JP2003231894A - 柑橘系香味の劣化抑制剤、柑橘系香料、食品およびシトラールの環化抑制剤 - Google Patents
柑橘系香味の劣化抑制剤、柑橘系香料、食品およびシトラールの環化抑制剤Info
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Abstract
系香味の劣化抑制剤およびシトラールの環化抑制剤、並
びに香味の劣化が抑制され保存安定性が向上した柑橘系
香料および食品を提供することである。 【解決手段】 ヤーコンから抽出した抽出物からなる柑
橘系香味の劣化抑制剤、ヤーコンから抽出した抽出物を
含有する柑橘系香料、ヤーコンから抽出した抽出物を含
有する柑橘類の果汁および/または柑橘系香料を含む食
品、並びにヤーコンから抽出した抽出物からなるシトラ
ールの環化抑制剤である。
Description
性を高めた柑橘系香味の劣化抑制剤、柑橘系香料、食品
およびシトラールの環化抑制剤に関する。
品は、その香味が光、熱、pH等の要因により経時的に
劣化することが知られている。特に、透明なガラス瓶や
プラスチック容器に封入された食品は、熱やpHの他に
光による影響も受けるため劣化しやすく、本来の柑橘類
特有のフレッシュな香味が劣化して香味の消失、場合に
よっては不快な香味の発生に至る場合がある。
系香味成分、特にレモンフレーバー等の香味成分として
知られるシトラールが光や熱によって環化反応を起こ
し、フォトシトラール等の物質へ変化するためであると
考えられている。また、シトラール以外の他の未知成分
(ガスクロマトグラフィーでは測定できない不揮発性成
分等)の変化も柑橘系香味の劣化に影響していると推測
される。
食品の香味劣化を抑制することができ、しかも安全性の
高い手段の確立が要望されていた。
でかつ香味劣化の抑制効果に優れた柑橘系香味の劣化抑
制剤およびシトラールの環化抑制剤、並びに香味の劣化
が抑制され保存安定性が向上した柑橘系香料および食品
を提供することである。
高い天然物由来の柑橘系香味の劣化抑制剤を提供すべ
く、各種植物の抽出物を対象に鋭意研究を進めた結果、
キク科の植物であるヤーコンから抽出した抽出物が柑橘
系香味の劣化抑制作用に優れているという新たな事実を
見出し、本発明を完成するに至った。ヤーコンは主とし
て塊根が食用に供されている野菜であるので、本発明の
劣化抑制剤は安全性にも優れている。
化抑制剤は、ヤーコンから抽出した抽出物からなること
を特徴とする。
ら抽出した抽出物を含有することを特徴とする。また、
本発明にかかる食品は、ヤーコンから抽出した抽出物を
含有することを特徴とし、柑橘類の果汁および/または
柑橘系香料を含むものである。
た抽出物が、柑橘系香味成分の一種であるシトラールが
光や熱によって環化反応を起こすのを抑制する作用を有
するという新たな事実をも見出した。したがって、本発
明はヤーコンから抽出した抽出物からなることを特徴と
するシトラールの環化抑制剤をも提供するものである。
は、ヤーコン(Polymnia sonchifoliaまたはSmallanthu
s sonchifolius)から抽出した抽出物(以下、「ヤーコ
ン抽出物」という。)からなるものである。
植物で、塊根(イモ)はフラクトオリゴ糖を多く含み食
用とされている。本発明で使用するヤーコン抽出物と
は、ヤーコンの葉、茎、根、塊根等から抽出して得られ
るものであり、特に葉および/または茎から抽出するの
が好ましい。
方法を用いればよい。具体的には、例えばヤーコンの
葉、茎、根、塊根等の一部または全部を水、有機溶媒ま
たはこれらの混合物等と混ぜ合わせて有効成分を抽出す
る。有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノー
ル、プロパノール等の低級アルコール、アセトン、酢酸
エチル、ジエチルエーテル等のエーテル類等が挙げられ
る。抽出方法としては、特に制限はなく、常温ホモジナ
イズ抽出、還流抽出、超臨界流体抽出などが使用可能で
ある。抽出後、必要に応じて、得られたエキスを水飽和
n−ブタノール、酢酸エチル等でさらに抽出を行い、さ
らに得られた抽出エキスを水含有エタノール等で抽出処
理を行ってもよい。このようにして得られる抽出物は、
上記植物からの抽出処理によって得られるものゆえ、分
画および精製が不十分であっても安全性に問題はない。
出物からなる柑橘系香味の劣化抑制剤の形態は、特に限
定されず、抽出された溶液のままでもよく、濃縮、希
釈、濾過、乾燥等の処理をしても良い。乾燥して粉末に
する際にはデキストリンなどの添加物を配合してもよ
い。乾燥させる手段は、特に限定されず、例えば熱風乾
燥、凍結乾燥、噴霧乾燥、ドラム乾燥、泡沫乾燥、流動
層乾燥等を使用することができる。
化抑制剤は、柑橘系香味を有する柑橘系香料、食品等に
添加して使用することができる。また、この劣化抑制剤
は、公知の酸化防止剤(例えばBHT、BHA、α−ト
コフェロール、ビタミンC等)と併用してもよい。
は、ヤーコン抽出物を、一般に使用されている柑橘系香
料に混合すればよい。このような柑橘系香料としては、
例えばコールドプレスオイル、エッセンスオイル、水性
アロマ、ディスティレートオイル、ホールディッドオイ
ル等を含むものが挙げられる。ヤーコン抽出物の添加量
は、使用期間、保存期間等を考慮して決定すればよく、
特に限定されないが、例えば柑橘系香料に対してヤーコ
ン抽出物を固形分換算で0.01〜1重量%程度添加す
ればよい。この場合、添加量が前記範囲を超えても、安
全性や香味劣化抑制効果に問題はない。
コン抽出物を、柑橘類の果汁および/または柑橘系香料
を含む飲料等の食品に添加すればよい。ヤーコン抽出物
の添加量は、使用期間、保存期間等を考慮して決定すれ
ばよく、特に限定されないが、例えば柑橘類の果汁およ
び/または柑橘系香料に対してヤーコン抽出物を固形分
換算で0.01〜1重量%程度添加すればよい。この場
合、添加量が前記範囲を超えても、安全性や香味劣化抑
制効果に問題はない。
えばレモン、ライム、グレープフルーツ、オレンジ、ユ
ズ、カボス等の各種果汁が挙げられる。また、食品に含
まれる柑橘系香料としては、前記したような一般に使用
されている柑橘系香料が挙げられる。なお、ヤーコン抽
出物は、柑橘系香料(例えばレモン風味香料等)や柑橘
類の果汁が香味の一部として配合された柑橘系以外の飲
料に添加してもよい。
(炭酸飲料等)、ジュース、コーヒー、紅茶、リキュー
ル、牛乳、乳清飲料、乳酸菌飲料、キャンデー、チュー
インガム、チョコレート、グミ、ヨーグルト、アイスク
リーム、プディング、パン、菓子等が挙げられる。これ
らのうち、柑橘類の果汁および/または柑橘系香味を含
む飲料は光、熱、pH等によって香味が特に劣化しやす
く、中でもpHが低い飲料はそれが顕著であるため、本
発明を適用することによる高い香味劣化抑制効果が期待
できる。
の他、柑橘系香料を用いた香水、シャンプー、リンス、
石鹸、浴剤、口紅等の化粧品、室内芳香剤といった香粧
品や、これらの香粧品に用いる柑橘系の香粧品用香料に
添加してもよい。この場合、ヤーコン抽出物の添加量
は、使用期間、保存期間等を考慮して決定すればよく、
特に限定されないが、前記香粧品用香料に対してヤーコ
ン抽出物を固形分換算で0.01〜1重量%程度添加す
ればよく、前記香粧品に直接添加する場合も、この香粧
品に含有される柑橘系の香粧品用香料に基づいて上記範
囲で添加すればよい。
化反応を抑制する作用があるので、柑橘系に限定され
ず、シトラールを含有する全ての香料や食品に適用可能
である。
て、例えば市販の丸善製薬社製の「ヤーコン葉エキスパ
ウダーMF」等を使用することもできる。
るが、本発明は以下の実施例に限定されるものではな
い。
に50体積%の含水エタノール溶液を添加し、85℃で
3時間抽出した後、冷却濾過を行い、一晩静置し、さら
に濾過を行った。この抽出液の溶媒を減圧下で留去した
後、凍結乾燥して乾燥ヤーコン抽出物を得た。
でグラニュー糖、クエン酸、レモン香料およびイオン交
換水を混合して得たレモン風味飲料を透明ガラス瓶に入
れた。
ン抽出物を、その濃度が1ppmになるように添加した
もの(ヤーコン抽出物添加品)と、添加しないもの(無
添加品)とを調製し、これらを雰囲気温度45℃の暗所
で5日間静置した。5日後、各レモン風味飲料を10名
の熟練したパネラーが試飲し、フレッシュ感、果汁感、
ピール感および香りの強さについて、虐待前を5点満点
として、点数5〜1の間でそれぞれの点数を出し、平均
点を求めた。評価結果を表2に示す。
よりも柑橘系香味の劣化が抑制されていることがわか
る。
同様にして調製したヤーコン抽出物添加品と無添加品と
を雰囲気温度5℃で白色蛍光ランプにより照度2250
Lxの光を照射しながら5日間静置した後、試験例1と
同様にして平均点を求めた。評価結果を表3に示す。
よりも劣化が抑制されていることがわかる。
よる成分分析))前記試験例1と同様にして調製したヤ
ーコン抽出物添加品と無添加品とを、直射日光により1
日間光照射した後、香気成分を抽出し以下の試験条件で
ガスクロマトグラフィー−質量分析法(GC−MS法)
により成分分析した。 <GC−MS法の試験条件> 装置:ガスクロマトグラフィー(Agilent社製のGC-689
0) 質量分析器(Agilent社製のMSD5973) カラム:GC science社製のTC-WAX(0.25mm×60m、I.D.
0.25μm) カラム温度:50℃で5分間保持した後、50℃〜24
0℃まで昇温(昇温速度3℃/分) フローレート:1.2mL/分
1は直射日光を照射する前のレモン風味飲料の成分分析
結果であり、図2は直射日光を1日間照射した後のヤー
コン抽出物添加品の分析結果、図3は直射日光を1日間
照射した後の無添加品の分析結果である。図1〜3の各
ピークは以下に示す物質を表す。 <各ピークが表す物質> *1:トランス−2,6,6−トリメチルビシクロ
[3,1,0]ヘキサン−2−カルボキサルデヒド(tr
ans-2,6,6-trimethylbicyclo[3,1,0]hexane-2-carboxal
dehyde) *2:シス−2,6,6−トリメチルビシクロ[3,
1,0]ヘキサン−2−カルボキサルデヒド(cis-2,6,
6-trimethylbicyclo[3,1,0]hexane-2-carboxaldehyde) *3:フォトシトラールB *4:2−(3−メチル−2−シクロペンテン−1−イ
ル)−2−メチルプロピオンアルデヒド *5:フォトシトラールA *6:ネラール *7:ゲラニアール
ラニアール(*7)は、レモン香料に含まれている揮発
性物質である。トランス−2,6,6−トリメチルビシ
クロ[3,1,0]ヘキサン−2−カルボキサルデヒド
(*1)、シス−2,6,6−トリメチルビシクロ
[3,1,0]ヘキサン−2−カルボキサルデヒド(*
2)、フォトシトラールB(*3)、2−(3−メチル
−2−シクロペンテン−1−イル)−2−メチルプロピ
オンアルデヒド(*4)およびフォトシトラールA(*
5)は、レモン香料に含まれているシトラールが光照射
により環化反応して生じた物質であると推定される。
添加品よりも*1〜*5に示す物質の生成量が少なく、
無添加品よりも劣化が抑制されていることがわかる。
フラスコに入れ、60%含水エタノール1000mLを
加えて3時間撹拌した後、一晩放置した。その後、油層
を除去して濾過しエッセンスを得た。このエッセンス1
00gに参考例で得たヤーコン抽出物を1g添加し、本
発明の柑橘系香料を得た。
1と同様にして本発明の柑橘系香料を得た。
発明にかかる柑橘系香味の劣化抑制剤は、柑橘系香味が
光、熱、pH等によって劣化するのを抑制し、良好な香
味を長期間安定して持続させることができ、しかもヤー
コンは天然物で食用にも供されているので安全性にも優
れているという効果がある。
前記ヤーコン抽出物を含有しているので、光、熱、pH
等による香味劣化が抑制され、良好な香味を長期間安定
して保持することができる。
明にかかるシトラールの環化抑制剤は、シトラールの環
化反応を抑制することができ、シトラールおよびこれを
含有する香料や食品を長期間安定して保存することがで
きる。
飲料の成分分析結果を示すスペクトル図である。
出物添加品の成分分析結果を示すスペクトル図である。
成分分析結果を示すスペクトル図である。
Claims (5)
- 【請求項1】ヤーコンから抽出した抽出物からなる柑橘
系香味の劣化抑制剤。 - 【請求項2】ヤーコンから抽出した抽出物を含有するこ
とを特徴とする柑橘系香料。 - 【請求項3】ヤーコンから抽出した抽出物を含有するこ
とを特徴とする、柑橘類の果汁および/または柑橘系香
料を含む食品。 - 【請求項4】飲料である請求項3記載の食品。
- 【請求項5】ヤーコンから抽出した抽出物からなるシト
ラールの環化抑制剤。
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