JP3888186B2 - ドアトリムの衝撃吸収構造 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、側面衝突時において十分な衝撃吸収効果を発揮することができるドアトリムの衝撃吸収構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から、自動車の安全対策のひとつとして、側面衝突時における衝撃吸収効果の向上が注目されている。そこで、例えばドアトリムの裏面側に衝撃エネルギー吸収用のパッド部材を取り付け、該パッド部材の圧縮変形により側面衝突時に発生する衝撃エネルギーを吸収するようにしたもの等が種々開発され実用に供されている。しかしながら、前記パッド部材の取り付けが必要で組立工数が増加し生産性に劣るという問題点や、別部品であるパッド部材が必要でコスト的にも高くなるという問題点があった。
【0003】
そこで、本発明者はドアトリム自体を破断させることにより衝撃エネルギーを吸収することに着目し、実用化に向け種々研究を行った。しかしながら、ドアトリムは発泡層の周りを硬いスキン層で覆われているため思うように破断せず、衝撃エネルギーの吸収に利用することは難しいという問題点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような従来の問題点を解決して、ドアトリム自体が一定の荷重でかつ一定の個所から破断するようにして、側面衝突時に発生する衝撃エネルギーをドアトリムの破断により十分に吸収することができるドアトリムの衝撃吸収構造を提供することを目的として完成されたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するためになされた本発明のドアトリムの衝撃吸収構造は、発泡成形したドアトリムの裏面側にドアパネルに対し垂直な破断促進部材を立設し、この破断促進部材をドアパネルに沿って倒すことにより該破断促進部材基部のスキン層に亀裂を発生させ、この亀裂部を起点としてドアトリムを破断させるようにした衝撃吸収構造であって、前記ドアパネルの破断促進部材に対向する部分には、該破断促進部材が一定方向に傾斜して倒れるのを助長する破断促進助長部が形成されていることを特徴とするものである。
特徴とするものである。
また、破断促進部材は、その先端部が傾斜形状に形成されているものとすることも好ましく、これを請求項2に係る発明とする。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図面は、本発明を自動車用ドアトリムに適用した場合における要部の断面図を示し、図中1は発泡成形したドアトリム、10はドアパネル10である。また、前記ドアトリム1は発泡層1aの周りを硬いスキン層1bで覆ったものであり、以上の構成は従来のものと同じである。
【0007】
そして本発明では、発泡成形したドアトリム1の裏面側にドアパネル10に対し垂直な破断促進部材2が立設されており、この破断促進部材2をドアパネル10に沿って倒すことにより該破断促進部材2の基部のスキン層1bに亀裂を発生させ、この亀裂部3を起点としてドアトリム1を確実に破断させるよう構成されている。
【0008】
即ち、従来は表面を硬いスキン層1bで覆われて全く破断の予測ができなかったドアトリム1に対し、スキン層1bに意図的に亀裂を発生させることにより、ドアトリム1が一定の荷重でかつ一定の個所から破断するようにコントロールし、ドアトリムの破断により衝撃エネルギーを有効に吸収するのである。
なお、前記破断促進部材2はドアトリム1の成形とともに所定の位置に一体的に成形されるものであり、厚さが薄いためにスキン層だけで形成された硬いものとなっている。
【0009】
前記破断促進部材2は、図4に示されるように、先端部に傾斜部2aを形成したものとしておけば、ドアパネル10に当たった場合、簡単に傾斜しドアパネル10に沿って倒れやすくなる。また、図5に示されるように、先端部の一方の側面側にのみに傾斜部2aを形成したものとしておけば、ドアパネル10に当たった場合、破断促進部材2を一方向に倒すことができることとなる。
【0010】
更には、図1に示されるように、ドアパネル1の破断促進部材2に対向する部分には、該破断促進部材2が一定方向に傾斜して倒れるのを助長する破断促進助長部11を形成しておくこともできる。この場合には、破断促進部材2が破断促進助長部11に案内されてスムーズかつ一定方向に傾斜し、スキン層1bにより確実に亀裂が発生することとなり好ましい。
【0011】
以下に、図1〜図3に基づき、側面衝突時において反動により着座者がドアトリム1に衝突した場合、ドアトリム1が破断して衝撃エネルギーを吸収する工程につき説明する。
図1は通常の状態を示すものであるが、この状態から図2に示されるように、衝突子Sの荷重がドアトリム1に対し垂直に作用すると、ドアトリム自体がドアパネル10の方向へ撓む。これに伴い、前記破断促進部材2がドアパネル10に当たるが、ドアパネル10の該破断促進部材2に対向する部分には破断促進部材2を一定方向に傾斜させて倒すための破断促進助長部11が形成されているため、破断促進部材2は該破断促進助長部11に案内されて左側へ傾くこととなる。この結果、破断促進部材2の基部においてスキン層1bに亀裂部3が生じることとなる。
更に、そのまま衝突子Sの荷重が作用し続けると、図3に示されるように、前記亀裂部3を起点としてドアトリム1は破断することとなる。これは、スキン層1bは非常に硬いものであるが、一端亀裂が入れば発泡層1aは脆いため、その勢いで一気に破断するのである。そして、このドアトリム1の破断により、衝撃エネルギーが有効に吸収されるため、着座者に対するショックが大幅に軽減されることとなり、高い安全性を確保できることとなる。
【0012】
なお、前記破断促進部材2と破断促進助長部11はドアトリムの任意の位置に複数個設けられるものであるが、破断促進部材2の設置場所や破断促進部材2の高さ等を変えることにより、ドアトリム1の破断個所、および衝撃エネルギーの吸収特性等を任意にコントロールすることが可能であり、設計の自由度が大きいものである。また、破断促進部材2の倒れる方向を揃えることで、衝撃エネルギーの正確な吸収特性を事前に計算することもでき、設計が容易になるという利点もある。
【0013】
【発明の効果】
以上の説明からも明らかなように、本発明はドアトリム自体が一定の荷重でかつ一定の個所から破断するようにして、側面衝突時に発生する衝撃エネルギーをドアトリムの破断により十分に吸収することができるものである。
よって本発明は従来の問題点を一掃したドアトリムの衝撃吸収構造として、産業の発展に寄与するところは極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す要部の断面図である。
【図2】ドアトリムが破断する過程を示す断面図である。
【図3】ドアトリムが破断する過程を示す断面図である。
【図4】破断促進部材の一例を示す要部の断面図である。
【図5】破断促進部材のその他の例を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
1 ドアトリム
1a 発泡層
1b スキン層
2 破断促進部材
3 亀裂部
10 ドアパネル
11 破断促進助長部
Claims (2)
- 発泡成形したドアトリムの裏面側にドアパネルに対し垂直な破断促進部材を立設し、この破断促進部材をドアパネルに沿って倒すことにより該破断促進部材基部のスキン層に亀裂を発生させ、この亀裂部を起点としてドアトリムを破断させるようにした衝撃吸収構造であって、前記ドアパネルの破断促進部材に対向する部分には、該破断促進部材が一定方向に傾斜して倒れるのを助長する破断促進助長部が形成されていることを特徴とするドアトリムの衝撃吸収構造。
- 破断促進部材は、その先端部が傾斜形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のドアトリムの衝撃吸収構造。
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