JP2003221730A - ポリトリメチレンテレフタレート繊維の溶融紡糸方法 - Google Patents
ポリトリメチレンテレフタレート繊維の溶融紡糸方法Info
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Abstract
トリメチレンテレフタレート未延伸糸を安定して溶融紡
糸する方法を提供すること。 【解決手段】 ポリトリメチレンテレフタレートを23
0〜260℃の温度で溶融し、少なくとも90個の吐出
孔を穿設した紡糸口金から吐出し、700〜2000m
/minの速度で引き取るに際して、紡糸ドラフトを2
00〜2500とする。
Description
に品質経時変化の少ない未延伸ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維を製造する方法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】ポリトリメチレンテレフタレート繊維は
ポリエステル本来の特性である優れた寸法安定性、耐光
性、低吸湿性、熱セット性を維持しながら、低弾性率、
弾性回復率および易染性に優れた特性を持っていること
から、衣料用途、工業用途繊維として注目されている。 【0003】しかし、ポリトリメチレンテレフタレート
は、製糸方法が確立されたポリエチレンテレフタレート
とは異なった特性があり、ポリトリメチレンテレフタレ
ート繊維の製造に際しては、克服すべき様々な課題があ
る。 【0004】例えば、ポリトリメチレンテレフタレート
短繊維を製造する場合、溶融紡糸後引き取った未延伸糸
を一旦保管し、適度な糸条束に引き揃えて延伸する、紡
糸・別延伸方式が一般的であるが、ポリトリメチレンテ
レフタレートの30〜50℃という低いガラス転移温度
ゆえに、未延伸糸が保管中に収縮などの経時変化を起こ
すという問題がある。 【0005】特に、90個以上の吐出孔を持つ紡糸口金
から吐出され、引き取られたポリトリメチレンテレフタ
レート未延伸糸は、製造室内の温度が高目になると、単
糸収縮が激しくなり、単糸同士が表面で膠着してしまう
という現象がしばしば認められる。 【0006】例えば、特公昭49−21256号公報の
実施例1に記載されている溶融紡糸条件(紡糸ドラフト
37)で引取られたポリトリメチレンテレフタレート未
延伸糸を30℃の室温に保管したところ、24時間後に
は未延伸糸が40%以上収縮し、単糸同士の膠着が数多
く観察された。また、特開平11−189938号公報
の実施例1に記載されている溶融紡糸条件(紡糸ドラフ
ト約160)で引取られたポリトリメチレンテレフタレ
ート未延伸糸を、同じく30℃の室温で24時間保管し
たところ、前述の例よりややその程度は低いが30%以
上の収縮が認められ、単糸同士の膠着も少なからず観察
された。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記従来技
術を背景になされたもので、その目的は、保管中におけ
る品質経時変化の少ない未延伸ポリトリメチレンテレフ
タレート繊維を安定に溶融紡糸する方法を提供すること
にある。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するために鋭意検討を重ねた結果、ポリトリメチレ
ンテレフタレートを230〜260℃の温度で溶融し、
少なくとも90個の吐出孔を穿設した紡糸口金から吐出
し、700〜2000m/minの速度で引き取るに際
し、紡糸ドラフトを200〜2500とすることを特徴
とするポリトリメチレンテレフタレート繊維の溶融紡糸
方法により達成できることを見出した。 【0009】 【発明の実施の形態】以下本発明の実施形態について詳
細に説明する。本発明でいうポリトリメチレンテレフタ
レートとは、トリメチレンテレフタレート単位を主たる
繰り返し単位とするポリエステルであって、本発明の目
的を阻害しない範囲内で、例えば全酸成分を基準として
15モル%以下、好ましくは5モル%以下で第3成分を
共重合したポリエステルであっても良い。 【0010】好ましく用いられる第3成分としては、例
えば、イソフタル酸、コハク酸、アジピン酸、2,6−
ナフタレンジカルボン酸、金属スルホイソフタル酸等の
酸成分や、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサン
ジオール、シクロヘキサンジオール、シクロヘキサンジ
メタノール等のジオール成分など、各種のものを用いる
ことができ、紡糸安定性などを考慮して適宜選択すれば
良い。なお、ポリトリメチレンテレフタレートの固有粘
度(オルソ−クロロフェノールを溶媒として使用し温度
35℃で測定)は0.5〜1.8の範囲のものが適当で
ある。 【0011】また、必要に応じて、各種の添加剤、例え
ば、艶消し剤、熱安定剤、消泡剤、整色剤、難燃剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、蛍光増白剤、
着色顔料などを添加したポリトリメチレンテレフタレー
トであっても良い。 【0012】本発明においては、上記ポリトリメチレン
テレフタレートを230〜260℃、好ましくは240
〜250℃で溶融紡糸し、700〜2000m/mi
n、好ましくは800〜1800m/minの速度で引
き取る。 【0013】溶融紡糸温度が230℃未満の場合は曳糸
性が低下し、紡糸引き取りが困難となる。一方、260
℃を超えると紡糸張力が低下し、得られる未延伸糸の経
時変化が大きくなる。 【0014】また、引取速度が700m/min未満の
場合では、得られる未延伸糸の経時変化が大きくなり、
生産性も低くなる。一方、2000m/minを超える
場合には紡糸断糸が多くなり安定運転が困難となる。 【0015】本発明の上記溶融紡糸では、紡糸口金当た
り吐出孔数が90個以上穿設されている紡糸口金を使用
することを対象とする。吐出孔数が90個未満の紡糸口
金を使用する場合は、未延伸糸保管時の単糸同士の膠着
が比較的少なく、また単糸膠着が次の延伸工程の通過性
に影響するほどにはならないことが多いので、必ずしも
本発明で規定する紡糸ドラフトの範囲を採用する必要は
ない。 【0016】なお、口金当たりの吐出孔数が2000個
を超える紡糸口金は、その工作が難しく、また、安定に
紡糸するには、さらに様々な設備上の手当てが必要であ
るので望ましくない。 【0017】本発明においては、ポリトリメチレンテレ
フタレートを前述の条件で溶融紡糸する際、紡糸の安定
性と得られた未延伸糸の経時安定性とを同時に満足させ
るためには、紡糸ドラフトを200〜2500、好まし
くは300〜2000の範囲とすることが肝要である。 【0018】ここでいう紡糸ドラフトとは、紡糸引取り
速度と、紡糸口金から吐出されるポリマーの線速度との
比をいう。但し、ポリトリメチレンテレフタレートの溶
融時の密度は1.10g/cm3とした。なお、この紡
糸ドラフトは、ポリマー吐出量および紡糸引き取り速度
に応じて、紡糸口金吐出孔の孔径を変更することによっ
て適宜設定することができる。 【0019】紡糸ドラフトを200以上とすれば、未延
伸糸の収縮は24時間後で20%以内となり、単糸同士
の膠着も劇的に減少する。さらに300以上とすれば、
未延伸糸の収縮は24時間後で10%以内となり、単糸
同士の膠着は全く認められなくなる。なお、ここでいう
未延伸糸の収縮とは、溶融紡糸した未延伸糸を、封緘状
態で30℃の雰囲気中に24時間置いた後に繊度を測定
し、紡糸引き取り直後からの繊度の増加率を、未延伸糸
収縮率と定義した値である。 【0020】このようにして製造されたポリトリメチレ
ンテレフタレート未延伸糸は、一旦適切な容器に保管さ
れ、適度な糸条束に引き揃えて延伸工程に供される。 【0021】 【実施例】以下、実施例により、本発明を更に具体的に
説明する。なお、実施例中における各項目は次の方法で
測定した。 (1)極限粘度〔η〕 オルソクロロフェノールを溶媒として、35℃の温度で
ウベローデ粘度管にて測定した。 (2)紡糸ドラフト 紡糸引取り速度と、紡糸口金から吐出されるポリマーの
線速度との比として下記式で計算した。 紡糸ドラフト=S/[(Q/ρ)/πr2] 但し、S:紡糸引取り速度(cm/min)、Q:ポリ
マー吐出量(g/min)、ρ:溶融ポリマー密度
(1.10g/cm3)、r:吐出孔半径(cm) (3)未延伸糸収縮率(%) 紡糸引取り直後の未延伸糸約5mを採取し、水分率2%
の状態で30℃の雰囲気中に24時間保管した後、その
繊度(D1)を測定し、紡糸引取り直後の繊度(D0)か
らの増加率を下記式で計算した。 未延伸糸収縮率(%)=[(D1−D0)/D0]×10
0 【0022】(4)未延伸糸水分率(%) 紡糸引取り直後の未延伸糸約3gを採取し、直ちに重量
(W0)を測定した。次に該未延伸糸試料を熱風乾燥機
に入れ、110℃で1時間乾燥後その重量(W 1)を測
定し、下記式から重量減少率として求めた。 水分率(%)=[(W0−W1)/W0]×100 (5)未延伸糸膠着 紡糸引取り直後の未延伸糸を、封緘状態で30℃の雰囲
気中に24時間保管した後、未延伸糸約50cmを両手
で掴み、引張った時、未延伸単糸の状態を観察し、以下
のランク付けを行った。 レベル1:単糸同士の膠着が全く認められない レベル2:単糸膠着が少し認められるが、強く引っ張っ
た時膠着が解ける レベル3:多数の単糸膠着があり、強く引っ張っても単
糸同士がばらけない。 (6)紡糸断糸(回/日・錘) 人為的あるいは機械的要因に起因する断糸を除き、紡糸
機運転中に発生した断糸回数を記録し、1日・1錘当た
りの断糸回数を紡糸断糸とした。 【0023】[実施例1〜3、比較例1〜2]極限粘度
〔η〕0.96のポリトリメチレンテレフタレートチッ
プを、130℃で5時間乾燥した後、スクリュー式押出
機にて溶融し、各例毎に表1に示す孔径の吐出孔を各々
表1に示す個数穿設した紡糸口金より、250℃で、各
例毎に表1に示す吐出量で吐出し、ポリマー流の周囲か
ら25℃の冷却用空気を吹き当てて固化した後、オイリ
ングローラーに接触させて油剤エマルジョンを付与し、
各々表1に示す速度で回転する定速ローラーにて引き取
り、圧空式吸引装置(エジェクター)に通して収缶しポ
リトリメチレンテレフタレート未延伸糸を得た。 【0024】収缶後直ちに、未延伸糸の繊度と水分率と
を測定し、各々表1に示す結果を得た。一方、別途未延
伸糸を袋に入れて、水分が蒸発しないように封緘し、3
0℃の部屋に保管し、24時間経過後に未延伸糸を袋か
ら取り出して、繊度の測定および未延伸糸膠着状態の観
察を行った。各例における未延伸糸収縮率、未延伸膠着
および紡糸断糸を表1に示す。 【0025】 【表1】【0026】 【発明の効果】本発明によれば、保管中に品質経時変化
の少ない未延伸のポリトリメチレンテレフタレート繊維
を安定して製造することができる。
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 ポリトリメチレンテレフタレートを23
0〜260℃の温度で溶融し、少なくとも90個の吐出
孔を穿設した紡糸口金から吐出し、700〜2000m
/minの速度で引き取るに際して、紡糸ドラフトを2
00〜2500とすることを特徴とするポリトリメチレ
ンテレフタレート繊維の溶融紡糸方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002015332A JP2003221730A (ja) | 2002-01-24 | 2002-01-24 | ポリトリメチレンテレフタレート繊維の溶融紡糸方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002015332A JP2003221730A (ja) | 2002-01-24 | 2002-01-24 | ポリトリメチレンテレフタレート繊維の溶融紡糸方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003221730A true JP2003221730A (ja) | 2003-08-08 |
JP2003221730A5 JP2003221730A5 (ja) | 2005-05-12 |
Family
ID=27742670
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2002015332A Pending JP2003221730A (ja) | 2002-01-24 | 2002-01-24 | ポリトリメチレンテレフタレート繊維の溶融紡糸方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2003221730A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN102618947A (zh) * | 2012-04-06 | 2012-08-01 | 缪爱国 | Ptt螺旋型三维中空纤维的生产方法 |
-
2002
- 2002-01-24 JP JP2002015332A patent/JP2003221730A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN102618947A (zh) * | 2012-04-06 | 2012-08-01 | 缪爱国 | Ptt螺旋型三维中空纤维的生产方法 |
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