JP2003226666A - 光学活性マンデル酸類及びその晶析方法 - Google Patents

光学活性マンデル酸類及びその晶析方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 光学活性マンデル酸をより高い純度及び光学
純度で、かつ取扱い性に優れた結晶として簡便に収率良
く得る方法を提供する。 【解決手段】 光学活性マンデル酸類と鉱酸とを含む水
溶液中にアルカリを加えて部分中和し、該水溶液中から
光学活性マンデル酸類を晶析させることを特徴とする光
学活性マンデル酸類の晶析方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医薬中間体等とし
て有用な光学活性マンデル酸類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、マンデル酸類は対応するマンデ
ロニトリル類の加水分解等により得られる。そして、そ
のようにして合成された粗マンデル酸類は、反応溶液か
ら抽出、濾過、洗浄等の精製工程を経て単離され、次い
で結晶化してマンデル酸類の結晶が得られる。しかしな
がら、従来の方法では工程が煩雑であり、また得られる
マンデル酸結晶の収率及び光学純度は必ずしも満足でき
るものではなかった。なお、本発明に関連する文献公知
発明はない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、光学活性マ
ンデル酸をより高い純度及び光学純度で、かつ取扱い性
に優れた結晶として簡便に収率良く得る方法を提供する
ことを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、水に対し
て非混和性で、前記マンデル酸類が難溶の有機溶媒の存
在下で、光学活性マンデル酸類を水溶液中から晶析させ
ることにより上記課題を解決できることを見いだし、本
発明を完成させるに至った。
【0005】即ち、本発明は以下の発明を包含する。 (1)光学活性マンデル酸類と鉱酸とを含む水溶液中に
アルカリを加えて部分中和し、該水溶液中から光学活性
マンデル酸類を晶析させることを特徴とする光学活性マ
ンデル酸類の晶析方法。 (2)光学活性マンデル酸類の水溶液に、水に対して非
混和性でかつ前記マンデル酸類が難溶の有機溶媒を混合
して、光学活性マンデル酸類を前記水溶液中から晶析さ
せることを特徴とする光学活性マンデル酸類の晶析方
法。 (3)光学活性マンデル酸類と鉱酸とを含む水溶液中に
アルカリを加えて部分中和し、該水溶液に、水に対して
非混和性でかつ前記マンデル酸類が難溶の有機溶媒を混
合して、前記水溶液中から光学活性マンデル酸類を晶析
させることを特徴とする光学活性マンデル酸類の晶析方
法。 (4)前記有機溶媒として、水への溶解度が20℃で1重
量%未満であり且つ、前記マンデル酸類の溶解度が20℃
で2重量%未満である有機溶媒を用いる前記(2)又は
(3)記載の方法。 (5)充填密度0.55g/cm3以上であり、且つ、粒度分布
が粒子径300〜1,000μmの範囲に重量基準で60%以上で
ある光学活性マンデル酸類結晶。 (6)含水率が0.01重量%以上5重量%未満である
前記(5)記載の結晶。 (7)前記(1)〜(4)のいずれかに記載の方法によ
り得られる光学活性マンデル酸類を乾燥させて得られる
光学活性マンデル酸類の結晶。 (8)光学活性マンデル酸類が、2-クロロマンデル酸、
3-クロロマンデル酸、又は4-クロロマンデル酸である前
記(5)〜(7)のいずれかに記載の結晶。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明は、光学活性マンデル酸類
と鉱酸とを含む水溶液中にアルカリを加えて部分中和
し、該水溶液中から光学活性マンデル酸類を晶析させる
ことを特徴とする光学活性マンデル酸類の晶析方法、及
び水に対して非混和性で、前記マンデル酸類が難溶の有
機溶媒の存在下で、光学活性マンデル酸類を水溶液中か
ら晶析させることを特徴とする光学活性マンデル酸類の
晶析方法である。
【0007】本発明で用いられる光学活性マンデル酸類
としては、マンデル酸の他にその誘導体、例えば、マン
デル酸のベンゼン環上に置換基を有するもの等が挙げら
れる。前記置換基の具体例としては、例えば、メチル
基、エチル基等の炭素数1〜5の直鎖状又は分岐状アル
キル基、塩素、臭素、フッ素等のハロゲン、シアノ基等
が挙げられる。上記のような置換基を有するマンデル酸
誘導体の具体例としては、例えば、2-クロロマンデル
酸、3-クロロマンデル酸、4-クロロマンデル酸等が挙げ
られる。なお、本発明で用いられる光学活性マンデル酸
はR体、S体のどちらでも用いることができる。本発明
ではマンデル酸類の晶析を以下のようにして行なう。
【0008】マンデル酸類を水に溶かしてマンデル酸類
の水溶液を調製する。この時、マンデル酸類が完全に溶
解するように水を適宜温めながら行なってもよい。な
お、マンデル酸類の水溶液としては、例えば、マンデル
酸類を対応するマンデロニトリル類の加水分解反応によ
り得た場合、生成した粗マンデル酸類を反応終了後の溶
液から単離することなく、反応終了溶液に適当な量の水
を加えたものを用いてもよい。例えば、鉱酸(例えば、
塩酸、硫酸、硝酸、ホウ酸、リン酸、過塩素酸等)を用
いてマンデロニトリル類の酸加水分解反応を行ない、加
水分解終了後の水溶液をそのまま用いることができる。
なお、酸加水分解反応終了後の水溶液は加水分解反応に
より生成した光学活性マンデル酸類及び鉱酸を含んでい
るため酸性を示す。本発明ではこのような光学活性マン
デル酸類及び鉱酸を含む水溶液にアルカリを添加して部
分中和した後に晶析させる。本明細書でいう「部分中
和」とは、水溶液中に存在する鉱酸の当量よりも少ない
当量のアルカリを用いて中和することをいう。アルカリ
としては、例えば水酸化カリウム、水酸化ナトリウム等
が挙げられる。また、アルカリの添加量は、水溶液中の
鉱酸に対して通常0.2〜1当量、好ましくは0.4〜
0.9当量である。
【0009】本発明者らは、上述のような部分中和処理
を行なうことにより、光学活性マンデル酸類結晶の回収
率及び純度を向上させることができることを見出した。
これは、明らかではないが、(1)マンデル酸類等の二
量体等のエステル化合物の分解、及び(2)塩濃度の効
果などによるものと考えられる。
【0010】本発明者らは、上記二量体等のエステル化
合物は塩基性の水溶液中では容易に分解されて解離し、
マンデル酸類の単量体になることを見出した。しかしな
がら、晶析させる水溶液全体を塩基性にしてしまうとマ
ンデル酸類は塩を形成し、その結果溶解度が高くなりす
ぎて晶析が困難になり回収率が低下するため、本発明者
らはさらに詳細に検討した結果、水溶液全体を完全に中
和しない程度に適切な量のアルカリを添加し、しかる後
に晶析を行なうことにより、マンデル酸類の水への溶解
度を高めることなく大部分の上記二量体を解離・分解さ
せることが可能となることを見出し、本発明を完成させ
るに至った。本明細書では、上述のように酸性水溶液を
完全には中和しない程度のアルカリを添加することを
「部分中和」という。
【0011】また、このような部分中和を行なうことに
より、水溶液中の鉱酸とアルカリとの反応により無機塩
が形成される。例えば、鉱酸として塩酸を含む水溶液に
水酸化ナトリウムを添加するとNaClが生成する。ア
ルカリの添加により無機塩が生成すると水溶液中の塩濃
度が上昇するためマンデル酸類の溶解度が低下し、その
結果、晶析時のマンデル酸類の回収率を向上させること
ができることがわかった。
【0012】上述の二つの効果、即ち(1)マンデル酸
類等の二量体等のエステル化合物の分解と、さらには
(2)塩濃度効果との二つの効果の相乗作用などによ
り、マンデル酸類結晶の回収率を向上させることができ
たと考えられる。
【0013】さらには、上記のようにして調製したマン
デル酸類の水溶液、又はマンデル酸類と鉱酸とを含む水
溶液に水に対して非混和性で、かつ前記マンデル酸類が
難溶の有機溶媒を加えてマンデル酸類を晶析させてもよ
い。
【0014】本明細書でいう「水に対して非混和性」の
有機溶媒とは、水相と相分離しうる有機溶媒のことをい
い、水に対する溶解度が20℃で1重量%未満であること
が好ましい。また、本明細書でいう「マンデル酸類が難
溶」の有機溶媒とは、例えばマンデル酸類の有機溶媒へ
の溶解度が20℃で2重量%未満、好ましくは20℃で0.5重
量%未満であるような有機溶媒をいう。
【0015】このような有機溶媒を添加して晶析を行な
うことにより、マンデロニトリル類の加水分解反応で生
成する副生成物等が有機溶媒層に抽出され、水溶液のみ
から晶析させる場合と比較して、より高純度でかつ着色
の少ない光学活性マンデル酸類の結晶を得ることができ
る。また、水溶液のみから晶析させた場合は通常サイズ
が小さい微粉末の結晶しか得られないのに対して、有機
溶媒を加えて晶析させると顆粒状の取り扱いやすい結晶
が得られる。
【0016】このような、水に対して非混和性で、前記
マンデル酸類が難溶の有機溶媒の例としては、例えば、
炭化水素溶媒が挙げられる。そのような炭化水素溶媒と
しては、直鎖状又は分岐状の鎖式炭化水素、側鎖のない
又は側鎖のある環式炭化水素、あるいは、前記の環式炭
化水素基が置換した鎖式炭化水素のいずれをも含む。ま
た、これらの炭化水素は分子内に不飽和結合を有してい
てもよい。以下に、前記炭化水素溶媒の代表的なものに
ついて例示する。
【0017】直鎖状又は分岐状の鎖式炭化水素溶媒とし
ては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタ
ン等、及びそれらの構造異性体、例えば2-メチルペンタ
ン、3-メチルペンタン等の炭素数5〜16の鎖式炭化水
素が挙げられる。側鎖のない又は側鎖のある環式炭化水
素としては、シクロペンタン、シクロヘキサン等、及び
それらの構造異性体、例えばメチルシクロペンタン、メ
チルシクロヘキサン等の炭素数6〜16の飽和単環式炭
化水素、並びにベンゼン、トルエン、トリメチルベンゼ
ン、o-キシレン、m-キシレン、p-キシレン、若しくはキ
シレンの異性体混合物等の芳香族炭化水素が挙げられ
る。
【0018】これらの炭化水素溶媒のうちベンゼン、ト
ルエン、p-キシレン等の芳香族炭化水素溶媒が好まし
く、トルエンが更に好ましい。また、本発明では二種以
上の溶媒を組合わせた混合溶媒を用いてもよい。
【0019】上記有機溶媒を加える場合、水溶液と有機
溶媒との比率は重量比で1:0.05〜1:1とすることが好
ましい。このマンデル酸類の水溶液と有機溶媒との混合
物を冷却することにより、マンデル酸類の結晶が析出す
る。冷却温度は、前記マンデル酸類の水溶液が飽和溶液
となる温度以下であれば特に限定されないが、好ましく
は30℃以下、さらに好ましくは20℃以下である。冷却は
速すぎるとよくなく、0.5℃/min以下の冷却速度で冷却
することが好ましい。次いで、析出した光学活性マンデ
ル酸類結晶をろ過し、水及びトルエン等の有機溶媒で洗
浄する。濾取して得られた光学活性マンデル酸類結晶は
通常5.0%以上の水分を含んでいるため、含水率が5
重量%未満、好ましくは0.01重量%以上0.2重量
%未満になるまで乾燥させる。
【0020】なお、先に述べた部分中和処理と有機溶媒
の添加処理とを組合せて行なう場合、部分中和処理は次
のようにして実施することが好ましい。マンデル酸類の
水溶液は有機溶媒を添加して静置すると、シロップ状の
高濃度層と低濃度層とに分離する場合がある。この場
合、マンデル酸類の二量体のほとんどは高濃度層に分配
するため、この高濃度層を一度分離する。これにアルカ
リを添加してマンデル酸類の二量体の会合を解離させ
る。この高濃度層の溶液は塩基性を示すが、これを別に
とっておいた低濃度層と再び一緒にすると溶液全体は酸
性となり、部分中和処理がなされる。次いで、晶析の操
作を行なうことによりマンデル酸類の結晶を得ることが
できる。このようにしてマンデル酸類を晶析させること
により、粒度分布が、粒子径300〜1,000μmの範囲に多
く分布したマンデル酸類の結晶を得ることができる。
【0021】本発明の晶析方法により、従来の方法によ
り得られる結晶と比較して極めて光学純度が高く、また
充填密度が大きく、かつ比較的粒径の揃った取り扱いや
すい顆粒状の結晶としてマンデル酸類の結晶を容易に回
収率良く得ることができる。例えば、光学活性マンデル
酸類として光学活性2-クロロマンデル酸を用いた場合、
得られる光学活性2-クロロマンデル酸結晶は、その充填
密度は0.55g/cm3以上で得られ、また、容易に飛散した
り、容器の壁に付着しやすい等の問題が少ないものであ
る。この原因は明らかではないが、有機溶媒から析出さ
せる従来の晶析方法では、有機溶媒溶液中に存在する不
純物が、光学活性マンデル酸類の溶解度や結晶化に影響
を与えるため、充填密度の低い結晶しか得られない。ま
た、温度による溶解度の差が水より小さい場合が多く、
そのため純度の高い結晶を高い回収率で得ることが難し
い。
【0022】本発明の光学活性マンデル酸類結晶は、充
填密度が0.55g/cm3以上、好ましくは0.60g/cm3以上であ
り、かつ粒度分布が300μm〜1000μmの範囲に重量基準
で60%以上、好ましくは65%以上に分布した光学活性マ
ンデル酸類結晶である。このような結晶は、容器への充
填、容器の移し替え、秤量等の操作における取扱い性が
格段に向上し、結晶が飛散したり容器の壁に付着しにく
い等の特徴があり、充填密度が大きいため、輸送や保管
時のスペースも節約でき、輸送コストや装置コストが低
減できるなど工業的に大変に有用である。
【0023】本発明の光学活性マンデル酸類結晶は、例
えば、光学活性マンデル酸類の水を含む溶液から、晶析
手段や晶析条件を種々選択、調製することにより得られ
る。特に、前記した本発明の晶析方法を採用すること
が、得られる結晶の光学純度が高く、比較的粒子径の揃
った顆粒状の結晶として効率良く得られる点で好ましい
ものである。
【0024】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により説明
するが、本発明は、以下の実施例に限定されるものでは
ない。
【0025】(実施例1)200mlフラスコ中に光学純度9
6%eeの(R)-2-クロロマンデロニトリル51.3g((R)-2-ク
ロロマンデロニトリルとして0.30mol)及び35%塩酸96.
0g(HCl 0.92mol)を仕込み、60℃で7時間撹拌して加水
分解反応を行なった。反応終了後、水55.0g及び有機溶
媒としてトルエン15.0gを加え55℃で10分間撹拌した。
このようにして得られた、水層及びトルエン層の2層か
らなる溶液を撹拌しながら、一定の冷却速度で4時間か
けて10℃まで冷却し、10℃で2時間保持した。析出した
結晶を濾過し、水30gで洗浄後、次いでトルエン30gで洗
浄した。得られた結晶を減圧下で乾燥して、(R)-2-クロ
ロマンデル酸結晶51.2gを得た。(R)-2-クロロマンデル
酸の純度はHPLCで99.5%であり、光学純度は99.9%eeで
あった。回収された(R)-2-クロロマンデル酸の収率は9
1.0%であった。
【0026】(実施例2)加水分解反応後に加える有機
溶媒としてトルエンの代わりにベンゼンを用いた以外は
実施例1と同様にして(R)-2-クロロマンデル酸結晶51.5
gを得た。(R)-2-クロロマンデル酸の純度はHPLCで99.3
%であり、光学純度は99.8%eeであった。回収された
(R)-2-クロロマンデル酸の収率は91.3%であった。
【0027】(実施例3)加水分解反応後に加える有機
溶媒としてトルエンの代わりにp-キシレンを用いた以外
は実施例1と同様にして(R)-2-クロロマンデル酸結晶5
1.5gを得た。(R)-2-クロロマンデル酸の純度はHPLCで9
9.3%であり、光学純度は99.8%eeであった。回収され
た(R)-2-クロロマンデル酸の収率は91.3%であった。
【0028】(比較例1)加水分解反応後にトルエンを
加えないで、それ以外は実施例1と同様にして(R)-2-ク
ロロマンデル酸結晶52.7gを得た。(R)-2-クロロマンデ
ル酸の純度はHPLCで98.3%であり、光学純度は99.0%ee
であった。回収された(R)-2-クロロマンデル酸の収率は
92.0%であった。
【0029】(比較例2)実施例1に記載のようにして
加水分解反応を行ない、反応終了後、酢酸エチル100gを
加えて分液漏斗中で振り混ぜた後に有機層を水層から分
離した。水層を酢酸エチル100gで抽出し、得られた有機
層を前の操作で得た有機層と合わせた後、水30gで洗浄
した。こうして得られた有機層をエバポレーターを用い
て減圧下で乾固した。この粗結晶をトルエン-酢酸エチ
ル(重量比9:1)400g中に70℃で溶解させ、撹拌しな
がら一定の冷却速度で4時間かけて10℃まで冷却し、10
℃で2時間保持した。析出した結晶を濾過し、トルエン3
0gで洗浄した。得られた結晶を減圧下で乾燥して、(R)-
2-クロロマンデル酸結晶48.2gを得た。(R)-2-クロロマ
ンデル酸の純度はHPLCで99.3%であり、光学純度は99.9
%eeであった。回収された(R)-2-クロロマンデル酸の収
率は85.5%であった。
【0030】(実施例4)200mlのフラスコに光学
純度96.0%eeの(R)-2-クロロマンデロニトリル51g((R)
体:0.30mol)及び35%塩酸96g(HCl:0.92mol)をと
り、60℃で7時間撹拌して加水分解反応を行なった。反
応終了後、トルエン15gを加え55℃で10分間撹拌した。
次に、この溶液を55℃に保ったまま10分間静置し、最下
層に分離して溜まった高濃度の(R)-2-クロロマンデル酸
層を分取し、18wt%水酸化ナトリウム水溶液67gを加え
た。次いで、この層をとっておいた残りの層(トルエン
層及び低濃度の水層)と混合して55℃にした。この水相
/トルエン相混合溶液を撹拌しながら一定の冷却速度で
4時間かけて10℃まで冷却し、10℃で2時間保持した。析
出したクロロマンデル酸の結晶をろ過し、水30gで洗浄
後、トルエン30gで洗浄した。得られた(R)-2-クロロマ
ンデル酸結晶湿潤物の含水量は10重量%であった。次い
で、この(R)-2-クロロマンデル酸結晶湿潤物を減圧乾燥
して乾燥(R)-2-クロロマンデル酸結晶52.5gを得た(収
率93.2%)。得られた乾燥(R)-2-クロロマンデル酸結晶
の純度はHPLCで99.6%であり、光学純度は99.9%eeであ
った。なお、結晶の含水量はカール・フィッシャー法に
より測定した。
【0031】(実施例5)水酸化ナトリウム水溶液の濃
度を26wt%とし、これを74.3g用いる以外は実施例4と
同様に行ない、乾燥(R)-2-クロロマンデル酸結晶52.9g
を得た(収率94.0%)。得られた乾燥(R)-2-クロロマン
デル酸結晶の純度はHPLCで99.6%であり、光学純度は9
9.9%eeであった。
【0032】(実施例6)トルエン15gに代えてp-キシ
レン15gを添加する以外は実施例4と同様に行ない、乾
燥(R)-2-クロロマンデル酸結晶53.1gを得た(収率94.3
%)。得られた乾燥(R)-2-クロロマンデル酸結晶の純度
はHPLCで99.5%であり、光学純度は99.8%eeであった。
実施例1〜6並びに比較例1及び2の結果を表1に示
す。
【0033】
【表1】
【0034】次に、実施例1〜6及び比較例1〜2で得
られた(R)-2-クロロマンデル酸結晶について、外観、含
水量、充填密度、圧縮度、粒度分布の各項目について測
定した。各項目は以下の方法に従って測定した。
【0035】含水量の測定 カール・フィッシャー法により測定した。充填密度の測定 上記各実施例及び比較例で得られた結晶をそれぞれ10〜
20g秤量し、直径20mmの漏斗を通して50mlのメスシリン
ダー中に自然落下させ、結晶の重量と体積を測定して充
填密度を算出した。
【0036】圧縮度の測定 約7cm3のクロロマンデル酸結晶を直径9mmの漏斗を通し
て20cmの高さから10mlメスシリンダー中に自然落下さ
せ、結晶の体積を測定する(体積1)。次に、メスシリ
ンダー中の結晶をガラス棒で押して体積が減少しなくな
るまで圧縮し、圧縮後の体積を測定する(体積2)。圧
縮度を以下の式に従って算出する。 圧縮度=(体積1−体積2)/体積1
【0037】粒度分布の測定 ミクロ型電磁振動ふるい器(筒井理化学器械製M-2型)
を用いて結晶をふるい分けし、重量を測定して粒度分布
を求めた。結晶は20g用い、網目1,000μmのふるいに載
せ、下に網目300μmのふるいを置き10分間振動させた。
実施例1〜6並びに比較例1及び2で得られた結晶の性
状を表2に示す。
【0038】
【表2】
【0039】(実施例7)実施例1〜6並びに比較例1
及び2で得られたクロロマンデル酸結晶の取り扱い性に
ついて評価した。取り扱い性は(1)付着性及び(2)
流動性を測定することにより評価した。各項目は以下の
ようにして測定した。
【0040】(1)付着性 クロロマンデル酸結晶を内径16mmの乾燥した試験管に約
10cmの高さになるように自然落下させて入れた。次い
で、クロロマンデル酸を入れた試験管をゆっくりと反転
させて完全に上下を逆転させて結晶を落とした後、試験
管の重量を測定して試験管の内壁に付着したクロロマン
デル酸結晶の重量を求めた。最初に充填したクロロマン
デル酸結晶の重量に対する付着重量の割合(%)を付着
性の指標とした。
【0041】(2)流動性 頂角が60度の円錐の先端に内径が4、5、6、8、9又は11m
mのガラス管(円筒部)を接合したガラス製の漏斗を用
いた。漏斗の出口(円筒部の出口)を封鎖して、クロロ
マンデル酸結晶15gを円筒部の途中で詰まらないように
少しずつ自然落下により漏斗に充填していった。この際
に、漏斗を振動させたり、あるいはクロロマンデル酸結
晶を加圧して押し込んだりしてはならない。次いで、ク
ロロマンデル酸結晶を充填した漏斗を静置し、出口を開
けてクロロマンデル酸結晶を漏斗の円筒部出口から自然
落下させた。これを上記4〜11mmの内径の円筒部を有す
る各漏斗でそれぞれ5回試験し、5回とも漏斗内で閉塞す
ることなくクロロマンデル酸結晶の全量をスムーズに自
然落下させることが可能な最小の内径を流動限界径(mm)
とし、流動性の指標とした。実施例1〜6並びに比較例
1及び2で得られたクロロマンデル酸結晶について上記
の方法に従って付着率及び流動限界径を測定した。その
結果を表3に示す。
【0042】
【表3】
【0043】
【発明の効果】本発明によれば、充填密度が大きく、純
度及び光学純度が高く、かつ取り扱いやすい粒度を有す
る光学活性マンデル酸類の結晶を高い収率で容易に得る
方法を提供できる。また、本発明の方法により得られる
光学活性マンデル酸結晶は、適度な粒度分布を有し、容
器等に付着しにくいため、飛散によるロスや容器の移し
替え時のロスを大幅に減らすことが可能であり、さらに
優れた流動性を有しているため取り扱い性に優れてい
る。また、光学活性マンデル酸類と鉱酸とを含む水溶液
中にアルカリを添加して部分中和処理して結晶化させる
ことにより、光学活性マンデル酸類の収率及び純度を向
上させることができ、さらに、該水溶液中の酸が部分中
和されているため装置の腐食を低減させることが可能で
ある。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) B01D 9/02 625 B01D 9/02 625Z C07C 65/01 C07C 65/01 // C07M 7:00 C07M 7:00

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光学活性マンデル酸類と鉱酸とを含む水
    溶液中にアルカリを加えて部分中和し、該水溶液中から
    光学活性マンデル酸類を晶析させることを特徴とする光
    学活性マンデル酸類の晶析方法。
  2. 【請求項2】 光学活性マンデル酸類の水溶液に、水に
    対して非混和性でかつ前記マンデル酸類が難溶の有機溶
    媒を混合して、光学活性マンデル酸類を前記水溶液中か
    ら晶析させることを特徴とする光学活性マンデル酸類の
    晶析方法。
  3. 【請求項3】 光学活性マンデル酸類と鉱酸とを含む水
    溶液中にアルカリを加えて部分中和し、該水溶液に、水
    に対して非混和性でかつ前記マンデル酸類が難溶の有機
    溶媒を混合して、前記水溶液中から光学活性マンデル酸
    類を晶析させることを特徴とする光学活性マンデル酸類
    の晶析方法。
  4. 【請求項4】 前記有機溶媒として、水への溶解度が20
    ℃で1重量%未満であり且つ、前記マンデル酸類の溶解
    度が20℃で2重量%未満である有機溶媒を用いる請求項
    2又は3記載の方法。
  5. 【請求項5】 充填密度0.55g/cm3以上であり、且つ、
    粒度分布が粒子径300〜1,000μmの範囲に重量基準で60
    %以上である光学活性マンデル酸類結晶。
  6. 【請求項6】 含水率が0.01重量%以上5重量%未
    満である請求項5記載の結晶。
  7. 【請求項7】 請求項1〜4のいずれか1項に記載の方
    法により得られる光学活性マンデル酸類を乾燥させて得
    られる光学活性マンデル酸類の結晶。
  8. 【請求項8】 光学活性マンデル酸類が、2-クロロマン
    デル酸、3-クロロマンデル酸、又は4-クロロマンデル酸
    である請求項5〜7のいずれか1項に記載の結晶。
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