ポリオレフィン重合体又はポリオレフィン共重合体の薄膜から形成された10−80μm厚の内層と、順次積層結果としての最外層をなす所定のポリエステルフィルム又はナイロン−ポリエステル複合フィルムから形成された10−50μm厚の基体層と、軟アルミニウム箔から形成されて前記基体層に対し配置され脱脂処理又は化成処理が施された20−100μm厚のアルミニウム箔層と、を有するリチウム電池用積層構造をなすアルミニウムプラスチックフィルム包材であって、
    前記内層と前記アルミニウム箔層との間に介在する層であって、当該層の総重量当たりの重量百分率で(a)96−99.5重量%の水性修飾ポリオレフィン樹脂と(b)0.5−4重量%のエポキシ硬化剤のみが高温で硬化形成されてなる第1接着剤層と、
    前記アルミニウム箔層と前記第1接着剤層との間に介在する層であって、当該層の総成分当たりの重量百分率で(a)90−98重量%を占めるポリエステル樹脂とアクリル樹脂とフルオロカーボン樹脂とのうちの一又はいずれかの組合せの水性修飾樹脂と(b)1.5−9重量%のリン酸と(c)0.5−1.5重量%を占めるリン酸クロム又は硝酸クロムから選択される一以上の三価クロムのみからなり、高温で硬化されてなる非六価クロム材料から形成された20−100nm厚の耐食層と、を備えたことを特徴とする、
    リチウム電池用の積層構造をなすアルミニウムプラスチックフィルム包材。
  2. ポリオレフィン重合体又はポリオレフィン共重合体の薄膜から形成された10−80μm厚の内層と、
    順次積層結果としての最外層をなす所定のポリエステルフィルム又はナイロン−ポリエステル複合フィルムから形成された10−50μm厚の基体層と、
    軟アルミニウム箔から形成されて前記基体層に対し配置され脱脂処理又は化成処理が施された20−100μm厚のアルミニウム箔層と、を有するリチウム電池用積層構造をなすアルミニウムプラスチックフィルム包材であって、
    前記内層と前記アルミニウム箔層との間に介在する層であって、当該層の総重量当たりの重量百分率で(a)95−98重量%の水性修飾ポリオレフィン樹脂と(b)1−4重量%のエポキシ硬化剤と(c)0.2−1重量%のシランカップリング剤と(d)0.01−0.05重量%のナノサイズ金属酸化物粒子のみからなる第2接着剤層と、
    前記アルミニウム箔層と前記第2着剤層との間に介在する層であって、当該層の総成分当たりの重量百分率で(a)90−98重量%を占めるポリエステル樹脂とアクリル樹脂とフルオロカーボン樹脂とのうちの一又はいずれかの組合せの水性修飾樹脂と(b)1.5−9重量%のリン酸と(c)0.5−1.5重量%を占めるリン酸クロム又は硝酸クロムから選択される一以上の三価クロムのみからなり、高温で硬化されてなる非六価クロム材料から形成された20−100nm厚の耐食層と、を備えたことを特徴とする、
    リチウム電池用の積層構造をなすアルミニウムプラスチックフィルム包材。
  3. 請求項1に記載の前記第1接着剤層、又は、請求項2に記載の前記第2接着剤層の前記水性修飾ポリオレフィン樹脂は、重量平均分子量(Mw)15000−40000を有するとともに、水性修飾ポリエチレンとポリプロピレンとポリメチルペンテンとポリブテンとポリイソブチレンとのうちの一又はいずれかの組合せであることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリチウム電池用の積層構造をなすアルミニウムプラスチックフィルム包材。
  4. 請求項1に記載の前記第1接着剤層、又は、請求項2に記載の前記第2接着剤層の前記エポキシ硬化剤は、脂肪族アミンと脂肪族環状アミンとアミドアミンとポリアミドとジシアンジアミドとのうちの一又はいずれかの組合せである ことを特徴とする、請求項1又は2に記載のリチウム電池用の積層構造をなすアルミニウムプラスチックフィルム包材。
  5. 前記基体層の前記所定のポリエステルフィルムは、ポリブチレンテレフタレート(PBT)フィルム、ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム、PBTとPETとの共重合薄膜、PBTとポリトリメチレンテレフタレート(PPT)との共重合薄膜、PBTとポリエチレンナフタレート(PEN)との共重合薄膜、又はPBTとポリブチレンナフタレート(PBN)との共重合薄膜であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリチウム電池用の積層構造をなすアルミニウムプラスチックフィルム包材。
  6. 前記基体層の前記所定のポリエステルフィルムは、ポリエステル樹脂添加剤としてさらにポリアミドエラストマーが添加されることを特徴とする、請求項1又は2に記載のリチウム電池用の積層構造をなすアルミニウムプラスチックフィルム包材。
  7. 前記第2接着剤層の前記シランカップリング剤は、ホスフェートエステル官能基シランとエポキシ官能基シランとアミノシランと、ビニル官能基シランとの一又はいずれかの組み合わせであることを特徴とする、請求項2に記載のリチウム電池用の積層構造をなすアルミニウムプラスチックフィルム包材。
  8. 前記第2接着剤層の前記ナノサイズ金属酸化物粒子は、二酸化ケイ素(SiO)と、二酸化ジルコニウム(ZrO)と、酸化アルミニウム(Al)と、二酸化チタン(TiO)と、二酸化セリウム(CeO)と、のうちの一又はいずれかの組合せの粒径10−100nmの粒子であることを特徴とする、請求項2に記載のリチウム電池用の積層構造をなすアルミニウムプラスチックフィルム包材。
  9. 前記第2接着剤層の前記シランカップリング剤は、エポキシ系シランカップリング剤と、ビニルシランカップリング剤と、を当該エポキシ系シランカップリング剤の当該ビニルシランカップリング剤に対する重量比として2:1乃至8:1の範囲で組合せて形成されることを特徴とする、請求項2に記載のリチウム電池用の積層構造をなすアルミニウムプラスチックフィルム包材。
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