JP2009263736A - プラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びこれを用いたプラスチック樹脂成形金型 - Google Patents
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Abstract
【課題】プラスチック樹脂成形金型の要求特性(高硬度・非磁性・高耐食性・優れた清浄度)を満たすことが可能なプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びこれを用いたプラスチック樹脂成形金型を提供すること。
【解決手段】
質量%で、C≦0.05%、Si≦0.8%、Mn≦0.8%、P≦0.03%、S≦0.01%、30≦Cr≦45%、及び、1.5≦Al≦5.0%を含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなる金型用Ni基合金であって、
その組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相からなるラメラ構造が形成されていることを特徴とするプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金。
【選択図】図1
【解決手段】
質量%で、C≦0.05%、Si≦0.8%、Mn≦0.8%、P≦0.03%、S≦0.01%、30≦Cr≦45%、及び、1.5≦Al≦5.0%を含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなる金型用Ni基合金であって、
その組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相からなるラメラ構造が形成されていることを特徴とするプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金。
【選択図】図1
Description
本発明は、プラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びこれを用いたプラスチック樹脂成形金型に関し、更に詳しくは、プラスチック樹脂成形金型の要求特性(高硬度・非磁性・高耐食性・優れた清浄度)に応えるNi基非磁性高硬度合金(時効硬化型Ni基合金)の製造技術に関する。
従来より、プラスチック製品やゴム製品を製造するためのプラスチック樹脂成形用金型の材料に好適な鋼として、
(1)非磁性であり、かつ、高耐食性を有するオーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS304)、
(2)十分な耐食性を有する析出硬化型ステンレス鋼(例えば、SUS630)、
(3)硬度に優れた工具鋼(例えば、JIS SKD11)等、が知られている。
(1)非磁性であり、かつ、高耐食性を有するオーステナイト系ステンレス鋼(例えば、SUS304)、
(2)十分な耐食性を有する析出硬化型ステンレス鋼(例えば、SUS630)、
(3)硬度に優れた工具鋼(例えば、JIS SKD11)等、が知られている。
その他にも、この種の特性を備えたNi基合金として、
(1)特許文献1に開示されたNi基高強度合金、すなわち、高硬度、高耐食性であって、非磁性である上に加工性も良好な、エンジン排気系やガスタービン周辺の耐熱部品材料、軸受け・シャフト・ボルト等の部品材料に用いて好適なNi基高強度合金、
(2)特許文献2に開示された非磁性高耐食軸受材、すなわち、硬さが硬く、転動疲労寿命特性が良好で、耐食性にも優れた非磁性のNi基の軸受材、
(3)特許文献3に開示されたNi基の高耐食耐摩耗合金、すなわち、高強度及び高温安定性・高硬度・高耐食性・非磁性を兼ね備えたディーゼルエンジン部品に用いて好適なNi基の高耐食耐摩耗合金、
(4)特許文献4に開示されたNi基超耐熱鋳造合金、すなわち、排ガスの高温化に対応して高温でも高い強度を維持できる、自動車エンジン用のタービンホイールに用いて好適なNi基の超耐熱鋳造合金、
(5)特許文献5に開示されたNi基の非磁性高硬度合金、すなわち、電子分野等の磁場のかかる環境下で使用される機械部品・精密部品・精密金型等に用いて好適な耐摩耗性及び耐食性に優れた非磁性高硬度合金等、が知られている。
(1)特許文献1に開示されたNi基高強度合金、すなわち、高硬度、高耐食性であって、非磁性である上に加工性も良好な、エンジン排気系やガスタービン周辺の耐熱部品材料、軸受け・シャフト・ボルト等の部品材料に用いて好適なNi基高強度合金、
(2)特許文献2に開示された非磁性高耐食軸受材、すなわち、硬さが硬く、転動疲労寿命特性が良好で、耐食性にも優れた非磁性のNi基の軸受材、
(3)特許文献3に開示されたNi基の高耐食耐摩耗合金、すなわち、高強度及び高温安定性・高硬度・高耐食性・非磁性を兼ね備えたディーゼルエンジン部品に用いて好適なNi基の高耐食耐摩耗合金、
(4)特許文献4に開示されたNi基超耐熱鋳造合金、すなわち、排ガスの高温化に対応して高温でも高い強度を維持できる、自動車エンジン用のタービンホイールに用いて好適なNi基の超耐熱鋳造合金、
(5)特許文献5に開示されたNi基の非磁性高硬度合金、すなわち、電子分野等の磁場のかかる環境下で使用される機械部品・精密部品・精密金型等に用いて好適な耐摩耗性及び耐食性に優れた非磁性高硬度合金等、が知られている。
しかしながら、上記のオーステナイト系ステンレス鋼(例えばSUS304)は、硬さがHRC30〜40と低いため、金型が磨耗するという問題や鏡面研磨により十分な表面仕上げができないという問題がある。
また、上記の析出硬化型ステンレス鋼(例えば、SUS630)は、透磁率が高いため、磁性粉末を含む腐食性樹脂の成形時における磁性粉末の金型への付着、磁力配向の偏り、金型の腐食、金型の磨耗、金型の鏡面性不足による成形品表面の不良等の問題が生じるという問題がある。
更に、上記の工具鋼(例えば、JIS SKD11)は、非磁性ではなく、耐食性も十分ではない。特に、JIS SKD11は非金属介在物(清浄度に劣る原因となる)やピンホールにより十分な表面粗さが得られず、その結果、十分な表面仕上げが得られないという問題がある。
また、特許文献1〜5には種々のNi基合金が開示されているが、プラスチック樹脂成形用金型の要求特性(高硬度・非磁性・高耐食性・優れた清浄度)の全てに応えるNi基合金は知られていない。
また、上記の析出硬化型ステンレス鋼(例えば、SUS630)は、透磁率が高いため、磁性粉末を含む腐食性樹脂の成形時における磁性粉末の金型への付着、磁力配向の偏り、金型の腐食、金型の磨耗、金型の鏡面性不足による成形品表面の不良等の問題が生じるという問題がある。
更に、上記の工具鋼(例えば、JIS SKD11)は、非磁性ではなく、耐食性も十分ではない。特に、JIS SKD11は非金属介在物(清浄度に劣る原因となる)やピンホールにより十分な表面粗さが得られず、その結果、十分な表面仕上げが得られないという問題がある。
また、特許文献1〜5には種々のNi基合金が開示されているが、プラスチック樹脂成形用金型の要求特性(高硬度・非磁性・高耐食性・優れた清浄度)の全てに応えるNi基合金は知られていない。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、プラスチック樹脂成形金型の要求特性(高硬度・非磁性・高耐食性・優れた清浄度)を満たすことが可能なプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びこれを用いたプラスチック樹脂成形金型を提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、
質量%で、
(1)C≦0.05%、
(2)Si≦0.8%、
(3)Mn≦0.8%、
(4)P≦0.03%、
(5)S≦0.01%、
(6)30≦Cr≦45%、及び、
(7)1.5≦Al≦5.0%を含有し、
(8)残部がNi及び不可避的不純物からなる金型用Ni基合金であって、
(9)その組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相からなるラメラ構造が形成されていること要旨とする。
質量%で、
(1)C≦0.05%、
(2)Si≦0.8%、
(3)Mn≦0.8%、
(4)P≦0.03%、
(5)S≦0.01%、
(6)30≦Cr≦45%、及び、
(7)1.5≦Al≦5.0%を含有し、
(8)残部がNi及び不可避的不純物からなる金型用Ni基合金であって、
(9)その組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相からなるラメラ構造が形成されていること要旨とする。
この場合に、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、更に、質量%で、Ti+Zr+Hf≦3.0%、Nb+Ta+V≦3.0%、Co≦10%、Mo+0.5W≦10%(但し、W≦10%)、3≦Fe≦5%、Cu≦5%、B≦0.015%、Mg≦0.01%、Ca≦0.01%、及びREM≦0.1%からなる群のうち少なくとも1種を含有してもよい。
そして、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、固溶化処理により300HV以下の硬さが得られるとともに、当該固溶化処理及び時効処理により620HV以上の硬さが得られることが望ましい。
また、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、ASTM E45に規定する介在物評価法で、A−T,A−H,B−T,B−H,B−T,C−H,C−Tが全て2以下であることが望ましい。
本発明に係るプラスチック樹脂成形金型は、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金からなることを要旨とする。
また、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、ASTM E45に規定する介在物評価法で、A−T,A−H,B−T,B−H,B−T,C−H,C−Tが全て2以下であることが望ましい。
本発明に係るプラスチック樹脂成形金型は、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金からなることを要旨とする。
本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びプラスチック樹脂成形金型は、所定の元素を所定量含有するとともに、その組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相からなるラメラ構造が形成されているため、プラスチック樹脂成形金型の要求特性(高硬度・非磁性・高耐食性・優れた清浄度)を満たすことが可能であるという効果がある。
特に、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びプラスチック樹脂成形金型は、その組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相からなるラメラ構造が形成されているため、高硬度となり、成形樹脂による金型の摩耗を抑制することができる。
また、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びプラスチック樹脂成形金型は、Ni基であるため、非磁性となる。従って、当該金型は、磁性粉末を含む樹脂の成形時における磁性粉末の付着や磁力配向の偏りといった問題が生じないという効果がある。
更に、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びプラスチック樹脂成形金型は、所定量のCrを含有するため、高い耐食性が得られるという効果がある。従って、当該金型は、腐食性ガスを発生させる樹脂の成形時でもこれが腐食することがないという効果がある。
更に、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びプラスチック樹脂成形金型は、C、Si、Mn、Sを所定量以下に低減させたので、清浄度の悪化を引き起こす非金属介在物の形成を減少させることができ、優れた清浄度が得られるとともに、必要以上に炭化物が形成されないため表面粗さが小さいという効果がある。そのため、当該金型は、鏡面研磨によるきれいな表面仕上げが可能であるという効果がある。また、上記のように、当該金型は、高硬度であるため余分な研磨キズが付き難いこと、高耐食であるため、研磨中の表面酸化が防止されることもまた、きれいな表面仕上げの効果に寄与している。
特に、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びプラスチック樹脂成形金型は、その組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相からなるラメラ構造が形成されているため、高硬度となり、成形樹脂による金型の摩耗を抑制することができる。
また、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びプラスチック樹脂成形金型は、Ni基であるため、非磁性となる。従って、当該金型は、磁性粉末を含む樹脂の成形時における磁性粉末の付着や磁力配向の偏りといった問題が生じないという効果がある。
更に、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びプラスチック樹脂成形金型は、所定量のCrを含有するため、高い耐食性が得られるという効果がある。従って、当該金型は、腐食性ガスを発生させる樹脂の成形時でもこれが腐食することがないという効果がある。
更に、本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びプラスチック樹脂成形金型は、C、Si、Mn、Sを所定量以下に低減させたので、清浄度の悪化を引き起こす非金属介在物の形成を減少させることができ、優れた清浄度が得られるとともに、必要以上に炭化物が形成されないため表面粗さが小さいという効果がある。そのため、当該金型は、鏡面研磨によるきれいな表面仕上げが可能であるという効果がある。また、上記のように、当該金型は、高硬度であるため余分な研磨キズが付き難いこと、高耐食であるため、研磨中の表面酸化が防止されることもまた、きれいな表面仕上げの効果に寄与している。
(成分組成、組織等)
以下に図面を参照して本発明の一実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金の成分組成及び組織並びにこれらの限定理由について説明する。尚、以下の説明においては、「%」は質量%を意味する。
本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、以下の(1)〜(8)の成分元素を含有し、以下の(9)の組織が形成されている。
以下に図面を参照して本発明の一実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金の成分組成及び組織並びにこれらの限定理由について説明する。尚、以下の説明においては、「%」は質量%を意味する。
本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、以下の(1)〜(8)の成分元素を含有し、以下の(9)の組織が形成されている。
(1)C≦0.05%。
Cは、溶解時に脱酸元素として作用するほか、Ti、Zr及びHfのグループに属する元素又はNb、Ta及びVのグループに属する元素が存在する場合は、それらと炭化物を形成して、固溶化熱処理時の結晶粒粗大化を防止するとともに粒界の強化に寄与する。C量が0.05%を超えると強度、靭性及び炭化物等の非金属介在物等の形成による清浄度の低下を招くため、C量は、0.05%以下とした。優れた清浄度を得るためには、C量は、0.03%以下がより好ましい。本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、C量が少なく炭化物を含まない又は必要以上に含まないため、表面粗さが小さくなる。
Cは、溶解時に脱酸元素として作用するほか、Ti、Zr及びHfのグループに属する元素又はNb、Ta及びVのグループに属する元素が存在する場合は、それらと炭化物を形成して、固溶化熱処理時の結晶粒粗大化を防止するとともに粒界の強化に寄与する。C量が0.05%を超えると強度、靭性及び炭化物等の非金属介在物等の形成による清浄度の低下を招くため、C量は、0.05%以下とした。優れた清浄度を得るためには、C量は、0.03%以下がより好ましい。本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、C量が少なく炭化物を含まない又は必要以上に含まないため、表面粗さが小さくなる。
(2)Si≦0.8%。
Siは、脱酸元素として必要であるが、多量の添加は強度、靭性及び酸化珪素等の非金属介在物等の形成による清浄度の低下を招くので、上限を0.8%とした。優れた清浄度を得るためには、Si量は、0.1%以下がより好ましい。
Siは、脱酸元素として必要であるが、多量の添加は強度、靭性及び酸化珪素等の非金属介在物等の形成による清浄度の低下を招くので、上限を0.8%とした。優れた清浄度を得るためには、Si量は、0.1%以下がより好ましい。
(3)Mn≦0.8%。
MnもSiと同様、脱酸元素として有用であるが、過大な添加は強度、靭性及びMnS等の非金属介在物等の形成による清浄度の低下を招くので、上限を0.8%とした。優れた清浄度を得るためには、Mn量は、0.1%以下がより好ましい。
MnもSiと同様、脱酸元素として有用であるが、過大な添加は強度、靭性及びMnS等の非金属介在物等の形成による清浄度の低下を招くので、上限を0.8%とした。優れた清浄度を得るためには、Mn量は、0.1%以下がより好ましい。
(4)P≦0.03%。
Pは、粒界に偏析して被削性を劣化させる。従って、P量は、0.03%以下とした。
Pは、粒界に偏析して被削性を劣化させる。従って、P量は、0.03%以下とした。
(5)S≦0.01%。
Sは、Mnと非金属介在物(MnS)を形成し、清浄度を劣化させる。従って、S量は、0.01%以下とした。
Sは、Mnと非金属介在物(MnS)を形成し、清浄度を劣化させる。従って、S量は、0.01%以下とした。
(6)30≦Cr≦45%。
Crは、必須構成元素であり、αCr相の主な形成元素となる。Crは、αCr相がγ+γ’相と複合析出することで高硬度が得られるという点で重要な元素である。具体的には、500℃から700℃の温度で12時間から24時間の時効処理が施されることにより、本実施形態に係る合金組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相からなるラメラ構造が形成される。また、Crは、耐食性の向上にも寄与し、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金からなる金型は、高い耐食性を備え、腐食性ガスを発生させる樹脂の成形時でも金型が腐食する問題は起こらない。これらの効果は、Cr量が30%未満では充分に得られない。一方、Cr量が45%超では加工性の低下を招く。そこで、Cr量は、30〜45%とした。Cr量は、32〜42%がより好ましい。
Crは、必須構成元素であり、αCr相の主な形成元素となる。Crは、αCr相がγ+γ’相と複合析出することで高硬度が得られるという点で重要な元素である。具体的には、500℃から700℃の温度で12時間から24時間の時効処理が施されることにより、本実施形態に係る合金組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相からなるラメラ構造が形成される。また、Crは、耐食性の向上にも寄与し、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金からなる金型は、高い耐食性を備え、腐食性ガスを発生させる樹脂の成形時でも金型が腐食する問題は起こらない。これらの効果は、Cr量が30%未満では充分に得られない。一方、Cr量が45%超では加工性の低下を招く。そこで、Cr量は、30〜45%とした。Cr量は、32〜42%がより好ましい。
(7)1.5≦Al≦5.0%。
Alは、γ’相(ニッケル三アルミからなる)を形成する必須構成元素であり、更に、耐高温腐食性の向上にも寄与する。これらの効果は、Al量が1.5%未満では得られない。一方、Al量が5.0%超では加工性が悪くなる。そこで、Al量は、1.5〜5.0%とした。耐高温耐食性と加工性のバランスを考慮すると、Al量は、2.0〜4.5%がより好ましい。
Alは、γ’相(ニッケル三アルミからなる)を形成する必須構成元素であり、更に、耐高温腐食性の向上にも寄与する。これらの効果は、Al量が1.5%未満では得られない。一方、Al量が5.0%超では加工性が悪くなる。そこで、Al量は、1.5〜5.0%とした。耐高温耐食性と加工性のバランスを考慮すると、Al量は、2.0〜4.5%がより好ましい。
(8)残部がNi及び不可避的不純物。
Niは、必須構成元素であり、これが主成分である。従って、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、透磁率が低くなり(透磁率1.01以下)、非磁性となる。従って、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金からなる金型は、磁性粉末を含む樹脂の成形時における磁性粉末の付着や磁力配向の偏りといった問題は起こらない。
Niは、必須構成元素であり、これが主成分である。従って、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、透磁率が低くなり(透磁率1.01以下)、非磁性となる。従って、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金からなる金型は、磁性粉末を含む樹脂の成形時における磁性粉末の付着や磁力配向の偏りといった問題は起こらない。
(9)合金組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相からなるラメラ構造が形成されている(図1参照)。
ラメラ構造は、αCr相がCr単相からなり、γ相は、Ni単相からなり、γ’相は、ニッケル三アルミの基本構成からなり、そのうちの一部のアルミの位置が他の原子に置き換わった相である。αCr相の厚さは、20〜50μm、γ+γ’相の厚さは、20〜50μmである(図1参照)。
本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金に、αCr相及びγ+γ’相を複合析出させうるのは、必須構成元素を含有させるとともに、500℃から700℃の温度で12時間から24時間の時効処理を施すからである。
また、αCr相及びγ+γ’相が時効処理により複合析出すると高硬度化されるが、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、それ以前の工程である鍛造時に結晶粒が小さく制御される。従って、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、500℃から700℃の温度で12時間から24時間の時効処理が施されることにより、析出サイトになりやすい結晶粒界のみならず結晶粒内も析出サイトとなり、合金組織の90%以上にαCr相とγ+γ’相の複合析出が行き渡り非常に薄い層状組織(ラメラ構造)が形成される。このように合金組織の90%以上にαCr相とγ+γ’相からなるラメラ構造を形成させようとすると、鍛造時に結晶粒径を50μm以下、好ましくは、20μm以下に制御するとよい。その理由は、結晶粒を微細化することにより粒界と結晶粒中央との距離を小さくし、全体にγ’相を析出させ得るからである。
ラメラ構造は、αCr相がCr単相からなり、γ相は、Ni単相からなり、γ’相は、ニッケル三アルミの基本構成からなり、そのうちの一部のアルミの位置が他の原子に置き換わった相である。αCr相の厚さは、20〜50μm、γ+γ’相の厚さは、20〜50μmである(図1参照)。
本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金に、αCr相及びγ+γ’相を複合析出させうるのは、必須構成元素を含有させるとともに、500℃から700℃の温度で12時間から24時間の時効処理を施すからである。
また、αCr相及びγ+γ’相が時効処理により複合析出すると高硬度化されるが、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、それ以前の工程である鍛造時に結晶粒が小さく制御される。従って、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、500℃から700℃の温度で12時間から24時間の時効処理が施されることにより、析出サイトになりやすい結晶粒界のみならず結晶粒内も析出サイトとなり、合金組織の90%以上にαCr相とγ+γ’相の複合析出が行き渡り非常に薄い層状組織(ラメラ構造)が形成される。このように合金組織の90%以上にαCr相とγ+γ’相からなるラメラ構造を形成させようとすると、鍛造時に結晶粒径を50μm以下、好ましくは、20μm以下に制御するとよい。その理由は、結晶粒を微細化することにより粒界と結晶粒中央との距離を小さくし、全体にγ’相を析出させ得るからである。
本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、更に、質量%で、以下の元素のうち少なくとも1種を含有してもよい。
まず、合金強度を高めるために、Ti+Zr+Hf≦3.0%、Nb+Ta+V≦3.0%、Co≦10%、Mo+0.5W≦10%(但し、W≦10%)のうち少なくとも1種を含有してもよい。
Ti+Zr+Hf≦3.0%。
Ti、Zr、Hfは、γ’相のAlと置換することで、γ’相の固溶強化に寄与し、更に、合金強度を高める。但し、これらの合計量が3.0%を超えると加工性が悪くなる。そこで、Ti+Zr+Hf量は、3.0%以下、より好ましくは、2.0%以下とした。
これらの元素のうちで最も強度向上に効果的な元素は、Tiであり、Ti量は、2.0%以下が好ましい。一方、Zr及びHfは、結晶粒界に偏析して粒界を強化し、Zr量及びHf量は、各々0.1%以下が好ましい。
Ti、Zr、Hfは、γ’相のAlと置換することで、γ’相の固溶強化に寄与し、更に、合金強度を高める。但し、これらの合計量が3.0%を超えると加工性が悪くなる。そこで、Ti+Zr+Hf量は、3.0%以下、より好ましくは、2.0%以下とした。
これらの元素のうちで最も強度向上に効果的な元素は、Tiであり、Ti量は、2.0%以下が好ましい。一方、Zr及びHfは、結晶粒界に偏析して粒界を強化し、Zr量及びHf量は、各々0.1%以下が好ましい。
Nb+Ta+V≦3.0%。
Nb、Ta、Vは、Ti、Zr、Hfと同様γ’相のAlと置換することで、γ’相の固溶強化に寄与し、更に、合金強度を高める。但し、これらの合計量が3.0%を超えると加工性が悪くなる。そこで、Ti+Zr+Hf量は、3.0%以下、より好ましくは、2.0%以下とした。これらのうち、Nb及びTaが特に効果的であり、Nb及びTa量は、3.0%以下が好ましく、2.0%以下がより好ましい。尚、Vは、選択添加元素であり、時効を速める目的で添加する場合には、V量は、0.5〜3%とするのが好ましい。更に好ましくは0.8〜1.2%である。
Nb、Ta、Vは、Ti、Zr、Hfと同様γ’相のAlと置換することで、γ’相の固溶強化に寄与し、更に、合金強度を高める。但し、これらの合計量が3.0%を超えると加工性が悪くなる。そこで、Ti+Zr+Hf量は、3.0%以下、より好ましくは、2.0%以下とした。これらのうち、Nb及びTaが特に効果的であり、Nb及びTa量は、3.0%以下が好ましく、2.0%以下がより好ましい。尚、Vは、選択添加元素であり、時効を速める目的で添加する場合には、V量は、0.5〜3%とするのが好ましい。更に好ましくは0.8〜1.2%である。
Co≦10%。
Coは、固溶強化により高温強度を向上させる効果があり、また、γ’相の析出量を増加させる。Coは高価な元素であるため、Co量は、10%以下、より好ましくは、5%以下とした。尚、Co量は、金型が大型である場合、時効を遅らせる目的で添加するときには8〜10%添加することが好ましい。
Coは、固溶強化により高温強度を向上させる効果があり、また、γ’相の析出量を増加させる。Coは高価な元素であるため、Co量は、10%以下、より好ましくは、5%以下とした。尚、Co量は、金型が大型である場合、時効を遅らせる目的で添加するときには8〜10%添加することが好ましい。
Mo+0.5W≦10%(但し、W≦10%)。
Mo及びWは、固溶強化により強度を高める効果がある。更に、Moは、耐食性を向上させる効果がある。Mo+0.5W量は、10%を超えると耐高温腐食性を低下させるばかりでなく合金の価格を高騰させる。従って、Mo+0.5W量は、10%以下、より好ましくは、5%以下とし、W量は、10%以下とした。Mo量及びW量は、各々、5%以下がより好ましい。尚、Mo量は、金型が大型である場合、時効を遅らせる目的で添加するときには2〜3%添加することが好ましい。
Mo及びWは、固溶強化により強度を高める効果がある。更に、Moは、耐食性を向上させる効果がある。Mo+0.5W量は、10%を超えると耐高温腐食性を低下させるばかりでなく合金の価格を高騰させる。従って、Mo+0.5W量は、10%以下、より好ましくは、5%以下とし、W量は、10%以下とした。Mo量及びW量は、各々、5%以下がより好ましい。尚、Mo量は、金型が大型である場合、時効を遅らせる目的で添加するときには2〜3%添加することが好ましい。
3≦Fe≦5%。
Feは、選択添加元素であり、時効を速める目的で添加することがある。Feは、その他の元素の原料から混入することもあるが、合金の強度及び耐高温腐食性、耐食性を低下させるため、Fe量は、5%以下、より好ましくは、1%以下とした。Feの過大な添加は時効腐食を促進させるからである。
Feは、選択添加元素であり、時効を速める目的で添加することがある。Feは、その他の元素の原料から混入することもあるが、合金の強度及び耐高温腐食性、耐食性を低下させるため、Fe量は、5%以下、より好ましくは、1%以下とした。Feの過大な添加は時効腐食を促進させるからである。
更に、熱間加工性を劣化することを防止するために、Cu≦5%、B≦0.015%、Mg≦0.01%、Ca≦0.01%、REM≦0.1%のうち少なくとも1種を含有してもよい。
Cu≦5%。
Cuは、金型として使用する際の耐硫酸腐食性を大幅に向上させる。また、鋼材を細く加工することが必要な場合に鍛造後・固溶化熱処理前に冷間加工が行われることがあるが、Cuは、この冷間加工性の向上に有効な元素である。しかし、Cu量が5%を超えると熱間加工性を低下させる。そこで、Cu量は、5%以下、より好ましくは、3%以下とした。
Cuは、金型として使用する際の耐硫酸腐食性を大幅に向上させる。また、鋼材を細く加工することが必要な場合に鍛造後・固溶化熱処理前に冷間加工が行われることがあるが、Cuは、この冷間加工性の向上に有効な元素である。しかし、Cu量が5%を超えると熱間加工性を低下させる。そこで、Cu量は、5%以下、より好ましくは、3%以下とした。
B≦0.015%。
Bは、結晶粒界に偏析して粒界を強め熱間加工性やクリープ強度を高める効果がある。B量は、0.015%を超えると熱間加工性を損なうので、0.015%以下とした。
Bは、結晶粒界に偏析して粒界を強め熱間加工性やクリープ強度を高める効果がある。B量は、0.015%を超えると熱間加工性を損なうので、0.015%以下とした。
Mg≦0.01%。
Mgは、溶解時に脱酸及び脱硫元素として添加される元素であり、合金の熱間加工性を改善する。Mg量は、0.01%を超えると熱間加工性を劣化させるので、0.01%以下とした。
Mgは、溶解時に脱酸及び脱硫元素として添加される元素であり、合金の熱間加工性を改善する。Mg量は、0.01%を超えると熱間加工性を劣化させるので、0.01%以下とした。
Ca≦0.01%。
Caは、溶解時に脱酸及び脱硫元素として添加される元素であり、合金の熱間加工性を改善する。Ca量は、0.01%を超えると熱間加工性を劣化させるので、0.01%以下とした。
Caは、溶解時に脱酸及び脱硫元素として添加される元素であり、合金の熱間加工性を改善する。Ca量は、0.01%を超えると熱間加工性を劣化させるので、0.01%以下とした。
REM≦0.1%。
REMは、高温使用時の耐酸化性の向上、特に密着スケールの剥離を抑制する効果がある。REM量は、0.1%を超えると熱間加工性を劣化させるので、0.1%以下とした。
REMは、高温使用時の耐酸化性の向上、特に密着スケールの剥離を抑制する効果がある。REM量は、0.1%を超えると熱間加工性を劣化させるので、0.1%以下とした。
本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、更に、以下の条件のうち少なくともいずれかを満たすとよい。
固溶化処理により300HV以下の硬さが得られるとともに、当該固溶化処理及び時効処理により620HV以上の硬さが得られること。
金型粗加工を可能にするとともに、金型の要求特性としての硬さを確保するためである。
金型粗加工を可能にするとともに、金型の要求特性としての硬さを確保するためである。
ASTM E45に規定する介在物評価法で、A−T,A−H,B−T,B−H,B−T,C−H,C−Tが全て2以下であること。
これは、VIF(真空高周波誘導炉)溶解による脱ガス効果により、介在物の析出を抑制することにより可能である。その目的としては、鏡面研磨によるきれいな表面仕上げを可能とするためである。更に、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、高硬度であることと相俟って余分な研磨キズが付き難く、高耐食であることと相俟って研磨中の表面酸化が防止されることも、きれいな表面仕上げの要因となる。
これは、VIF(真空高周波誘導炉)溶解による脱ガス効果により、介在物の析出を抑制することにより可能である。その目的としては、鏡面研磨によるきれいな表面仕上げを可能とするためである。更に、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、高硬度であることと相俟って余分な研磨キズが付き難く、高耐食であることと相俟って研磨中の表面酸化が防止されることも、きれいな表面仕上げの要因となる。
(製造方法)
本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、溶解(VIF(真空高周波誘導炉))→ソーキング(均質化熱処理)→鍛造(結晶粒の微細化)→固溶化熱処理(軟化)→粗加工(金型粗加工)→時効処理(高硬度化)→精加工(金型精加工)→研磨→完成という工程により製造することができる。
この製造工程においては、溶解時に上記の成分元素を溶解させるが、このときに、非磁性(Ni基)、高耐食性(Cr添加)、優れた清浄度(C、Si、Mn、Sを低減させて添加)の確保が図られる。特に、優れた清浄度が得られるのは、VIF(真空高周波誘導炉)溶解による脱ガス効果により、介在物の析出が抑制されるためである。
本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、固溶化処理後の硬さが300HV以下であるため金型加工が可能となる。
そして、鍛造は、鍛造温度1130℃以上、終始温度950℃以上の条件で行うとよい。これにより、結晶粒径を50μm以下、好ましくは、20μm以下になるように制御できるからである。
この鍛造を前提として、500℃から700℃の温度で12時間から24時間の時効処理を行うとよい。これにより、合金組織の90%以上にαCr相とγ+γ’相のラメラ構造を形成させ、620HV以上の硬さとすることができるからである。
本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、溶解(VIF(真空高周波誘導炉))→ソーキング(均質化熱処理)→鍛造(結晶粒の微細化)→固溶化熱処理(軟化)→粗加工(金型粗加工)→時効処理(高硬度化)→精加工(金型精加工)→研磨→完成という工程により製造することができる。
この製造工程においては、溶解時に上記の成分元素を溶解させるが、このときに、非磁性(Ni基)、高耐食性(Cr添加)、優れた清浄度(C、Si、Mn、Sを低減させて添加)の確保が図られる。特に、優れた清浄度が得られるのは、VIF(真空高周波誘導炉)溶解による脱ガス効果により、介在物の析出が抑制されるためである。
本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、固溶化処理後の硬さが300HV以下であるため金型加工が可能となる。
そして、鍛造は、鍛造温度1130℃以上、終始温度950℃以上の条件で行うとよい。これにより、結晶粒径を50μm以下、好ましくは、20μm以下になるように制御できるからである。
この鍛造を前提として、500℃から700℃の温度で12時間から24時間の時効処理を行うとよい。これにより、合金組織の90%以上にαCr相とγ+γ’相のラメラ構造を形成させ、620HV以上の硬さとすることができるからである。
(Ni基合金等の作製)
表1に示す成分組成の開発材及び比較材をVIF(真空高周波誘導炉)で溶製した後、冷却して、150kgのインゴットを作製した。
次に、各インゴットをソーキング(1150℃×16h)した後、鍛造により、(サイズ:60B)の形状に加工した。この鍛造は、鍛造温度(1150℃)、終始温度(1000℃)の条件で行い、固溶化処理後(表2中の〔熱処理条件1〕)、粗加工し、時効処理(表2中の〔熱処理条件2〕)して供試材とした。
表1に示す成分組成の開発材及び比較材をVIF(真空高周波誘導炉)で溶製した後、冷却して、150kgのインゴットを作製した。
次に、各インゴットをソーキング(1150℃×16h)した後、鍛造により、(サイズ:60B)の形状に加工した。この鍛造は、鍛造温度(1150℃)、終始温度(1000℃)の条件で行い、固溶化処理後(表2中の〔熱処理条件1〕)、粗加工し、時効処理(表2中の〔熱処理条件2〕)して供試材とした。
(試験硬さ)
表1に示す条件で供試材(開発材及び比較材)を固溶化処理し、試験片(ビッカース硬さ試験片:20mm×10mm〔JIS Z 2244に準拠〕、耐摩耗性試験ピンオンディスク試験片:直径5mm、厚さ24mm〔ディスクと接する面にR10mmのコーナーを施した〕、清浄度研磨面:20mm×30mm、透磁率試験片:直径30mm×高さ10mm、磁力試験片:30mm×30mm×50mm)加工して、ビッカース硬さを測定した。結果を表2に示す。
次いで、表1に示す条件で試験片(開発材及び比較材)を時効処理し、ビッカース硬さを測定した。結果を表2に示す。更に、開発材(3、4)をSEM観察し、顕微鏡写真を撮影した。図1に開発材(3、4)の顕微鏡観察組織写真を示す(図1(a)は、開発材3、図1(b)は、開発材4である)。他の開発材も、同様に合金組織の90%以上にαCr相とγ+γ’相のラメラ構造が形成されていたことが確認できた。一方、比較材17は、時効処理が不十分であったため、αCr相とγ+γ’相のラメラ構造が合金組織の90%以下となっていた。そのため、時効処理後の硬さも不十分となった。
表1に示す条件で供試材(開発材及び比較材)を固溶化処理し、試験片(ビッカース硬さ試験片:20mm×10mm〔JIS Z 2244に準拠〕、耐摩耗性試験ピンオンディスク試験片:直径5mm、厚さ24mm〔ディスクと接する面にR10mmのコーナーを施した〕、清浄度研磨面:20mm×30mm、透磁率試験片:直径30mm×高さ10mm、磁力試験片:30mm×30mm×50mm)加工して、ビッカース硬さを測定した。結果を表2に示す。
次いで、表1に示す条件で試験片(開発材及び比較材)を時効処理し、ビッカース硬さを測定した。結果を表2に示す。更に、開発材(3、4)をSEM観察し、顕微鏡写真を撮影した。図1に開発材(3、4)の顕微鏡観察組織写真を示す(図1(a)は、開発材3、図1(b)は、開発材4である)。他の開発材も、同様に合金組織の90%以上にαCr相とγ+γ’相のラメラ構造が形成されていたことが確認できた。一方、比較材17は、時効処理が不十分であったため、αCr相とγ+γ’相のラメラ構造が合金組織の90%以下となっていた。そのため、時効処理後の硬さも不十分となった。
(耐摩耗性)
時効処理後の試験片(時効処理後の試験硬さを備えた試験片)の耐摩耗性をピンオンディスク試験機を用いて調べた。ピンとして試験片(開発材及び比較材)を用い、ディスクをS45Cとした。試験条件は、無潤滑で、ディスク回転数500rpm、ピン面圧10MPa、摩擦距離1000mとし、ピンの摩耗重量(試験前の試験片の重量から試験後の試験片の重量を減算したもの)を測定した。表2に結果を示すが、比較材23(SKD11)の摩耗重量を1とした場合の相対値で示す。
時効処理後の試験片(時効処理後の試験硬さを備えた試験片)の耐摩耗性をピンオンディスク試験機を用いて調べた。ピンとして試験片(開発材及び比較材)を用い、ディスクをS45Cとした。試験条件は、無潤滑で、ディスク回転数500rpm、ピン面圧10MPa、摩擦距離1000mとし、ピンの摩耗重量(試験前の試験片の重量から試験後の試験片の重量を減算したもの)を測定した。表2に結果を示すが、比較材23(SKD11)の摩耗重量を1とした場合の相対値で示す。
(耐食性)
時効処理後の試験片(時効処理後の試験硬さを備えた試験片)を用いて、JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験による耐食性の評価試験を実施した。結果を表2に示す。
時効処理後の試験片(時効処理後の試験硬さを備えた試験片)を用いて、JIS Z 2371に準拠した塩水噴霧試験による耐食性の評価試験を実施した。結果を表2に示す。
(清浄度)
時効処理後の試験片(時効処理後の試験硬さを備えた試験片)を研磨加工したものを用いて、ASTM E45に準拠した非金属介在物評価試験を実施した。具体的には、表面研磨160mm2の領域を100倍で観察し、最悪視野0.5mm2の円(6個)をサンプルとして、A(硫化物)、B(アルミナ)、C(シリケイト)のそれぞれの個数を数え、視野数で除した値を清浄度とした。表2に結果を示すが、A(硫化物)の数をA−T、A−Hの欄に、B(アルミナ)の数をB−T、B−Hの欄に、C(シリケイト)の数をC−T、C−Hの欄にそれぞれ示す。ここで、−T,−Hは、図2に示す観察面で観察したことを示す。
時効処理後の試験片(時効処理後の試験硬さを備えた試験片)を研磨加工したものを用いて、ASTM E45に準拠した非金属介在物評価試験を実施した。具体的には、表面研磨160mm2の領域を100倍で観察し、最悪視野0.5mm2の円(6個)をサンプルとして、A(硫化物)、B(アルミナ)、C(シリケイト)のそれぞれの個数を数え、視野数で除した値を清浄度とした。表2に結果を示すが、A(硫化物)の数をA−T、A−Hの欄に、B(アルミナ)の数をB−T、B−Hの欄に、C(シリケイト)の数をC−T、C−Hの欄にそれぞれ示す。ここで、−T,−Hは、図2に示す観察面で観察したことを示す。
(表面粗さ)
時効処理後の試験片(時効処理後の試験硬さを備えた試験片)を、100→#220→#400→#800→#1500→#3000→#9000→#14000まで研磨した。研磨後、表面粗さRaを測定した。結果を表2に示す。
時効処理後の試験片(時効処理後の試験硬さを備えた試験片)を、100→#220→#400→#800→#1500→#3000→#9000→#14000まで研磨した。研磨後、表面粗さRaを測定した。結果を表2に示す。
(透磁率)
時効処理後の試験片(時効処理後の試験硬さを備えた試験片)を用いて、100Oe(エルステッド)の磁場中の透磁率μの値を測定した。結果を表2に示す。
時効処理後の試験片(時効処理後の試験硬さを備えた試験片)を用いて、100Oe(エルステッド)の磁場中の透磁率μの値を測定した。結果を表2に示す。
(異方性ボンド磁石の磁力及び成形時の歩留)
開発材1、2、8、11、13、16及び比較材22、23で金型を作製し、この金型でプレス成形された異方性ボンド磁石の磁力を測定した。磁性粉末を配向させるためプレス成形は磁場中で行い、配向方向の金型にはSUS630を使用した。また、ボンド磁石はそれぞれの金型で500個成形した。更に、成形時に磁粉付着等により発生した不良品発生数を調査した。結果を表2に示す。
開発材1、2、8、11、13、16及び比較材22、23で金型を作製し、この金型でプレス成形された異方性ボンド磁石の磁力を測定した。磁性粉末を配向させるためプレス成形は磁場中で行い、配向方向の金型にはSUS630を使用した。また、ボンド磁石はそれぞれの金型で500個成形した。更に、成形時に磁粉付着等により発生した不良品発生数を調査した。結果を表2に示す。
(試験結果及び評価)
開発材1〜16は、時効処理後の硬さがいずれも620HV以上の高硬度となったが、比較材17は、硬さが低下している。開発材は、鍛造で結晶粒径を制御するとともに、所定の温度で所定時間の時効処理を行ったため、その組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相のラメラ構造が形成されたのに対して、比較材17は、時効温度が低く、時効時間も短いためαCr相及びγ+γ’相のラメラ構造の形成が不十分となったためである。
開発材1〜16は、時効処理後の硬さがいずれも620HV以上の高硬度となったが、比較材17は、硬さが低下している。開発材は、鍛造で結晶粒径を制御するとともに、所定の温度で所定時間の時効処理を行ったため、その組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相のラメラ構造が形成されたのに対して、比較材17は、時効温度が低く、時効時間も短いためαCr相及びγ+γ’相のラメラ構造の形成が不十分となったためである。
開発材1〜16は、清浄度が全て低く、表面粗さも低かった。これに対し、比較材18は、清浄度に異常が認められないが(炭化物は観察対象ではないため)、表面粗さが悪化し、比較材19,20は、それぞれ、C(シリケイト)、A(硫化物)の介在物が多く生成し、表面粗さが更に悪化した。開発材は、C,Si,Mnを所定範囲含有させたに留めたが、比較材18〜20は、これらのいずれか又は複数を添加しすぎたため、非金属介在物が多く生成し、清浄度及び表面粗さが悪化したためである。開発材は、全てRa=0.005μm以下の表面粗さであり、鏡面研磨によるきれいな表面仕上げが可能であることが確認できた。つまり、プラスチック樹脂成形金型として好適な材料であることが確認できた。また、開発材は、高硬度であるため、余分な研磨キズが付き難いこと、高耐食であるため研磨中の表面酸化が防止されることも、きれいな表面仕上げの要因となる。
尚、比較材21(オーステナイトステンレス鋼)は、非磁性を有しているが、硬さが低いため、耐摩耗性が劣る。比較材22(析出効果型ステンレス鋼)は、強磁性であるため、磁性粉末を含む樹脂の成形がうまく出来ず(不良品多い)、また、硬さも十分でなかった。比較材23(JIS SKD11)は、硬さ、耐摩耗性が十分だが、強磁性であるため、磁性粉末を含む樹脂の成形がうまく出来ず(不良品多い)、耐食性も劣る。更に、比較例21〜23は、清浄度もそれほど良くなかった。
以上から、開発材1〜16は、プラスチック樹脂成形金型の要求特性(高硬度、非磁性、高耐食性、優れた清浄度)に応えるものであることがわかった。
以上から、開発材1〜16は、プラスチック樹脂成形金型の要求特性(高硬度、非磁性、高耐食性、優れた清浄度)に応えるものであることがわかった。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記実施の形態に何ら限定されるものではない。上記実施形態においては、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金をボンド磁石成形金型へ適用する例を示したが、これに限定されるものではない。すなわち、本実施形態に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金は、ボンド磁石以外のプラスチックやゴム製品、例えば、フィルム、液晶フィルム、包装用フィルム、家電製品内装・外装、コネクター、プラスチック容器、光学レンズ、医療機器、化粧容器、ペットボトル、IC封止、反射板、日用雑貨品、ゴムボタン、プラスチックボタン、プラスチック外装等を成形するプラスチック樹脂成形金型へ適用してもよい。
本発明に係るプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金及びこれを用いた金型は、種々の要求特性(高硬度・非磁性・高耐食性・優れた清浄度)を満たすため、プラスチック樹脂成形業界において産業上利用価値が高い。
Claims (7)
- 質量%で、C≦0.05%、Si≦0.8%、Mn≦0.8%、P≦0.03%、S≦0.01%、30≦Cr≦45%、及び、1.5≦Al≦5.0%を含有し、残部がNi及び不可避的不純物からなる金型用Ni基合金であって、
その組織の90%以上にαCr相及びγ+γ’相からなるラメラ構造が形成されていることを特徴とするプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金。 - 更に、質量%で、Ti+Zr+Hf≦3.0%、Nb+Ta+V≦3.0%、Co≦10%、Mo+0.5W≦10%(但し、W≦10%)からなる群のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1に記載のプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金。
- 更に、質量%で、3%≦Fe≦5%を含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金。
- 更に、質量%で、Cu≦5%、B≦0.015%、Mg≦0.01%、Ca≦0.01%、REM≦0.1%からなる群のうち少なくとも1種を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金。
- 固溶化処理により300HV以下の硬さが得られるとともに、当該固溶化処理及び時効処理により620HV以上の硬さが得られることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金。
- ASTM E45に規定する介在物評価法で、A−T,A−H,B−T,B−H,B−T,C−H,C−Tが全て2以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金。
- 請求項1〜6のいずれかに記載のプラスチック樹脂成形金型用Ni基合金からなるプラスチック樹脂成形金型。
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