JP2003227033A - 易染性ポリトリメチレンテレフタレート繊維およびその製造方法 - Google Patents
易染性ポリトリメチレンテレフタレート繊維およびその製造方法Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 衣料用織編物あるいは非衣料資材布帛、特に
ストレッチ性織編物用途に適した低弾性率および高弾性
回復性を有し、良好な常圧可染性および織編物加工工程
での熱収縮が少ない良好な熱セット性を有する易染性ポ
リトリメチレンテレフタレート繊維を提供すること。 【解決手段】 平均分子量が400〜10000のポリ
エチレングリコールが全ポリマー量に対し2〜10重量
%共重合された、ガラス転移温度が25〜40℃のポリ
トリメチレンテレフタレートを、速度4000〜800
0m/minで溶融紡糸して、破断強度が2.2〜3.
8cN/dtex、破断伸度が20〜60%、10%伸
長弾性回復率が80%以上、損失正接のピーク温度が9
0〜105℃、沸水収縮率が12%以下の繊維とする。
ストレッチ性織編物用途に適した低弾性率および高弾性
回復性を有し、良好な常圧可染性および織編物加工工程
での熱収縮が少ない良好な熱セット性を有する易染性ポ
リトリメチレンテレフタレート繊維を提供すること。 【解決手段】 平均分子量が400〜10000のポリ
エチレングリコールが全ポリマー量に対し2〜10重量
%共重合された、ガラス転移温度が25〜40℃のポリ
トリメチレンテレフタレートを、速度4000〜800
0m/minで溶融紡糸して、破断強度が2.2〜3.
8cN/dtex、破断伸度が20〜60%、10%伸
長弾性回復率が80%以上、損失正接のピーク温度が9
0〜105℃、沸水収縮率が12%以下の繊維とする。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、衣料分野あるいは
非衣料資材分野、特にストレッチ性織編物に使用可能な
常圧で濃色に染色可能(以下常圧可染性と称することが
ある)で、かつ熱収縮性が低くて熱セット性に優れたポ
リトリメチレンテレフタレート繊維およびその製造方法
に関するものである。
非衣料資材分野、特にストレッチ性織編物に使用可能な
常圧で濃色に染色可能(以下常圧可染性と称することが
ある)で、かつ熱収縮性が低くて熱セット性に優れたポ
リトリメチレンテレフタレート繊維およびその製造方法
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ポリトリメチレンテレフタレート繊維は
ポリエステル本来の特性である優れた寸法安定性、耐光
性、低吸湿性、熱セット性を有すると共に、弾性率が低
く、弾性回復性に優れた特性を持っているため、衣料用
途あるいは工業用途等での実用化を目指して、様々な角
度よりポリトリメチレンテレフタレートの繊維化技術が
検討されている。
ポリエステル本来の特性である優れた寸法安定性、耐光
性、低吸湿性、熱セット性を有すると共に、弾性率が低
く、弾性回復性に優れた特性を持っているため、衣料用
途あるいは工業用途等での実用化を目指して、様々な角
度よりポリトリメチレンテレフタレートの繊維化技術が
検討されている。
【0003】例えば、特開昭52−5320号公報に
は、ナイロン並みの低弾性率で弾性回復率に優れた、分
散染料に対して染色性の良いポリトリメチレンテレフタ
レート繊維が開示されている。しかし、本公報に開示さ
れているポリトリメチレンテレフタレート繊維の染色性
は、確かにポリエチレンテレフタレート繊維より優れて
いるが、ナイロンと比較すれば不充分であり、常圧染色
では濃色に染色できないという問題がある。
は、ナイロン並みの低弾性率で弾性回復率に優れた、分
散染料に対して染色性の良いポリトリメチレンテレフタ
レート繊維が開示されている。しかし、本公報に開示さ
れているポリトリメチレンテレフタレート繊維の染色性
は、確かにポリエチレンテレフタレート繊維より優れて
いるが、ナイロンと比較すれば不充分であり、常圧染色
では濃色に染色できないという問題がある。
【0004】一方、特開平11−61562号公報に
は、ナイロン並みの低弾性率、高弾性回復性で、かつ常
圧可染性のポリトリメチレンテレフタレート繊維とし
て、ポリオキシアルキレングリコールを3〜10重量%
共重合したポリトリメチレンテレフタレートからなり、
特定の損失正接のピーク温度と弾性回復性能を有するポ
リトリメチレンテレフタレート繊維が提案されている。
そして、このような繊維は、3500m/min以下の
紡糸速度で引き取った未延伸糸を別途延伸する、紡糸・
別延伸方式で製造するとされている。
は、ナイロン並みの低弾性率、高弾性回復性で、かつ常
圧可染性のポリトリメチレンテレフタレート繊維とし
て、ポリオキシアルキレングリコールを3〜10重量%
共重合したポリトリメチレンテレフタレートからなり、
特定の損失正接のピーク温度と弾性回復性能を有するポ
リトリメチレンテレフタレート繊維が提案されている。
そして、このような繊維は、3500m/min以下の
紡糸速度で引き取った未延伸糸を別途延伸する、紡糸・
別延伸方式で製造するとされている。
【0005】しかしながら、このような方法で製造され
たポリオキシアルキレングリコール共重合ポリトリメチ
レンテレフタレート繊維は、延伸工程で熱セットしても
その熱収縮特性は高いままであるため、精練、染色、仕
上げ工程等で過度な収縮を起こしやすいという問題があ
る。すなわち、織編物加工工程での収縮、特に染色(1
00℃)や仕上げ熱セット(130〜160℃)工程中
で織編物を構成する繊維が大きく収縮して、繊維間空隙
が小さくなって織編物が硬くなり、ガサついた風合いと
なりやすい。
たポリオキシアルキレングリコール共重合ポリトリメチ
レンテレフタレート繊維は、延伸工程で熱セットしても
その熱収縮特性は高いままであるため、精練、染色、仕
上げ工程等で過度な収縮を起こしやすいという問題があ
る。すなわち、織編物加工工程での収縮、特に染色(1
00℃)や仕上げ熱セット(130〜160℃)工程中
で織編物を構成する繊維が大きく収縮して、繊維間空隙
が小さくなって織編物が硬くなり、ガサついた風合いと
なりやすい。
【0006】このような熱収縮特性に起因する問題を解
消するために熱セット温度を上げていくと、本来の目的
である共重合ポリトリメチレンテレフタレート繊維の染
色性が大幅に低下するという別の問題が出てくる。
消するために熱セット温度を上げていくと、本来の目的
である共重合ポリトリメチレンテレフタレート繊維の染
色性が大幅に低下するという別の問題が出てくる。
【0007】さらに、3500m/min以下の紡糸速
度で引き取った未延伸糸は、保管経時に伴い物性変化を
起こしやすいため、延伸工程通過性が悪くなったり、得
られるポリトリメチレンテレフタレート繊維の品質斑が
多くなるという問題もある。
度で引き取った未延伸糸は、保管経時に伴い物性変化を
起こしやすいため、延伸工程通過性が悪くなったり、得
られるポリトリメチレンテレフタレート繊維の品質斑が
多くなるという問題もある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術を背景になされたもので、その目的は、常圧で濃色に
染色可能で熱セット性にも優れ、しかも低弾性率で弾性
回復性も良好な易染性ポリトリメチレンテレフタレート
繊維およびそれを安定に製造することができる方法を提
供することにある。
術を背景になされたもので、その目的は、常圧で濃色に
染色可能で熱セット性にも優れ、しかも低弾性率で弾性
回復性も良好な易染性ポリトリメチレンテレフタレート
繊維およびそれを安定に製造することができる方法を提
供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記課題
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、適切な分子量
のポリエチレングリコールが共重合されたポリトリメチ
レンテレフタレートを高速度で溶融紡糸した未延伸糸
は、低弾性率、高弾性回復性、常圧可染性であり、しか
も低い沸水収縮率を有していて熱セット性も良好なこと
を見出し、本発明に到達した。
を解決するために鋭意検討を重ねた結果、適切な分子量
のポリエチレングリコールが共重合されたポリトリメチ
レンテレフタレートを高速度で溶融紡糸した未延伸糸
は、低弾性率、高弾性回復性、常圧可染性であり、しか
も低い沸水収縮率を有していて熱セット性も良好なこと
を見出し、本発明に到達した。
【0010】かくして本発明によれば、平均分子量が4
00〜10000のポリエチレングリコールが全ポリマ
ー量に対し2〜10重量%共重合された、ガラス転移温
度が25〜40℃のポリトリメチレンテレフタレートか
らなり、破断強度が2.2〜3.8cN/dtex、破
断伸度が20〜60%、10%伸長弾性回復率が80%
以上、損失正接のピーク温度が90〜105℃および沸
水収縮率が12%以下である易染性ポリトリメチレンテ
レフタレート繊維が提供され、また、平均分子量が40
0〜10000のポリエチレングリコールが全ポリマー
量に対し2〜10重量%共重合された、ガラス転移温度
が25〜40℃のポリトリメチレンテレフタレートを、
250〜270℃に保たれた紡糸口金吐出孔から溶融吐
出し、該吐出糸条を冷却固化後、紡糸口金面より0.8
〜1.2m下方の位置で、紡糸油剤を付与しつつ集束
し、次いで実質的に延伸することなく4000〜800
0m/minの速度で引き取る易染性ポリトリメチレン
テレフタレート繊維の製造方法が提供される。
00〜10000のポリエチレングリコールが全ポリマ
ー量に対し2〜10重量%共重合された、ガラス転移温
度が25〜40℃のポリトリメチレンテレフタレートか
らなり、破断強度が2.2〜3.8cN/dtex、破
断伸度が20〜60%、10%伸長弾性回復率が80%
以上、損失正接のピーク温度が90〜105℃および沸
水収縮率が12%以下である易染性ポリトリメチレンテ
レフタレート繊維が提供され、また、平均分子量が40
0〜10000のポリエチレングリコールが全ポリマー
量に対し2〜10重量%共重合された、ガラス転移温度
が25〜40℃のポリトリメチレンテレフタレートを、
250〜270℃に保たれた紡糸口金吐出孔から溶融吐
出し、該吐出糸条を冷却固化後、紡糸口金面より0.8
〜1.2m下方の位置で、紡糸油剤を付与しつつ集束
し、次いで実質的に延伸することなく4000〜800
0m/minの速度で引き取る易染性ポリトリメチレン
テレフタレート繊維の製造方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態について詳
細に説明する。本発明の易染性ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維は、テレフタル酸を主たる酸成分とし、ト
リメチレングリコールおよびポリエチレングリコールを
主たるジオール成分とするポリエステルから構成される
繊維である。そして、第2のジオール成分であるポリエ
チレングリコールは、その平均分子量が400〜100
00で、その共重合量が全ポリマー量に対して2〜10
重量%であることが、染色性向上の観点から必要であ
る。
細に説明する。本発明の易染性ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維は、テレフタル酸を主たる酸成分とし、ト
リメチレングリコールおよびポリエチレングリコールを
主たるジオール成分とするポリエステルから構成される
繊維である。そして、第2のジオール成分であるポリエ
チレングリコールは、その平均分子量が400〜100
00で、その共重合量が全ポリマー量に対して2〜10
重量%であることが、染色性向上の観点から必要であ
る。
【0012】ここで、ポリエチレングリコールの平均分
子量が400未満の場合には、得られるポリトリメチレ
ンテレフタレート繊維の物性斑、染色斑などの品質斑が
多くなる。一方、10000を超える場合には、ポリマ
ー鎖に共重合され難くなるため、遊離ポリエチレングリ
コールが多くなって繊維強度低下、耐光性低下あるいは
洗濯時の汚染などが発生する。なお、ポリエチレングリ
コールの平均分子量が1000〜6000、特に200
0〜4000の場合、より好ましい染色性および物性の
ポリトリメチレンテレフタレート繊維が得られる。
子量が400未満の場合には、得られるポリトリメチレ
ンテレフタレート繊維の物性斑、染色斑などの品質斑が
多くなる。一方、10000を超える場合には、ポリマ
ー鎖に共重合され難くなるため、遊離ポリエチレングリ
コールが多くなって繊維強度低下、耐光性低下あるいは
洗濯時の汚染などが発生する。なお、ポリエチレングリ
コールの平均分子量が1000〜6000、特に200
0〜4000の場合、より好ましい染色性および物性の
ポリトリメチレンテレフタレート繊維が得られる。
【0013】また、ポリエチレングリコールの共重合割
合は、全ポリマー量に対して2〜10重量%の範囲でな
ければならない。共重合割合が2重量%未満の場合に
は、ポリトリメチレンテレフタレートのガラス転移温度
が充分低温側にシフトせず、染色性の向上は認められな
い。一方、10重量%を超える場合には、ポリトリメチ
レンテレフタレートのガラス転移温度の低下が大きすぎ
て、洗濯時の汚染あるいは耐光性の劣化が起こる。な
お、共重合割合が4〜8重量%の時、より好ましい染色
性および物性のポリトリメチレンテレフタレート繊維が
得られる。
合は、全ポリマー量に対して2〜10重量%の範囲でな
ければならない。共重合割合が2重量%未満の場合に
は、ポリトリメチレンテレフタレートのガラス転移温度
が充分低温側にシフトせず、染色性の向上は認められな
い。一方、10重量%を超える場合には、ポリトリメチ
レンテレフタレートのガラス転移温度の低下が大きすぎ
て、洗濯時の汚染あるいは耐光性の劣化が起こる。な
お、共重合割合が4〜8重量%の時、より好ましい染色
性および物性のポリトリメチレンテレフタレート繊維が
得られる。
【0014】本発明においては、さらにポリトリメチレ
ンテレフタレートのガラス転移温度が25〜40℃であ
ることが必要である。ガラス転移温度が25℃未満であ
る場合には、洗濯堅牢性、洗濯時の汚染あるいは耐光性
の劣化が起こる。一方、40℃を超える場合には、染色
性の向上は認められない。なお、ガラス転移温度が30
〜38℃の範囲にある時、より好ましい染色性および物
性のポリトリメチレンテレフタレート繊維が得られる。
ンテレフタレートのガラス転移温度が25〜40℃であ
ることが必要である。ガラス転移温度が25℃未満であ
る場合には、洗濯堅牢性、洗濯時の汚染あるいは耐光性
の劣化が起こる。一方、40℃を超える場合には、染色
性の向上は認められない。なお、ガラス転移温度が30
〜38℃の範囲にある時、より好ましい染色性および物
性のポリトリメチレンテレフタレート繊維が得られる。
【0015】かかるポリトリメチレンテレフタレートの
極限粘度(オルソクロロフェノールを溶媒とし、温度3
5℃で測定)は、あまりに高くなりすぎると安定に紡糸
することが困難になり、逆に低くなりすぎると得られる
複合繊維の機械的特性が低下したり製糸時の安定性も低
下しやすくなるため、0.7〜1.5の範囲が適当であ
る。
極限粘度(オルソクロロフェノールを溶媒とし、温度3
5℃で測定)は、あまりに高くなりすぎると安定に紡糸
することが困難になり、逆に低くなりすぎると得られる
複合繊維の機械的特性が低下したり製糸時の安定性も低
下しやすくなるため、0.7〜1.5の範囲が適当であ
る。
【0016】このようなポリトリメチレンテレフタレー
トからなる本発明の繊維は、一般衣料分野、スポーツ衣
料分野あるいは非衣料資材分野での実用に耐え得る基本
的機械特性として、破断強度が2.2〜3.8cN/d
tex、破断伸度が20〜60%および10%伸長弾性
回復率が80%以上である物性を具備していなければな
らない。
トからなる本発明の繊維は、一般衣料分野、スポーツ衣
料分野あるいは非衣料資材分野での実用に耐え得る基本
的機械特性として、破断強度が2.2〜3.8cN/d
tex、破断伸度が20〜60%および10%伸長弾性
回復率が80%以上である物性を具備していなければな
らない。
【0017】すなわち、ポリトリメチレンテレフタレー
ト繊維の破断強度が2.2cN/dtex未満あるいは
破断伸度が60%を超える場合には、着脱時、運動時ま
たは使用時にわずかな力で塑性変形してしまい、形態が
保持できなくなるため実用上問題である。一方、破断強
度が3.8cN/dtexを超えるあるいは破断伸度が
20%未満の場合には、織編物の風合いが硬くなるた
め、ポリトリメチレンテレフタレート特有のソフト感や
心地良い反発感が損われる。なお、好ましい破断強度、
破断伸度の範囲は、2.5〜3.5cN/dtex、3
0%〜50%である。
ト繊維の破断強度が2.2cN/dtex未満あるいは
破断伸度が60%を超える場合には、着脱時、運動時ま
たは使用時にわずかな力で塑性変形してしまい、形態が
保持できなくなるため実用上問題である。一方、破断強
度が3.8cN/dtexを超えるあるいは破断伸度が
20%未満の場合には、織編物の風合いが硬くなるた
め、ポリトリメチレンテレフタレート特有のソフト感や
心地良い反発感が損われる。なお、好ましい破断強度、
破断伸度の範囲は、2.5〜3.5cN/dtex、3
0%〜50%である。
【0018】また、ポリトリメチレンテレフタレート繊
維の弾性回復率が80%未満の場合には、ストレッチ布
帛用繊維としての充分な性能が無く、型崩れ等が発生す
る。なお、弾性回復率が90%以上であれば、ストレッ
チ布帛用として、より好ましい性能を発揮する。
維の弾性回復率が80%未満の場合には、ストレッチ布
帛用繊維としての充分な性能が無く、型崩れ等が発生す
る。なお、弾性回復率が90%以上であれば、ストレッ
チ布帛用として、より好ましい性能を発揮する。
【0019】次に、常圧で濃色に染色可能とするため、
ポリトリメチレンテレフタレート繊維の損失正接のピー
ク温度が90〜105℃である必要がある。ポリトリメ
チレンテレフタレート繊維の損失正接ピーク温度が10
5℃を越えると、常圧染色性が低下し、分散染料で濃く
染めることができなくなる。逆に損失正接ピーク温度が
90℃未満であると、非晶部分の繊維構造が粗になりす
ぎるため、染料が入りやすくなると同時に抜けやすくな
り、染色堅牢性が低下するだけでなく、低い温度で分子
が動きやすくなるため、熱セットに代表される通常の後
加工あるいはアイロンがけに代表される通常の使用段階
で物性、風合いが変化しやすくなる。なお、損失正接ピ
ーク温度が93〜103℃の範囲であると染色性と堅牢
性のバランスがとれたより好ましいポリトリメチレンテ
レフタレート繊維となる。
ポリトリメチレンテレフタレート繊維の損失正接のピー
ク温度が90〜105℃である必要がある。ポリトリメ
チレンテレフタレート繊維の損失正接ピーク温度が10
5℃を越えると、常圧染色性が低下し、分散染料で濃く
染めることができなくなる。逆に損失正接ピーク温度が
90℃未満であると、非晶部分の繊維構造が粗になりす
ぎるため、染料が入りやすくなると同時に抜けやすくな
り、染色堅牢性が低下するだけでなく、低い温度で分子
が動きやすくなるため、熱セットに代表される通常の後
加工あるいはアイロンがけに代表される通常の使用段階
で物性、風合いが変化しやすくなる。なお、損失正接ピ
ーク温度が93〜103℃の範囲であると染色性と堅牢
性のバランスがとれたより好ましいポリトリメチレンテ
レフタレート繊維となる。
【0020】本発明の易染性ポリトリメチレンテレフタ
レートにおいては、織編物加工工程における熱セット性
あるいは染色処理時等における風合い低下の抑制の観点
から、沸水収縮率は12%以下であることが必要であ
る。沸水収縮率が12%を越える場合には、織編物加工
工程での収縮、特に染色(100℃)や熱セット(13
0〜160℃)工程中の収縮率が高くなり、繊維間空隙
が小さくなって風合いが硬くなり、ガサツキ感が出てく
る。なお、沸水収縮率は織編物用途、織編物設計に応
じ、12%以下の間でさまざまな値を取ることができる
が、6〜12%の範囲とするのが実用上好ましい。
レートにおいては、織編物加工工程における熱セット性
あるいは染色処理時等における風合い低下の抑制の観点
から、沸水収縮率は12%以下であることが必要であ
る。沸水収縮率が12%を越える場合には、織編物加工
工程での収縮、特に染色(100℃)や熱セット(13
0〜160℃)工程中の収縮率が高くなり、繊維間空隙
が小さくなって風合いが硬くなり、ガサツキ感が出てく
る。なお、沸水収縮率は織編物用途、織編物設計に応
じ、12%以下の間でさまざまな値を取ることができる
が、6〜12%の範囲とするのが実用上好ましい。
【0021】以上に説明した本発明の易染性ポリトリメ
チレンテレフタレート繊維は、例えば以下の方法により
容易にかつ安定して製造することができる。すなわち、
平均分子量が400〜10000のポリエチレングリコ
ールを全ポリマー量に対して2〜10重量%共重合され
た、ガラス転移温度が25〜40℃のポリトリメチレン
テレフタレートを、常法にしたがって水分率40ppm
以下までに乾燥する。乾燥されたポリマーをスクリュウ
押出機を備えた溶融紡糸機に供給して255〜275℃
の温度で溶融し、250〜270℃に保たれた紡糸口金
吐出孔から吐出する。この際、紡糸口金下の雰囲気は、
180〜230℃に保温しておくことが好ましい。溶融
吐出糸条の冷却方式は任意であるが、異方冷却によるク
リンプが発生しないように、例えば風速0.15〜0.
35m/secの冷却風をクロスフロー式で均一に送風
する方式が望ましい。冷却固化された糸条は、紡糸口金
面より0.8〜1.2m下方の位置に給油ガイドを設
け、走行糸条を集束すると共に紡糸油剤を付与する。な
お、紡糸油剤は織編加工処理条件および織編物の用途に
応じて、その組成を適宜選択すれば良い。
チレンテレフタレート繊維は、例えば以下の方法により
容易にかつ安定して製造することができる。すなわち、
平均分子量が400〜10000のポリエチレングリコ
ールを全ポリマー量に対して2〜10重量%共重合され
た、ガラス転移温度が25〜40℃のポリトリメチレン
テレフタレートを、常法にしたがって水分率40ppm
以下までに乾燥する。乾燥されたポリマーをスクリュウ
押出機を備えた溶融紡糸機に供給して255〜275℃
の温度で溶融し、250〜270℃に保たれた紡糸口金
吐出孔から吐出する。この際、紡糸口金下の雰囲気は、
180〜230℃に保温しておくことが好ましい。溶融
吐出糸条の冷却方式は任意であるが、異方冷却によるク
リンプが発生しないように、例えば風速0.15〜0.
35m/secの冷却風をクロスフロー式で均一に送風
する方式が望ましい。冷却固化された糸条は、紡糸口金
面より0.8〜1.2m下方の位置に給油ガイドを設
け、走行糸条を集束すると共に紡糸油剤を付与する。な
お、紡糸油剤は織編加工処理条件および織編物の用途に
応じて、その組成を適宜選択すれば良い。
【0022】油剤が付与された糸条は、引き続き高速で
回転するローラー(好ましくは一対のローラー)で引き
取られ、高速ワインダーで巻き取られる。この時、糸条
を実質的に延伸することなく、4000〜8000m/
minの速度で引き取り、直接ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維として巻き取る事が肝要である。
回転するローラー(好ましくは一対のローラー)で引き
取られ、高速ワインダーで巻き取られる。この時、糸条
を実質的に延伸することなく、4000〜8000m/
minの速度で引き取り、直接ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維として巻き取る事が肝要である。
【0023】ここで、紡糸引取速度が4000m/mi
n未満の場合には、繊維の結晶構造形成が充分進行せ
ず、本発明の目的とする低沸水収縮率の繊維が得られな
いのみならず、損失正接および機械的特性も不充分なも
のとなる。一方、紡糸引取速度が8000m/minを
越える場合には、損失正接が急激に低下し、非晶部の密
度が著しく低下して染色堅牢性が劣化する。なお、紡糸
引取速度が5000〜7000m/minの範囲の場
合、よりバランスのとれた機械的特性、染色性および沸
水収縮率を具備したポリトリメチレンテレフタレート繊
維が得られる。
n未満の場合には、繊維の結晶構造形成が充分進行せ
ず、本発明の目的とする低沸水収縮率の繊維が得られな
いのみならず、損失正接および機械的特性も不充分なも
のとなる。一方、紡糸引取速度が8000m/minを
越える場合には、損失正接が急激に低下し、非晶部の密
度が著しく低下して染色堅牢性が劣化する。なお、紡糸
引取速度が5000〜7000m/minの範囲の場
合、よりバランスのとれた機械的特性、染色性および沸
水収縮率を具備したポリトリメチレンテレフタレート繊
維が得られる。
【0024】また、本発明では、製糸工程の途中でポリ
トリメチレンテレフタレートが未延伸糸の状態で保管さ
れることが無いので、紡糸別延伸方式で起こる未延伸糸
経時変化の問題も解消される。
トリメチレンテレフタレートが未延伸糸の状態で保管さ
れることが無いので、紡糸別延伸方式で起こる未延伸糸
経時変化の問題も解消される。
【0025】なお、本発明のポリトリメチレンテレフタ
レート繊維は、高速での巻き取り時強い弾性回復を示
し、巻締めが発生するので、巻き取り張力を0.04〜
0.07cN/dtexの低い範囲として、巻き取るこ
とが望ましい。巻き取り張力が0.04cN/dtex
未満になると、トラバースプリンティングが悪くなり、
綾外れ、綾落ち、等他の問題が発生し易くなる。一方、
巻き取り張力が0.07cN/dtexを超える場合、
巻き締まりによりポリトリメチレンテレフタレート繊維
が巻かれたボビンの抜き取りが難しくなる。
レート繊維は、高速での巻き取り時強い弾性回復を示
し、巻締めが発生するので、巻き取り張力を0.04〜
0.07cN/dtexの低い範囲として、巻き取るこ
とが望ましい。巻き取り張力が0.04cN/dtex
未満になると、トラバースプリンティングが悪くなり、
綾外れ、綾落ち、等他の問題が発生し易くなる。一方、
巻き取り張力が0.07cN/dtexを超える場合、
巻き締まりによりポリトリメチレンテレフタレート繊維
が巻かれたボビンの抜き取りが難しくなる。
【0026】
【実施例】以下、実施例により、本発明を更に具体的に
説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測
定した。
説明する。なお、実施例における各項目は次の方法で測
定した。
【0027】(1)極限粘度
純度98%以上のオルソ―クロロフェノールを溶媒と
し、温度35℃で測定した。
し、温度35℃で測定した。
【0028】(2)ガラス転移温度
規定量のポリトリメチレンテレフタレートポリマーをア
ルミサンプルパンに封入し、DSC測定装置にて、窒素
気流下に室温〜10℃/minの昇温速度で280℃ま
で昇温し、5分間保持した後、直ちに取りだして、氷水
中で急冷し、ポリマーがアモルファス状態で固まったサ
ンプルパンを作成した。それを再度、上記の条件で昇温
し、ガラス転移温度を測定した。
ルミサンプルパンに封入し、DSC測定装置にて、窒素
気流下に室温〜10℃/minの昇温速度で280℃ま
で昇温し、5分間保持した後、直ちに取りだして、氷水
中で急冷し、ポリマーがアモルファス状態で固まったサ
ンプルパンを作成した。それを再度、上記の条件で昇温
し、ガラス転移温度を測定した。
【0029】(3)破断強伸度
試料繊維を気温25℃、湿度60%の恒温恒湿に保たれ
た部屋に1昼夜放置した後、サンプル長さ200mmを
(株)島津製作所製引張り試験機テンシロンに0.08
8cN/dtex(0.1g/de)の荷重をかけてセ
ットし、200mm/minの速度にて引張り、破断時
の強度および伸度を測定した。
た部屋に1昼夜放置した後、サンプル長さ200mmを
(株)島津製作所製引張り試験機テンシロンに0.08
8cN/dtex(0.1g/de)の荷重をかけてセ
ットし、200mm/minの速度にて引張り、破断時
の強度および伸度を測定した。
【0030】(4)損失正接ピーク温度
オリエンテック(株)製レオバイブロンを用い、測定周
波数110Hz、昇温速度5℃/minにて、各温度に
おける損失正接測定し、損失正接が最大となる温度を損
失正接ピーク温度として求めた。
波数110Hz、昇温速度5℃/minにて、各温度に
おける損失正接測定し、損失正接が最大となる温度を損
失正接ピーク温度として求めた。
【0031】(5)沸水収縮率
試料繊維を10ターンしたカセを作成し、0.03cN
/dtex(1/30g/de)の荷重をかけて、試料
長L0を測定した。該荷重を除去後、フリー状態で、1
00℃沸水中に20分間浸漬する。沸水処理後、24時
間フリーで40℃以下の温度で自然乾燥した後、再び
0.03cN/dtex(1/30g/de)の荷重を
かけて、試料長L1を測定する。L0およびL1より下記
式にて沸水収縮率を計算した。 沸水収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100(%)
/dtex(1/30g/de)の荷重をかけて、試料
長L0を測定した。該荷重を除去後、フリー状態で、1
00℃沸水中に20分間浸漬する。沸水処理後、24時
間フリーで40℃以下の温度で自然乾燥した後、再び
0.03cN/dtex(1/30g/de)の荷重を
かけて、試料長L1を測定する。L0およびL1より下記
式にて沸水収縮率を計算した。 沸水収縮率(%)=(L0−L1)/L0×100(%)
【0032】(6)10%伸長弾性回復率
試料繊維に0.03cN/dtex(1/30g/d
e)の荷重をかけて、測定長200(mm)で(株)島
津製作所製引張り試験機テンシロンにセットし、引張速
度50mm/minで10%伸長後、直ちに同速度で回
復させて伸長回復曲線を記録した。回復時初荷重と同じ
になったときのサンプル長L10(mm)および測定原長
200(mm)から、下記式にて10%伸長弾性回復率
を計算した。 10%伸長弾性回復率=(200−(L10−200))
/20×100%
e)の荷重をかけて、測定長200(mm)で(株)島
津製作所製引張り試験機テンシロンにセットし、引張速
度50mm/minで10%伸長後、直ちに同速度で回
復させて伸長回復曲線を記録した。回復時初荷重と同じ
になったときのサンプル長L10(mm)および測定原長
200(mm)から、下記式にて10%伸長弾性回復率
を計算した。 10%伸長弾性回復率=(200−(L10−200))
/20×100%
【0033】(7)染料吸尽率
試料繊維を24ゲージの筒編みとし、スコアロール40
0を2g/L含む温水を用いて、70℃、20分間精錬
処理し、タンブラー乾燥機で乾燥させ、次いで、ピンテ
ンターを用いて、160℃で30秒間熱セットを行い吸
尽率測定用布帛とした。該測定用布帛を、下記条件に調
整した染色液に浸漬し、染色液を40℃から98℃に昇
温後、1時間保持した後、染色液の吸光度を測定し染料
吸尽率を求めた。 [染色液条件] 染料:Kayalon−P/Navy Blue R−
SF(日本化薬製)、On−Weight−Fibe
r:6%、浴比:1:60、分散剤:ニッカサンソルト
7000(日華化学製)0.5g/L、酢酸:0.25
mL/L、酢酸ナトリウム1g/L、pH:5 染料原液の吸光度A、染色後の染液の吸光度aを分光光
度計で測定し、下式より染料吸尽率を計算した。なお、
吸光度測定は当該染料の最大吸収波長でおこなった。 染料吸尽率(%)=(A−a)/A×100
0を2g/L含む温水を用いて、70℃、20分間精錬
処理し、タンブラー乾燥機で乾燥させ、次いで、ピンテ
ンターを用いて、160℃で30秒間熱セットを行い吸
尽率測定用布帛とした。該測定用布帛を、下記条件に調
整した染色液に浸漬し、染色液を40℃から98℃に昇
温後、1時間保持した後、染色液の吸光度を測定し染料
吸尽率を求めた。 [染色液条件] 染料:Kayalon−P/Navy Blue R−
SF(日本化薬製)、On−Weight−Fibe
r:6%、浴比:1:60、分散剤:ニッカサンソルト
7000(日華化学製)0.5g/L、酢酸:0.25
mL/L、酢酸ナトリウム1g/L、pH:5 染料原液の吸光度A、染色後の染液の吸光度aを分光光
度計で測定し、下式より染料吸尽率を計算した。なお、
吸光度測定は当該染料の最大吸収波長でおこなった。 染料吸尽率(%)=(A−a)/A×100
【0034】(8)洗濯堅牢性
染料吸尽率の項に記載した条件で染色した布帛試料を用
いJIS−L−0844(B法)に準じて、洗濯堅牢性
試験を行った。なお、染色布帛試料の変退色判定はJI
S L 0801の9に準じ、試験片変退色度合いをグ
レースケールで視覚判定した。
いJIS−L−0844(B法)に準じて、洗濯堅牢性
試験を行った。なお、染色布帛試料の変退色判定はJI
S L 0801の9に準じ、試験片変退色度合いをグ
レースケールで視覚判定した。
【0035】(9)耐光堅牢性
未染色編地を用い、JIS−L−0842に準じて耐光
堅牢性試験を行った。すなわち、試料繊維を24ゲージ
の筒編みとし、スコアロール400を2g/L含む温水
を用いて、70℃、20分間精錬処理し、タンブラー乾
燥機で乾燥させ、次いで、ピンテンターを用いて、16
0℃で30秒間熱セットを行い試験用布帛とした。な
お、試験片の変色判定はJIS L 0801の9に準
じ、試験布帛の変色度合いをグレースケールで視覚判定
した。
堅牢性試験を行った。すなわち、試料繊維を24ゲージ
の筒編みとし、スコアロール400を2g/L含む温水
を用いて、70℃、20分間精錬処理し、タンブラー乾
燥機で乾燥させ、次いで、ピンテンターを用いて、16
0℃で30秒間熱セットを行い試験用布帛とした。な
お、試験片の変色判定はJIS L 0801の9に準
じ、試験布帛の変色度合いをグレースケールで視覚判定
した。
【0036】[実施例1〜3]表1に記載の平均分子量
のポリエチレングリコールを表1の割合で共重合した極
限粘度が0.80のポリトリメチレンテレフタレートを
ペレットとなし、130℃で5時間乾燥した。
のポリエチレングリコールを表1の割合で共重合した極
限粘度が0.80のポリトリメチレンテレフタレートを
ペレットとなし、130℃で5時間乾燥した。
【0037】水分率を40ppm以下に保った乾燥ペレ
ットを、溶融紡糸機のホッパーに輸送し、スクリュウ押
出機にて溶融し、ポリマー温度265℃、紡糸口金温度
255℃で、孔径0.3mm、吐出ランド長0.6mm
の吐出孔を36個穿設した紡糸口金より吐出し、220
℃にセットされた10cmのヒーターで加温されている
口金下雰囲気を通し、その下方に設置された長さ80c
mのクロスフロー式の送風装置から、25℃の冷却風を
0.2m/secの速度で吹き付け冷却・固化した。
ットを、溶融紡糸機のホッパーに輸送し、スクリュウ押
出機にて溶融し、ポリマー温度265℃、紡糸口金温度
255℃で、孔径0.3mm、吐出ランド長0.6mm
の吐出孔を36個穿設した紡糸口金より吐出し、220
℃にセットされた10cmのヒーターで加温されている
口金下雰囲気を通し、その下方に設置された長さ80c
mのクロスフロー式の送風装置から、25℃の冷却風を
0.2m/secの速度で吹き付け冷却・固化した。
【0038】引き続き紡糸口金面より90cm下方の位
置に設置した給油ガイドで、紡糸油剤を付与しつつ、走
行糸条を集束し、各々表1に示す紡糸速度に相当する表
面速度で回転する1対の回転ローラーを介して、走行糸
条を引き取り、巻き取り張力を0.04〜0.07cN
/dtexの範囲に調整して、高速ワインダーで巻き取
り、83dtex/36フィラメントのポリトリメチレ
ンテレフタレート繊維を得た。なお、巻き取り後の繊維
の繊度が83dtexとなるように、各々の紡糸速度で
ポリマー吐出量を調整した。得られた評価結果を表1に
まとめて示す。
置に設置した給油ガイドで、紡糸油剤を付与しつつ、走
行糸条を集束し、各々表1に示す紡糸速度に相当する表
面速度で回転する1対の回転ローラーを介して、走行糸
条を引き取り、巻き取り張力を0.04〜0.07cN
/dtexの範囲に調整して、高速ワインダーで巻き取
り、83dtex/36フィラメントのポリトリメチレ
ンテレフタレート繊維を得た。なお、巻き取り後の繊維
の繊度が83dtexとなるように、各々の紡糸速度で
ポリマー吐出量を調整した。得られた評価結果を表1に
まとめて示す。
【0039】
【表1】
【0040】表1から明らかなように、本発明にかかる
実施例1〜3のポリトリメチレンテレフタレート繊維
は、優れた機械的特性(破断強度・伸度、10%伸長弾
性回復率)および熱的特性(損失正接ピーク温度)を具
備しており、優れた染料吸尽率、洗濯堅牢性および耐光
堅牢性を示し、かつ低いレベルの沸水収縮率を有してい
て熱セット性も良好であった。
実施例1〜3のポリトリメチレンテレフタレート繊維
は、優れた機械的特性(破断強度・伸度、10%伸長弾
性回復率)および熱的特性(損失正接ピーク温度)を具
備しており、優れた染料吸尽率、洗濯堅牢性および耐光
堅牢性を示し、かつ低いレベルの沸水収縮率を有してい
て熱セット性も良好であった。
【0041】[比較例1]実施例1で使用したポリエチ
レングリコール共重合ポリトリメチレンテレフタレート
ペレットを、実施例1と同様に乾燥し、吐出量を32g
/minとする以外は実施例1と同様に溶融し、吐出し
た。
レングリコール共重合ポリトリメチレンテレフタレート
ペレットを、実施例1と同様に乾燥し、吐出量を32g
/minとする以外は実施例1と同様に溶融し、吐出し
た。
【0042】引き続き、吐出ポリマー糸条を、紡糸口金
から下方10cmの位置が吹き出し口の上端となるよう
に設置された長さ80cmのクロスフロー式の送風装置
から、25℃の冷却風を0.2m/secの速度で吹き
付け冷却・固化し、回転式給油ローラーで紡糸油剤を付
与し、糸ガイドで走行糸条を集束し、表面速度1500
m/minで回転する1対の回転ローラーを介して、走
行糸条を引き取り、ワインダーで巻き取り、208dt
ex/36filamentのポリトリメチレンテレフ
タレート未延伸糸を得た。
から下方10cmの位置が吹き出し口の上端となるよう
に設置された長さ80cmのクロスフロー式の送風装置
から、25℃の冷却風を0.2m/secの速度で吹き
付け冷却・固化し、回転式給油ローラーで紡糸油剤を付
与し、糸ガイドで走行糸条を集束し、表面速度1500
m/minで回転する1対の回転ローラーを介して、走
行糸条を引き取り、ワインダーで巻き取り、208dt
ex/36filamentのポリトリメチレンテレフ
タレート未延伸糸を得た。
【0043】該ポリトリメチレンテレフタレート未延伸
糸を一週間保管した後、予熱温度60℃、セット温度1
60℃、延伸倍率2.5、延伸速度600m/minの
条件で延伸し、83dtex/36filamentの
ポリトリメチレンテレフタレート繊維を得た。評価結果
を表2に示す。
糸を一週間保管した後、予熱温度60℃、セット温度1
60℃、延伸倍率2.5、延伸速度600m/minの
条件で延伸し、83dtex/36filamentの
ポリトリメチレンテレフタレート繊維を得た。評価結果
を表2に示す。
【0044】[比較例2]実施例1で使用したポリエチ
レングリコール共重合ポリトリメチレンテレフタレート
ペレットを、実施例1と同様に乾燥し、吐出量を33g
/minとする以外は実施例1と同様に溶融し、吐出し
た。
レングリコール共重合ポリトリメチレンテレフタレート
ペレットを、実施例1と同様に乾燥し、吐出量を33g
/minとする以外は実施例1と同様に溶融し、吐出し
た。
【0045】引き続き、吐出ポリマー糸条を、紡糸口金
から下方10cmの位置が吹き出し口の上端となるよう
に設置された長さ80cmのクロスフロー式の送風装置
から、25℃の冷却風を0.2m/secの速度で吹き
付け冷却・固化し、紡糸口金面より90cm下方の位置
に設置した給油ガイドで、紡糸油剤を付与しつつ、走行
糸条を集束し、60℃に設定され2500m/minの
表面速度で回転していいるローラーで引き取り、引き続
き180℃に設定され4000m/minの表面速度で
回転しているゴデッドローラーに巻きつけて延伸および
熱セットし、83dtex/36filamentのポ
リトリメチレンテレフタレート繊維を得た。結果を表2
に示す。
から下方10cmの位置が吹き出し口の上端となるよう
に設置された長さ80cmのクロスフロー式の送風装置
から、25℃の冷却風を0.2m/secの速度で吹き
付け冷却・固化し、紡糸口金面より90cm下方の位置
に設置した給油ガイドで、紡糸油剤を付与しつつ、走行
糸条を集束し、60℃に設定され2500m/minの
表面速度で回転していいるローラーで引き取り、引き続
き180℃に設定され4000m/minの表面速度で
回転しているゴデッドローラーに巻きつけて延伸および
熱セットし、83dtex/36filamentのポ
リトリメチレンテレフタレート繊維を得た。結果を表2
に示す。
【0046】
【表2】
【0047】表2から明らかなように、紡糸別延伸方式
(比較例1)では、ポリトリメチレンテレフタレート繊
維の沸水収縮率は高いレベルに留まっており、染色、仕
上げ工程での収縮が大きく、織編物は硬く、がさついた
風合いのものとなった。また、ストレッチ織編物に使用
できる程の弾性回復性が無く、染色性(染料吸尽率)、
染色堅牢性および耐光堅牢性も不良であった。さらに、
未延伸糸が保管中に経時変化を起こし、延伸時、毛羽が
多発した。
(比較例1)では、ポリトリメチレンテレフタレート繊
維の沸水収縮率は高いレベルに留まっており、染色、仕
上げ工程での収縮が大きく、織編物は硬く、がさついた
風合いのものとなった。また、ストレッチ織編物に使用
できる程の弾性回復性が無く、染色性(染料吸尽率)、
染色堅牢性および耐光堅牢性も不良であった。さらに、
未延伸糸が保管中に経時変化を起こし、延伸時、毛羽が
多発した。
【0048】一方、紡糸直延伸方式(比較例2)では、
沸水収縮率を下げるために強い熱セットを行うと、損失
正接のピーク温度が高温側にシフトし、染色性(染料吸
尽率)の大幅な低下が認められた。
沸水収縮率を下げるために強い熱セットを行うと、損失
正接のピーク温度が高温側にシフトし、染色性(染料吸
尽率)の大幅な低下が認められた。
【0049】
【発明の効果】本発明によれば、本来ポリトリメチレン
テレフタレート繊維が有する低弾性率および高弾性回復
特性を維持しながら、織編物加工工程での収縮率が少な
い熱セット性の良好な常圧可染性のポリトリメチレンテ
レフタレート繊維を提供することができる。
テレフタレート繊維が有する低弾性率および高弾性回復
特性を維持しながら、織編物加工工程での収縮率が少な
い熱セット性の良好な常圧可染性のポリトリメチレンテ
レフタレート繊維を提供することができる。
Claims (2)
- 【請求項1】 平均分子量が400〜10000のポリ
エチレングリコールが全ポリマー量に対し2〜10重量
%共重合された、ガラス転移温度が25〜40℃のポリ
トリメチレンテレフタレートからなり、破断強度が2.
2〜3.8cN/dtex、破断伸度が20〜60%、
10%伸長弾性回復率が80%以上、損失正接のピーク
温度が90〜105℃および沸水収縮率が12%以下で
あることを特徴とする易染性ポリトリメチレンテレフタ
レート繊維。 - 【請求項2】 平均分子量が400〜10000のポリ
エチレングリコールが全ポリマー量に対し2〜10重量
%共重合された、ガラス転移温度が25〜40℃のポリ
トリメチレンテレフタレートを、250〜270℃に保
たれた紡糸口金吐出孔から溶融吐出し、該吐出糸条を冷
却固化後、紡糸口金面より0.8〜1.2m下方の位置
で、紡糸油剤を付与しつつ集束し、次いで実質的に延伸
することなく4000〜8000m/minの速度で引
き取ることを特徴とする易染性ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002025210A JP2003227033A (ja) | 2002-02-01 | 2002-02-01 | 易染性ポリトリメチレンテレフタレート繊維およびその製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002025210A JP2003227033A (ja) | 2002-02-01 | 2002-02-01 | 易染性ポリトリメチレンテレフタレート繊維およびその製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003227033A true JP2003227033A (ja) | 2003-08-15 |
Family
ID=27747435
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2002025210A Pending JP2003227033A (ja) | 2002-02-01 | 2002-02-01 | 易染性ポリトリメチレンテレフタレート繊維およびその製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003227033A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011131057A1 (zh) * | 2010-04-22 | 2011-10-27 | 江苏中鲈科技发展股份有限公司 | 一种改性的聚对苯二甲酸-1,3-丙二醇酯的制备方法 |
-
2002
- 2002-02-01 JP JP2002025210A patent/JP2003227033A/ja active Pending
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2011131057A1 (zh) * | 2010-04-22 | 2011-10-27 | 江苏中鲈科技发展股份有限公司 | 一种改性的聚对苯二甲酸-1,3-丙二醇酯的制备方法 |
US8962789B2 (en) | 2010-04-22 | 2015-02-24 | Jiangsu Zhonglu Technology Development Co., Ltd | Method for preparing modified poly (1,3-propanediol terephthalate) |
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