JP2010024544A - 温熱間鍛造用金型 - Google Patents

温熱間鍛造用金型 Download PDF

Info

Publication number
JP2010024544A
JP2010024544A JP2009061407A JP2009061407A JP2010024544A JP 2010024544 A JP2010024544 A JP 2010024544A JP 2009061407 A JP2009061407 A JP 2009061407A JP 2009061407 A JP2009061407 A JP 2009061407A JP 2010024544 A JP2010024544 A JP 2010024544A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
less
mold
hot forging
hardness
based alloy
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2009061407A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5437669B2 (ja
Inventor
Nobuyuki Gomi
伸幸 五味
Koichiro Inoue
幸一郎 井上
Masamichi Kono
正道 河野
Shigenori Ueda
茂紀 植田
Hideto Morikawa
秀人 森川
Tetsuo Shioda
哲郎 塩田
Makoto Komori
誠 小森
Hiroki Matsunae
宏樹 松苗
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Daido Steel Co Ltd
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Daido Steel Co Ltd, Nissan Motor Co Ltd filed Critical Daido Steel Co Ltd
Priority to JP2009061407A priority Critical patent/JP5437669B2/ja
Publication of JP2010024544A publication Critical patent/JP2010024544A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5437669B2 publication Critical patent/JP5437669B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Forging (AREA)

Abstract

【課題】従来に比べ、型寿命を向上させることが可能な温熱間鍛造用金型を提供すること。
【解決手段】質量%で、C:0.1%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:35〜40%、Al:3.0〜4.5%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物であるNi基合金Ni基合金より形成されるとともに、下記式(1)で示される溶体化温度T±20℃が1000〜1250℃の範囲内で溶体化処理が施された後、700〜820℃の範囲内で時効処理が施されており、45〜55HRCの硬さを有する温熱間鍛造用金型とする。
式(1):T =−348.06+32.04Cr+71.53Al
(T:溶体化温度(℃)、Cr、Al:含有率(質量%))
【選択図】図6

Description

本発明は、温熱間鍛造用金型に関するものである。
従来、例えば、各種の自動車部品等が、金型を用いた温熱間鍛造によって成形されている。これまで、金型材料としては、マトリックスハイス等の工具鋼が広く使用されてきた。また、各種工具鋼以外にも、Inconel718やInconelX−750等のNi基耐熱超合金を金型材料として適用することもある。
その他にも例えば、特許文献1には、温熱間鍛造用金型ではないが、Cr:25〜50重量%、Al:1.5〜9重量%、残部が実質的にNiである組成の合金を金型材料として適用した熱間プレス用金型が開示されている。同文献には、熱間プレス法とは、所定温度に加熱しながら当該金型に充填されている金属粉を加圧成形する方法であるとされている。
なお、特許文献2には、Ni基合金として、重量%で、C:0.1%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、P:0.03%以下、S:0.01%以下、Cr:30〜45%、および、Al:1.5〜5.0%を含有し、残部が不可避的不純物およびNiからなるNi基合金組成を有し、冷間もしくは温間の塑性加工されるとともにその後、時効処理された非磁性高硬度合金が開示されている。
特開昭63−18031号公報 特開2006−274443号公報
しかしながら、従来知られる温熱間鍛造用金型は、以下の点で問題があった。すなわち、温熱間鍛造用金型は、機械的・熱的に大きな負荷がかかる状況で使用されることが多い。特に、自動車部品等の成形では、成形荷重が非常に高い上、成形時における加熱−冷却の温度差が激しい。
金型材料としてマトリックスハイス鋼等の工具鋼を適用した場合、上述した熱負荷によって型成形面が著しく軟化し、摩耗やヒートチェック等の損傷が発生する。また、鍛造条件によっては、型成形面が800℃以上の高温となり、工具鋼の変態点を超えてしまうこともある。このように型成形面の温度が変態点を超えてしまうと、型成形面の表層に靱性の低い再焼き入れ層が発生してしまう。
これらの理由から、従来の工具鋼からなる温熱間鍛造用金型は、型寿命が短いという問題があった。型寿命が短くなると、金型費が増加するとともに、型交換による生産性低下等を引き起こすため、鍛造製品の製造コストを悪化させる。
型寿命を少しでも長くするため、従来の工具鋼からなる温熱間鍛造用金型に冷却用の孔部を形成し、この孔部を介して型の冷却を行い、型の昇温を抑制することも行われている。しかし、このような手法によれば、型に孔部を形成するための型加工が別途必要となり、その分、金型費が増加してしまう。
このように、800℃付近に変態点を持つ鉄を原料とした金型材料では、もはや対応に限界がある。そのため、この温度域で変態点を持たないNi基耐熱超合金(Inconel718等)を金型材料に適用することが有効であると考えられる。
ところが、Inconel718等のNi基耐熱超合金からなる金型は、冷間における硬さが低い。そのため、金型本体の圧縮強度の不足によって温熱間鍛造時に座屈することがある。それ故、その適用可能な範囲に限界があった。
なお、特許文献1の熱間プレス金型を温熱間鍛造用金型に転用することも考えられる。しかし、この熱間プレス金型は、比較的成形荷重の小さな粉末材料の成形用途に最適化されている。詳しくは、Cr38重量%、Al3.8重量%残部Niから成る合金塊を1200℃にて60分間固溶化処理(溶体化処理と同意)したとの記述がある。しかし、後述するが、この溶体化処理条件は適正な条件ではないため、結晶粒度が0番以下となり靭性が低くなる。そのため、機械的・熱的に大きな負荷がかかる状況で用いられることが多い温熱間鍛造用金型に転用すれば、金型が大割れすることが懸念され、そのまま転用することは困難である。
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、本発明が解決しようとする課題は、従来に比べ、型寿命を向上させることが可能な温熱間鍛造用金型を提供することにある。
上記課題を解決するため、本発明に係る温熱間鍛造用金型は、質量%で、C:0.1%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:35〜40%、Al:3.0〜4.5%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物であるNi基合金より形成されるとともに、下記式(1)で示される溶体化温度T±20℃が1000〜1250℃の範囲内で溶体化処理が施された後、700〜820℃の範囲内で時効処理が施されており、45〜55HRCの硬さを有することを要旨とする。
式(1):T =−348.06+32.04Cr+71.53Al
(T:溶体化温度(℃)、Cr、Al:含有率(質量%))
ここで、本発明に係る温熱間鍛造用金型は、JIS G0551で規定する結晶粒度が2番以上であることが好ましい。
また、本発明に係る温熱間鍛造用金型は、被鍛材がビレットであることが好ましい。
また、本発明に係る温熱間鍛造用金型において、上記Ni基合金は、質量%で、Fe:5%以下を含有していても良い。
また、本発明に係る温熱間鍛造用金型において、上記Ni基合金は、質量%で、Co:2%以下、Mo:2.5%以下、および、W:2.5%以下から選択される1種または2種以上の元素を含有し、Mo+0.5W:2.5%以下とされていても良い。
また、本発明に係る温熱間鍛造用金型において、上記Ni基合金は、質量%で、B:0.015%以下、Mg:0.01%以下、および、Ca:0.01%以下から選択される1種または2種以上の元素を含有していても良い。
また、本発明に係る温熱間鍛造用金型において、上記Ni基合金は、Ti、ZrおよびHfから選択される1種または2種以上の元素を、質量%で2.0%以下含有していても良い。
また、本発明に係る温熱間鍛造用金型において、上記Ni基合金は、V、NbおよびTaから選択される1種または2種以上の元素を、質量%で2.0%以下含有していても良い。
また、本発明に係る温熱間鍛造用金型において、上記Ni基合金は、質量%で、Cu:2.0%以下、および、REM:0.1%以下から選択される1種または2種以上の元素を含有していても良い。
一方、本発明に係る他の温熱間鍛造用金型は、一端に鍛造面を有する鍛造部と、金型胴体を構成する胴体部と、接合界面を含む接合部とを備え、上記鍛造部は、質量%で、C:0.1%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:35〜40%、Al:3.0〜4.5%を含有するNi基合金より形成され、上記鍛造部が50HRC以上、上記胴体部が45HRC以上、上記接合部が350Hv以上の硬さを有することを要旨とする。
ここで、本発明に係る他の温熱間鍛造用金型は、上述した本発明に係る温熱間鍛造用金型を用いて再生された再生金型であることが好ましい。
この際、上記胴体部は、上記鍛造部と同系のNi基合金またはマトリクスハイス鋼より形成されていることが好ましい。
また、上記接合部は、上記接合界面における酸化物系および/または窒化物系の異物の存在率が35%以下であることが好ましい。
また、上記胴体部がNi基合金である場合には、550〜800℃の範囲内で熱処理が施され、上記胴体部がマトリクスハイス鋼である場合には、550〜625℃の範囲内で熱処理が施されていることが好ましい。
本発明に係る温熱間鍛造用金型は、特定成分を特定割合で含有するNi基合金より形成され、従来の汎用Ni基合金では得られない45〜55HRCの硬さに調質されている。そのため、従来の温熱間鍛造用金型に比較して、高い軟化抵抗、耐摩耗性、強度を兼ね備える。また、溶体化処理温度を合金成分に適した条件とすることによって、硬さおよび靱性のバランスが良好になる。したがって、本発明に係る温熱間鍛造用金型によれば、従来に比較して型寿命を向上させることが可能になる。また、型寿命を向上させるのに、従来のように、わざわざ型に冷却用の孔部を形成する必要もない。そのため、その分、型費用を低減しやすくなる。
ここで、上記溶体化処理後のJIS G0551で規定する結晶粒度が2番以上である場合には、硬さと結晶粒度が適正化されることによって、先行特許に示される類似合金に対して高い靭性を発揮することができる。
また、被鍛材がビレットである場合、金型の温度が著しく上昇しやすく、被鍛材にかかる成形荷重も大きくなる。そのため、金型への熱的・機械的負荷が大きくなる。このような用途に本発明に係る温熱間鍛造用金型を用いた場合には、上記効果を発揮しやすくなるので有利である。
また、上記Ni基合金が、Feを特定割合含有している場合には、型の高温強度を維持しやすくなる。
また、上記Ni基合金が、Co、MoおよびWから選択される1種または2種以上の元素を特定割合含有し、Mo+0.5Wの値が特定範囲内である場合には、型強度を向上させやすくなる。
また、上記Ni基合金が、B、MgおよびCaから選択される1種または2種以上の元素を特定割合含有している場合には、金型材料の熱間加工性を改善することができる。そのため、金型の製造性に優れる。
また、上記Ni基合金が、Ti、ZrおよびHfから選択される1種または2種以上の元素を特定割合含有している場合には、型強度を向上させやすくなる。
また、上記Ni基合金が、V、NbおよびTaから選択される1種または2種以上の元素を特定割合含有している場合にも、型強度を向上させやすくなる。
また、上記Ni基合金が、CuおよびREMから選択される1種または2種以上の元素を特定割合含有している場合には、金型材料の冷間加工性を改善することができる。そのため、金型の製造性に優れる。
一方、本発明に係る他の温熱間鍛造用金型は、一端に鍛造面を有する鍛造部と、金型胴体を構成する胴体部と、接合界面を含む接合部とを備え、上記鍛造部は、特定成分を特定割合で含有するNi基合金より形成され、上記鍛造部が50HRC以上、上記胴体部が45HRC以上、上記接合部が350Hv以上の硬さに調質されている。そのため、金型として実用に供するに足りる耐塑性変形性、耐摩耗性、強度を兼ね備える。したがって、本発明に係る他の温熱間鍛造用金型は、型寿命を向上させることが可能になる。
ここで、本発明に係る他の温熱間鍛造用金型が、上述した本発明に係る温熱間鍛造用金型を用いて再生された再生金型である場合には、より一層型寿命の向上に寄与することができる。
また、上記胴体部が上記鍛造部と同系のNi基合金より形成されている場合には、軟化抵抗が高いため繰り返し再生が行いやすくなり、金型製造費を低減しやすくなる。加えて、接合部での成分混合が少なくなるので、接合部の材料特性の損失が少なくなる。さらに、廃型を再溶解するのに比べて、省エネルギーで繰り返し再生が可能となるので、環境にも優しい。一方、上記胴体部またはマトリクスハイス鋼より形成されている場合には、熱処理による軟化が少なく、強度を保ちやすくなる。また、Ni基合金に比較して安価なマトリクスハイス鋼を使用することにより、金型製造費を低減しやすくなる。
また、上記接合部の接合界面における酸化物系および/または窒化物系の異物の存在率が35%以下である場合には、接合強度に優れるので、機械的負荷の大きな用途等への適用に有利である。
また、上記胴体部がNi基合金である場合に、550〜800℃の範囲内で熱処理が施され、上記胴体部がマトリクスハイス鋼である場合に、550〜625℃の範囲内で熱処理が施されている場合には、上記鍛造部、胴体部、接合部の各部位の硬さバランスに優れる。
Cr含有量と溶体化処理後の硬さの関係を示した図である。 Al含有量と700℃、800℃における最大時効硬さの関係を示した図である。 時効処理材の硬さと時効処理条件の関係を示した図である。 Ni−Cr−Al3元系の計算状態図上に、式(1)から計算される溶体化温度Tを示した図である。 溶体化処理条件と結晶粒度の関係を示した図である。 衝撃値と結晶粒度および硬さとの関係を示した図である。 実施例1の合金の溶体化組織を示したSEM写真である。 実施例1の合金の時効組織を示したSEM写真である。 実施例1の合金を用いた試験片と、各比較例の合金を用いた各試験片について、各温度、各時間で軟化処理を施したときの軟化抵抗を示した図である。 耐摩耗性試験におけるパンチ摩耗量の測定方法を説明するための図である。 摩耗試験後における実施例1および各比較例に係る小パンチの鍛造面から深さ方向の硬さ分布を示した図である。 自動車部品の成形に用いたパンチ形状を模式的に示した図である。 本発明の一実施形態に係る他の温熱間鍛造用金型を模式的に示した図である。
以下、本発明の一実施形態に係る温熱間鍛造用金型(「本金型」ということがある。)およびその製造方法(「本製造方法」ということがある。)、本発明の一実施形態に係る他の温熱間鍛造用金型(「本第2金型」ということがある。)について詳細に説明する。
1.本金型
本金型は、特定成分の含有率が下記に規定される範囲内とされており、残部がNiおよび不可避的不純物よりなるNi基合金を用いて形成されている。上記Ni基合金において、特定成分の種類および含有率を規定した理由は、次の通りである。なお、以下の含有率の単位は、質量%である。
・C:0.1%以下
Cは、溶解時に脱酸剤として作用する。また、Ti、Zr、Hf、V、Nb、Taが存在する場合には、これら元素と炭化物を形成し、固溶化熱処理時の結晶粒粗大化を抑制するとともに、粒界の強化に寄与する。C含有率が0.1%を越えると、金型の強度および靱性の低下を招く。そのため、C含有率の上限を、0.01%以下とする。C含有率の上限は、好ましくは、0.08%以下であると良い。
・Si:2.0%以下
Siは、溶解時に脱酸剤として作用する。その効果を得るため、Si含有率の下限は、好ましくは、0.05%以上、より好ましくは、0.2%以上であると良い。
但し、Siの多量の添加は、金型の強度および靱性の低下を招く。そのため、Si含有率の上限を、2.0%以下とする。Si含有率の上限は、好ましくは、1.0%以下であると良い。
・Mn:2.0%以下
MnもSiと同様に、脱酸剤として有用な元素である。その効果を得るため、Mn含有率の下限は、好ましくは、0.05%以上、より好ましくは、0.2%以上であると良い。
但し、Mnの多量の添加は、やはり金型の強度および靱性の低下を招く。そのため、Mn含有率の上限を、2.0%以下とする。Mn含有率の上限は、好ましくは、1.0%以下であると良い。
・Cr:35〜40%
Crは、α相を形成する主要な元素である。α相がγ相とラメラ状に析出することで高強度および高硬度が得られる。もちろん、Crは、耐食性の向上にも寄与する。その効果を得るため、Cr含有率の下限を、35%以上とする。Cr含有率の下限は、好ましくは、37%以上であると良い。
但し、Crの多量の添加は、加工性の低下を招く。図1にNi−Cr合金のCrの含有量と溶体化処理材の関係を示す。Crの含有量が減少するほど溶体化硬さは低下し、40%以下の含有量でHv200以下の硬さを得られる。そのため、Cr含有率の上限を、40%以下とする。Cr含有率の上限は、好ましくは、39%以下であると良い。
・Al:3.0〜4.5%
Alは、γ’相を形成する重要な元素であり、さらに、耐高温腐食性の向上にも寄与する。図2にAl含有量と時効処理材の最大硬さの関係を示す。Alの含有量が3.8%のときに最大硬さのピークを示す。したがって、金型に必要な硬さを得るため、Al含有率の下限を、3.0%以上とする。Al含有率の下限は、好ましくは、3.4%以上であると良い。
但し、Alの多量の添加は、加工性の低下を招く。そのため、Al含有率の上限を、4.5%以下とする。Al含有率の上限は、好ましくは、4.2%以下であると良い。
本金型を構成するNi基合金は、上記構成元素に加えて、さらに、以下の元素を任意に含有していても良い。
・Fe:5%以下
Feは、不純物として混入する可能性が高い元素である。Feは、金型の高温強度を低下させる傾向があるので、原料を吟味するなどして、できる限りその混入量を低く抑えることが好ましい。但し、Fe含有率を過度に少なくしようとすると金型の高コスト化を招く。許容できるFe含有率の上限は、5%以下である。Fe含有率の上限は、好ましくは、3.0%以下に留めたい。なお、Feは、1.0%以下であれば、不可避的不純物として含まれうる。
・Co:2.0%以下、Mo:2.5%以下、および、W:2.5%以下から選択される1種または2種以上の元素、Mo+0.5W:2.5%以下
Coは、固溶強化により合金の強度を高める。また、Coは、γ’相の析出量を増大させるのにも寄与する。その効果を得るため、Co含有率の下限は、好ましくは、0.05%以上、より好ましくは、0.2%以上であると良い。
但し、Coの多量の添加は、金型の高コスト化を招く。そのため、Co含有率の上限を、2.0%以下とする。Co含有率の上限は、好ましくは、1.0%以下であると良い。なお、Coは、0.1%以下であれば、不可避的不純物として含まれうる。
Moは、固溶強化により合金の強度を高める。また、Moは、金型の耐食性の向上にも寄与する。その効果を得るため、Mo含有率の下限は、好ましくは、0.2%以上であると良い。
但し、Moの多量の添加は、金型の高コスト化を招く。そのため、Mo含有率の上限を、2.5%以下とする。Mo含有率の上限は、好ましくは、1%以下であると良い。なお、Moは、0.1%以下であれば、不可避的不純物として含まれうる。
Wは、固溶強化により合金の強度を高める。その効果を得るため、W含有率の下限は、好ましくは、0.2%以上であると良い。
但し、Wの多量の添加は、金型の高コスト化を招く。そのため、W含有率の上限を、2.5%以下とする。W含有率の上限は、好ましくは、1%以下であると良い。なお、Wは、0.1%以下であれば、不可避的不純物として含まれうる。
Mo+0.5Wの値は、MoとWの添加による効果が加算される割合を表すものである。Mo+0.5Wの値が過大になると、加工性や耐高温腐食性が損なわれる。そのため、Mo+0.5Wの値の上限を、2.5%以下とする。Mo+0.5Wの値の上限は、好ましくは、1%以下であると良い。
Mo+0.5Wの値の下限は、特に限定されるわけではないが、固溶硬化による強度向上等の観点から、好ましくは、0.2%以上であると良い。なお、Mo+0.5Wは、0.15%以下であれば、不可避的不純物として含まれうる。
・B:0.015%以下、Mg:0.01%以下、および、Ca:0.01%以下から選択される1種または2種以上の元素
B、Mg、Caは、いずれも熱間加工性を改善するのに役立つ。また、Bは、結晶粒界に偏析して粒界を強化し、クリープ強度を高めるのにも役立つ。また、Mg、Caは、溶解時における脱酸および脱硫を考慮して添加することも可能である。その効果を得るため、Bの含有率の下限は、好ましくは、0.0005%以上、より好ましくは、0.001%以上であると良い。Mgの含有率の下限は、好ましくは、0.0005%以上、より好ましくは、0.001%以上であると良い。Caの含有率の下限は、好ましくは、0.0005%以上、より好ましくは、0.001%以上であると良い。
但し、これら元素の多量の添加は、かえって熱間加工性を低下させる。そのため、Bの含有率の上限を、0.015%以下とする。Bの含有率の上限は、好ましくは、0.01%以下、より好ましくは、0.008%以下であると良い。また、Mgの含有率の上限を、0.01%以下とする。Mgの含有率の上限は、好ましくは、0.008%以下、より好ましくは、0.005%以下であると良い。また、Caの含有率の上限を、0.01%以下とする。Caの含有率の上限は、好ましくは、0.008%以下、より好ましくは、0.005%以下であると良い。
・Ti、ZrおよびHfから選択される1種または2種以上の元素:2.0%以下
Ti、Zr、Hfは、γ’相を形成するAlと置換することにより、γ’相の固溶強化に寄与し、合金の強度をさらに高める作用がある。そのため、Alと複合して添加すると良い。その効果を得るため、これら元素の含有率の下限は、好ましくは、0.05%以上、より好ましくは、0.2%以上であると良い。
但し、Alとの合計量が過剰になると、加工性が悪化する。そのため、これら元素の含有率の上限を、2.0%以下とする。Alとの合計の含有率は、好ましくは、5%以下であると良い。
また、これら元素のうち、強度の向上に最も効果的な元素はTiである。Tiの含有率の上限は、好ましくは、2.0%以下、より好ましくは、1%以下であると良い。
また、Zr、Hfは、結晶粒界に偏析し、粒界を強化する効果もある。この効果を効率良く得る観点から、Zr、Hfの含有率の上限は、好ましくは、0.1%以下、より好ましくは、0.05%以下であると良い。
・V、NbおよびTaから選択される1種または2種以上の元素:2.0%以下
V、Nb、Taは、γ’相を形成するAlと置換することにより、γ’相の固溶強化に寄与し、合金の強度をさらに高める作用がある。そのため、Alと複合して添加すると良い。その効果を得るため、V、Nb、Taの含有率の下限は、好ましくは、0.2%以上であると良い。
但し、Alとの合計量が過剰になると、加工性が悪化する。そのため、Vの含有率の上限を、2.0%以下とする。Vの含有率の上限は、好ましくは、1%以下、より好ましくは、0.5%以下であると良い。また、Nb、Taの含有率の上限を、2.0%以下とする。Nb、Taの含有率の上限は、好ましくは、1%以下、より好ましくは、0.5%以下であると良い。なお、Vは、0.1%以下であれば、不可避的不純物として含まれうる。
・Cu:2%以下、および、REM:0.1%以下から選択される1種または2種以上の元素
Cuは、冷間加工性を改善する。さらに、耐硫酸腐食性を顕著に向上させる効果もある。但し、Cuの多量の添加は、熱間加工性の悪化を招く。そのため、Cu含有率の上限を、2%以下とする。Cu含有率の上限は、好ましくは、1%以下であると良い。なお、Cuは、0.1%以下であれば、不可避的不純物として含まれうる。
REMは、高温における耐酸化性を高めるのに寄与する。この効果は、主として、密着したスケールの剥離を抑制するという機構を通じて得られる。その効果を得るため、REM含有率の下限は、好ましくは、0.005%以上、より好ましくは、0.02%以上であると良い。
但し、REMの多量の添加は、熱間加工性の悪化を招く。そのため、REM含有率の上限を、0.1%以下とする。REM含有率の上限は、好ましくは、0.08%以下であると良い。
本金型は、上述したようなNi基合金を金型材料に用いている。そして、本金型は、45〜55HRCの硬さを有している。また、本金型は、下記式(1)で示される溶体化温度T±20℃が1000〜1250℃の範囲内で溶体化処理が施されることにより、結晶粒度が2番以上とされている。
式(1):T =−348.06+32.04Cr+71.53Al
(T:溶体化温度(℃)、Cr、Al:含有率(質量%))
ここで、上記「硬さ」は、冷間において測定される金型材料そのもののロックウェル硬さのことである。当該硬さは、冷間加工による加工硬化や各種表面処理等の影響を受けていない部位、例えば、加工硬化や各種表面処理等の影響を受けた部分等を除去して露出した金型表面や金型内部などから測定することができる。
本金型の硬さの下限は、鍛造時における塑性変形の防止などの観点から、好ましくは、47HRC以上、より好ましくは、49HRC以上、さらに好ましくは、51HRC以上であると良い。
本金型の硬さの上限は、靱性低下による金型の割れ防止などの観点から、好ましくは、54HRC以下、より好ましくは、53HRC以下であると良い。
上記の硬さに調質するための時効条件は、図3に示す硬さと時効処理温度の関係から決定することができる。45〜55HRCの硬さを得るためには、820〜700℃の時効温度で処理すれば良いことが分かる。
上記の式(1)は、次のように求めた。図4に示す計算状態図において、γ相とγ+α相の境界線から10℃低い領域が、式(1)のTが示す点である。この点を基準として下記の現象を想定した。T℃で溶体化処理を行った場合、組織に分散析出した球状のα−Crが、ピン止め効果として働き、結晶粒の粗大化を防止する。T+20℃を超える温度で溶体化処理を行った場合には、α−Crは完全にγ相中に溶け込み、ピン止め効果は現れず、結晶粒は著しく粗大化する。また、T−20℃を下回る温度で溶体化処理を行った場合には、α−Crの析出量が過剰となり、溶体化時の硬さが増加する。そして、図4の計算状態図において示す点をプロットし、重回帰式により式(1)を算出した。
上記の想定を実証するため、Cr:38%、Al:x%、および、Cr:y%、Al:3.8%の合金を用いて、1000〜1200℃の溶体化処理を行った後、結晶粒度を確認した。その一例としてCr:38%、Al:3.8%およびCr:38%、Al:4.2%とした合金の溶体化組織の写真を図5に示す。これらの合金のTは、式(1)よりそれぞれ1141℃、1170℃である。溶体化処理温度は、図5の(a)(e)ではT−20℃以下、(b)(f)(g)ではT±20℃の範囲内、(c)(d)(h)ではT+20℃以上である。(a)(e)では、結晶粒度は6番と微細粒組織を示すが、硬さが300Hv以上となり、加工性が低下する。(b)(f)(g)では、結晶粒度が2〜6番であり、溶体化条件は適正であるといえる。(c)(d)では、結晶粒度が1番以下となり、後述するが、これでは靭性が著しく劣化する。したがって、本金型の溶体化条件の最適値を、T±20℃の範囲と規定した。
なお、上述の「結晶粒度」の試験方法は、JIS G0551に準拠する。詳しくは、固溶化熱処理法を用いて、10%シュウ酸溶液にて電解腐食し、粒度を顕微鏡で測定することによる。
本金型の被鍛材は、特に限定されるものではないが、好ましくは、ビレットなどを例示することができる。被鍛材がビレットである場合、金型の温度が著しく上昇しやすく、被鍛材にかかる成形荷重も大きくなる。そのため、金型への熱的・機械的負荷が大きくなる。このような用途に本金型を用いれば、型寿命の向上効果等を発揮しやすくなって有利だからである。
なお、本発明において「ビレット」とは、塊状の略丸断面や略角断面の材料であって、板状のものも含む概念として用いている。
被鍛材にビレットを用いて成形する鍛造品としては、例えば、自動車部品、電機家電部品、産業機械部品などを例示することができる。このうち、本金型は、金型の温度が著しく上昇しやすく、被鍛材にかかる成形荷重も大きな自動車部品等の鍛造に好適に用いることができる。
本金型の型形状は、成形する鍛造品の形状等を考慮して選択することができる。本金型の型形状としては、例えば、パンチ、ピン、ダイなどの形状を例示することができる。好ましくは、一般に、被鍛材に打ちつけられることによって温度が上昇しやすく、型寿命が短くなりやすいパンチやピンなどの形状を選択すると、本発明の効果を特に発揮しやすくなる。
本金型は、型に冷却用の孔部が形成されていない中実体であると良い。型寿命の向上のため、型に冷却用の孔部を形成しなければ、その分、余分な型加工が減り、型費用を低減しやすくなるからである。
また、従来の金型では、その軟化抵抗が小さいため、多量の潤滑剤塗布もしくは水冷、空冷による金型冷却が必要であったが、本金型は、軟化抵抗に優れるため、多量の潤滑剤塗布もしくは水冷、空冷による金型の冷却が不要になる。つまり、本金型は、型冷却が不要もしくは極小で済む金型である、と言える。
より詳細には、本金型を使用する場合の鍛造条件として、潤滑剤が必要な成形および型部位では、必要最小限の潤滑剤塗布量とすることができる。すなわち、本金型の潤滑材塗布量を、従来の潤滑剤塗布量に比べ3〜4割程度削減することができる。一方、潤滑剤が不要な成形および型部位では、金型冷却のための水冷、空冷を実施しなくても済むという効果が得られる。
本金型を構成する上記Ni基合金は、靱性の向上、耐ヒートチェック性の向上等の観点から、結晶粒度番号が、好ましくは、2番以上、より好ましくは、4番以上、さらに好ましくは、6番以上であると良い。
2.本製造方法
次に、本金型の製造方法の一例について説明する。先ず、本金型の素材として、上述した化学組成を有するNi基合金を準備する。
具体的には、上述した化学組成となるように各原料を秤量し、例えば、真空誘導炉などの溶解炉を用いて、Ni基合金インゴットを溶製する。その後、得られたNi基合金インゴットを、必要に応じて均熱処理した後、熱間鍛造、熱間圧延するなどして、棒材、板材、ブロック材、コイル材等の金型製造に適した素材形状に形成すれば良い。
次に、準備した所定形状の素材に対して、溶体化処理を施す。金型の粗加工が容易な硬さ(約20HRC程度)まで素材を軟化させるためである。なお、上記鍛造・圧延などの塑性加工によって、材料中には加工歪が多量に導入される。この状態から溶体化処理を施すと、歪を核として再結晶を生じる。歪が多量に存在するほど、再結晶後の結晶粒径を微細にすることができる。
上記溶体化処理は、下記式(1)で示される溶体化温度T±20℃が1000〜1250℃の範囲内で施すことが必要である。
式(1):T =−348.06+32.04Cr+71.53Al
(T:溶体化温度(℃)、Cr、Al:含有率(質量%))
また、保持時間としては、好ましくは、0.1〜10時間、より好ましくは、0.2〜5時間、さらに好ましくは、0.5〜1時間の範囲内などを例示することができる。
次に、上記溶体化処理を施した素材を、パンチ状等の金型形状に粗加工する。上記粗加工は、機械切削や放電加工等により行うことができる。
次に、得られた粗加工体を45〜55HRCの硬さに調質する。具体的には、上記粗加工体を時効処理することにより調質すれば良い。時効処理の条件としては、具体的には、例えば、温度が、好ましくは、700〜820℃、より好ましくは、720〜780℃、さらに好ましくは、740〜760℃の範囲内、保持時間が、好ましくは、1〜40時間、より好ましくは、5〜30時間、さらに好ましくは、10〜20時間の範囲内などを例示することができる。
次に、上記硬さを調質した粗加工体を所定の金型形状に精加工する。上記精加工は、機械切削等により行うことができる。
基本的には、以上の工程を経ることにより本金型を得ることができる。
3.本第2金型
図13に本第2金型を模式的に示す。本第2金型RPは、鍛造部Aと、胴体部Bと、接合部Cとを有している。鍛造部Aは、一端に鍛造面A1を有している。胴体部Bは、金型胴体の一部を構成する。接合部Cは、接合界面C1を含んでいる。
図13(a)では、鍛造部Aと胴体部Bとの間に接合部Cを備える場合を例示している。図13(b)では、鍛造部Aと胴体部Bとの間、および、胴体部B間に接合部Cを備える場合を例示している。このように本第2金型RPにおいて、接合部Cは、鍛造部Aと胴体部Bとの間に存在していても良いし、胴体部B間に存在していても良い。また、本第2金型RPにおいて、胴体部Bおよび接合部Cは、1又は2以上存在していても良い。
ここで、本第2金型RPは、鍛造部Aが、質量%で、C:0.1%以下、Si:2.0%以下、Mn:2.0%以下、Cr:35〜40%、Al:3.0〜4.5%を含有するNi基合金より形成されている。鍛造部Aを形成するNi基合金において、上記各成分以外については、残部がNiおよび不可避不純物であっても良いし、以下の成分元素を1種または2種以上含有(質量%)していても良い。
Fe:5%以下、
Co:2.0%以下、
Mo:2.5%以下、
W:2.5%以下、
B:0.015%以下、
Mg:0.01%以下、
Ca:0.01%以下、
Ti、ZrおよびHfから選択される少なくとも1種:2.0%以下、
V、NbおよびTaから選択される少なくとも1種:2.0%以下、
Cu:2%以下、
REM:0.1%以下、
但し、Mo+0.5W:2.5%以下
なお、各成分元素の規定理由、含有率の好適範囲等は、「1.本金型」に準ずるため、ここでの詳細な説明は省略する。
また、本第2金型RPは、胴体部Bが、鍛造部Aと同系のNi基合金(共材)またはマトリクスハイス鋼より形成されていることが好ましい。胴体部Bが鍛造部Aと同系のNi基合金より形成されている場合には、軟化抵抗が高いため繰り返し再生が行いやすくなり、金型製造費を低減しやすくなるし、接合部Cでの成分混合が少なくなるので、接合部Cの材料特性の損失が少なくなる等の利点があるからである。一方、胴体部Bがマトリクスハイス鋼より形成されている場合には、熱処理による軟化が少なく、強度を保ちやすくなるし、Ni基合金に比較して安価なマトリクスハイス鋼を使用することにより、金型製造費を低減しやすくなる等の利点があるからである。
図13に例示する本第2金型RPの形状は、例えば、次のようにして得ることができる。先ず、鍛造部Aの材料を準備する(準備工程)。この際、好適には、鍛造部Aの材料として、使用済みとなった本金型(「1.本金型」にて説明したもの)を準備すると良い。この場合には、上述した本金型の再生によって一層型寿命を向上させることができるからである。なお、「使用済みとなった本金型」とは、鍛造に使用された本金型のことであり、その鍛造面には、摩耗や割れ等の劣化部が生じている。
次いで、準備した本金型の鍛造面に存在する劣化部を除去し、元の鍛造面形状となるように面下げを行う(面下げ工程)。この面下げにより、新たな鍛造面A1が露出される。面下げ方法としては、例えば、放電加工、切削加工、研磨加工等を例示することができ、これらは1または2以上組み合わせても良い。
次いで、準備した本金型の後端部に、Ni基合金やマトリクスハイス鋼等の金型材を接合する(接合工程)。上記接合方法としては、例えば、摩擦圧接、アーク溶接(TIG溶接、PPW溶接等)などを好適に適用することができる。
この際、接合部Cは、接合界面C1における酸化物系および/または窒化物系の異物の存在率が35%以下であることが好ましい。接合強度に優れるので、機械的負荷の大きな鍛造に有利だからである。上記異物の存在率は、破壊起点が低減され、接合強度の向上に有利である等の観点から、より好ましくは、20%以下、さらに好ましくは、5%以下であると良い。
なお、上記異物の存在率は、接合界面C1とほぼ垂直な面方向に切断した後、断面を光学顕微鏡にて観察し、観察された接合ライン全域にわたって存在している異物の合計長さMを求め、これを接合ライン全域の長さLで除すことにより算出することができる(異物の存在率(%)=M/L×100)
次いで、接合した金型材の余剰部分を除去し、元の金型形状に整形する(整形工程)。これにより、図13(a)に示した本第2金型RPの形状が得られる。
また、鍛造部Aの材料を準備するにあたり、使用済みとなった図13(a)の本第2金型RPを準備し、上記の手順を経れば、図13(b)に示した金型形状が得られる。
なお、上記では、使用済み金型の準備工程→面下げ工程→接合工程→整形工程の順で説明したが、他にも、使用済み金型の準備工程→接合工程→面下げ工程→整形工程の順とすることも可能である。好ましくは、前者である。先に面下げをおこなった後に金型材の接合を行うため、面下げ加工時の位置合わせが行いやすく、面下げ時の精度を高めやすい利点があるからである。もっとも、鍛造部Aの材料として、上述した化学組成を有するNi基合金製の金型材を準備することも可能である。この場合には、当該準備した鍛造部Aとなる金型材に、胴体部BとなるNi基合金やマトリクスハイス鋼等の金型材を接合し、全体形状を金型形状に整形する等すれば良い。
本第2金型RPにおいて、各部位の硬さは、鍛造部Aが50HRC以上、胴体部Bが45HRC以上、接合部Cが350Hvの硬さに調質されている。
なお、上記「硬さ」は、冷間において測定される金型材料そのもののロックウェル硬さ(鍛造部A、胴体部B)あるいはビッカース硬さ(接合部C)のことである。当該硬さは、冷間加工による加工硬化や各種表面処理等の影響を受けていない部位、例えば、加工硬化や各種表面処理等の影響を受けた部分等を除去して露出した金型表面や金型内部などから測定することができる。
鍛造部Aの硬さ下限は、高い耐摩耗性を得る、鍛造面を塑性変形させ難くする等の観点から、好ましくは、50HRC以上、より好ましくは、52HRC以上であると良い。
鍛造部Aの硬さの上限は、特に限定されるものではないが、十分な靱性を得ることで突発的な大割れを抑制しやすくなるなどの観点から、好ましくは、56HRC以下、より好ましくは、54HRC以下であると良い。
胴体部Bの硬さ下限は、鍛造荷重による塑性変形の防止効果を向上させる等の観点から、好ましくは、45HRC以上、より好ましくは、47HRC以上、さらに好ましくは、49HRC以上であると良い。
胴体部Bの硬さの上限は、特に限定されるものではないが、十分な靱性を得ることで突発的な大割れを抑制しやすくなるなどの観点から、好ましくは、56HRC以下、より好ましくは、54HRC以下であると良い。
接合部Cの硬さ下限は、接合部Cの歪みが生じても鍛造品のクリアランス範囲内に型寸法変化を抑制しやすくなる等の観点から、好ましくは、350Hv以上、より好ましくは、400Hv以上、さらに好ましくは、450Hv以上であると良い。
接合部Cの硬さの上限は、特に限定されるものではないが、十分な靱性を得ることで突発的な大割れを抑制しやすくなるなどの観点から、好ましくは、650Hv以下、より好ましくは、550Hv以下であると良い。
上記の硬さに調質するためには、上述した整形工程の後、胴体部Bの材質に合わせて所定の熱処理を行えば良い。すなわち、胴体部BがNi基合金である場合には、好ましくは、550〜800℃、より好ましくは、600〜770℃、さらに好ましくは、650〜750℃の範囲内で時効処理を行えば良い。一方、胴体部Bがマトリクスハイス鋼である場合には、好ましくは、550〜625℃、より好ましくは、565〜615℃、さらに好ましくは、585〜605℃の範囲内で焼戻し処理を行えば良い。
以下、本発明を実施例を用いてより具体的に説明する。
1.実験1
表1に示す化学組成(質量%)の合金インゴット150kgを真空溶解により溶製した。次いで、得られた合金インゴットを均熱処理した後、鍛伸して直径32mmの棒材とした。
(衝撃値)
結晶粒度の微細化が靭性に及ぼす効果を確認するため、シャルピー衝撃試験を次のようにして行った。供試材は、表1の実施例1、2、6に示される成分の合金を用い、上記の32mmの棒材に対して、2水準の溶体化処理を施した。すなわち、前述の式(1)で計算されるT±20℃内の温度およびT+20℃を超える温度の2水準で行い、結晶粒度を変化させた。溶体化処理を施した素材を粗加工した後、550〜900℃の時効処理によって、40〜59HRCまでの硬さに調質した。その後、10mm×10mm×長さ55mmの形状の10Rノッチの衝撃試験片に精加工してシャルピー衝撃試験を行った。
表2に、計算値T、施した溶体化処理温度、溶体化処理後の結晶粒度を示す。表2より各試験材の結晶粒度は、新たに付した記号A1、B1、C1では2番以上であり、A2、B2、C2では1番未満であることを確認した。
衝撃試験の結果を、図6に示す。温熱間鍛造金型として必要な衝撃値は最低40J/cmである。この値をクリアするのは結晶粒度が2番以上かつ硬さが55HRC以下の条件を満たすときである。結晶粒度が1番未満の試験材の破面は、粒界破壊の様相を呈しており、これが低衝撃値となる原因と考えられる。また、56HRC以上では粒内破壊した破面にディンプルがほとんど認められず、延性の不足により低衝撃値となったと考えられる。
(軟化抵抗性)
各合金の軟化抵抗性を次のようにして測定した。すなわち、上述の鍛伸した各棒材に対して前述の式(1)で与えられる温度T℃、保持時間1時間の条件で溶体化処理を施した。これより、15mm角の立方体状の試験片を切り出した。次いで、本発明の金型に適用される実施例合金を用いた試験片については、温度750℃、保持時間16時間の時効処理を施し、硬さがHRC54となるように調質した。一方、従来の金型に適用される比較例合金を用いた試験片については、最高硬さとなるように調質した。そして、これら各試験片につき、ロックウェル硬度計を用いて、軟化処理前のロックウェル硬さ(冷間)を予め測定した。
なお、図7に、実施例1の合金の溶体化組織を、図8に、実施例1の合金の時効組織を示す。図7に示すように、溶体化組織は、母相がγ相であり、結晶粒のピン止めのための球状化α−Crの析出が認められた。また、図8に示すように、時効組織には、全面がα+γの2相からなるラメラ構造と、組織写真では明確ではないが、微細なγ’相の分散析出が確認された。
次に、各試験片を、温度550〜750℃、保持時間1〜100時間の条件で加熱することにより、軟化処理を施した。次いで、軟化処理後の各試験片につき、ロックウェル硬度計を用いて、ロックウェル硬さ(冷間)を測定した。温度700℃、保持時間1時間の軟化処理を施したときの結果を表3に示す。また、図9に、実施例1の合金を用いた試験片と、各比較例の合金を用いた各試験片について、各温度、各時間で軟化処理を施したときの軟化抵抗を示す。
これら実験1の結果によれば、以下のことが分かる。すなわち、従来の工具鋼(比較例1〜3の合金)は、700℃以上の温度に加熱されると、著しい軟化を生じることが分かる。この結果から、従来の工具鋼を温熱間鍛造用金型の材料に適用すれば、成形時の熱負荷によって型成形面が軟化し、摩耗やヒートチェック等の損傷の発生によって型寿命が短くなることが容易に想像できる。
また、従来の工具鋼を適用した温熱間鍛造用金型では、熱負荷による軟化を抑制するために、型に冷却用の孔部を形成し、型の昇熱をできる限り抑制しなければ、型寿命の向上は難しいと言える。
一方、Inconel718等の汎用のNi基合金(比較例4、5)は、700℃以上の温度に加熱されても、著しい軟化を生じ難いことが分かる。しかしながら、これらNi基合金は、冷間における硬さが相対的に低い。そのため、これらのNi基合金を温熱間鍛造用金型の材料に適用すれば、金型本体の圧縮強度不足により、温熱間鍛造時に座屈することが予想される。特に、例えば、自動車部品の温熱間鍛造等のように、高い成形荷重を負荷して被鍛材であるビレットを成形するような用途には、従来汎用されているNi基合金を適用することはもはや困難であると言える。
これらに対して、本発明で規定されるNi基合金は、700℃以上の温度に加熱されても、著しい軟化を生じ難いうえ、冷間における硬さを相対的に高く維持することができる。そのため、本発明で規定されるNi基合金を用いて温熱間鍛造用金型を形成すれば、型寿命の向上が期待される。そこで、以下では、各合金を用いて小型の温熱間鍛造用金型(小パンチ)を作製し、これを用いてパンチ摩耗試験を行い、実際に型性能の確認を行った。
(耐摩耗性試験)
上述した鍛伸により直径32mmの各棒材を、前述の式(1)で与えられる温度T℃、保持時間1時間の条件で溶体化処理を施した。この溶体化処理材を粗加工した後、750℃で時効処理を施し、精加工することにより、実施例および比較例に係る各小パンチを作製した。作製した小パンチは、長さ104mm、胴体部直径16.2mmであり、パンチ先端の評価部には15°のテーパー加工が施されている。なお、鍛造前に、ロックウェル硬度計を用いて、各小パンチの素材硬さを予め測定した。
次いで、得られた各小パンチを、140tonのパーツフォーマー(大同機械(株)製、「NS5−10PL」)に取り付け、温熱間鍛造を行った。被鍛材は、JIS S53C 製のビレット(直径13.3mm、長さ28.3mmの円柱状)である。このビレットから全2工程でカップ状の鍛造品を製造した。
第1工程は圧縮率54%の据え込み、第2工程は後方押し出しである。鍛造の速度は85spm、パンチ外部からの冷却水量は60m/sとした。被鍛材の温度は、高周波加熱の終了時が930℃、第1工程の開始時が約820℃となるようにした。
後方押し出しパンチの摩耗量は、1ショット目と5000ショット目の形状変化から算出した。すなわち、図10に示すように、パンチPの先端から0.2mmの位置におけるパンチ半径の減少量を摩耗量Rと定義した。
また、実施例1に係る小パンチについては、上記試験後に、パンチの成形面の軟化量を測定するため、当該パンチを縦に切断し、鍛造面から深さ方向の硬さ分布をビッカース硬度計(荷重:100g)を用いて測定した。
表4に、実施例および比較例に係る各小パンチの素材硬さとパンチ摩耗量の測定結果を示す。図11に、摩耗試験後における実施例1および各比較例に係る小パンチの鍛造面から深さ方向の硬さ分布を示す。
これらの結果によれば、以下のことが分かる。すなわち、従来の工具鋼を用いた比較例1〜3に係る小パンチは、パンチ表面の軟化により、相対的に耐摩耗性が悪く、型寿命が短いことが分かる。
なお、汎用のNi合金を用いた比較例4、5に係る小パンチは、最大硬さ付近まで合金を調質したにも関わらず、合金強度が十分でなく、鍛造時に座屈が発生した。
これらに対して、各実施例に係る小パンチは、パンチ表面が軟化せず、型摩耗が相対的に極めて少ないことが分かる。このことから、実施例に係る小パンチは、型寿命を向上させることができることが確認できた。
(自動車部品の成形)
本実施例では、さらに、自動車部品(等速ジョイント部品)を成形可能な大パンチを作製し、実生産の温熱間鍛造を以下の通りに実施した。
すなわち、表1に示す実施例1の化学組成(質量%)の合金インゴット1.3tonを真空溶解により溶製した。次いで、得られた合金インゴットを均熱処理した後、鍛伸して直径98mmの棒材とした。次いで、得られた棒材に対して溶体化処理を施して粗加工形状のパンチ金型とし、硬さがHRC53となるように時効処理を施した後、精加工することにより、実施例1に係る大パンチを作製した。作製した大パンチは、図12に示すように、長さ300mm、胴体部直径90mmの中実体であり、後述の窒化処理は施されていない。
一方、比較用として、HCR57に調質され、かつ、表面に窒化処理がなされたSKH51材(比較例1)による同形状の中実体のパンチを用いた。なお、実生産では、従来この比較例1に係る大パンチに対して、パンチ軸心に沿ってパンチ後端面からパンチ先端部近傍にかけて、高温軟化を抑制するための冷却孔が形成された中空体であり、これを比較例1’とする。
準備した各大パンチを用いて自動車部品の温熱間鍛造を行った。この際、実施例1の鍛造条件については、ヒートチェックを抑制する観点から、熱振幅を抑えるように、冷却を兼ねる潤滑剤の塗布量を必要最小限に設定した。また、比較例1についても同条件とした。比較例1’は、軟化摩耗を抑制することを目的に、従来から一般的に行われている冷却を強化した条件とした。詳しくは、潤滑剤の塗布量を実施例1の1.5倍とし、パンチの冷却孔にエアーを吹き込んで空冷した。
その結果、実施例1に係る大パンチは、比較例1の約100倍の型寿命が得られることが確認できた。また、従来条件の比較例1’と比較しても約3倍の型寿命が得られ、飛躍的な金型寿命の向上を確認できた。
2.実験2
図13(a)に例示するように、鍛造部A、接合部C、胴体部Bを順に有する実施例および比較例に係る各小パンチを作製した。作製した小パンチは、全長104mm、直径16.2mm、鍛造部Aの長さ30mm、接合部Cの長さ3mm、胴体部Bの長さ71mmであり、鍛造部Aの鍛造面には、15°のテーパー加工が施されている。なお、鍛造部A、胴体部Bの合金組成、鍛造部Aと胴体部Bとの接合方法、鍛造部A、接合部C、胴体部Bの硬さ、小パンチ整形後の熱処理条件は、後述の表5〜表8に示す通りである。
(鍛造部Aの耐摩耗性試験)
「1.実験1」の(耐摩耗性試験)と同様にして、鍛造部Aの耐摩耗性試験を行った。摩耗量Rが0.15mm未満を「耐摩耗性が良好である」として「A」、摩耗量Rが0.15mm以上を「耐摩耗性に劣る」として「B」と評価した(後述の表9)。
(引張試験)
上記小パンチと同条件で、鍛造部A、接合部C、胴体部Bを順に有する実施例および比較例に係る直径25mm、長さ120mmの丸棒を作製し、そこから接合部Cが試験部に位置するように、試験部の直径が8mm、標点間距離が34mmの引張試験片を加工した。引張試験は、JIS4号に準じて実施した。引張強さが1750MPa以上であった場合を「接合強度に優れる」として「A+」、引張強さが1150MPa以上1750MPa未満の範囲内であった場合を「接合強度が良好であるとして「A」、引張強さが1000MPa以上1150MPa未満の範囲内であった場合を「接合強度がやや良好であるとして「B」、引張強さが1000MPa未満の範囲内であった場合を「接合強度不足である」として「C」と評価した(後述の表9)。
(耐圧縮変形試験)
胴体部Bの硬さが45HRC以上のものを「耐圧縮変形性に優れる」として「A」、 胴体部Bの硬さが45HRC未満のものを「耐圧縮変形性に劣る」として「B」と評価した(後述の表9)。
これら実験2の結果によれば、以下のことが分かる。すなわち、比較例1、2は、鍛造部Aの硬さが50HRC未満であるため、耐摩耗性に劣る。これは、鍛造部Aに50HRC未満の高硬度Ni基耐熱合金を用いたためである。
比較例3、4は、胴体部Bの硬さが45HRC未満であるため、耐圧縮変形性に劣る。これは、胴体部Bに45HRC未満の高硬度Ni基耐熱合金およびFe基合金(熱間ダイス鋼)を用いたためである。
比較例5、6は、接合部Cの硬さが350Hv未満であるため、接合強度に劣る。これは摩擦圧接時の熱影響が過大であったことが原因として考えられる。
比較例7、8は、鍛造部Aの材料がFe基合金(熱間ダイス鋼)であるため、耐摩耗性に劣る。
比較例9、10は、鍛造部Aの材料が、汎用のNi基合金(Inconel718)であるため、45HRC以上の硬さを得ることができない。そのため、耐摩耗性に劣る。また、耐圧縮変形性にも劣る。
比較例11は、胴体部Bの材料が、熱間ダイス鋼(SKD61)である。この熱間ダイス鋼は軟化抵抗が低いため、時効硬化の熱処理時に軟化し、45HRC以上の硬さが得られない。そのため、耐圧縮変形性に劣る。
比較例12は、胴体部Bの材料が、汎用のNi基合金(Inconel718)であるため、45HRC以上の硬さを得ることができない。そのため、耐圧縮変形性に劣る。
比較例13、14は、鍛造部Aの硬さが50HRC未満であるため、耐摩耗性に劣る。これは、時効処理温度が高すぎたことが原因として考えられる。
比較例15は、胴体部Bの硬さが45HRC未満であるため、耐圧縮変形性に劣る。これは、胴体部Bに45HRC未満の高硬度Ni基耐熱合金を用いたためである。また、接合部Cの硬さが350Hv未満であり、接合強度にも劣る。
比較例16は、胴体部Bの硬さが45HRC未満であるため、耐圧縮変形性、接合強度に劣る。これは、胴体部Bに45HRC未満の高硬度Ni基耐熱合金を用いたためである。
比較例17は、接合部Cの硬さが350Hv未満であるため、接合強度に劣る。これはアーク溶接時の熱影響が過大であったことが原因として考えられる。
比較例18、19は、鍛造部Aの溶接材料がFe基合金(熱間ダイス鋼)であるため、高硬度が得られず、耐摩耗性に劣る。また、接合部Cの硬さが350Hv未満であり、接合強度にも劣る。
比較例20、21は、鍛造部Aの溶接材料が、汎用のNi基合金(Inconel718)であるため、45HRC以上の硬さを得ることができない。そのため、耐摩耗性に劣る。また、耐圧縮変形性にも劣る。
比較例22は、胴体部Bの材料が、熱間ダイス鋼(SKD61)である。この熱間ダイス鋼は軟化抵抗が低いため、時効硬化の熱処理時に軟化し、45HRC以上の硬さが得られない。そのため、耐圧縮変形性に劣る。また、接合部Cの硬さが350Hv未満であり、接合強度にも劣る。
比較例23は、胴体部Bの材料が、汎用のNi基合金(Inconel718)であるため、45HRC以上の硬さを得ることができない。そのため、耐圧縮変形性に劣る。
これらに対し、実施例1〜6は、いずれも耐摩耗性、耐圧縮変形性、接合強度を兼ね備えている。つまり、鍛造部A、接合部C、胴体部Bを有していても、鍛造部の材質を特定のNi基合金より形成し、各部位の硬さを適切な範囲とすることで、実用に供することが可能な金型とすることができる。そのため、実験1で作製したいわゆる無垢の金型に劣化部が生じた際に、劣化部を除去し、実験2で示した構造、材質、硬さの金型に新たに再生させることで、型寿命をより一層向上させることが可能なことが確認できた。
また、実験2の実施例間を比較すると次のことが分かる。すなわち、鍛造部Aと胴体部Bとを共材で構成することにより、接合部の材料特性の損失が少なくなり、高い接合強度が得られることが分かる。さらに、鍛造部Aと胴体部Bとが共材である場合、繰り返し金型の再生を行い鍛造部Aがなくなったときには、鍛造部Aに接する胴体部Bを新たな鍛造部Aに加工することにより、また新たな再生金型を構成することができる。そのため、型寿命向上へ寄与しやすいと言える。
また、接合部Cの接合界面における酸化物系および/または窒化物系の異物の存在率が35%以下である場合には、接合強度に優れることも確認できた。
以上、本発明に係る温熱間鍛造用金型、本発明に係る他の温熱間鍛造用金型について説明したが、本発明は、上記実施形態、実施例に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改変が可能なものである。
例えば、上記実施例では、温熱間鍛造用金型をパンチ形状としたが、本発明に係る温熱間鍛造用金型、本発明に係る他の温熱間鍛造用金型は、ダイ形状等であっても良く、特に型形状が限定されるものではない。

Claims (14)

  1. 質量%で、
    C :0.1%以下、
    Si:2.0%以下、
    Mn:2.0%以下、
    Cr:35〜40%、
    Al:3.0〜4.5%を含有し、残部がNiおよび不可避的不純物であるNi基合金より形成されるとともに、
    下記式(1)で示される溶体化温度T±20℃が1000〜1250℃の範囲内で溶体化処理が施された後、700〜820℃の範囲内で時効処理が施されており、
    45〜55HRCの硬さを有することを特徴とする温熱間鍛造用金型。
    式(1):T =−348.06+32.04Cr+71.53Al
    (T:溶体化温度(℃)、Cr、Al:含有率(質量%))
  2. 前記溶体化処理後のJIS G0551で規定する結晶粒度が2番以上であることを特徴とする請求項1に記載の温熱間鍛造用金型。
  3. 被鍛材がビレットであることを特徴とする請求項1または2に記載の温熱間鍛造用金型。
  4. 前記Ni基合金は、質量%で、Fe:5%以下を含有することを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の温熱間鍛造用金型。
  5. 前記Ni基合金は、質量%で、Co:2.0%以下、Mo:2.5%以下、および、W:2.5%以下から選択される1種または2種以上の元素を含有し、Mo+0.5W:2.5%以下であることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の温熱間鍛造用金型。
  6. 前記Ni基合金は、質量%で、B:0.015%以下、Mg:0.01%以下、および、Ca:0.01%以下から選択される1種または2種以上の元素を含有することを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の温熱間鍛造用金型。
  7. 前記Ni基合金は、Ti、ZrおよびHfから選択される1種または2種以上の元素を、質量%で2.0%以下含有することを特徴とする請求項1から6のいずれか1項に記載の温熱間鍛造用金型。
  8. 前記Ni基合金は、V、NbおよびTaから選択される1種または2種以上の元素を、質量%で2.0%以下含有することを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の温熱間鍛造用金型。
  9. 前記Ni基合金は、質量%で、Cu:2%以下、および、REM:0.1%以下から選択される1種または2種以上の元素を含有することを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の温熱間鍛造用金型。
  10. 一端に鍛造面を有する鍛造部と、金型胴体を構成する胴体部と、接合界面を含む接合部とを備え、前記鍛造部は、
    質量%で、
    C :0.1%以下、
    Si:2.0%以下、
    Mn:2.0%以下、
    Cr:35〜40%、
    Al:3.0〜4.5%を含有するNi基合金より形成され、
    前記鍛造部が50HRC以上、前記胴体部が45HRC以上、前記接合部が350Hv以上の硬さを有することを特徴とする温熱間鍛造用金型。
  11. 請求項1〜9のいずれか1項に記載の温熱間鍛造用金型を用いて再生された再生金型であることを特徴とする請求項10に記載の温熱間鍛造用金型。
  12. 前記胴体部は、前記鍛造部と同系のNi基合金またはマトリクスハイス鋼より形成されていることを特徴とする請求項10または11に記載の温熱間鍛造用金型。
  13. 前記接合部は、前記接合界面における酸化物系および/または窒化物系の異物の存在率が35%以下であることを特徴とする請求項10から12のいずれか1項に記載の温熱間鍛造用金型。
  14. 前記胴体部がNi基合金である場合には、550〜800℃の範囲内で熱処理が施され、
    前記胴体部がマトリクスハイス鋼である場合には、550〜625℃の範囲内で熱処理が施されていることを特徴とする請求項12または13に記載の温熱間鍛造用金型。
JP2009061407A 2008-06-16 2009-03-13 温熱間鍛造用金型 Active JP5437669B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2009061407A JP5437669B2 (ja) 2008-06-16 2009-03-13 温熱間鍛造用金型

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008156267 2008-06-16
JP2008156267 2008-06-16
JP2009061407A JP5437669B2 (ja) 2008-06-16 2009-03-13 温熱間鍛造用金型

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2010024544A true JP2010024544A (ja) 2010-02-04
JP5437669B2 JP5437669B2 (ja) 2014-03-12

Family

ID=41730631

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2009061407A Active JP5437669B2 (ja) 2008-06-16 2009-03-13 温熱間鍛造用金型

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5437669B2 (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108699635A (zh) * 2016-02-24 2018-10-23 日立金属株式会社 热锻性优异的高强度高耐腐蚀性Ni基合金
CN109136652A (zh) * 2017-06-15 2019-01-04 宝钢特钢有限公司 核电关键设备用镍基合金大截面棒材及其制造方法
CN110592505A (zh) * 2019-09-12 2019-12-20 中国航发北京航空材料研究院 GH720Li合金组织性能精确控制的固溶处理方法
JP7485243B1 (ja) 2022-09-14 2024-05-16 株式会社プロテリアル 熱間鍛造用金型およびその製造方法

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US20240141459A1 (en) * 2022-10-31 2024-05-02 Daido Steel Co., Ltd. Ni-BASED ALLOY AND METHOD FOR MANUFACTURING THE SAME, AND Ni-BASED ALLOY MEMBER

Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6318031A (ja) * 1986-07-09 1988-01-25 Toshiba Corp 熱間プレス金型
JP2001062595A (ja) * 1999-08-26 2001-03-13 Toshiba Corp 錠剤成形用杵および臼とその製造方法
JP2002069557A (ja) * 2000-08-30 2002-03-08 Daido Steel Co Ltd Ni基高強度合金
JP2003253362A (ja) * 2002-02-26 2003-09-10 Daido Steel Co Ltd 非磁性高耐食軸受材及びその製造方法
JP2005082885A (ja) * 2003-09-11 2005-03-31 Daido Steel Co Ltd ディーゼルエンジン部品
JP2006274443A (ja) * 2005-03-03 2006-10-12 Daido Steel Co Ltd 非磁性高硬度合金
JP2009052084A (ja) * 2007-08-27 2009-03-12 Mitsubishi Materials Corp 樹脂成形用金型部材
JP2009263736A (ja) * 2008-04-27 2009-11-12 Daido Steel Co Ltd プラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びこれを用いたプラスチック樹脂成形金型

Patent Citations (8)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS6318031A (ja) * 1986-07-09 1988-01-25 Toshiba Corp 熱間プレス金型
JP2001062595A (ja) * 1999-08-26 2001-03-13 Toshiba Corp 錠剤成形用杵および臼とその製造方法
JP2002069557A (ja) * 2000-08-30 2002-03-08 Daido Steel Co Ltd Ni基高強度合金
JP2003253362A (ja) * 2002-02-26 2003-09-10 Daido Steel Co Ltd 非磁性高耐食軸受材及びその製造方法
JP2005082885A (ja) * 2003-09-11 2005-03-31 Daido Steel Co Ltd ディーゼルエンジン部品
JP2006274443A (ja) * 2005-03-03 2006-10-12 Daido Steel Co Ltd 非磁性高硬度合金
JP2009052084A (ja) * 2007-08-27 2009-03-12 Mitsubishi Materials Corp 樹脂成形用金型部材
JP2009263736A (ja) * 2008-04-27 2009-11-12 Daido Steel Co Ltd プラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びこれを用いたプラスチック樹脂成形金型

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN108699635A (zh) * 2016-02-24 2018-10-23 日立金属株式会社 热锻性优异的高强度高耐腐蚀性Ni基合金
CN109136652A (zh) * 2017-06-15 2019-01-04 宝钢特钢有限公司 核电关键设备用镍基合金大截面棒材及其制造方法
CN110592505A (zh) * 2019-09-12 2019-12-20 中国航发北京航空材料研究院 GH720Li合金组织性能精确控制的固溶处理方法
JP7485243B1 (ja) 2022-09-14 2024-05-16 株式会社プロテリアル 熱間鍛造用金型およびその製造方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP5437669B2 (ja) 2014-03-12

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6432070B2 (ja) 高温熱伝導度に優れた長寿命ダイカスト用熱間金型鋼およびその製造方法
JP6601051B2 (ja) 鋼の粉末
JP5503195B2 (ja) 摩擦圧接に適した機械構造用鋼材およびその製造方法、摩擦圧接部品
JP6925781B2 (ja) 優れた高温強度および靱性を有する熱間工具鋼
JP5601607B1 (ja) 金属粉末、熱間加工用工具および熱間加工用工具の製造方法
KR20170066632A (ko) 냉간 단조 부품용 압연 봉강 또는 압연 선재
JP5437669B2 (ja) 温熱間鍛造用金型
KR20170070129A (ko) 냉간 단조 부품용 압연 봉강 또는 압연 선재
JPH0885838A (ja) Ni基超耐熱合金
JP2013521411A (ja) 押出用工具鋼
JP7069654B2 (ja) 金型補修溶接材料
JP5273952B2 (ja) 熱間鍛造金型及びその製造方法
JP2001294974A (ja) 被削性に優れ熱処理変寸が小さい工具鋼およびその製造方法
JP3581028B2 (ja) 熱間工具鋼及びその熱間工具鋼からなる高温用部材
JP2002121643A (ja) ダイカスト金型用鋼およびその用いてなるダイカスト金型の製造方法、ならびにダイカスト金型
JP2019199634A (ja) ダイカスト金型用鋼及びダイカスト金型
JP2006297427A (ja) H型鋼圧延用鍛造スリーブロールの製造方法
JPH0578786A (ja) 沈澱硬化性のオーステナイト系高温加工スチールおよびそれを処理する方法
JP3566162B2 (ja) 溶接性に優れた熱間工具鋼
JP5061465B2 (ja) 高強度快削性Fe−Ni系合金およびその製造方法
JP6345945B2 (ja) 耐摩耗性に優れた粉末高速度工具鋼およびその製造方法
JPH11222655A (ja) 粉末高速度工具鋼およびその製造方法
JP2000202548A (ja) 熱間プレス用クラッド金型およびその製造方法
JPH11181549A (ja) 溶接性に優れた鋳物製冷間工具およびその製造方法
JP4112464B2 (ja) 被削性の優れた熱間鍛造非調質部品の製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20111011

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20130523

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130611

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130808

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20131030

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20131119

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20131212

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5437669

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250