JP2003252831A - 含フッ素乳酸誘導体の製造方法 - Google Patents

含フッ素乳酸誘導体の製造方法

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JP2003252831A
JP2003252831A JP2002054052A JP2002054052A JP2003252831A JP 2003252831 A JP2003252831 A JP 2003252831A JP 2002054052 A JP2002054052 A JP 2002054052A JP 2002054052 A JP2002054052 A JP 2002054052A JP 2003252831 A JP2003252831 A JP 2003252831A
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solvent
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Kazuhiko Hayashi
一彦 林
Kazuya Oharu
一也 大春
Yasushi Matsumura
靖 松村
Yoshitomi Morisawa
義富 森澤
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AGC Inc
Original Assignee
Asahi Glass Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】香料、医薬品、農薬、化学薬品等として有用な
含フッ素乳酸誘導体(3)を効率的に製造する方法の提
供。 【解決手段】下式(1)で表される化合物を下式(2)
で表される化合物と反応させ、つぎに水および/または
活性水素を有する化合物を反応させる。XおよびX
はそれぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子を、R
は水素原子または1価有機基を、Rは結合末端が炭素
原子である1価有機基を、Yはフッ素原子以外のハロゲ
ン原子を示す。 CFXCOCOOR (1) RMgY (2) CFXCR(OH)COOR (3)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、含フッ素乳酸誘導
体を効率的に製造する方法に関する。本発明における含
フッ素乳誘導体は、香料、医薬品、農薬、化学薬品等と
して有用な化合物である。
【0002】
【発明の実施の形態】
【従来の技術】2−メチル−3,3,3−トリフルオロ
乳酸(CFC(CH)(OH)COOH)の製造方
法としては、(1)CFCOCHを出発原料とし、
シアンヒドリンに変換した後に加水分解する方法(特開
2000−281624号公報、WO98/01568
号公報、DE1972580号公報)が知られている。
しかし(1)の方法は、青酸ガスまたは青酸塩を使用す
るために、特別な設備と廃液処理が必要であった。ま
た、反応操作が極めて複雑で製造コストが高価になる問
題もあった。
【0003】(1)の改良方法としては、有機金属を用
いた以下の方法が知られている。(2)トリメチル(ト
リフルオロメチル)シランとピルビン酸エステルを反応
させる方法(Synlett,1991,9,64
3)、(3)ジメチルカドミウムと3,3,3−トリフ
ルオロピルビン酸エステルを反応させる方法(Zh.O
rg.Khim.,1987,23,1441)。
【0004】しかし、(2)の方法で用いるトリメチル
(トリフルオロメチル)シランは、高価であり、かつ、
沸点55℃の揮発性液体であって、極めて取り扱いがし
にくい問題があった。(3)の方法は、副生物が多量に
生成する欠点があり、また、取り扱いが難しいカドミウ
ムを使用する方法であった。すなわち、(2)および
(3)の方法は工業的スケールでは実施困難な方法であ
った。
【0005】また、3,3,3−トリフルオロピルビン
酸メチル(CFCOCOOCH)の製造方法として
は、ヘキサフルオロプロピレンオキシドとメタノールと
を反応させて3,3,3−トリフルオロメチル−2−メ
トキシプロピオン酸メチルを得て、つぎに硫酸存在下に
加熱する方法が知られている(Dokl.Akad.N
auk SSSR,1966,169,594)。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、取り扱いが
容易な化合物から、工業的スケール実施可能な効率のよ
い方法で、収率よく含フッ素乳酸誘導体を製造する方法
の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、グリニア
試薬を用いた本発明方法を完成させた。すなわち、本発
明は、下式(1)で表される化合物を下式(2)で表さ
れる化合物と反応させ、つぎに水および/または活性水
素を有する化合物と反応させることを特徴とする下式
(3)で表される含フッ素乳酸誘導体の製造方法を提供
する。ただし、X およびXはそれぞれ独立に水素原
子またはハロゲン原子を、Rは水素原子または1価有
機基を、Rは炭素原子が結合末端である1価有機基
を、Yはフッ素原子以外のハロゲン原子を示す。
【0008】CFXCOCOOR (1)、 RMgY (2)、 CFXCR(OH)COOR (3)。
【0009】また本発明は、式(1)におけるRが1
価有機基である化合物(1r)の製造方法として、下式
(7)で表される化合物にルイス酸を作用させて脱R
F反応を行うことを特徴とする下式(1r)で表される
化合物の製造方法を提供する。ただし、XおよびX
はそれぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子を、R
1aおよびRはそれぞれ独立に1価有機基を示す。
【0010】 CFXCF(OR)COOR1a (7)、 CFXCOCOOR1a (1r)。
【0011】
【発明の実施の形態】本明細書においては、式(1)で
表される化合物を化合物(1)のように記す。他の式で
表される化合物についても同様に記す。また本明細書に
おける圧力は絶対圧で記載する。
【0012】本明細書において、ハロゲン原子とは、フ
ッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子をいう。有
機基とは、炭素原子を必須とする基をいう。1価基と
は、結合手が1つである基をいい、1価有機基であって
も、1価原子であってもよい。
【0013】R、R1a、およびRがそれぞれ1価
有機基である場合、1価脂肪族炭化水素基、1価芳香族
炭化水素基、および1価複素環基から選ばれる基、該選
ばれる基の炭素−炭素結合間または結合末端に、エーテ
ル性酸素原子、チオエーテル性のイオウ原子、もしくは
置換窒素原子が挿入または結合した基、またはこれらの
基に置換基が結合した基が好ましい。
【0014】置換基としては、アルキル基、シクロアル
キル基、1価芳香族炭化水素基、フッ素原子、アルコキ
シル基、アルキル置換アミノ基、シクロアルキル置換ア
ミノ基、アリールオキシ基、アリール置換アミノ基、−
NO、−CH(OR、−CH(SR、C
N(R、−S(O)R、−S(O)
、および−C(ORから選ばれる基(以
下、該選ばれる基をまとめて置換基(r)という。)が
好ましい。ここで、Rは、炭素数1〜20のアルキル
基、炭素数3〜20のシクロアルキル基、1以上のアリ
ール基で置換されたアルキル基、1個以上の1価複素環
基で置換されたアルキル基、アリール基、置換アリール
基、またはフルオロアルキル基等を示す。
【0015】Rとしては、水素原子、アルキル基、ア
リール基、またはアリール置換アルキル基が好ましく、
1aとしては、アルキル基、アリール基、またはアリ
ール置換アルキル基が好ましい。
【0016】Rは、炭素原子が結合末端である1価有
機基を示し、1価脂肪族炭化水素基、置換基を有する1
価脂肪族炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、または置
換基を有する1価芳香族炭化水素基が好ましく、アルキ
ル基、アルケニル基、またはアリール基が特に好まし
い。
【0017】Rが1価脂肪族炭化水素基である場合に
は、アルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基が
好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロ
ピル基、シクロプロピル基、ブチル基、イソブチル基、
tert−ブチル基、ペンチル基、シクロペンチル基、
イソペンチル基、へプチル基、シクロへプチル基、イソ
へプチル基、オクチル基等の炭素数1〜20のアルキル
基、またはビニル基、アリル基、メチルビニル基、ブテ
ニル基(不飽和結合の位置は限定されない)等の炭素数
2〜20のアルケニル基、ブチニル基等の炭素数2〜2
0のアルキニル基が好ましい。
【0018】Rが置換基を有する1価脂肪族炭化水素
基である場合には、1個以上のアリール基で置換された
1価脂肪族炭化水素基(たとえば、ベンジル基、フェネ
チル基、トリチル基等)、1個以上の1価複素環基で置
換された脂肪族炭化水素基(たとえば、2−ピリジルメ
チル基等)が好ましい。
【0019】Rが1価芳香族炭化水素基である場合に
は、アリール基(たとえば、フェニル基等。)が好まし
い。Rが置換基を有する1価芳香族炭化水素基である
場合には、置換アリール基(たとえば、メチルフェニル
基、ジメトキシフェニル基、ニトロフェニル基、メトキ
シフェニル基、ジメチルアミノフェニル基等。)が好ま
しい。
【0020】XおよびXはフッ素原子が好ましく、
Yは臭素原子または塩素原子が好ましい。
【0021】本明細書における炭化水素系溶媒の例とし
ては、ペンタン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカ
ン、トルエン、キシレン、ベンゼン、シクロヘキサン、
n−ヘキサン等が挙げられる。塩素化炭化水素系溶媒の
例としては、ジクロロメタン、ジクロロエタン、四塩化
炭素、クロロホルム、クロロベンゼン、トリクロロエタ
ン、クロロベンゼン、1,2−ジクロロベンゼン等が挙
げられる。塩素化フッ素化炭化水素系溶媒の例として
は、CHClF、CH、CHClCF、C
HClFCF、CHFCF、CHFCF、ジ
クロロペンタフルオロプロパン等が挙げられる。エステ
ル系溶媒の例としては、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等
が挙げられる。エーテル系溶媒の例としては、ジエチル
エーテル、ジイソプロピルエーテル、メチル−tert
−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテ
ル、テトラヒドロフラン、ジオキサン等が挙げられる。
ニトリル系溶媒としては、アセトニトリル等が挙げられ
る。アミド系溶媒としては、N,N−ジメチルホルムア
ミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロ
リドン、N−メチルピロリジノン等が挙げられる。
【0022】本明細書における酸としては、有機酸であ
っても無機酸であってもよい。有機酸としては酢酸、プ
ロピオン酸、ブタン酸、メタンスルホン酸、エタンスル
ホン酸、プロパンスルホン酸、ブタンスルホン酸、カン
ファースルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスル
ホン酸、フェノール、安息香酸等が挙げられ、無機酸と
しては、塩酸、硝酸、硫酸、過塩素酸、リン酸、亜リン
酸等が挙げられる。
【0023】本明細書における塩基としては、有機塩基
であっても無機塩基であってもよい。有機塩基として
は、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、
ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、モルホリン、
1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノナ−5−エ
ン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−
7−エン、ナトリウムメトキシド、カリウムtert−
ブトキシド等が挙げられる。無機塩基としては、水酸化
ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム等のアル
カリ金属水酸化物、水酸化カルシウム、水酸化マグネシ
ウム等のアルカリ土類金属水酸化物、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム等のアルカリ金属炭酸塩類、炭酸水素ナト
リウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸水素塩
類、水素化ナトリウム、水素化カルシウム、水素化カリ
ウム等のアルカリ金属水素化物等が挙げられる。
【0024】本発明の製造方法の概要は、以下の化学式
で示されるが、本発明は下式に限定されない。
【0025】
【化1】
【0026】化合物(1)のうちRが水素原子である
化合物(以下、化合物(1h)という。)の例として
は、CFHCOCOOH、CFHCOCOOH、C
COCOOH、CFClCOCOOH、CF
lCOCOOH等が挙げられる。
【0027】Rが1価有機基である化合物(1)(以
下、化合物(1r)という。)の例としては、CFH
COCOO(CHCH(kは0〜10の整数を
示す。)、CFHCOCOOPh(Phはフェニル基
を示す。以下同様。)、CFHCOCOOCH
h、CFHCOCOO(CHCH(kは0〜
10の整数を示す。)、CFHCOCOOPh、CF
HCOCOOCHPh、CFCOCOO(C
CH(kは0〜10の整数を示す。)、CF
COCOOPh、CFCOCOOCHPh、CF
ClCOCOO(CHCH(kは0〜10の
整数を示す。)、CFClCOCOOPh、CFCl
COCOOCHPh、CFClCOCOO(CH
CH(kは0〜10の整数を示す。)、CF
ClCOCOOPh、CFClCOCOOCHPh
等が挙げられる。
【0028】化合物(2)としては、公知のグリニア試
薬から選択するのが好ましく、その例としては、CH
MgCl、CHMgBr、CHMgI、PhMgC
l、PhMgBr、MgI、CHCHMgCl、C
CHMgBr、CHCHMgI、PhCH
MgCl、PhCHMgBr、CH(CH
gCl、CH(CHMgBr、CH(C
MgI、CH(CHMgCl、CH
(CHMgBr、CH(CHMgI、C
=CHMgCl、CH=CHMgBr、CH
CHMgI、CH=CHCHMgCl、CH=C
HCHMgBr、CH=CHCHMgI等が挙げ
られる。
【0029】化合物(1)および化合物(2)との反応
は、通常は溶媒の存在下に実施するのが好ましい。溶媒
としては、化合物(1)および化合物(2)に不活性な
非水系溶媒が好ましい。該非水系溶媒としては、テトラ
ヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジイソプロピル
エーテル、ジエチルエーテル、ベンゼン、トルエン、ヘ
キサン、シクロヘキサン、キシレン、tert−ブチル
メチルエーテル、およびジブチルエーテルから選ばれる
1種の溶媒または2種以上の混合溶媒が挙げられる。こ
のうち溶媒としては、操作性、安全性の点から、TH
F、トルエン、シクロヘキサン、ジブチルエーテル、ま
たはtert−ブチルメチルエーテルが好ましい。
【0030】化合物(1)と化合物(2)との反応を溶
媒の存在下に行う場合には、化合物(1)をあらかじめ
溶媒に溶解させて反応系に導いてもよい。化合物(1)
を溶媒に溶媒に溶解させる場合には、化合物(1)1g
に対する溶媒量を0mL超〜100mLにするのが好ま
しく、容積効率、操作性の点で0mL超〜10mLにす
るのが特に好ましい。また、化合物(2)は、通常は溶
媒に溶解した状態で入手されることから、それをそのま
ま、または溶媒量を調整したものを用いるのが好まし
い。化合物(2)を溶媒に溶解させる場合には、化合物
(2)の濃度を0.1〜20.0モル/L程度にするの
が好ましく、安全性、操作性の点で0.5〜5モル/L
にするのが特に好ましい。
【0031】化合物(1)と化合物(2)の反応におい
て、化合物(1)が化合物(1h)である場合には、化
合物(2)を化合物(1h)に対し0.5〜20.0倍
モル用いて反応を行うのが好ましく、特に1.0〜1
0.0倍モル用いて反応を行うのが、容積効率および収
率の観点から好ましい。化合物(1)が化合物(1r)
である場合には、化合物(2)を化合物(1r)に対し
て0.2〜5.0倍モル用いて反応を行うのが好まし
く、特に0.5〜2.5倍モル用いて反応を行うのが、
反応時の容積効率および収率の観点から好ましい。
【0032】化合物(1)と化合物(2)の反応温度
は、通常は−100℃〜+130℃が好ましく、特に−
40℃〜+50℃が操作性の面から好ましい。反応時間
は反応の進行の程度にあわせて適宜変更され、通常は
0.1〜120時間が好ましく、操作性の面から0.5
〜48時間が特に好ましい。反応圧力は特に限定され
ず、0.01〜10MPa(絶対圧。以下、特に記載し
ない限り、圧力は絶対圧で記載する。)が好ましく、
0.08〜5MPaが特に好ましい。
【0033】化合物(1)と化合物(2)の反応は、化
合物(1)と化合物(2)を一括で仕込んで実施しても
よいが、通常は、化合物(1)および/または化合物
(2)を反応系中に導入しながら実施するのが好まし
い。該導入の方法としては、化合物(1)に化合物
(2)を添加しても、化合物(2)に化合物(1)を添
加しても、またそれぞれを交互に添加しても、同時に添
加してもよく、収率の観点からは化合物(1)に化合物
(2)添加する、または、それぞれを交互に添加する方
法が好ましい。
【0034】本発明の反応は、化合物(1)と化合物
(2)との反応において、化合物(1)の2つのC=O
部分の片方にのみ反応が起こる点が1つの特徴である。
すなわち、一般に化合物(2)は反応性が高く、C=O
部分が2箇所以上ある化合物(1)に対して選択的に反
応させるのは困難であると予想される。しかし、本発明
によれば、C=O部分の片方のみに選択的な反応が起こ
して、収率よく化合物(3)が得られる。
【0035】また、本発明の反応は、化学的安定性が低
い化合物(1)を分解させることなく、目的化合物
(3)を与える点が1つの特徴である。一般に、グリニ
ア試薬を化学的安定性が低い基質に反応させると、基質
の分解が進行し、収率よく目的化合物が得られない。R
が水素原子である化合物(1)は化学的安定性が低い
化合物である。しかし、本発明によれば、該化合物
(1)に化合物(2)を反応させても化合物(1)をほ
とんど分解させることなく反応が進行し、化合物(3)
が収率よく得られる。
【0036】化合物(1)と化合物(2)との反応は、
いわゆるグリニア反応であり、化合物(4)が中間生成
物として生成しうる。ただし、化合物(4)中の記号
は、前記と同じ意味を示す。化合物(4)は単離しても
単離しなくてもよく、単離せずにつぎの反応を行うのが
好ましい。化合物(4)を単離せずに次の反応を行う場
合、そのままを次の反応に用いても、または、通常の後
処理(たとえば、反応に用いた溶媒等を除去または濃縮
する等)を行った後に次の反応に用いてもよい。
【0037】本発明の方法においては、化合物(1)と
化合物(2)を反応させて化合物(4)を含む反応生成
物を得て、つぎに該反応生成物を水および/または活性
水素を有する化合物と反応させる。水および/または活
性水素を有する化合物との反応は、−80℃〜+150
℃で実施するのが好ましく、操作性の点から-40℃〜
+100℃で実施するのが特に好ましい。圧力は特に限
定されない。また反応時間は、0分超〜72時間が好ま
しい。
【0038】活性水素を有する化合物としては、プロト
ン性極性物質、酸、塩基等が好ましい。プロトン性極性
物質としては、−OH、−SH、−NH等を有する有機
化合物が好ましく、メタノール、エタノール、プロパノ
ール、ブタノール、ペンタノ−ル、ヘキサノール、オク
タノール、CHCONH、エチレングリコール、プ
ロピレングリコール、ジエチレングリコール、グリセリ
ン、ベンジルアルコール、PhCONH、フタルイミ
ド、スクシンイミド等が挙げられる。酸としては前記の
酸が、塩基としては前記の塩基が挙げられる。
【0039】化合物(1)と化合物(2)との反応生成
物を、水および/または活性水素を有する化合物と反応
させる方法としては、反応生成物に、水および/または
活性水素を有する化合物を含ませる方法によるのが好ま
しい。該方法により、化合物(4)は容易に化合物
(3)に変化されうる。
【0040】水を用いる場合の量は、化合物(4)に対
して0.5倍モル〜5000倍モルが好ましい。プロト
ン性極性物質を用いる場合の量は、化合物(4)に対し
て0.5倍モル〜5000倍モルが好ましい。酸または
塩基を用いる場合の量は、化合物(4)に対して0.5
倍モル〜5000倍モルが好ましい。
【0041】活性水素を有する化合物は、水または溶媒
に含ませることによって溶液または懸濁液等に調製した
ものを用いてもよい。活性水素を有する化合物を溶媒に
含ませる場合の溶媒としては、炭化水素系溶媒、塩素化
炭化水素系溶媒、塩素化フッ素化炭化水素系溶媒、エス
テル系溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド
系溶媒、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。酸また
は塩基においては溶液または懸濁液等に調製するのが好
ましく、プロトン性極性物質においては調製しない(す
なわち、プロトン性極性物質をそのままを用いる。)の
が好ましい。酸または塩基を溶液または懸濁液等にする
場合の濃度は、活性水素を有する化合物に対して水また
は溶媒を0mL超〜2000mLにするのが好ましい。
【0042】さらに、本発明においては、化合物(1)
と化合物(2)との反応生成物を、水、または、酸の水
溶液と反応させる方法によって化合物(3)を得るのが
好ましい。
【0043】上記反応で生成した化合物(3)を含む反
応生成物は、通常の後処理を行うのが好ましい。後処理
の方法としては、反応溶媒の留去、溶媒による抽出、酸
または塩基を用いた場合には水による洗浄、蒸留精製、
結晶化、カラムクロマトグラフィー等が挙げられる。特
に化合物(3)のRが1価有機基である化合物(3
r)が生成した場合の後処理の方法としては、つぎの後
処理法1または後処理法2による後処理を行うのが好ま
しい。
【0044】後処理法1;化合物(3r)を含む反応粗
生成物を、有機溶媒に溶解させた後に水洗する方法。こ
こで、有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、塩素化炭化
水素系溶媒、塩素化フッ素化炭化水素系溶媒が挙げら
れ、炭素数5〜20の炭化水素系溶媒が好ましい。
【0045】後処理法2;化合物(3r)を含む反応粗
生成物を塩基の水溶液に含ませて、該水溶液で化合物
(3r)を抽出し、つぎに該水溶液層を溶媒で洗浄した
後に、酸を添加し、有機溶媒で抽出する方法。ここで、
有機溶媒としては、炭化水素系溶媒、塩素化炭化水素系
溶媒、塩素化フッ素化炭化水素系溶媒、エステル系溶
媒、エーテル系溶媒等が挙げられ、酢酸エチル、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、1,2−ジ
クロロベンゼン、メチル−tert−ブチルエーテル、
ヘキサン、トルエン、キシレン等が好ましい。また、塩
基および酸としては、それぞれ、前記の塩基および前記
の酸が挙げられる。塩基および酸は、それぞれ水に溶解
させて用いてもよい。
【0046】化合物(3)は、そのまま目的とする用途
に、または、他の化合物に誘導して目的とする用途に、
用いることができる。
【0047】本発明の出発物質である化合物(1)は公
知の化合物であり、公知の方法により入手できる。たと
えば、化合物(1h)は、USP3321517記載の
方法等にしたがって合成できる。
【0048】また化合物(1r)は、下記化合物(7)
において脱RF反応を行うことにより製造できる。た
だし、下式中のXおよびXはそれぞれ前記と同じ意
味を示し、R1aおよびRはそれぞれ独立に1価有機
基を示す。
【0049】 CFXCF(OR)COOR1a (7)。
【0050】脱RF反応は、硫酸の存在下で加熱する
公知の方法によっても得ることができる(Dokl.A
kad.Nauk SSSR,1966,169,59
4)。しかし、本発明においては、化合物(7)にルイ
ス酸を作用させて脱RF反応を行う方法により化合物
(1r)を得るのが好ましい。化合物(7)にルイス酸
を作用させて脱RF反応を行う反応は、硫酸を使用す
る必要がなく、高い再現性と高収率で化合物(1r)を
得る方法である。
【0051】ルイス酸の例としては、ハロゲン化アルカ
リ金属、アルコキシアルカリ金属、ハロゲン化アルカリ
土類金属、アルコキシアルカリ土類金属、ハロゲン化遷
移金属、アルコキシ遷移金属、ハロゲン化シラン、ハロ
ゲン化ゲルマニウム、ハロゲン化ホウ素、アルコキシホ
ウ素、ハロゲン化アルミニウム、アルコキシアルミニウ
ム、ハロゲン化ガリウム、ハロゲン化インジウム、ハロ
ゲン化タリウム、ハロゲン化スズ、ハロゲン化チタン、
アルコキシチタン、ハロゲン化コバルト、ハロゲン化
鉄、ハロゲン化亜鉛、アルコキシ亜鉛、ハロゲン化ジル
コニウム、アルコキシジルコニウム、ハロゲン化銅、ア
ルコキシ銅、ハロゲン化パラジウム、ハロゲン化ロジウ
ム、ハロゲン化ルテニウム、ハロゲン化鉛、ハロゲン化
ビスマス、ハロゲン化アンチモン、ハロゲン化テルリウ
ム、ハロゲン化セレン、ハロゲン化ゲルマニウム、ハロ
ゲン化ニオブ、IFおよび金属酸化物が挙げられる。
【0052】このうちルイス酸としては、反応性および
収率が高いことからハロゲン化アンチモン、ハロゲン化
チタン、ハロゲン化アルミニウム、アルコキシチタン、
ハロゲン化スズ、ハロゲン化ホウ素等が好ましい。ルイ
ス酸は1種のみを使用しても、2種以上を使用してもよ
い。ルイス酸の使用量は特に限定されず、通常化合物
(7)に対して0倍モル超〜10.0倍モルが好まし
く、収率、コストおよび廃液処理の容易さから0.00
1〜0.5倍モルがより好ましい。該反応に用いるルイ
ス酸量は少量であっても充分に反応は進行させうること
から、該反応は、経済的であり、容積効率も高い方法で
ある。ルイス酸は、化合物(7)にルイス酸を添加して
も、ルイス酸に化合物(7)を添加しても、またはそれ
ぞれを交互もしくは同時に添加してもよい。
【0053】化合物(7)にルイス酸を作用させる際の
温度は、−80℃〜+250℃が好ましく、操作性の面
から20℃〜180℃が特に好ましい。また反応時間は
反応の進行にあわせて適宜調節され、0.1〜120時
間が好ましく、操作性の面から0.5〜24時間が特に
好ましい。反応圧力は特に限定されず、0.01〜1
0.00MPaが好ましく、0.08〜5.00MPaが
特に好ましい。
【0054】化合物(7)にルイス酸を作用させる反応
は、液相反応で行うのが好ましい。化合物(7)は通常
は液体であることから、該反応は溶媒の存在下で行って
もよく、不存在下で行ってもよい。
【0055】溶媒としては、化合物(7)と化合物(1
r)に対して不活性な溶媒から選択される。たとえば、
炭化水素系溶媒、ハロゲン化炭化水素系溶媒、エステル
系溶媒、エーテル系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶
媒等が挙げられ、酢酸エチル、アセトニトリル、ジクロ
ロメタン、クロロホルム、クロロベンゼン、1,2−ジ
クロロベンゼン、メチル−tert−ブチルエーテル、
ヘキサン、トルエン、キシレン等が好ましい。
【0056】溶媒を用いる場合の量は、後処理の容易さ
等の理由から、化合物(7)の1gに対して0mL超〜
200mLが好ましく、特には0mL超〜50mLが好
ましい。生成した化合物(1r)を単離する必要はない
が、通常の後処理を行うのが好ましい。後処理の方法と
しては、酸またはアルカリの水溶液および/または水に
よる洗浄、結晶化、カラムクロマトグラフィー精製、蒸
留精製等が挙げられる。
【0057】上記の方法における化合物(7)は、下記
化合物(5)と式(6)で表されるアルコール類とを反
応させる方法により製造するのが好ましい。該方法は公
知の方法であり、化合物(7)のうちRとR1aが同
一構造である化合物(7a)を製造できる。
【0058】
【化2】
【0059】化合物(5)としては、入手がしやすいヘ
キサフルオロプロピレンオキシド(XとXとがフッ
素原子である化合物)が好ましい。化合物(5)と化合
物(6)との反応は、オートクレーブ等の密閉系の反応
装置で行うのが好ましい。密閉系の反応装置で反応を行
うことによって、系外に化合物(5)が排出されるのを
防止し、かつ、反応に用いる化合物(6)量を大幅に減
少させうる。反応装置としては、フッ素樹脂またはグラ
スで内面がライニングものまたはハステロイ製のものを
用いるのが好ましい。
【0060】本発明の製造方法における各反応は、R
の構造によらず進行しうる。しかし、特定のRを有す
る化合物(1)や化合物(7)の入手が困難である場
合、または、より安価なRを有する化合物(1)や化
合物(7)が入手できる場合、等には、適当なR基を
有する化合物(1)や化合物(7)において本発明の製
造方法によって化合物(3)を得て、つぎに該化合物
(3)のR基を、他の原子や基に変換する方法を採用
するのが好ましい。
【0061】たとえば、化合物(3)のRが1価有機
基である化合物(3r)である場合において、これを加
水分解反応することによって、化合物(3)のRが水
素原子である化合物(3h)が得られる。加水分解反応
の方法としては、公知の方法が採用でき、化合物(3)
に酸または塩基の存在下に水と反応させる方法、化合物
(3)にLiI等の金属塩を水の不存在下に反応させて
化合物(3)のカルボン酸金属塩を形成させ、つぎに該
化合物(3c)を酸と反応させる方法、等が採用でき
る。ただし、下式中のXおよびXは前記と同じ意味
を示し、Mは、カルボン酸塩基を形成しうる金属原子ま
たは金属原子団を示す。
【0062】 CFXCR(OH)COOH (3h)、 CFXCR(OH)COOM (3c)。
【0063】また、化合物(3r)のR基を他の基に
変換する方法としては、上記の方法で得た化合物(3
h)をエステル化する方法、またはエステル交換反応が
挙げられる。
【0064】エステル交換反応は、公知の方法により実
施でき、化合物(3r)を酸または塩基の存在下に下式
(k)で表される化合物と反応させて下記化合物(3
k)を得る方法が挙げられる。ただしRは、Rとは
異なる1価有機基を示し、1価脂肪族炭化水素基が好ま
しい。化合物(k)としては、R部分の異なる種々の
アルコールが容易に入手できることから、これを用いる
ことにより、種々の構造を有する化合物(3k)が製造
できる。
【0065】ROH(k) CFXCR(OH)COOR (3k)。
【0066】エステル交換反応は、溶媒の不存在下に行
いるのが好ましい。その場合、化合物(5)を理論量
(化合物(3)に対して1倍モル)よりも過剰量用いて
化合物(5)を溶媒としても作用させつつ反応を行うの
が好ましい。すなわち、化合物(5)の使用量は、化合
物(3)に対し1倍モル〜2000倍モルが好ましく、
操作性およびコストの観点から1.3倍モル〜50倍モ
ルがより好ましい。溶媒を用いる場合には、酸およびエ
ステル交換反応に不活性な溶媒から選択するのが好まし
い。
【0067】本発明の製造方法により得られる化合物
(3)は、香料、医薬品、農薬、化学薬品等として、ま
たはこれらの中間体として有用な化合物である。特にC
FX部分がCFである化合物(3)は、医薬品
や農薬の中間体として極めて有用な化合物である。
【0068】
【実施例】以下に、本発明を実施例により説明するが、
本発明はこれらにより限定されない。
【0069】[例1]CFCF(OCH)COOC
の製造例 CHOH(695ml,17.17mol)をオート
クレーブに入れ、撹拌しながら80℃以下でヘキサフル
オロプロピレンオキシド(951.0g,5.73mo
l)を4.5時間かけて導入した。導入後1時間撹拌
し、窒素ガスでHFをパージした。パージ後、水(2
L)に反応液を加え有機層を分取した。得られた有機層
を水(1L)で2回洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後
ろ過した。CFCF(OCH)COOCH(86
9.55g)を得た。
【0070】HNMR(CDCl,δppm):
3.59(3H,s),4.12(1H,brs)。19 FNMR(CDCOCD,δppm):80.
93(3F,s),132.81(1F,s)。
【0071】[例2]CFCOCOOCHの製造例 (例2−1)例1で得たCFCF(OCH)COO
CH(270.0g,1.42mol)を100℃に
加熱し、SbCl(88.89g,0.297mo
l)を13分かけて滴下し、再度CFCF(OC
)COOCH(803.61g,4.23mo
l)を65分間で滴下した。滴下終了後、120℃に加
熱し、さらに6.5時間加熱還流した。反応終了後、反
応粗液をそのまま減圧蒸留後、常圧蒸留して、GC純度
98%のCFCOCOOCH(612.77g、b
p65−66℃/0.02MPa)を得た。
【0072】(例2−2)例1で得たCFCF(OC
)COOCH(10.0g,52.4mmol)
にTiCl(0.57ml,5.24mmol)を加
え、120〜125℃で加熱還流した。反応終了後、反
応液をそのまま常圧蒸留に付し、GC純度76%のCF
COCOOCH(6.96g、bp65−66℃/
0.02MPa)を得た。
【0073】(例2−3)例1で得たCFCF(OC
)COOCH(10.0g,52.4mmol)
にAlCl(0.70g,5.24mmol)を加
え、120〜130℃で加熱還流した。反応終了後、反
応液をそのまま常圧蒸留に付し、GC純度29%のCF
COCOOCH(8.35g、bp65−66℃/
0.02MPa)を得た。
【0074】[例3]CFC(CH)(OH)CO
OCHの製造例 例2−1で得たCFCOCOOCHの(153.6
6g,0.985mol)をTHF(538ml)に溶
解させ、−20℃に冷却した。次いで、内温を20℃以
下に保ちながらCHMgCl(3.19M,308.
7ml,0.985mol)を1.5時間かけて滴下し
た。滴下終了後、内温を室温にして、一昼夜撹拌した。
反応終了後、反応液を3mol/LのHCl(348m
l)に加え、THF層を分取して、5%食塩水でpH2
以上になるまで洗浄した。得られたTHF層を常圧で留
去して、CFC(CH)(OH)COOCH(1
44.79g、純度85質量%)を得た。
【0075】つぎに純度85質量%のCFC(C
)(OH)COOCH(144.79g)をn−
ヘキサン(461ml)に溶解させ、つぎに水(461
ml)で2回洗浄した。洗浄後n−ヘキサンを常圧で留
去して、得られた粗液を減圧蒸留した。GC純度99%
のCFC(CH)(OH)COOCH(108.
20g、bp49−50℃/0.0053MPa(絶対
圧))を得た。
【0076】HNMR(CDCl,δppm):
1.59(3H,s),3.87(1H,brs),
3.91(3H,s)。19 FNMR(CDCOCD,δppm):78.
79(3F,s)。
【0077】[例4(参考例)]エステル交換反応によ
るCFC(CH)(OH)COO(CHCH
の製造例 例3で得たCFC(CH)(OH)COOCH
(113.16g,0.658mol)をn−ブタノ
ール(172ml)に溶解させ、次いで濃硫酸(2.9
4ml)を加え24.5時間加熱還流した。反応終了
後、反応液を減圧蒸留に付し、GC純度98%のCF
C(CH)(OH)COO(CHCH (7
5.16g、bp74−75℃/0.0040MPa)
を得た。
【0078】HNMR(CDCl,δppm):
0.95(3H,t,J=7.4Hz),1.3−1.
5(2H,m),1.59(3H,s),1.6−1.
8(2H,m),3.89(1H,brs),4.2−
4.4(2H,m).19 FNMR(CDCOCD,δppm):78.
68(3F,s). [例5(参考例)]加水分解反応によるCFC(CH
)(OH)COOHの製造例 (例5−1)アルカリ加水分解反応の例 例3で得たCFC(CH)(OH)COOCH
(30.0g,0.174mol)に4mol/Lの
NaOH(47.9ml,0.192mol)を滴下し
た。内温を25℃以下になるように保ちながら滴下し、
つぎに室温で2.5時間撹拌した。反応終了後、内温が
20℃以下になるように濃塩酸(16ml)を滴下した
後、酢酸エチルで抽出した。次いで酢酸エチル層を留去
し、残さにトルエンを加えて、共沸脱水を行った。再度
トルエン(50ml)を加えて67℃で溶解し、5℃ま
でゆっくり冷却しながら1時間撹拌して結晶を析出させ
た。結晶をすばやくろ取し、乾燥して、19FNMR純
度99%のCFC(CH)(OH)COOH(2
1.89g)を得た。
【0079】HNMR(CDCl,δppm):
1.66(3H,s),4.2−4.9(1H,b
r).19 FNMR(CDCOCD,δppm):78.
81(3F,s). (例5−2)酸加水分解反応の例 例3で得たCFC(CH)(OH)COOCH
(16.5g,0.058mol)に35%塩酸(3
0mL)を加え、11時間加熱還流した。反応終了後、
酢酸エチル(30mL×3)で抽出後、トルエン(20
0mL)で共沸乾燥した。得られた残さをトルエンから
結晶を晶析させ、すばやくろ取し、真空乾燥した。19
FNMR純度99.7%のCFC(CH)(OH)
COOH(2.78g)を得た。
【0080】[例6]CFC(CH)(OH)CO
OHの製造例 (例6−1)例7で得たCFCOCOOH(5.00
g、35.2mmol)をTHF(30ml)に溶解さ
せ3℃に冷却した。次いでCHMgBr(0.93m
ol/L、114ml、100.6mmol)を15℃
以下で滴下し、室温で3.5時間撹拌した。反応終了
後、反応液を30℃以下で1mol/LのHCl(20
0ml)に加え、酢酸エチルで抽出し、飽和食塩水で洗
浄後、硫酸マグネシウムで乾燥した。さらに、硫酸マグ
ネシウムをろ去後、酢酸エチルを減圧留去して真空乾燥
した。5.24gの残さを得た。次いで、得られた残さ
を飽和重曹水(150ml)に溶解し、酢酸エチルで洗
浄後、濃塩酸(80ml)で中和し、さらに酢酸エチル
(300ml)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層
を飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、溶
媒を減圧留去し、残さを真空乾燥した。19FNMR純
度95%のCFC(CH)(OH)COOH(3.
72g)を得た。 HNMR(CDCl,δppm):1.66(3
H,s),4.3−5.4(1H,br).19 FNMR(CDCOCD,δppm):76.
72(3F,s). (例6−2)参考例1で得たCFCOCOOH(5.
00g、35.2mmol)をTHF(30ml)に溶
解させ3℃に冷却した。次いでCHMgBr(0.9
3mol/L、114ml、100.6mmol)を1
5℃以下で滴下し、室温で3.5時間撹拌して、反応終
了後、n−BuI(8.01mL、70.4mmol)
を加え加熱還流した。50時間後、反応液を30℃以下
で1mol/LのHCl(200ml)に加え、酢酸エ
チルで抽出し、飽和食塩水で洗浄後、硫酸マグネシウム
で乾燥した。さらに、硫酸マグネシウムをろ去後、酢酸
エチルを減圧留去し、残さを減圧蒸留した。GC純度9
2%のCFC(CH)(OH)COO(CH
CH(1.59g)を得た。
【0081】[例7(参考例)]CFCOCOOHの
調製例 ベンゾフェノン(300g)を220〜240℃で加熱
撹拌しながら、ヘキサフルオロプロピレンオキシドを8
0ml/minで導入した。また反応容器から出てきた
気体は全て水(900ml)に導入した。7.5時間
後、水層を減圧濃縮し残さをアセトンに溶解させ、不溶
物をろ過し、ろ液を減圧濃縮した。得られた濃縮残さを
真空乾燥してCFCOCOOH水和物(71.91
g)を得た。本品は元素分析にて1水和物であることを
確認した。19 FNMR(CDCOCD,δppm):81.
88(3F,s)。
【0082】つぎにCFCOCOOH水和物(82.
99g)に濃硫酸(240ml)を加え80℃で1時間
撹拌した。反応終了後、ジクロロメタンを加え、窒素気
流下ですばやくろ過した。次いで得られた結晶をジクロ
ロメタンで洗浄後、真空乾燥し、130℃/0.80k
Paで昇華させた。CFCOCOOH(40.97
g)を得た。元素分析で水和物ではないことを確認し
た。19 FNMR(CDCOCD,δppm):81.
88(3F,s).
【0083】
【発明の効果】本発明の製造方法によれば、フルオロピ
ルビン酸誘導体から医薬品や農薬の中間体として極めて
有用な含フッ素ピルビン酸誘導体を効率的にかつ位置選
択的に製造することができる。また、トリフルオロメチ
ルピルビン酸誘導体の製造においては、本発明により、
原料となるトリフルオロピルビン酸誘導体をヘキサフル
オロプロピレンオキシドから高い釜効率、高い再現性お
よび高収率で得られる。従って、本手法を用いることで
従来の方法よりも製造コストが安く安全にできることか
ら有利であり、工業的に有用な製造方法となりうる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C07C 69/675 C07C 69/675 69/716 69/716 Z // C07B 61/00 300 C07B 61/00 300 (72)発明者 森澤 義富 神奈川県横浜市神奈川区羽沢町1150番地 旭硝子株式会社内 Fターム(参考) 4H006 AA02 AC44 AC46 AC48 BA09 BA10 BA11 BA13 BA32 BA37 BA67 BB11 BB12 BC31 BM10 BM71 BN10 BP10 BR10 BS10 KA31 4H039 CA62 CG90

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下式(1)で表される化合物を下式(2)
    で表される化合物と反応させ、つぎに水および/または
    活性水素を有する化合物を反応させることを特徴とする
    下式(3)で表される含フッ素乳酸誘導体の製造方法。
    ただし、XおよびXはそれぞれ独立に水素原子また
    はハロゲン原子を、Rは水素原子または1価有機基
    を、Rは結合末端が炭素原子である1価有機基を、Y
    はフッ素原子以外のハロゲン原子を示す。 CFXCOCOOR (1) RMgY (2) CFXCR(OH)COOR (3)
  2. 【請求項2】Rが1価有機基である式(1)で表され
    る化合物に対して式(2)で表される化合物を0.5〜
    5.0倍モル反応させる、またはRが水素原子である
    式(1)で表される化合物に対して式(2)で表される
    化合物を1.0〜20.0倍モル反応させる、請求項1
    に記載の製造方法。
  3. 【請求項3】XおよびXがフッ素原子である請求項
    1または2に記載の製造方法。
  4. 【請求項4】Rが低級アルキル基、ベンジル基、また
    は、フェニル基である請求項1、2、または3に記載の
    製造方法。
  5. 【請求項5】Rが1価有機基である請求項1、2、
    3、または4に記載の製造方法。
  6. 【請求項6】請求項5に記載の製造方法において、下式
    (3r)で表される含フッ素乳酸導体を含む生成物を、
    炭化水素系溶媒、塩素化炭化水素系溶媒、および塩素化
    フッ素化炭化水素系溶媒から選ばれる1種以上の溶媒を
    必須とする有機溶媒に溶解させて有機溶媒溶液とし、つ
    ぎに該有機溶媒溶液を水洗することを特徴とする下式
    (3r)で表される含フッ素乳誘導体の製造方法。ただ
    し、R1aは1価有機基を示す。 CFXCR(OH)COOR1a (3r)
  7. 【請求項7】炭化水素系溶媒、塩素化炭化水素系溶媒、
    および塩素化フッ素化炭化水素系溶媒が、それぞれ炭素
    数5〜20の溶媒である請求項6に記載の製造方法。
  8. 【請求項8】下式(7)で表される化合物にルイス酸を
    作用させて脱RF反応を行うことを特徴とする下式
    (1r)で表される化合物の製造方法。ただし、X
    よびX はそれぞれ独立に水素原子またはハロゲン原子
    を、R1aおよびRはそれぞれ独立に1価有機基を示
    す。 CFXCF(OR)COOR1a (7) CFXCOCOOR1a (1r)
  9. 【請求項9】XおよびXがフッ素原子である請求項
    8に記載の製造方法。
  10. 【請求項10】R1aとRが同一の基である請求項8
    または9に記載の製造方法。
  11. 【請求項11】ルイス酸が、ハロゲン化アンチモン、ハ
    ロゲン化チタン、ハロゲン化アルミニウム、アルコキシ
    チタン、ハロゲン化スズ、およびハロゲン化ホウ素から
    選ばれる1種以上である請求項8、9、または10に記
    載の製造方法。
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