JP2003238163A - 黒色複合酸化物粒子及びその製造方法 - Google Patents
黒色複合酸化物粒子及びその製造方法Info
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Abstract
ラスチック用の黒色顔料として好適であり、特に黒色度
に優れ、かつ耐熱性や耐酸化性の面で安定な鉄含有黒色
複合酸化物粒子粉末を提供する。 【解決手段】 マンガンを40〜60質量%、鉄を10
〜30質量%含有する非スピネル型鉄含有黒色複合酸化
物粒子粉末。マンガンが、少なくともMn2O3及び/
又はMnO2の形態で含まれている前記記載の鉄含有黒
色複合酸化物粒子粉末。JIS K5101−1991
に準拠した粉体の黒色度測定において、色差計によるL
値が25以下である前記記載の鉄含有黒色複合酸化物粒
子粉末。
Description
キ用、トナー用、ゴム・プラスチック用、ブラックマト
リックス形成用の黒色顔料として好適であり、特に、カ
ーボンブラック代替の非磁性トナー用や受像機器、各種
ディスプレイに使用されるフルカラー及びモノカラー発
光型フラットパネルディスプレイの表示パネルの遮光性
ブラックマトリックス形成用に好適である、黒色度に優
れ、かつ耐熱性や耐酸化性の面で安定な鉄含有黒色複合
酸化物粒子粉末に関する。
ラスチック用等に用いられる黒色顔料は、黒色度、色
相、着色力、隠ぺい力等の特性に優れ、かつ安価である
ことが求められており、カーボンブラックやマグネタイ
トをはじめとする酸化鉄系顔料、その他複合酸化物顔料
が用途に応じて利用されている。
化、高品質化の要求はとどまるところがなく、例えば、
前記カーボンブラックは、環境問題や人体に与える影響
等により、使用が差し控えられている。また、遮光性ブ
ラックマトリックス形成用途においては、高温焼成処理
を行う点、特にTFT用のブラックマトリックスにおい
ては高抵抗を必要とする点から見て、耐熱性に乏しく、
導電性を有するカーボンブラックは不向きである。一
方、マグネタイトをはじめとする酸化鉄系顔料において
は、カーボンブラックのような環境問題や人体に与える
影響は少ないものの、その黒色性は含有されるFeO品
位に左右され、しかも酸化により経時劣化を生じるとい
う問題点がある他、カーボンブラック同様に耐熱性に乏
しい。また、FeOを含有しないスピネル型酸化鉄系顔
料は。基本的に黒色性に乏しいという欠点がある。
なとおり、黒色顔料として好適な複合酸化物粒子粉末
は、黒色度もさることながら、耐熱性や耐酸化性の面で
安定であることが求められているが、未だ満足なものは
得られていないのが実情である。
ンキ用、トナー用、ゴム・プラスチック用、ブラックマ
トリックス形成用の黒色顔料として好適であり、特に黒
色度に優れ、かつ耐熱性や耐酸化性の面で安定な鉄含有
黒色複合酸化物粒子粉末を提供することにある。
結果、マンガン及び鉄を特定量含有する非スピネル型鉄
含有黒色複合酸化物粒子粉末であれば、前記課題を解決
できることを見出し、本発明を完成させた。
合酸化物粒子粉末は、マンガンを40〜60質量%、鉄
10〜30質量%含有することを特徴とする。
する。本発明の非スピネル型鉄含有黒色複合酸化物粒子
粉末は、マンガンを40〜60質量%、鉄を10〜30
質量%含有することを特徴とする。
は、マンガンを40〜60質量%、鉄を10〜30質量
%含有しており、かつ非スピネル型の形態であることが
重要である。
e2O3(Mは主に2価金属)の内、FeOFe2O3
(マグネタイト)は黒色度が高いが、BサイトのFe2+
が酸化されて、経時劣化を起こす上、耐熱性にも乏し
い。MがFe以外の金属元素の場合、黒色度の点でFe
OFe2O3より劣る。本発明の黒色複合酸化物粒子粉
末においては、かかるスピネル型フェライトの欠点を、
特定のマンガン量と鉄量を規定し、非スピネル型の酸化
鉄粒子で構成することにより、黒色顔料としての黒色度
をなるべく損なうことなく、かつ耐熱性や耐酸化性の面
で安定させている。
合、マンガンフェライト系のスピネル酸化物が生成した
り、マンガン及び鉄以外の成分の増加に伴い、黒色度の
低下を免れない。60質量%を超える場合、酸化物以外
の形態のマンガン成分が粒子中に存在することになり、
やはり色味に影響を及ぼす。
合、マンガンの成分量が相対的に増加し、Mn酸化物粒
成長が促進されるため、やはり色味に影響を及ぼす。ま
た、30質量%を超える場合、マグネタイト系のスピネ
ル酸化物が生成したり、酸化物以外の形態の鉄成分が粒
子中に存在し、やはり色味に影響を及ぼす。
は、マンガンが、少なくともMn2O3及び/又はMn
O2の形態で含まれていることが好ましい。この理由
は、マンガンは様々な酸化物形態を取り得るが、MnO
やMnOFe2O3等の形態では黒色度が劣るからであ
る。
は、マンガン/鉄のモル比が2〜6であることが好まし
い。この比が2未満の場合、マグネタイト系のスピネル
酸化物が生成し易くなり、6を超える場合、Mn酸化物
の粒成長が促進されるため、粒子が粗大化し隠蔽力が悪
化するという欠点がある。
は、JIS K5101−1991に準拠した粉体の黒
色度測定において、色差計によるL値が25以下である
ことが好ましい。このL値が25を超える場合、黒色度
が不良で、目的とする各種用途に不向きである。
は、粉末中の一次粒子フェレ径が0.01〜1μmであ
ることが好ましい。この一次粒子径が0.01μm未満
の場合、粉末粒子の凝集が著しく、分散等の操作上、不
都合であり、1μmを超える場合、粒径が大きすぎ、各
種用途に求められる仕様に不適となる。
は、非磁性トナー用途をはじめとする、非磁性材料を要
求される用途に対し、非磁性であることが好ましい。そ
の理由としては、磁性を要求されない用途であれば、磁
気凝集をなるべく軽減することにより、分散性改善効果
も期待できるからである。ちなみに非磁性とは、具体的
には外部磁場796kA/mにおける飽和磁化が10A
m2/Kg以下の、実質的に磁化レベルが相当低い特徴
を指す。
は、空気中で150℃、2時間の熱処理を行う前後のJ
IS K5101−1991に準拠した粉体の黒色度測
定において、色差計によるL値の変化△Lが2以下であ
ることが好ましい。この△L値が2を超える場合、耐熱
性が不良につき、耐熱性を要求される用途、特にトー
用、ブラックマトリックス用等の黒色顔料には不向きで
ある。
おいては、ブラックマトリックス用途等には、電気抵抗
が高い方が好ましく、具体的には、1×103Ω・cm
以上あるのが良い。導電性を有するカーボンブラック等
を、TFT用ブラックマトリックスとして使用した場
合、セル中の電圧低下を引き起こしてしまうので不具合
である。
の粒子形状は粒状(球状、六面体状、八面体状等)であ
れば特に限定されるものではない。
は、各種用途に要求される特性改善を目的として、ケイ
素、アルミニウム、ニッケル、亜鉛、チタン、ジルコニ
ウム、タングステン、モリブデン、リン等を1種又は2
種以上含有していても良い(上記成分については、原料
中に随伴する不可避成分を利用することもできる)。ま
た、粒子表面上に、単独被覆もしくは複合被覆形態でケ
イ素、アルミニウム、鉄、マンガン、マグネシウム、
銅、チタン、ニッケル、コバルト、亜鉛、クロム等の化
合物(酸化物、含水酸化物、水酸化物、酸化水酸化物
等)の1種又は2種以上を存在させても良い(上記成分
については、原料中に随伴する不可避成分を利用するこ
ともできる)。
は、分散性を向上させるために、粒子表面に、有機処理
剤等による表面処理を施したものであっても良い。
製造方法について述べる。本発明の黒色複合酸化物粒子
粉末の製造方法は、マンガン及び鉄塩を含む水溶液と、
塩基性水溶液とを中和混合し、1時間以上水酸化物含有
スラリーを保持した後、酸素含有ガス通気等により酸化
反応を行い、得られた酸化物沈殿含有スラリーを濾過、
洗浄、脱水、乾燥後、大気中、400〜600℃で熱処
理し、粉砕することにより製造できる。
性塩、もしくは金属や金属酸化物を酸で溶解させたもの
等が使用できる。また、塩基性水溶液も水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、アンモニア水、炭酸ナトリウム
等、強塩基、弱塩基にかかわらず、中和作用を有するも
のであれば特に限定されることはない。
水溶液と水酸化アルカリを混合し、pH10〜13、温
度20〜60℃にて攪拌中和する。この中和時のpHを
10〜13に保持することが重要で、pHが低すぎると
反応の進行が進まないのみならず、添加金属元素が粒子
中に取り込まれにくくなるし、pHが高すぎると複合酸
化物粒子の特性上の影響は少ないものの、コスト上不経
済である。
時間以上保持する。この保持・熟成は生成水酸化物の制
御を行う上で重要である。この保持・熟成を行わない
と、非スピネル型の黒色複合酸化物粒子粉末を得るのが
困難になる。
に酸素含有ガス、好ましくは空気を10〜50l/分に
て通気し、酸化反応を行う。この際の液温は20〜60
℃を保持する。
化物粒子前駆体なので、このままでは酸化が不十分であ
ったりして安定した状態を維持できない。従って、常法
の洗浄、濾過、乾燥、粉砕を経た後、400〜600℃
で熱処理を行う。
結晶性が低いことに起因すると目される黒度不良、特に
青みの足りない複合酸化物粒子が生成し、温度が高すぎ
ると、粒子の燒結が進み、凝集の多い複合酸化物粒子と
なる。
性ガス中かいずれでも良く、不活性ガス雰囲気とする場
合、窒素ガス、アルゴンガス、ヘリウムガス等を用いる
ことができる。
非磁性とするには、500℃未満で処理時間を短くすれ
ば非磁性粒子を得やすいので、その様に調整すれば良
い。
する。
g、硫酸第一鉄7水塩616gを温度20℃、5Lの水
に投入、攪拌し、溶解した。この水溶液と濃度500g
/Lの水酸化ナトリウム水溶液を混合し、pHを12に
維持しながら中和し、水酸化物沈殿を生成させた。そし
て、この水酸化物含有スラリーを40℃で1時間保持し
た。次に、上記水酸化物含有スラリーの温度を40℃に
維持しながら、空気を40L/分で吹き込みながら、3
時間酸化反応を行った。得られた酸化物沈殿について、
常法の濾過、洗浄、脱水、乾燥を行った後、得られた乾
燥物を大気中、550℃で12時間熱処理を行い、黒色
複合酸化物粒子粉末を得た。得られた黒色複合酸化物粒
子粉末について、下記の方法で諸特性を評価した。結果
を表1に示す。また、酸化物の形態については、得られ
た黒色複合酸化物粒子粉末及び比較対照されるスピネル
型標準試料のX線回折チャートを図1に示す。
回折線を測定し、形態の特定を行った。 (3)一次粒子径 SEM(走査型電子顕微鏡)で10万倍の写真を撮影し、
200個の粒子のフェレ径を測定し、平均値を求めた。 (4)黒色度 粉体の黒色度測定はJIS K5101−1991に準
拠して行った。試料2.0gにヒマシ油1.4ccを加え、フー
バー式マーラーで練りこむ。この練り込んだサンプル2.
0gにラッカー7.5gを加え、さらに練り込んだ後これを
ミラーコート紙上に4milのアプリケーターを用いて
塗布し、乾燥後、色差計(東京電色社製、カラーアナラ
イザーTC-1800型)にて、黒色度(L値)を測定し
た。 (5)耐熱性(耐酸化性加速試験) 試料を時計皿に入れ、通風型乾燥機(タバイエスペック
製オーブン PH−201型)にて、150℃、2時間
保持した後、上記(3)の方法に従って測色した。 (6)飽和磁化 東英工業製振動試料型磁力計VSM−P7を使用し、外
部磁場796kA/mにて測定した。 (7)電気抵抗 試料10gをホルダーに入れ600kg/cm2の圧力を
加えて、25mmφの錠剤型に成型後、電極を取り付
け、150/cm2の加圧状態で測定した。測定に使用
した試料の厚さ、及び断面積と抵抗値から算出して電気
抵抗を求めた。
に示すように添加する金属塩投入量と製造条件を変更し
た以外は、実施例1と同様の方法で黒色複合酸化物粒子
粉末を得た。なお、比較例5として、市販のカーボンブ
ラック粒子粉末#44(三菱化学社製)を用意した。得
られた黒色複合酸化物粒子粉末及びカーボンブラック粒
子粉末について、実施例1と同様に諸特性を評価した。
結果を表1に示す。また、比較例1の黒色複合酸化物粒
子粉末及び比較対照されるスピネル型標準試料のX線回
折チャートを図2に示す。
色複合酸化物粒子粉末は、L値が十分に低く、黒色度に
優れ、かつ耐熱性に優れていることがわかる。また、実
施例1の形態分析によれば、この粉末中の粒子は、主に
Mn2O3にて構成されており、非スピネル型鉄含有黒
色複合酸化物粒子粉末であり、飽和磁化値も著しく低
く、非磁性酸化物であった。
子粉末は、一次粒子径が大きく、かつL値が高く、黒色
度が劣っており、形態分析によれば、この粉末中の粒子
は非スピネル型とスピネル型形態が共存していた。
は、L値が高く、黒色度が劣っており、形態分析によれ
ば、この粉末中の粒子は非スピネル型とスピネル型形態
が共存していた。
は、△L値が高く、耐熱性、耐酸化性が劣っており、形
態分析によれば、この粉末中の粒子はスピネル型形態で
あった。
は、L値が高く、黒色度が劣っており、形態分析によれ
ば、この粉末中の粒子は非スピネル型形態であった。
子粉末は、黒色度に優れ、かつ耐熱性や耐酸化性の面で
安定であることにより、塗料用、インキ用、トナー用、
ゴム・プラスチック用の黒色顔料として好適である。特
に、カーボンブラック代替の非磁性トナー用や受像機
器、各種ディスプレイに使用されるフルカラー及びモノ
カラー発光型フラットパネルディスプレイの表示パネル
の遮光性ブラックマトリックス形成用に好適である。
化物粒子粉末のX線回折チャートである。
が共存した黒色複合酸化物粒子粉末のX線回折チャート
である。
Claims (7)
- 【請求項1】 マンガンを40〜60質量%、鉄を10
〜30質量%含有する非スピネル型鉄含有黒色複合酸化
物粒子粉末。 - 【請求項2】 マンガンが、少なくともMn2O3及び
/又はMnO2の形態で含まれている請求項1記載の鉄
含有黒色複合酸化物粒子粉末。 - 【請求項3】 マンガン/鉄のモル比が2〜6である請
求項1又は2に記載の鉄含有黒色複合酸化物粒子粉末。 - 【請求項4】 JIS K5101−1991に準拠し
た粉体の黒色度測定において、色差計によるL値が25
以下である請求項1〜3の何れかに記載の鉄含有黒色複
合酸化物粒子粉末。 - 【請求項5】 粉末中の一次粒子フェレ径が0.01〜
1μmである請求項1〜4の何れかに記載の鉄含有黒色
複合酸化物粒子粉末。 - 【請求項6】 非磁性である請求項1〜5の何れかに記
載の鉄含有黒色複合酸化物粒子粉末。 - 【請求項7】 空気中で150℃、2時間の熱処理を行
う前後のJIS K5101−1991に準拠した粉体
の黒色度測定において、色差計によるL値の変化△Lが
2以下である請求項1〜6の何れかに記載の鉄含有黒色
複合酸化物粒子粉末。
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