JP2002100377A - 燃料電池用セパレータおよび燃料電池 - Google Patents

燃料電池用セパレータおよび燃料電池

Info

Publication number
JP2002100377A
JP2002100377A JP2000286006A JP2000286006A JP2002100377A JP 2002100377 A JP2002100377 A JP 2002100377A JP 2000286006 A JP2000286006 A JP 2000286006A JP 2000286006 A JP2000286006 A JP 2000286006A JP 2002100377 A JP2002100377 A JP 2002100377A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
powder
fuel cell
graphitized
separator
graphite
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2000286006A
Other languages
English (en)
Inventor
Shigeru Takano
高野  茂
Hitomi Hatano
仁美 羽多野
Noboru Shinohara
昇 篠原
Yasunobu Iizuka
安伸 飯塚
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
JFE Steel Corp
Original Assignee
Kawasaki Steel Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kawasaki Steel Corp filed Critical Kawasaki Steel Corp
Priority to JP2000286006A priority Critical patent/JP2002100377A/ja
Publication of JP2002100377A publication Critical patent/JP2002100377A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/30Hydrogen technology
    • Y02E60/50Fuel cells

Landscapes

  • Fuel Cell (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 寸法精度、導電性およびガス不浸透性のいず
れにも優れた燃料電池用セパレータ、並びに発電効率に
優れた燃料電池の提供。 【解決手段】 メソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉
末:100 重量部に対して熱可塑性樹脂:3〜30重量部を
含有する成形品であって、前記黒鉛化物粗粒粉末が、50
μm <粒径≦300 μm 、比表面積≦1.5m2/g 、粉末粒子
の平均アスペクト比≦3の黒鉛化物粉末である燃料電池
用セパレータ、および前記成形品が、さらにメソカーボ
ン小球体の黒鉛化物細粒粉末、バルクメソフェーズピッ
チの黒鉛化物粉末、黒鉛粉末、カーボンブラックおよび
微細炭素繊維から選ばれる1種または2種以上を含有す
る成形品である燃料電池用セパレータ、並びに、これら
の燃料電池用セパレータを用いた燃料電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、燃料電池用セパレ
ータおよび燃料電池に関し、特に、寸法精度、導電性お
よびガス不浸透性に優れた燃料電池用セパレータおよび
該燃料電池用セパレータを用いた発電効率に優れた燃料
電池に関する。
【0002】
【従来の技術】燃料電池は、高い発電効率を有し汚染物
質の発生量が少ない発電装置としてその将来が期待され
ている。燃料電池の種類としては、電解質の種類によ
り、アルカリ型、りん酸型、溶融炭酸塩型、固体電解質
型、固体高分子型などが挙げられ、これらの内、固体高
分子型燃料電池は、発電温度が80〜100 ℃と低いため、
家庭用の小規模発電装置、電気自動車などの可搬用の発
電装置として注目されている。
【0003】図1に、固体高分子型燃料電池の構成を斜
視図によって示す。なお、図1において、1は固体高分
子電解質板、2は空気極、3は燃料極、4はセパレー
タ、5はガス流路用の溝を示す。図1に示すように、固
体高分子型燃料電池は固体高分子電解質板1の両側に空
気極2および燃料極3を設け単位セルを形成せしめ、セ
パレータ4を介して積層したものである。
【0004】固体高分子電解質としては、主にパーフル
オロカーボンスルフォン酸(PFSA)イオン交換膜などが用
いられる。一方、セパレータ4には、燃料ガスと酸化性
ガスを分離するための境界としての機能と単位セル間の
電気導体としての機能が要求されるため、優れたガス不
浸透性、熱伝導性、機械的強度を有し、低電気比抵抗、
低体積抵抗率および作動温度における耐熱性を有するこ
とが要求される。
【0005】従来、この種のセパレータとしては、人造
黒鉛を機械加工したもの、またはチタン、ステンレスな
どの金属材料を機械加工したものが検討されていた。し
かしながら、人造黒鉛を機械加工したセパレータは、電
気伝導性に優れるが、ガス不浸透性が不十分であり、ま
た非常に高価であるという問題がある。また、金属材料
を機械加工したセパレータの場合は、長期の使用により
酸化されてしまい、また上記と同様に高価であるという
問題があった。
【0006】上記した問題点を解決するためのセパレー
タとして、人造黒鉛粉末に熱硬化性樹脂を配合して成形
した固体高分子型燃料電池のセパレータが開示されてい
る(特開平10−334927号公報、特開平11−297337号公報
参照)。上記したセパレータは、ガス不浸透性、酸化の
問題は改善されるが、寸法精度に問題があり、厚み方向
の寸法精度に優れたセパレータを得ることは困難であ
る。
【0007】すなわち、通常、燃料電池は、前記した図
1に示すように、水素などの燃料ガス、空気などの酸化
性ガスを供給するためのガス流路用の溝5を、セパレー
タ側、すなわちセパレータの両面に形成する。この場
合、ガス流路用の溝5の深さが不均一であると、ガスの
通気抵抗が溝毎に異なり燃料電池内におけるガスの流量
に分布が生じ、発電効率に優れた燃料電池を製造するこ
とが困難となる。
【0008】また、燃料電池用セパレータに要求される
重要な性能として、低電気比抵抗、低体積抵抗率が挙げ
られる。すなわち、近年、燃料電池の小型化などのため
に、電気比抵抗や体積抵抗率を下げて導電性を向上さ
せ、発電効率を上げたいという要望が高まっている。こ
のため、特開平4−214072号公報において、メソカーボ
ン小球体の黒鉛化物や黒鉛粉などの炭素質粉末と炭素繊
維とフェノール樹脂との組成物を硬化、焼成してなる燃
料電池用セパレータが開示されている。
【0009】しかしながら、上記したセパレータは、炭
素質粉末:50〜 150重量部に対してフェノール樹脂を 1
00重量部配合しており、樹脂成分が多く、後記するよう
に、硬化させただけでは十分な導電性を得難い。この結
果、上記したセパレータにおいては、硬化物を焼成し、
黒鉛化する必要があるが、通常、黒鉛化には2000〜3000
℃という非酸化性雰囲気下での高温処理が必要であり、
設備面、操業面およびエネルギー面から工業的に採用す
る上で問題がある。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、前記した従
来技術の問題点を解決し、寸法精度、導電性およびガス
不浸透性のいずれにも優れた燃料電池用セパレータを工
業的に有利な方法で得ることが可能な燃料電池用セパレ
ータ、並びに該燃料電池用セパレータを用いた発電効率
に優れた燃料電池を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】第1の発明は、メソカー
ボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末:100 重量部に対して熱
可塑性樹脂:3〜30重量部を含有する成形品であって、
前記黒鉛化物粗粒粉末が、50μm <粒径≦300 μm 、比
表面積≦1.5m2/g 、粉末粒子の平均アスペクト比≦3の
黒鉛化物粉末であることを特徴とする燃料電池用セパレ
ータである。
【0012】前記した第1の発明においては、前記成形
品が、前記黒鉛化物粗粒粉末:100重量部に対して粒径
が下記式(1) を満足するメソカーボン小球体の黒鉛化物
細粒粉末:100 重量部以下を含有することが好ましく、
該黒鉛化物細粒粉末を1〜100 重量部を含有することが
より好ましい(第1の発明の第1の好適態様)。 黒鉛化物細粒粉末の粒径≦50μm ………(1) また、前記した第1の発明、第1の発明の第1の好適態
様においては、前記成形品が、前記黒鉛化物粗粒粉末:
100 重量部に対してバルクメソフェーズピッチの黒鉛化
物粉末、黒鉛粉末、カーボンブラックおよび微細炭素繊
維から選ばれる1種または2種以上を合計量で100 重量
部以下含有することが好ましく、該合計量で1〜100 重
量部含有することがより好ましい(第1の発明の第2の
好適態様、第3の好適態様)。
【0013】また、前記した第1の発明の第2の好適態
様、第3の好適態様においては、前記バルクメソフェー
ズピッチの黒鉛化物粉末の平均粒径が50μm 以下、黒鉛
粉末の平均粒径が50μm 以下、カーボンブラックの平均
粒径が100nm 以下、微細炭素繊維の平均繊維径が2μm
以下、平均繊維長が500 μm 以下であることが好ましい
(第1の発明の第4の好適態様、第5の好適態様)。
【0014】第2の発明は、前記した第1の発明、第1
の発明の第1の好適態様〜第5の好適態様いずれかに記
載の燃料電池用セパレータを用いたことを特徴とする燃
料電池である。また、前記した第2の発明の好適態様の
燃料電池は、固体高分子電解質板の片面側に空気極を、
他の片面側に燃料極を設けることによって形成された単
位セルを、前記した第1の発明、第1の発明の第1の好
適態様〜第5の好適態様のいずれかに記載の燃料電池用
セパレータを介して積層した固体高分子型燃料電池であ
る(第2の発明の好適態様)。
【0015】また、前記した第1の発明、第1の発明の
第1の好適態様〜第5の好適態様、第2の発明、第2の
発明の好適態様においては、前記した熱可塑性樹脂が、
ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミド樹
脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリフ
ェニレンサルファイド樹脂、液晶樹脂およびフッ素樹脂
から選ばれる1種または2種以上であることが好まし
い。
【0016】なお、本発明において、重量部における重
量とは質量を意味し、例えばメソカーボン小球体の黒鉛
化物粗粒粉末:100 重量部に対して、熱可塑性樹脂:3
〜30重量部を含有することは、上記黒鉛化物粗粒粉末:
100 質量部に対して、熱可塑性樹脂:3〜30質量部を含
有することを意味する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳細に説明
する。本発明者らは、前記した課題を解決するために鋭
意検討した結果、下記知見[I] 〜[III] を見出し、本発
明に至った。 [I] 粒子特性を規定したメソカーボン小球体黒鉛化物粉
末の使用による燃料電池用セパレータのガス不浸透性
(ガス遮断性)および寸法精度の向上: [I-1] メソカーボン小球体黒鉛化物粉末の粒径および比
表面積の規定による燃料電池用セパレータのガス不浸透
性(ガス遮断性)の向上:本発明者らは、結合剤(樹
脂)が少量であっても、ガス遮断性を低下させることな
く骨材同士を強固に結合させる方法に関して鋭意検討し
た結果、骨材粉末の比表面積が大きな影響を及ぼすと考
えた。
【0018】すなわち、セパレータ製造時には、結合剤
が骨材粒子同士を接着するが、骨材の粒径が小さい場合
は、骨材の全表面積が非常に大きくなり、添加した結合
剤の大部分が骨材の表面の被覆に使用されてしまい、骨
材粒子同士の間の空隙を埋めるのに必要な結合剤の量が
不足する。この結果、結合剤(樹脂)が少量の場合、得
られるセパレータは隙間の多い構造となり、ガス遮断性
が低下すると考えた。
【0019】このため、本発明においては、骨材として
粒径が50μm を超える粒径の大きなメソカーボン小球体
の黒鉛化物粉末(:黒鉛化物粗粒粉末)を用い、比表面
積を1.5m2/g 以下と小さくした。この結果、骨材表面を
被覆する結合剤の量がより少なくなり、骨材粒子同士の
間の空隙を埋めるのに必要な結合剤の量が確保でき、得
られるセパレータは隙間のない構造となり、ガス遮断性
が向上する。
【0020】[I-2] アスペクト比の小さいメソカーボン
小球体黒鉛化物粗粒粉末の使用による燃料電池用セパレ
ータの寸法精度の向上:燃料電池用セパレータの原料の
一部として、粉末粒子の平均アスペクト比が3以下のメ
ソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末(以下、メソカー
ボン小球体黒鉛化物粗粒粉末とも記す)を用いることに
よって、寸法精度に優れた燃料電池用セパレータを得る
ことができる。
【0021】これは、メソカーボン小球体黒鉛化物粗粒
粉末の粒子は、平均アスペクト比が3以下であり、ほぼ
球状の形態を有しており、燃料電池用セパレータの成形
時の流動性に優れ、かつ、等方性の成形体となり易いた
めと考えられる。 [II]樹脂配合量の規制による燃料電池用セパレータの導
電性の向上:前記したように、メソカーボン小球体黒鉛
化物粗粒粉末の粒径および比表面積を規定することによ
って結合剤(樹脂)の添加量を低減できるため、樹脂配
合量を規制することによって、セパレータ成形品を従来
のように焼成、黒鉛化せずとも十分な導電性(低電気比
抵抗、低体積抵抗率)を得ることができる。
【0022】[III] 微細炭素粉末、微細炭素繊維の使用
による燃料電池用セパレータの導電性の向上:セパレー
タ成形品中に、メソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末
に加えて、さらに、メソカーボン小球体の黒鉛化物細粒
粉末、バルクメソフェーズピッチの黒鉛化物粉末、黒鉛
粉末、カーボンブラックである微細炭素粉末、微細炭素
繊維を含有せしめることによって、メソカーボン小球体
の黒鉛化物粗粒粉末の粒子同士の電気的導通を確実にす
ることができ、燃料電池用セパレータの導電性(低電気
比抵抗、低体積抵抗率)をさらに向上することが可能と
なる。
【0023】以下、上記した[I] 粒子特性を規定したメ
ソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末の使用、[II]樹脂
配合量の規制、[III] 微細炭素粉末、微細炭素繊維の使
用、および[IV]燃料電池用セパレータの製造方法、[V]
燃料電池の順に説明する。 [I] 粒子特性を規定したメソカーボン小球体の黒鉛化物
粗粒粉末の使用:前記した図1に示すように、固体高分
子型燃料電池用セパレータなど燃料電池用セパレータ
は、成形時にセパレータの両面に溝が設けられることが
多く、溝の幅および深さは、セル内における反応の均一
性の面から、非常に寸法精度の高い幅および深さが要求
される。
【0024】本発明者らは、前記した従来技術における
人造黒鉛粉末を用いた場合のセパレータの寸法精度の問
題は、人造黒鉛粉末の粒子の形状によると考えた。すな
わち、人造黒鉛粉末を炭素質材料すなわち骨材の主原料
として使用した場合、人造黒鉛粉末は、通常、粉末粒子
の形状が鱗片状であるため、セパレータ成形時に人造黒
鉛粉末の粒子が平面方向に並び易く、後記する実施例で
示す溝深さの平均値に対する平均二乗誤差が±5×10-2
mm以内の溝付き燃料電池用セパレータを得ることが難し
い。
【0025】これに対して、本発明の粒子特性を規定し
たメソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末を骨材として
用いたセパレータの場合には、セパレータ成形時の骨材
粒子の流動性が優れかつ充填性が優れるため、溝深さの
平均値に対する平均二乗誤差の値が±5×10-2mm以内と
いう非常に寸法精度に優れかつ低電気比抵抗、低体積抵
抗率の燃料電池用セパレータが得られる。
【0026】すなわち、本発明の第1の特徴は、寸法精
度に優れた燃料電池用セパレータを得るために、特定の
粒径範囲および特定の粒子形状を有するメソカーボン小
球体の黒鉛化物粗粒粉末を用いた点である。本発明に用
いるメソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末は、下記の
方法で得ることができる。
【0027】すなわち、石炭系のピッチおよび/また
は石油系のピッチを熱処理した際にピッチマトリックス
中に生成する光学的異方性を示すメソカーボン小球体を
ろ過して得られた自己焼結性を有する濾過残渣および/
または上記光学的異方性を示すメソカーボン小球体を
タール中油などの有機溶媒を用いて抽出、分離して得ら
れた自己焼結性を有するメソカーボン小球体を炭化、黒
鉛化処理して塊状化する。
【0028】次に、得られた塊状の黒鉛化物を粉砕、分
級処理してメソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末を得
る。一般の人造黒鉛の塊状物を粉砕処理した場合には、
図2の電子顕微鏡写真に示すように、粉末粒子のアスペ
クト比が大きな粒子形状が板状の粉末しか得られない。
【0029】これに対して、メソカーボン小球体の塊状
の黒鉛化物を粉砕、分級処理すると、図3に示す電子顕
微鏡写真から明らかなように、粉末粒子のアスペクト比
が小さく、比表面積の小さな粒子形状が球状に近い粗粒
粉末が得られる。本発明においては、メソカーボン小球
体を好ましくは2500〜3000℃の温度で炭化、黒鉛化して
得られたメソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末を用い
る。
【0030】また、緻密でガス不浸透性に優れ、導電性
に優れたセパレータを得るためには、メソカーボン小球
体の黒鉛化物粗粒粉末の粒径が50μm 超え、300 μm 以
下、黒鉛化物粗粒粉末の比表面積が1.5m2/g 以下、黒鉛
化物粗粒粉末の粉末粒子の平均アスペクト比が3以下で
ある。黒鉛化物粗粒粉末の粉末粒子の粒径が50μm 以下
の場合、または粉末の比表面積が1.5m2/g を超える場
合、得られるセパレータのガス不浸透性が悪くなる。
【0031】また、黒鉛化物粗粒粉末の粉末粒子の粒径
が300 μm を超える場合は、得られるセパレータの寸法
精度が出にくくなり、粉末粒子の平均アスペクト比が3
を超える場合、粉末粒子の充填性が低下し、得られるセ
パレータの導電性および寸法精度が悪くなる。なお、本
発明における粉末粒子の平均アスペクト比とは、電子顕
微鏡写真における各粒子の投影図の各粒子についての最
大長さと最小長さの比の平均値を示す。
【0032】また、前記黒鉛化物粗粒粉末の粉末粒子の
平均アスペクト比の下限値は、球体の粉末粒子のアスペ
クト比〔=1〕である。本発明においては、前記したメ
ソカーボン小球体製造時の抽出条件、塊状黒鉛化物の粉
砕条件などを制御することによって、黒鉛化物粗粒粉末
の粉末粒子の粒径、平均アスペクト比および黒鉛化物粗
粒粉末の比表面積を制御することができる。
【0033】[II]樹脂配合量の規制:本発明において
は、前記したメソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末な
どを含有する樹脂成形品(以下、炭素質成形体とも記
す)であるセパレータ成形品を黒鉛化せずに、十分な導
電性(低電気比抵抗、低体積抵抗率)を有する燃料電池
用セパレータを得ることを一つの大きな目標とした。
【0034】このため、本発明においては、球状に近い
メソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末を用い、充填密
度を向上させると共に、樹脂含有量を少なくすることに
より、メソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末の粒子同
士の接触確率を高める。この結果、本発明によれば、セ
パレータ成形品を焼成、黒鉛化せずとも、十分な導電性
を得ることができる。
【0035】本発明においては、熱可塑性樹脂として
は、ポリプロピレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリアミ
ド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポ
リフェニレンサルファイド樹脂、液晶樹脂およびフッ素
樹脂から選ばれる1種または2種以上を用いることが好
ましい。これは、これらの樹脂を用いることによって、
良好な成形性が得られ、溝の寸法精度に優れた溝付き燃
料電池用セパレータを得ることができるためである。
【0036】また、本発明においては、熱可塑性樹脂と
しては、融点が 150℃以上、より好ましくは融点が 200
℃以上の結晶性熱可塑性樹脂および/または軟化温度が
90℃以上、より好ましくは軟化温度が 150℃以上の非
晶性(無定形)熱可塑性樹脂を用いることが好ましい。
また、本発明においては、融点が 150℃以上、 300℃以
下の結晶性熱可塑性樹脂および/または軟化温度が90℃
以上、 250℃以下の非晶性(無定形)熱可塑性樹脂を用
いることがより好ましい。
【0037】さらに、本発明においては、融点が 200℃
以上、 300℃以下の結晶性熱可塑性樹脂および/または
軟化温度が 150℃以上、 250℃以下の非晶性(無定形)
熱可塑性樹脂を用いることがさらに好ましい。これは、
融点が 150℃以上の結晶性熱可塑性樹脂、軟化温度が90
℃以上の非晶性熱可塑性樹脂を用いることによって、耐
熱性に優れた燃料電池用セパレータを得ることができ、
逆に、融点が 300℃を超える結晶性熱可塑性樹脂、軟化
温度が250℃を超える非晶性熱可塑性樹脂を用いる場
合、成形性が低下するためである。
【0038】熱可塑性樹脂の含有量は、前記したメソカ
ーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末:100 重量部に対し
て、熱可塑性樹脂:3〜30重量部であり、より好ましく
は、5〜30重量部であり、さらに好ましくは10〜25重量
部である。熱可塑性樹脂の含有量が、3重量部未満の場
合、セパレータの内部に気孔が多数発生し、ガス不浸透
性に優れた燃料電池用セパレータが得られず、30重量部
を超える場合、電気比抵抗値、体積抵抗率が高くなる。
【0039】なお、前記した本発明における重量部は、
いずれも、成形後の各重量部を示す。本発明によれば、
熱可塑性樹脂の含有量を上記した範囲に規制することに
よって、セパレータ成形品を焼成、黒鉛化することな
く、ガス不浸透性に優れ、低電気比抵抗値、低体積抵抗
率の燃料電池用セパレータを得ることができる。
【0040】[III] 微細炭素粉末、微細炭素繊維の使
用:本発明においては、セパレータ成形品中に、前記し
たメソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末に加えて、さ
らに、メソカーボン小球体の黒鉛化物細粒粉末、バルク
メソフェーズピッチの黒鉛化物粉末、黒鉛粉末、カーボ
ンブラックである微細炭素粉末、微細炭素繊維を含有せ
しめることによって、メソカーボン小球体の黒鉛化物粗
粒粉末の粒子同士の電気的導通を確実にすることができ
る。
【0041】すなわち、上記した微細炭素粉末、微細炭
素繊維を、メソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末の粒
子間に介在せしめることによって、燃料電池用セパレー
タの導電性(低電気比抵抗、低体積抵抗率)をさらに向
上することが可能となる。以下、本発明における微細炭
素粉末、微細炭素繊維について述べる。 〔メソカーボン小球体の黒鉛化物細粒粉末:〕本発明の
燃料電池用セパレータにおいては、粒径が50μm 超え、
300 μm 以下であるメソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒
粉末:100 重量部に対して粒径が下記式(1) を満足する
メソカーボン小球体の黒鉛化物細粒粉末:100 重量部以
下、より好ましくは上記黒鉛化物細粒粉末:1〜100 重
量部を含有することが好ましい。
【0042】 黒鉛化物細粒粉末の粒径≦50μm ………(1) 上記した黒鉛化物細粒粉末の含有量が1重量部未満の場
合は、電気比抵抗および体積抵抗率の低下効果が少な
く、逆に100 重量部を超える場合、成形性が低下し、前
記した燃料電池用セパレータの溝深さの平均値に対する
平均二乗誤差が±5×10-2mm以内のセパレーターを得る
ことが難しくなる。
【0043】また、上記した黒鉛化物細粒粉末の含有量
が100 重量部を超える場合、それらのセパーレータ中に
おける分散性も不均一となり、導電性の面からも好まし
くない。本発明に用いる上記したメソカーボン小球体の
黒鉛化物細粒粉末としては、下記〜から選ばれる1
種または2種以上を用いることが好ましい。
【0044】前記したメソカーボン小球体の黒鉛化物
粗粒粉末の粉砕品で、粒径が50μm以下のもの。 石炭系のピッチおよび/または石油系のピッチを熱処
理した際に生成する光学的異方性を示す小球体をろ過し
て得られたろ過残渣を、タール油などで洗浄処理し、自
己焼結性を付与するバインダー成分を洗い流した後、焼
成、黒鉛化したもので、粒径が50μm 以下のもの。
【0045】上記光学的異方性を示す小球体を沈澱法
などの比重分離によって分離したものを、タール油など
で洗浄処理し、自己焼結性を付与するバインダー成分を
洗い流した後、焼成、黒鉛化したもので、粒径が50μm
以下のもの。図4に、上記したメソカーボン小球体の黒
鉛化物細粒粉末の電子顕微鏡写真の一例を示す。
【0046】本発明によれば、上記したメソカーボン小
球体の黒鉛化物細粒粉末である微細炭素粉末をメソカー
ボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末の粒子間に介在せしめる
ことによって、燃料電池用セパレータの導電性(低電気
比抵抗、低体積抵抗率)をさらに向上することが可能と
なる。 〔バルクメソフェーズピッチの黒鉛化物粉末、黒鉛粉
末、カーボンブラックおよび微細炭素繊維:〕さらに、
本発明の燃料電池用セパレータにおいては、粒径が50μ
m 超え、300μm 以下であるメソカーボン小球体の黒鉛
化物粗粒粉末:100 重量部に対してバルクメソフェーズ
ピッチの黒鉛化物粉末、黒鉛粉末、カーボンブラックお
よび微細炭素繊維から選ばれる1種または2種以上を合
計量で100 重量部以下含有することが好ましく、上記合
計量が1〜100 重量部であることがより好ましく、上記
合計量が2〜30重量部であることがさらに好ましい。
【0047】上記合計量が、1重量部未満の場合は、電
気比抵抗および体積抵抗率の低下効果が少なく、逆に10
0 重量部を超える場合、成形性が低下し、前記した燃料
電池用セパレータの溝深さの平均値に対する平均二乗誤
差が±5×10-2mm以内のセパレーターを得ることが難し
くなる。また、上記合計量が、100 重量部を超える場
合、それらのセパーレータ中における分散性も不均一と
なり、導電性の面からも好ましくない。
【0048】本発明における上記したバルクメソフェー
ズピッチの黒鉛化物粉末、黒鉛粉末、カーボンブラック
および微細炭素繊維としては下記の黒鉛化物粉末、黒鉛
粉末、カーボンブラックおよび微細炭素繊維を用いるこ
とが好ましい。 (バルクメソフェーズピッチの黒鉛化物粉末:)本発明
におけるバルクメソフェーズピッチの黒鉛化物粉末とし
ては下記で述べる黒鉛化物粉末を用いることが好まし
い。
【0049】すなわち、石油系または石炭系の重質油あ
るいは石油系または石炭系のピッチを 350〜 500℃で加
熱すると、加熱初期にメソカーボン小球体と称する光学
的に異方性の球状体が母液中に生成し、更に加熱を続け
ると、メソカーボン小球体同士が合体、成長を繰り返し
て母液全体が光学的に異方性の物質(バルクメソフェー
ズピッチ)となる。
【0050】上記で得られたバルクメソフェーズピッチ
を粉砕、分級後、好ましくは2000〜3000℃で黒鉛化して
バルクメソフェーズピッチの黒鉛化物粉末を得る。な
お、上記した黒鉛化物粉末は、バルクメソフェーズピッ
チを黒鉛化した後に、粉砕、分級することによって製造
することもできる。バルクメソフェーズピッチを製造す
る石炭系のピッチおよび/または石油系のピッチ中のキ
ノリン不溶分量(:QI)は5質量%以下であることが好
ましい。
【0051】これは、キノリン不溶分量(:QI)が5質
量%を超えるピッチを原料として製造した黒鉛化物粉末
を使用した場合には、最終的に得られるセパレータの電
気比抵抗値および体積抵抗率が高くなるためである。バ
ルクメソフェーズピッチの黒鉛化物粉末の平均粒径は50
μm 以下であることが好ましく、さらには上記平均粒径
が30μm 以下であることがより好ましい。
【0052】これは、上記したバルクメソフェーズピッ
チの黒鉛化物粉末である微細炭素粉末を、メソカーボン
小球体の黒鉛化物粗粒粉末の粒子間に介在せしめること
によって、燃料電池用セパレータの導電性(低電気比抵
抗、低体積抵抗率)をさらに向上することが可能となる
ためである。 (黒鉛粉末:)本発明における黒鉛粉末としては、人造
黒鉛粉末および/または天然黒鉛粉末が好ましく、純度
が95%以上のもので、平均粒径が50μm 以下のものが好
ましく、より好ましくは平均粒径が10μm 以下である。
【0053】純度が95%未満の場合は、不純物質として
含まれている金属塩が燃料電池の特性の安定性を阻害し
易い。また、平均粒径が50μm を超えると、メソカーボ
ン小球体の黒鉛化物粗粒粉末との均一混合性が悪くな
り、燃料電池用セパレータの導電性向上効果が低下し易
い。
【0054】黒鉛粉末の平均粒径の下限は特に制限され
るものではない。なお、人造黒鉛粉末は、例えば無定形
炭素を2500〜4000℃で加熱処理して得られた黒鉛の粉末
であり、通常は鱗片状の粉末である。天然黒鉛粉末は、
天然に産出する黒鉛の粉末であり、通常は、人造黒鉛粉
末よりも黒鉛化が進んだ鱗片状の粉末である。
【0055】(カーボンブラック:)カーボンブラック
としては、純度が95%以上のもので、平均粒径が100nm
以下のものが好ましい。純度が95%未満の場合は、人造
黒鉛粉末、天然黒鉛粉末の場合と同様に、不純物質とし
て含まれている金属塩が燃料電池の特性の安定性を阻害
し易い。
【0056】また、平均粒径が100nm を超えると、導電
性向上効果が低下し易い。カーボンブラックの平均粒径
の下限は特に制限されるものではない。なお、本発明に
おける前記したメソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末
およびメソカーボン小球体の黒鉛化物細粒粉末の粒径、
バルクメソフェーズピッチの黒鉛化物粉末、黒鉛粉末お
よびカーボンブラックの平均粒径は、後記する実施例に
示す測定法によって求めることができる。
【0057】(微細炭素繊維:)本発明における微細炭
素繊維としては、平均繊維径(直径)が2μm 以下であ
る炭素繊維が好ましく、さらには平均繊維径(直径)が
500nm 以下である炭素繊維がより好ましい。微細炭素繊
維の平均繊維径の下限は特に制限されるものではない。
【0058】なお、本発明における微細炭素繊維の平均
繊維径とは、微細炭素繊維の繊維断面形状が円形の場合
は、個々の繊維の断面の直径の合計を本数で除した平均
値を示し、繊維断面形状が円形でない場合は、個々の繊
維の断面積から求めた円相当直径の合計を本数で除した
平均値を示す。また、微細炭素繊維の平均繊維長は500
μm 以下であることが好ましい。
【0059】微細炭素繊維の平均繊維長の下限は特に制
限されるものではない。なお、本発明における微細炭素
繊維の平均繊維長とは、個々の繊維の繊維長の合計を本
数で除した平均値を示す。上記した微細炭素繊維の平均
繊維径が2μm を超えるか、平均繊維長が500 μm を超
えると、メソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末に対す
る分散性が悪くなり、成形体中に気孔が生成し、ガス不
浸透性が低下し易い。
【0060】また、微細炭素繊維の純度は95%以上であ
ることが好ましい。純度が95%未満の場合は、導電性向
上効果が低下し易い。また、本発明における上記した微
細炭素繊維としては、気相成長法によって製造され、繊
維径および繊維長が一般的な炭素繊維に比較して極めて
小さい炭素繊維(気相成長カーボン繊維)であるカーボ
ンナノファイバーを用いることが好ましい。
【0061】また、カーボンナノファイバーなどの微細
炭素繊維は、高温処理によって黒鉛化度が変化するが、
本発明においては、導電性を高めるため、微細炭素繊維
は高温処理を施し、黒鉛化度を高めたものを用いること
が好ましい。なお、本発明の燃料電池用セパレータは、
耐熱性、耐久性などを向上させるために、酸化防止剤な
どの添加剤を含有してもよい。
【0062】酸化防止剤としては、例えば、プラスチッ
ク用副資材として用いられる酸化防止剤などを用いるこ
とができる。 [IV]燃料電池用セパレータの製造方法:次に、本発明の
燃料電池用セパレータの製造方法について説明する。本
発明の燃料電池用セパレータの成形法は、特に制限を受
けるものではなく、例えば射出成形法やプレス成形法が
使用できる。
【0063】プレス成形法を用いる場合は、メソカーボ
ン小球体の黒鉛化物粗粒粉末と熱可塑性樹脂との混合
物、または、それらにさらにメソカーボン小球体の黒鉛
化物細粒粉末、バルクメソフェーズピッチの黒鉛化物粉
末、黒鉛粉末、カーボンブラックおよび微細炭素繊維か
ら選ばれる1種または2種以上を添加、混合した混合物
を、金型に供給して加圧加熱し、燃料電池用セパレータ
を製造する。
【0064】プレス成形の条件は、使用する樹脂によっ
て異なるが、金型における加圧加熱時の加熱温度を、結
晶性熱可塑性樹脂の融点もしくは非晶性熱可塑性樹脂の
軟化温度より数十℃高い温度とすることが好ましい。射
出成形法を用いる場合は、メソカーボン小球体の黒鉛化
物粗粒粉末と熱可塑性樹脂との混合物、または、それら
にさらにメソカーボン小球体の黒鉛化物細粒粉末、バル
クメソフェーズピッチの黒鉛化物粉末、黒鉛粉末、カー
ボンブラックおよび微細炭素繊維から選ばれる1種また
は2種以上を添加、混合した混合物を射出成形機に供給
し、射出成形し、燃料電池用セパレータを製造する。
【0065】なお、射出成形機に供給する前に、配合原
料を混練機などで混合すると、前記したメソカーボン小
球体の黒鉛化物粗粒粉末、黒鉛化物細粒粉末、バルクメ
ソフェーズピッチの黒鉛化物粉末、黒鉛粉末、カーボン
ブラック、微細炭素繊維がより均一に分散した成形体を
得やすい。射出成形法においては、結晶性熱可塑性樹脂
の融点もしくは非晶性熱可塑性樹脂の軟化温度より数十
℃高い温度で混合、加熱した後、金型に射出することが
好ましい。
【0066】[V] 燃料電池:次に、本発明の燃料電池に
ついて説明する。本発明の燃料電池は、固体高分子電解
質板の片面側に空気極を、他の片面側に燃料極を設ける
ことによって形成された単位セルを、前記した本発明の
燃料電池用セパレータを介して積層した固体高分子型燃
料電池であることが好ましい。
【0067】すなわち、本発明の好適な燃料電池は、空
気極、電解質、燃料極から構成される単位セルを、本発
明の燃料電池用セパレータを介して積層して成るもので
ある。なお、本発明においては、上記した固体高分子電
解質板の固体高分子としては、固体高分子中を水素イオ
ン(プロトン)が選択的に移動可能な固体高分子であれ
ば特に制限を受けるものではなく、パーフルオロカーボ
ンスルフォン酸(PFSA)イオン交換膜などが例示される。
【0068】以上、本発明の燃料電池用セパレータおよ
び燃料電池について述べたが、本発明の燃料電池用セパ
レータは、優れたガス不浸透性、低電気比抵抗、低体積
抵抗率を有し、かつ、ガス流路用の溝の寸法精度が非常
に優れているため、本発明の燃料電池用セパレータを用
いることによって、燃料電池内におけるガス流量の分布
が均一化し、発電効率に優れた燃料電池を得ることが可
能となった。
【0069】さらに、本発明の燃料電池用セパレータ
は、黒鉛化が不要であるため、簡易な設備で、エネルギ
ー面および生産性に優れた方法で上記した優れた性能を
有する燃料電池用セパレータおよび燃料電池を提供する
ことが可能となった。
【0070】
【実施例】以下、実施例に基づき本発明をさらに具体的
に説明する。先ず、下記実施例において用いた(1) 配合
原料、(2) 試験法、測定法について説明する。 (1) 配合原料: (メソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末:)キノリン
不溶分量(:QI):3%、軟化点:100 ℃の石炭系ピッ
チ(コールタールピッチ)を 250℃で1時間加熱処理し
て生成したメソカーボン小球体を、ろ過後、ろ過残渣を
3000℃まで昇温加熱して得た塊状黒鉛化物を、粉砕、分
級処理して得られた粗粒粉末(:黒鉛化物粗粒粉末a、
b、c、d)。
【0071】表1に、上記で得られたメソカーボン小球
体の黒鉛化物粗粒粉末a、b、c、dの性状(粒子特
性)を示す。 (熱可塑性樹脂:)表2および下記に示す熱可塑性樹脂
A〜Gを用いた。 A:ポリアミド樹脂(ナイロン6) B:ポリエステル樹脂(ポリエチレンテレフタレート) C:ポリカーボネート樹脂 D:ポリフェニレンサルファイド樹脂 E:フッ素樹脂(ポリふっ化ビニリデン) F:ポリプロピレン樹脂 G:ポリスチレン樹脂(結晶性) (メソカーボン小球体の黒鉛化物細粒粉末:) 粒径:2〜40μm (バルクメソフェーズピッチの黒鉛化物粉末:)キノリ
ン不溶分量(:QI):3%、軟化点:100 ℃の石炭系ピ
ッチ(コールタールピッチ)を 650℃で5時間加熱処理
して生成したバルクメソフェーズピッチを、3000℃まで
昇温加熱して得た黒鉛化物を、粉砕、分級処理して得た
平均粒径が10μm の黒鉛化物粉末。
【0072】(人造黒鉛粉末:) 平均粒径:10μm (商品名;SP-10 、日本黒鉛(株)社
製) (天然黒鉛粉末:) 平均粒径:6μm (商品名;ACP-1000、日本黒鉛(株)
社製) (カーボンブラック:) 平均粒径:25nm (微細炭素繊維:)下記気相成長カーボン繊維(以下、
カーボンナノファイバーと記す)を用いた。
【0073】グラスカーGWH (日機装(株)社製)(気
相成長法によって製造された炭素繊維、平均繊維径(平
均直径):300nm 、平均繊維長:10μm 、2900℃熱処理
品)
【0074】
【表1】
【0075】
【表2】
【0076】(2) 試験法、測定法: (2-1)メソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末、黒鉛化
物細粒粉末の粒径範囲:レーザ回折・散乱式粒度分布測
定装置を用いて測定した値 (2-2)バルクメソフェーズピッチの黒鉛化物粉末、黒鉛
粉末、カーボンブラックの平均粒径:レーザ回折・散乱
式粒度分布測定装置を用いて測定した50体積%の値 (2-3)メソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末の比表面
積:BET法(窒素吸着)で測定 (2-4)メソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末の粉末粒
子の平均アスペクト比:電子顕微鏡写真における各粒子
の投影図の各粒子についての最大長さと最小長さの比の
平均値 (2-5)熱可塑性樹脂の融点、軟化温度の試験法: 熱可塑性樹脂の融点:JIS K 7121-1987 プラスチックの
転移温度測定方法における融解温度 熱可塑性樹脂の軟化温度:JIS K 7206-1991 熱可塑性プ
ラスチックのビカット軟化温度試験方法 (2-6)炭素質成形体(薄板)の特性〔嵩密度、電気比抵
抗、体積抵抗率、ガス透過量、曲げ強度〕: (嵩密度:)炭素質成形体の重量(質量)を炭素質成形
体の体積で除して求めた。
【0077】(電気比抵抗:)電気比抵抗測定装置(商
品名:ロレスタ、三菱化学(株)社製)を用い、JISK 7
197に示された方法に従って測定した。 (体積抵抗率:)図5に示す測定装置を用い、体積抵抗
を測定し、下記式(2) に基づいて体積抵抗率を算出し
た。
【0078】 体積抵抗率=(体積抵抗/試料の板厚)×試料の表面積………(2) 〔上記式(2) 中、試料の表面積=25cm2 〕 なお、図5において、10は抵抗計、11a 、11b は絶縁材
〔PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)〕、12a 、12b
は銅板、Pは加圧力(9.8 ×1000N)、Sは試料(50mm
角)を示す。
【0079】(ガス透過量:)ガス透過量測定装置を用
い、炭素質成形体(薄板)の片面側から圧力:0.098MPa
(ゲージ圧)(:1kgf/cm2 ・G)の窒素を供給し、窒素の
透過量を測定した。 (曲げ強度:)オートグラフ((株)島津製作所社製)
を用いて、3点曲げ試験法により測定した。
【0080】(2-7)溝付き炭素質成形体(:溝付き燃料
電池用セパレータ)の溝深さの平均値に対する平均二乗
誤差ε:表面粗さ測定装置を用いて、下記仕様の溝付き
燃料電池用セパレータの溝深さを20点測定し、下記式
(3) に基づき溝深さの平均値に対する平均二乗誤差:ε
を求めた。
【0081】溝付き燃料電池用セパレータの仕様: 厚さ:2mm、幅:200mm 、長さ:200mm 、溝の幅:1m
m、溝の深さ:0.8mm
【0082】
【数1】
【0083】〔実施例1〜6、比較例1〜7〕メソカー
ボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末と熱可塑性樹脂を、表3
に示す配合割合で混合した後、熱可塑性樹脂の種類に対
応して表2に示す射出成形条件で射出成形し、厚さ:2
mm、幅:200mm 、長さ:200mm の炭素質成形体(薄板)
を製造した(実施例1〜6、比較例1〜4)。
【0084】なお、炭素材料として人造黒鉛粉末、天然
黒鉛粉末もしくはメソカーボン小球体の黒鉛化物細粒粉
末のみを用い、上記と同様の方法で炭素質成形体(薄
板)を製造した(比較例5〜7) 。次に得られた炭素質
成形体について、嵩密度、電気比抵抗、体積抵抗率、ガ
ス透過量、曲げ強度を測定した。
【0085】表4に、得られた測定結果を示す。次に、
セパレータの溝に対応する連続した凸部を有する金型を
用いて、上記したと同様の方法で、厚さ:2mm、幅:20
0mm 、長さ:200mm の溝付き炭素質成形体(:溝付き燃
料電池用セパレータ、溝付きセパレータ)を製造した。
なお、溝(:ガス流路用の溝)の幅は1mm、深さは0.8m
m とした。
【0086】次に、得られた溝付きセパレータの溝深さ
の平均値に対する平均二乗誤差εを測定した。表4に、
得られた測定結果を示す。 〔実施例7〜14、比較例8〜10〕メソカーボン小球体の
黒鉛化物粗粒粉末および熱可塑性樹脂と、メソカーボン
小球体の黒鉛化物細粒粉末、バルクメソフェーズピッチ
の黒鉛化物粉末、黒鉛粉末、カーボンブラックおよびカ
ーボンナノファイバーから選んだ微細炭素粉末、微細炭
素繊維を、表5に示す配合割合で混合した後、熱可塑性
樹脂の種類に対応して表2に示す射出成形条件で射出成
形し、厚さ:2mm、幅:200mm 、長さ:200mm の炭素質
成形体(薄板)を製造した。
【0087】次に得られた炭素質成形体について、嵩密
度、電気比抵抗、体積抵抗率、ガス透過量、曲げ強度を
測定した。表6に、得られた測定結果を示す。次に、セ
パレータの溝に対応する連続した凸部を有する金型を用
いて、上記したと同様の方法で、厚さ:2mm、幅:200m
m 、長さ:200mm の溝付き炭素質成形体(:溝付き燃料
電池用セパレータ、溝付きセパレータ)を製造した。
【0088】なお、溝(:ガス流路用の溝)の幅は1m
m、深さは0.8mm とした。次に、得られた溝付きセパレ
ータの溝深さの平均値に対する平均二乗誤差εを測定し
た。表6に、得られた測定結果を示す。表4、表6に示
されるように、本発明の燃料電池用セパレータは、ガス
不浸透性に優れ、低電気比抵抗、低体積抵抗率で、か
つ、ガス流路用の溝の寸法精度に優れていることが分か
った。
【0089】さらに、本発明の燃料電池用セパレータ
は、黒鉛化が不要であるため、簡易な設備で、エネルギ
ー面および生産性に優れた方法で上記した優れた性能を
有する燃料電池用セパレータを提供することが可能であ
ることが分かった。本実施例においては、さらに、パー
フルオロカーボンスルフォン酸イオン交換膜から成る固
体高分子電解質板の片面側に空気極を、他の片面側に燃
料極を設けることによって単位セルを形成し、得られた
単位セルを、前記した実施例1〜14のいずれかで得られ
た溝付きセパレータを介して積層し、固体高分子型燃料
電池を試作した。
【0090】次に、得られた固体高分子型燃料電池の性
能を評価した結果、実施例1〜14で得られた溝付きセパ
レータのいずれの場合も、ガス流量の分布が均一とな
り、発電効率に優れた燃料電池が得られた。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
【表5】
【0094】
【表6】
【0095】
【発明の効果】本発明によれば、ガス不浸透性に優れ、
低電気比抵抗、低体積抵抗率で、かつ、寸法精度に優れ
た燃料電池用セパレータを提供することが可能となり、
発電効率に優れた燃料電池を提供することが可能となっ
た。さらに、本発明によれば、セパレータ成形品の黒鉛
化が不要であるため、簡易な設備で、エネルギー面およ
び生産性に優れた方法で、上記した優れた性能を有する
燃料電池用セパレータおよび燃料電池を提供することが
可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】固体高分子型燃料電池の構成を示す斜視図であ
る。
【図2】人造黒鉛粉末の粒子構造を示す電子顕微鏡写真
である。
【図3】メソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉末の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図4】メソカーボン小球体の黒鉛化物細粒粉末の粒子
構造を示す電子顕微鏡写真である。
【図5】体積抵抗率の測定法を示す説明図である。
【符号の説明】
1 固体高分子電解質板 2 空気極 3 燃料極 4 セパレータ 5 ガス流路用の溝 10 抵抗計 11a 、11b 絶縁材 12a 、12b 銅板 P 加圧力 S 試料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 篠原 昇 千葉県千葉市中央区川崎町1番地 川崎製 鉄株式会社技術研究所内 (72)発明者 飯塚 安伸 東京都千代田区内幸町2丁目2番3号 川 崎製鉄株式会社内 Fターム(参考) 5H026 AA06 CC03 EE05 EE06 EE18 HH01 HH02 HH05

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 メソカーボン小球体の黒鉛化物粗粒粉
    末:100 重量部に対して熱可塑性樹脂:3〜30重量部を
    含有する成形品であって、前記黒鉛化物粗粒粉末が、50
    μm <粒径≦300 μm 、比表面積≦1.5m2/g 、粉末粒子
    の平均アスペクト比≦3の黒鉛化物粉末であることを特
    徴とする燃料電池用セパレータ。
  2. 【請求項2】 前記黒鉛化物粗粒粉末:100 重量部に対
    して粒径が下記式(1) を満足するメソカーボン小球体の
    黒鉛化物細粒粉末:100 重量部以下を含有することを特
    徴とする請求項1記載の燃料電池用セパレータ。 記 黒鉛化物細粒粉末の粒径≦50μm ………(1)
  3. 【請求項3】 前記黒鉛化物粗粒粉末:100 重量部に対
    してバルクメソフェーズピッチの黒鉛化物粉末、黒鉛粉
    末、カーボンブラックおよび微細炭素繊維から選ばれる
    1種または2種以上を合計量で100 重量部以下含有する
    ことを特徴とする請求項1または2記載の燃料電池用セ
    パレータ。
  4. 【請求項4】 前記バルクメソフェーズピッチの黒鉛化
    物粉末の平均粒径が50μm 以下、黒鉛粉末の平均粒径が
    50μm 以下、カーボンブラックの平均粒径が100nm 以
    下、微細炭素繊維の平均繊維径が2μm 以下、平均繊維
    長が500 μm 以下であることを特徴とする請求項3記載
    の燃料電池用セパレータ。
  5. 【請求項5】 請求項1〜4いずれかに記載の燃料電池
    用セパレータを用いたことを特徴とする燃料電池。
JP2000286006A 2000-09-20 2000-09-20 燃料電池用セパレータおよび燃料電池 Pending JP2002100377A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000286006A JP2002100377A (ja) 2000-09-20 2000-09-20 燃料電池用セパレータおよび燃料電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2000286006A JP2002100377A (ja) 2000-09-20 2000-09-20 燃料電池用セパレータおよび燃料電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002100377A true JP2002100377A (ja) 2002-04-05

Family

ID=18769986

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2000286006A Pending JP2002100377A (ja) 2000-09-20 2000-09-20 燃料電池用セパレータおよび燃料電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002100377A (ja)

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004019438A1 (ja) * 2002-08-23 2004-03-04 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha 燃料電池用セパレータ及びその製造方法
WO2005038969A1 (en) * 2003-10-21 2005-04-28 Compotec S.P.A. Material for manufacturing bipolar plates for fuel cells, bipolar plate made of said material and fuel sell comprising said plate
US7611643B2 (en) 2004-05-27 2009-11-03 Showa Denko K.K. Electrically conducting resin composition for fuel cell separator and fuel cell separator

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2004019438A1 (ja) * 2002-08-23 2004-03-04 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha 燃料電池用セパレータ及びその製造方法
EP1553651A1 (en) * 2002-08-23 2005-07-13 Honda Giken Kogyo Kabushiki Kaisha Fuel cell separator and its manufacturing method
EP1553651A4 (en) * 2002-08-23 2008-01-23 Honda Motor Co Ltd FUEL CELL SEPARATOR AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME
WO2005038969A1 (en) * 2003-10-21 2005-04-28 Compotec S.P.A. Material for manufacturing bipolar plates for fuel cells, bipolar plate made of said material and fuel sell comprising said plate
US7611643B2 (en) 2004-05-27 2009-11-03 Showa Denko K.K. Electrically conducting resin composition for fuel cell separator and fuel cell separator

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP1061597A2 (en) A fuel cell separator, a fuel cell using the fuel cell separator, and a method for making the fuel cell separator
CA2413146C (en) Conductive composition for solid polymer type fuel cell separator, solid polymer type fuel cell separator, solid polymer type fuel cell and solid polymer type fuel cell system using the separator
US20050112441A1 (en) Electroconductive curable resin composition, cured product thereof and process for producing the same
US7008526B2 (en) Processes for producing coke, artificial graphite and carbon material for negative electrode of non-aqueous solvent type secondary battery and pitch composition used therefor
KR20200101947A (ko) 리튬 이온 이차 전지용 음극재 및 리튬 이온 이차 전지용 음극재의 제조 방법
JP2001126744A (ja) 燃料電池用セパレータおよびその製造方法
JP2001122677A (ja) 燃料電池用セパレータの製造方法
JP4628143B2 (ja) 導電性樹脂組成物およびその成形体
CN112585307A (zh) 碳纤维集合体及其制造方法、以及非水电解质二次电池用电极合剂层
KR100834057B1 (ko) 연료전지 분리판 사출성형용 소재, 그로부터 제조된연료전지 분리판 및 연료전지
CN114072936A (zh) 含有纤维状碳的全固体锂二次电池用活性物质层及全固体锂二次电池
JPS61161666A (ja) 電気化学的電池セパレーター板、その製造方法及び燃料電池
JP4660146B2 (ja) 炭素材、二次電池用負極材および非水電解液二次電池
JP2002100377A (ja) 燃料電池用セパレータおよび燃料電池
JP2001236966A (ja) 燃料電池用セパレータおよび燃料電池
JP2002083608A (ja) 燃料電池用セパレータ及びその製造方法
JP2001351644A (ja) 燃料電池用セパレータおよび燃料電池
JP2003253127A (ja) 導電性組成物およびその成形体
JP2002100378A (ja) 燃料電池用セパレータおよび燃料電池
JP2005129507A (ja) 燃料電池セパレータ用黒鉛質粉末および燃料電池セパレータ
JP2005122974A (ja) 燃料電池用セパレータ及び燃料電池
JP2001351645A (ja) 燃料電池用セパレータおよび燃料電池
KR101131726B1 (ko) 고분자 전해질 연료전지용 탄소 분리판 제조방법
JP2006318695A (ja) 燃料電池セパレータ用黒鉛質粉末の製造方法
KR20170126204A (ko) 다공성 카본블랙-탄소 복합체를 이용하는 리튬전지용 탄소전극과 그 제조방법