JP2003249278A - 半導体微粒子、光電変換素子及び光電池 - Google Patents

半導体微粒子、光電変換素子及び光電池

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JP2003249278A
JP2003249278A JP2002048794A JP2002048794A JP2003249278A JP 2003249278 A JP2003249278 A JP 2003249278A JP 2002048794 A JP2002048794 A JP 2002048794A JP 2002048794 A JP2002048794 A JP 2002048794A JP 2003249278 A JP2003249278 A JP 2003249278A
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semiconductor fine
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fine particles
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JP2002048794A
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Tetsuya Watanabe
哲也 渡辺
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Fuji Photo Film Co Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy
    • Y02E10/542Dye sensitized solar cells

Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた変換効率を示す光電変換素子を得るた
めに使用できる色素吸着半導体微粒子、並びにこの半導
体微粒子を用いた光電変換素子及び光電池を提供する。 【解決手段】 スルホンイミド基を有するアニオン性化
合物の存在下で色素を吸着させたことを特徴とする色素
吸着半導体微粒子、この色素吸着半導体微粒子を担持し
た電極、電荷輸送層及び対極を含む光電変換素子、並び
に当該光電変換素子を含む光電池。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、色素を吸着させた
半導体微粒子、この半導体微粒子を含む光電変換素子、
及びかかる光電変換素子を用いた光電池に関する。
【0002】
【従来の技術】光電変換素子は各種光センサー、複写
機、光発電装置等に用いられている。光電変換素子には
金属を用いたもの、半導体を用いたもの、有機顔料や色
素を用いたもの、これらを組み合わせて用いたもの等が
あり、様々な方式が実用化されている。
【0003】米国特許4927721号、同4684537号、同5084
365号、同5350644号、同5463057号、同5525440号、WO98
/50393号、特開平7-249790号及び特表平10-504521号に
は、色素によって増感した半導体微粒子を用いた光電変
換素子(以下、「色素増感光電変換素子」とも称す)並
びにこれを作製するための材料及び製造技術が開示され
ている。色素増感光電変換素子の利点は、二酸化チタン
等の安価な酸化物半導体を高純度に精製することなく用
いることができるため比較的安価に製造できる点にあ
る。しかしながら、このような光電変換素子は変換効率
が必ずしも十分に高いとは限らず、なお一層の変換効率
向上が望まれている。変換効率の低下の原因としては半
導体層上での色素の凝集が挙げられる。電子注入の際の
量子効率は励起電子の分子間失活によって低下すること
から、色素増感光電変換素子において高い変換効率を得
るためには色素間凝集を抑制することが重要である。一
般に、色素のみを半導体微粒子に吸着させた場合は色素
凝集を完全に防ぐことは困難である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、優れ
た変換効率を示す光電変換素子を得るために使用できる
色素吸着半導体微粒子、並びにこの半導体微粒子を用い
た光電変換素子及び光電池を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的に鑑み鋭意研究
の結果、本発明者は、半導体微粒子に色素を吸着させる
際に特定のアニオン性化合物を共存させることによっ
て、色素凝集を抑制することができることを発見し、本
発明に想到した。
【0006】即ち、本発明の色素吸着半導体微粒子の製
造方法は、スルホンイミド基を有するアニオン性化合物
の存在下で半導体微粒子に色素を吸着させることを特徴
とする。本発明の色素吸着半導体微粒子は当該方法によ
って得られる。
【0007】上記スルホンイミド基は-V1-NH-V2-で表さ
れるのが好ましい。ただし、V1及びV2はそれぞれ-CO-、
-SO-、-SO2-及び-PO2-のいずれかを表し、V1及びV2のう
ち少なくとも一方は-SO2-である。
【0008】上記アニオン性化合物は好ましくは下記一
般式(I): R1-(Ar)m-L1-V1-N--V2-R2 M+ ・・・(I) (ただし、R1は水素原子又は置換基を表し、Arは置換又
は無置換のアリーレン基を表し、mは1又は2であり、L
1は単結合又は2価連結基を表し、V1及びV2はそれぞれ-
CO-、-SO-、-SO2-及び-PO2-のいずれかを表し、V1及びV
2のうち少なくとも一方は-SO2-であり、R2は置換又は無
置換のアルキル基を表し、M+はカチオンを表す。)で表
され、より好ましくは下記一般式(II): R3-Ph-O-(CH2CH2O)n-L2-SO2-N--SO2-CF3 M+ ・・・(II) (ただし、R3は直鎖又は分岐のアルキル基を表し、Phは
フェニレン基を表し、nは0〜50の整数を表し、L2は単
結合、置換又は無置換のアルキレン基、或いは置換又は
無置換のアルキレンオキシ基を表し、M+はカチオンを表
す。)で表されるオキシアルキレン系イミド化合物であ
る。一般式(I)及び(II)中、L1は置換又は無置換のアル
キレン基、-O-、或いはこれらの組み合わせからなる2
価連結基であるのが好ましく、M+はアルカリ金属イオン
又はアンモニウムイオンであるのが好ましい。
【0009】上記色素は好ましくは金属錯体色素、フタ
ロシアニン系色素、ポルフィリン系色素及びポリメチン
色素からなる群から選ばれ、より好ましくは金属錯体色
素である。また、半導体微粒子はTiO2、TiSrO3、ZnO、W
O3、Nb2O5及びSnO2からなる群から選ばれる1種又は複
数種の金属酸化物からなることが好ましい。
【0010】本発明の光電変換素子は、上記本発明の色
素吸着半導体微粒子を担持した電極、電荷輸送層及び対
極を含むことを特徴とする。また、本発明の光電池は当
該光電変換素子を含む。電荷輸送層は溶融塩電解質を含
むことが好ましく、イミダゾリウム塩を主体とし揮発性
成分を含まない室温溶融塩電解質組成物からなることが
特に好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】[1]色素吸着半導体微粒子 本発明の色素吸着半導体微粒子は、スルホンイミド基を
有するアニオン性化合物の存在下で半導体微粒子に色素
を吸着させて得られる。この色素吸着半導体微粒子は光
電変換素子の感光層に好適に利用できる。
【0012】(A)スルホンイミド基を有するアニオン性
化合物 上記スルホンイミド基は-V1-NH-V2-で表されるのが好ま
しい。ただし、V1及びV2はそれぞれ-CO-、-SO-、-SO2-
及び-PO2-のいずれかを表し、V1及びV2のうち少なくと
も一方は-SO2-である。
【0013】上記アニオン性化合物は好ましくは下記一
般式(I)で表される。 R1-(Ar)m-L1-V1-N--V2-R2 M+ ・・・(I)
【0014】一般式(I)中、R1は水素原子又は置換基を
表し、該置換基の例としてはハロゲン原子(F、Cl、B
r、I等)、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基
(メトキシ基、エトキシ基等)、アリーロキシ基(フェ
ノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチル
チオ基等)、アルコキシカルボニル基(エトキシカルボ
ニル基等)、炭酸エステル基(エトキシカルボニルオキ
シ基等)、アシル基(アセチル基、プロピオニル基、ベ
ンゾイル基等)、スルホニル基(メタンスルホニル基、
ベンゼンスルホニル基等)、アシルオキシ基(アセトキ
シ基、ベンゾイルオキシ基等)、スルホニルオキシ基
(メタンスルホニルオキシ基、トルエンスルホニルオキ
シ基等)、ホスホニル基(ジエチルホスホニル基等)、
アミド基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基
等)、カルバモイル基(N,N-ジメチルカルバモイル基
等)、アルキル基(メチル基、エチル基、プロピル基、
イソプロピル基、シクロプロピル基、ブチル基、2-カル
ボキシエチル基、ベンジル基等)、アリール基(フェニ
ル基、トルイル基等)、複素環基(ピリジル基、イミダ
ゾリル基、フラニル基等)、アルケニル基(ビニル基、
1-プロペニル基等)等が挙げられる。R1は好ましくは炭
素数1〜20の直鎖又は分岐のアルキル基又はアルコキシ
基である。
【0015】一般式(I)中、Arは置換又は無置換のアリ
ーレン基を表す。アリーレン基の炭素原子数は好ましく
は6〜20であり、その例としてはフェニレン基、ナフチ
レン基等が挙げられる。Arが有する置換基の例として
は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I等)、シアノ基、ヒド
ロキシル基、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基
等)、アリーロキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチ
オ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アルコキシカ
ルボニル基(エトキシカルボニル基等)、炭酸エステル
基(エトキシカルボニルオキシ基等)、アシル基(アセ
チル基、プロピオニル基、ベンゾイル基等)、スルホニ
ル基(メタンスルホニル基、ベンゼンスルホニル基
等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、ベンゾイルオキ
シ基等)、スルホニルオキシ基(メタンスルホニルオキ
シ基、トルエンスルホニルオキシ基等)、ホスホニル基
(ジエチルホスホニル基等)、アミド基(アセチルアミ
ノ基、ベンゾイルアミノ基等)、カルバモイル基(N,N-
ジメチルカルバモイル基等)、アルキル基(メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピ
ル基、ブチル基、2-カルボキシエチル基、ベンジル基
等)、アリール基(フェニル基、トルイル基等)、複素
環基(ピリジル基、イミダゾリル基、フラニル基等)、
アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)等が挙げ
られる。Arは好ましくはフェニレン基である。また、Ar
の数を示すmは1又は2である。
【0016】一般式(I)中、L1は単結合又は2価連結基
を表す。L1は置換又は無置換のアルキレン基、-O-、或
いはこれらの組み合わせからなる2価連結基であるのが
好ましく、アルキレン基と-O-の組み合わせからなる2
価連結基であるのが特に好ましい。
【0017】一般式(I)中、V1及びV2はそれぞれ-CO-、-
SO-、-SO2-及び-PO2-のいずれかを表し、V1及びV2のう
ち少なくとも一方は-SO2-である。V1及びV2が共に-SO2-
であることが特に好ましい。
【0018】一般式(I)中、R2は置換又は無置換のアル
キル基を表す。アルキル基は直鎖状であっても分岐状で
あってもよく、その炭素原子数は好ましくは1〜20であ
る。
【0019】一般式(I)中、M+はカチオンを表す。M+
アルカリ金属イオン又はアンモニウムイオンであるのが
好ましく、アルカリ金属イオンの中でもNaイオン及びLi
イオンが特に好ましい。
【0020】上記アニオン性化合物は、より好ましくは
下記一般式(II)で表されるアルキルフェノールのオキシ
エチレン系スルホン酸誘導体である。 R3-Ph-O-(CH2CH2O)n-L2-SO2-N--SO2-CF3 M+ ・・・(II)
【0021】一般式(II)中、R3は直鎖又は分岐のアルキ
ル基を表す。このアルキル基の炭素原子数は好ましくは
1〜20である。Phはフェニレン基を表し、1,2-フェニレ
ン基、1,3-フェニレン基及び1,4-フェニレン基のいずれ
であってもよいが、好ましくは1,4-フェニレン基であ
る。このフェニレン基は置換基を有していてもよく、該
置換基の例としては上記Arが有する置換基の例と同様の
ものが挙げられる。nは0〜50の整数を表し、好ましく
は1〜30の整数であり、より好ましくは1〜20の整数で
ある。L2は単結合、置換又は無置換のアルキレン基、或
いは置換又は無置換のアルキレンオキシ基を表し、好ま
しくは単結合、炭素原子数1〜10のアルキレン基又は炭
素原子数1〜10のアルキレンオキシ基であり、より好ま
しくは単結合、炭素原子数1〜6のアルキレン基又は炭
素原子数1〜6のアルキレンオキシ基である。M+は上記
一般式(I)中のM+と同義である。
【0022】本発明で用いるスルホンイミド基を有する
アニオン性化合物は、一般的なスルホンイミド化合物の
合成法で合成でき、例えば、Chemische Berichte, 第75
巻,532〜536頁 (1942年)等に記載の合成法に倣って合成
したスルホンイミド化合物のプロトンを、対イオンの共
役塩基で解離させて合成できる。本発明において好まし
く使用できるスルホンイミド基を有するアニオン性化合
物の具体例を以下に示す。
【0023】
【化1】
【0024】
【化2】
【0025】(B)半導体微粒子 半導体微粒子に用いる半導体は、単体半導体(シリコ
ン、ゲルマニウム等)、III-V族系化合物半導体、金属
カルコゲナイド(酸化物、硫化物、セレン化物等)、ペ
ロブスカイト構造を有する化合物(チタン酸ストロンチ
ウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ナトリウム、チタ
ン酸バリウム、ニオブ酸カリウム等)等であってよい。
【0026】金属カルコゲナイドの例としては、チタ
ン、スズ、亜鉛、鉄、タングステン、ジルコニウム、ハ
フニウム、ストロンチウム、インジウム、セリウム、イ
ットリウム、ランタン、バナジウム、ニオブ又はタンタ
ルの酸化物、カドミウム、亜鉛、鉛、銀、アンチモン又
はビスマスの硫化物、カドミウム又は鉛のセレン化物、
カドミウムのテルル化物等が挙げられる。他の化合物半
導体の例としては亜鉛、ガリウム、インジウム、カドミ
ウム等のリン化物、ガリウム−ヒ素又は銅−インジウム
のセレン化物、銅−インジウムの硫化物等が挙げられ
る。
【0027】本発明で用いる半導体は、好ましくはSi、
TiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、ZnS、Pb
S、Bi2S3、CdSe、CdTe、GaP、InP、GaAs、CuInS2、CuIn
Se2、TiSrO3又はこれらの組み合わせであり、より好ま
しくはTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO、Nb2O5、CdS、Pb
S、CdSe、InP、GaAs、CuInS2、CuInSe2、TiSrO3又はこ
れらの組み合わせであり、特に好ましくはTiO2、SnO2
WO3、ZnO、Nb2O5、TiSrO3又はこれらの組み合わせであ
り、最も好ましくはTiO2である。TiO2の結晶形として、
アナターゼ型、ルチル型、ブルッカイト型等が知られて
いる。本発明で用いるTiO2はこれらのいずれの結晶形を
有していてもよい。
【0028】本発明に用いる半導体は単結晶でも多結晶
でもよいが、製造コスト、原材料確保、エネルギーペイ
バックタイム等の観点からは多結晶が有利であり、多結
晶の形態で用いられる場合、半導体微粒子からなる多孔
質膜を形成することが特に好ましい。また、本発明で使
用する半導体はアモルファス部分を含んでいてもよい。
【0029】半導体微粒子の粒径は一般にnm〜μmのオ
ーダーであるが、投影面積を円に近似したときの直径か
ら求めた一次粒子の平均粒径は好ましくは5〜200nm、
より好ましくは8〜100nmである。また、分散液中の半
導体微粒子(二次粒子)の平均粒径は好ましくは0.01〜
100μmである。
【0030】粒径分布の異なる2種類以上の半導体微粒
子を混合して用いてもよく、この場合、小さい粒子の平
均粒径は好ましくは5〜50nmであり、大きい粒子の平均
サイズは好ましくは100〜600nmである。小さい粒子は色
素が吸着する表面の面積を増やす効果を有し、大きい粒
子は入射光を散乱させて光捕獲率を向上させる効果を有
する。混合比率(質量比)は小さい粒子が50〜99%且つ
大きい粒子が1〜50%であるのが好ましく、小さい粒子
が70〜95%且つ大きい粒子が5〜30%であるのがより好
ましい。
【0031】半導体微粒子の作製法としては、作花済夫
の「ゾル−ゲル法の科学」アグネ承風社(1998年)、技
術情報協会の「ゾル−ゲル法による薄膜コーティング技
術」(1995年)等に記載のゾル−ゲル法、杉本忠夫の
「新合成法ゲル−ゾル法による単分散粒子の合成とサイ
ズ形態制御」、まてりあ, 第35巻, 第9号, 1012〜1018
頁(1996年)等に記載のゲル−ゾル法、清野学の「酸化
チタン 物性と応用技術」技報堂出版(1997年)に記載
の硫酸法及び塩素法、Degussa社が開発した塩化物を酸
水素塩中で高温加水分解により酸化物を作製する方法等
が好ましく使用できる。
【0032】半導体微粒子として酸化チタン微粒子を用
いる場合、Barbeらのジャーナル・オブ・アメリカン・
セラミック・ソサエティー, 第80巻, 第12号, 3157〜31
71頁(1997年)、Burnsideらのケミストリー・オブ・マ
テリアルズ, 第10巻, 第9号,2419〜2425頁等に記載のゾ
ル−ゲル法が特に好ましく使用できる。
【0033】(C)半導体微粒子層 光電変換素子の導電性支持体等の上に上記半導体微粒子
からなる半導体微粒子層を形成する際には、半導体微粒
子を含有する分散液又はコロイド溶液を導電性支持体上
に塗布する方法を用いるのが一般的である。光電変換素
子の量産化、半導体微粒子を含有する分散液又はコロイ
ド溶液の物性、導電性支持体の融通性等を考慮すると、
湿式の製膜方法を用いるのが比較的望ましい。湿式の製
膜方法としては塗布法及び印刷法が代表的である。
【0034】半導体微粒子の分散液を作製する方法の例
としては、前述のゾル−ゲル法等で調製した分散液又は
コロイド溶液をそのまま用いる方法、乳鉢ですり潰す方
法、ミルを使って粉砕しながら分散する方法等が挙げら
れる。
【0035】半導体微粒子の分散液に用いる分散媒は、
水又は各種有機溶媒(メタノール、エタノール、イソプ
ロピルアルコール、ジクロロメタン、アセトン、アセト
ニトリル、酢酸エチル等)であってよい。分散する際に
必要に応じてポリエチレングリコールのようなポリマ
ー、界面活性剤、酸、キレート剤等を分散助剤として用
いてもよい。ポリエチレングリコールの分子量を変える
ことで、分散液の粘度が調節でき、また剥がれにくい半
導体微粒子層を形成することができるので、ポリエチレ
ングリコールを添加することは好ましい。
【0036】好ましい塗布方法の例としては、アプリケ
ーション系としてローラ法、ディップ法等、メータリン
グ系としてエアーナイフ法、ブレード法等、またアプリ
ケーションとメータリングを同一部分にできるものとし
て特公昭58-4589号に開示されているワイヤーバー法、
米国特許2681294号、同2761419号、同2761791号等に記
載のスライドホッパー法、エクストルージョン法、カー
テン法等が挙げられる。また汎用機としてスピン法やス
プレー法も好ましい。湿式印刷方法としては凸版、オフ
セット及びグラビアの三大印刷法をはじめ、凹版、ゴム
版、スクリーン印刷等が好ましい。これらの中から液粘
度やウェット厚さに応じて製膜方法を選択してよい。
【0037】半導体微粒子の分散液の粘度は半導体微粒
子の種類や分散性、使用溶媒種、界面活性剤やバインダ
ー等の添加剤により大きく左右される。分散液が高粘度
(例えば0.01〜500Poise)である場合はエクストルージ
ョン法、キャスト法又はスクリーン印刷法を用いるのが
好ましい。また低粘度(例えば0.1Poise以下)である場
合は、均一な膜を形成するためにはスライドホッパー
法、ワイヤーバー法又はスピン法を用いるのが好まし
い。なお、塗布量がある程度多い場合は低粘度であって
もエクストルージョン法による塗布が可能である。この
ように分散液の粘度、塗布量、支持体、塗布速度等に応
じて適宜製膜方法を選択すればよい。
【0038】半導体微粒子層は単層に限定されず、粒径
の違った半導体微粒子の分散液を多層塗布したり、種類
が異なる半導体微粒子(或いは異なるバインダー、添加
剤等)を含有する層を多層塗布したりすることもでき
る。一度の塗布で膜厚が足りない場合にも多層塗布は有
効である。多層塗布にはエクストルージョン法及びスラ
イドホッパー法が適している。多層塗布する場合は同時
に多層を塗布してもよいし、数回から十数回、順次重ね
塗りしてもよい。順次重ね塗りする際にはスクリーン印
刷法も好ましく使用できる。
【0039】一般に半導体微粒子層の厚さ(光電変換素
子の感光層の厚さと同じ)が厚くなるほど、単位投影面
積当たりの担持色素量が増えるため光の捕獲率が高くな
るが、生成した電子の拡散距離が増すため電荷再結合に
よるロスも大きくなる。従って半導体微粒子層の好まし
い厚さは0.1〜100μmである。本発明の光電変換素子を
太陽電池に用いる場合、半導体微粒子層の厚さは好まし
くは1〜30μm、より好ましくは2〜25μmである。導電
性支持体1m2当たりの半導体微粒子の塗布量は、好まし
くは0.5〜400g、より好ましくは5〜100gである。
【0040】半導体微粒子を導電性支持体上に塗布した
後、半導体微粒子同士を電子的に接触させるとともに塗
膜強度や導電性支持体との密着性を向上させるために、
加熱処理するのが好ましい。加熱処理における加熱温度
は好ましくは40〜700℃であり、より好ましくは100〜60
0℃である。また加熱時間は10分〜10時間程度である。
ポリマーフィルムのように融点や軟化点の低い基板を用
いる場合、高温処理は基板の劣化を招くため好ましくな
い。またコストの観点からもできる限り低温で加熱処理
を行うのが好ましい。5nm以下の小さい半導体微粒子や
鉱酸等の存在下で加熱処理を行うと、加熱温度の低温化
が可能となる。
【0041】加熱処理後、半導体微粒子の表面積を増大
させたり、半導体微粒子近傍の純度を高め色素から半導
体微粒子への電子注入効率を高める目的で、米国特許50
84365号に記載されているような四塩化チタン水溶液等
を用いた化学メッキ処理や三塩化チタン水溶液等を用い
た電気化学的メッキ処理を行ってもよい。
【0042】半導体微粒子層は、多くの色素を吸着する
ことができるように大きい表面積を有することが好まし
い。半導体微粒子層を導電性支持体上に塗布した状態で
の表面積は投影面積に対して10倍以上であるのが好まし
く、100倍以上であるのがより好ましい。この上限は特
に制限はないが、通常1000倍程度である。
【0043】(D)処理 本発明では、感光層に用いる半導体微粒子を金属化合物
の溶液で処理してもよい。金属化合物としては、例えば
スカンジウム、イットリウム、ランタノイド、ジルコニ
ウム、ハフニウム、ニオブ、タンタル、ガリウム、イン
ジウム、ゲルマニウム及びスズからなる群から選ばれる
金属のアルコキシド又はハロゲン化物等が使用できる。
金属化合物の溶液(処理液)は通常、水溶液又はアルコ
ール溶液である。なお、「処理」とは、半導体微粒子に
色素を吸着させる前に、該半導体微粒子と上記処理液を
ある時間接触させる操作を意味する。接触後に半導体微
粒子に上記金属化合物が吸着していても吸着していなく
てもよい。処理は上記半導体微粒子層を形成した後に行
うのが好ましい。
【0044】処理の具体的方法としては、半導体微粒子
を該処理液に浸漬する方法(浸漬法)が好ましい例とし
て挙げられる。また、処理液をスプレー状に一定時間吹
き付ける方法(スプレー法)も適用できる。浸漬法を行
う際の処理液の温度(浸漬温度)は特に限定されない
が、典型的には-10〜70℃であり、好ましくは0℃〜40
℃である。処理時間も特に限定されず、典型的には1分
〜24時間であり、好ましくは30分〜15時間である。浸漬
の後、半導体微粒子を蒸留水等の溶媒で洗浄してもよ
い。また、浸漬処理によって半導体微粒子に付着した物
質の結合を強めるために焼成してもよい。焼成の条件
は、上述した加熱処理の条件と同様に設定すればよい。
【0045】(E)色素 光電変換素子の感光層に用いる増感色素は、可視域や近
赤外域に吸収特性を有し半導体を増感し得るものであれ
ば特に限定されないが、金属錯体色素、メチン色素、ポ
ルフィリン系色素及びフタロシアニン系色素が好ましく
使用でき、中でも金属錯体色素が特に好ましい。フタロ
シアニン、ナフタロシアニン、金属フタロシアニン、金
属ナフタロシアニン、テトラフェニルポルフィリンやテ
トラアザポルフィリン等のポルフィリン類、金属ポルフ
ィリン、それらの誘導体等も用いることができる。色素
レーザー用に用いられる色素類も本発明において使用で
きる。また、光電変換の波長域をできるだけ広くし、且
つ変換効率を上げるために、二種類以上の色素を併用す
ることができる。この場合、目的とする光源の波長域と
強度分布に合わせるように併用する色素とその割合を選
ぶことができる。
【0046】色素は半導体微粒子の表面に対して吸着能
力の有る適当な結合基(interlocking group)を有する
のが好ましい。好ましい結合基の例としては、-COOH
基、-OH基、-SO2H基、-P(O)(OH)2基及び-OP(O)(OH)2
のような酸性基、並びにオキシム、ジオキシム、ヒドロ
キシキノリン、サリチレート及びα-ケトエノレートの
ようなπ伝導性を有するキレート化基が挙げられる。中
でも-COOH基、-P(O)(OH)2基及び-OP(O)(OH)2基が特に好
ましい。これらの結合基はアルカリ金属等と塩を形成し
ていてもよく、また分子内塩を形成していてもよい。ま
たポリメチン色素の場合、メチン鎖がスクアリリウム環
やクロコニウム環を形成する場合のように酸性基を含有
するなら、この部分を結合基としてもよい。以下、感光
層に用いる好ましい増感色素を具体的に説明する。
【0047】(a)金属錯体色素 本発明で用いる金属錯体色素の金属原子はルテニウムRu
であるのが好ましい。ルテニウム錯体色素の例として
は、米国特許4927721号、同4684537号、同5084365号、
同5350644号、同5463057号、同5525440号、特開平7-249
790号、特表平10-504512号、WO98/50393号、特開2000-2
6487号等に記載のものが挙げられる。また、好ましい金
属錯体色素の具体例としては、特開2001-320068号の段
落番号0051〜0057に記載のものが挙げられる。最も典型
的な金属錯体色素としては、下記D-1及びD-2が挙げられ
る。
【0048】
【化3】
【0049】(b)メチン色素 好ましいメチン色素は、シアニン色素、メロシアニン色
素、スクワリリウム色素等のポリメチン色素である。好
ましいポリメチン色素の例としては、特開平11-35836
号、同11-158395号、同11-163378号、同11-214730号、
同11-214731号、欧州特許892411号及び同911841号に記
載の色素が挙げられる。これらのポリメチン色素の合成
法については、エフ・エム・ハーマー(F. M. Hamer)
著「ヘテロサイクリック・コンパウンズ−シアニンダイ
ズ・アンド・リレィティド・コンパウンズ(Heterocycl
ic Compounds - Cyanine Dyes and Related Compound
s)」、ジョン・ウィリー・アンド・サンズ(John Wile
y & Sons)社、ニューヨーク、ロンドン(1964年刊)、
デー・エム・スターマー(D. M. Sturmer)著「ヘテロ
サイクリック・コンパウンズ−スペシャル・トピックス
・イン・ヘテロサイクリック・ケミストリー(Heterocy
clic Compounds - Specialtopics in Heterocyclic Che
mistry)」、第18章、第14節、第482から515頁、ジョン
・ウィリー・アンド・サンズ(John Wiley & Sons)
社、ニューヨーク、ロンドン(1977年刊)、「ロッズ・
ケミストリー・オブ・カーボン・コンパウンズ(Rodd's
Chemistry of Carbon Compounds)」、2nd. Ed.、vol.
IV、part B、第15章、第369から422頁、エルセビア・
サイエンス・パブリック・カンパニー・インク(Elsevi
er Science Publishing Company Inc.)社、ニューヨー
ク(1977刊)、英国特許第1,077,611号、Ukrainskii Kh
imicheskii Zhurnal, 第40巻, 第3号, 253〜258頁、Dy
es and Pigments, 第21巻, 227〜234頁、これらの引用
文献等に記載されている。
【0050】(F)半導体微粒子への色素の吸着 本発明では、上述したスルホンイミド基を有するアニオ
ン性化合物の存在下で半導体微粒子に色素を吸着させる
ことによって、色素分子の吸着液内及び半導体微粒子表
面での凝集が原因となる励起エネルギーの散逸を抑制
し、色素増感効率の低下を抑制して光電変換素子の光エ
ネルギー変換効率を改善することができる。
【0051】半導体微粒子に色素を吸着させる際には、
色素の溶液中によく乾燥した半導体微粒子層を有する導
電性支持体を浸漬する方法、又は色素の溶液を半導体微
粒子層に塗布する方法を用いることができる。前者の方
法の場合、浸漬法、ディップ法、ローラ法、エアーナイ
フ法等が利用可能である。浸漬法を用いる場合、色素の
吸着は室温で行ってもよいし、特開平7-249790号に記載
されているように加熱還流して行ってもよい。後者の方
法の場合、ワイヤーバー法、スライドホッパー法、エク
ストルージョン法、カーテン法、スピン法、スプレー法
等が利用できる。本発明においては、アニオン性化合物
を含む色素吸着液を用いて上述の方法によって接触さ
せ、色素を吸着させるのが好ましい。また、インクジェ
ット法等によって色素を画像状に塗布し、この画像その
ものを光電変換素子とすることもできる。
【0052】アニオン性化合物を色素吸着液に添加する
場合、該アニオン性化合物の色素に対するモル比は1〜
1000当量とするのが好ましく、10〜100当量とするのが
より好ましい。また、アニオン性化合物を色素とともに
半導体微粒子上に吸着させてもよく、この場合、アニオ
ン性化合物の吸着量は色素の吸着量に対して0.1〜100当
量(モル比)とするのが好ましい。
【0053】色素の溶液(吸着液)に用いる溶媒は、好
ましくはアルコール類(メタノール、エタノール、t-ブ
タノール、ベンジルアルコール等)、ニトリル類(アセ
トニトリル、プロピオニトリル、3-メトキシプロピオニ
トリル等)、ニトロメタン、ハロゲン化炭化水素(ジク
ロロメタン、ジクロロエタン、クロロホルム、クロロベ
ンゼン等)、エーテル類(ジエチルエーテル、テトラヒ
ドロフラン等)、ジメチルスルホキシド、アミド類(N,
N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセタミド
等)、N-メチルピロリドン、1,3-ジメチルイミダゾリジ
ノン、3-メチルオキサゾリジノン、エステル類(酢酸エ
チル、酢酸ブチル等)、炭酸エステル類(炭酸ジエチ
ル、炭酸エチレン、炭酸プロピレン等)、ケトン類(ア
セトン、2-ブタノン、シクロヘキサノン等)、炭化水素
(へキサン、石油エーテル、ベンゼン、トルエン等)又
はこれらの混合溶媒である。
【0054】色素の吸着量は、半導体微粒子層の単位面
積(1m2)当たり0.01〜100mmolとするのが好ましい。
また色素の半導体微粒子に対する吸着量は、半導体微粒
子1g当たり0.01〜1mmolであるのが好ましい。このよ
うな色素の吸着量とすることにより半導体微粒子の増感
効果が十分に得られる。色素の吸着量が少なすぎると増
感効果が不十分となり、色素の吸着量が多すぎると半導
体に付着していない色素が浮遊し、増感効果が低減す
る。色素の吸着量を増やすためには、吸着前に半導体微
粒子を加熱処理するのが好ましい。半導体微粒子表面に
水が吸着するのを避けるために、加熱処理後には常温に
戻さずに半導体微粒子層の温度が60〜150℃の間で素早
く色素の吸着を行うのが好ましい。
【0055】色素間の凝集等の相互作用を低減するため
に、界面活性剤としての性質を持つ無色の化合物を色素
吸着液に添加し、半導体微粒子に共吸着させてよい。こ
のような無色の化合物の例としては、カルボキシル基や
スルホ基を有するステロイド化合物(コール酸、デオキ
シコール酸、ケノデオキシコール酸、タウロデオキシコ
ール酸等)や、下記のようなスルホン酸塩類等が挙げら
れる。
【0056】
【化4】
【0057】未吸着の色素は、吸着工程後、速やかに洗
浄により除去するのが好ましい。洗浄は湿式洗浄槽中で
アセトニトリル、アルコール系溶剤のような有機溶媒等
を用いて行うのが好ましい。
【0058】色素を吸着した後、アミン類、4級アンモ
ニウム塩、少なくとも1つのウレイド基を有するウレイ
ド化合物、少なくとも1つのシリル基を有するシリル化
合物、アルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩等を用いて
半導体微粒子の表面を処理してもよい。好ましいアミン
類の例としてはピリジン、4-t-ブチルピリジン、ポリビ
ニルピリジン等が挙げられる。好ましい4級アンモニウ
ム塩の例としてはテトラブチルアンモニウムヨージド、
テトラヘキシルアンモニウムヨージド等が挙げられる。
これらは有機溶媒に溶解して用いてもよく、液体の場合
はそのまま用いてもよい。
【0059】[2]光電変換素子 本発明の光電変換素子は、上記本発明の色素吸着半導体
微粒子を感光層に含む。本発明の光電変換素子は好まし
くは図1に示すように導電層10、感光層20、電荷輸送層
30及び対極導電層40をこの順に積層してなり、感光層20
を色素22によって増感した半導体微粒子21とこの半導体
微粒子21の間の空隙に浸透した電荷輸送材料23とから構
成する。感光層20中の電荷輸送材料23は通常、電荷輸送
層30に用いる材料と同じものである。感光層20上には上
記金属酸化物層(図示せず)が形成されている。導電層
10と感光層20の間には下塗り層60を設けてもよい。ま
た、光電変換素子に強度を付与するために、導電層10及
び/又は対極導電層40の下地として基板50を設けてもよ
い。本発明では、導電層10及び任意で設ける基板50から
なる層を「導電性支持体」、対極導電層40及び任意で設
ける基板50からなる層を「対極」と呼ぶ。なお、図1中
の導電層10、対極導電層40、基板50はそれぞれ透明導電
層10a、透明対極導電層40a、透明基板50aであってもよ
い。このような光電変換素子のうち、電気的仕事(発
電)をさせるために外部負荷に接続したものが光電池で
あり、光学的情報のセンシングを目的に作られたものが
光センサーである。光電池の中で、電荷輸送材料が主と
してイオン輸送材料からなるものを光電気化学電池と呼
び、また太陽光による発電を主目的とするものを太陽電
池と呼ぶ。
【0060】図1に示す光電変換素子において、色素22
により増感した半導体微粒子21を含む感光層20に入射し
た光は色素22等を励起し、励起された色素22等中の高エ
ネルギーの電子は半導体微粒子21の伝導帯に渡され、更
に拡散して導電層10に到達する。このとき色素22は酸化
体となっている。光電池においては、導電層10中の電子
が外部回路で仕事をしながら対極導電層40及び電荷輸送
層30を経て色素22の酸化体に戻り、色素22が再生する。
感光層20は負極として働き、対極導電層40は正極として
働く。それぞれの層の境界(例えば導電層10と感光層20
との境界、感光層20と電荷輸送層30との境界、電荷輸送
層30と対極導電層40との境界等)では、各層の構成成分
同士が相互に拡散混合していてもよい。以下各層につい
て詳細に説明する。
【0061】(A)導電性支持体 導電性支持体は(1)導電層の単層又は(2)導電層及び基板
の2層からなる。(1)の場合、導電層の材料としては、
導電層の強度や密封性を十分に保つことができ、且つ導
電性を有するもの(例えば白金、金、銀、銅、亜鉛、チ
タン、アルミニウム、これらを含む合金のような金属材
料等)を用いることができる。(2)の場合、感光層側に
導電剤からなる導電層を有する基板を導電性支持体とし
て使用することができる。好ましい導電剤の例としては
金属(白金、金、銀、銅、アルミニウム、ロジウム、イ
ンジウム等)、炭素及び導電性金属酸化物(インジウム
−スズ複合酸化物、酸化スズにフッ素をドープしたもの
等)が挙げられる。導電層の厚さは好ましくは0.02〜10
μm程度である。
【0062】導電性支持体の表面抵抗は低い程好まし
い。この表面抵抗は好ましくは100Ω/□以下であり、
より好ましくは40Ω/□以下である。表面抵抗の下限に
は特に制限はないが、通常0.1Ω/□程度である。
【0063】導電性支持体側から光を照射する場合に
は、導電性支持体は実質的に透明であるのが好ましい。
実質的に透明であるとは光の透過率が10%以上であるこ
とを意味する。導電性支持体の光透過率は好ましくは50
%以上、特に好ましくは70%以上である。
【0064】透明導電性支持体としては、ガラス、プラ
スチック等からなる透明基板の表面に導電性金属酸化物
からなる透明導電層を塗布、蒸着等により形成したもの
が好ましく使用できる。透明導電層をなす好ましい材料
の例としてはフッ素をドーピングした二酸化スズ等が挙
げられる。透明基板としては、コストと強度の点で有利
なソーダ石灰フロートガラスからなるガラス基板、低コ
ストでフレキシブルな光電変換素子を得るために有用な
透明ポリマーフィルム等が使用できる。透明ポリマーフ
ィルムをなす材料の例としては、テトラアセチルセルロ
ース(TAC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポ
リエチレンナフタレート(PEN)、シンジオタクチック
ポリスチレン(SPS)、ポリフェニレンスルフィド(PP
S)、ポリカーボネート(PC)、ポリアリレート(PA
r)、ポリスルフォン(PSF)、ポリエステルスルフォン
(PES)、ポリエーテルイミド(PEI)、環状ポリオレフ
ィン、ブロム化フェノキシ樹脂等が挙げられる。十分な
透明性を確保するためには、上記導電性金属酸化物の塗
布量はガラス又はプラスチックの基板1m2当たり0.01〜
100gとするのが好ましい。
【0065】透明導電性支持体の抵抗を下げる目的で金
属リードを集電体として用いることができる。金属リー
ドは白金、金、ニッケル、チタン、アルミニウム、銅、
銀等の金属からなるのが好ましく、アルミニウム又は銀
からなるのが特に好ましい。透明基板上に金属リードを
蒸着、スパッタリング等で設置し、その上にフッ素をド
ープした酸化スズ、ITO膜等からなる透明導電層を設け
るのが好ましい。また、透明導電層を透明基板に設けた
後、透明導電層上に金属リードを設置することも好まし
い。金属リード設置による入射光量の低下は、好ましく
は10%以内、より好ましくは1〜5%とする。
【0066】(B)感光層 感光層において半導体微粒子は感光体として作用し、光
を吸収して電荷分離を行い電子と正孔を生ずる。色素増
感した半導体微粒子では光吸収及びこれによる電子及び
正孔の発生は主として色素において起こり、半導体微粒
子はこの電子又は正孔を受け取り、伝達する役割を担
う。本発明で用いる半導体は、光励起下で伝導体電子が
キャリアーとなり、アノード電流を与えるn型半導体で
あることが好ましい。本発明の光電変換素子は、上記本
発明の色素吸着半導体微粒子を感光層に含有する。
【0067】(C)電荷輸送層 電荷輸送層は、色素の酸化体に電子を補充する機能を有
する電荷輸送材料を含有する。本発明で用いる電荷輸送
材料は、(i)イオンが関わる電荷輸送材料であっても、
(ii)固体中のキャリアー移動が関わる電荷輸送材料であ
ってもよい。(i)イオンが関わる電荷輸送材料として
は、酸化還元対イオンを含有する溶融塩電解質組成物、
酸化還元対のイオンが溶解した溶液(電解液)、酸化還
元対の溶液をポリマーマトリクスのゲルに含浸したいわ
ゆるゲル電解質組成物、固体電解質組成物等が挙げら
れ、(ii)固体中のキャリアー移動が関わる電荷輸送材料
としては、電子輸送材料や正孔(ホール)輸送材料等が
挙げられる。これらの電荷輸送材料は複数併用してもよ
い。本発明では、電荷輸送層に溶融塩電解質組成物を用
いるのが好ましく、イミダゾリウム塩を主体とし揮発性
成分を含まない室温溶融塩電解質組成物を用いるのが特
に好ましい。
【0068】(1)溶融塩電解質組成物 溶融塩電解質組成物は溶融塩を含む。溶融塩電解質組成
物は常温で液体であるのが好ましい。主成分である溶融
塩は室温において液状であるか、又は低融点の電解質で
あり、その一般的な例としてはWO95/18456号、特開平8-
259543号、電気化学, 第65巻, 11号, 923頁 (1997年)等
に記載のピリジニウム塩、イミダゾリウム塩、トリアゾ
リウム塩等が挙げられる。溶融塩の融点は50℃以下であ
るのが好ましく、25℃以下であるのが特に好ましい。溶
融塩の具体例は特開2001-320068号の段落番号0066〜008
2に詳しく記載されている。
【0069】溶融塩は単独で使用しても2種以上混合し
て使用してもよい。また、LiI、NaI、KI、LiBF4、CF3CO
OLi、CF3COONa、LiSCN、NaSCN等のアルカリ金属塩を併
用することもできる。アルカリ金属塩の添加量は、組成
物全体に対して2質量%以下であるのが好ましく、1質
量%以下がさらに好ましい。また、溶融塩電解質組成物
に含まれるアニオンの50モル%以上がヨウ化物イオンで
あることが好ましい。
【0070】通常、溶融塩電解質組成物はヨウ素を含有
する。ヨウ素の含有量は、溶融塩電解質組成物全体に対
して0.1〜20質量%であるのが好ましく、0.5〜5質量%
であるのがより好ましい。
【0071】溶融塩電解質組成物の揮発性は低いことが
好ましく、溶媒を含まないことが好ましい。溶媒を添加
する場合でも、溶媒の添加量は溶融塩電解質組成物全体
に対して30質量%以下に留めることが好ましい。溶融塩
電解質組成物は後述のようにゲル化して使用してもよ
い。
【0072】(2)電解液 電解液は電解質、溶媒及び添加物から構成されることが
好ましい。電解液に用いる電解質の例としては、I2とヨ
ウ化物(LiI、NaI、KI、CsI、CaI2等の金属ヨウ化物、
テトラアルキルアンモニウムヨーダイド、ピリジニウム
ヨーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモ
ニウム化合物ヨウ素塩等)の組み合わせ、Br2と臭化物
(LiBr、NaBr、KBr、CsBr、CaBr2等の金属臭化物、テト
ラアルキルアンモニウムブロマイド、ピリジニウムブロ
マイド等の4級アンモニウム化合物臭素塩等)の組み合
わせ、フェロシアン酸塩−フェリシアン酸塩やフェロセ
ン−フェリシニウムイオン等の金属錯体、ポリ硫化ナト
リウム、アルキルチオール−アルキルジスルフィド等の
イオウ化合物、ビオロゲン色素、ヒドロキノン−キノン
等が挙げられる。中でも、I2とLiI又はピリジニウムヨ
ーダイド、イミダゾリウムヨーダイド等の4級アンモニ
ウム化合物ヨウ素塩を組み合わせた電解質が好ましい。
電解質は混合して用いてもよい。
【0073】電解液中の電解質濃度は好ましくは0.1〜1
0Mであり、より好ましくは0.2〜4Mである。また、電解
液にヨウ素を添加する場合の好ましいヨウ素の添加濃度
は0.01〜0.5Mである。
【0074】電解液に使用する溶媒は、粘度が低くイオ
ン移動度を向上したり、若しくは誘電率が高く有効キャ
リアー濃度を向上したりして、優れたイオン伝導性を発
現できる化合物であることが望ましい。このような溶媒
の例としては、エチレンカーボネート、プロピレンカー
ボネート等のカーボネート化合物、3-メチル-2-オキサ
ゾリジノン等の複素環化合物、ジオキサン、ジエチルエ
ーテル等のエーテル化合物、エチレングリコールジアル
キルエーテル、プロピレングリコールジアルキルエーテ
ル、ポリエチレングリコールジアルキルエーテル、ポリ
プロピレングリコールジアルキルエーテル等の鎖状エー
テル類、メタノール、エタノール、エチレングリコール
モノアルキルエーテル、プロピレングリコールモノアル
キルエーテル、ポリエチレングリコールモノアルキルエ
ーテル、ポリプロピレングリコールモノアルキルエーテ
ル等のアルコール類、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレン
グリコール、グリセリン等の多価アルコール類、アセト
ニトリル、グルタロジニトリル、メトキシアセトニトリ
ル、プロピオニトリル、ベンゾニトリル等のニトリル化
合物、ジメチルスルホキシド、スルフォラン等の非プロ
トン極性物質、水等が挙げられる。これらの溶媒は混合
して用いることもできる。
【0075】また、J. Am. Ceram. Soc., 80 (12) 3157
-3171 (1997)に記載されているようなtert-ブチルピリ
ジンや、2-ピコリン、2,6-ルチジン等の塩基性化合物を
前述の溶融塩電解質組成物や電解液に添加することが好
ましい。塩基性化合物を電解液に添加する場合の好まし
い濃度範囲は0.05〜2Mである。溶融塩電解質組成物に
添加する場合、塩基性化合物はイオン性基を有すること
が好ましい。溶融塩電解質組成物全体に対する塩基性化
合物の質量比は好ましくは1〜40質量%であり、より好
ましくは5〜30質量%である。
【0076】(3)ゲル電解質組成物 本発明では、ポリマー添加、オイルゲル化剤添加、多官
能モノマー類を含む重合、ポリマーの架橋反応等の手法
により、前述の溶融塩電解質組成物や電解液をゲル化
(固体化)させて使用することもできる。ポリマー添加
によりゲル化する場合は、“Polymer Electrolyte Revi
ews-1及び2”(J. R. MacCallumとC. A.Vincentの共
編、ELSEVIER APPLIED SCIENCE)に記載された化合物を
使用することができるが、特にポリアクリロニトリル及
びポリフッ化ビニリデンが好ましく使用できる。オイル
ゲル化剤添加によりゲル化する場合は工業科学雑誌(J.
Chem. Soc. Japan, Ind. Chem. Sec.), 46, 779 (194
3)、J. Am. Chem. Soc., 111, 5542 (1989)、J. Chem.
Soc., Chem. Commun., 1993, 390、Angew. Chem. Int.
Ed. Engl., 35, 1949 (1996)、Chem. Lett., 1996, 88
5、及びJ. Chem. Soc.,Chem. Commun., 1997, 545に記
載されている化合物を使用することができるが、アミド
構造を有する化合物を使用するのが好ましい。電解液を
ゲル化した例は特開平11-185863号に、溶融塩電解質を
ゲル化した例は特開2000-58140号にも記載されており、
これらも本発明に適用できる。
【0077】また、ポリマーの架橋反応によりゲル化さ
せる場合、架橋可能な反応性基を含有するポリマー及び
架橋剤を併用することが望ましい。この場合、好ましい
架橋可能な反応性基は、アミノ基、含窒素複素環(ピリ
ジン環、イミダゾール環、チアゾール環、オキサゾール
環、トリアゾール環、モルホリン環、ピペリジン環、ピ
ペラジン環等)であり、好ましい架橋剤は、窒素原子に
対して求電子反応可能な2官能以上の試薬(ハロゲン化
アルキル類、ハロゲン化アラルキル類、スルホン酸エス
テル類、酸無水物、酸クロライド類、イソシアネート化
合物、α,β-不飽和スルホニル化合物、α,β-不飽和カ
ルボニル化合物、α,β-不飽和ニトリル化合物等)であ
る。特開2000-17076号及び同2000-86724号に記載されて
いる架橋技術も適用できる。
【0078】(4)正孔輸送材料 本発明では、溶融塩等のイオン伝導性電解質のかわり
に、有機固体正孔輸送材料、無機固体正孔輸送材料、或
いはこの両者を組み合わせた材料を使用することができ
る。
【0079】(a)有機正孔輸送材料 本発明において好ましく使用できる有機正孔輸送材料の
例としては、J. Hagen, et al., Synthetic Metal, 89,
215-220 (1997)、Nature, Vol.395, 8 Oct.,p583-585
(1998)、WO97/10617、特開昭59-194393号、特開平5-234
681号、米国特許第4,923,774号、特開平4-308688号、米
国特許第4,764,625号、特開平3-269084号、同4-129271
号、同4-175395号、同4-264189号、同4-290851号、同4-
364153号、同5-25473号、同5-239455号、同5-320634
号、同6-1972号、同7-138562号、同7-252474号、同11-1
44773号等に記載の芳香族アミン類、特開平11-149821
号、同11-148067号、同11-176489号等に記載のトリフェ
ニレン誘導体類等が挙げられる。また、Adv. Mater.,
9, No.7, p557 (1997)、Angew. Chem. Int. Ed. Engl.,
34, No.3, p303-307 (1995)、JACS, Vol.120, No.4, p6
64-672 (1998)等に記載のオリゴチオフェン化合物、K.
Murakoshi, et al., Chem. Lett. p471 (1997)に記載の
ポリピロール、“Handbook of Organic Conductive Mol
ecules and Polymers, Vol. 1,2,3,4”(NALWA著、WILE
Y出版)に記載のポリアセチレン及びその誘導体、ポリ
(p-フェニレン)及びその誘導体、ポリ(p-フェニレンビ
ニレン)及びその誘導体、ポリチエニレンビニレン及び
その誘導体、ポリチオフェン及びその誘導体、ポリアニ
リン及びその誘導体、ポリトルイジン及びその誘導体等
の導電性高分子も好ましく使用することができる。
【0080】Nature, Vol.395, 8 Oct., p583-585 (199
8)に記載されているように、ドーパントレベルをコント
ロールするためにトリス(4-ブロモフェニル)アミニウム
ヘキサクロロアンチモネートのようなカチオンラジカル
を含有する化合物を正孔輸送材料に添加してもよい。ま
た、酸化物半導体表面のポテンシャル制御(空間電荷層
の補償)を行うためにLi[(CF3SO2)2N]のような塩を添加
してもよい。
【0081】(b)無機正孔輸送材料 無機正孔輸送材料としてはp型無機化合物半導体を用い
ることができ、そのバンドギャップは好ましくは2eV以
上、より好ましくは2.5eV以上である。また、p型無機化
合物半導体のイオン化ポテンシャルは、色素の正孔を還
元するためには色素吸着電極のイオン化ポテンシャルよ
り小さいことが必要である。使用する色素によってp型
無機化合物半導体のイオン化ポテンシャルの好ましい範
囲は異なるが、一般に好ましくは4.5〜5.5eV、より好ま
しくは4.7〜5.3eVである。好ましいp型無機化合物半導
体は1価の銅を含む化合物半導体であり、その例として
はCuI、CuSCN、CuInSe2、Cu(In,Ga)Se2、CuGaSe2、Cu
2O、CuS、CuGaS2、CuInS2、CuAlSe2等が挙げられる。中
でも、CuI及びCuSCNが好ましく、CuIが最も好ましい。
他のp型無機化合物半導体の例としては、GaP、NiO、Co
O、FeO、Bi2O3、MoO2、Cr 2O3等が挙げられる。
【0082】(5)電荷輸送層の形成 電荷輸送層は2通りの方法のいずれかにより形成でき
る。1つは感光層の上に先に対極を貼り合わせておき、
その間隙に液状の電荷輸送層を挟み込む方法である。も
う1つは感光層上に直接電荷輸送層を付与する方法で、
対極はその後付与することになる。
【0083】前者の方法の場合、電荷輸送層を挟み込む
際には、浸漬等による毛管現象を利用する常圧プロセス
又は常圧より低い圧力にして間隙の気相を液相に置換す
る真空プロセスを利用できる。
【0084】後者の方法において、湿式の電荷輸送層を
用いる場合は、通常未乾燥のまま対極を付与しエッジ部
の液漏洩防止措置を施す。またゲル電解質組成物を用い
る場合には、これを湿式で塗布した後で重合等の方法に
より固体化してよい。固体化は対極を付与する前に行っ
ても後に行ってもよい。電解液、湿式有機正孔輸送材
料、ゲル電解質組成物等からなる電荷輸送層を形成する
場合は、前述の半導体微粒子層の形成方法と同様の方法
を利用できる。
【0085】固体電解質組成物や固体正孔輸送材料を用
いる場合には、真空蒸着法やCVD法等のドライ成膜処理
で電荷輸送層を形成し、その後対極を付与することもで
きる。有機正孔輸送材料は真空蒸着法、キャスト法、塗
布法、スピンコート法、浸漬法、電解重合法、光電解重
合法等により電極内部に導入することができる。無機固
体化合物はキャスト法、塗布法、スピンコート法、浸漬
法、電解析出法、無電解メッキ法等により電極内部に導
入することができる。
【0086】(D)対極 対極は前述の導電性支持体と同様に、導電性材料からな
る対極導電層の単層構造でもよいし、対極導電層と支持
基板から構成されていてもよい。対極導電層に用いる導
電剤の例としては、金属(白金、金、銀、銅、アルミニ
ウム、マグネシウム、インジウム等)、炭素、導電性金
属酸化物(インジウム−スズ複合酸化物、フッ素ドープ
酸化スズ等)等が挙げられる。この中でも白金、金、
銀、銅、アルミニウム及びマグネシウムが好ましい。対
極に用いる基板は、好ましくはガラス基板又はプラスチ
ック基板であり、これに上記の導電剤を塗布又は蒸着し
て用いることができる。対極導電層の厚さは特に制限さ
れないが、好ましくは3nm〜10μmである。対極導電層
の表面抵抗は低い程よく、好ましくは50Ω/□以下、よ
り好ましくは20Ω/□以下である。
【0087】導電性支持体と対極のいずれか一方又は両
方から光を照射してよいので、感光層に光が到達するた
めには、導電性支持体と対極の少なくとも一方が実質的
に透明であればよい。発電効率の向上の観点からは導電
性支持体を透明にして光を導電性支持体側から入射させ
るのが好ましい。この場合、対極は光を反射する性質を
有するのが好ましい。このような性質を得るためには、
対極として金属又は導電性酸化物を蒸着したガラス又は
プラスチック、或いは金属薄膜を使用してよい。
【0088】対極は電荷輸送層上に直接導電剤を塗布、
メッキ又は蒸着(PVD、CVD)するか、導電層を有する基
板の導電層側を貼り付けて設置すればよい。導電性支持
体の場合と同様に、特に対極が透明の場合には、対極の
抵抗を下げる目的で金属リードを用いるのが好ましい。
金属リードの好ましい態様は導電性支持体の場合と同じ
である。
【0089】(E)その他の層 対極と導電性支持体の短絡を防止するため、導電性支持
体と感光層の間には緻密な半導体の薄膜層を下塗り層と
して予め塗設しておくことが好ましい。この下塗り層に
より短絡を防止する方法は、電荷輸送層に電子輸送材料
や正孔輸送材料を用いる場合は特に有効である。下塗り
層は好ましくはTiO2、SnO2、Fe2O3、WO3、ZnO又はNb2O5
からなり、さらに好ましくはTiO2からなる。下塗り層
は、例えばElectrochim. Acta, 40, 643-652 (1995)に
記載のスプレーパイロリシス法や、スパッタ法等により
塗設することができる。下塗り層の膜厚は好ましくは5
〜1000nmであり、より好ましくは10〜500nmである。
【0090】また、導電性支持体と対極の一方又は両方
の外側表面、導電層と基板の間又は基板の中間に、保護
層、反射防止層等の機能性層を設けてもよい。これらの
機能性層の形成方法は、その材質に応じて塗布法、蒸着
法、貼り付け法等から適宜選択できる。
【0091】(F)光電変換素子の内部構造の具体例 上述のように、光電変換素子の内部構造は目的に合わせ
様々な形態が可能である。大きく2つに分ければ、両面
から光の入射が可能な構造と、片面からのみ可能な構造
が可能である。本発明の光電変換素子の好ましい内部構
造の例を、前述の図1及び図2〜図9に示す。
【0092】図2に示す構造は、透明導電層10aと透明
対極導電層40aとの間に、感光層20と電荷輸送層30とを
介在させたものであり、両面から光が入射する構造とな
っている。図3に示す構造は、透明基板50a上に一部金
属リード11を設け、その上に透明導電層10aを設け、下
塗り層60、感光層20、電荷輸送層30及び対極導電層40を
この順で設け、更に支持基板50を配置したものであり、
導電層側から光が入射する構造となっている。図4に示
す構造は、支持基板50上に導電層10を有し、下塗り層60
を介して感光層20を設け、更に電荷輸送層30と透明対極
導電層40aとを設け、一部に金属リード11を設けた透明
基板50aを金属リード11側を内側にして配置したもので
あり、対極側から光が入射する構造である。図5に示す
構造は、透明基板50a上に一部金属リード11を設け、更
に透明導電層10a(又は40a)を設けたもの1組の間に下
塗り層60、感光層20及び電荷輸送層30を介在させたもの
であり、両面から光が入射する構造である。図6に示す
構造は、透明基板50a上に透明導電層10a、下塗り層60、
感光層20、電荷輸送層30及び対極導電層40を設け、この
上に支持基板50を配置したものであり、導電層側から光
が入射する構造である。図7に示す構造は、支持基板50
上に導電層10を有し、下塗り層60を介して感光層20を設
け、更に電荷輸送層30及び透明対極導電層40aを設け、
この上に透明基板50aを配置したものであり、対極側か
ら光が入射する構造である。図8に示す構造は、透明基
板50a上に透明導電層10aを有し、下塗り層60を介して感
光層20を設け、更に電荷輸送層30及び透明対極導電層40
aを設け、この上に透明基板50aを配置したものであり、
両面から光が入射する構造となっている。図9に示す構
造は、支持基板50上に導電層10を設け、下塗り層60を介
して感光層20を設け、更に固体の電荷輸送層30を設け、
この上に一部対極導電層40又は金属リード11を有するも
のであり、対極側から光が入射する構造となっている。
【0093】[3]光電池 本発明の光電池は、上記本発明の光電変換素子に外部負
荷で仕事をさせるようにしたものである。光電池のう
ち、電荷輸送材料が主としてイオン輸送材料からなる場
合を特に光電気化学電池と呼び、また、太陽光による発
電を主目的とする場合を太陽電池と呼ぶ。
【0094】光電池の側面は、構成物の劣化や内容物の
揮散を防止するためにポリマーや接着剤等で密封するの
が好ましい。導電性支持体及び対極にリードを介して接
続する外部回路自体は公知のものでよい。
【0095】本発明の光電変換素子を太陽電池に適用す
る場合も、そのセル内部の構造は基本的に上述した光電
変換素子の構造と同じである。また、本発明の光電変換
素子を用いた色素増感型太陽電池は、従来の太陽電池モ
ジュールと基本的には同様のモジュール構造をとりう
る。太陽電池モジュールは、一般的には金属、セラミッ
ク等の支持基板の上にセルが構成され、その上を充填樹
脂や保護ガラス等で覆い、支持基板の反対側から光を取
り込む構造をとるが、支持基板に強化ガラス等の透明材
料を用い、その上にセルを構成してその透明の支持基板
側から光を取り込む構造とすることも可能である。具体
的には、スーパーストレートタイプ、サブストレートタ
イプ、ポッティングタイプと呼ばれるモジュール構造、
アモルファスシリコン太陽電池等で用いられる基板一体
型モジュール構造等が知られており、本発明の光電変換
素子を用いた色素増感型太陽電池も使用目的や使用場所
及び環境により、適宜モジュール構造を選択できる。具
体的には、特願平11-8457号、特開2000-268892号等に記
載の構造や態様とすることが好ましい。
【0096】
【実施例】以下、本発明を実施例によって具体的に説明
するが、本発明はそれらに限定されるものではない。
【0097】1.二酸化チタン粒子塗布液の作製 オートクレーブ温度を230℃にしたこと以外はバルベら
のジャーナル・オブ・アメリカン・セラミック・ソサエ
ティ, 第80巻, 3157頁に記載の方法と同様の方法で、二
酸化チタン濃度が11質量%の二酸化チタン粒子分散物を
得た。この分散物中の二酸化チタン粒子の平均粒径は約
10nmであった。この分散物に二酸化チタンに対して20質
量%のポリエチレングリコール(分子量20000、和光純
薬製)を添加し、混合して二酸化チタン粒子塗布液を得
た。
【0098】2.二酸化チタン電極の作製 フッ素をドープした酸化スズをコーティングした透明導
電性ガラス(日本板硝子製、表面抵抗:約10Ω/cm2
の導電面側に上記二酸化チタン粒子塗布液をドクターブ
レードで120μmのウェット厚みで塗布し、25℃で30分間
乾燥した後、電気炉(ヤマト科学製「マッフル炉FP-32
型」)を用いて450℃で30分間加熱処理して二酸化チタ
ン層を形成し、二酸化チタン電極を得た。透明導電性ガ
ラスの単位面積あたりの二酸化チタン塗布量は16.5g/m2
であり、二酸化チタン層の膜厚は約11.5μmであった。
【0099】3.色素の吸着 上記二酸化チタン電極を10mm×12mmの大きさに切断し
た。ただし、二酸化チタン層の大きさは10mm×10mmとし
た。これを下記色素1及びアニオン性化合物S-1を含有
する色素吸着液に3時間浸漬した。浸漬は振とう機で振
とうしながら行った。色素吸着液の温度は45℃とし、色
素吸着液の溶媒としてはエタノール、2-メチル-2-プロ
パノール及びアセトニトリルの混合溶媒(エタノール:
2-メチル-2-プロパノール:アセトニトリル=1:1:
2(体積比))を用いた。浸漬後、エタノール及びアセ
トニトリルで順次洗浄し、暗所・窒素気流下で乾燥して
色素吸着二酸化チタン電極E-4を得た。また、アニオン
性化合物を下記表1に示すように変えたこと以外は電極
E-4の作製と同様にして、電極E-1〜E-3及びE-5〜E-15を
それぞれ作製した。
【0100】
【化5】
【0101】
【表1】
【0102】4.光電変換素子の作製 上記電極E-1を15mm×20mmの白金蒸着ガラスと重ね合わ
せた。次に、両ガラスの隙間に毛細管現象を利用して電
解液(ヨウ化1,3-ジメチルイミダゾリウム(0.6mol/
l)、ヨウ化リチウム(0.1mol/l)及びヨウ素(0.05mol
/l)のアセトニトリル溶液)をしみこませ、比較用の光
電変換素子C-1を作製した。この光電変換素子は、図10
に示すような、導電性ガラス1(ガラス2上に導電層3
を設けたもの)、色素吸着二酸化チタン層4、電荷輸送
層5、白金層6及びガラス7が順に積層された構造を有
する。電極E-1に換えて下記表2に示す電極を用いたこ
と以外は光電変換素子C-1の作製と同様にして、比較用
の光電変換素子C-2及びC-3、並びに本発明の光電変換素
子C-4〜C-15をそれぞれ作製した。
【0103】5.光電変換効率の評価 500Wのキセノンランプ(ウシオ製)の光を分光フィルタ
ー(Oriel社製「AM1.5」)を通すことにより模擬太陽光
を発生させた。この模擬太陽光の強度は垂直面において
100mW/cm2であった。各光電変換素子C-1〜C-15の導電性
ガラスの端部に銀ペーストを塗布して負極とし、この負
極と白金蒸着ガラス(正極)を電流電圧測定装置(ケー
スレーSMU238型)に接続した。各光電変換素子に模擬太
陽光を垂直に照射しながら電流電圧特性を測定し、光電
変換効率を求めた。表2に各光電変換素子の変換効率を
示す。
【0104】
【表2】
【0105】表2に示した通り、比較例の光電変換素子
C-1〜C-3と比較して、本発明の光電変換素子C-4〜C-15
は優れた変換効率を示した。
【0106】
【発明の効果】以上詳述したように、スルホンイミド基
を有するアニオン性化合物の存在下で半導体微粒子に色
素を吸着させることによって、優れた変換効率を示す色
素増感光電変換素子及び光電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図2】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図3】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図4】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図5】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図6】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図7】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図8】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図9】 本発明の好ましい光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【図10】 実施例で作製した光電変換素子の構造を示す
部分断面図である。
【符号の説明】
10・・・導電層 10a・・・透明導電層 11・・・金属リード 20・・・感光層 21・・・半導体微粒子 22・・・色素 23・・・電荷輸送材料 30・・・電荷輸送層 40・・・対極導電層 40a・・・透明対極導電層 50・・・基板 50a・・・透明基板 60・・・下塗り層 1・・・導電性ガラス 2・・・ガラス 3・・・導電層 4・・・色素吸着二酸化チタン層 5・・・電荷輸送層 6・・・白金層 7・・・ガラス

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 スルホンイミド基を有するアニオン性化
    合物の存在下で半導体微粒子に色素を吸着させることを
    特徴とする色素吸着半導体微粒子の製造方法。
  2. 【請求項2】 スルホンイミド基を有するアニオン性化
    合物の存在下で色素を吸着させたことを特徴とする色素
    吸着半導体微粒子。
  3. 【請求項3】 請求項2に記載の色素吸着半導体微粒子
    を担持した電極、電荷輸送層及び対極を含むことを特徴
    とする光電変換素子。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の光電変換素子を含むこ
    とを特徴とする光電池。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007506283A (ja) * 2003-09-17 2007-03-15 ザ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ カリフォルニア 可溶性共役ポリマーを含む方法及びデバイス
JP2014143118A (ja) * 2013-01-25 2014-08-07 Daicel Corp 光電変換素子用組成物および光電変換素子
JP2016210761A (ja) * 2015-04-28 2016-12-15 信越化学工業株式会社 オニウム塩、レジスト組成物及びパターン形成方法

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