JP2003251429A - ニッケル基合金の鍛伸方法 - Google Patents

ニッケル基合金の鍛伸方法

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JP2003251429A
JP2003251429A JP2002056241A JP2002056241A JP2003251429A JP 2003251429 A JP2003251429 A JP 2003251429A JP 2002056241 A JP2002056241 A JP 2002056241A JP 2002056241 A JP2002056241 A JP 2002056241A JP 2003251429 A JP2003251429 A JP 2003251429A
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nickel
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working
pass
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Masamichi Kono
正道 河野
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Daido Steel Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 ニッケル基合金の鍛伸において、結晶粒の微
細化と軸方向断面内の結晶粒度の均一化を達成できる鍛
伸方法を提供する。 【解決手段】 ニッケル基合金からなる加工用素材1の
一端を保持し、上下方向から一対の工具2,3にて打撃
して所定量圧縮する動作と、打撃により圧縮された加工
用素材を軸方向に所定量送る動作とを交互に繰り返すニ
ッケル基合金の鍛伸方法において、加工用素材1の初期
厚さを450mm以下とし、工程中の加工用素材温度を
800〜1120℃の範囲に維持し、1回の打撃による
圧縮量ΔHを加工用素材初期高さの2〜20%の範囲と
し、工程中のSPMを10〜90回/分とし、加工用素
材の送り量を50〜300mmの範囲とし、パス数が2
以上のリバーシング送り工程、または2回目以降のパス
における最初の打撃点に送り量の1/5〜4/5のシフ
ト量を与える1方向送り打撃シフト工程、リバーシング
送り打撃シフト工程とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明が属する技術分野】本発明はニッケル基合金の鍛
伸方法に関し、更に詳しくは、大型ビレットの製造過程
において上下一対の工具による打撃動作と素材送り手段
による軸線方向の送り動作とを繰り返し、所定の寸法形
状を得るとともに表面付近のデッドメタル領域を除く内
部の結晶粒の微細化と素材の送り方向断面内での結晶粒
径の均一化を図ることができるニッケル基合金の鍛伸方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】ニッケルを主成分とするニッケル基合金
は広い分野に使われており、重要なものが多い。例え
ば、INCONELなどの耐熱合金、MONELと呼ば
れる銅を含む耐熱合金(INCONEL、MONELは
スペシャルメタルズ社グループの登録商標)、電気抵抗
の温度係数が小さいコンスタンタン、高透磁率材料であ
る鉄との合金のパーマロイ、Ni−Ti系の形状記憶合
金などがある。また、主成分ではないものの、主要な成
分元素である合金も多い。
【0003】ニッケル基合金のインゴット(鋳塊)から
ビレットを製造する方法としては一般的に鍛伸が用いら
れている。 図1は鍛伸加工の工程を模式的に示した図
である。x方向は加工用素材の送り(軸)方向、y方向
は加工用素材の高さ方向、図示しないz方向は紙面に垂
直な方向である。
【0004】図1(a)に示すとおり、加工用素材1は
上下一対の工具(上型2と下型3)の上下運動による打
撃によって圧縮変形が付与される。打撃前の加工用素材
1の高さをH、打撃後の高さをhとすれば、高さ方向
の圧縮量ΔHはH−hであり、圧縮率はΔH/H
表される。そして図1(b)に示されるように、1回の
打撃後、工具の上型2は上向き(矢印cの向き)に移動
して加工用素材から離れる。その後加工用素材1は送り
(+x)方向に送られ、加工用素材1’の位置に移動す
る。この1回当たりの移動量が送り量Lである。そして
次の打撃が加工用素材に付与される。
【0005】前記加工用素材を上下一対の工具によって
打撃する動作と、加工用素材送り手段、例えばマニピュ
レータの軸線方向運動による送り動作との繰り返しを加
工用素材の一端から他端に向けて進行させ、加工範囲全
長に亘り打撃を施す工程が1パスである。そしてパスを
繰り返すことにより加工用素材を長手方向および紙面に
垂直な方向に延伸し、高さ方向寸法を減少させて所定の
寸法形状に仕上げるとともに、加工用素材の機械的性質
の改善を図るものである。この場合の加工用素材のy−
z断面における断面形状は、円や多角形など様々であ
る。
【0006】ニッケル基合金の機械的性質は結晶粒径の
影響を大きく受けるため、鍛伸により製造されるビレッ
トに対しては強靱化を目的として加工用素材断面内の結
晶粒の均一化及び細粒化が要求されている。そして結晶
粒径はひずみの影響を大きく受け、ひずみ量が大きいほ
ど結晶粒は微小となるため、1回の打撃で大きな変形を
与える工法が採用されている。特に最終加工段階におい
て大きな変形を付与することが結晶粒の微細化に対し有
効であることが経験的に知られている。
【0007】しかしながら大きな変形を付与する鍛伸方
法では、鍛伸による断面積の減少率が大きくなるため、
断面積の大きな製品(ビレット)を得ようとする場合に
は出発材となるインゴット径を大きくするか、鍛伸前に
インゴットを軸方向に圧縮し出発材の断面積を大きくす
るなどの必要がある。しかし、インゴット径を大きくす
るとインゴット製造段階において偏析や空孔などの問題
が発生するおそれがあり、また鍛伸前の送り方向(軸方
向)の圧縮加工は加工自体が困難である上、加熱、加工
工程が増加し、生産性を大きく低下させてしまうおそれ
がある。
【0008】本発明者はニッケル基合金の結晶粒の均一
微細化を目的として研究を行った結果、送り方向に直角
の断面内(図1におけるy−z断面内)での結晶粒径の
均一微細化を達成することができ、特許出願を行ってい
る(特開平11−342443号公報)。
【0009】すなわち特開平11−342443号公報
に記載の発明は、軸直角方向から一対の工具にて打撃し
圧縮する加工と、該打撃により圧縮された中間加工材を
軸周りに転回する動作とを交互に行って該素材を所定の
太さに加工する鍛伸加工工程を実施した後、続く4面鍛
造加工工程の直前工程として、該中間加工材のコーナー
圧下を行って該4面鍛造加工工程直前の該中間加工材の
断面形状を4角より多角の多角形状化する整形加工工程
を実施し、しかる後該4面鍛造加工工程を実施して更な
る細径化を行うニッケル基耐熱合金の加工方法におい
て、前記整形加工工程以前の前記鍛伸加工工程の少なく
とも一部工程で、前記中間加工材の各コーナーを順次的
に連続して前記工具により打撃し圧下する加工を実施す
ることにより、横断面全体に亘り効果的にひずみを付与
することができ、その結果加工材の横断面の結晶粒を微
細化、均一化することができるものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記発
明では加工用素材の送りを考慮していないため、y−z
断面内では結晶粒が均一に微細化されるものの、送り方
向断面内(図1中のx−y断面またはx−z断面内)の
結晶粒の均一微細化が達成できず、ある特定のy−z断
面と別の特定のy−z断面内とでは結晶粒径が異なる場
合が生じ得る。これは鍛伸における重要な加工パラメー
タである圧縮量ΔHと送り量Lなどが加工用素材の送り
方向断面内の粒径分布に及ぼす影響が定量的に把握され
ていないことによるものである。
【0011】また鍛伸においては、表面の割れの回避や
加工力の低減も生産性の観点から重要である。一般にニ
ッケル基合金は低温域での変形能が低いため鍛伸工程中
に時間の経過や鍛伸工程進行による工具との接触によっ
て生じる不可避の熱放出により表面温度が低下すると割
れの危険性が増す。従って、最終加工段階において表面
温度の低下した加工用素材に対し、結晶粒の微細化を目
的とした大変形を与えることは割れの危険性を大きく高
めるのみならず、加工力の著しい増加を招き装置の大容
量化が必要となる。一般に鍛伸にはそれほど容量の大き
くない装置が用いられるため、生産性の観点からも大変
形による微細化が困難である。
【0012】本発明が解決しようとする課題は、ニッケ
ル基合金のビレットを鍛伸によって製造するに際し、加
工用素材内部の結晶粒を微細化し、送り方向断面内の結
晶粒径の分布に影響する加工パラメータを最適化するこ
とで結晶粒径の送り方向断面内の均一化をすることによ
り、送り方向全長に亘り結晶粒径が均一に微細化され機
械的性質に優れた製品を得ることができるニッケル基合
金の鍛伸方法を提供することである。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記実情に鑑み上記課題
を解決するためは、微小変形を累積的に付与することに
より加工用素材内部の結晶粒の微細化を実現する鍛伸方
法の確立が工業的に極めて重要であると結論づけられる
ものである。そして、当該課題を解決するためにニッケ
ル基合金の鍛伸方法について研究した結果、再結晶化が
進行中の再結晶領域と未再結晶領域との混合組織に少量
の変形量を累積して与えることにより結晶粒を微細化す
ることができ、また鍛伸パラメータの組合せを最適化す
ることにより、送り方向断面内の結晶粒径の均一化が図
られることを知見した。
【0014】本発明はこの知見に基づき、鍛伸加工時の
加工用素材の組織状態を支配する温度T、1打撃当たり
の圧縮量ΔH、各パスにおける加工用素材の送り方向、
加工用素材の送り量L、各パスにおける第1回目の打撃
点の位置、打撃サイクル(SPM)の最適な組合せを数
値解析と実験の結果により導き出して完成させたもので
ある。
【0015】すなわち請求項1に記載の発明は、ニッケ
ル基合金からなる加工用素材を出発材とし、該加工用素
材を上下方向から一対の工具にて打撃し所定量圧縮する
動作と、打撃により圧縮された中間加工材を軸方向に所
定量送る動作とを交互に繰り返し、該加工用素材の一端
から他端に向けて加工範囲全長に亘り打撃を施す工程
(パス)により上下方向の寸法を圧縮し送り方向の長さ
を延伸して所定寸法形状のビレットを製造するニッケル
基合金の鍛伸方法において、ニッケル基合金からなる加
工用素材の初期高さを450mm以下とし、該加工用素
材の鍛伸加工中の表面温度を800〜1120℃の範囲
に保ちつつ、工具の一回の打撃による圧縮量を加工用素
材初期高さの2〜20%で、かつ打撃1回あたりの加工
用素材の送り量を50〜300mmの範囲に制御するよ
うにしたことを要旨とするものである。
【0016】かかる構成とすることにより、1回の打撃
による変形量ΔHを大きくすることなく、加工用素材表
面付近のデッドメタルを除く内部の結晶粒径を微細化す
ることができる。
【0017】また請求項2に記載の発明は、請求項1の
記載に係るニッケル基合金の鍛伸方法において、加工用
素材への打撃を加工範囲全長に亘り施す工程(パス)が
2回以上であり、加工用素材の鍛伸送り方向がいずれの
回数目のパスにおいても同一向き、または奇数回目のパ
スと偶数回目のパスで逆向きであり、各パス中の打撃サ
イクル(SPM)が10〜90回/分であることを要旨
とするものである。
【0018】また請求項3に記載の発明は、請求項1ま
たは2の記載に係るニッケル基合金の鍛伸方法におい
て、2パス目以降における第1回目の打撃が与えられる
箇所が、工具コーナと加工用素材のコーナとが一致する
位置であるか、前パスにおける最後の打撃位置または工
具コーナと加工用素材のコーナとが一致する位置からそ
れぞれ1回あたりの送り量の1/5〜4/5の距離だけ
鍛伸送り方向にシフトした位置であり、各パス中の打撃
サイクル(SPM)が10〜90回/分であることを要
旨とするものである。
【0019】前記請求項2または3に記載の構成とする
ことにより、加工用素材の全長に亘り均一なひずみを与
えることができ、その結果送り方向断面内の結晶粒径の
分布が均一化された機械的特性に優れるビレットを製造
することができるものである。
【0020】これらの場合において、鍛伸により得られ
た最終加工材の結晶粒径が加工用素材表面付近のデッド
メタル領域を除いてASTM粒度番号で5番以上となる
ことが望ましい。
【0021】また、本発明のニッケル基合金の鍛伸方法
は、INCONEL660、INCONEL625、I
NCONEL718、INCONEL X−750、あ
るいはNIMONIC80A(NIMONICはスペシ
ャルメタルズ社グループの登録商標)などのニッケル基
合金からなる加工用素材に好適に適用できるものであ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係るニッケル基合
金の鍛伸方法について説明する。本発明は微小変形の累
積付与による加工用素材内部の結晶粒径の微細化と、鍛
伸加工時の加工パラメータの組合せの最適化による送り
方向断面内の結晶粒径の均一化の両者を組み合わせて最
適化を図ることにより、鍛伸終了後の最終加工材の送り
方向断面内の結晶粒径の均一微細化を達成するものであ
る。
【0023】そのために、最初に数値解析により微小変
形による結晶粒の微細化の可能性について検証し、次い
でその結果に基づき数値解析と実験により様々な条件で
鍛伸加工をシミュレートし、各条件で鍛伸された加工用
素材の結晶粒径と送り方向断面内の結晶粒径の分布を検
証して最適な条件の組合せを導き出している。
【0024】まず、微小変形の累積付与による加工用素
材内部の結晶粒径の微細化と均一化の可能性について検
証した結果を記す。ニッケル基合金は高価であり、工業
的な試作により変形量が加工用素材内部の結晶粒径分布
に与える影響を検証することは現実的ではないことか
ら、数値解析と実験により効率的かつ安価に検証を行っ
ている。
【0025】解析に供する試料として、ニッケル基合金
の1種であるINCONEL718を用いている。IN
CONEL718は高温強度と耐食性を備えており、耐
熱材料としてガスタービン、原子炉部品、ロケットや航
空機等に使用されている合金で、代表成分はNi:5
0.0〜55.0%、Cr:17.0〜21.0%、N
b:4.75〜5.50%、Mo:2.80〜3.30
%、Ti:0.65〜1.15%、Al:0.20〜
0.80%、Co:最大1.0%、C:最大0.08
%、Mn:最大0.35%、Si:最大0.35%、
P:最大0.015%、S:最大0.015%、B:最
大0.006%、Cu:最大0.30%で、残部はFe
である。
【0026】数値解析の結果、初期粒径が200〜65
0μmの範囲にある加工用素材については、0.1のひ
ずみの付与により再結晶完了時の平均オーステナイト粒
径が初期粒径の約1/2となることが示された。当該平
均オーステナイト粒径が初期粒径の約1/2となった組
織に対して更に0.10のひずみを与えると、再結晶完
了時の平均オーステナイト粒径は初期粒径(200〜6
50μm)に対して約1/4となることが示された。す
なわち、0.2の累積ひずみを付与することによって再
結晶完了時の平均オーステナイト粒径を初期の200〜
600μmに対して1/4まで微細化できるものであ
り、少量のひずみを累積的に付加することによる結晶粒
の微細化の有効性を示すものである。
【0027】一方、比較例として初期粒径が150〜6
50μmの範囲にあるINCONEL718に対して
0.20のひずみを1回の変形によって付与したとこ
ろ、再結晶完了時の平均オーステナイト粒径は初期粒径
の約1/4とはならず、1回の変形で再結晶完了時の平
均オーステナイト粒径を初期粒径の約1/4にするため
には0.70のひずみの付与が必要であることが示され
た。0.70のひずみは高さが450mmの加工用素材
を高さ200mmに鍛伸する場合の累積ひずみに相当す
るものであり、鍛伸においてこのひずみ量を1回の打撃
で付与することは極めて困難である。
【0028】次いで、鍛伸パラメータの最適化による送
り方向断面内の結晶粒径の均一化について検証した結果
を記す。前述のとおり送り方向断面内での結晶粒径の均
一化を達成することができなかったのは、圧縮量ΔHや
送り量Lなどの鍛伸パラメータの影響を定量的に把握で
きていなかったためである。そこで、これらのパラメー
タを様々に変えて数値解析と実験を行い、結晶粒の均一
化を達成することができる最適な組合せの範囲を見出し
ている。この場合において、前記微小変形の累積的付与
による結晶粒の微細化の効果が得られる範囲での組合せ
を見出すことにより、全体として結晶粒の均一微細化を
達成するものである。
【0029】解析に供する試料は前記数値解析と同様I
NCONEL718であり、初期高さ(直径)450m
m、初期長さ900mmの丸形状である。そして圧縮量
ΔHを25〜75mm、送り量Lを100〜250mm
の範囲の組合せ条件で高さ300mmになるまで鍛伸を
行っている。なお、打撃速度は鍛伸における代表値であ
る40mm/sとしている。
【0030】また数値解析においては、実験によって明
らかとなったINCONEL718の材料特性として、
再結晶や粒成長などの挙動を定式化したデータベースを
用いている。
【0031】更に加工用素材の送り方の結晶粒の均一化
への影響を評価するため、図2に示す(a)1方向送り
工程、(b)1方向送りで打撃シフトを与える工程、
(c)リバーシング送り工程、(d)リバーシング送り
で打撃シフトを与える工程の4種類の送り方について比
較検討している。図2中、矢印eは一方向送りでの各パ
スにおける加工用素材の送られる向きであり、矢印fは
リバーシング送りでの奇数回目のパス、矢印gはリバー
シング送りでの偶数回目における加工用素材の送られる
向きである。
【0032】なお、シフト量Sは当該パスにおける第1
打撃の位置と前パスにおける第1打撃の位置との変位量
のことであり、加工用素材の特定箇所に打撃(鍛造効
果)が集中しないようにするために与えられるものであ
る。シフト量Sまたはシフト量Sを与える向き(前向き
または後ろ向き)は鍛伸加工中常に一定とするものでは
なく、両方または一方をパスごとに変更するかパスに関
わらず一定とするかは加工条件などに応じて適宜定めら
れる。
【0033】1方向送り工程とは、加工用素材を送る方
向が図2(a)に示すとおり全てのパスにおける打撃が
トップ部(図2中のT。以下同様)からミドル部(M)
を経てボトム部(B)至る向きで与えられる工程であ
る。そして、各パスの第1回目の打撃は、加工用素材の
コーナと工具のコーナが接触する位置に与えられる。第
1回目の打撃の後は所定の送り量Lで送られて以降の打
撃が与えられる。
【0034】1方向送りで打撃シフトを与える工程では
図2(b)に示すとおり、第1回目のパスにおける第1
回目の打撃は工具のコーナと加工用素材のコーナが一致
する位置に与えられ、その後は所定の送り量Lで加工用
素材が送られて以後の打撃が与えられる。これに対し2
回目以降のパスにおける第1回目の打撃は、前パスにお
ける第1回目の打撃位置からL/5〜4L/5の距離
(シフト量S)をおいた位置に与えられ、第1回目の打
撃の後は所定の送り量Lで加工用素材が送られ以後の打
撃が与えられる。
【0035】この場合において、シフト量Sをパスによ
らず一定値とし、シフト量を与える向きをパスごとに交
互に変更する工程、すなわち、奇数回目のパスにおける
第1回目の打撃を工具のコーナと加工用素材のコーナと
が一致する位置に与え、偶数回目のパスにおける第1回
目の打撃を工具のコーナと加工用素材のコーナとが一致
する位置からL/5〜4L/5のシフト量Sをおいた位
置に与えるという工程も前記一方向送りで打撃シフトを
与える工程に含まれる。かかる構成とすれば、各パスに
おける第1回目の打撃位置が前パスにおける第1回目の
打撃位置からシフト量Sを与えられたとことになるため
である。
【0036】リバーシング送り工程とは、図2(c)に
示すとおり加工用素材に対する打撃が奇数番目のパスに
おいてはトップ部(T)からミドル部(M)を経てボト
ム部(B)という向きで付与され、偶数番目のパスにお
いてはボトム部(B)からミドル部(M)を経てトップ
部(T)という向きで付与される工程である。この場合
において、各パスの第1回目の打撃は、加工用素材のコ
ーナと工具のコーナが接触する位置に与えられる。第1
回目の打撃後は所定の送り量Lで加工用素材が送られて
以降の打撃が与えられる。
【0037】リバーシング送りで打撃シフトを与える工
程とは、図2(d)に示すとおり第1回目のパスにおけ
る第1打撃を工具コーナと加工用素材のコーナの接触す
る位置に付与し、第2回目以降のパスにおいては、前回
のパスにおける最後の打撃位置2’、3’からS分シフ
トした位置2”、3”に第1打撃を付与し、前回のパス
とは逆向きに加工用素材を送る工程である。各パスにお
ける最終打撃位置は、加工用素材の延伸により毎回変化
するため、2回目以降のパスにおける第1打撃位置を加
工用素材のコーナを基準とすると、当該各パスにおける
第1打撃の位置が前パスにおける最終打撃位置と同一の
箇所となる場合があり得るなど、シフト量Sを付与する
効果が小さくなる可能性がある。そこで2回目以降の各
パスにおける第1打撃の位置2”、3”を前パスにおけ
る最終打撃位置2’、3’を基準としてシフト量Sを与
えるものである。
【0038】上記数値解析の結果、以下の方法で鍛伸す
べきであるとの結論を得たものである。以下に理由と共
に記す。
【0039】(1)1回当たりの打撃による材料の圧縮
量ΔHは、加工用素材初期高さの2〜20%であること
が望ましい。
【0040】本発明の解決すべき課題の1つが加工用素
材に少ない変形量を累積して付与することにより結晶粒
の微細化を図るものである。解析の結果、最終的に同じ
変形量を得る場合には、圧縮量ΔHを小さくしパス数を
増加させる方がASTM粒度番号が大きくなることが示
された。ASTM粒度番号の送り方向断面内の分布は、
圧縮量ΔHを大きくしパス数を減らすと、表面付近のデ
ッドメタル直下のASTM粒度番号が加工用素材中心部
付近に比較して大きくなり均一にならないことが示され
た。
【0041】従って、圧縮量ΔHは小さい程良いと考え
られるが、圧縮量ΔHが過小であると所定の寸法形状を
得るために必要な打撃回数が増加して鍛伸に要する時間
が長くなり、生産性が悪化するとともに、加工用素材温
度の低下が進行して前記再結晶化進行中の再結晶領域と
未再結晶領域の混合組織での加工が困難となる。更に1
回当たりの変形量が少ないと再結晶化せず本発明の効果
が得られない場合が生じ得る。なお、1回の圧縮量ΔH
が過大であると前述のとおり微小変形による結晶粒の微
細化という効果が得られず、結晶粒径の分布も不均一と
なる。このため、上記結果及び知見により微細化が効果
的に進行する範囲として上記圧縮量ΔHの範囲を加工用
素材初期高さの2〜20%と定めるものである。
【0042】(2)鍛伸工程中の表面温度は800〜1
120℃の範囲にあることが望ましい。
【0043】800〜1120℃の温度範囲は解析で試
料として用いたニッケル基合金INCONEL718の
再結晶化進行中の温度範囲であり、その組織状態は再結
晶領域と未再結晶領域の混合組織状態である。数値解析
の結果結果、INCONEL718に微小な変形の繰り
返し付与して結晶粒を微細化するには、再結晶が完了す
る前の再結晶領域と未再結晶領域が混在する混合組織に
対して変形を加える必要が示されたことによるものであ
る。すなわち再結晶化完了後の組織は急速に粗大化する
うえ残留ひずみが存在しないため、結晶粒の微細化を目
的として鍛伸を行う場合には再結晶化進行中の組織を加
工しなければその効果は最大化されず、従って再結晶化
が完了する前の再結晶領域と未再結晶領域が混在する混
合組織に対して変形を加えることが必要であり、当該温
度範囲として800〜1120℃を定めるものである。
【0044】(3)加工用素材の送り量Lは50〜30
0mmであることが望ましい。
【0045】解析の結果、打撃開始点にシフトS量を与
えない場合には、送り量Lが大きいほど送り方向横断面
(図1中のy−z断面)の位置の違いによりASTM粒
度番号の不均一が生じることが示された。
【0046】従ってASTM粒度番号が均一化された製
品を得るためには送り量Lを小さくすることが望まし
い。しかしながら、1回当たりの送り量Lは過小である
と1パスあたりに要する時間が長くなり生産性が低下す
る。また時間の経過や工具との接触回数の増加による加
工用素材の温度低下が進行して再結晶進行中の温度領域
における加工が困難となり、本発明の効果が得られなく
なるほか、後述のシフト量Sの効果が小さくなる。な
お、送り量Lが過大である場合には、ASTM粒度番号
の均一化の効果が得られないばかりでなく、打撃1回当
たりの加工量が増大し大きな加工力が必要となるため、
装置の大容量化を要し生産コストが増加する。実験の結
果、本発明の効果が得られかつ生産性が良い範囲として
上記50〜300mmの範囲とするものである。
【0047】(4)工程内における打撃サイクル(SP
M)は10〜90回/分であることが望ましい。
【0048】打撃サイクル(SPM)は主に加工時間に
影響を与える。打撃サイクルが速すぎると鍛伸が速く完
了しすぎるため、鍛伸工程終了後に結晶粒が成長して粗
大化し結晶粒の微細化という効果が得られなくなる。反
対に、打撃サイクルが遅すぎると鍛伸に要する時間が長
くなり、加工用素材の温度の低下により再結晶化完了前
の混合組織状態に鍛伸工程を終了することができず本発
明の効果が得られなくなる場合が生じ得るほか、生産性
が低下する。従って前記加工用素材の送り量Lとの組合
せにおいて、再結晶化が進行中の混合組織状態で鍛伸加
工が完了できるよう最適な打撃サイクルとして10〜9
0回/分を選定するものである。
【0049】(5)送り方は、1方向送りで打撃シフト
を与える工程、リバーシング送り工程、リバーシング送
りで打撃シフトを与える工程であることが望ましく、シ
フト量SはL/5〜4L/5付与することが望ましい。
【0050】解析の結果、同一の圧縮量ΔH、送り量L
である場合には、1方向送りでかつ打撃シフトを付与す
る場合において最もASTM粒度番号が均一になり、リ
バーシング送り工程の場合がそれに次いで均一となるこ
とが示された。反対に1方向送りでシフト量Sを与えな
い場合においては、最大ASTM粒度番号は大きくなる
(結晶粒径は小さくなる)が、内部のASTM粒度番号
の分布は不均一となる。
【0051】鍛伸が1パス終了すると加工用素材が送り
方向に延伸するため、1回当たりの送り量Lをパスに関
わらず一定値とすれば、次のパスにおいては加工用素材
側から見た打撃点が前回のパスにおける打撃点から少し
ずれることになる。その結果パスを繰り返すに従い加工
用素材の全長に亘り均一に打撃されることになり、加工
用素材内部のひずみ量と温度分布が均一化されて送り方
向の結晶粒径の均一化が図られるものである。この場合
において総変形量が小さく送り方向の伸びが少なければ
打撃点のばらつきは少なくなるため、シフト量Sが小さ
すぎるとシフト量Sを与える効果が得られず、反対に大
きすぎてもシフト量Sを与える効果が生じない。解析結
果と以上の知見により、送り方は、リバーシング送り工
程、リバーシング送りでシフト量Sを付与する工程、1
方向送りでシフト量Sを付与する工程とし、シフト量S
はL/5〜4L/5とするものである。
【0052】上記数値解析により得られた本発明のニッ
ケル基合金の鍛伸方法について、その妥当性と有効性に
ついて実際に製造実験を実施し効果の検証を行ってい
る。実験はまず様々な条件で鍛伸加工を施し、次いで鍛
伸を施した試料から試験片を切り出し表面を研磨し、塩
酸:硝酸:酢酸=1:1:1の腐食液により腐食し、1
00倍の倍率で任意の3視野の金属組織観察を観察を行
い、ASTM粒度番号を測定するものである。
【0053】<実施例1>リバーシング送り工程で、加
工用素材はインコネル718(本実施例に供した試料の
組成はNi:53%、Cr:19.1%、C:0.02
%、Mn:0.25%、Mo:3.1%、Si:0.2
5%、残部は不可避的不純物及びFe)とし、直径45
0mm、長さ900mmのものを、打撃サイクル30回
/分にて、高さ300mm、長さ1590mmになるよ
う鍛伸した。このときの加工用素材表面温度T(℃)、
1回の打撃の圧縮量ΔH(mm)、材料の送り量L(m
m)をそれぞれ変えて鍛伸し、製品断面内の結晶粒度を
測定し、本発明の有効性を検証している。その結果を表
1に示す。
【0054】
【表1】
【0055】本発明A1からA4は、請求の範囲内で温
度T、ΔH、送り量Lを変えた4種類の組合せの実施例
について示している。表1に示すとおり、加工用素材表
面温度T、圧縮量ΔH、送り量Lが本発明の範囲内のも
のはASTM結晶粒度番号が6以上に細粒化されてお
り、良好な製品が得られている。
【0056】比較例B1、B2は加工用素材温度Tが請
求の範囲外にある例である。温度が低く外れている比較
例B1においてはASTM結晶粒度番号が大きくなって
はいるものの、前記本発明に比較して粒度のばらつきが
大きく良好な材料とはいえない。また、加工用素材表面
に割れが確認されている。温度が高く外れている比較例
B2においては結晶粒が成長して粗粒になっており、A
STM結晶粒度番号が小さい。
【0057】比較例B3、B4は圧縮量ΔHが請求の範
囲外にある例である。本発明に比較してASTM結晶粒
度番号のばらつきが大きく、均一化の効果が得られてい
ない。またASTM結晶粒度番号の大きいものでも本発
明のものと比較すると結晶粒の微細化の効果も小さい。
【0058】比較例B5、B6は送り量Lが請求の範囲
外にある例である。送り量Lが請求の範囲から高く外れ
た場合は、圧縮量ΔHが外れているものと同様にAST
M結晶粒度番号の最小値が小さく結晶粒の微細化の効果
が小さい。また小さく外れた場合は工具との接触回数の
増加や鍛伸時間の延長によって加工用素材表面温度Tが
低下したことによる加工用素材表面の割れが認められて
いる。
【0059】<実施例2>一方向送りでシフト量Sを与
える工程で、加工用素材はインコネルX−750(実施
例に供した加工用素材の組成は、基部がNi、Cr:1
6.1%、Fe:7.1%、C:0.03%、Mn:
0.5%、Si:0.30%、その他不可避的不純物。
代表成分はNi:70.0%以上、Cr:14.0〜1
7.0%、Fe:5.0〜9.0%、Ti:2.25〜
2.75%、Al:0.40〜1.00、Nb:0.7
0〜1.20%、C:最大0.08%、Mn:最大1.
00%、Si:最大0.50%、S:最大0.01%、
Cu:最大0.50%、Co:最大1.00%)とし、
直径450mm、長さ900mmのものを、打撃サイク
ル30回/分にて、高さ300mm、長さ1590mm
になるよう鍛伸した。この時の加工用素材表面温度T
(℃)、1回の打撃の圧縮量ΔH(mm)、材料の送り
量L(mm)をそれぞれ変えて鍛伸し、製品断面内のA
STM粒度番号を測定している。その結果を表2に示
す。
【0060】
【表2】
【0061】表2に示すとおり、T(℃)、ΔH(m
m)、L(mm)、及びシフト量S(mm)が本発明の
範囲内のものはASTM結晶粒度番号が7以上に細粒化
されており、良好な材料が得られている。
【0062】比較例D1、D2は加工用素材温度Tが請
求の範囲より外れている例である。温度が低く外れてい
る比較例D1においてはASTM結晶粒度番号の最大値
は大きくなってはいるものの、最小値は請求の範囲の条
件を満たしていない。また前記本発明に比較して粒度の
ばらつきが大きく良好な材料とはいえない。更に加工用
素材表面に割れが確認されている。温度Tが高く外れて
いる比較例D2においては結晶粒が成長して粗粒になっ
ており、ASTM結晶粒度番号の最大値が請求の範囲の
条件を満たしておらず、結晶粒の微細化の効果が得られ
ていない。
【0063】比較例D3、D4は圧縮量ΔHが請求の範
囲外にある例である。本発明に比較してASTM結晶粒
度番号のばらつきが大きく、均一化の効果が得られてい
ない。またASTM結晶粒度番号の大きなものでも本発
明のものと比較すると、結晶粒の微細化の効果も小さ
い。
【0064】比較例D5、D6は送り量Lが請求の範囲
外にある例である。送り量Lが請求の範囲から大きく外
れた場合は、圧縮量ΔHが外れているものと同様にAS
TM結晶粒度番号の最小値が小さく結晶粒の微細化の効
果が小さい。また小さく外れた場合は工具との接触回数
の増加や鍛伸時間の延長によって加工用素材表面温度T
が低下したことによる加工用素材表面の割れが認められ
ている。
【0065】比較例D7、D8はシフト量Sが請求の範
囲外にある例である。本発明例C2との対比でシフト量
Sが請求の範囲より小さく外れている例D7では、鍛伸
回数が増えて加工能率が下がるとともに表面温度が低下
して加工用素材表面に割れが認められている。シフト量
Sが請求の範囲より大きく外れている例D8では粒度の
ばらつきが増大している。
【0066】以上、本発明の実施形態及び各種実施例に
ついて説明したが、本発明に係るニッケル基合金の鍛伸
方法は、ニッケル基合金の再結晶化が進行中の再結晶領
域と未済結晶領域の混合組織状態に少量のひずみを累積
的に与え、加工用素材の鍛伸送りを最適化することによ
り、送り方向断面内の結晶粒の均一微細化を達成するも
のであり、上記実施の形態、実施例に何ら限定されるも
のではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の改
変が可能である。
【0067】例えば、実施例に示したINCONEL7
18、INCONEL X−750以外のニッケル基合
金、例えばINCONEL600、INCONEL62
5、INCONEL690、INCONEL706、I
NCONEL713C、NIMONIC80A、WAS
PALOY(WASPALOYはユナイテッドテクノロ
ジーズ社の登録商標)などについても、再結晶化進行中
の混合組織への微小な変形の繰り返し付与が結晶粒の微
細化に対して有効であることを実験的に確認しており、
本発明の適用が可能である。
【0068】また、シフト量Sは前述のとおり鍛伸工程
中の当該パスと前パスにおける第1回目の打撃点をずら
すために与えられるものであり、この効果が得られるの
であればシフト量Sを必ずしも2回目以降の全てのパス
において与える必要はない。
【0069】なお、いずれの工程においても第1回目の
パスにおける第1回目の打撃は工具のコーナと加工用素
材のコーナとが一致する位置に与えられているが、これ
は打撃位置を特定するためのものであり、当該位置に第
1打撃を付与しなければ本発明の効果が得られなくなる
というものではない。
【0070】
【発明の効果】以上説明したとおり、本発明のニッケル
基合金の鍛伸方法によればニッケル基合金の再結晶化進
行中に微小変形を累積して与えることにより結晶粒の微
細化を、各パスにおける第1回目の打撃位置を前パスの
打撃位置からシフト量を与えた位置に与えることにより
加工用素材の鍛伸送り方向断面内の結晶粒径の均一化を
図り、その結果送り方向断面内で結晶粒が微細かつ均一
となり、機械的性質に優れたニッケル基合金の材料を得
ることができる。また少量変形を累積して与えるもので
あるため加工用素材表面の割れの発生を抑制でき、かつ
加工力の増大を要しないため容量の小さな装置でも加工
が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 鍛伸加工の模式図である。
【図2】 鍛伸工程の説明図である。(a)は1方向送
り工程の説明図、(b)は1方向送り打撃シフト工程の
説明図(c)はリバーシング送り工程の説明図、(d)
はリバーシング送り打撃シフト工程の説明図である。
【符号の説明】
1 加工用素材である。 1’ 送り後の加工用素材の位置である。 2 工具の上型である。 2’ リバーシング送り打撃シフト工程における前パス
での上型の最終打撃位置である。 2” リバーシング送り打撃シフト工程におけるシフト
量を与えられた上型の第1打撃の位置である。 3 工具の下型である。 3’ リバーシング送り打撃シフト工程における前パス
での下型の最終打撃位置である。 3” リバーシング送り打撃シフト工程におけるシフト
量を与えられた下型の第1打撃の位置である。 a 圧縮時の上型の移動する向きである。 B 加工用素材のボトム部である。 b 圧縮時の下型の移動する向きである。 c 圧縮後の上型の移動する向きである。 d 圧縮後の下型の移動する向きである。 e 一方向送りでの各パスにおける加工用素材の送られ
る向きである。 f リバーシング送りでの奇数回目のパスにおける加工
用素材の送られる向きである。 g リバーシング送りでの偶数回目のパスにおける加工
用素材の送られる向きである。 h 加工用素材の圧縮後高さである。 H 加工用素材の初期高さである。 L 加工用素材の送り量である。 M 加工用素材のミドル部である。 S シフト量である。 T 加工用素材のトップ部である。 x 加工用素材の送り方向である。 y 加工用素材の高さ方向である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ニッケル基合金からなる加工用素材を出
    発材とし、該加工用素材を上下方向から一対の工具にて
    打撃し所定量圧縮する動作と、打撃により圧縮された中
    間加工材を軸方向に所定量送る動作とを交互に繰り返
    し、該加工用素材の一端から他端に向けて加工範囲全長
    に亘り打撃を施す工程(パス)により上下方向の寸法を
    圧縮し送り方向の長さを延伸して所定寸法形状のビレッ
    トを製造するニッケル基合金の鍛伸方法において、ニッ
    ケル基合金からなる加工用素材の初期高さを450mm
    以下とし、該加工用素材の鍛伸加工中の表面温度を80
    0〜1120℃の範囲に保ちつつ、工具の一回の打撃に
    よる圧縮量を加工用素材初期高さの2〜20%で、かつ
    打撃1回あたりの加工用素材の送り量を50〜300m
    mの範囲に制御するようにしたことを特徴とするニッケ
    ル基合金の鍛伸方法。
  2. 【請求項2】 請求項1の記載に係るニッケル基合金の
    鍛伸方法において、加工用素材への打撃を加工範囲全長
    に亘り施す工程(パス)が2回以上であり、加工用素材
    の鍛伸送り方向がいずれの回数目のパスにおいても同一
    向き、または奇数回目のパスと偶数回目のパスで逆向き
    であり、各パス中の打撃サイクル(SPM)が10〜9
    0回/分であることを特徴とするニッケル基合金の鍛伸
    方法。
  3. 【請求項3】 請求項1または2の記載に係るニッケル
    基合金の鍛伸方法において、2パス目以降における第1
    回目の打撃が与えられる箇所が、工具コーナと加工用素
    材のコーナとが一致する位置であるか、前パスにおける
    最後の打撃位置または工具コーナと加工用素材のコーナ
    とが一致する位置からそれぞれ1回あたりの送り量の1
    /5〜4/5の距離だけ鍛伸送り方向にシフトした位置
    であり、各パス中の打撃サイクル(SPM)が10〜9
    0回/分であることを特徴とするニッケル基合金の鍛伸
    方法。
  4. 【請求項4】 最終加工材の結晶粒が加工用素材表面付
    近のデッドメタル領域を除いてASTM粒度番号で5番
    以上となることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載のニッケル基合金の鍛伸方法。
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