JP5983216B2 - 新規(メタ)アクリル酸エステル、その重合体および該重合体の製造方法 - Google Patents
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したがって、本発明の製造方法によれば、大気中でも効率よく構造単位(2)を有する重合体を合成できる。
斯様なR2で示される炭素数1〜20の2価の炭化水素基の中でも、合成の簡便性の観点から、脂環式基および芳香環のうち少なくとも一方を含むものが好ましく、炭素数3〜20の2価の脂環式炭化水素基、炭素数6〜20の2価の芳香族炭化水素基、直鎖状または分岐鎖状の2価の炭化水素基少なくとも1つと2価の芳香族炭化水素基少なくとも1つとが連結した炭素数7〜20の2価の基がより好ましい。
なお、上記直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基および脂環式炭化水素基は、不飽和結合を有していてもよい。
また、該直鎖状または分岐鎖状の2価の炭化水素基としては、メチレン基、アルキレン基が好ましい。アルキレン基としては、例えば、エチレン基、トリメチレン基、プロピレン基、テトラメチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基等が挙げられる。
また、該2価の脂環式炭化水素基としては、シクロアルキレン基の他、アダマンチレン基等の2価の橋かけ環炭化水素基が挙げられるが、好ましくはシクロアルキレン基である。シクロアルキレン基としては、例えば、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロへキシレン基等が挙げられる。
なお、2価の脂環式炭化水素基の結合部位は、脂環上のいずれの炭素上でもよい。
また、該2価の芳香族炭化水素基としては、アリーレン基が好ましい。該アリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ビフェニレン基、トリレン基、ナフチレン基等が挙げられる。
なお、上記2価の芳香族炭化水素基の結合部位は、芳香環上のいずれの炭素上でもよい。
なお、上記2価の基に含まれる2価の芳香族炭化水素基の結合部位は、芳香環上のいずれの炭素上でもよい。
斯様な2価の基の具体例としては、フェニレンメチレン基(−C6H4−CH2−)等のアリーレンメチレン基;フェニレンエチレン基(−C6H4−CH2−CH2−)等のアリーレンアルキレン基;フェニレンジメチレン基(−CH2−C6H4−CH2−)等のアリーレンジメチレン基;フェニレンジエチレン基(−CH2−CH2−C6H4−CH2−CH2−)等のアリーレンジアルキレン基等が挙げられ、アリーレンメチレン基、アリーレンアルキレン基が好ましい。なお、アリーレンメチレン基、アリーレンアルキレン基に含まれるアリーレン基は、式中のエステル結合と結合していてもよく、式中のシアナト基と結合していてもよい。
なお、R3、R4におけるアルキレン基の具体例としては、上記R2で示されるものと同様のものが挙げられる。
したがって、化合物(1)は、光学材料、電子材料、印刷、医療、繊維・紙・木材、自動車、家電、建築材料等として多岐にわたる分野で利用可能な重合体の合成原料として有用であり、構造単位(2)を有する重合体の合成中間体として特に有用である。
なお、これら繰り返し単位の含有量は、1H−NMRスペクトル等により測定可能である。
なお、上記重量平均分子量および分子量分布は、後述する実施例に記載の方法に従い測定すればよい。
構造単位(2)を有する重合体は、化合物(1)を重合させることで製造できる。斯かる方法によれば、大気中でも反応を進行させることが可能であり(仮に窒素雰囲気やドライルームで行わない場合であっても反応を進行させることができる)、効率よく構造単位(2)を有する重合体を合成できる。具体的には、<工程1>化合物(3)と化合物(4)を塩基存在下で反応させ、<工程2>得られた化合物(1)を重合開始剤存在下で重合させることで合成できる。なお、コポリマーを得る場合は、上記他のエチレン性不飽和単量体を化合物(1)とともに重合させればよい。
工程1で用いる化合物(3)としては、2−(4−ヒドロキシフェニル)メチル(メタ)アクリラート、2−(4−ヒドロキシフェニル)エチル(メタ)アクリラート等が挙げられる。
化合物(3)は、市販品を用いてもよく、特開平4−257543号公報等を参考にして合成したものを用いてもよい。
化合物(4)の使用量は、化合物(3)1モルに対し、通常0.1〜5モル当量である。
塩基の使用量は、化合物(3)1モルに対し、通常0.1〜5モル当量である。
溶媒の使用量は、化合物(3)1モルに対し、通常0.1〜10Lである。
工程2で用いる化合物(1)としては、2−(4−シアナトフェニル)メチル(メタ)アクリラート、2−(4−シアナトフェニル)エチル(メタ)アクリラート等が挙げられる。
溶媒の使用量は、化合物(1)1モルに対し、通常、0.1〜10L程度である。
したがって、構造単位(2)を有する重合体は、光学材料、電子材料、印刷、医療、繊維・紙・木材、自動車、家電、建築材料等として多岐にわたる分野で利用可能な架橋剤、密着助剤、分散剤、高屈折材料等の他、プレポリマーとしても有用である。例えば、構造単位(2)を有する重合体に、シアナト基と反応可能な架橋剤を反応させることでネットワークポリマーを合成でき、また、構造単位(2)を有する重合体のシアナト基に単官能の求核剤を反応させることもできる。
上記ネットワークポリマーの合成に使用する架橋剤としては、第1級アミノ基および第2級アミノ基から選ばれるアミノ基を2個以上有する多官能アミン、多価アルコールが挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
上記多官能脂肪族アミンとしては、エチレンジアミン、1,3−ジアミノ−2−プロパノール、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン等の脂肪族ジアミン;2,2’,2’’−ニトリロトリエタンアミン、1,2,3−プロパントリアミン等の脂肪族トリアミンが挙げられる。
上記多官能芳香族アミンとしては、ビフェニル−4,4’−ジアミン等の芳香族ジアミン、2,4,6−トリアミノピリミジン、1,3,5−トリアミノベンゼン等の芳香族トリアミンが挙げられる。
溶媒の使用量は、構造単位(2)を有する重合体1モルに対し、通常0.1〜10Lである。
求核反応に用いる単官能の求核剤としては、アンモニア、第1級アミノ基または第2級アミノ基を1個有する単官能アミン、複素環式環状アミン、N−無置換又はN−1置換アミド基を1個有するアミド化合物が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
上記第2級アミノ基を1個有する単官能アミンとしては、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−i−プロピルアミン、ジ−n−ペンチルアミン、ジ−n−ウンデシルアミン、ジ(2−ブテニル)アミン、ジシクロヘキシルアミン、ジフェニルアミン、ジフェノキシアミン、ジ(4−ブロモシクロヘキシル)アミン、メチルエチルアミン、t−ブチル−n−ブチルアミン、メチルフェニルアミン、4−シアノ−n−デシルネオペンチルアミン、2−エトキシエチル−t−ブチルアミン、N−クロロ−N−フェニルアミン、N−エトキシ−N−エチルアミン、N−3,5−ジメチルヘキシル−N−2−エチルヘキシルアミン等が挙げられる。
上記ルイス酸触媒としては、BF3、BCl3、AlCl3、FeCl3、SnCl3、トリエチルアルミニウム、BF3テトラヒドロフラン錯体、BF3ジエチルエーテル錯体等が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
また、上記ルイス塩基触媒としては、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO33−LV(登録商標)等)、N,N’,N’’−ジメチルアミノプロピルヘキサヒドロトリアジン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン、ジメチルエタノールアミン(DMEA)、トリフェニルホスフィン(TPP)等が挙げられ、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
上記触媒の使用量は、構造単位(2)を有する重合体1モルに対し、好ましくは0.0001〜5質量部である。
実施例における各分析条件は以下に示すとおりである。
重合体の分子量は、東ソー株式会社製HLC−8320 SEC SYSTEMを用いて、THFを溶離液としてGPC測定を行いポリスチレン換算で求めた。
1H−NMRスペクトルおよび13C−NMRスペクトルは、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準物質として用いて、日本電子株式会社製JNM−AL300および日本電子株式会社製JNM−ECS400により測定した。
IRスペクトルは、Thermo Scientific社製のSMARTiTRサンプリングユニット付NICOLET iS10を用いてATR法またはKBr法により測定した。
セイコーインスツルメント社製TG−DTA6200により、アルミパンを用いて、50mL/minの窒素気流中10℃/minで上昇させて測定した。
セイコーインスツルメント社製DSC−6200により、アルミパンを用いて、10mL/minの窒素気流中−100℃〜200℃までの温度範囲を10℃/minで昇温させて測定した。
4−(2−ヒドロキシエチル)フェノール(12.0g,86.9mmol)をアセトニトリル(40mL)に溶解させ、これにN−メチルピロリドン(20mL)を加えた。この溶液にメタクリル酸クロリド(9.25mL,95.5mmol)を0℃でゆっくりと滴下した後、室温で12時間撹拌した。反応終了後、この溶液を500mLの純水へ投入した。沈殿した固体をろ集した後、これを純水で洗浄し、減圧乾燥することにより目的化合物を収率94.5%で得た。得られた化合物の構造式を以下に示す。
2−(4−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリラート(6.0g,29.1mmol)をジエチルエーテル(40mL)に溶解させ、これにトリエチルアミン(8.1mL,58.2mmol)を加えた。この溶液に臭化シアンの3Mジエチルエーテル溶液(10.7mL,臭化シアン32mmol)を−10℃でゆっくりと滴下した後、1.5時間撹拌した。反応終了後、エーテル溶液を水および飽和食塩水で洗浄した。次いで、有機層を抽出しこれを硫酸マグネシウムで乾燥し、ヘキサンで希釈した後、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(溶離液:ヘキサン/酢酸エチル=5/1)により精製し目的化合物を収率41%で得た。
NMRスペクトル(図1および2)とIRスペクトル(図3)で目的化合物の生成を確認した。図3に示すように、2260cm-1にC≡N結合の伸縮振動に由来するピークが観測され、シアナト基の導入が確認できる。得られた化合物の構造式を以下に示す。
2−(4−シアナトフェニル)エチルメタクリラート(0.50g,2.16mmol)をトルエン(1.1mL)に溶解させ、これに2,2’−アゾビス2,4−ジメチルバレロニトリル(10.7mg,0.0432mmol)を加えた後、凍結脱気を3回行った。次いで窒素置換をした後、60℃で24時間撹拌し、反応終了後、溶液を室温まで冷却し、エーテルに投入して沈殿を析出させた。デカンテーションによりエーテル層を取り除き、沈殿した固体をテトラヒドロフランに溶解させ、大量のヘキサンから再沈殿させた。沈殿した固体をろ集し、減圧乾燥して目的の重合体を67%の収率で得た。
NMRスペクトル(図4)とIRスペクトル(図5)で目的の重合体の生成を確認した。得られた重合体の構造式及び分析結果を以下に示す。
2−(4−シアナトフェニル)エチルメタクリラート(0.347g,1.5mmol)およびメチルメタクリラート(0.15g,1.5mmol)をトルエン(1.5mL)に溶解させ、これに2,2’−アゾビス−2,4−ジメチルバレロニトリル(14.9mg,0.06mmol)を加えた後、凍結脱気を3回行った。次いで窒素置換をした後、60℃で24時間撹拌し、反応終了後、溶液を室温まで冷却し、エーテルに投入して沈殿を析出させた。デカンテーションによりエーテル層を取り除き、沈殿した固体をテトラヒドロフランに溶解させ、大量のヘキサンから再沈殿させた。沈殿した固体をろ集し、減圧乾燥して目的のコポリマーを54%の収率で得た。
1H−NMRスペクトル(図6)で目的のコポリマーの生成を確認した。得られたコポリマーの構造式及び分析結果を以下に示す。
また、GPC測定の結果、数平均分子量(Mn)は15,000であり、分子量分布(Mw/Mn)は5.71であった。また、TGAおよびDSC測定の結果、5%重量減少温度(Td5)は240℃であり、ガラス転移温度(Tg)は77℃であった。
NMRチューブ中に、実施例2で得た重合体(0.02g,0.088mmol)および重ジメチルスルホキシド(0.5mL)を加え、これにn−プロピルアミン(7.2μL,0.97mmol)を添加して室温で振とうし、1H−NMR測定により反応の経時変化を追った。10分間後には反応が進行し、イソウレアが形成した。
NMRスペクトル(図7)とIRスペクトル(図8)で目的の重合体の生成を確認した。図8に示すように、2260cm-1のC≡N結合の伸縮振動に由来するピークが消失し、新たにC=N結合の伸縮振動に由来するピークが1640cm-1に観測された。また、シアナト基の転化率が95%であることがわかった。得られた重合体の構造式を以下に示す。
実施例2で得た重合体(0.1g,0.43mmol)をテトラヒドロフラン(0.22mL)に溶解させ、エチレンジアミン(5.8μL,0.086mmol)を加えて室温で5分撹拌したところ、溶液が速やかにゲル化した。このゲルを大量のエーテルに投入ししばらく撹拌してからろ集し、エーテルおよびヘキサンを用いて洗浄し、減圧乾燥後、目的のネットワークポリマーを得た。
IRスペクトル(図9)でネットワークポリマーの生成を確認した。得られたネットワークポリマーの構造式を以下に示す。
NMRチューブ中に、実施例2で得られた重合体(0.02g,0.088mmol)および重ジメチルスルホキシド(0.5mL)を加え、これに純水(16μL,0.88mmol)を添加して室温で振とうし、1H−NMR測定により反応の経時変化を追ったところ、24時間経過しても1H−NMRスペクトルに変化が見られなかった。
したがって、実施例2で得られた重合体は、大気中の水と反応しにくく安定性に優れる。
Claims (3)
- 下記式(1)で表される化合物。
- 下記式(2)で表される構造単位を有する重合体。
- 下記式(1)で表される化合物を重合させる工程を含む下記式(2)で表される構造単位を有する重合体の製造方法。
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