JP2003226525A - フェライト粒子およびフェライト樹脂複合組成物 - Google Patents
フェライト粒子およびフェライト樹脂複合組成物Info
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Abstract
を提供し、特にフェライト粒子を樹脂中に分散した組成
物を提供するにあたり、長期保存、連続使用時にも安定
した組成を維持できるフェライト粒子、およびフェライ
ト樹脂複合組成物を提供する。 【解決手段】 平均結晶粒径:5μm 以下、体積平均粒
子径D50:25〜45μm 、BET値0.08m2/g
以上、嵩密度2.1g/cm3 以下のフェライト粒子および
これを用いたフェライト樹脂複合組成物とした。
Description
系のフェライト粒子に関し、より詳細にはコイルに巻回
された巻線の保護樹脂塗膜に好適に用いられるフェライ
ト粒子およびフェライト樹脂複合組成物に関する。
目的から、コイルの巻線上に樹脂組成物を塗布したり、
樹脂フィルムを巻回したりして保護層を形成していた。
み、このような電子機器に用いられるコイルにも小型化
の要請が高まっている。このようなコイルの小型化を実
現する上で、樹脂被膜の形成による保護層の重要性が高
まってきた。
コアやボビン等の支持部材上に導電線を巻きつけ、全体
を外装絶縁樹脂で被覆した構造を有するコイルが開示さ
れている。導電線としては、銅線等でなる導電芯線の周
りに絶縁皮膜を有し、絶縁皮膜の上に、融着被膜を設け
た線材が知られている。このような導電線を用いた場
合、外装絶縁樹脂としては、通常熱硬化性絶縁樹脂を用
いるのが一般的である。また、導電線を巻き付けて構成
した巻線部と、外装絶縁樹脂との間には、緩衝層となる
アンダーコート層として、シリコン樹脂を塗布すること
も知られている。
り、回路の高密度実装、高周波化を実現する上で、コイ
ルからの漏れ磁束を抑制する要望が大きくなってきた。
このような漏れ磁束を抑制するために、コア材、巻線方
法などについて種々の検討がなされている。また、外装
絶縁樹脂と漏れ磁束との関係については、例えば特許第
3219759号公報に記載されているように、外装絶
縁樹脂中にフェライト粉末を含有させて閉磁路を形成
し、漏れ時速を減少させるといった試みがなされてい
る。
散させただけでは、フェライト粒子の沈降により、フェ
ライト−樹脂組成物の組成が安定せず、組成物状態で保
存すると、組成物中で組成の変動を生じてしまう。ま
た、特に製造工程において、組成物の組成変動によりロ
ット間の品質のバラツキが生じてしまうといった問題を
有していた。
樹脂複合組成物は、樹脂と混合した状態で放置すると、
フェライト粒子が次第に分離・沈降してしまう。このよ
うなフェライト・樹脂複合組成物は、インジェクション
成形やトランスファー成形等の各種の成型法や、印刷工
法のための塗料の調整から輸送、保存、塗布までの間に
フェライト粒子が分離・沈降してしまい、均一なフェラ
イト・樹脂複合組成物が得られない。このようなフェラ
イト・樹脂複合組成物を用いると、電気特性のバラツキ
が生じ、製品の品質が劣化してしまう。
ルからの漏れ磁束を抑制する有効な手段を提供すること
であり、特にフェライト粒子を樹脂中に分散した組成物
を提供するにあたり、長期保存、連続使用時にも安定し
た組成を維持できるフェライト粒子、およびフェライト
樹脂複合組成物を提供することである。
下の本発明の構成により達成される。 (1) 平均結晶粒径:5μm 以下、体積平均粒子径D
50:25〜45μm、BET値0.08m2/g 以上、嵩
密度2.1g/cm3 以下のフェライト粒子。 (2) Ni−Cu−Zn系フェライトである上記
(1)のフェライト粒子。 (3) 主成分として、 Fe2O3 45〜50 mol% NiO 10〜20 mol% ZnO 25〜40 mol% CuO 5〜10 mol% 含有する上記(1)または(2)のフェライト粒子。 (4) 上記(1)〜(3)のいずれかのフェライト粒
子が樹脂中に分散されているフェライト樹脂複合組成
物。 (5) コイルの保護被膜である上記(4)のフェライ
ト樹脂複合組成物。
従来に比べ、大きな透磁率を有し、かつ流動性に優れて
いるNi−Zn系フェライトを提供することを目的とし
て、Fe2O3 :47〜55 mol%、NiO:10〜2
3 mol%、ZnO:25〜40 mol%である組成で、平
均粒径20〜150μm のNi−Znフェライトを樹脂
組成物中に配合させ、このフェライト・樹脂複合組成物
の透磁率が25以上であり、流動性が優れているフェラ
イト・樹脂複合組成物が開示されている。しかし、この
文献に開示されているフェライト粒子は、コア材として
用いるものであり、外装絶縁樹脂に用いる検討も、漏れ
磁束を減少させる検討も一切なされていない。また、こ
の文献には透磁率を向上させるためには空孔を減少させ
ることが有効であると記載され、フェライト粒子の嵩密
度やBET値に関する検討も一切なされていない。
結晶粒径:5μm 以下、体積平均粒子径D50:25〜
45μm 、BET値0.08m2/g 以上、嵩密度2.1g
/cm3 以下のものである。
け、見かけの比重(嵩密度)を低くすることにより、フ
ェライト粒子と樹脂とを混合した複合組成物中におい
て、フェライト粒子が沈降したり、分離したりするのを
防止することができる。これにより、成形工程、塗布工
程などでの複合組成物の組成が安定し、バラツキの少な
い、高品位の製品を提供できる。
の組成は特に限定されるものではなく、種々の組成のフ
ェライトを用いることができるが、Mn−Zn系は抵抗
が低いことから避けるべきである。好ましくはNi−Z
n系、またはNi−Cu−Zn系フェライトであり、よ
り好ましくはNi−Cu−Zn系フェライトである。
成は好ましくは主成分として、 Fe2O3 45〜50 mol% NiO 10〜20 mol% ZnO 25〜40 mol% CuO 5〜10 mol% 含有するものがよい。また、上記主成分のほかにMn,
Mg,Co,W,Bi,Si,B,Zr等を含有してい
てもよい。
より、平均結晶粒径、体積平均粒子径D50、BET
値、嵩密度を調整しやすくなり、しかも良好な磁気特性
が得られる。また、上記組成のフェライトはコア材とし
ても使用されるため、原料の共通化や、廃材の利用によ
りコストダウン効果もある。
下、好ましくは3〜5μm 、体積平均粒子径D50:2
5〜45μm 、好ましくは30〜40μm 、BET値
0.08m2/g 以上、好ましくは0.15〜0.30m2/
g 、嵩密度2.1g/cm3 以下、好ましくは1.5〜2.
0g/cm3 である。
値、嵩密度が上記範囲を外れると、フェライト粒子の見
かけの比重が増大し、沈降しやすくなる。特に、平均粒
径が1μm未満であるとフェライト−樹脂組成物の粘性
が極端に高くなるため、作業性を考慮するとフェライト
の含有量を高くすることが困難になる。また、磁気特性
も劣化してくる。
とも可能であるが、充填率を向上させ電磁特性を向上さ
せるためには、球状の造粒粉を用いることが好ましい。
集が少なく、微細で粒度、形状が揃っており、かつ表面
活性の低い粉末となり、粉末自身が優れた磁気特性を有
するとともに、均一分散が可能であるため、特性のばら
つきが小さくなり、かつ充填密度をより高くすることが
できる。
範囲未満では、成形密度を上げることが難しく、体積平
均粒子径が上記範囲を超えると、軽薄短小な電子部品の
保護皮膜には大きすぎるために、均一な充填・成形がで
きずバラツキが大きくなる。
ie散乱)を応用することにより求めることができる。
すなわち、直径Dの単一粒子に光が入射した場合、その
粒子から観察される散乱光強度は、粒子の周長と入射光
波長λとの比で定義される粒径パラメータα(α=πD
/λ)と粒子の屈折率mとによって決まる。粒子径が大
きい場合、散乱光は前方に集中し、粒子径が入射波長よ
り小さい場合、散乱光は全方向に散乱する。この場合、
散乱光強度は、散乱角θ(入射方向と散乱方向の角度)
に依存して変化する。従って、散乱光強度の角度分布を
求めることで粒子径分布が計算できる。
めることが好ましい。すなわち、 球状平均径(平均体積径)=(Σnd3 /Σn)1/3
〔d:粒子径、n:サンプル数〕 として求めることができる。また、粒径−累積体積分布
曲線から累積50%における粒径(Xvm)としてもよ
い。
全な球状のほか、極めて真球に近い多面体も含むもので
ある。即ち、本発明の球状微粉末には、Wulffモデルで
表わされるような安定な結晶面で囲まれた等方的な対称
性を有し、かつ球形度が1に近い多面体粒子も含まれ
る。
好ましい。ここで、「球形度」は、Wadellの実用球形
度、即ち、粒子の投影面積に等しい円の直径の、粒子の
投影像に外接する最小円の直径に対する比で表わされ
る。球形度が小さくなると、分散性が悪化しやすくな
る。
た(樹脂に粒子を埋め込み、樹脂ごと研磨)後、その粒
子形状(外周形状)を(OCR等を用い画像情報とし
て)取り込み、画像処理によりその面積を求め、計算に
より直径を算出する。さらに、前記粒子形状に、外接円
を直径が最小となるように描かせた後、その直径を求め
る。これらにより求めた2つの直径からWadell の実用
球状度により球形度を算出する手法などにより求めるこ
とができる。なお、Wadell の実用球状度Ψ0 は、 Ψ0 =粒子の投影面積に等しい円の直径/粒子の投影像
に外接する最小円の直径 として定義されている。
も60質量%以上が上記球形度の範囲にある粒子を用い
ることが好ましい。
例えば噴霧造粒法を用いればよい。噴霧造粒法のなかで
もディスク造粒法は、角速度により粒度を調整すること
が可能であり、粒度分布も狭く、均一な粒径のフェライ
ト粒子が得られ易い。
るには、スラリー中の固形物濃度を調整すればよい。一
般に、固形物濃度が高くなると空孔ができにくくなる。
また、逆に固形物濃度が低すぎると造粒が困難となって
くる。好ましい固形物濃度としては45〜65質量%、
より好ましくは50〜60質量%程度である。
を加えてもよい。
より造粒し、入り口温度150〜250℃、出口温度7
0〜125℃の範囲で造粒乾燥させた後、結晶粒成長し
ない程度の温度、好ましくは900〜1100℃、より
好ましくは950〜1050℃で焼成して本発明のフェ
ライト粒子を得る。
は、ポリ塩化ビニル、ポリオレフィン、エポキシ樹脂、
ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂、フッ素樹
脂、セルロース誘導体等、任意の合成樹脂材料が使用可
能であるが、取り扱いの容易さ等の点から熱可塑性樹脂
よりも熱硬化性樹脂の方が有利である。特にエポキシ樹
脂は、各種金属との接着性に優れ、また良好な作業性、
物理特性、機械特性、化学特性を有するので好適であ
る。
しては、好ましくは40〜95質量%、より好ましくは
75〜95質量%である。フェライト粒子の含有量が4
0質量%未満であると、効果的な閉磁路を構成すること
が困難となり、漏れ磁束抑制効果が不足する虞れがあ
る。逆にフェライト粒子の含有量が95質量%を超える
と、樹脂分が不足して被膜の強度が不足したり、形成が
困難になってくる。
形成することができる。例えば、フェライト粒子と樹
脂、必要により硬化剤、促進剤とを混合したものを溶剤
に溶解してペースト状の塗料となし、これをインダクタ
にインジェクション法などにより塗布した後、40〜1
00℃程度の温風を吹き付けるか、放置して溶媒を揮発
させ乾燥すればよい。このようにすることで、フェライ
ト粒子の充填率(樹脂に対する比率)を質量比で75〜
90%にまで上げることが可能である。
インダクタンス値が大きくとれ、同一インダクタンス値
としたときには直流ロスが減少して効率が良くなること
になる。
ルの外装絶縁樹脂層に用いた例を図1に示す。図示例の
コイルは、コア1とこのコア1に巻回されている巻線2
とを有し、この巻線2の外側を囲むようにフェライト樹
脂複合組成物からなる外装絶縁樹脂層3が形成されてい
る。この外装絶縁樹脂層3は、樹脂5中にフェライト粒
子4が分散されている。
線型のコイルの絶縁被膜として好適である。特にMDや
CDなどのポータブル音響機器、デジタルビデオカメラ
の電源用チョークコイルとして使用される小型の巻線型
コイルや、ノート型パソコンのDC/DCコンバータ用
チョークコイルやノート型パソコンの液晶バックライト
のインバータ回路用チョークコイルなどに使用される大
型の巻線型コイルなどに好適に用いることができる。ま
た、プリントコイルや、薄膜型コイル等に応用すること
も可能である。
度93 mol%、平均重合度1300のポリビニールアル
コール1質量%、ポリカルボン酸系の分散剤0.3質量
%をそれぞれ添加し、さらに溶剤として水を添加してス
ラリー中の固形物(フェライト)濃度50質量%、60
質量%、67質量%にそれぞれ調整した。得られた各ス
ラリーを、噴霧造粒法(ディスク式アトマイザ法式)に
より平均粒径40μm に造粒した後、焼成温度1000
℃、1040℃、1080℃でそれぞれ焼成を行った。
得られた焼成物を乾式粉砕後、振動篩を用いて整粒を行
い、体積平均粒径D50が35μm のフェライト粒子を
製造した。なお、このフェライト粒子の球形度は0.9
〜0.93程度であった。
リーボンド社製、商品名:2023、粘度3000cp
s)とを質量比50:50で混合し、有機スラリーを作
製した。得られた有機スラリーを試験管内で放置し、フ
ェライト粒子の沈降度合いを個液分離状体で評価した。
すなわち、上澄みの液体成分と、固体を含有するスラリ
ー部分との試験管における比率を目視により観察した。
得られた粒子のBET値、嵩密度、平均結晶粒径、体積
平均粒径と、沈降度合いをそれぞれ表1,2に示す。ま
た、各サンプル1〜9の表面の状態をそれぞれ図2〜1
0に示す。なお、BET値は、比表面積測定器(島津製
作所、micromeritics)で測定して得、嵩密度は、JI
S−Z−2504に準拠して測定して得た。また、平均
結晶粒径は、SEM画像観察により算出し、体積平均粒
径はマイクロトラック粒度分析計を用いて算出した。
%、焼成温度1000℃の条件で作製したフェライト粒
子とフタル酸ジアリルとを混合して、外装樹脂塗膜用の
フェライト樹脂複合組成物を作製した。用いたコイルは
コアにドラム型形状(寸法直径0.8mm×長さ1.6mm
×つば部0.4mm)を用い、これに所定の大きさの銅線
を30回巻回したものを用意した。このコイルにインジ
ェクション装置を用いて、上記組成物を塗布し、表面被
覆コイル10000個作製し、製品間のインダクタンス
のバラツキを調べた。
均13mHで、通常の破砕粉を用いたものに比べて30%
程度インダクタンスが向上した。また、各製品のインダ
クタンスの平均値に対する偏差は0.5mH以内であり、
均一な品質が得られることがわかった。
用いた複合組成物は、樹脂と混合した状態で放置して
も、フェライト粒子が分離・沈降してしまうことがな
い。このため、インジェクション成形やトランスファー
成形等の各種の成型法や、印刷工法のための塗料の調整
から輸送、保存、塗布までの間において、フェライト粒
子が分離・沈降してしまうことがなく、均一なフェライ
ト・樹脂複合組成物が得られる。このため、電気特性の
バラツキが生ぜず、製品の品質が向上する。
らの漏れ磁束を抑制する有効な手段を提供することがで
き、特にフェライト粒子を樹脂中に分散した組成物を提
供するにあたり、長期保存、連続使用時にも安定した組
成を維持できるフェライト粒子、およびフェライト樹脂
複合組成物を提供することができる。
イルの概略断面図である。
を示す図面代用SEM写真である。
を示す図面代用SEM写真である。
を示す図面代用SEM写真である。
を示す図面代用SEM写真である。
を示す図面代用SEM写真である。
を示す図面代用SEM写真である。
を示す図面代用SEM写真である。
を示す図面代用SEM写真である。
態を示す図面代用SEM写真である。
Claims (5)
- 【請求項1】 平均結晶粒径:5μm 以下、体積平均粒
子径D50:25〜45μm 、BET値0.08m2/g
以上、嵩密度2.1g/cm3 以下のフェライト粒子。 - 【請求項2】 Ni−Cu−Zn系フェライトである請
求項1のフェライト粒子。 - 【請求項3】 主成分として、 Fe2O3 45〜50 mol% NiO 10〜20 mol% ZnO 25〜40 mol% CuO 5〜10 mol% 含有する請求項1または2のフェライト粒子。
- 【請求項4】 請求項1〜3のいずれかのフェライト粒
子が樹脂中に分散されているフェライト樹脂複合組成
物。 - 【請求項5】 コイルの保護被膜である請求項4のフェ
ライト樹脂複合組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002028296A JP3825700B2 (ja) | 2002-02-05 | 2002-02-05 | フェライト粒子およびフェライト樹脂複合組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002028296A JP3825700B2 (ja) | 2002-02-05 | 2002-02-05 | フェライト粒子およびフェライト樹脂複合組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2009234839A (ja) * | 2008-03-26 | 2009-10-15 | Powdertech Co Ltd | フェライト粒子及びその製造方法 |
-
2002
- 2002-02-05 JP JP2002028296A patent/JP3825700B2/ja not_active Expired - Fee Related
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