JP2003252156A - ドアトリムの衝撃吸収構造 - Google Patents

ドアトリムの衝撃吸収構造

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 側面衝突時において十分な衝撃吸収効果を発
揮することができるドアトリムの衝撃吸収構造を提供す
ること。 【解決手段】 発泡成形したドアトリム1の裏面側にド
アパネル10に対し垂直な破断促進部材2を立設し、こ
の破断促進部材2をドアパネル10に沿って倒すことに
より該破断促進部材基部のスキン層1bに亀裂を発生さ
せ、この亀裂部3を起点としてドアトリム1を破断させ
るようにした。また、ドアパネル10の破断促進部材2
に対向する部分には、該破断促進部材2が一定方向に傾
斜して倒れるのを助長する破断促進助長部11が形成さ
れているものとすることもできる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、側面衝突時におい
て十分な衝撃吸収効果を発揮することができるドアトリ
ムの衝撃吸収構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来から、自動車の安全対策のひとつと
して、側面衝突時における衝撃吸収効果の向上が注目さ
れている。そこで、例えばドアトリムの裏面側に衝撃エ
ネルギー吸収用のパッド部材を取り付け、該パッド部材
の圧縮変形により側面衝突時に発生する衝撃エネルギー
を吸収するようにしたもの等が種々開発され実用に供さ
れている。しかしながら、前記パッド部材の取り付けが
必要で組立工数が増加し生産性に劣るという問題点や、
別部品であるパッド部材が必要でコスト的にも高くなる
という問題点があった。
【0003】そこで、本発明者はドアトリム自体を破断
させることにより衝撃エネルギーを吸収することに着目
し、実用化に向け種々研究を行った。しかしながら、ド
アトリムは発泡層の周りを硬いスキン層で覆われている
ため思うように破断せず、衝撃エネルギーの吸収に利用
することは難しいという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記のような
従来の問題点を解決して、ドアトリム自体が一定の荷重
でかつ一定の個所から破断するようにして、側面衝突時
に発生する衝撃エネルギーをドアトリムの破断により十
分に吸収することができるドアトリムの衝撃吸収構造を
提供することを目的として完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
めになされた本発明のドアトリムの衝撃吸収構造は、発
泡成形したドアトリムの裏面側にドアパネルに対し垂直
な破断促進部材を立設し、この破断促進部材をドアパネ
ルに沿って倒すことにより該破断促進部材基部のスキン
層に亀裂を発生させ、この亀裂部を起点としてドアトリ
ムを破断させるようにしたことを特徴とするものであ
る。また、ドアパネルの破断促進部材に対向する部分に
は、該破断促進部材が一定方向に傾斜して倒れるのを助
長する破断促進助長部が形成されているものとすること
も好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【0006】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照しつつ本発明
の好ましい実施の形態を示す。図面は、本発明を自動車
用ドアトリムに適用した場合における要部の断面図を示
し、図中1は発泡成形したドアトリム、10はドアパネ
ル10である。また、前記ドアトリム1は発泡層1aの
周りを硬いスキン層1bで覆ったものであり、以上の構
成は従来のものと同じである。
【0007】そして本発明では、発泡成形したドアトリ
ム1の裏面側にドアパネル10に対し垂直な破断促進部
材2が立設されており、この破断促進部材2をドアパネ
ル10に沿って倒すことにより該破断促進部材2の基部
のスキン層1bに亀裂を発生させ、この亀裂部3を起点
としてドアトリム1を確実に破断させるよう構成されて
いる。
【0008】即ち、従来は表面を硬いスキン層1bで覆
われて全く破断の予測ができなかったドアトリム1に対
し、スキン層1bに意図的に亀裂を発生させることによ
り、ドアトリム1が一定の荷重でかつ一定の個所から破
断するようにコントロールし、ドアトリムの破断により
衝撃エネルギーを有効に吸収するのである。なお、前記
破断促進部材2はドアトリム1の成形とともに所定の位
置に一体的に成形されるものであり、厚さが薄いために
スキン層だけで形成された硬いものとなっている。
【0009】前記破断促進部材2は、図4に示されるよ
うに、先端部に傾斜部2aを形成したものとしておけ
ば、ドアパネル10に当たった場合、簡単に傾斜しドア
パネル10に沿って倒れやすくなる。また、図5に示さ
れるように、先端部の一方の側面側にのみに傾斜部2a
を形成したものとしておけば、ドアパネル10に当たっ
た場合、破断促進部材2を一方向に倒すことができるこ
ととなる。
【0010】更には、図1に示されるように、ドアパネ
ル1の破断促進部材2に対向する部分には、該破断促進
部材2が一定方向に傾斜して倒れるのを助長する破断促
進助長部11を形成しておくこともできる。この場合に
は、破断促進部材2が破断促進助長部11に案内されて
スムーズかつ一定方向に傾斜し、スキン層1bにより確
実に亀裂が発生することとなり好ましい。
【0011】以下に、図1〜図3に基づき、側面衝突時
において反動により着座者がドアトリム1に衝突した場
合、ドアトリム1が破断して衝撃エネルギーを吸収する
工程につき説明する。図1は通常の状態を示すものであ
るが、この状態から図2に示されるように、衝突子Sの
荷重がドアトリム1に対し垂直に作用すると、ドアトリ
ム自体がドアパネル10の方向へ撓む。これに伴い、前
記破断促進部材2がドアパネル10に当たるが、ドアパ
ネル10の該破断促進部材2に対向する部分には破断促
進部材2を一定方向に傾斜させて倒すための破断促進助
長部11が形成されているため、破断促進部材2は該破
断促進助長部11に案内されて左側へ傾くこととなる。
この結果、破断促進部材2の基部においてスキン層1b
に亀裂部3が生じることとなる。更に、そのまま衝突子
Sの荷重が作用し続けると、図3に示されるように、前
記亀裂部3を起点としてドアトリム1は破断することと
なる。これは、スキン層1bは非常に硬いものである
が、一端亀裂が入れば発泡層1aは脆いため、その勢い
で一気に破断するのである。そして、このドアトリム1
の破断により、衝撃エネルギーが有効に吸収されるた
め、着座者に対するショックが大幅に軽減されることと
なり、高い安全性を確保できることとなる。
【0012】なお、前記破断促進部材2と破断促進助長
部11はドアトリムの任意の位置に複数個設けられるも
のであるが、破断促進部材2の設置場所や破断促進部材
2の高さ等を変えることにより、ドアトリム1の破断個
所、および衝撃エネルギーの吸収特性等を任意にコント
ロールすることが可能であり、設計の自由度が大きいも
のである。また、破断促進部材2の倒れる方向を揃える
ことで、衝撃エネルギーの正確な吸収特性を事前に計算
することもでき、設計が容易になるという利点もある。
【0013】
【発明の効果】以上の説明からも明らかなように、本発
明はドアトリム自体が一定の荷重でかつ一定の個所から
破断するようにして、側面衝突時に発生する衝撃エネル
ギーをドアトリムの破断により十分に吸収することがで
きるものである。よって本発明は従来の問題点を一掃し
たドアトリムの衝撃吸収構造として、産業の発展に寄与
するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す要部の断面図であ
る。
【図2】ドアトリムが破断する過程を示す断面図であ
る。
【図3】ドアトリムが破断する過程を示す断面図であ
る。
【図4】破断促進部材の一例を示す要部の断面図であ
る。
【図5】破断促進部材のその他の例を示す要部の断面図
である。
【符号の説明】
1 ドアトリム 1a 発泡層 1b スキン層 2 破断促進部材 3 亀裂部 10 ドアパネル 11 破断促進助長部

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 発泡成形したドアトリムの裏面側にドア
    パネルに対し垂直な破断促進部材を立設し、この破断促
    進部材をドアパネルに沿って倒すことにより該破断促進
    部材基部のスキン層に亀裂を発生させ、この亀裂部を起
    点としてドアトリムを破断させるようにしたことを特徴
    とするドアトリムの衝撃吸収構造。
  2. 【請求項2】 ドアパネルの破断促進部材に対向する部
    分には、該破断促進部材が一定方向に傾斜して倒れるの
    を助長する破断促進助長部が形成されている請求項1に
    記載のドアトリムの衝撃吸収構造。
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