JP2003252919A - 多官能性ラジカル重合開始剤及びそれを用いた重合体の製造方法 - Google Patents

多官能性ラジカル重合開始剤及びそれを用いた重合体の製造方法

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俊夫 杉崎
Mikihiro Kashio
幹広 樫尾
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 一分子内に3個以上の重合開始点を有し、星
型ポリマーなどの製造に好適に用いられる多官能性ラジ
カル重合開始剤及びこれを用いる重合体の製造方法を提
供すること。 【解決手段】 一分子内に3個以上のエチレン性二重結
合を有する化合物の該二重結合にホウ素化合物を付加さ
せてなる多官能性ラジカル重合開始剤、及びラジカル重
合性不飽和化合物に、前記の多官能性ラジカル重合開始
剤を加え、酸素雰囲気下に該重合開始剤を活性化したの
ち、前記不飽和化合物のラジカル重合を行う重合体の製
造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、多官能性ラジカル
重合開始剤及びそれを用いた重合体の製造方法に関す
る。さらに詳しくは、本発明は、一分子内に3個以上の
重合開始点を有し、星型ポリマーなどの製造に好適に用
いられる多官能性ラジカル重合開始剤及びこの重合開始
剤を用いるラジカル重合により、星型ポリマーなどの重
合体を効率よく製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、高分子重合体の発展はめざまし
く、あらゆる産業分野において、広範に用いられている
が、最近の市場のニーズでは、高分子材料に対する品質
要求が厳しく、これまでのように、単一特性に優れてい
るだけでは実用価値が低くなりつつある。そのため、ポ
リマー素材の開発、コンパウンド技術と成形加工技術が
一体となった研究開発、商品設計が必須となってきてい
る。ところで、ポリマーが示す性質は、一般にモノマー
の種類や立体規則性のような局所的な因子に加えて、平
均分子量、分子量分布、分岐型、リング型、異種ブロッ
ク、ランダムなどの大局的幾何学的因子に大きく支配さ
れており、上記因子をコントロールした素材設計がベー
スとなるポリマー素材の高機能化、高性能化につなが
る。上記因子の中で、特に分岐型については、分岐ポリ
マーが、通常の直鎖状ポリマーとは溶液物性や固体物性
が大きく異なり、高機能化や高性能化が可能であること
から、注目されている。この分岐ポリマーとしては、例
えばグラフト型、星型、デンドリマー型、ラダー型など
が知られているが、これらの中で、高機能化などの点か
ら、星型ポリマーの開発研究が積極的になされている。
この星型ポリマーは、一つの分岐点より複数本のポリマ
ー鎖が出ている構造を有しており、その製造方法は、一
般に (1)先に分岐鎖となるポリマーを合成したのち、コア
にグラフトさせるアーム・ファースト(arm−fir
st)法、及び(2)先にコアとなる3官能性以上の多
官能性重合開始剤を合成したのち、分岐鎖となるポリマ
ーを合成するコア・ファースト(core−firs
t)法の二種に大別することができる。前記(1)のア
ーム・ファースト法としては、例えばリビングアニオン
重合で得られたポリスチリルアニオンを3官能性のメチ
ルトリクロロシランでカップリングさせることにより、
星型ポリマーを得る方法などが知られているが、操作が
煩雑である上、反応条件に制約が多いことから、星型ポ
リマーの製造方法としては、(2)のコア・ファースト
法に比べて不利であると考えられている。前記(2)の
コア・ファースト法としては、例えば下記の構造式
【0003】
【化1】
【0004】で示されるカリックスアレンを核部分にも
つジクロロ酢酸型の多官能性重合開始剤を用い、これら
とRuCl2 (PPh3 3 との組合わせにより、メタ
クリル酸メチルのリビングラジカル重合を行うと、それ
ぞれ枝の本数が4、6、8本の星型ポリマーが生成する
ことが報告されている[「Macromolecules」、第31
巻、第557ページ(1998年)。
【0005】一方、ラジカル重合系の一つとして、アル
キル−9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナン(アルキ
ル−9−BBN)を重合開始剤とする系が報告されてい
る[「Am.Chem.Soc.Div.Polym.Chem. 」、第36巻、第
241〜242ページ(1995年)、「Polym.Mater.
Sci.Eng.」、第73巻、第542〜543ページ(19
95年)]。この重合系においては、例えば反応式
(A)及び反応式(B)
【0006】
【化2】
【0007】(式中、Rはアルキル基を示す。)で示す
ように、アルキル−9−BBN(I)は、酸素により室
温で容易に自動酸化されてボロンパーオキシド(II)を
形成し、このパーオキシドが開裂してアルコキシラジカ
ル(III)とB−O・ラジカル(IV)を生成する[反応式
(A)]。アルコキシラジカル(III)は極めて活性が高
く、メタクリル酸メチルのラジカル重合を開始させ、一
方、B−O・ラジカル(IV)は重合中、メタクリル酸メ
チル重合体の生長末端(V)に弱く、かつ可逆的に結合
した重合体(VI)を与え、リビングラジカル重合が進行
する[反応式(B)]。このように、多官能性ラジカル
重合開始剤の使用は試みられているが、一分子内に3個
以上の重合開始点をもつホウ素含有多官能性ラジカル重
合開始剤は、これまで知られていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
状況下、一分子内に3個以上の重合開始点を有し、星型
ポリマーなどの製造に好適に用いられる新規な多官能性
ラジカル重合開始剤及びこの重合開始剤を用いるラジカ
ル重合により、星型ポリマーなどの重合体を効率よく製
造する方法を提供することを目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、新規な3
官能性以上の多官能性ラジカル重合開始剤を開発すべく
鋭意研究を重ねた結果、一分子内に3個以上のエチレン
性二重結合を有する化合物の該二重結合にホウ素化合物
を付加させたものが多官能性ラジカル重合開始剤とし
て、ラジカル重合に好適に用い得ること、そして、この
ラジカル重合開始剤は酸素によって活性化され、ラジカ
ル重合性不飽和化合物をラジカル重合させ、星型ポリマ
ーを効率よく与えることを見出した。本発明は、かかる
知見に基づいて完成したものである。
【0010】すなわち、本発明は、一分子内に3個以上
のエチレン性二重結合を有する化合物の該二重結合にホ
ウ素化合物を付加させてなる多官能性ラジカル重合開始
剤を提供するものである。本発明はまた、ラジカル重合
性不飽和化合物に、前記の多官能性ラジカル重合開始剤
を加え、酸素雰囲気下に該重合開始剤を活性化したの
ち、前記不飽和化合物のラジカル重合を行うことを特徴
とする重合体の製造方法をも提供するものである。
【0011】
【発明の実施の形態】本発明の多官能性ラジカル重合開
始剤は、一分子内に3個以上の重合開始点を有してお
り、ラジカル重合性不飽和化合物のラジカル重合による
星型ポリマーなどの製造において、重合開始剤として好
適に用いられる。該多官能性ラジカル重合開始剤は、一
分子内に3個以上のエチレン性二重結合を有する化合物
の該二重結合に、ホウ素化合物を付加させてなるもので
ある。前記の一分子内に3個以上のエチレン性二重結合
を有する化合物(以下、多官能性不飽和化合物と称すこ
とがある。)としては特に制限はなく、様々な化合物を
用いることができる。具体的には、トリメチロールプロ
パントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトー
ルトリ(メタ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペン
タエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエ
リスリトールトリ(メタ)アクリレート、プロピレンオ
キシド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリ
レート、イソシアヌル酸エチレンオキシド変性トリ(メ
タ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メ
タ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メ
タ)アクリレート、プロピオン酸変性ジペンタエリスリ
トールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリ
トールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変
性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレー
ト、さらには(メタ)アクリレート変性ポリシロキサン
などが挙げられる。
【0012】一方、ホウ素化合物としては、例えば9−
ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、8−ボラビシクロ
[3.2.1]オクタシ、ジイソピノカンフェイルボラ
ン、ジシクロヘキシルボラン、ジイソアミルボランなど
を挙げることができ、これらの中で、9−ボラビシクロ
[3.3.1]ノナンが好適である。前記の多官能性不
飽和化合物とホウ素化合物の反応は、適当な溶剤中にお
いて、該多官能性不飽和化合物に対し、実質上化学量論
的量のホウ素化合物を用い、空気中又は窒素などの不活
性ガス雰囲気下、0〜50℃程度の温度で行うことがで
きる。この際、溶剤としては、例えばベンゼン、トルエ
ン、キシレンなどの芳香族炭化水素類、ヘキサン、ヘプ
タン、オクタン、シクロヘキサンなどの脂肪族又は環状
脂肪族炭化水素類、酢酸エチル、酢酸ブチルなどのエス
テル類、ジオキサン、テトラヒドロフランなどのエーテ
ル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチ
ルケトンなどのケトン類等が挙げられる。これらは単独
で用いてもよく、二種以上を組み合わせて用いてもよ
い。
【0013】このようにして得られた多官能性ラジカル
重合開始剤は、単離することなく、ラジカル重合性不飽
和化合物の重合に用いてもよく、必要に応じ、常法に従
って単離し、この単離した重合開始剤を、ラジカル重合
性不飽和化合物の重合に用いてもよい。本発明の多官能
性ラジカル重合開始剤を製造する例として、トリメチロ
ールプロパントリアクリレートに、9−ボラビシクロ
[3.3.1]ノナン(9−BBN)を付加する場合を
反応式(C)に、メタクリレート変性ポリシロキサンに
9−BBNを付加する場合を反応式(D)に示す。
【0014】
【化3】
【0015】本発明の重合体の製造方法においては、適
当な溶剤、例えば前述で例示した溶剤中にラジカル重合
性不飽和化合物及び前記のようにして得られた多官能性
ラジカル重合開始剤を加え、まず、酸素雰囲気下、0〜
50℃程度の温度にて、該重合開始剤を活性化させる。
この活性化は重合開始剤として、トリメチロールプロパ
ントリアクリレートに9−BBNを付加させたものを用
いる場合、下記の反応式(E)
【0016】
【化4】
【0017】で示すように、まず重合開始剤(VII)が自
動酸化されてボランパーオキシド(VIII)が形成し、次
いで該ボランパーオキシド(VIII)が開裂して、ラジカ
ル(III ′)及びB−O・ラジカル(IV)が生成する。
ラジカル(III ′)は極めて活性が高く、重合開始点と
なって、ラジカル重合性不飽和化合物のラジカル重合を
開始させる。前記重合開始剤(VII)は、重合開始点を3
個有するので、3本のポリマー鎖ができることになり、
従って星型のポリマーが得られる。例えばラジカル重合
性不飽和化合物としてブチルアクリレートを用いた場
合、下記の式(IX)
【0018】
【化5】
【0019】で示されるように、星型ポリマー(IX)が
得られる。このラジカル重合に用いられるラジカル重合
性不飽和化合物としては特に制限はなく、様々な化合物
を用いることができる。具体的には、(メタ)アクリル
酸エステル類、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、
(メタ)アクリロニトリル、スチレン類、α−オレフィ
ン類などを挙げることができる。また、重合反応温度と
しては、通常0〜100℃、好ましくは10〜70℃の
範囲で選定される。この重合は空気中で行ってもよく、
窒素ガスなどの不活性ガス雰囲気下で行ってもよい。生
長末端には活性なボラオキシ基が結合しているので、メ
タノールなどを加えて不活性化してもよく、また、該ボ
ラオキシ基を所望の官能基に置換してもよい。反応終了
後は、常法に従って重合体を単離することにより、星型
ポリマーなどを得ることができる。
【0020】
【実施例】次に、本発明を実施例により、さらに詳細に
説明するが、本発明は、これらの例によってなんら限定
されるものではない。なお、本実施例において、核磁気
共鳴スペクトル (1 H−NMRおよび13C−NMR)
のケミカルシフトの測定は、FX270(日本電子
(株)製)を使用し、重合体の数平均分子量および重量
平均分子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィ
ー(GPC)法により測定した。また、得られた重合体
一分子中に含まれる平均ホウ素原子数は、次式により求
めた。 重合体一分子中に含まれる平均ホウ素原子数=B×Mn
/A ここで、A:得られた重合体の重量 B:得られた重合体中のホウ素原子数(用いた重合開始
剤量から算出) Mn:数平均分子量
【0021】実施例1 3官能アクリレートであるトリメチロールプロパントリ
アクリレート1gに、0.5モル/リットル濃度の9−
ボラビシクロ[3.3.1]ノナンのテトラヒドロフラ
ン溶液(アルドリッチ社製)20.9ミリリットル及び
溶剤としてトルエン20gを加え、窒素雰囲気下、23
℃で3時間反応させた。生成物の核磁気共鳴スペクトル
の測定結果を示す。1 H−NMR 5.2ppm(CH2 −B)13 C−NMR 30ppm(CH2 −B) また、トリメチロールプロパントリアクリレートで観測
された13C−NMR128ppm(C=C)および9−
ボラビシクロ[3.3.1]ノナンで観測された 1
−NMR 4.8ppm(B−H)はほとんど観測され
なかった。これらの結果から、トリメチロールプロパン
アクリレートの炭素−炭素二重結合に9−ボラビシクロ
[3.3.1]ノナンが付加した重合開始剤が得られた
ことが確認された。次に、ラジカル重合性不飽和化合物
のアクリル酸ブチル100gにトルエン100gを添加
し、上記で得られた重合開始剤を固形分として0.05
gを加え、23℃にて酸素雰囲気下、重合開始剤を活性
化させた後、窒素ガスを導入しながら60℃で、5時間
重合を行い、100gの重合体を得た。この重合体の数
平均分子量は50,000、分子量分布[重量平均分子
量/数平均分子量(Mw/Mn)]は3.1であった。
得られた重合体ー分子中の平均ホウ素原子数は3.5で
あり、平均3.5の成長末端を有する星型ポリマーであ
ることが確認された。
【0022】実施例2 3官能アクリレートであるイソシアヌール酸エチレンオ
キシド変性トリアクリレート[東亜合成化学工業社製、
商品名「M−315」]1gに0.5モル/リットル濃
度の9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンのテトラヒ
ドロフラン溶液14.7ミリリットル及び溶剤としてト
ルエン20gを加え、窒素雰囲気下、23℃で3時間反
応させた。生成物の核磁気共鳴スペクトルの測定結果を
示す。1 H−NMR 5.2ppm(CH2 −B)13 C−NMR 29ppm(CH2 −B) また、イソシアヌール酸エチレンオキシサイドトリアク
リレート観測された13C−NMR 128ppm(C=
C)および9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンで観
測された 1 H−NMR 4.8ppm(B−H)はほ
とんど観測されなかった。これらの結果から、イソシア
ヌール酸エチレンオキシド変性トリアクリレートの炭素
−炭素二重結合に9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナ
ンが付加した重合開始剤が得られたことが確認された。
次に、ラジカル重合成不飽和化合物のアクリル酸ブチル
100gにトルエン100gを添加し、上記で得られた
重合開始剤を固形分として0.05gを加え、23℃に
て酸素雰囲気下、重合開始剤を活性化させた後、窒素ガ
スを導入しながら60℃で、5時間重合を行い、重合体
を得た。この重合体の数平均分子量は50,000、分
子量分布は2.7であった。得られた重合体ー分子中の
平均ホウ素原子数は4.1であり、平均4.1の成長末
端を有する星型ポリマーであることが確認された。
【0023】実施例3 4官能アクリレートであるペンタエリスリトールテトラ
アクリレート[東亜合成化学工業社製、商品名「M−4
50」]1gに、0.5モル/リットル濃度の9−ボラ
ビシクロ[3.3.1]ノナンのテトラヒドロフラン溶
液20.1ミリリットル及び溶剤としてトルエン20g
を加え、空気中23℃で3時間反応させた。生成物の核
磁気共鳴スペクトルの測定結果を示す。1 H−NMR 5.2ppm(CH2 −B)13 C−NMR 29ppm(CH2 −B) また、ペンタエリスリトールテトラアクリレートで観測
された13C−NMR128ppm(C=C)および9−
ボラビシクロ[3.3.1]ノナンで観測された 1
−NMR 4.8ppm(B−H)はほとんど観測され
なかった。これらの結果から、ペンタエリスリトールテ
トラアクリレートの炭素−炭素二重結合に9−ボラビシ
クロ[3.3.1]ノナンが付加した重合開始剤が得ら
れたことが確認された。次に、ラジカル重合性不飽和化
合物のアクリル酸ブチル100gにトルエン100gを
添加し、上記で得られた重合開始剤を固形分として0.
05gを加え、23℃にて酸素雰囲気下、重合開始剤を
活性化させた後、窒素ガスを導入しながら60℃で、5
時間重合を行い、重合体を得た。この重合体の数平均分
子量は50,000、分子量分布は3.8であった。得
られた重合体ー分子中の平均ホウ素原子数は3.8であ
り、平均3.8個の成長末端を有する星型ポリマーであ
ることが確認された。
【0024】実施例4 5官能アクリレートのジペンタエリスリトールペンタア
クリレートと6官能アクリレートのジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレートの混合物[東亜合成化学工業社
製、商品名「M−400」]1gに、0.5モル/リッ
トルの9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンのテトラ
ヒドロフラン溶液(アルドリッチ社製)21.1ミリリ
ットル及び溶剤としてトルエン20gを加え、窒素雰囲
気下、23℃で3時間反応させた。生成物の核磁気共鳴
スペクトルの測定結果を示す。1 H−NMR 5.2ppm(CH2 −B)13 C−NMR 29ppm(CH2 −B) また、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとア
クリレートのジペンタエリスリトールヘキサアクリレー
トで観測された13C−NMR 128ppm(C=C)
および9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンで観測さ
れた 1 H−NMR 4.8ppm(B−H)はほとん
ど観測されなかった。これらの結果から、ジペンタエリ
スリトールペンタアクリレートとアクリレートのジペン
タエリスリトールヘキサアクリレートの炭素−炭素二重
結合に9−ボラビシクロ[3.3.1]ノナンが付加し
た重合開始剤が得られたことが確認された。次に、ラジ
カル重合性不飽和化合物のアクリル酸ブチル100gに
トルエン100gを添加し、上記で得られた重合開始剤
を固形分として0.05gを加え、23℃にて酸素雰囲
気下、重合開始剤を活性化させた後、窒素ガスを導入し
ながら60℃で、5時間重合を行い、重合体を得た。こ
の重合体の数平均分子量は50,000、分子量分布は
4.2であった。得られた重合体ー分子中の平均ホウ素
原子数は8.2であり、平均8.2個の成長末端を有す
る星型ポリマーであることが確認された。
【0025】
【発明の効果】本発明の多官能性ラジカル重合開始剤
は、一分子内に3個以上の重合開始点を有し、星型ポリ
マーなどの製造に好適に用いられる。前記の多官能性ラ
ジカル重合開始剤を用いるラジカル重合により、各種の
ラジカル重合性不飽和化合物から、星型ポリマーなどを
効率よく製造することができる。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一分子内に3個以上のエチレン性二重結
    合を有する化合物の該二重結合にホウ素化合物を付加さ
    せてなる多官能性ラジカル重合開始剤。
  2. 【請求項2】 ホウ素化合物が9−ボラビシクロ[3.
    3.1]ノナンである請求項1記載の多官能性ラジカル
    重合開始剤。
  3. 【請求項3】 ラジカル重合性不飽和化合物に、請求項
    1又は2記載の多官能性ラジカル重合開始剤を加え、酸
    素雰囲気下に該重合開始剤を活性化したのち、前記不飽
    和化合物のラジカル重合を行うことを特徴とする重合体
    の製造方法。
  4. 【請求項4】 重合体が星型ポリマーである請求項3記
    載の重合体の製造方法。
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