JP2003226261A - 中空構造物の補強構造及び補強方法 - Google Patents

中空構造物の補強構造及び補強方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 中空構造物を効率的に補強することのできる
中空構造物の補強構造を提供する。 【解決手段】 中空パネル1は、車室内側のインナパネ
ル2及び車室側のアウタパネル3とが閉じ状態に接合し
て構成される。インナパネル2とアウタパネル3との間
には、リインフォースメントパネル4が内設されてい
る。リインフォースメントパネル4には、その長手方向
に沿って略直角に折り曲げられた部分であるコーナー部
11が形成されている。発泡性基材8が外部加熱により
発泡膨張すると、アウタパネル3とリインフォースメン
トパネル4との間に構成された第2の中空領域7が発泡
体13により充填され、リインフォースメントパネル4
のコーナー部11に沿って断面形状保持部材12が配置
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、中空構造物の補
強構造に関し、特に、複数枚のパネルによって中空の閉
じ断面に構成された中空パネル(例えば、車両ボディの
センタピラー、フロントピラー、クオータピラー、ルー
フサイドパネル、ロッカパネル等)等を補強するための
補強構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、車両ボディを構成する中空パネル
の補強構造としては、例えば、中空パネルを構成するイ
ンナパネルとアウタパネルとの間に金属製リインフォー
スメントパネルを内設して補強をしているのが一般的で
あった。さらに、より十分な補強を行うためには、その
中空パネルの中空室内部に高剛性の発泡体を充填するこ
とにより補強をするのが一般的であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、中空パネルの
中空室内部に発泡体を充填したり、パネルの間に金属製
リインフォースメントパネルを内設したとしても、外部
からの衝撃等に対して十分な補強強度を得ることができ
ない場合がある。この場合、充填する発泡体の量を多く
したり、内設するリインフォースメントパネルの板厚を
大きくする等の措置をとることも考えられるが、補強後
の中空パネルの重量が大幅に増加し、燃費等に悪影響を
及ぼすこともあるので問題であった。
【0004】本発明はこのような問題点に鑑みて創案さ
れたものであり、中空構造物を効率的に補強することの
できる中空構造物の補強構造及び補強方法を提供するこ
とを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、特許請求の範囲の各請求項に記載した通りの発明が
構成される。請求項1に記載の中空構造物の補強構造に
よれば、中空構造物の中空室の長手方向に沿って補強用
パネルが配設される。前記補強用パネルと前記中空室の
内壁面との間には発泡体が介在されており、その発泡体
は、前記補強用パネルの長手方向に垂直な断面の形状を
保持する断面形状保持部材を備えている。このような構
成により、請求項1に記載の中空構造物の補強構造によ
れば、中空構造物に外力が加えられると、その加えられ
た外力は発泡体を介在して補強用パネルに伝達される。
このとき、補強用パネルの長手方向に垂直な断面形状は
断面形状保持部材によって略一定に保持されるので、補
強用パネルは座屈変形等せずにその伝達された外力を吸
収し続けることができる。これにより、中空構造物は効
率的に補強されることとなる。
【0006】請求項2に記載の中空構造物の補強構造に
よれば、補強用パネルには、その長手方向に沿って折り
曲げられた部分であるコーナー部が形成される。補強用
パネルの断面形状を保持するための断面形状保持部材
は、その補強用パネルのコーナー部に沿って配置され
る。これにより、補強用パネル全体が外部からの曲げ応
力等に対して変形し難い構造となり、かつ、断面形状が
略一定に保持されて効率的に補強されることとなる。
【0007】請求項3に記載の中空構造物の補強方法に
よれば、補強用パネルの長手方向に垂直な断面の形状を
保持する断面形状保持部材を準備する工程と、前記断面
形状保持部材を発泡性基材と一体状に結合させた状態で
前記中空構造物の中空室内に配設する工程と、前記発泡
性基材を外部加熱により発泡膨張させて発泡体とし、そ
の発泡体により前記補強用パネルと前記中空室の内壁面
との間を介在させるとともに、その発泡体により前記断
面形状保持部材を前記補強用パネルのコーナー部に沿っ
て配置する工程と、を含む補強方法によって中空構造物
が補強される。このような方法によれば、発泡性基材を
中空室内に配設することにより、その発泡性基材と一体
状に結合された断面形状保持部材をも同時に中空室内に
配設することができるので、断面形状保持部材を単独に
別の工程で中空室内に配設するよりも手間が少なくなる
効果がある。
【0008】
【発明の実施の形態】本発明の一実施の形態を図面を参
照しながら以下に説明する。図1は、中空パネル1(中
空構造物)の補強構造が構成される前の状態を示す斜視
図である。本実施の形態に係る中空パネル1は、車両の
ボディを構成する中空パネルとして用いられるものであ
り、例えば、車両ボディのセンタピラー、フロントピラ
ー、クオータピラー、ルーフサイドパネル、ロッカパネ
ル等を構成する中空パネルとして用いられるものであ
る。
【0009】図1に示すように、中空パネル1は、主と
して車両の車室内側に配設されるインナパネル2と、車
両の車室外側に配設されるアウタパネル3とが、補強用
パネルとして内設されるリインフォースメントパネル4
(補強用パネル)を間に介装した状態で接合されること
により構成される。このように、インナパネル2及びア
ウタパネル3の間にリインフォースメントパネル4が内
設されると、中空パネル1全体の剛性が高められる効果
がある。インナパネル2及びアウタパネル3及びリイン
フォースメントパネル4は、長尺状の鋼板が長手方向に
沿って曲げ形成されたものである。インナパネル2及び
アウタパネル3及びリインフォースメントパネル4のそ
れぞれの両側部には、それらのパネル同士を互いに接合
するための接合部となるフランジ部2f、3f、4fが
形成されている。インナパネル2及びアウタパネル3の
それぞれのフランジ部2f、3fは、リインフォースメ
ントパネル4のフランジ部4fを間に介装した状態でス
ポット溶接により互いに接合される。これにより、図2
に示すように、インナパネル2及びアウタパネル3が閉
じ状態に接合し、断面が略四角形状をなした中空室5が
中空パネル1の内部に構成される。なお、インナパネル
2及びアウタパネル3及びリインフォースメントパネル
4は、各フランジ部2f、3f、4fにおけるスポット
溶接により接合される以外にも、例えば、ネジ止め等の
他の接合手段によって互いに接合されるようにしてもよ
い。
【0010】図2は、本実施の形態における中空パネル
1の長手方向に垂直な断面の状態を表した断面図であ
る。図2に示すように、中空パネル1の内部には、断面
形状が略四角形をなす中空室5が構成される。中空室5
は、インナパネル2及びアウタパネル3の間に内設され
たリインフォースメントパネル4によって上下2つの中
空領域に仕切られる。以下では、リインフォースメント
パネル4及びインナパネル2との間に構成される下側の
中空領域のことを第1の中空領域6と呼び、リインフォ
ースメントパネル4及びアウタパネル3との間に構成さ
れる上側の中空領域のことを第2の中空領域7と呼ぶ。
【0011】図1及び図2に示すように、リインフォー
スメントパネル4及びアウタパネル3との間に構成され
る第2の中空領域7の内部には、長尺状でかつ断面略コ
の字型状に形成された発泡性基材8が配設される。発泡
性基材8は、第2の中空領域7の内部で外部加熱により
発泡する発泡性の材料により構成されている。図2に示
すように、発泡性基材8の下面には、合成樹脂製の一対
のクリップ10がインサート成形により下方に向けて突
設されている。この一対のクリップ10は、リインフォ
ースメントパネル4の左右のフランジ部4fに穿たれた
取付孔9に挿入可能な位置に突設されている。これら一
対のクリップ10が取付孔9に挿入されると、クリップ
10が取付孔9に弾性的に係合し、発泡性基材8がリイ
ンフォースメントパネル4に対して動かないように固定
されるようになっている。なお、本実施の形態では、発
泡性基材8がクリップ10によりリインフォースメント
パネル4に対して取付けられる例を示したが、その他に
も、例えば、接着剤や磁石等の他の接合手段により、発
泡性基材8がリインフォースメントパネル4に対して固
定されるようにしてもよい。また、一対のクリップ10
が発泡性基材8の下面に突設されている例を示したが、
必要に応じてさらに複数のクリップ10を発泡性基材8
の下面に突設するようにしてもよい。
【0012】発泡性基材8は、外部加熱により発泡する
発泡剤を混入した合成樹脂系の発泡性材料により形成さ
れるが、特に、金属面や合成樹脂面に対し接着性を有す
る合成樹脂を主成分とし、これにガラス繊維のような繊
維状物質等が混合され、車両ボディの焼き付け塗装の際
の熱(例えば、110℃〜190℃前後の温度)等によ
って発泡し、高剛性の発泡体となる発泡性材料により形
成されるのが好ましい。このような接着性を有し、か
つ、高剛性の発泡体となる発泡性材料としては、例え
ば、特開平8−208871号公報、特開平11−15
8313号公報等に開示されたものが用いられる。
【0013】図1、図2に示すように、インナパネル2
とアウタパネル3との間に内設されるリインフォースメ
ントパネル4は、アウタパネル3が配置する側に向けて
凸となるように略直角形状に曲げ加工されている。これ
により、リインフォースメントパネル4の長手方向に沿
って略直角状の角部であるコーナー部11が形成されて
おり、リインフォースメントパネル4自体が外部からの
曲げ応力等に対して屈し難い構造とされている。発泡性
基材8の内部には、コーナー部11に対応した位置に断
面形状保持部材12が埋設状に設けられている。この断
面形状保持部材12は、断面略L字型の長尺状の鋼材等
によって形成されるものである。断面形状保持部材12
がリインフォースメントパネル4のコーナー部11に沿
って配置されると、リインフォースメントパネル4に外
力が加えられたときの座屈変形等が防止されるので、リ
インフォースメントパネル4の断面形状が倒れたりせず
に略一定に保持される効果がある。
【0014】図3は、第2の中空領域7の内部におい
て、発泡性基材8が外部加熱により発泡し、発泡体13
となることにより構成された中空パネルの補強構造14
を示す断面図である。図3に示すように、第2の中空領
域7の内部は発泡体13によって隙間なく充填され、こ
れによって断面形状保持部材12がリインフォースメン
トパネル4のコーナー部11に向けて押し付けられた状
態となっている。また、図3に示すように、発泡体13
は、アウタパネル3及びリインフォースメントパネル4
のそれぞれの内壁面に密着してそれら両パネルの間を介
在しているので、例えば、アウタパネル3の外壁面に対
して外力Fが作用した場合には、その外力Fは発泡体1
3を介在してリインフォースメントパネル4に伝達され
る。これにより、外力Fはリインフォースメントパネル
4によって吸収されることになり、中空パネル1は外部
からの衝撃等に対して強固に補強される。このとき、リ
インフォースメントパネル4の断面形状は断面形状保持
部材12によって略一定に保持されるので、横方向に座
屈変形等することなく外力Fに抗し続けることができ
る。つまり、外力Fが一定以上の大きさに達したとして
も、リインフォースメントパネル4は補強効果を発揮し
続けることができるので、発泡体13の量を増やした
り、リインフォースメントパネル4の板厚等を増やすこ
となく、必要な補強強度を維持することが可能となる。
【0015】本願発明は、中空パネル1を補強するため
の補強方法の発明として捉えることができる。すなわ
ち、中空パネル1の長手方向に垂直な断面の形状を保持
する断面形状保持部材12を準備する工程と、その断面
形状保持部材12を発泡性基材8に一体状に結合させた
状態で第2の中空領域7の内部に配設する工程と、発泡
性基材8を外部加熱により発泡膨張させて発泡体13と
し、その発泡体13によりリインフォースメントパネル
4とアウタパネル3の内壁面との間を介在させるととも
に、その発泡体13により断面形状保持部材12をリイ
ンフォースメントパネル4のコーナー部11に沿って配
置する工程と、を含む中空パネル1の補強方法として捉
えることができる。このような方法を用いた場合には、
中空パネル1を効率的に補強できるのは勿論のこと、さ
らに、発泡性基材8を第2の中空領域7の内部に配設す
ると同時に、その発泡性基材8と一体状に結合された断
面形状保持部材12をも同時に配設することができるの
で、断面形状保持部材12を別個に用意して配設するよ
りも手間や工程数が少なくなるという効果がある。
【0016】なお、本発明は上記実施の形態に限定する
ものではない。例えば、上記実施の形態では、中空室5
の断面形状が略四角形である例を説明したが、これに限
定するものではなく、例えば、三角形、五角形等、その
他種々の形状で中空室が構成された中空パネルに対して
も、本発明を適用することができる。
【0017】また、上記実施の形態では、断面形状保持
部材12が断面略L字型の鋼材で構成される例を示した
が、これに限るものではない。断面形状保持部材12
は、リインフォースメントパネル4の断面形状を保持で
きる部材であればよく、例えば、断面略L字型の硬いプ
ラスチック等により構成されるものであってもよい。
【0018】また、断面形状保持部材12がリインフォ
ースメントパネル4のコーナー部11に沿って配置され
る例を示したが、リインフォースメントパネル4の断面
形状を保持できるのであれば、これ以外の箇所に装着さ
れるものであってもよい。
【0019】また、発泡性基材8は、長尺でかつ断面略
コの字型に形成される例を説明したが、中空パネル1の
中空室内に配設し得る形状であれば、これ以外の形状に
形成されたものであってもよい。例えば、発泡性基材
が、板状、ブロック状等に形成されたものであっても、
本発明を適用することができる。
【0020】また、上記実施の形態では、車両ボディを
構成する中空パネルの補強構造14を例にとって説明し
たが、これ以外の中空構造物を補強するための補強構造
についても本発明を適用することができる。例えば、船
舶や建造物等を構成する中空構造物に対しても、本発明
による中空構造物の補強構造を適用することができる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
中空構造物を効率的に補強することができる。また、補
強のために必要とする発泡体の量や、補強用パネルの板
厚等を増加させる必要がなくなるので、中空パネル全体
の重量を軽減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】中空パネルの補強構造が構成される前の状態を
示す斜視図である。
【図2】中空パネルの長手方向に垂直な断面の状態を表
した断面図である。
【図3】中空パネルの補強構造を示す断面図である。
【符号の説明】
1…中空パネル 2…インナパネル 3…アウタパネル 4…リインフォースメントパネル 5…中空室 6…第1の中空領域 7…第2の中空領域 8…発泡性基材 11…コーナー部 12…断面形状保持部材 13…発泡体 14…中空パネルの補強構造

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空構造物を補強するための補強構造で
    あって、 前記中空構造物の中空室の長手方向に沿って補強用パネ
    ルが配設されており、 前記補強用パネルと前記中空室の内壁面との間には発泡
    体が介在されており、 前記発泡体は、前記補強用パネルの長手方向に垂直な断
    面の形状を保持する断面形状保持部材を備えている中空
    構造物の補強構造。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の中空構造物の補強構造
    であって、 補強用パネルには、その補強用パネルの長手方向に沿っ
    て折り曲げられた部分であるコーナー部が形成されてお
    り、 断面形状保持部材は、前記補強用パネルのコーナー部に
    沿って配置されている中空構造物の補強構造。
  3. 【請求項3】 中空室の長手方向に沿って補強用パネル
    が配設された中空構造物を補強するための補強方法であ
    って、 前記補強用パネルの長手方向に垂直な断面の形状を保持
    する断面形状保持部材を準備する工程と、 前記断面形状保持部材を発泡性基材と一体状に結合させ
    た状態で前記中空室内に配設する工程と、 前記発泡性基材を外部加熱により発泡膨張させて発泡体
    とし、その発泡体により前記補強用パネルと前記中空室
    の内壁面との間を介在させるとともに、その発泡体によ
    り前記断面形状保持部材を前記補強用パネルのコーナー
    部に沿って配置する工程と、を含むことを特徴とする中
    空構造物の補強方法。
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