JP2001323019A - 末端に官能基を有するビニル系重合体及び末端に官能基を有するビニル系重合体を含む硬化性組成物 - Google Patents

末端に官能基を有するビニル系重合体及び末端に官能基を有するビニル系重合体を含む硬化性組成物

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JP2001323019A
JP2001323019A JP2000140432A JP2000140432A JP2001323019A JP 2001323019 A JP2001323019 A JP 2001323019A JP 2000140432 A JP2000140432 A JP 2000140432A JP 2000140432 A JP2000140432 A JP 2000140432A JP 2001323019 A JP2001323019 A JP 2001323019A
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vinyl polymer
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Takamaro Kakehi
鷹麿 筧
Takeshi Wakiya
武司 脇屋
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 分子の両末端に異なる官能基を有するので、
官能基同士の反応による鎖延長により、伸びや引張強さ
等の物性が向上し、網状化により耐熱性や耐水性等の耐
久性がバランスよく付与されるので、粘接着剤、シーリ
ング剤、弾性接着剤、塗料、フィルム、熱可塑性エラス
トマー、制振剤、各種成形材料、相溶化剤、樹脂改質剤
等の広範な用途に共することができる末端に官能基を有
するビニル系重合体、及び、末端に官能基を有するビニ
ル系重合体を含む硬化性組成物を提供する。 【解決手段】 一方の末端に官能基Xを、他の末端に前
記官能基Xとは異なる官能基Yを有する末端に官能基を
有するビニル系重合体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、末端に官能基を有
するビニル系重合体、及び、この末端に官能基を有する
ビニル系重合体を含む硬化性組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】末端に官能基を有する重合体は、単独で
又は適当な硬化剤と組み合わせて用いることによって架
橋し、耐熱性、耐水性、その他の耐久性等に優れた硬化
物を与えることが知られている。
【0003】上記重合体の両末端に官能基を有する場合
は、分子の内部に官能基を有する重合体に比較して、架
橋による網状化だけでなく、末端同士の架橋による鎖延
長が効率的に起こるので、直鎖状に鎖延長された高分子
量体を形成することができ、伸びや引張強さに優れた樹
脂が得られる。また、片末端に官能基を有する重合体に
ついても、末端の官能基を利用した樹脂改質剤や界面活
性剤としての機能や、異なる組成の樹脂同士のカップリ
ングにより、いわゆるAB型のブロックポリマーが合成
でき、同様に樹脂改質剤、相溶化剤としての活用が期待
される。
【0004】分子の両末端に同一種類の官能基を有する
重合体の製造方法については、多数報告されている。例
えば、両末端に官能基をもつゴム系重合体については、
現在までに多くのリビング重合法による合成がなされて
おり、リビングアニオン重合によるテレケリックポリブ
タジエンの合成(日本ゴム協会誌、第48巻、第5号、
第263頁、1975年)、イニファーター法による両
末端に水酸基をもつポリクロロプレンの合成(特開平3
−287613号公報)等が報告されている。
【0005】また、ポリプロピレングリコールのような
両末端水酸基のポリマーも、ウレタン接着剤やシーリン
グ剤の原料、エポキシ系接着剤の改質剤として使用され
ており、ポリエチレンテレフタレート、ポリカプロラク
トンのようなポリエステル樹脂も同種用途等に多用され
ている。
【0006】上記以外のビニル系重合体、特に(メタ)
アクリル酸エステル、(メタ)アクリロニトリルを含む
極性が高いビニル系単量体についても、末端に官能基を
有する重合体の製造方法がいくつか報告されている。
【0007】例えば、特開平5−255415号公報に
は、連鎖移動剤としてアルケニル基含有ジスルフィドを
用い、両末端にアルケニル基を有する(メタ)アクリル
重合体の合成方法が開示されており、特開平5−262
808号公報には、水酸基を有するジスルフィドを用
い、両末端に水酸基を有するアクリル重合体を合成し、
更に、末端の水酸基を利用し、末端にアルケニル基を有
する(メタ)アクリル重合体の合成方法が開示されてい
る。
【0008】しかし、特開平5−255415号公報に
開示された方法では、両末端に確実に官能基を導入する
ことは容易ではなく、また、特開平5−262808号
公報に開示された方法では、末端に確実に水酸基を導入
するためには、大量の連鎖移動剤を使用しなければなら
ず、製造工程上問題を残し、いずれも有効な製造方法と
はいい得ないものである。
【0009】また、末端に官能基を有するビニル系重合
体について、分子の両末端に異なる官能基を有する重合
体については、これまで報告例が見られない。この重合
体は、分子の両末端に、互いに反応性のある官能基を導
入することで、自己鎖延長が可能であり、直鎖状のポリ
マーを形成することができる。また、分子の末端に異な
る官能基を有していることで、優れた相溶化剤となるこ
ともできる。しかしながら、上記の製造方法では、重合
体にこのような末端構造を導入することは容易ではな
い。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明のビニル系重合
体は、上記に鑑み、分子の両末端に異なる官能基を有す
るので、官能基同士の反応による鎖延長により、伸びや
引張強さ等の物性が向上し、網状化により耐熱性や耐水
性等の耐久性がバランスよく付与されるので、粘接着
剤、シーリング剤、弾性接着剤、塗料、発泡体、フィル
ム、熱可塑性エラストマー、制振材、各種成形材料、相
溶化剤、樹脂改質剤等の広範な用途に供することができ
る末端に官能基を有するビニル系重合体、及び、末端に
官能基を有するビニル系重合体を含む硬化性組成物を提
供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、一方の末端に
官能基Xを、他の末端に上記官能基Xとは異なる官能基
Yを有する末端に官能基を有するビニル系重合体であ
る。以下に、本発明を詳述する。
【0012】本発明の末端に官能基を有するビニル系重
合体の末端官能基X及び末端官能基Yとしては、互いに
異なり、かつ、経時的に遊離するものでなければ特に限
定されず、例えば、水酸基、カルボキシル基、シリル
基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、ハロゲン
原子、アミノ基、エポキシ基、エチニル基、メルカプト
基、オキサゾリン基、マレイミド基、アズラクトン基、
イソシアネート基、ブロックイソシアネート基等が挙げ
られる。なかでも、水酸基、カルボキシル基、アミノ基
が好ましい。
【0013】上記シリル基としては特に限定されず、例
えば、トリヒドロシリル基、メチルジヒドロシリル基、
ジメチルヒドロシリル基、エチルジヒドロシリル基、ジ
エチルヒドロシリル基、トリメトキシシリル基、メチル
ジメトキシシリル基、ジメチルメトキシシリル基、エチ
ルジメトキシシリル基、ジエチルメトキシシリル基、ト
リエトキシシリル基、メチルジエトキシシリル基、ジメ
チルエトキシシリル基、エチルジエトキシシリル基、ジ
エチルエトキシシリル基、トリ(イソプロポキシ)シリ
ル基、トリ(n−ブトキシ)シリル基等が挙げられる。
【0014】また、本発明の末端に官能基を有するビニ
ル系重合体において、上記官能基Yは、官能基Xと選択
的に反応する官能基であることが好ましい。上記官能基
Xと官能基Yとの選択的反応による鎖延長により、鎖延
長剤なしに高分子量体を形成することができる。
【0015】本発明の末端に官能基を有するビニル系重
合体において、上記官能基Yが、官能基Xと選択的に反
応する官能基である場合、上記官能基Xはアミノ基であ
り、官能基Yはカルボキシル基であることが好ましい。
両末端の官能基が、それぞれアミノ基とカルボキシル基
である場合には、加熱のみにより、又は、適当な触媒の
存在下、鎖延長剤なしで、このビニル系重合体単独での
鎖延長による高分子量化が可能である。
【0016】また、本発明の末端に官能基を有するビニ
ル系重合体において、上記官能基Xは水酸基であり、官
能基Yはカルボキシル基であることが好ましい。両末端
の官能基が、それぞれ水酸基とカルボキシル基である場
合には、エステル化触媒の存在下、加熱することによ
り、鎖延長剤なしで、このビニル系重合体単独での鎖延
長による高分子量化が可能である。
【0017】本発明の末端に官能基を有するビニル系重
合体においては、上記官能基X及び/又は官能基Yは、
アミド基を介して分子末端に結合していることが好まし
い。官能基付近に1個以上のアミド基を有することで、
末端官能基の種類によっては末端官能基同士や、末端官
能基と反応可能な化合物との反応性が高められる。例え
ば、本発明の末端に官能基を有するビニル系重合体の末
端官能基が水酸基であり、これとイソシアネート化合物
とを反応させる場合には、水酸基付近にアミド基がある
ことで触媒として作用し、水酸基の反応性はアミド基が
ない場合に比較して高くなる。また、本発明の末端に官
能基を有するビニル系重合体の末端官能基がアルコキシ
シリル基の場合には、アルコキシシリル基付近にアミド
基があることでアルコキシシリル基同士の反応性が高め
られる。更に、この末端にアルコキシシリル基をもつビ
ニル系重合体を含む硬化性組成物は、硬化に要する時間
が短縮されるので、硬化物の強度が早期に発現し、施工
性に優れる。上記アミド基としては特に限定されない
が、アミド基が−RH−の場合は、得られるビニル系重
合体が末端付近に2級アミンを有した構造となり、硬化
反応が促進されやすくなる。
【0018】本発明の末端に官能基を有するビニル系重
合体において、ビニル系重合体の構造としては特に限定
されず、単一の単量体からなる重合体であってもよく、
複数の単量体からなるランダム共重合体であってもよ
く、又は、2個以上のブロックからなるブロック共重合
体であってもよい。また、本発明の末端に官能基を有す
るビニル系重合体において、ビニル系重合体がブロック
共重合体の場合には、Tg差が20℃以上あるブロック
を少なくとも1組含むものであることが好ましい。Tg
差が20℃以上あるブロックを1組以上有することによ
り、本発明の末端に官能基を有するビニル系重合体を用
いてなる硬化物は、低温下での特性と耐熱性とに優れた
ものとなる。上記Tg差は、より好ましくは、40℃以
上であり、更に好ましくは、60℃以上である。
【0019】本発明の末端に官能基を有するビニル系重
合体において、ビニル系重合体を構成するビニル系単量
体としては特に限定されないが、例えば、(メタ)アク
リル酸エステルが好ましい。(メタ)アクリル酸エステ
ルからなる場合、得られる末端に官能基を有するビニル
系重合体の鎖延長又は網状化した硬化物は、透明性に優
れ、耐候性、耐熱性、耐水性に優れ、かつ、接着性に優
れたものとなる。また、上記ビニル系重合体が(メタ)
アクリル酸エステルと他のビニル系単量体との共重合体
である場合には、(メタ)アクリル酸エステルの割合が
50重量%以上であることが好ましい。(メタ)アクリ
ル酸エステルの割合が50重量%以上であれば、上記各
性能の発現がより顕著に認められる。上記ビニル系重合
体が、(メタ)アクリル酸エステルの単独重合体である
場合には、上記各性能は更に顕著に改善される。
【0020】上記(メタ)アクリル酸エステルとしては
特に限定されず、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、
(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プ
ロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)ア
クリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、
(メタ)アクリル酸tert−ブチル、(メタ)アクリ
ル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メ
タ)アクリル酸イソヘキシル、(メタ)アクリル酸n−
オクチル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)
アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ノ
ニル、(メタ)アクリル酸デシル、(メタ)アクリル酸
ドデシル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アク
リル酸トルイル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メ
タ)アクリル酸ステアリル、(メタ)アクリル酸2−ヒ
ドロキシエチルヘキシル、(メタ)アクリル酸3−メト
キシプロピル、炭素数1〜20のアルキル基の水素原子
の一部又は全部がフッ素原子で置換された(メタ)アク
リル酸フルオロアルキルエステル、(メタ)アクリルア
ミド、(メタ)アクリル酸等が挙げられる。これらの
(メタ)アクリル酸エステルは、単独で用いられてもよ
く、2種以上併用されてもよい。
【0021】本発明の末端に官能基を有するビニル系重
合体の分子量としては特に限定されないが、数平均分子
量で500〜10万が好ましい。上記分子量が、数平均
分子量で500未満であると、そのビニル系重合体を含
有する硬化性組成物を硬化させるために多量の硬化剤が
必要になり、実用的でない。上記分子量が、数平均分子
量で10万を超えると、得られる硬化性組成物の硬化性
が低下し、硬化時間が長くなったり、硬化が充分に行わ
れないために硬化物物性を低下させる等、硬化物の生産
性や品質の低下をきたすことがある。上記分子量は、よ
り好ましくは、数平均分子量が500〜5万である。
【0022】また、本発明の末端に官能基を有するビニ
ル系重合体の末端官能基導入率としては特に限定されな
いが、90%以上であることが好ましい。上記末端官能
基導入率が90%未満であると、硬化が充分に行われな
いので硬化物物性を低下させるおそれがある。
【0023】本発明の末端に官能基を有するビニル系重
合体の製造方法としては特に限定されず、例えば、ラジ
カル重合法;アニオン重合法;リビングラジカル重合
法、リビングアニオン重合法等のリビング重合法等を適
用することができる。これらのなかでも、製造時に、末
端の官能基導入率を上げるためには、リビングアニオン
重合法やリビングラジカル重合法等のリビング重合法を
用いることが好ましい。
【0024】本発明の末端に官能基を有するビニル系重
合体を上記リビングアニオン重合法により製造する場
合、ビニル系重合体の両末端に異なる官能基を導入する
方法としては、例えば、アニオン重合開始剤に官能基X
を導入したものを合成しておき、それを用いてビニル系
重合体を重合し、その重合末端に官能基Yを導入する方
法や、官能基を有さない重合開始剤を用いて、官能基X
を有するビニル系単量体を1分子付加させ、引き続き主
鎖を構成するビニル系単量体を重合し、重合末端に官能
基Yを導入する方法等を採ることができる。
【0025】上記アニオン重合開始剤としては特に限定
されず、公知のアニオン重合開始剤を使用できるが、1
官能性開始剤を用いることが好ましい。上記1官能性開
始剤としては特に限定されず、例えば、n−ブチルリチ
ウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチ
ウム、tert−ブトキシカリウム、クミルカリウム、
クミルセシウム、1,1−ジフェニルヘキシルリチウ
ム、フルオレニルリチウム、(α−メチルスチレンオリ
ゴマー)ナトリウム等が挙げられる。これらは単独で用
いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0026】上記アニオン重合開始剤の量は、ビニル系
単量体1モルに対して0.001〜0.5モルが好まし
い。上記アニオン重合開始剤の量が、ビニル系単量体1
モルに対して0.001モル未満であると、重合速度が
遅く、かつ、得られる重合体の重量平均分子量が大きく
なることがある。0.5モルを超えると、得られる重合
体の重量平均分子量が500より小さくなることがあ
る。上記アニオン重合開始剤の量は、より好ましくは、
ビニル系単量体1モルに対して0.002〜0.3モル
である。
【0027】上記リビングアニオン重合において、アニ
オン重合開始剤に官能基を導入する場合は、官能基のも
つ活性水素自体が重合停止剤になるので、これを保護基
で保護しておき、重合後に外す方法等を採ることが好ま
しい。上記保護基としては特に限定されず、例えば、t
ert−ブトキシ基、トリメチルシロキシ基、トリメチ
ルシリルエステル基、tert−ブチルエステル基、ブ
ロックイソシアネート基等が挙げられ、これらの保護基
は、加水分解や加熱処理等により、水酸基、カルボキシ
ル基、イソシアネート基に変換される。ビニル系単量体
に官能基を有するものを使用する場合も、同様に官能基
を保護基で保護したものを使用することが好ましい。
【0028】上記リビングアニオン重合は、不活性ガス
雰囲気下、又は、減圧下にて、重合反応に対して不活性
な溶媒中で−150〜50℃、好ましくは−100〜4
0℃の温度で、1分〜100時間行われる。重合時に用
いられる上記溶媒としては特に限定されず、例えば、T
HF、トルエン、シクロヘキサン、ベンゼン、キシレ
ン、ジエチルエーテル、ジメトキシエタン、ジオキサン
等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよく、2
種以上併用されてもよい。
【0029】また、上記リビングアニオン重合を行う際
には、成長末端の活性を制御するために、添加剤を加え
てもよい。上記添加剤としては特に限定されず、例え
ば、テトラメチルエチレンジアミン、ジピペリジノエタ
ン、トリエチルアミン、N−メチルピロリジン等の第3
級アミン類;12−クラウン−4、15−クラウン−5
等のクラウンエーテル類;塩化リチウム、塩化ナトリウ
ム、塩化カリウム、塩化セシウム等の塩類等が挙げられ
る。これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用さ
れてもよい。上記添加剤の添加量としては、成長末端に
対して1〜10モル等量を添加するのが一般的である。
また、上記添加剤以外に1,1−ジフェニルエチレン
を、成長末端の1〜1.2モル等量添加することで、成
長末端の、(メタ)アクリル酸エステルのカルボニル基
への副反応を抑えることができ、重合のリビング性を高
めることができる。
【0030】また、上記リビングアニオン重合を行う場
合、合成されたビニル系重合体の末端に官能基を導入す
る方法としては、例えば、重合停止剤として、目的とす
る官能基と、重合末端のアニオンと反応する基とをもつ
化合物を添加する方法等を採ることができる。上記のよ
うな化合物としては特に限定されず、例えば、エチレン
オキサイド、炭酸ガス、エチレンイミン、塩化(メタ)
アクリロイル、塩化4−ビニルベンゾイル、トリクロロ
メチルシラン等が挙げられ、それぞれ水酸基、カルボキ
シル基、アミノ基、メタクリル基、ビニル基、シリル基
が導入される。
【0031】本発明の末端に官能基を有するビニル系重
合体を製造する際に、リビングラジカル重合法を行う場
合、その方法としては特に限定されず、公知の方法を使
用することができ、例えば、2,2,6,6−テトラメ
チル−1−ピペリジニルオキシラジカル(TEMPO)
等の安定ニトロキシラジカル化合物により重合末端を安
定化させる方法、重合末端をハロゲン原子により安定化
させるハロゲン原子移動重合法等が挙げられる。この場
合にも、上記リビングアニオン重合法の場合と同様に、
重合開始剤と、安定ニトロキシラジカル化合物に官能基
Xを導入したものを用いて、又は、重合開始剤若しくは
連鎖移動剤に官能基Xを導入したものを用いてビニル系
重合体を重合し、その重合末端に置換反応等で官能基Y
を導入する方法、官能基のない重合開始剤を用いて、官
能基Xを有するビニル系単量体を1分子付加させ、引き
続き主鎖を構成するビニル系単量体を重合し、重合末端
に官能基Yを導入する方法等を採ることができる。ま
た、この際、重合開始剤、安定ニトロキシラジカル化合
物、連鎖移動剤、ビニル系単量体に導入される官能基
は、保護基で保護されていてもよく、重合反応を阻害す
るものでなければ、保護されていなくてもよい。
【0032】上記安定ニトロキシラジカル化合物として
は特に限定されず、公知の安定フリーラジカル剤が挙げ
られ、例えば、2,2,6,6,−テトラメチル−1−
ピペリジニルオキシ(TEMPO)、2,2,6,6,
−テトラメチル−1−ピペリジニオール(商品名:TE
MPOL、三協化成社製)4−オキソ−2,2,6,
6,−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシ(4−オ
キソ−TEMPO)、2,2,5,5,−テトラメチル
−1−ピロリジニルオキシ、ジ−t−ブチルニトロキサ
イド等が挙げられる。なかでも、2,2,6,6,−テ
トラメチル−1−ピペリジニルオキシ、4−オキソ−
2,2,6,6,−テトラメチル−1−ピペリジニルオ
キシが好ましい。これらは単独で用いられてもよく、2
種以上併用されてもよい。また、官能基を有する安定ニ
トロキシラジカル化合物としては、例えば、4−ヒドロ
キシ2,2,6,6,−テトラメチル−1−ピペリジニ
ルオキシ等が挙げられる。
【0033】上記安定ニトロキシラジカル化合物を用い
る重合法では、通常ラジカル発生剤が使用される。上記
ラジカル発生剤としては、重合温度下でラジカルを発生
させるものであれば特に限定されず、一般的な熱分解型
の重合開始剤が使用でき、例えば、アゾビスイソブチロ
ニトリル(AIBN)、アゾビスイソ酪酸エステル、次
亜硝酸エステル等のアゾ化合物;過酸化ベンゾイル(B
PO)、過酸化ラウロイル、ジクミルパーオキサイド、
ジベンゾイルパーオキサイド等が挙げられる。また、上
記ラジカル発生剤の、上記ニトロキシ化合物に対する添
加量としては特に限定されないが、モル比で0.1〜1
0であることが好ましい。より好ましくは、モル比で
0.2〜5である。
【0034】上記安定ニトロキシラジカル化合物を用い
る場合には、重合温度は、100〜170℃ぐらいの温
度で重合することが一般的である。好ましい温度範囲と
しては、110〜160℃である。反応圧力は通常、常
圧で行われるが、加圧にすることも可能である。
【0035】上記安定ニトロキシラジカル化合物を用い
る方法の場合、重合されたビニル系重合体の末端に官能
基を導入する方法としては、例えば、目的とする官能基
を分子内に有する連鎖移動剤や停止剤を用いて、重合末
端の安定ニトロキシラジカル化合物を置換する方法が挙
げられる。上記官能基を分子内に有する連鎖移動剤や停
止剤としては特に限定されず、例えば、メルカプトエタ
ノール、メルカプトプロパノール、メルカプトブタノー
ル、2、2’−ジチオエタノール等により水酸基が導入
され、2−メルカプト酢酸、2−メルカプトプロピオン
酸、ジチオグリコール酸、3,3' −ジチオプロピオン
酸、2,2' −ジチオ安息香酸等によりカルボキシル基
が導入され、3−メルカプトプロピルメチルジメトキシ
シラン等によりシリル基が導入される。
【0036】また、リビングラジカル重合法において、
上記ハロゲン原子移動重合法を行う場合は、ハロゲン含
有化合物を連鎖移動剤として用い、ラジカル重合により
末端にハロゲン原子を有するビニル系重合体を重合し、
次いで、得られた重合体の末端のハロゲン原子を目的と
する官能基に変換することで、末端に官能基を有するビ
ニル系重合体を得ることができる。
【0037】また、上記ハロゲン含有化合物の中でも、
1個以上のハロゲンが、芳香族環に結合した炭素原子に
結合した構造を有するハロゲン含有化合物を連鎖移動剤
に用いることが好ましい。上記のようなハロゲン含有化
合物では、ハロゲン原子の開裂が起こりやすいので、重
合における分子量の制御が容易になる。
【0038】上記構造を有するハロゲン含有化合物は、
ハロゲン原子が結合した炭素原子に、芳香族環等からな
る電子供与基が結合しているので、炭素−ハロゲン結合
の結合エネルギーが低下し、炭素−ハロゲン結合のラジ
カル解離を起こり易くしている。更に、上述のように電
子供与基が芳香族環等からなるものであるので、芳香族
環のπ電子によるラジカル安定化効果が顕著に現れ、生
成した炭素ラジカルの連鎖移動性が高くなり、所望の重
合反応の制御が容易となるものである。
【0039】上記ハロゲン含有化合物を構成する芳香族
環としては特に限定されず、例えば、ベンゼン環、ナフ
タレン環、アントラセン環等の芳香族環が挙げられる。
上記芳香族環には、炭素原子が1個以上結合しており、
この炭素原子を介して、1個以上のハロゲン原子が結合
している。また、上記芳香族環には、ラジカル重合反応
を阻害するものでなければ、ハロゲン原子が結合した炭
素原子以外の置換基が結合していてもよい。これらの置
換基としては、例えば、アルキル基、アルコキシル基、
アミノ基、水酸基、ハロゲン原子、カルボニル基、カル
ボキシル基、メルカプト基等が挙げられる。これらは単
一種で存在してもよく、2種以上存在してもよい。
【0040】また、上記芳香族環に結合し、ハロゲン原
子を結合している置換基の炭素原子は、必要に応じて、
ハロゲン原子以外の置換基を有するものであってもよ
い。これらの置換基としては、例えば、アルキル基、ア
ルコキシル基、アミノ基、水酸基、カルボニル基、カル
ボキシル基、メルカプト基等が挙げられる。これらは単
一種で存在してもよく、2種以上存在してもよい。
【0041】また上記のような構造を有するハロゲン含
有化合物のなかでも、ハロゲン原子としてヨウ素原子を
含有する化合物が好ましい。ヨウ素含有化合物を用いた
場合、その開裂が、最も起こりやすく、重合における分
子量の制御が容易になる。1個以上のヨウ素原子が、芳
香族環に結合した炭素原子に結合した構造を有する芳香
族化合物としては特に限定されず、例えば、(ヨードメ
チル)ベンゼン、4−(ヨードメチル)ビフェニル、2
−(ヨードメチル)ナフタレン、3−(ヨードメチル)
ナフタレン、2−(ヨードメチル)アントラセン、3−
(ヨードメチル)アントラセン、1,3−ビス(ヨード
メチル)ベンゼン、1,4−ビス(ヨードメチル)ベン
ゼン、1,3,5−トリス(ヨードメチル)ベンゼン、
ジフェニルジヨードメタン、4,4’−ビス(ヨードメ
チル)ビフェニル、ビス(4−ヨードメチルフェニ
ル)、2,6−ビス(ヨードメチル)ナフタレン、2,
4,6,8−テトラキス(ヨードメチル)ナフタレン、
2,6−ビス(ヨードメチル)アントラセン、9,10
−ビス(ヨードメチル)アントラセン、2,4,5,8
−テトラキス(ヨードメチル)アントラセン等が挙げら
れる。これらのなかでも、分子中に2個のヨウ素原子を
含有する化合物が好適に用いられる。また、官能基を有
するヨウ素含有化合物としては、例えば、4−(ヨード
メチル)安息香酸、4−(ヨードメチル)安息香酸te
rt−ブチルエステル、4−(ヨードメチル)ベンジル
アルコール等が挙げられる。
【0042】上記ハロゲン含有化合物を用いてラジカル
重合を行う方法としては特に限定されず、例えば、ラジ
カル重合開始剤を使用する方法、放射線、可視光線、紫
外線、レーザー光線等の活性光線を照射する方法、加熱
する方法等が挙げられる。
【0043】上記ラジカル重合開始剤は、放射線、可視
光線、紫外線、レーザー光線等の活性光線の照射、加熱
又は酸化還元化学反応等の作用によって、ラジカルを発
生する化合物であれば特に限定されず、例えば、パーオ
キシカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボ
ネート、ジオクチルパーオキシジカーボネート、ケトン
パーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオ
キサイド、ラウロイルパーオキサイド、ベンゾイルパー
オキサイド、t−ブチルパーオキシビバレート、t−ブ
チルパーオキシネオデカノエート、α−クミルパーオキ
シネオデカノエート、ジアシルパーオキサイド、パーオ
キシエステル等の有機過酸化物;2,2’−アゾビスイ
ソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブ
チロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチ
ルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソ酪酸ジメ
チル等のアゾ化合物;過硫酸カリウム、過硫酸アンモニ
ウム等の無機過酸化物;過酸化水素−第1鉄系、過酸化
ベンゾイル−ジメチルアニリン系、セリウム(IV)塩
−アルコール系等のレドックス開始剤等が挙げられる。
これらの重合開始剤は、重合温度等の重合条件に応じて
選択され、1種又は2種以上を組み合わせて用いること
ができる。
【0044】上記可視光線、紫外線等の活性光線の照射
による重合反応の場合には、必要に応じて、アゾ化合
物、過酸化物、カルボニル化合物、硫黄化合物、色素等
の光増感剤を加えてもよい。これらは単独で用いられて
もよく、2種以上併用されてもよい。
【0045】上記ラジカル重合開始剤の使用量は、ラジ
カル重合を開始させる程度の量であれば特に限定されな
いが、例えば、上記ヨウ素含有化合物1モルに対し、
0.02〜20モルが好ましい。0.02モル未満であ
ると、反応速度が遅くなり、また、重合率が低下するこ
とがある。20モルを超えると、重合反応の制御が難し
くなることがある。より好ましくは、上記ヨウ素含有化
合物1モルに対し、0.05〜10モルである。
【0046】上記ラジカル重合を行う温度としては特に
限定されず、、一般的にラジカル重合に用いられる温度
が用いられ、重合性単量体やラジカル重合開始剤の種類
によっても異なるが、好ましくは、−30〜120℃で
ある。
【0047】上記ラジカル重合の形態としては特に限定
されず、一般的にラジカル重合に用いられる重合形態を
用いることができ、例えば、塊状重合、溶液重合、懸濁
重合、乳化重合等が挙げられる。上記溶液重合に用いら
れる溶媒としては、上記ラジカル重合を阻害しないもの
であれば特に限定されず、例えば、酢酸エチル、酢酸プ
ロピル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;メチルエチル
ケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ベンゼ
ン、トルエン、キシレン等の芳香族系溶剤;メチルセロ
ソルブ、エチルセロソルブ等のセロソルブ系溶剤;ジメ
チルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられ
る。これらは単独で用いられてもよく、2種以上併用さ
れてもよい。
【0048】上記のようにして重合された末端にハロゲ
ン原子を有する重合体の分子末端に、官能基を導入する
方法としては、例えば、末端のハロゲン原子に対して、
分子内に、NH(R)−(式中、Rは、水素原子、炭素
数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルケニル基、
アリール基又はベンジル基を表す)で表される、アミド
基と目的とする官能基とを有するアミン化合物を反応さ
せる方法が挙げられる。この場合、得られる末端に官能
基を有するビニル系重合体の分子末端に導入される官能
基の付近に−N(R)−で表されるアミド基が存在する
ので、官能基同士の反応や、末端の官能基と、その官能
基と反応可能な化合物との反応性が高められ、本発明の
末端に官能基を有するビニル系重合体の硬化反応を速く
する効果がある。上記アミン化合物としては特に限定さ
れず、例えば、アミノエタノール、エチレンジアミン、
グリシン、p−アミノスチレン、3−アミノプロピルメ
チルジメトキシシランが挙げられ、これらによって上記
重合体の分子末端に、それぞれ水酸基、アミノ基、カル
ボキシル基、アルケニル基及びアルコキシシリル基が導
入される。
【0049】本発明の末端に官能基を有するビニル系重
合体は、上述のような構成からなるので、硬化性組成物
の材料として好適に用いられる。本発明2は、本発明1
の末端に官能基を有するビニル系重合体からなる硬化性
組成物である。
【0050】本発明2の硬化性組成物は、上記ビニル系
重合体が有する官能基の種類に応じて、硬化性成分とし
て本発明1の末端に官能基を有するビニル系重合体単独
からなるものであってもよいが、上記ビニル系重合体が
有する末端の官能基と反応可能な官能基を分子中に2個
以上有する化合物を含有してもよい。上記末端の官能基
と反応可能な官能基を分子中に2個以上有する化合物
は、架橋剤や鎖延長剤として働くので、得られる硬化性
組成物において、硬化がより良好に進む。
【0051】また、本発明2の硬化性組成物には、必要
に応じて、硬化触媒、充填剤、顔料、可塑剤、酸化防止
剤、紫外線吸収剤等を配合してもよい。これらは単独で
用いられてもよく、2種以上併用されてもよい。
【0052】本発明2の硬化性組成物は、上述のような
構成からなるので、粘接着剤、シーリング剤、弾性接着
剤、塗料、発泡体、フィルム、熱可塑性エラストマー、
制振材、各種成形材料、樹脂改質剤、ゲルコート剤、人
工大理石等の各種用途に供せられる。
【0053】
【実施例】以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説
明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるも
のではない。
【0054】なお、実施例において、重合率は、固形分
法により測定した。また、重合体の数平均分子量、重量
平均分子量及び分子量分布(重量平均分子量と数平均分
子量との比)は、テトラヒドロフランを溶離剤に用いた
ゲルパーミエーションカラムクロマトグラフ(GPC、
カラム:昭和電工社製、「KF−80M」×2本)を用
いて測定し、ポリスチレン標準品換算で算出した。
【0055】実施例1 アルゴン置換した1000mLフラスコに、ナトリウム
/カリウム合金で乾燥し、蒸留したTHF500mL
と、カルシウムハライドとモレキュラーシーブとにより
乾燥したメチルメタクリレート80g、2−エチルヘキ
シルアクリレート20g及び100℃で24時間真空乾
燥させたリチウムクロライド8.0gを仕込み、均一に
混合した後、−78℃に冷却した。溶液を撹拌しつつ、
アルゴンフロー下で、予め、sec−ブチルリチウム
0.04モルと4−(ビニル)安息香酸tert−ブチ
ルエステル0.04モルとから調製した重合開始剤のシ
クロヘキサノン溶液を加えて重合を開始させた。30分
間重合させた後、反応液のうち3mLを取り出し、重合
率及び分子量測定を行ったところ、重合率100%、数
平均分子量は2600、分子量分布は、1.35であっ
た。残りの重合溶液に対してエチレンイミンを吹き込ん
で1時間撹拌し、更にメタノールを添加して、重合体の
アニオン末端にアミノ基を導入した。塩を除いてから、
溶媒を減圧留去して除き、重合体を水/メタノールで洗
浄した後、加水分解処理を行い、末端のtert−ブチ
ル基を外した。これを洗浄後、100℃で5時間減圧乾
燥し、一方の末端にカルボキシル基を、他の末端にアミ
ノ基をそれぞれ有する重合体を得た。 1H−NMRによ
り、重合体中のカルボキシル基及びアミノ基のモル数を
求め、これと重合体の数平均分子量とから、1分子に導
入された末端のカルボキシル基及びアミノ基の数を算出
したところ、それぞれ0.9個、1.0個であった。
【0056】実施例2 2−エチルヘキシルアクリレート100g、4−(ヨー
ドメチル)安息香酸tert−ブチルエステル4.0g
及びジオクチル酸錫0.4gを500mL容四ツ口セパ
ラブルフラスコに秤取し、セパラブルカバー、攪拌翼、
三方コック、冷却管、温度プローブを取り付けた後、重
合容器内をバブリングにて窒素置換した。窒素ガスを流
しながら、100rpmで攪拌し、重合容器内を80℃
に維持し、高圧水銀ランプ(HLR100T−1、SE
N Light社製)を用い光を照射し、重合を開始さ
せた。5時間後、反応液のうち3mLを取り出し、重合
率及び分子量測定を行ったところ、重合率95%、数平
均分子量は8200、分子量分布は、1.48であっ
た。重合終了後、得られた重合体の末端基を変換するた
め、エチレンジアミン3.0gと、溶剤として酢酸ブチ
ル100gとを添加し、100℃で20時間反応させた
後、未反応モノマー及び溶剤を100℃で減圧蒸留して
除去し、更に、重合体をメタノールで3回洗浄し、加熱
分解処理を行い、末端のtert−ブチル基を外した。
これを洗浄後、100℃で5時間減圧乾燥して、一方の
末端にカルボキシル基を、他の末端にアミノ基をそれぞ
れ有する重合体を得た。1H−NMRにより、重合体中
のカルボキシル基及びアミノ基のモル数を求め、これと
重合体の数平均分子量とから、1分子に導入された末端
のカルボキシル基及びアミノ基の数を算出したところ、
それぞれ1.0個、1.0個であった。
【0057】実施例3 n−ブチルアクリレート40g、4−(ヨードメチル)
安息香酸tert−ブチルエステル5.0g、ジオクチ
ル酸錫0.4gを500mL容四ツ口セパラブルフラス
コに秤取し、セパラブルカバー、攪拌翼、三方コック、
冷却管、温度プローブを取り付けた後、重合容器内をバ
ブリングにて窒素置換した。窒素ガスを流しながら、1
00rpmで攪拌し、重合容器内を80℃に維持し、高
圧水銀ランプを用い光を照射し、重合を開始させた。5
時間後、反応液のうち3mLを取り出し、重合率及び分
子量測定を行ったところ、重合率94%、数平均分子量
は2800、分子量分布は、1.45であった。残りの
反応液から、残存モノマーを80℃で1時間、667P
aで加熱減圧排気して除き、これに脱気したメチルメタ
クリレート60gを添加し、80℃で更に5時間光照射
を行った。照射を止めて重合を停止させ、ポリn−ブチ
ルアクリレート−ポリメチルメタクリレートジブロック
共重合体を合成した。メチルメタクリレートの重合率は
94%であり、得られた共重合体の数平均分子量は78
00、分子量分布は、1.52であった。GPCによる
分子量のピークは単峰性を保ったまま高分子量サイドに
シフトし、ブロック共重合体の生成が示された。重合終
了後、得られた重合体の末端基を変換するため、2−ア
ミノエタノール3.0gと、溶剤として酢酸ブチル10
0gとを添加し、100℃で20時間反応させた後、未
反応モノマー及び溶剤を100℃で減圧蒸留して除去
し、更に、重合体をメタノールで3回洗浄し、100℃
で5時間減圧乾燥して、一方の末端にカルボキシル基
を、他の末端に水酸基をそれぞれ有する重合体を作製し
た。1H−NMRにより、重合体中のカルボキシル基及
び水酸基のモル数を求め、これと重合体の数平均分子量
とから、1分子に導入された末端のカルボキシル基及び
水酸基の数を算出したところ、それぞれ0.9個、0.
9個であった。
【0058】実施例4 実施例1で得られた両末端に官能基を有する重合体20
g、実施例2で得られた両末端に官能基を有する重合体
80g及びジブチル錫ジラウレートの2重量%トルエン
溶液5gを、充分に攪拌して混合し、硬化性組成物を作
製した。この硬化性組成物を、コロナ放電処理された厚
さ38μmのPETフィルム上に、乾燥後の厚さが25
μmとなるように塗布し、150℃のオーブンで20分
間加熱乾燥し、硬化された粘着剤層を有する粘着シート
を作製した。この粘着シートのボールタック及び粘着力
を、以下に示す方法で評価した。測定結果を表1に示し
た。
【0059】(1)ボールタック試験 JIS Z 0237に準拠し、傾斜角30°で、傾斜
式ボールタック試験を0℃において行った。
【0060】(2)粘着力 JIS Z 0237に準拠し、試料をSUS#304
鋼板に貼付し、2kgのローラーを一往復して圧着し、
20分間養生後、25℃、55%RHの環境下で、引張
試験機を用い、引張速度300mm/分で180°剥離
試験を行った。
【0061】比較例1 両末端水酸基のポリプロピレングリコール〔Mn=1
万、水酸基価(KOHmg/g)=11.4〕に、ヘキ
サメチレンジイソシアネートを、イソシアネート基/水
酸基(−NCO)/(−OH)=1.2となるように加
え、更に、ジブチル錫ジラウレートの2重量%トルエン
溶液5gを加えた後、この溶液を充分に攪拌して混合
し、硬化性組成物を作製した。この硬化性組成物を用い
て、実施例4と同様にして粘着シートを作製し、評価を
行った。測定結果を表1に示した。
【0062】比較例2 両末端水酸基のポリブタジエン〔Mn=3090、水酸
基価(KOHmg/g)=30.4〕に、ヘキサメチレ
ンジイソシアネートを、イソシアネート基/水酸基モル
比(−NCO)/(−OH)=1.2となるように加
え、更に、ジブチル錫ジラウレートの2重量%トルエン
溶液5gを加えた後、この溶液を充分に攪拌して混合
し、硬化性組成物を作製した。この硬化性組成物を用い
て、実施例4と同様にして粘着シートを作製し、評価を
行った。測定結果を表1に示した。
【0063】
【表1】
【0064】表1より、実施例4の硬化性組成物を用い
た粘着シートは、従来の両末端水酸基のポリプロピレン
グリコールやポリブタジエンを用いた比較例1、2の硬
化性組成物に比べて、高いタックと粘着力とを示すこと
が分かる。
【0065】実施例5 実施例3で得られた両末端に官能基を有する重合体10
0g及びチタンテトライソプロポキシサイド0.5g
を、1L容四つ口セパラブルフラスコに秤取し、セパラ
ブルカバー、攪拌翼、三方コック、温度プローブを取り
付けた後、上記重合容器内を200℃で1時間攪拌し
た。次いで、667Paに減圧しつつ、270℃で3時
間加熱攪拌を行い、重縮合を進行させた後、脱溶剤して
熱可塑性ポリブロック共重合体(熱可塑性エラストマ
ー)を作製した。得られた熱可塑性ポリブロック共重合
体を、プレス機を用いて厚さ1mmのシートを作製し、
常態の物性試験(引張破断強さ、破断時伸び)及び耐候
性試験(強度保持率)に供した。上記物性試験は、JI
S K 6301に準拠して行い、耐候性試験は、EY
ESUPER UV TESTER SUV−W13
(岩崎電気社製)を用いて、UV照射6時間(UV強度
100mW/cm2 、サンプルまでの距離24cm、6
3℃、40%RH)と、暗黒下2時間(暗黒条件下の前
後に10秒間散水)のサイクルで行った。240時間後
にサンプルを取り出し、耐候性試験前に対する破断強度
の保持率を測定した。試験結果を表2に示した。
【0066】比較例3 ナフタレンジカルボン酸ジメチル50g、アジピン酸3
0g、エチレングリコール50g及びチタンテトライソ
プロポキサイド0.5gを、1L容四つ口セパラブルフ
ラスコに秤取し、セパラブルカバー、攪拌翼、三方コッ
ク、温度プローブを取り付けた後、上記重合容器内を2
00℃で1時間攪拌した。次いで、667Paに減圧し
つつ、270℃で3時間加熱攪拌を行い、重縮合を進行
させた後、脱溶剤して、熱可塑性ポリブロック共重合体
を作製した。得られた熱可塑性ポリブロック共重合体に
ついて、実施例5と同様に、常態の物性試験及び耐候性
試験を行った。試験結果を表2に示した。
【0067】比較例4 スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(S
BS、スチレン含有率35重量%)からなる熱可塑性エ
ラストマーについて、実施例5と同様に常態の物性試験
及び耐候性試験を行った。試験結果を表2に示した。
【0068】
【表2】
【0069】表2より明らかなように、実施例3の硬化
性組成物を用いた実施例5の熱可塑性エラストマーは、
これを用いなかった比較例3及び比較例4の従来の熱可
塑性エラストマーに比較して、優れた常態の物性及び特
に優れた耐候性性能を有することが分かる。
【0070】
【発明の効果】本発明1の末端に官能基を有するビニル
系重合体は、上述のような構成からなるので、末端官能
基間の反応による鎖延長によって高分子量のポリマーに
なり、伸びや引張強さに優れた樹脂が得られる。そのた
め、粘接着剤、シーリング剤、弾性接着剤、塗料、発泡
体、フィルム、熱可塑性エラストマー、制振材、各種成
形材料、ゲルコート剤、人工大理石等に好適に用いられ
る。また、両末端に異なる官能基を有しているので、相
溶化剤としても有効に利用できる。更に、末端官能基と
してアミノ基及びカルボキシル基を有するものは、加熱
のみにより鎖延長が可能であり、水酸基及びカルボキシ
ル基を有するものは、エステル化触媒の存在下、加熱に
よる鎖延長が可能である。本発明2の硬化性組成物は、
本発明1の末端に官能基を有するビニル系重合体を用い
てなるので、上記の諸用途において、優れた性能を示
す。
フロントページの続き Fターム(参考) 4J031 AA19 AA20 AA22 AC03 AC04 AC05 AC07 AC08 AC09 AC13 AE07 AE11 AF12 AF13 AF17 4J100 AJ02P AL03P AL04P AL05P AL08P AL09P AM15P BA03H BA05P BA15H BA16H BA29H BA71H BB18P BC43P CA01 CA27 CA31 FA03 FA06 HA35 HA61 HB35 HC25 HC29 HC39 HC64 HC77 JA01 JA03 JA05

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一方の末端に官能基Xを、他の末端に前
    記官能基Xとは異なる官能基Yを有することを特徴とす
    る末端に官能基を有するビニル系重合体。
  2. 【請求項2】 官能基Yは、官能基Xと選択的に反応す
    る官能基であることを特徴とする請求項1記載の末端に
    官能基を有するビニル系重合体。
  3. 【請求項3】 官能基X及び/又は官能基Yは、アミド
    基を介して分子末端に結合していることを特徴とする請
    求項1又は2記載の末端に官能基を有するビニル系重合
    体。
  4. 【請求項4】 ビニル系重合体は、(メタ)アクリル酸
    エステルの単独重合体又は共重合体からなることを特徴
    とする請求項1、2又は3記載の末端に官能基を有する
    ビニル系重合体。
  5. 【請求項5】 数平均分子量が500〜10万であり、
    末端官能基導入率が90%以上であることを特徴とする
    請求項1、2、3又は4記載の末端に官能基を有するビ
    ニル系重合体。
  6. 【請求項6】 官能基Xはアミノ基であり、官能基Yは
    カルボキシル基であることを特徴とする請求項1、2、
    3、4又は5記載の末端に官能基を有するビニル系重合
    体。
  7. 【請求項7】 官能基Xは水酸基であり、官能基Yはカ
    ルボキシル基であることを特徴とする請求項1、2、
    3、4又は5記載の末端に官能基を有するビニル系重合
    体。
  8. 【請求項8】 請求項1、2、3、4、5、6又は7記
    載の末端に官能基を有するビニル系重合体からなること
    を特徴とする硬化性組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2014025030A (ja) * 2012-07-30 2014-02-06 Jsr Corp 変性重合体の製造方法及び分散剤

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