JP4067317B2 - 導電性組成物およびその成形体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池(特に固体高分子型燃料電池、PEFCと称する)におけるセパレータおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池、例えば、固体高分子型燃料電池は、電解質膜としての固体高分子膜(デュポン社のナフィオン膜やダウケミカル社のダウ膜など)と、この電解質膜の両側に配設されたポーラスな黒鉛質ペーパー(厚み0.1〜0.3mm程度)と、このペーパーの表面に電極触媒として担持された白金合金触媒とを備えている。また、前記黒鉛質ペーパーの外側には、ガス流路である溝が形成された厚み1〜3mm程度の多孔質黒鉛板と、厚み0.5mm程度の緻密質炭素板である平板セパレータとを順次配設してセルを構成したり、ガス流路である溝が形成された厚み1〜3mm程度の緻密質炭素板であるセパレータを配設してセルを構成している。
【0003】
前記平板セパレータには、酸素、水素に対するガス不透過性、電気導電性、熱伝導性、機械強度、耐酸性などが要求される。また、溝付きセパレータには、平板セパレータに対する要求性能に加えて、ガス流路の寸法精度が高いことが要求される。
【0004】
このようなセパレータは、フェノール樹脂などの樹脂及び炭素粉末との混練物を平板に成形した後、非酸化性雰囲気中で炭化又は黒鉛化処理することにより炭素質又は黒鉛質の平板を形成し、さらに切削加工により、平板の表面に溝を形成することにより製造されている。また、フェノール樹脂に代えて、炭化収率の高い石油又は石炭系ピッチをバインダーとして用いて同様に製造されている。
【0005】
しかし、セパレータにはガス不透過性に加え、厚み方向の高い導電性(例えば、10-1〜10-3Ωcm程度の導電性)が要求される。そのため、前述のように、フェノール樹脂やピッチと黒鉛粉末の成形板を炭化することにより、フェノール樹脂やピッチの導電性の低さを解消する必要がある。すなわち、セパレータの製造には炭化工程が必要であり、樹脂成形体では、とうてい燃料電池セパレータに必要な導電性には達し得ない。
【0006】
そこで、成形板を不活性雰囲気中で焼成して炭化させ、さらに2000℃以上の温度で熱処理することにより黒鉛化処理を施し、全体が黒鉛化された炭素質板を得ている。
【0007】
しかし、この方法は、重縮合反応を伴う炭化工程において板の反りや割れなどが生じて歩留まりが低下すること、平板セパレータおよび溝付きセパレータのいずれも切削加工が必要なことなどの理由から、非常にコスト高となる。さらに、炭化工程により、ガスに対する不透過性が損なわれるため、さらに樹脂を含浸し炭化処理をすることが必要となる。
【0008】
これに対して、高結晶性の人造黒鉛を用いた樹脂成形体が提案されている。例えば、特開2001−126744号公報には、黒鉛粒子と、非炭素質熱可塑性樹脂とで構成された燃料電池セパレータであって、前記黒鉛粒子が、少なくとも平均粒子径(D50%)40〜120μmの黒鉛粗粒子を含む燃料電池セパレータが開示されている。この文献には、導電骨格としての黒鉛粗粒子を黒鉛細粒子と組み合わせて使用することも記載されている。しかし、前記黒鉛粗粒子(人造黒鉛など)は、層状構造(又は黒鉛構造)が発達した扁平形状の黒鉛である。そのため、成形体の特性が方向によって大きく異なり、加熱圧縮成形や射出成形において、成形する平板の厚み方向の電気抵抗を低減することが困難である。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、炭化又は黒鉛化することなく、高い成形性を有するとともに、電気抵抗などの特性に関する方向性が低減された導電性組成物およびそれを用いた燃料電池用セパレータ(特に固体高分子型燃料電池用セパレータ)を提供することにある。
【0010】
本発明の他の目的は、炭化・黒鉛化工程および切削工程を経ることなく、単に成形又は賦型するだけで、等方的特性を有する成形体(燃料電池用セパレータなど)を製造するのに有用な導電性組成物を提供することにある。
【0011】
本発明のさらに他の目的は、高い導電性,熱伝導性などの特性に加えて、厚みが薄く寸法精度の高い溝(ガス流路)を有する平板状成形体(燃料電池用セパレータなど)を形成できる導電性組成物を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、前記課題を達成するため鋭意検討した結果、黒鉛を構成する結晶子がランダム方向に配向した黒鉛と樹脂とを組み合わせた組成物で平板を成形すると、炭化・黒鉛化工程および切削工程を経ることなく、電気抵抗などの特性に関する異方性を低減でき、実質的に等方性の導電性組成物が得られることを見いだし、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明の固体高分子型燃料電池用セパレータを構成する導電性組成物は、黒鉛粒子と樹脂とで構成された成形可能な導電性組成物であって、前記黒鉛粒子を構成する結晶子がランダムに配向している。前記黒鉛粒子を偏光顕微鏡で観察すると、通常、黒鉛粒子において、平均サイズ1〜10μmの結晶子がランダムに配向している。前記黒鉛粒子の平均粒子径(D50%)は、10〜100μm程度であってもよい。また、黒鉛粒子は、黒鉛粗粒子(例えば、平均粒子径(D50%)10〜100μmの黒鉛粗粒子)と、この黒鉛粗粒子よりも平均粒子径の小さな黒鉛細粒子とで構成してもよい。例えば、黒鉛粗粒子の平均粒子径をD1とするとき、黒鉛細粒子の平均粒子径(D50%)D2は、D2=D1×0.05〜D1×0.5程度であってもよい。黒鉛細粒子は、光学的異方性の人造黒鉛、天然黒鉛粒子などから選択できる。黒鉛粗粒子と黒鉛細粒子との割合は、例えば、前者/後者=100/0〜40/60(重量比)程度であってもよい。
【0014】
前記樹脂としては、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂のいずれも使用でき、例えば、フェノール樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂などであってもよい。また、樹脂は、ポリフェニレンオキサイド樹脂とオレフィン系熱可塑性エラストマーとで構成してもよい。樹脂と黒鉛粒子との割合は、前者/後者=10/90〜60/40(重量比)程度である。
【0015】
このような導電性組成物は、体積抵抗100mΩcm以下のプレート状成形体を成形可能である。そのため、本発明の導電性組成物は、固体高分子型燃料電池用セパレータを形成するのに有用である。さらに、黒鉛粒子と樹脂とで構成された導電性プレート(固体高分子型燃料電池用セパレータ)の導電性を改善する方法において、前記黒鉛粒子として、結晶子がランダムに配向した黒鉛粒子を用いると、導電性プレート(固体高分子型燃料電池用セパレータ)の厚み方向の導電性を改善できる。
【0016】
なお、本明細書において、「樹脂」とは、例えば、500℃以下(特に350℃以下)の温度で熱処理された樹脂又は成形履歴を受けた樹脂が含まれ、500℃(特に700℃)を越える温度で焼成した炭化又は黒鉛化樹脂は含まない。
【0017】
粉体粒子群の粒度分布は、レーザー光回折法によって容易に測定でき、得られる累積粒度分布曲線より累積度20%、50%、80%点での粒子径を得ることができる。累積度50%の粒径を記号D50%で表し、平均粒子径と称す。また、粒度分布の広がりは、累積度20%粒度(D20%)と、累積度80%粒度(D80%)との比で表すことができ、前記比(D80%/D20%)を均斉度と呼ぶ。この均斉度の数値が大きいと、大粒径から小粒径までさまざまな粒子からなるブロードな粒度特性であることを示し、この数値が小さいと、粒径が揃った粒度特性であることを示す。
【0018】
なお、燃料電池用セパレータには高い導電性が要求される。そのため、「燃料電池用セパレータ」を、「導電性プレート」と同義に用いるとともに、燃料電池用セパレータ及び導電性プレートを単にプレート又はセパレータと称する場合がある。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の導電性組成物(又は導電性樹脂組成物)は、特定の黒鉛粒子と樹脂(未炭化又は未黒鉛化の非炭素質樹脂)とで構成されており、成形可能である。
【0020】
本発明では、黒鉛粒子として、黒鉛粒子を構成する結晶子(又はドメイン)がランダムに配向した黒鉛粒子を使用する。すなわち。この黒鉛粒子の光学的組織は、結晶子の配向軸がランダム方向に向いており、偏光角の異なる多数のドメインを有している。また、ドメイン(微細組織又は微細組織領域)は単一の結晶子で構成されていてもよく、複数の結晶子の集合体(例えば、クラスター状集合体)で構成されていてもよい。そのため、偏光顕微鏡で観察すると、多数のドメイン(例えば、微細組織のドメイン又は微細組織領域)がランダム又はモザイク状に観察され、試料黒鉛粒子の回転に伴って新たな多数のドメイン(微細組織領域)がランダム又はモザイク状に出現する。
【0021】
前記結晶子又はドメイン(微細組織領域など)の平均サイズは、例えば、1〜10μm、好ましくは1〜8μm、さらに好ましくは1〜5μm(例えば、2〜5μm)程度である。
【0022】
このような組織又は構造を有する黒鉛粒子は、例えば、ディレードコーキング法によりピッチから得られるピッチコークスを、非酸化性雰囲気中で温度2500℃以上(例えば、2500〜3300℃、特に2500〜3000℃程度)で黒鉛化した後、乾式粉砕及び分級により粒度調整することにより得ることができる。ピッチとしては、石油ピッチ系又は石炭系ピッチが利用され、このようなピッチをコークス化することによりピッチコークス(例えば、光学的にモザイク状の組織又はドメインを有するコークス)が得られる。また、焼成においては、コークス単体またはコールタールピッチなどの適当な粘結剤とともに成形した成形体を焼成する場合が多い。
【0023】
黒鉛粒子の平均粒子径(D50%)は、導電性及び機械的特性を損なわない限り特に制限されず、例えば、10〜120μm程度の範囲から選択でき、通常、10〜100μm、好ましくは15〜100μm、さらに好ましくは20〜80μm程度である。平均粒子径の大きな黒鉛粒子(例えば、少なくとも平均粒子径10μm以上の粒子、特に平均粒子径50μm以上の粒子)を利用すると、導電性黒鉛粒子表面を覆う樹脂量を低減できる。そのため、樹脂の含有量が少なくても、等方的特性、一体性、機械的強度の高いプレート(セパレータなど)を高い成形性で得ることができるとともに、炭化又は黒鉛化工程を経ることなく、高い導電性及び熱伝導性のプレート(セパレータなど)を得ることができる。
【0024】
導電性を改善するためには、導電性成分(特に黒鉛粒子)を、平均粒子径40μm以上の黒鉛粒子、例えば、平均粒子径50〜100μm、さらに好ましくは60〜100μm程度の黒鉛粒子(粗黒鉛粒子)で構成するのが有効である。粗黒鉛粒子を用いると、個々の導電粒子内の有効断面積を大きくすることができ、内部抵抗を低減することに有効であるとともに、導電骨格を形成することに有効である。また、成形体表面に露出する粒子の面が大きくなることにより、成形体表面での接触抵抗を大きく低減できる効果がある。なお、黒鉛粒子の平均粒子径は、成形方法などに応じて手選択できる。例えば、高い流動性が要求される成形法(例えば、射出やシート成形法)では平均粒子径が小さな黒鉛粒子(例えば、50μm以下の黒鉛粒子)が利用され、さほど高い流動性が要求されない成形法(圧縮成形)では平均粒子径の大きな黒鉛粒子(例えば、50〜100μm程度の黒鉛粒子)が利用できる。
【0025】
黒鉛粒子の形態は特に制限されないが、通常、非球形の塊状粒子であり、無定形粒子である。黒鉛粒子の粒度分布の均斉度(D80%/D20%)は、通常、5〜12(好ましくは5〜10,さらに好ましくは7〜10)程度である。
【0026】
JISK6221に規定するA法(ジブチルフタレート(DBP)を使用)による黒鉛粒子の吸油量(DBP吸油量)は、粒子径にも依存するが、平均粒子径80μmにおいて、通常、30〜70ml/100g、好ましくは35〜65ml/100g、さらに好ましくは40〜60ml/100g程度である。また、平均粒子径20〜80μmにおいて、黒鉛粒子のジブチルフタレート(DBP)の吸油量は、例えば、40〜80ml/100g、好ましくは45〜75ml/100g、さらに好ましくは45〜65ml/100g程度である。なお、平均粒子径1〜100μmでは、例えば、DBP吸油量は、30〜120ml/100程度である。DBP吸油量の小さな黒鉛粒子(例えば、45〜65ml/100g程度の黒鉛粒子)を用いると、導電性黒鉛粒子表面を覆う樹脂量をさらに低減できる。そのため、樹脂の含有量が少なくても、炭化又は黒鉛化工程を経ることなく、高い導電性及び熱伝導性を維持しながら、ガス透過性が小さく、等方的特性、一体性、機械的強度の高いプレート(セパレータなど)を高い成形性で得ることができる。
【0027】
このような黒鉛粒子は、結晶構造が発達した人造黒鉛や天然黒鉛に比べて、結晶性はやや低いが、粒子の配列の方向による特性差を生じない。また、光学的組織から明らかなように、黒鉛の層状構造が局所的かつランダム又はモザイク状の形態で発達しているため、粉砕しても黒鉛結晶の層間剪断と表面積の増加が起こりにくく、DBP吸油量をコントロールしやすい。
【0028】
なお、黒鉛の組織構造は、例えば、成形板断面の偏光顕微鏡観察を直交ニコルで観察することにより光学的組織として得られる。前記組織構造の黒鉛と異なり、層状構造(又は黒鉛構造)が発達した高結晶性の黒鉛粒子(天然又は人造黒鉛)の組織構造(光学的組織)は、流れ縞模様の繊維状組織又は構造(繊維集合体状のドメイン)であり、ドメインの平均サイズも20μm以上と大きい。
【0029】
以下、本明細書において、偏光顕微鏡での黒鉛の組織観察において、ランダム又はモザイク状にドメインが存在する組織を有する黒鉛を「モザイク状黒鉛」、高結晶性の黒鉛に特徴的に見られる繊維状の流れ組織を有する黒鉛を「流れ組織黒鉛」という場合がある。
【0030】
本発明の組成物において、前記導電性粒子(又は黒鉛粒子)は少なくとも前記モザイク状黒鉛で構成すればよく、黒鉛粒子は、成形性及び導電性を改善するため、平均粒子径の大きな粗粒子と、この粒子よりも平均粒子径が小さく、前記粒子間の間隙に充填可能な細粒子(黒鉛細粒子など)とを組み合わせてもよい。後者の組み合わせにおいて、粗粒子及び細粒子のうち少なくとも一方の粒子(すなわち、粗粒子、細粒子、又は双方)を前記モザイク状黒鉛で構成すればよく、一方の粒子をモザイク状黒鉛で構成し、他方の粒子を他の黒鉛粒子(流れ組織黒鉛)で構成してもよい。好ましい態様では、少なくとも粗粒子をモザイク状黒鉛で構成され、粗粒子及び細粒子をモザイク状黒鉛で構成してもよい。さらに、導電骨格を形成するため、黒鉛粒子は少なくとも粗粒子であるのが好ましい。本発明において、モザイク状黒鉛を主たる導電性成分(特にモザイク状黒鉛の粗粒子)とし、流れ組織黒鉛を副成分(特に細粒子)として使用してもよい。すなわち、前記モザイク状黒鉛粗粒子は、流れ組織黒鉛細粒子と組み合わせて使用できる。
【0031】
黒鉛細粒子は、黒鉛粗粒子よりも平均粒子径が小さく、粗粒子間の間隙に充填可能であれば、種々の黒鉛粒子が使用できる。粗粒子間の空隙を細粒子で埋めることにより、導電性を大きく向上できる。
【0032】
より具体的には、本発明の導電性組成物や燃料電池用セパレータ(又は導電性プレート)は、少なくともモザイク状黒鉛(例えば、平均粒子径(D50%)10〜100μmの黒鉛粒子)を主要成分とし、樹脂を必須成分とする組成物であり、必要によりさらに前記モザイク組織黒鉛よりも平均粒子径が小さく、黒鉛粒子間を充填可能な黒鉛細粒子を含む組成物で構成してもよい。
【0033】
なお、流れ組織黒鉛(例えば、黒鉛細粒子)としては、結晶構造が発達した種々の黒鉛粒子、例えば、光学的異方性の人造黒鉛粒子、天然黒鉛粒子などが例示できる。これらの流れ組織黒鉛粒子は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。流れ組織黒鉛粒子は、通常、細粒子として使用する場合が多い。
【0034】
黒鉛細粒子の平均粒子径(D50%)D2は、黒鉛粗粒子の平均粒子径をDlとするとき、D2=Dl×0.001〜Dl×0.6程度の範囲から選択でき、通常、Dl×0.01〜Dl×0.5、好ましくはDl×0.02〜Dl×0.5、特にDl×0.05〜Dl×0.5程度である。
【0035】
導電性を付与するため、黒鉛細粒子の平均粒子径(D50%)は、黒鉛粗粒子の平均粒子径に応じて、例えば、0.1〜50μm程度の範囲から選択でき、通常、1〜50μm、好ましくは5〜40μm、さらに好ましくは5〜30μm(例えば、10〜25μm)程度である。なお、導電性黒鉛粒子は、通常、少なくとも50μm以上の粒子を含んでおり、平均粒子径(D50%)10〜100μmの粒子(黒鉛粒子など)で構成されている。
【0036】
モザイク状黒鉛粗粒子と流れ組織黒鉛細粒子とを組み合わせると、成形に伴って黒鉛粒子の高密度充填が可能となり、プレートやセパレータに高い導電性を有効に付与できる。さらに、自己潤滑性の高い黒鉛細粒子の添加により成形に伴う内部応力が緩和され応力ひずみが残存しにくくなり、プレートやセパレータに反りや変形が生じるのを防止できる。
【0037】
黒鉛粗粒子(例えば、モザイク状黒鉛粒子)と黒鉛細粒子(例えば、流れ組織黒鉛細粒子)との割合は、高い導電性を付与できる範囲、例えば、前者/後者(重量比)=100/0〜40/60、好ましくは100/0〜50/50、さらに好ましくは100/0〜60/40、特に100/0〜70/30(例えば、100/0〜80/20)程度である。また、モザイク状黒鉛と流れ組織黒鉛との割合も上記粗粒子と細粒子との割合と同様の範囲から選択できる。
【0038】
なお、樹脂を含む組成物の総量を100重量部とすると、前記モザイク状黒鉛の含有量は、通常、30〜95重量%(好ましくは35〜90重量%、特に40〜80重量%)程度であり、流れ組織黒鉛細粒子の含有量は、通常、0〜40%(好ましくは0〜20重量%)程度である。
【0039】
本発明の導電性組成物において、樹脂の種類は特に限定されず、熱可塑性樹脂及び熱硬化性樹脂から選択でき、熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とを併用してもよい。熱可塑性樹脂としては、例えば、ポリオレフィン系樹脂(ポリプロピレン樹脂,エチレン−プロピレン共重合体など)、ポリエステル系樹脂(ポリアルキレンテレフタレート,ポリアルキレンナフタレート又はこれらのコポリエステル,ポリアリレート、液晶性ポリエステルなど)、ポリカーボネート樹脂(ビスフェノールA型ポリカーボネート樹脂など)、ポリスチレン系樹脂(スチレンなどのスチレン系単量体の単独又は共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体など)、アクリル系樹脂(メタクリル酸メチルなどのアクリル系単量体の単独又は共重合体、メタクリル酸メチル−スチレン共重合体など)、ポリアミド樹脂(ポリアミド6,ポリアミド66,ポリアミド610など)、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリフェニレンスルフィド系樹脂、ポリエーテルエーテルケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂(ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂など)などが例示できる。熱可塑性樹脂は単独で又は二種以上組合わせて使用できる。
【0040】
なお、固体高分子型燃料電池の作動温度は、通常、80℃程度である。そのため、高温での耐久性の高い樹脂(例えば、加水分解などによる劣化が生じにくいエンジニアリングプラスチックなど)が好ましい。特に、前記熱可塑性樹脂のうち、成形性、耐薬品性、耐久性、機械的強度などの点から、ポリフェニレンスルフィド系樹脂が好ましい。
【0041】
ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、ポリフェニレンスルフィド骨格を有していればよく、ポリフェニレンスルフィドと同族ポリマー(例えば、ポリフェニレンスルフィドケトンPPSK,ポリフェニレンスルフィドスルホンPPSS,ポリビフェニレンスルフィドPBPSなど)も含まれる。ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、部分的な架橋構造を有していてもよく、架橋構造を有していなくてもよい。ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、直鎖構造を有する直鎖型(通常、リニア型又はセミリニア型と称する)であってもよく、分岐構造を有する分岐型であってもよいが、通常、直鎖型ポリフェニレンスルフィド系樹脂が好ましい。さらに、ポリフェニレンスルフィド系樹脂は、ベンゼン環に置換基(例えば、C1-4アルキル基など)を有していてもよい。
【0042】
熱硬化性樹脂としては、例えば、フェノール樹脂(フェノール類とホルムアルデヒドと必要により共縮合成分との反応により生成する樹脂など)、フルフラール樹脂、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂など)、ビニルエステル樹脂、不飽和ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、ジアリルフタレート樹脂、シリコーン樹脂、アミノ樹脂(尿素樹脂、メラミン樹脂など)などが例示できる。これらの熱硬化性樹脂は単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。好ましい熱硬化性樹脂には、フェノール樹脂(レゾール型フェノール樹脂、特にノボラック型フェノール樹脂)が含まれる。
【0043】
なお、必要であれば、可撓性などの特性を付与するため、樹脂(例えば、ポリフェニレンオキサイド樹脂)は、エラストマー(熱可塑性エラストマー)と組み合わせて使用してもよい。エラストマーとしては、例えば、ポリエステル系エラストマー(アルキレンアリレート単位を硬質成分とし、脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステルを軟質成分とするポリエステル系熱可塑性エラストマーなど)、ポリアミド系エラストマー(ポリアミドを硬質成分とし、脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステルを軟質成分とする熱可塑性エラストマーなど)、ポリウレタン系エラストマー(短鎖グリコールのポリウレタンを硬質成分とし、脂肪族ポリエーテルや脂肪族ポリエステルを軟質成分とする熱可塑性エラストマーなど)、ポリスチレン系エラストマー(ポリスチレンを硬質成分とし、ポリブタジエン、ポリイソプレンやそれらの水添ポリジエンを軟質成分とする熱可塑性エラストマーなど)、オレフィン系エラストマー(ポリプロピレンなどを硬質成分とし、エチレン−プロピレンゴムやエチレン−プロピレン−ジエンゴムなどを軟質成分とする熱可塑性エラストマーなど)などが例示できる。これらのエラストマーは単独で又は二種以上組み合わせて使用できる。これらのエラストマーのうち、オレフィン系エラストマーを用いる場合が多い。これらの熱可塑性エラストマーは、トリブロック構造、マルチブロック構造、星形構造などの種々のブロック構造を有していてもよい。
【0044】
樹脂とエラストマーとの割合は、機械的強度などの特性を損なわない範囲、例えば、前者/後者=100/0〜75/25(重量部)、好ましくは100/0〜80/20(重量部)、さらに好ましくは100/0〜85/15(重量部)程度である。
【0045】
前記樹脂と黒鉛粒子(モザイク状黒鉛及び流れ組織黒鉛を含む)との割合は、導電性,機械的強度や熱伝導性などを損なわない範囲、例えば、前者/後者=5/95〜60/40(重量比)程度の範囲から選択でき、通常、10/90〜60/40(重量比)、好ましくは15/85〜55/45(重量比)、さらに好ましくは20/80〜50/50(重量比)程度である。黒鉛粒子の含有量が40重量%未満であると、導電性及び熱伝導性に不足し、95重量%を越えると成形性・強度が低下し、ガス透過率も大きくなる。
【0046】
上記導電性組成物は、強度補強のため炭素繊維を含んでいてもよい。炭素繊維の種類は制限されず、石油系又は石炭系のピッチ系炭素繊維、PAN(ポリアクリロニトリル)系炭素繊維、レーヨン系炭素繊維、フェノール樹脂系炭素繊維などが使用できる。炭素繊維の平均繊維径は、例えば、0.5〜50μm、好ましくは1〜30μm、さらに好ましくは5〜20μmの範囲から選択できる。炭素繊維の平均繊維長は、適当に選択でき、例えば、10μm〜5mm、好ましくは20μm〜3mm程度である。炭素繊維の使用量は、導電性組成物(又はセパレータ)全体の1〜10重量%程度の範囲から選択できる。
【0047】
さらに、導電性を改善するため、必要に応じて導電性カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラックなど)、コロイダル黒鉛などの導電性微粒子を導電性組成物に添加してもよい。この導電性微粒子は、前記導電性細粒子と置き換えて含有させてもよい。
【0048】
さらには、前記成分で構成された組成物(樹脂複合材料)には、必要に応じて、カップリング剤、離型剤、潤滑剤、可塑剤、硬化剤、硬化助剤、安定剤などを配合してもよい。
【0049】
なお、導電性組成物全体に対して樹脂の含有量は、例えば、5〜45重量%、さらに好ましくは5〜40重量%(例えば、10〜40重量%)、特に15〜40重量%(例えば、20〜40重量%)程度である。
【0050】
本発明の導電性組成物は、樹脂の含有量が少なくても成形性に優れ、種々の成形体を成形するのに有用であり、体積抵抗100mΩcm以下のプレート状成形体を高い寸法精度で成形可能である。特に、厚み方向の導電性を改善できるので、導電性プレート(又はセパレータ(特に固体高分子型燃料電池用セパレータなど))を成形するのに適している。そのため、本発明は、黒鉛粒子と樹脂とで構成された導電性プレートにおいて、前記黒鉛粒子として、結晶子がランダムに配向した黒鉛粒子を用いることにより、導電性プレートの厚み方向の導電性を改善する方法も開示する。
【0051】
本発明のプレート又はセパレータ(特に固体高分子型燃料電池用セパレータなど)は、炭化又は黒鉛化工程を経ることなく、電気絶縁性の樹脂を含むにも拘わらず、厚み方向の体積抵抗が小さく、曲げ強度が高いという特色がある。プレート又はセパレータの厚さ方向の体積抵抗は、1〜150mΩcm、好ましくは1〜100mΩcm(例えば、10〜100mΩcm)程度である。セパレータの厚み方向の熱伝導率は2〜60W/mK(例えば、3〜60W/mK)、好ましくは5〜60W/mK、さらに好ましくは10〜60W/mK程度であってもよい。
【0052】
セパレータの見掛け密度(嵩密度)は、1.1〜2.2g/cm3程度の範囲から選択でき、例えば、1.7〜2.1g/cm3、好ましくは1.8〜2.1g/cm3(例えば、1.8〜2g/cm3)である。
【0053】
さらに、セパレータの曲げ強度は、30〜200MPa(例えば、30〜150MPa)、好ましくは50〜200MPa程度であり、セパレータの厚みは、例えば、0.5〜3mm、好ましくは0.8〜2.5mm(例えば、1〜2mm)程度である。
【0054】
このようなプレート(セパレータ)は、合成樹脂に対する慣用の成形法、例えば、射出成形又は圧縮成形により製造できる。射出成形では、前記樹脂,導電性粒子(黒鉛粒子など)、および必要によりカーボンブラックや炭素繊維で構成された複合材成分(樹脂組成物)を溶融混練し(必要によりペレットを調製して溶融混練し)、所定の金型に射出成形することにより平板状プレート(平板状セパレータ)を製造できる。圧縮成形では、例えば、圧力2〜200MPa(例えば、10〜100MPa)、温度100〜300℃程度で、前記複合材成分(樹脂組成物)を金型内で加熱して加圧成形することにより平板状プレート(平板状セパレータ)を製造できる。
【0055】
さらに、プレート(セパレータ)は、スタンピング成形法、例えば、樹脂組成物(複合材)を、慣用の方法でシート成形し、このシートをスタンピング法により成形することにより製造してもよい。シート成形においては、熱可塑性樹脂中に導電性粒子を均一に分散できる種々の方法、例えば、樹脂組成物を加熱混練してシート状に押し出す押し出し成形法、熱ロールにより圧延した後、冷却してシートを作製するカレンダ加工法、ロールプレス法などが利用できる。なお、シート成形においては、組織が緻密な導電性シート又は燃料電池用セパレータを得るため、気孔率20%以下(特に10%以下)に加熱加圧するのが有利である。本発明では、2mm以下のプレート状成形体であっても高い寸法精度で成形できる。そのため、成形により得られる複合シートの厚みは、特に制限されないが、例えば、1〜10mm、好ましくは1〜5mm(例えば、1〜4mm)程度である。
【0056】
金型は、セパレータの表面形態に応じて選択でき、平滑面又平坦面を有する金型を用いて、平滑面を有する平板状セパレータを成形してもよく、凹凸部を有する金型(特に連続した凸部(突条)又は溝を有する溝付き金型)を用いることにより凹凸部を有するセパレータ(特に溝付きセパレータ)を成形してもよい。
【0057】
本発明の方法では、炭化又は黒鉛化工程及び切削工程を経ることなく、炭化温度以下で成形・賦型するだけで効率よく経済的にセパレータを製造できる。さらに成形金型として、連続した凸部(突条)又は溝を形成した金型(射出成形や圧縮成形法では、キャビティ側及びコア側のうち少なくとも一方(特にコア側)に連続した凸部(突条)又は溝を形成した金型)を用いることにより、溝付きセパレータを低コストでありながら高い精度で得ることができる。
【0058】
本発明のセパレータは、燃料電池、特に、固体高分子膜を電解質膜とする固体高分子型燃料電池用セパレータとして有用である。
【0059】
【発明の効果】
本発明では、特定の黒鉛粒子を用いるため、炭化又は黒鉛化することなく、高い成形性を有するとともに、電気抵抗などの特性に関する方向性を低減でき、等方的特性の成形体を得ることができる。特に、厚み方向の導電性を向上できる。さらに、高い導電性,熱伝導性などの特性に加えて、寸法精度の高い溝(ガス流路)を形成できる。そのため、本発明は、炭化・黒鉛化工程及び切削工程を経ることなく、ガス不透過性、電気導電性、熱伝導性、機械強度、耐酸性などの諸特性に優れる燃料電池用セパレータ(特に固体高分子型燃料電池用セパレータ)に有効に適用できる。
【0060】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、実施例及び比較例において、下記の材料を用いた。
【0061】
(1)モザイク状黒鉛(微細モザイク状光学的組織を有する黒鉛粒子)
ディレードコーキング法で得られたコークスを、アルゴン雰囲気中、温度2800℃で黒鉛化した後、粉砕分級することにより、光学的(偏光顕微鏡での光学異方性観察において)にモザイク状の組織を有する人造黒鉛粒子を得た。なお、図1および図2にモザイク状黒鉛の偏光顕微鏡写真を示す。この黒鉛を粉砕分級して以下の黒鉛粒子を得た。
【0062】
(1a)平均粒径(D50%)80μmの粒子は、D20%=21μm、D80%=160μmであり、均斉度D80%/D20%=7.6であり、BET比表面積は4m2/g、DBP吸油量50cc/100gであった。この黒鉛粒子のJIS−R−7222によるブタノール置換真比重は2.10であった。
【0063】
(1b)平均粒径(D50%)42μmの粒子は、D20%=10μm、D80%=98μmであり、均斉度D80%/D20%=9.8であり、BET比表面積は7m2/g、DBP吸油量57cc/100gであった。この黒鉛粒子のJIS−R−7222によるブタノール置換真比重は2.10であった。
【0064】
(1c)平均粒径(D50%)25μmの粒子は、D20%=6.6μm、D80%=62μmであり、均斉度D80%/D20%=9.4であり、BET比表面積は9m2/g、DBP吸油量60cc/100gであった。この黒鉛粒子のJIS−R−7222によるブタノール置換真比重は2.10であった。
【0065】
(1d)平均粒径(D50%)20μmの粒子は、D20%=6.0μm、D80%=56μmであり、均斉度D80%/D20%=9.3であり、BET比表面積10m2/g、DBP吸油量65cc/100gであった。この黒鉛粒子のJIS−R−7222によるブタノール置換真比重は2.10であった。
【0066】
(2)流れ組織黒鉛(光学的に流れ組織を有する黒鉛粒子)
ニードルコークスを温度2800℃で黒鉛化し、光学的(偏光顕微鏡での光学異方性観察において)に20μm以上の大きさを有する高結晶性の繊維状流れ状の組織を有する)人造黒鉛細粒子を得た。なお、図3および図4に流れ組織黒鉛の偏光顕微鏡写真を示す。この黒鉛を粉砕分級することにより下記の黒鉛粒子を調製した。
【0067】
(2a)平均粒径(D50%)100μmの黒鉛粒子は、D20%=71μm、D80%=175μmであり、均斉度D80%/D20%=2.5であり、BET比表面積は2m2/g、DBP吸油量66cc/100gであった。この黒鉛粒子のJIS−R−7222によるブタノール置換真比重は2.24であった。
【0068】
(2b)平均粒径(D50%)25μmの粒子は、D20%=10μm、D80%=42μmであり、均斉度D80%/D20%=4.2であり、BET比表面積は8m2/g、DBP吸油量80cc/100gであった。この黒鉛粒子のJIS−R−7222によるブタノール置換真比重は2.24であった。
【0069】
(2c)平均粒径(D50%)10μmの粒子は、D20%=4.5μm、D80%=16μmであり、均斉度D80%/D20%=3.6であり、JIS−R−7222によるブタノール置換真比重は2.10であった。
【0070】
(3)導電性カーボンブラック(三菱化学(株)製、「3050」)
(4)樹脂
(4a)粉末状ポリフェニレンスルフィド系樹脂PPS((株)トープレン製、「H−1」、平均粒子径10μm)
(4b)エラストマ複合粉末状ポリフェニレンスルフィド系樹脂(オレフィン系エラストマーを5重量%の割合で含む樹脂(4a)、(株)トープレン製、「H−1E」、平均粒子径20μm)
(4c)粉末状フェノール樹脂(カネボウ(株)製、「ベルパール」、平均粒子径20μm)
【0071】
実施例1〜7および比較例1〜2
上記成分を下記表に示す割合で、ミキサーを用いて10分間乾式混合した。この粉末混合物を金型に投入し、成形圧力5MPa、320℃×20分間の条件でプレス成形した。なお、フェノール樹脂を用いる場合には、成形圧力5MPa、180℃×20分間の条件でプレス成形した。
【0072】
結果を表に示す。なお、実施例及び比較例において、種々物性の測定は常法に基づいて行った。成形性については、表面状態を熟練者が目視により判定した。
【0073】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は実施例で用いたモザイク状黒鉛の偏光顕微鏡写真(倍率150倍)である。
【図2】図2は実施例で用いたモザイク状黒鉛の偏光顕微鏡写真(倍率750倍)である。
【図3】図3は比較例で用いた流れ組織黒鉛の偏光顕微鏡写真(倍率150倍)である。
【図4】図4は比較例で用いた流れ組織黒鉛の偏光顕微鏡写真(倍率750倍)である。
Claims (11)
- 黒鉛粒子と樹脂とで構成された成形可能な導電性組成物であって、前記黒鉛粒子を構成する結晶子がランダムに配向している導電性組成物で構成されている固体高分子型燃料電池用セパレータ。
- 黒鉛粒子を偏光顕微鏡で観察したとき、平均サイズ1〜10μmの結晶子がランダムに配向している請求項1記載の固体高分子型燃料電池用セパレータ。
- 黒鉛粒子の平均粒子径(D50%)が10〜100μmである請求項1又は2記載の固体高分子型燃料電池用セパレータ。
- 黒鉛粒子が、黒鉛粗粒子と、この黒鉛粗粒子よりも平均粒子径の小さな黒鉛細粒子とで構成され、前記黒鉛粗粒子と黒鉛細粒子との割合が前者/後者=100/0〜40/60(重量比)である請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用セパレータ。
- 黒鉛粗粒子の平均粒子径をD1とするとき、黒鉛細粒子の平均粒子径(D50%)D2が、D2=D1×0.05〜D1×0.5である請求項4記載の固体高分子型燃料電池用セパレータ。
- 黒鉛細粒子が、光学的異方性の人造黒鉛および天然黒鉛粒子から選択された少なくとも一種である請求項4又は5記載の固体高分子型燃料電池用セパレータ。
- 樹脂が、フェノール樹脂又はポリフェニレンオキサイド樹脂である請求項1〜6のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用セパレータ。
- 樹脂が、ポリフェニレンオキサイド樹脂とオレフィン系熱可塑性エラストマーとで構成されている請求項1〜7のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用セパレータ。
- 樹脂と黒鉛粒子との割合が、前者/後者=10/90〜60/40(重量比)である請求項1〜8のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用セパレータ。
- 体積抵抗が100mΩcm以下である請求項1〜9のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用セパレータ。
- 黒鉛粒子と樹脂とで構成された固体高分子型燃料電池用セパレータの導電性を改善する方法であって、前記黒鉛粒子として、結晶子がランダムに配向した黒鉛粒子を用い、固体高分子型燃料電池用セパレータの厚み方向の導電性を改善する方法。
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