JP2003253127A - 導電性組成物およびその成形体 - Google Patents
導電性組成物およびその成形体Info
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Abstract
するだけで、等方的特性を有する燃料電池用セパレータ
を製造できる導電性組成物を提供する。 【解決手段】 偏光顕微鏡で観察したとき、平均サイズ
1〜5μmの結晶子がランダムに配向している黒鉛粒子
と、樹脂(フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイド
樹脂など)とで構成された導電性組成物を成形し、セパ
レータを得る。黒鉛粒子の平均粒子径(D50%)は1
0〜100μmである。黒鉛粒子は、黒鉛粗粒子と、こ
の黒鉛粗粒子よりも平均粒子径の小さな黒鉛細粒子とで
構成してもよい。前記黒鉛粗粒子と黒鉛細粒子との割合
は前者/後者=100/0〜40/60(重量比)であ
る。樹脂と黒鉛粒子との割合は10/90〜60/40
(重量比)である。
Description
体高分子型燃料電池、PEFCと称する)におけるセパ
レータおよびその製造方法に関する。
池は、電解質膜としての固体高分子膜(デュポン社のナ
フィオン膜やダウケミカル社のダウ膜など)と、この電
解質膜の両側に配設されたポーラスな黒鉛質ペーパー
(厚み0.1〜0.3mm程度)と、このペーパーの表
面に電極触媒として担持された白金合金触媒とを備えて
いる。また、前記黒鉛質ペーパーの外側には、ガス流路
である溝が形成された厚み1〜3mm程度の多孔質黒鉛
板と、厚み0.5mm程度の緻密質炭素板である平板セ
パレータとを順次配設してセルを構成したり、ガス流路
である溝が形成された厚み1〜3mm程度の緻密質炭素
板であるセパレータを配設してセルを構成している。
するガス不透過性、電気導電性、熱伝導性、機械強度、
耐酸性などが要求される。また、溝付きセパレータに
は、平板セパレータに対する要求性能に加えて、ガス流
路の寸法精度が高いことが要求される。
などの樹脂及び炭素粉末との混練物を平板に成形した
後、非酸化性雰囲気中で炭化又は黒鉛化処理することに
より炭素質又は黒鉛質の平板を形成し、さらに切削加工
により、平板の表面に溝を形成することにより製造され
ている。また、フェノール樹脂に代えて、炭化収率の高
い石油又は石炭系ピッチをバインダーとして用いて同様
に製造されている。
え、厚み方向の高い導電性(例えば、10-1〜10-3Ω
cm程度の導電性)が要求される。そのため、前述のよ
うに、フェノール樹脂やピッチと黒鉛粉末の成形板を炭
化することにより、フェノール樹脂やピッチの導電性の
低さを解消する必要がある。すなわち、セパレータの製
造には炭化工程が必要であり、樹脂成形体では、とうて
い燃料電池セパレータに必要な導電性には達し得ない。
て炭化させ、さらに2000℃以上の温度で熱処理する
ことにより黒鉛化処理を施し、全体が黒鉛化された炭素
質板を得ている。
化工程において板の反りや割れなどが生じて歩留まりが
低下すること、平板セパレータおよび溝付きセパレータ
のいずれも切削加工が必要なことなどの理由から、非常
にコスト高となる。さらに、炭化工程により、ガスに対
する不透過性が損なわれるため、さらに樹脂を含浸し炭
化処理をすることが必要となる。
た樹脂成形体が提案されている。例えば、特開2001
−126744号公報には、黒鉛粒子と、非炭素質熱可
塑性樹脂とで構成された燃料電池セパレータであって、
前記黒鉛粒子が、少なくとも平均粒子径(D50%)4
0〜120μmの黒鉛粗粒子を含む燃料電池セパレータ
が開示されている。この文献には、導電骨格としての黒
鉛粗粒子を黒鉛細粒子と組み合わせて使用することも記
載されている。しかし、前記黒鉛粗粒子(人造黒鉛な
ど)は、層状構造(又は黒鉛構造)が発達した扁平形状
の黒鉛である。そのため、成形体の特性が方向によって
大きく異なり、加熱圧縮成形や射出成形において、成形
する平板の厚み方向の電気抵抗を低減することが困難で
ある。
は、炭化又は黒鉛化することなく、高い成形性を有する
とともに、電気抵抗などの特性に関する方向性が低減さ
れた導電性組成物およびそれを用いた燃料電池用セパレ
ータ(特に固体高分子型燃料電池用セパレータ)を提供
することにある。
よび切削工程を経ることなく、単に成形又は賦型するだ
けで、等方的特性を有する成形体(燃料電池用セパレー
タなど)を製造するのに有用な導電性組成物を提供する
ことにある。
熱伝導性などの特性に加えて、厚みが薄く寸法精度の高
い溝(ガス流路)を有する平板状成形体(燃料電池用セ
パレータなど)を形成できる導電性組成物を提供するこ
とにある。
を達成するため鋭意検討した結果、黒鉛を構成する結晶
子がランダム方向に配向した黒鉛と樹脂とを組み合わせ
た組成物で平板を成形すると、炭化・黒鉛化工程および
切削工程を経ることなく、電気抵抗などの特性に関する
異方性を低減でき、実質的に等方性の導電性組成物が得
られることを見いだし、本発明を完成した。
粒子と樹脂とで構成された成形可能な導電性組成物であ
って、前記黒鉛粒子を構成する結晶子がランダムに配向
している。前記黒鉛粒子を偏光顕微鏡で観察すると、通
常、黒鉛粒子において、平均サイズ1〜10μmの結晶
子がランダムに配向している。前記黒鉛粒子の平均粒子
径(D50%)は、10〜100μm程度であってもよ
い。また、黒鉛粒子は、黒鉛粗粒子(例えば、平均粒子
径(D50%)10〜100μmの黒鉛粗粒子)と、こ
の黒鉛粗粒子よりも平均粒子径の小さな黒鉛細粒子とで
構成してもよい。例えば、黒鉛粗粒子の平均粒子径をD
1とするとき、黒鉛細粒子の平均粒子径(D50%)D
2は、D2=D1×0.05〜D1×0.5程度であっ
てもよい。黒鉛細粒子は、光学的異方性の人造黒鉛、天
然黒鉛粒子などから選択できる。黒鉛粗粒子と黒鉛細粒
子との割合は、例えば、前者/後者=100/0〜40
/60(重量比)程度であってもよい。
化性樹脂のいずれも使用でき、例えば、フェノール樹
脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などであってもよ
い。また、樹脂は、ポリフェニレンオキサイド樹脂とオ
レフィン系熱可塑性エラストマーとで構成してもよい。
樹脂と黒鉛粒子との割合は、前者/後者=10/90〜
60/40(重量比)程度である。
0mΩcm以下のプレート状成形体を成形可能である。
そのため、本発明の導電性組成物は、固体高分子型燃料
電池用セパレータを形成するのに有用である。さらに、
黒鉛粒子と樹脂とで構成された導電性プレートの導電性
を改善する方法において、前記黒鉛粒子として、結晶子
がランダムに配向した黒鉛粒子を用いると、導電性プレ
ートの厚み方向の導電性を改善できる。
例えば、500℃以下(特に350℃以下)の温度で熱
処理された樹脂又は成形履歴を受けた樹脂が含まれ、5
00℃(特に700℃)を越える温度で焼成した炭化又
は黒鉛化樹脂は含まない。
法によって容易に測定でき、得られる累積粒度分布曲線
より累積度20%、50%、80%点での粒子径を得る
ことができる。累積度50%の粒径を記号D50%で表
し、平均粒子径と称す。また、粒度分布の広がりは、累
積度20%粒度(D20%)と、累積度80%粒度(D
80%)との比で表すことができ、前記比(D80%/
D20%)を均斉度と呼ぶ。この均斉度の数値が大きい
と、大粒径から小粒径までさまざまな粒子からなるブロ
ードな粒度特性であることを示し、この数値が小さい
と、粒径が揃った粒度特性であることを示す。
性が要求される。そのため、「燃料電池用セパレータ」
を、「導電性プレート」と同義に用いるとともに、燃料
電池用セパレータ及び導電性プレートを単にプレート又
はセパレータと称する場合がある。
性樹脂組成物)は、特定の黒鉛粒子と樹脂(未炭化又は
未黒鉛化の非炭素質樹脂)とで構成されており、成形可
能である。
構成する結晶子(又はドメイン)がランダムに配向した
黒鉛粒子を使用する。すなわち。この黒鉛粒子の光学的
組織は、結晶子の配向軸がランダム方向に向いており、
偏光角の異なる多数のドメインを有している。また、ド
メイン(微細組織又は微細組織領域)は単一の結晶子で
構成されていてもよく、複数の結晶子の集合体(例え
ば、クラスター状集合体)で構成されていてもよい。そ
のため、偏光顕微鏡で観察すると、多数のドメイン(例
えば、微細組織のドメイン又は微細組織領域)がランダ
ム又はモザイク状に観察され、試料黒鉛粒子の回転に伴
って新たな多数のドメイン(微細組織領域)がランダム
又はモザイク状に出現する。
ど)の平均サイズは、例えば、1〜10μm、好ましく
は1〜8μm、さらに好ましくは1〜5μm(例えば、
2〜5μm)程度である。
は、例えば、ディレードコーキング法によりピッチから
得られるピッチコークスを、非酸化性雰囲気中で温度2
500℃以上(例えば、2500〜3300℃、特に2
500〜3000℃程度)で黒鉛化した後、乾式粉砕及
び分級により粒度調整することにより得ることができ
る。ピッチとしては、石油ピッチ系又は石炭系ピッチが
利用され、このようなピッチをコークス化することによ
りピッチコークス(例えば、光学的にモザイク状の組織
又はドメインを有するコークス)が得られる。また、焼
成においては、コークス単体またはコールタールピッチ
などの適当な粘結剤とともに成形した成形体を焼成する
場合が多い。
電性及び機械的特性を損なわない限り特に制限されず、
例えば、10〜120μm程度の範囲から選択でき、通
常、10〜100μm、好ましくは15〜100μm、
さらに好ましくは20〜80μm程度である。平均粒子
径の大きな黒鉛粒子(例えば、少なくとも平均粒子径1
0μm以上の粒子、特に平均粒子径50μm以上の粒
子)を利用すると、導電性黒鉛粒子表面を覆う樹脂量を
低減できる。そのため、樹脂の含有量が少なくても、等
方的特性、一体性、機械的強度の高いプレート(セパレ
ータなど)を高い成形性で得ることができるとともに、
炭化又は黒鉛化工程を経ることなく、高い導電性及び熱
伝導性のプレート(セパレータなど)を得ることができ
る。
(特に黒鉛粒子)を、平均粒子径40μm以上の黒鉛粒
子、例えば、平均粒子径50〜100μm、さらに好ま
しくは60〜100μm程度の黒鉛粒子(粗黒鉛粒子)
で構成するのが有効である。粗黒鉛粒子を用いると、個
々の導電粒子内の有効断面積を大きくすることができ、
内部抵抗を低減することに有効であるとともに、導電骨
格を形成することに有効である。また、成形体表面に露
出する粒子の面が大きくなることにより、成形体表面で
の接触抵抗を大きく低減できる効果がある。なお、黒鉛
粒子の平均粒子径は、成形方法などに応じて手選択でき
る。例えば、高い流動性が要求される成形法(例えば、
射出やシート成形法)では平均粒子径が小さな黒鉛粒子
(例えば、50μm以下の黒鉛粒子)が利用され、さほ
ど高い流動性が要求されない成形法(圧縮成形)では平
均粒子径の大きな黒鉛粒子(例えば、50〜100μm
程度の黒鉛粒子)が利用できる。
常、非球形の塊状粒子であり、無定形粒子である。黒鉛
粒子の粒度分布の均斉度(D80%/D20%)は、通
常、5〜12(好ましくは5〜10,さらに好ましくは
7〜10)程度である。
ルフタレート(DBP)を使用)による黒鉛粒子の吸油
量(DBP吸油量)は、粒子径にも依存するが、平均粒
子径80μmにおいて、通常、30〜70ml/100
g、好ましくは35〜65ml/100g、さらに好ま
しくは40〜60ml/100g程度である。また、平
均粒子径20〜80μmにおいて、黒鉛粒子のジブチル
フタレート(DBP)の吸油量は、例えば、40〜80
ml/100g、好ましくは45〜75ml/100
g、さらに好ましくは45〜65ml/100g程度で
ある。なお、平均粒子径1〜100μmでは、例えば、
DBP吸油量は、30〜120ml/100程度であ
る。DBP吸油量の小さな黒鉛粒子(例えば、45〜6
5ml/100g程度の黒鉛粒子)を用いると、導電性
黒鉛粒子表面を覆う樹脂量をさらに低減できる。そのた
め、樹脂の含有量が少なくても、炭化又は黒鉛化工程を
経ることなく、高い導電性及び熱伝導性を維持しなが
ら、ガス透過性が小さく、等方的特性、一体性、機械的
強度の高いプレート(セパレータなど)を高い成形性で
得ることができる。
た人造黒鉛や天然黒鉛に比べて、結晶性はやや低いが、
粒子の配列の方向による特性差を生じない。また、光学
的組織から明らかなように、黒鉛の層状構造が局所的か
つランダム又はモザイク状の形態で発達しているため、
粉砕しても黒鉛結晶の層間剪断と表面積の増加が起こり
にくく、DBP吸油量をコントロールしやすい。
断面の偏光顕微鏡観察を直交ニコルで観察することによ
り光学的組織として得られる。前記組織構造の黒鉛と異
なり、層状構造(又は黒鉛構造)が発達した高結晶性の
黒鉛粒子(天然又は人造黒鉛)の組織構造(光学的組
織)は、流れ縞模様の繊維状組織又は構造(繊維集合体
状のドメイン)であり、ドメインの平均サイズも20μ
m以上と大きい。
黒鉛の組織観察において、ランダム又はモザイク状にド
メインが存在する組織を有する黒鉛を「モザイク状黒
鉛」、高結晶性の黒鉛に特徴的に見られる繊維状の流れ
組織を有する黒鉛を「流れ組織黒鉛」という場合があ
る。
(又は黒鉛粒子)は少なくとも前記モザイク状黒鉛で構
成すればよく、黒鉛粒子は、成形性及び導電性を改善す
るため、平均粒子径の大きな粗粒子と、この粒子よりも
平均粒子径が小さく、前記粒子間の間隙に充填可能な細
粒子(黒鉛細粒子など)とを組み合わせてもよい。後者
の組み合わせにおいて、粗粒子及び細粒子のうち少なく
とも一方の粒子(すなわち、粗粒子、細粒子、又は双
方)を前記モザイク状黒鉛で構成すればよく、一方の粒
子をモザイク状黒鉛で構成し、他方の粒子を他の黒鉛粒
子(流れ組織黒鉛)で構成してもよい。好ましい態様で
は、少なくとも粗粒子をモザイク状黒鉛で構成され、粗
粒子及び細粒子をモザイク状黒鉛で構成してもよい。さ
らに、導電骨格を形成するため、黒鉛粒子は少なくとも
粗粒子であるのが好ましい。本発明において、モザイク
状黒鉛を主たる導電性成分(特にモザイク状黒鉛の粗粒
子)とし、流れ組織黒鉛を副成分(特に細粒子)として
使用してもよい。すなわち、前記モザイク状黒鉛粗粒子
は、流れ組織黒鉛細粒子と組み合わせて使用できる。
径が小さく、粗粒子間の間隙に充填可能であれば、種々
の黒鉛粒子が使用できる。粗粒子間の空隙を細粒子で埋
めることにより、導電性を大きく向上できる。
燃料電池用セパレータ(又は導電性プレート)は、少な
くともモザイク状黒鉛(例えば、平均粒子径(D50
%)10〜100μmの黒鉛粒子)を主要成分とし、樹
脂を必須成分とする組成物であり、必要によりさらに前
記モザイク組織黒鉛よりも平均粒子径が小さく、黒鉛粒
子間を充填可能な黒鉛細粒子を含む組成物で構成しても
よい。
子)としては、結晶構造が発達した種々の黒鉛粒子、例
えば、光学的異方性の人造黒鉛粒子、天然黒鉛粒子など
が例示できる。これらの流れ組織黒鉛粒子は単独で又は
二種以上組み合わせて使用できる。流れ組織黒鉛粒子
は、通常、細粒子として使用する場合が多い。
は、黒鉛粗粒子の平均粒子径をDlとするとき、D2=
Dl×0.001〜Dl×0.6程度の範囲から選択で
き、通常、Dl×0.01〜Dl×0.5、好ましくは
Dl×0.02〜Dl×0.5、特にDl×0.05〜
Dl×0.5程度である。
粒子径(D50%)は、黒鉛粗粒子の平均粒子径に応じ
て、例えば、0.1〜50μm程度の範囲から選択で
き、通常、1〜50μm、好ましくは5〜40μm、さ
らに好ましくは5〜30μm(例えば、10〜25μ
m)程度である。なお、導電性黒鉛粒子は、通常、少な
くとも50μm以上の粒子を含んでおり、平均粒子径
(D50%)10〜100μmの粒子(黒鉛粒子など)
で構成されている。
子とを組み合わせると、成形に伴って黒鉛粒子の高密度
充填が可能となり、プレートやセパレータに高い導電性
を有効に付与できる。さらに、自己潤滑性の高い黒鉛細
粒子の添加により成形に伴う内部応力が緩和され応力ひ
ずみが残存しにくくなり、プレートやセパレータに反り
や変形が生じるのを防止できる。
子)と黒鉛細粒子(例えば、流れ組織黒鉛細粒子)との
割合は、高い導電性を付与できる範囲、例えば、前者/
後者(重量比)=100/0〜40/60、好ましくは
100/0〜50/50、さらに好ましくは100/0
〜60/40、特に100/0〜70/30(例えば、
100/0〜80/20)程度である。また、モザイク
状黒鉛と流れ組織黒鉛との割合も上記粗粒子と細粒子と
の割合と同様の範囲から選択できる。
量部とすると、前記モザイク状黒鉛の含有量は、通常、
30〜95重量%(好ましくは35〜90重量%、特に
40〜80重量%)程度であり、流れ組織黒鉛細粒子の
含有量は、通常、0〜40%(好ましくは0〜20重量
%)程度である。
類は特に限定されず、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂か
ら選択でき、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを併用して
もよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィ
ン系樹脂(ポリプロピレン樹脂,エチレン−プロピレン
共重合体など)、ポリエステル系樹脂(ポリアルキレン
テレフタレート,ポリアルキレンナフタレート又はこれ
らのコポリエステル,ポリアリレート、液晶性ポリエス
テルなど)、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA
型ポリカーボネート樹脂など)、ポリスチレン系樹脂
(スチレンなどのスチレン系単量体の単独又は共重合
体、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、アク
リル系樹脂(メタクリル酸メチルなどのアクリル系単量
体の単独又は共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン
共重合体など)、ポリアミド樹脂(ポリアミド6,ポリ
アミド66,ポリアミド610など)、ポリフェニレン
エーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポ
リエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂
(ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂など)
などが例示できる。熱可塑性樹脂は単独で又は二種以上
組合わせて使用できる。
は、通常、80℃程度である。そのため、高温での耐久
性の高い樹脂(例えば、加水分解などによる劣化が生じ
にくいエンジニアリングプラスチックなど)が好まし
い。特に、前記熱可塑性樹脂のうち、成形性、耐薬品
性、耐久性、機械的強度などの点から、ポリフェニレン
スルフィド系樹脂が好ましい。
フェニレンスルフィド骨格を有していればよく、ポリフ
ェニレンスルフィドと同族ポリマー(例えば、ポリフェ
ニレンスルフィドケトンPPSK,ポリフェニレンスル
フィドスルホンPPSS,ポリビフェニレンスルフィド
PBPSなど)も含まれる。ポリフェニレンスルフィド
系樹脂は、部分的な架橋構造を有していてもよく、架橋
構造を有していなくてもよい。ポリフェニレンスルフィ
ド系樹脂は、直鎖構造を有する直鎖型(通常、リニア型
又はセミリニア型と称する)であってもよく、分岐構造
を有する分岐型であってもよいが、通常、直鎖型ポリフ
ェニレンスルフィド系樹脂が好ましい。さらに、ポリフ
ェニレンスルフィド系樹脂は、ベンゼン環に置換基(例
えば、C 1-4アルキル基など)を有していてもよい。
ル樹脂(フェノール類とホルムアルデヒドと必要により
共縮合成分との反応により生成する樹脂など)、フルフ
ラール樹脂、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキ
シ樹脂など)、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステ
ル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱硬化性アクリル樹
脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、アミノ
樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂など)などが例示でき
る。これらの熱硬化性樹脂は単独で又は二種以上組み合
わせて使用できる。好ましい熱硬化性樹脂には、フェノ
ール樹脂(レゾール型フェノール樹脂、特にノボラック
型フェノール樹脂)が含まれる。
付与するため、樹脂(例えば、ポリフェニレンオキサイ
ド樹脂)は、エラストマー(熱可塑性エラストマー)と
組み合わせて使用してもよい。エラストマーとしては、
例えば、ポリエステル系エラストマー(アルキレンアリ
レート単位を硬質成分とし、脂肪族ポリエーテルや脂肪
族ポリエステルを軟質成分とするポリエステル系熱可塑
性エラストマーなど)、ポリアミド系エラストマー(ポ
リアミドを硬質成分とし、脂肪族ポリエーテルや脂肪族
ポリエステルを軟質成分とする熱可塑性エラストマーな
ど)、ポリウレタン系エラストマー(短鎖グリコールの
ポリウレタンを硬質成分とし、脂肪族ポリエーテルや脂
肪族ポリエステルを軟質成分とする熱可塑性エラストマ
ーなど)、ポリスチレン系エラストマー(ポリスチレン
を硬質成分とし、ポリブタジエン、ポリイソプレンやそ
れらの水添ポリジエンを軟質成分とする熱可塑性エラス
トマーなど)、オレフィン系エラストマー(ポリプロピ
レンなどを硬質成分とし、エチレン−プロピレンゴムや
エチレン−プロピレン−ジエンゴムなどを軟質成分とす
る熱可塑性エラストマーなど)などが例示できる。これ
らのエラストマーは単独で又は二種以上組み合わせて使
用できる。これらのエラストマーのうち、オレフィン系
エラストマーを用いる場合が多い。これらの熱可塑性エ
ラストマーは、トリブロック構造、マルチブロック構
造、星形構造などの種々のブロック構造を有していても
よい。
度などの特性を損なわない範囲、例えば、前者/後者=
100/0〜75/25(重量部)、好ましくは100
/0〜80/20(重量部)、さらに好ましくは100
/0〜85/15(重量部)程度である。
流れ組織黒鉛を含む)との割合は、導電性,機械的強度
や熱伝導性などを損なわない範囲、例えば、前者/後者
=5/95〜60/40(重量比)程度の範囲から選択
でき、通常、10/90〜60/40(重量比)、好ま
しくは15/85〜55/45(重量比)、さらに好ま
しくは20/80〜50/50(重量比)程度である。
黒鉛粒子の含有量が40重量%未満であると、導電性及
び熱伝導性に不足し、95重量%を越えると成形性・強
度が低下し、ガス透過率も大きくなる。
繊維を含んでいてもよい。炭素繊維の種類は制限され
ず、石油系又は石炭系のピッチ系炭素繊維、PAN(ポ
リアクリロニトリル)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊
維、フェノール樹脂系炭素繊維などが使用できる。炭素
繊維の平均繊維径は、例えば、0.5〜50μm、好ま
しくは1〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmの
範囲から選択できる。炭素繊維の平均繊維長は、適当に
選択でき、例えば、10μm〜5mm、好ましくは20
μm〜3mm程度である。炭素繊維の使用量は、導電性
組成物(又はセパレータ)全体の1〜10重量%程度の
範囲から選択できる。
じて導電性カーボンブラック(ファーネスブラック、ア
セチレンブラック、ケッチェンブラックなど)、コロイ
ダル黒鉛などの導電性微粒子を導電性組成物に添加して
もよい。この導電性微粒子は、前記導電性細粒子と置き
換えて含有させてもよい。
(樹脂複合材料)には、必要に応じて、カップリング
剤、離型剤、潤滑剤、可塑剤、硬化剤、硬化助剤、安定
剤などを配合してもよい。
有量は、例えば、5〜45重量%、さらに好ましくは5
〜40重量%(例えば、10〜40重量%)、特に15
〜40重量%(例えば、20〜40重量%)程度であ
る。
少なくても成形性に優れ、種々の成形体を成形するのに
有用であり、体積抵抗100mΩcm以下のプレート状
成形体を高い寸法精度で成形可能である。特に、厚み方
向の導電性を改善できるので、導電性プレート(又はセ
パレータ(特に固体高分子型燃料電池用セパレータな
ど))を成形するのに適している。そのため、本発明
は、黒鉛粒子と樹脂とで構成された導電性プレートにお
いて、前記黒鉛粒子として、結晶子がランダムに配向し
た黒鉛粒子を用いることにより、導電性プレートの厚み
方向の導電性を改善する方法も開示する。
体高分子型燃料電池用セパレータなど)は、炭化又は黒
鉛化工程を経ることなく、電気絶縁性の樹脂を含むにも
拘わらず、厚み方向の体積抵抗が小さく、曲げ強度が高
いという特色がある。プレート又はセパレータの厚さ方
向の体積抵抗は、1〜150mΩcm、好ましくは1〜
100mΩcm(例えば、10〜100mΩcm)程度
である。セパレータの厚み方向の熱伝導率は2〜60W
/mK(例えば、3〜60W/mK)、好ましくは5〜
60W/mK、さらに好ましくは10〜60W/mK程
度であってもよい。
1.1〜2.2g/cm3程度の範囲から選択でき、例
えば、1.7〜2.1g/cm3、好ましくは1.8〜
2.1g/cm3(例えば、1.8〜2g/cm3)であ
る。
200MPa(例えば、30〜150MPa)、好まし
くは50〜200MPa程度であり、セパレータの厚み
は、例えば、0.5〜3mm、好ましくは0.8〜2.
5mm(例えば、1〜2mm)程度である。
成樹脂に対する慣用の成形法、例えば、射出成形又は圧
縮成形により製造できる。射出成形では、前記樹脂,導
電性粒子(黒鉛粒子など)、および必要によりカーボン
ブラックや炭素繊維で構成された複合材成分(樹脂組成
物)を溶融混練し(必要によりペレットを調製して溶融
混練し)、所定の金型に射出成形することにより平板状
プレート(平板状セパレータ)を製造できる。圧縮成形
では、例えば、圧力2〜200MPa(例えば、10〜
100MPa)、温度100〜300℃程度で、前記複
合材成分(樹脂組成物)を金型内で加熱して加圧成形す
ることにより平板状プレート(平板状セパレータ)を製
造できる。
ンピング成形法、例えば、樹脂組成物(複合材)を、慣
用の方法でシート成形し、このシートをスタンピング法
により成形することにより製造してもよい。シート成形
においては、熱可塑性樹脂中に導電性粒子を均一に分散
できる種々の方法、例えば、樹脂組成物を加熱混練して
シート状に押し出す押し出し成形法、熱ロールにより圧
延した後、冷却してシートを作製するカレンダ加工法、
ロールプレス法などが利用できる。なお、シート成形に
おいては、組織が緻密な導電性シート又は燃料電池用セ
パレータを得るため、気孔率20%以下(特に10%以
下)に加熱加圧するのが有利である。本発明では、2m
m以下のプレート状成形体であっても高い寸法精度で成
形できる。そのため、成形により得られる複合シートの
厚みは、特に制限されないが、例えば、1〜10mm、
好ましくは1〜5mm(例えば、1〜4mm)程度であ
る。
択でき、平滑面又平坦面を有する金型を用いて、平滑面
を有する平板状セパレータを成形してもよく、凹凸部を
有する金型(特に連続した凸部(突条)又は溝を有する
溝付き金型)を用いることにより凹凸部を有するセパレ
ータ(特に溝付きセパレータ)を成形してもよい。
び切削工程を経ることなく、炭化温度以下で成形・賦型
するだけで効率よく経済的にセパレータを製造できる。
さらに成形金型として、連続した凸部(突条)又は溝を
形成した金型(射出成形や圧縮成形法では、キャビティ
側及びコア側のうち少なくとも一方(特にコア側)に連
続した凸部(突条)又は溝を形成した金型)を用いるこ
とにより、溝付きセパレータを低コストでありながら高
い精度で得ることができる。
固体高分子膜を電解質膜とする固体高分子型燃料電池用
セパレータとして有用である。
め、炭化又は黒鉛化することなく、高い成形性を有する
とともに、電気抵抗などの特性に関する方向性を低減で
き、等方的特性の成形体を得ることができる。特に、厚
み方向の導電性を向上できる。さらに、高い導電性,熱
伝導性などの特性に加えて、寸法精度の高い溝(ガス流
路)を形成できる。そのため、本発明は、炭化・黒鉛化
工程及び切削工程を経ることなく、ガス不透過性、電気
導電性、熱伝導性、機械強度、耐酸性などの諸特性に優
れる燃料電池用セパレータ(特に固体高分子型燃料電池
用セパレータ)に有効に適用できる。
に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定され
るものではない。なお、実施例及び比較例において、下
記の材料を用いた。
学的組織を有する黒鉛粒子) ディレードコーキング法で得られたコークスを、アルゴ
ン雰囲気中、温度2800℃で黒鉛化した後、粉砕分級
することにより、光学的(偏光顕微鏡での光学異方性観
察において)にモザイク状の組織を有する人造黒鉛粒子
を得た。なお、図1および図2にモザイク状黒鉛の偏光
顕微鏡写真を示す。この黒鉛を粉砕分級して以下の黒鉛
粒子を得た。
粒子は、D20%=21μm、D80%=160μmで
あり、均斉度D80%/D20%=7.6であり、BE
T比表面積は4m2/g、DBP吸油量50cc/10
0gであった。この黒鉛粒子のJIS−R−7222に
よるブタノール置換真比重は2.10であった。
粒子は、D20%=10μm、D80%=98μmであ
り、均斉度D80%/D20%=9.8であり、BET
比表面積は7m2/g、DBP吸油量57cc/100
gであった。この黒鉛粒子のJIS−R−7222によ
るブタノール置換真比重は2.10であった。
粒子は、D20%=6.6μm、D80%=62μmで
あり、均斉度D80%/D20%=9.4であり、BE
T比表面積は9m2/g、DBP吸油量60cc/10
0gであった。この黒鉛粒子のJIS−R−7222に
よるブタノール置換真比重は2.10であった。
粒子は、D20%=6.0μm、D80%=56μmで
あり、均斉度D80%/D20%=9.3であり、BE
T比表面積10m2/g、DBP吸油量65cc/10
0gであった。この黒鉛粒子のJIS−R−7222に
よるブタノール置換真比重は2.10であった。
有する黒鉛粒子) ニードルコークスを温度2800℃で黒鉛化し、光学的
(偏光顕微鏡での光学異方性観察において)に20μm
以上の大きさを有する高結晶性の繊維状流れ状の組織を
有する)人造黒鉛細粒子を得た。なお、図3および図4
に流れ組織黒鉛の偏光顕微鏡写真を示す。この黒鉛を粉
砕分級することにより下記の黒鉛粒子を調製した。
の黒鉛粒子は、D20%=71μm、D80%=175
μmであり、均斉度D80%/D20%=2.5であ
り、BET比表面積は2m2/g、DBP吸油量66c
c/100gであった。この黒鉛粒子のJIS−R−7
222によるブタノール置換真比重は2.24であっ
た。
粒子は、D20%=10μm、D80%=42μmであ
り、均斉度D80%/D20%=4.2であり、BET
比表面積は8m2/g、DBP吸油量80cc/100
gであった。この黒鉛粒子のJIS−R−7222によ
るブタノール置換真比重は2.24であった。
粒子は、D20%=4.5μm、D80%=16μmで
あり、均斉度D80%/D20%=3.6であり、JI
S−R−7222によるブタノール置換真比重は2.1
0であった。
(株)製、「3050」) (4)樹脂 (4a)粉末状ポリフェニレンスルフィド系樹脂PPS
((株)トープレン製、「H−1」、平均粒子径10μ
m) (4b)エラストマ複合粉末状ポリフェニレンスルフィ
ド系樹脂(オレフィン系エラストマーを5重量%の割合
で含む樹脂(4a)、(株)トープレン製、「H−1
E」、平均粒子径20μm) (4c)粉末状フェノール樹脂(カネボウ(株)製、
「ベルパール」、平均粒子径20μm)
分間乾式混合した。この粉末混合物を金型に投入し、成
形圧力5MPa、320℃×20分間の条件でプレス成
形した。なお、フェノール樹脂を用いる場合には、成形
圧力5MPa、180℃×20分間の条件でプレス成形
した。
において、種々物性の測定は常法に基づいて行った。成
形性については、表面状態を熟練者が目視により判定し
た。
微鏡写真(倍率150倍)である。
微鏡写真(倍率750倍)である。
鏡写真(倍率150倍)である。
鏡写真(倍率750倍)である。
Claims (12)
- 【請求項1】 黒鉛粒子と樹脂とで構成された成形可能
な導電性組成物であって、前記黒鉛粒子を構成する結晶
子がランダムに配向している導電性組成物。 - 【請求項2】 黒鉛粒子を偏光顕微鏡で観察したとき、
平均サイズ1〜10μmの結晶子がランダムに配向して
いる請求項1記載の導電性組成物。 - 【請求項3】 黒鉛粒子の平均粒子径(D50%)が1
0〜100μmである請求項1記載の導電性組成物。 - 【請求項4】 黒鉛粒子が、黒鉛粗粒子と、この黒鉛粗
粒子よりも平均粒子径の小さな黒鉛細粒子とで構成さ
れ、前記黒鉛粗粒子と黒鉛細粒子との割合が前者/後者
=100/0〜40/60(重量比)である請求項1記
載の導電性組成物。 - 【請求項5】 黒鉛粗粒子の平均粒子径をD1とすると
き、黒鉛細粒子の平均粒子径(D50%)D2が、D2
=D1×0.05〜D1×0.5である請求項4記載の
導電性組成物。 - 【請求項6】 黒鉛細粒子が、光学的異方性の人造黒鉛
および天然黒鉛粒子から選択された少なくとも一種であ
る請求項4又は5記載の導電性組成物。 - 【請求項7】 樹脂が、フェノール樹脂又はポリフェニ
レンオキサイド樹脂である請求項1記載の導電性組成
物。 - 【請求項8】 樹脂が、ポリフェニレンオキサイド樹脂
とオレフィン系熱可塑性エラストマーとで構成されてい
る請求項1記載の導電性組成物。 - 【請求項9】 樹脂と黒鉛粒子との割合が、前者/後者
=10/90〜60/40(重量比)である請求項1記
載の導電性組成物。 - 【請求項10】 体積抵抗100mΩcm以下のプレー
ト状成形体を成形可能である請求項1記載の導電性組成
物。 - 【請求項11】 請求項1記載の組成物で構成されてい
る固体高分子型燃料電池用セパレータ。 - 【請求項12】 黒鉛粒子と樹脂とで構成された導電性
プレートの導電性を改善する方法であって、前記黒鉛粒
子として、結晶子がランダムに配向した黒鉛粒子を用
い、導電性プレートの厚み方向の導電性を改善する方
法。
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