JP2003249216A - リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム遷移金属複合酸化物、リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池

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JP2003249216A
JP2003249216A JP2002046414A JP2002046414A JP2003249216A JP 2003249216 A JP2003249216 A JP 2003249216A JP 2002046414 A JP2002046414 A JP 2002046414A JP 2002046414 A JP2002046414 A JP 2002046414A JP 2003249216 A JP2003249216 A JP 2003249216A
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lithium
transition metal
composite oxide
positive electrode
metal composite
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JP2002046414A
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English (en)
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Takeshi Sueyoshi
剛 末吉
Koji Shima
耕司 島
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Mitsubishi Chemical Corp
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Mitsubishi Chemical Corp
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Abstract

(57)【要約】 【目的】 初期効率に優れ、不可逆容量の小さいリチウ
ム遷移金属複合酸化物を得る。 【構成】 リチウムと遷移金属とを含有するリチウム遷
移金属複合酸化物前駆体から化学的にLiを除去するこ
とによって得たリチウム遷移金属複合酸化物をリチウム
二次電池の正極として用いる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウム二次電池
の正極活物質として有用なリチウム遷移金属複合酸化物
リチウム二次電池用正極及びリチウム二次電池に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】近年、携帯用電子機器、通信機器の小型
化、軽量化に伴い、その電源として高出力、高エネルギ
ー密度である二次電池が求められている。また、自動車
用動力源としても、上記の特徴を有する二次電池が求め
られている。特にリチウム二次電池は上記の要件を満た
すため、その開発が急速に行われている。
【0003】リチウム二次電池の正極活物質としては、
LiCoO2、LiNiO2、LiMn24等のリチウム
複合酸化物が提案され、研究が盛んに行われている。こ
れらの中でも、合成の容易性、作動電圧、放電容量等の
観点より、LiCoO2が主に用いられている。しかし
Coは資源的に乏しく高価な元素であるという問題があ
る。それに対し、LiNiO2ようなリチウムニッケル
複合酸化物はCoと比較して原料のコスト面で優れ、L
iCoO2を上回る放電容量が得られる可能性があるた
め期待がもたれている。
【0004】しかしながら、上記のようないずれのリチ
ウム複合酸化物においても、特にはリチウムニッケル複
合酸化物においては、初期充電容量(Q1stc)と初期放
電容量(Q1std)の差である不可逆容量Qirr(Q1stc
−Q1std)が大きく、初期効率C.E.(Q1std/Q
1stc)が小さいという問題がある。つまり、Liを吸蔵
する負極は安全性の観点より初期充電容量Q1stcによっ
て決まるのに対し、実際に使用できる容量は初期放電容
量Q1stdであるため、電池としてのエネルギー体積密度
が低下するという問題である。かかる問題は、放電状態
(例えばLixNiO2においてXが1)付近では分極が
増大するため、Liをインサートできないためであると
の指摘がなされている(例えば、J.Solid St
ateChem. 136(1998) p.8、J.
Electrochem.Soc. 147(200
0) p.3598)。
【0005】このような問題を解決するために、LiN
iO2におけるNiサイトのCo置換等のリチウム遷移
金属複合酸化物の遷移金属サイトの他元素置換も検討さ
れいるが、その効果は未だ十分とはいえない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記のように、リチウ
ム遷移金属酸化物、特にリチウムニッケル複合酸化物は
放電容量、資源的な側面より魅力的な材料であるが、後
述する比較例1に示すように初期効率85%以下、不可
逆容量30mAh/g以上程度にとどまっている。従っ
て、電池としてのエネルギー密度を向上させるために初
期効率の向上、不可逆容量の低減を図る必要がある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記リチ
ウム遷移金属複合酸化物の改良について鋭意検討した結
果、リチウム遷移金属複合酸化物より予めLiを化学的
に除去(アンドープ)することによって初期充電容量Q
1stcを予め抑制することにより、初期効率、不可逆容量
が改善できることにを見出し本発明を完成させた。即
ち、請求項1に係る発明は、初期効率が90%以上であ
ることを特徴とするリチウム遷移金属酸化物に関するも
のである。
【0008】請求項2に係る発明は、不可逆容量が25
mAh/g以下であることを特徴とするリチウム遷移金
属酸化物に関するものである。請求項3に係る発明は、
請求項1又は2において、遷移金属がコバルト、ニッケ
ル、マンガンの少なくとも一つを含むことを特徴とする
リチウム遷移金属複合酸化物に関するものである。
【0009】請求項4に係る発明は、請求項1乃至3の
いずれか1つにおいて、リチウム遷移金属酸化物が、下
記一般式(I)で表されることを特徴とするリチウム遷
移金属複合酸化物に関するものである。
【0010】
【化2】LiXNiY(1-Y)2 (I) (式中、Xは0.5≦X≦1.2の範囲の数を表す。Y
は、0.1≦Y≦0.95の範囲の数を表す。QはC
o、Al、Fe、Mn、Mg、Ga、Ti及びCaから
なる群から選ばれる少なくとも一種を表す。) 請求項5に係る発明は、請求項1乃至4のいずれか1つ
において、リチウム遷移金属酸化物が、リチウムと遷移
金属とを含有するリチウム遷移金属複合酸化物前駆体か
ら化学的にLiを除去することによって得られたもので
あることを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物に関
するものである。
【0011】請求項6に係る発明は、リチウムと遷移金
属とを含有するリチウム遷移金属複合酸化物前駆体から
化学的にLiを除去することによって得られたリチウム
遷移金属複合酸化物に関するものである。請求項7に係
る発明は、リチウムと遷移金属とを含有するリチウム遷
移金属複合酸化物前駆体から化学的にLiを除去するこ
とを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物の製造方法
に関するものである。
【0012】請求項8に係る発明は、請求項1乃至6の
いずれか1つのリチウム遷移金属複合酸化物とバインダ
ーとを含有するリチウム二次電池用正極に関するもので
ある。請求項9に係る発明は、請求項1乃至6のいずれ
か1つのリチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質とし
て用いた正極と負極と電解質層とを有するリチウム二次
電池に関するものである。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明のリチウム遷移金属複合酸
化物はリチウム二次電池正極活物質として機能する、リ
チウムと遷移金属とを含有する酸化物であれば特に制限
はなく、例えば、基本組成としてLiXMO2やLiX2
4と表される各種のものを例示できる(Xは0−1.
2程度の数、Mは遷移金属を表す)。中でも、該遷移金
属がコバルト、ニッケル、マンガンの少なくとも一つを
含むリチウム遷移金属複合酸化物が実用性、作動電圧等
の面で好ましい。その中でも、層状の結晶構造を有する
リチウムコバルト複合酸化物、リチウムニッケル複合酸
化物及びリチウムマンガン複合酸化物、スピネル構造を
有するリチウムマンガン複合酸化物が好ましい。特にリ
チウムニッケル複合酸化物は、コストや容量面だけでな
く、本発明の効果が顕著である点で特に好ましい。
【0014】本発明で使用されるリチウムニッケル複合
酸化物は、通常層状の結晶構造を有し、リチウムとニッ
ケルと必要に応じてリチウム及びニッケル以外の他の元
素を有する酸化物であり、通常下記一般式(I)で示さ
れる。
【0015】
【化3】LiXNiY(1-Y)2 (I) ここで、Xの値は通常1.2以下、好ましくは1.05
以下、さらに好ましくは1.00以下、より好ましくは
0.95以下である。また、Xの値は通常0.5以上、
好ましくは0.7以上、さらに好ましくは0.75以
上、より好ましくは0.80以上である。Xが大きすぎ
ると、不可逆容量Qirrが増大するという問題が生じや
すく、Xが小さすぎると初期放電容量Q1stdが減少する
という問題が生じるやすい。
【0016】Yの値は通常0.1以上、好ましくは0.
5以上、さらに好ましくは0.6以上、より好ましくは
0.7以上とする。また、Yの値は通常0.95以下、
好ましくは0.9以下である。Yの値が小さすぎる、換
言すれば置換元素Qの量が多すぎると、リチウムニッケ
ル複合酸化物を正極活物質として使用したリチウム二次
電池の電池容量が低下する傾向にある。ただし、Yの値
が大きすぎる、換言すれば置換元素Qの置換割合が少な
すぎると、不可逆容量Qirrが増大し、初期効率C.
E.が低下しやすい。
【0017】Qはリチウム及びニッケル以外の元素(置
換元素)を表し、通常Al、Co、Mn、Fe、Mg、
Ga、Ti及びCaからなる群から選ばれる少なくとも
一種を表す。これらのうち好ましいのは、Co、Al、
Mn及びMgである。Co、Al及びMnは、LiNi
2に対して容易に固溶し、単一相のリチウム遷移金属
複合酸化物として合成することができる。更に、Co及
びAlに関しては、得られるリチウム遷移金属複合酸化
物を正極活物質として用いたリチウム二次電池が高性能
な電池特性、特に繰り返し充放電を行った際の放電容量
維持率について良好な性能を示す。特に、置換元素Qが
Mnを含む場合には電池の安全性の改善、ガス発生の抑
制を図ることができるという利点がある一方、不可逆容
量が増加し初期効率が低下する傾向にあるため、化学的
なLiの除去による手法は特に有効である。
【0018】なお、上記一般式(I)の組成において、
置換元素Qとして複数の元素を併用することができる。
また酸素量に多少の不定比性があってもよい。本発明の
リチウム遷移金属複合酸化物は、リチウム遷移金属複合
酸化物前駆体から化学的にLiを除去することによって
得られる。リチウム遷移金属複合酸化物前駆体は、通
常、従来一般に化学的に合成されてきたリチウム遷移金
属複合酸化物である。例えば、リチウム遷移金属複合酸
化物の基本組成をLiXMO2又はLiX24で表した
場合(Xは0−1.2程度の数、Mは遷移金属を表
す)、その前駆体はそれぞれ順にLiX`MO2又はLi
X'24で表す(ここでX<X‘である)ことができ
る。
【0019】リチウムニッケル複合酸化物を前記一般式
(I)で表した場合、リチウムニッケル複合酸化物前駆
体は下記一般式(II)で表すことができる。
【0020】
【化4】 LiX'NiY'(1-Y')2 (II) (式中、Xは0.5≦X’≦1.2であってX<X’の
関係を満たす数を表す。Y’は、0.1≦Y’≦0.9
5の関係を満たす数を表す。QはCo、Al、Fe、M
n、Mg、Ga、Ti及びCaからなる群から選ばれる
少なくとも一種を表す。) 本発明における化学的なLiの除去(Liのアンドー
プ)とは、電気化学的な充電等によるものではなく、化
学反応によるものである。その方法については特に制限
はないが、溶媒中でLiと反応しLi化合物を生成する
物質と反応させてもよいし、酸化剤と反応させることに
よりNiの価数を増加させ、Liを溶出させてもよい。
溶媒を使用する場合、溶媒の種類に特に制限はないが、
水、有機溶媒、その混合物を挙げることができる。有機
溶媒としては、アルコール、鎖状カーボネート、環状カ
ーボネート、ラクトン、エステル、エーテル及びこれら
の混合物が挙げられる。酸化剤としては、高原子価の金
属塩、例えばCe(IV)、Mn(VII)、V(V)、Mo
(VI)を含有する化合物が好ましく、硫酸セリウム
(IV)、過マンガン酸カリウム(VII)、メタバナ
ジン酸アンモニウム(V)、パラモリブデン酸アンモニ
ウム(VI)などが挙げられる。Liと反応する化合物
としては、シュウ酸、酒石酸などのカルボン酸が挙げら
れる。反応は、加熱下行ってもよい。
【0021】反応の方法としては、反応槽中に溶媒とリ
チウム遷移金属複合酸化物前駆体を加え、撹拌下、酸化
剤又はLiと反応しLi化合物を生成する物質を添加す
る方法を挙げることができる。酸化剤又はLiと反応し
Li化合物を生成する物質は、溶媒に溶解又はけん濁さ
せて滴下するのが好ましい。反応槽を加熱する場合には
還流塔を用いるのが好ましい。
【0022】また、リチウムマンガン複合酸化物と酸化
剤又はLiと反応しLi化合物を生成する物質とを乾式
で混合し、加熱もしくは焼成することによって化学的に
Liを除去することもできる。上記のようなLIの化学
的な除去を行うことによって、初期効率を90%以上と
することができる。初期効率は、好ましくは92%以
上、さらに好ましくは94%以上、最も好ましくは95
%以上であり、高いほど好ましいが、ほぼ100%のも
のは現実的ではないので、通常99.5%以下、特に9
9%以下である。また、上記のようなLIの化学的な除
去を行うことによって、不可逆容量を25mAh/g以
下とすることができる。不可逆容量は、好ましくは20
mAh/g以下、さらに好ましくは15mAh/g以
下、最も好ましくは10mAh/g以下であり、小さい
ほど好ましいが、ほぼ0%のものは現実的ではないの
で、通常0.1mAh/g以上、特に1mAh/g以上
である。
【0023】なお、初期効率及び不可逆容量を求めるた
めの初期充電容量及び初期放電容量は、対極リチウムと
した場合の値として求めることができる。具体的には、
上記リチウム遷移金属複合酸化物を用いた正極を試験極
とし、対極をリチウム金属としたコインセルを作成した
上で、これに0.2mA/cm2の定電流充電を上限
4.3Vで行い、さらに4.3Vの定電圧充電を1.5
時間行ったときの正極活物質単位重量当たりの容量を初
期充電容量Q1stcとし、ついで、0.5mA/cm2
定電流放電を下限3.0Vで行い、その際の正極活物質
単位重量当たりの容量を初期放電容量Q1stdとすること
ができる。
【0024】リチウム遷移金属複合酸化物の粉体充填密
度(200回タップ後のタップ密度)は通常0.7g/
cm2以上、2.8g/cm3以下である。粉体充填密度
が低すぎると電極の体積当たり容量が低いため、電池と
しての容量が低下する。リチウム遷移金属複合酸化物の
比表面積は、通常7m2/g以下、0.2g/cm3以上
である。比表面積が高すぎると重量当たり一定量の導電
剤を加える際に導電マトリックスが形成し難いという問
題が生じ、低すぎると粗大粒子化して高電流密度での容
量が低下する。
【0025】なお、本発明においては、前記リチウム遷
移金属複合酸化物の比表面積は、公知のBET式粉体比
表面積測定装置によって測定される。この方法の測定原
理は下記の通りである。すなわち、測定方式は連続流動
法によるBET1点法測定であり、使用する吸着ガス及
びキャリアガスは窒素、空気、ヘリウムである。粉体試
料を混合ガスにより450℃以下の温度で過熱脱気し、
次いで液体窒素により冷却して混合ガスを吸着させる。
これを水により加温して吸着された窒素ガスを脱着さ
せ、熱伝導度検出器によって検出し、脱着ピークとして
その量を求め、試料の比表面積として算出する。
【0026】リチウム遷移金属複合酸化物は、平均1次
粒径としては、通常0.01μm以上、好ましくは0.
02μm以上、更に好ましくは0.1μm以上、通常3
0μm以下、好ましくは5μm以下、更に好ましくは2
μm以下である。また、平均2次粒径は通常1μm以
上、好ましくは4μm以上、通常50μm以下、好まし
くは40μm以下である。
【0027】本発明におけるリチウム遷移金属複合酸化
物前駆体は、例えば、リチウムと遷移金属と必要に応じ
て他金属元素とを含む原料を焼成することによって製造
することができる。原料として使用するリチウム源とし
ては、例えば、Li2CO3、LiNO3、LiOH、L
iOH・H2O、ジカルボン酸リチウム、クエン酸リチ
ウム、脂肪酸リチウム、アルキルリチウム、リチウムハ
ロゲン化物等の各種のリチウム化合物を挙げることがで
きる。より具体的には、例えば、Li2CO3、LiNO
3、LiOH、LiOH・H2O、LiCl、LiI、酢
酸Li、Li2O等を挙げることができる。これらリチ
ウム原料の中で好ましいのは、Li2CO3、LiN
3、LiOH・H2O、酢酸Li等の水溶性のリチウム
化合物である。これらの水溶性化合物は、例えば、分散
媒として水を使用したスラリー中に溶解させることによ
って容易に良好な特性を有するリチウム遷移金属複合酸
化物を得ることもできる。また、焼成処理の際にNOx
及びSOx等の有害物質を発生させない点で、窒素原子
や硫黄原子を含有しないリチウム化合物が好ましい。
【0028】遷移金属源としては、遷移金属元素の水酸
化物、酸化物、オキシ水酸化物、炭酸塩、硝酸塩、硫酸
塩、ハロゲン化物、有機酸塩等各種のものを用いること
ができる。例えば、ニッケル源としては、Ni(OH)
2、NiO、NiOOH、NiCO3・2Ni(OH)2
・4H2O、NiC24・2H2O、Ni(NO32・6
2O、NiSO4、NiSO4・6H2O、脂肪酸ニッケ
ル、及びニッケルハロゲン化物からなる群から選ばれた
少なくとも一種を挙げることができる。この中でも、焼
成処理の際にNOx及びSOx等の有害物質を発生させ
ない点で、窒素原子や硫黄原子を含有しない、Ni(O
H)2、NiO、NiOOH、NiCO3・2Ni(O
H)2・4H2O、NiC24・2H2Oのようなニッケ
ル化合物が好ましい。また、さらに工業原料として安価
に入手できる観点、及び反応性が高いという観点から、
特に好ましいのはNi(OH)2、NiO、NiOOH
である。無論、ニッケル源として複数種のものを使用し
てもよい。
【0029】コバルト源としては、例えば、Co(O
H)2、CoO、Co23、Co34、Co(OAc)2
・4H2O、CoCl2、Co(NO32・6H2O、及
びCo(SO42・7H2O等の各種のコバルト化合物
を挙げることができる。中でも、焼成工程の際にNOx
及びSOx等の有害物質を発生させない点で、Co(O
H)2、CoO、Co23、Co34が好ましく、さら
に好ましくは、工業的に安価に入手できる点及び反応性
が高い点でCo(OH)2である。無論複数のコバルト
化合物を使用することもできる。
【0030】鉄源としては、例えば、FeO(OH)、
Fe23、Fe34、FeCl2、FeCl3、FeC2
4・2H2O、Fe(NO33・9H2O、FeSO4
7H 2O及びFe2(SO43・nH2O等の各種の鉄化
合物を挙げることができる。中でも、焼成工程の際にN
Ox及びSOx等の有害物質を発生させない点で、Fe
O(OH)、Fe23、Fe34が好ましく、さらに好
ましくは、工業的に安価に入手できる点及び反応性が高
い点でFeO(OH)、Fe23である。無論複数の鉄
化合物を使用することもできる。
【0031】マンガン源としては、例えば、Mn34
Mn23、MnO2、MnCO3、Mn(NO32、Mn
SO4、マンガンオキシ水酸化物、マンガン水酸化物、
マンガンハロゲン化物、マンガン有機酸塩を挙げること
ができる。特に好ましいのはMn23である。置換元素
源としては、上記置換金属のオキシ水酸化物、酸化物、
水酸化物、ハロゲン物の他、炭酸塩、硝酸塩、硫酸塩等
の無機酸塩や、酢酸塩、シュウ酸塩等の有機酸塩を挙げ
ることができる。置換元素源として用いることができる
具体的なアルミニウム源としては、例えば、AlOO
H、Al23、Al(OH)3、AlCl3、Al(NO
33・9H 2O及びAl2(SO43等の各種のアルミニ
ウム化合物を挙げることができる。中でも、焼成工程の
際にNOx及びSOx等の有害物質を発生させない点
で、AlOOH、Al23及びAl(OH)3が好まし
く、さらに好ましくは、工業的に安価に入手できる点及
び反応性が高い点でAlOOHである。無論複数のアル
ミニウム化合物を使用することもできる。
【0032】置換元素源として用いることができる具体
的なマグネシウム源としては、例えば、Mg(O
H)2、MgO、Mg(OAc)2・4H2O、MgC
2、MgC24・2H2O、Mg(NO32・6H
2O、及びMgSO4等の各種のマグネシウム化合物を挙
げることができる。中でも、焼成工程の際にNOx及び
SOx等の有害物質を発生させない点で、Mg(OH)
2、MgOが好ましく、さらに好ましくは、工業的に安
価に入手できる点及び反応性が高い点でMg(OH)2
である。無論複数のマグネシウム化合物を使用すること
もできる。
【0033】置換元素源として用いることができる具体
的なカルシウム源としては、例えば、Ca(OH)2
CaO、Ca(OAc)2・H2O、CaCo3、Ca
2、CaC24・H2O、CaCl2、CaWO4、Ca
(NO32・4H2O、及びCaSO4・2H2O等の各
種のカルシウム化合物を挙げることができる。中でも、
焼成工程の際にNOx及びSOx等の有害物質を発生さ
せない点で、Ca(OH) 2、CaO、CaCo3が好ま
しく、さらに好ましくは、工業的に安価に入手できる点
及び反応性が高い点でCa(OH)2である。無論複数
のカルシウム化合物を使用することもできる。
【0034】リチウム、遷移金属及び置換元素の仕込時
のモル比は、目的とするリチウム遷移金属複合酸化物前
駆体の組成が得られるように適宜選択すればよい。リチ
ウム、遷移金属及び必要に応じて用いられる置換元素を
含む原料は、焼成処理される。焼成温度としては、原料
として使用されるリチウム源、遷移金属源等の種類によ
って異なるものの、通常700℃以上、好ましくは72
5℃以上、さらに好ましくは750℃以上、さらに好ま
しくは800℃以上であり、また通常1050℃以下、
好ましくは1000℃以下である。温度が低すぎる結晶
構造が充分に成長せず充放電容量が低下し、温度が高す
ぎるとLiの揮散や粗大粒子化といった問題が生じるた
め、正極活物質の単位重量あたりの放電容量が低下しや
すい。
【0035】焼成時間は温度によっても異なるが、通常
前述の温度範囲であれば30分以上、50時間以下であ
る。焼成時間が短すぎると結晶性の良いリチウム遷移金
属複合酸化物が得られにくくなり、また長すぎるのはあ
まり実用的ではない。焼成時間が長すぎると、また、そ
の後解砕が必要になったり、解砕が困難になったりする
ので、好ましくは25時間以下、さらに好ましくは20
時間以下である。
【0036】結晶欠陥が少ないリチウム遷移金属複合酸
化物の前駆体を得るためには、焼成反応後、ゆっくりと
冷却することが好ましく、例えば5℃/min.以下の
冷却速度で徐冷することが好ましい。焼成時の雰囲気
は、製造する化合物の組成や構造に応じて、空気等の酸
素含有ガス雰囲気や、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰
囲気とすることができるが、リチウムニッケル複合酸化
物の場合、ニッケルは原料の2価から目的生成物の3価
へ酸化される必要があることから、好ましくは空気、酸
素富化空気又は酸素である。
【0037】焼成に使用する加熱装置は、上記の温度、
雰囲気を達成できるものであれば特に制限はなく、例え
ば箱形炉、管状炉、トンネル炉、ロータリーキルン等を
使用することができる。なお、本発明においては、スラ
リー中の固形分の平均粒子径、噴霧乾燥後の造粒粒子の
平均粒子径、及びリチウム遷移金属複合酸化物の平均粒
子径は、公知のレーザー回折/散乱式粒度分布測定装置
によって測定される。 本発明のリチウム遷移金属複合
酸化物を正極活物質として、リチウム二次電池を作製す
ることができる。リチウム二次電池は、通常正極、負極
及び電解質層を有する。本発明の二次電池の一例として
は、正極、負極、電解液、セパレーターからなる二次電
池が挙げられ、この場合正極と負極との間には電解質が
存在し、かつセパレーターが正極と負極が接触しないよ
うにそれらの間に配置される。
【0038】正極は、通常前記リチウム遷移金属複合酸
化物とバインダーとを含有する。また、通常、正極は、
前記リチウム遷移金属複合酸化物とバインダーとを含有
する正極層を集電体上に形成してなる。このような正極
層は、リチウム遷移金属複合酸化物、バインダー及び必
要に応じて導電剤等を溶媒でスラリー化したものを正極
集電体に塗布し、乾燥することにより製造することがで
きる。
【0039】正極層中には、LiFePO4等のよう
に、リチウム遷移金属複合酸化物以外のリチウムイオン
を吸蔵・放出しうる活物質をさらに含有していてもよ
い。正極層中の活物質の割合は、通常10重量%以上、
好ましくは30重量%以上、さらに好ましくは50重量
%以上であり、通常99.9重量%以下、好ましくは9
9重量%以下である。多すぎると電極の機械的強度が劣
る傾向にあり、少なすぎると容量等電池性能が劣る傾向
にある。
【0040】また、正極に使用されるバインダーとして
は、例えば、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオ
ロエチレン、フッ素化ポリフッ化ビニリデン、EPDM
(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、SB
R(スチレン−ブタジエンゴム)、NBR(アクリロニ
トリル−ブタジエンゴム)、フッ素ゴム、ポリ酢酸ビニ
ル、ポリメチルメタクリレート、ポリエチレン、ニトロ
セルロース等が挙げられる。正極層中のバインダーの割
合は、通常0.1重量%以上、好ましくは1重量%以
上、さらに好ましくは5重量%以上であり、通常80重
量%以下、好ましくは60重量%以下、さらに好ましく
は40重量%以下、最も好ましくは10重量%以下であ
る。バインダーの割合が低すぎると、活物質を十分に保
持できずに正極の機械的強度が不足し、サイクル特性等
の電池性能を悪化させることがあり、一方高すぎると電
池容量や導電性を下げることがある。
【0041】正極層は、通常導電性を高めるため導電剤
を含有する。導電剤としては、天然黒鉛、人造黒鉛等の
黒鉛や、アセチレンブラック等のカーボンブラック、ニ
ードルコークス等の無定形炭素等の炭素材料を挙げるこ
とができる。正極中の導電剤の割合は、通常0.01重
量%以上、好ましくは0.1重量%以上、さらに好まし
くは1重量%以上であり、通常50重量%以下、好まし
くは30重量%以下、さらに好ましくは15重量%以下
である。導電剤の割合が低すぎると導電性が不十分にな
ることがあり、逆に高すぎると電池容量が低下すること
がある。
【0042】また、スラリー溶媒としては、バインダー
を溶解あるいは分散するものであれば特に制限はない
が、通常は有機溶剤が使用される。例えば、N−メチル
ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトア
ミド、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸メ
チル、アクリル酸メチル、ジエチルトリアミン、N−N
−ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンオキシド、
テトラヒドロフラン等を挙げることができる。また、水
に分散剤、増粘剤等を加えてSBR等のラテックスで活
物質をスラリー化することもできる。
【0043】正極層の厚さは、通常1〜1000μm、
好ましくは10〜200μm程度である。厚すぎると導
電性が低下する傾向にあり、薄すぎると容量が低下する
傾向にある。正極に使用する集電体の材質としては、ア
ルミニウム、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が用い
られ、好ましくはアルミニウムである。集電体の厚さ
は、通常1〜1000μm、好ましくは5〜500μm
程度である。厚すぎるとリチウム二次電池全体としての
容量が低下し、薄すぎると機械的強度が不足することが
ある。
【0044】なお、塗布・乾燥によって得られた正極層
は、活物質の充填密度を上げるためローラープレス等に
より圧密されるのが好ましい。二次電池の負極に使用さ
れる負極の活物質としては、リチウムやリチウムアルミ
ニウム合金等のリチウム合金であっても良いが、より安
全性が高く、リチウムを吸蔵、放出できる炭素材料が好
ましい。
【0045】前記炭素材料は特に限定されないが、黒鉛
及び、石炭系コークス、石油系コークス、石炭系ピッチ
の炭化物、石油系ピッチの炭化物、あるいはこれらピッ
チを酸化処理したものの炭化物、ニードルコークス、ピ
ッチコークス、フェノール樹脂、結晶セルロース等の炭
化物等及びこれらを一部黒鉛化した炭素材、ファーネス
ブラック、アセチレンブラック、ピッチ系炭素繊維等が
挙げられる。
【0046】更に、負極活物質として、SnO、SnO
2、Sn1-xxO(M=Hg、P、B、Si、Geまた
はSb、ただし0≦x<1)、Sn32(OH)2 、S
3- xx2(OH)2(M=Mg、P、B、Si、G
e、Sb又はMn、ただし0≦x<3)、LiSi
2、SiO2又はLiSnO2等を挙げることができ
る。なお、これらの中から選ばれる2種以上の混合物を
負極活物質として用いてもよい。
【0047】負極は通常、正極の場合と同様、負極層を
集電体上に形成されてなる。この際使用するバインダー
や、必要に応じて使用される導電剤等やスラリー溶媒と
しては、正極で使用するものと同様のものを使用するこ
とができる。また、負極の集電体としては、銅、ニッケ
ル、ステンレス鋼、ニッケルメッキ鋼等が使用され、好
ましくは銅が用いられる。
【0048】正極と負極との間にセパレーターを使用す
る場合は、微多孔性の高分子フィルムが用いられ、ポリ
テトラフルオロエチレン、ポリエステル、ナイロン、セ
ルロースアセテート、ニトロセルロース、ポリスルホ
ン、ポリアクリロニトリル、ポリフッ化ビニリデン、ポ
リプロピレン、ポリエチレン、ポリブテン等のポリオレ
フィン高分子を用いることができる。また、ガラス繊維
等の不織布フィルターや、ガラス繊維と高分子繊維との
不織布フィルターを用いることもできる。セパレータの
化学的及び電気化学的安定性は重要な因子である。この
点からポリオレフィン系高分子が好ましく、電池セパレ
ータの目的の一つである自己閉塞温度の点からポリエチ
レン製であることが望ましい。
【0049】ポリエチレンセパレーターの場合、高温形
状維持性の点から超高分子量ポリエチレンであることが
好ましく、その分子量の下限は好ましくは50万、さら
に好ましくは100万、最も好ましくは150万であ
る。他方分子量の上限は、好ましくは500万、更に好
ましくは400万、最も好ましくは300万である。分
子量が大きすぎると、流動性が低すぎて加熱された時セ
パレーターの孔が閉塞しない場合があるからである。
【0050】また、本発明のリチウム二次電池における
電解質層を構成する電解質には、例えば公知の有機電解
液、高分子固体電解質、ゲル状電解質、無機固体電解質
等を用いることができるが、中でも有機電解液が好まし
い。有機電解液は、有機溶媒と溶質から構成される。有
機溶媒としては特に限定されるものではないが、例えば
カーボネート類、エーテル類、ケトン類、スルホラン系
化合物、ラクトン類、ニトリル類、塩素化炭化水素類、
エーテル類、アミン類、エステル類、アミド類、リン酸
エステル化合物等を使用することができる。これらの代
表的なものを列挙すると、ジメチルカーボネート、ジエ
チルカーボネート、メチルエチルカーボネート、プロピ
レンカーボネート、エチレンカーボネート、ブチレンカ
ーボネート、ビニレンカーボネート、テトラヒドロフラ
ン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,4−ジオキサ
ン、4−メチル−2−ペンタノン、1,2−ジメトキシ
エタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクト
ン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオ
キソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスル
ホラン、アセトニトリル、プロピオニトリル、ベンゾニ
トリル、ブチロニトリル、バレロニトリル、1,2−ジ
クロロエタン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホ
キシド、リン酸トリメチル、リン酸トリエチル等の単独
もしくは二種類以上の混合溶媒が使用できる。
【0051】上述の有機溶媒には、電解質を解離させる
ために高誘電率溶媒が含まれることが好ましい。ここ
で、高誘電率溶媒とは、25℃における比誘電率が20
以上の化合物を意味する。高誘電率溶媒の中で、エチレ
ンカーボネート、プロピレンカーボネート及びそれらの
水素原子をハロゲン等の他の元素又はアルキル基等で置
換した化合物が電解液中に含まれることが好ましい。高
誘電率化合物の電解液に占める割合は、好ましくは20
重量%以上、更に好ましくは30重量%以上、最も好ま
しくは40重量%以上である。該化合物の含有量が少な
いと、所望の電池特性が得られない場合があるからであ
る。
【0052】またこの溶媒に溶解させる溶質として特に
限定されるものではないが、従来公知のいずれもが使用
でき、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiB
4、LiB(C654 、LiCl、LiBr、CH3
SO3Li、CF3SO3Li、LiN(SO2CF32
LiN(SO2252、LiC(SO2CF33、L
iN(SO3CF32等のリチウム塩が挙げられ、これ
らのうち少なくとも1種以上のものを用いることができ
る。また、CO2 、 N2O、CO、SO2 等のガスやポ
リサルファイドSx 2-など負極表面にリチウムイオンの
効率よい充放電を可能にする良好な皮膜を生成する添加
剤を任意の割合で上記単独又は混合溶媒に添加してもよ
い。
【0053】高分子固体電解質を使用する場合にも、高
分子としては、公知のものを用いることができる。特に
リチウムイオンに対するイオン導電性の高い高分子を使
用することが好ましく、例えば、ポリエチレンオキサイ
ド、ポリプロピレンオキサイド、ポリエチレンイミン等
が好ましく使用される。またこの高分子に対して上記の
溶質と共に、上記の溶媒を加えてゲル状電解質として使
用することも可能である。
【0054】無機固体電解質を使用する場合にも、この
無機物に公知の結晶質、非晶質固体電解質を用いること
ができる。結晶質の固体電解質としては例えば、Li
I、Li3N、Li1+xxTi2-x(PO43(M=A
l,Sc,Y,La)、Li0.5- 3xRE0.5+xTiO
3(RE=La,Pr,Nd,Sm)等が挙げられ、非
晶質の固体電解質としては例えば、4.9LiI−3
4.1Li2O−61B25,33.3Li2O−66.
7SiO2等の酸化物ガラスや0.45LiI−0.3
7Li2S−0.26B23,0.30LiI−0.4
2Li2S−0.28SiS 2等の硫化物ガラス等が挙げ
られる。これらのうち少なくとも1種以上のものを用い
ることができる。
【0055】
【実施例】以下、本発明を実施例を用いて更に説明する
が、本発明は、その要旨を超えない限り、以下の実施例
に制約されるものではない 実施例1 <リチウムニッケル複合酸化物前駆体の合成>LiOH
・H2O、NiO、水酸化コバルト(伊勢化学工業社
製、Coとして62.6wt%)、及びMn23をそれ
ぞれ最終的な層状リチウムニッケル複合酸化物中の組成
で、Li:Ni:Mn:Co=1.05:0.65:
0.15:0.20(モル比)となるように秤量し、こ
れに純水を加えて固形分濃度20重量%のスラリーを調
整した。このスラリーを攪拌しながら、循環式媒体攪拌
型湿式粉砕機を用いて、3時間粉砕した。
【0056】次にこのスラリーを4流体ノズル型スプレ
ードライヤーを用いて噴霧乾燥を行った。この時の乾燥
ガスとして空気を用いた。そして、噴霧乾燥により得ら
れた造粒粒子を875℃で10時間空気中で焼成するこ
とにより、ほぼ仕込みのモル比組成のリチウムとニッケ
ルとを含有する複合酸化物であるリチウムニッケル複合
酸化物前駆体を得た。
【0057】このリチウムニッケル複合酸化物前駆体の
粉末X線回折の結果より、六方晶に帰属されることを確
認した。 <前駆体の化学反応>上記により得られたリチウムニッ
ケル複合酸化物前駆体1gを、シュウ酸2水和物0.8
wt%含有エタノール溶液40g中に加え、1時間還流
した。その後、濾過及びエタノールによる洗浄を行い、
室温で一晩乾燥した後、120℃で3hr真空乾燥する
ことによりリチウムニッケル複合酸化物を得た。 <正極の作製と容量確認及びレート試験>活物質として
得られたリチウムニッケル複合酸化物を75重量%、ア
セチレンブラック20重量%、ポリテトラフルオロエチ
レンパウダー5重量%の割合で秤量したものを乳鉢で十
分混合し、薄くシート状にしたものを9mmφのポンチ
を用いて打ち抜いた。この際、全体重量は約8mgにな
るように調整した。これをAlのエキスパンドメタルに
圧着して正極とした。
【0058】得られた前記正極を試験極とし、Li金属
を対極としてコインセルを組んだ。即ち、正極缶の上に
正極(12mmφ)を置き、その上にセパレータとして
厚さ25μmの多孔性ポリエチレンフィルムを置き、ポ
リプロピレン製ガスケットで押さえた後、負極を置き、
厚み調整用のスペーサーを置いた後、非水電解液溶液と
して、1mol/Lの六フッ化リン酸リチウム(LiP
6)を溶解させたエチレンカーボネート(EC)とジ
エチルカーボネート(DEC)の体積分率3:7の混合
溶媒を電解液として用い、これを電池内に加えて十分し
み込ませた後、負極缶をのせ電池を封口した。
【0059】これに、0.2mA/cm2の定電流充
電、即ち正極からリチウムイオンを放出させる反応を上
限4.3Vで行い、さらに4.3Vの定電圧充電を1.
5時間行った。この時の正極活物質単位重量当たりの容
量を初期充電容量Q1stcとした。ついで、0.5mA/
cm2の定電流放電、即ち正極にリチウムイオンを吸蔵
させる反応を下限3.0Vで行い、その際の正極活物質
単位重量当たりの初期放電容量をQ1stdとした。結果を
表−1に示す。 比較例1 リチウムニッケル複合酸化物前駆体そのものを活物質と
したこと以外は実施例1と同様にして電池を作成し評価
した。結果を表−1に示す。
【0060】
【表1】
【0061】
【発明の効果】本発明によれば、初期効率に優れ、不可
逆容量の小さいリチウム遷移金属複合酸化物を得ること
ができる。
フロントページの続き Fターム(参考) 4G048 AA04 AB02 AC06 AE05 5H029 AJ03 AK03 AL02 AL06 AL07 AL08 AL12 AM02 AM03 AM04 AM05 AM07 AM16 CJ12 EJ12 HJ02 HJ16 HJ19 5H050 AA08 BA16 BA17 CA08 CA09 CB02 CB07 CB08 CB09 CB12 CB29 DA11 EA24 GA12 HA02 HA16 HA19

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 初期効率が90%以上であることを特徴
    とするリチウム遷移金属酸化物。
  2. 【請求項2】 不可逆容量が25mAh/g以下である
    ことを特徴とするリチウム遷移金属酸化物。
  3. 【請求項3】 請求項1又は2において、遷移金属がコ
    バルト、ニッケル、マンガンの少なくとも一つを含むこ
    とを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれか1つにおい
    て、リチウム遷移金属酸化物が、下記一般式(I)で表
    されることを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物。 【化1】LiXNiY(1-Y)2 (I) (式中、Xは0.5≦X≦1.2の範囲の数を表す。Y
    は、0.1≦Y≦0.95の範囲の数を表す。QはC
    o、Al、Fe、Mn、Mg、Ga、Ti及びCaから
    なる群から選ばれる少なくとも一種を表す。)
  5. 【請求項5】 請求項1乃至4のいずれか1つにおい
    て、リチウム遷移金属酸化物が、リチウムと遷移金属と
    を含有するリチウム遷移金属複合酸化物前駆体から化学
    的にLiを除去することによって得られたものであるこ
    とを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物。
  6. 【請求項6】 リチウムと遷移金属とを含有するリチウ
    ム遷移金属複合酸化物前駆体から化学的にLiを除去す
    ることによって得られたリチウム遷移金属複合酸化物。
  7. 【請求項7】 リチウムと遷移金属とを含有するリチウ
    ム遷移金属複合酸化物前駆体から化学的にLiを除去す
    ることを特徴とするリチウム遷移金属複合酸化物の製造
    方法。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至6のいずれか1つのリチウ
    ム遷移金属複合酸化物とバインダーとを含有するリチウ
    ム二次電池用正極。
  9. 【請求項9】 請求項1乃至6のいずれか1つのリチウ
    ム遷移金属複合酸化物を正極活物質として用いた正極と
    負極と電解質層とを有するリチウム二次電池。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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