JP2003221472A - ゴム組成物 - Google Patents
ゴム組成物Info
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- JP2003221472A JP2003221472A JP2002025688A JP2002025688A JP2003221472A JP 2003221472 A JP2003221472 A JP 2003221472A JP 2002025688 A JP2002025688 A JP 2002025688A JP 2002025688 A JP2002025688 A JP 2002025688A JP 2003221472 A JP2003221472 A JP 2003221472A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 グリップ性能と耐アブレージョン摩耗性能を
両立し得るゴム組成物を提供する。 【解決手段】 (A)スチレン単位量が25〜60重量
%のスチレン−ブタジエンゴム50〜90重量%および
3,4−イソプレン単位量が60〜90重量%のイソプ
レンゴム10〜50重量%からなるポリマー100重量
部に対し、(B)シランカップリング剤1〜20重量
部、(C)カーボンブラック50〜200重量部、
(D)シリカ8重量部以下、および(E)可塑剤50〜
200重量部を含むゴム組成物であって、カーボンブラ
ック(C)とシリカ(D)との合計量に対するカーボン
ブラック(C)の比率が95〜100重量%であるゴム
組成物。
両立し得るゴム組成物を提供する。 【解決手段】 (A)スチレン単位量が25〜60重量
%のスチレン−ブタジエンゴム50〜90重量%および
3,4−イソプレン単位量が60〜90重量%のイソプ
レンゴム10〜50重量%からなるポリマー100重量
部に対し、(B)シランカップリング剤1〜20重量
部、(C)カーボンブラック50〜200重量部、
(D)シリカ8重量部以下、および(E)可塑剤50〜
200重量部を含むゴム組成物であって、カーボンブラ
ック(C)とシリカ(D)との合計量に対するカーボン
ブラック(C)の比率が95〜100重量%であるゴム
組成物。
Description
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ゴム組成物に関
し、とりわけタイヤトレッドに用いてグリップ性能と耐
アブレージョン摩耗性能を両立し得るゴム組成物に関す
る。 【0002】 【従来の技術】高性能の乗用車や自動2輪車に使用され
る高性能タイヤや競技車両用のレーシングタイヤなどに
使用されるトレッドゴムに対する要求性能としては、走
行中のブレーキ、トラクション、コーナーリング中のグ
リップ特性がある。路面とトレッド表面で発生する摩擦
係数を高めるため、通常歪みの小さい領域(0.3〜5
0%動的歪み)での粘弾性を測定したときの弾性率が低
く、ヒステリシスロス(tanδ)の高いゴムが望まれ
る。 【0003】前記要求特性を満たすためには、通常、充
填剤や軟化剤の量を増加したり、硫黄の量を減らしたり
する。 【0004】しかしながら、前述のような通常の手段で
低弾性率、高tanδを達成した場合、走行中のブレー
キ、コーナリング中のトレッド表面に大きな変形が加わ
り、これが繰り返されることにより、アブレージョン摩
耗が発生する。加わる力が大きいほど、またゴムが軟ら
かいほど変形が大きくなり、ある一定方向の連続した変
形により、その垂直方向に波状に発生した摩耗を、アブ
レージョン摩耗という。その波の間隔や深さが大きいほ
ど、外観がわるくなるだけでなく、ゴムと路面の接触面
積が小さくなり、性能低下も起こる。 【0005】アブレージョン摩耗が問題となるようなゴ
ムは、大変形の歪みの領域での弾性率が低いことがわか
っており、ゴム物性では引っ張り試験で測定した300
%伸長時の弾性率とアブレージョン摩耗の波の間隔には
相関がある。 【0006】通常グリップ力を高めるために、充填剤、
軟化剤の両方を増やした場合、低弾性率、高tanδは
達成できるが、300%伸長時の弾性率が低くなる。ま
た、硫黄の量を減らしたり、加硫促進剤の量を減らした
りする手法により低弾性率を達成した場合も、300%
伸張時の弾性率が低くなる。 【0007】さらに、3,4−イソプレン単位量が60
〜90%のイソプレンゴムを使用することで、前記手法
よりも著しく低弾性率、高tanδを達成できることが
知られているが、300%伸長時の弾性率も低くなって
しまうという問題があった。 【0008】このように、従来の技術では、耐アブレー
ジョン摩耗性能とグリップ性能の両立は、困難であっ
た。そのため、グリップ性能を損なうことなく、アプレ
ージョン摩耗を改善することが急務であった。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、大変形領域
での弾性率とtanδ/(歪みの小さい領域での弾性
率)の高さを維持しつつ、300%伸長時の弾性率を向
上させ、グリップ性能と耐アブレーション摩耗性能を両
立させることのできるゴム組成物を提供することを目的
とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に検討した結果、特定の組成を有するスチレン−ブタジ
エンゴムおよびイソプレンゴムからなるゴム成分にシラ
ンカップリング剤を適量配合させたゴム組成物をタイヤ
トレッドに使用することにより、tanδを低下させず
に300%伸張時の弾性率を高くすることができること
を見いだし、本発明に至った。 【0011】すなわち本発明は、(A)スチレン単位量
が25〜60重量%のスチレン−ブタジエンゴム50〜
90重量%および3,4−イソプレン単位量が60〜9
0重量%のイソプレンゴム10〜50重量%からなるポ
リマー100重量部に対し、(B)シランカップリング
剤1〜20重量部、(C)カーボンブラック50〜20
0重量部、(D)シリカ8重量部以下、および(E)可
塑剤50〜200重量部を含むゴム組成物であって、カ
ーボンブラック(C)とシリカ(D)との合計量に対す
るカーボンブラック(C)の比率が95〜100重量%
であるゴム組成物に関する。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明のゴム組成物は、(A)ポ
リマー、(B)シランカップリング剤、(C)カーボン
ブラック、任意成分として(D)シリカ、および、
(E)可塑剤を含有する。 【0013】ポリマー(A)は、スチレン−ブタジエン
ゴム(SBR)およびイソプレンゴム(IR)からな
る。 【0014】前記SBRのスチレン単位量は、25〜6
0重量%、好ましくは35〜50重量%である。SBR
のスチレン単位量が25重量%未満ではtanδ(ヒス
テリシスロス)が低くなり、グリップ性能を損なうこと
となり、60重量%をこえるとアブレージョン摩耗が悪
化してしまう。 【0015】ポリマー(A)中にSBRは、50〜90
重量%含まれる。ポリマー中のSBRの比率が50重量
%未満ではグリップ性能はよいが、アブレージョン摩耗
が悪化してしまい、90重量%をこえると3,4−IR
の効果がでなくなる。 【0016】前記IRの3,4−イソプレン単位量は、
60〜90重量%である。IRの3,4−イソプレン単
位量が60重量%未満ではtanδが低下してしまう。 【0017】ポリマー(A)中にIRは、10〜50重
量%含まれる。ポリマー中のIRの比率が10重量%未
満では(3,4−IRの効果)が発揮されず、50重量
%をこえるとtanδは高くなるが、アブレージョン摩
耗が悪化してしまう。 【0018】シランカップリング剤(B)としては、た
とえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テト
ラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジ
スルフィド、トリエトキシシリルプロピルイソシアネー
ト、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
(ポリエチレンアミノ)−プロピルトリメトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N’−ビニルベンジル−N−トリメ
トキシシリルプロピルエチレンジアミン塩などがあげら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。これらのうちでは、カップリング
剤添加効果とコストの両立の点から、ビス(3−トリエ
トキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどが好まし
い。 【0019】シランカップリング剤(B)の配合量は、
ポリマー(A)100重量部に対して1〜20重量部、
好ましくは5〜15重量部である。シランカップリング
剤の配合量が1重量部未満の場合効果が発揮されず、2
0重量部をこえる場合、tanδが低下してしまう。 【0020】ポリマー(A)100重量部に対し、シラ
ンカップリング剤を1〜20重量部添加したとき、ta
nδを低下させずに300%伸張時の弾性率を高くする
ことができる。すなわち、ポリマーとシランカップリン
グ剤との相互作用により、tanδを低下させずに、ポ
リマーの強度を上げることができる。本発明では、ポリ
マーとしては、スチレン単位量が25〜60重量%のス
チレン−ブタジエン共重合体50〜90重量%と3,4
−イソプレン単位量が60〜90重量%のイソプレンゴ
ム10〜50重量%とからなることにより、明確にその
効果が発揮される。 【0021】カーボンブラック(C)としては、とくに
制限はないが、たとえばHAF、ISAF、SAFなど
があげられる。チッ素吸着比表面積が70〜300m2
/gが好ましい。チッ素吸着比表面積が70m2/g未
満では補強効果が小さくなり、tanδも低下する。ま
た、チッ素吸着比表面積が300m2/g以上では分散
性が低下し、発熱が増大し、耐摩耗性が悪化してしま
う。 【0022】カーボンブラック(C)の配合量は、グリ
ップ性能を必要とするタイヤ用ゴムの適用範囲として、
ポリマー(A)100重量部に対して50〜200重量
部である。カーボンブラックの配合量が50重量部未満
の場合補強効果が得られにくく、tanδも低下してし
まい、200重量部をこえる場合分散性が低下し、耐摩
耗性が低下してしまう。 【0023】シリカ(D)としては、従来からタイヤに
使用されているものを用いることができる。たとえば、
乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ
酸)などがあり、これらのうちでは、転がり抵抗性の点
から、湿式法シリカが好ましい。 【0024】シリカ(D)の配合量は、ポリマー(A)
100重量部に対して0〜8重量部である。シリカの配
合量が8重量部をこえるとシランカップリング剤と反応
してしまい、ポリマー強度を上げることはできるが、t
anδは低下してしまう。 【0025】カーボンブラック(C)とシリカ(D)と
の合計量に対するカーボンブラック(C)の比率は、9
5〜100重量%である。カーボンブラックの比率が9
5重量%未満の場合、シリカとシランカップリング剤と
の相互作用が優先され、ポリマー強度を上げることはで
きるが、tanδは低下してしまう。 【0026】可塑剤(E)としては、たとえば、ナフテ
ン系プロセスオイル、アロマチックオイルなどのオイル
が用いられる。 【0027】可塑剤(E)の配合量は、ポリマー(A)
100重量部に対して50〜200重量部、好ましくは
70〜150重量部である。可塑剤の配合量が50重量
部未満の場合充分なグリップ性能が得られず、200重
量部をこえる場合カーボンブラックの分散性および加工
性が低下する。 【0028】本発明のゴム組成物は、ポリマー(A)1
00重量部に対し、シランカップリング剤(B)1〜2
0重量部、カーボンブラック(C)50〜200重量部
および可塑剤(E)を含有し、カーボンブラック(C)
とシリカ(D)との合計量に対するカーボンブラック
(C)の比率が95〜100重量%であり、このとき、
ポリマーとシランカップリング剤との相互作用により、
tanδを低下させずにポリマーの強度をあげることが
できる。充填剤の増量や軟化剤の減量、加硫剤の増量に
よってもポリマー強度をあげることはできるが、tan
δは低下する。 【0029】本発明のゴム組成物には、そのほか、老化
防止剤、加硫剤、加硫促進剤、ワックス、ステアリン酸
など、一般にゴム工業で用いられている各種の添加剤を
用いることができる。 【0030】 【実施例】つぎに、実施例に基づいて本発明を具体的に
説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定され
るものではない。なお、実施例および比較例では、以下
の各材料を用いた。 【0031】(材料)SBR:旭化成(株)製のタフデ
ン4350(スチレン単位量39重量%) IR:カーボケムディヴィジョン オブ セントラケ
ム.エルティーディー社(KARBOCHEM Division of Sent
rachem.LTD)製のISOgrip(3,4−イソプレン
単位量60重量%) カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラック
A(SAFカーボン) シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3 ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN 老化防止剤6C:フレキシス製のサントフレックス13 老化防止剤224:大内新興化学工業(株)製のノクラ
ック224 ステアリン酸:日本油脂(株)製の桐 亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種 アロマチックオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロ
セスX−260 シランカップリング剤:デグッサ製のSi−69(ビス
(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィ
ド) 硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄 加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラ
ーNS 加硫促進剤ZTC:大内新興化学工業(株)製のノクセ
ラーZTC 【0032】実施例1〜3および比較例1〜4 (製造条件)表1に示す配合成分のうち、硫黄および加
硫促進剤を除くすべてを、BR型バンバリーミキサーに
て約3分間、排出温度145℃でベース練りした。つい
で、ゴムに硫黄および加硫促進剤を加え、オープンロー
ルにて60〜80℃で約5分間混練りし、シートを作製
した。そののち、該シートを所定の形状に張り合わせ
て、トレッドを作製した。 【0033】(試験サンプルの加硫)前記製造条件で作
製したシートを所定のモールドにて170℃で12分間
加硫した。得られた加硫ゴムシートを用いて以下の試験
を行なった。 【0034】(引っ張り試験)JIS引っ張り試験法K
6251に基づきダンベル3号サンプルにて試験を行な
い、M300(300%伸張時応力)を測定した。比較
例1のM300を基準値(100)として、指数で示し
た。指数が大きいほど耐アブレージョン摩耗性能がよ
い。 【0035】(硬度)JIS−A硬度計により、25℃
におけるゴム硬度Hsを測定した。 【0036】(粘弾性)50℃における複素弾性率E’
および50℃におけるヒステリシスロス(tanδ)
を、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを
用いて初期歪み10%、動的歪み2.5%の条件で測定
した。 【0037】E′が低い方が、また、tanδが高い方
がグリップ性能がよい傾向にあり、tanδ/E′が高
いほどグリップ性能がよい。 【0038】結果を表1に示す。 【0039】比較例1〜4は、従来の一般的な高性能タ
イヤの配合である。 【0040】シランカップリング剤を含まない比較例1
および3は、300%伸張時の弾性率が低かった。 【0041】ゴム成分としてSBRを単独で用いた比較
例2では、300%伸張時の弾性率は向上したが、ta
nδ/E′が低下した。 【0042】充填剤としてシリカを多量に含む比較例4
では、tanδ/E′が低下した。 【0043】実施例1〜3は、従来配合にシランカップ
リング剤を適量含むものである。実施例1〜3では、t
anδ/E′が低下することなく、300%伸張時の弾
性率が向上した。すなわち、実施例1〜3は、すべてグ
リップ性能を維持し耐アブレージョン摩耗がよくなって
いる。 【0044】 【表1】【0045】 【発明の効果】本発明によれば、特定の組成を有するス
チレン−ブタジエンゴムおよびイソプレンゴムからなる
ゴム成分にシランカップリング剤を適量配合させること
により、大変形領域での弾性率とtanδ/(歪みの小
さい領域での弾性率)の高さを維持しつつ、300%伸
長時の弾性率を向上させ、グリップ性能と耐アブレーシ
ョン摩耗性能を両立し得るゴム組成物が得られる。
し、とりわけタイヤトレッドに用いてグリップ性能と耐
アブレージョン摩耗性能を両立し得るゴム組成物に関す
る。 【0002】 【従来の技術】高性能の乗用車や自動2輪車に使用され
る高性能タイヤや競技車両用のレーシングタイヤなどに
使用されるトレッドゴムに対する要求性能としては、走
行中のブレーキ、トラクション、コーナーリング中のグ
リップ特性がある。路面とトレッド表面で発生する摩擦
係数を高めるため、通常歪みの小さい領域(0.3〜5
0%動的歪み)での粘弾性を測定したときの弾性率が低
く、ヒステリシスロス(tanδ)の高いゴムが望まれ
る。 【0003】前記要求特性を満たすためには、通常、充
填剤や軟化剤の量を増加したり、硫黄の量を減らしたり
する。 【0004】しかしながら、前述のような通常の手段で
低弾性率、高tanδを達成した場合、走行中のブレー
キ、コーナリング中のトレッド表面に大きな変形が加わ
り、これが繰り返されることにより、アブレージョン摩
耗が発生する。加わる力が大きいほど、またゴムが軟ら
かいほど変形が大きくなり、ある一定方向の連続した変
形により、その垂直方向に波状に発生した摩耗を、アブ
レージョン摩耗という。その波の間隔や深さが大きいほ
ど、外観がわるくなるだけでなく、ゴムと路面の接触面
積が小さくなり、性能低下も起こる。 【0005】アブレージョン摩耗が問題となるようなゴ
ムは、大変形の歪みの領域での弾性率が低いことがわか
っており、ゴム物性では引っ張り試験で測定した300
%伸長時の弾性率とアブレージョン摩耗の波の間隔には
相関がある。 【0006】通常グリップ力を高めるために、充填剤、
軟化剤の両方を増やした場合、低弾性率、高tanδは
達成できるが、300%伸長時の弾性率が低くなる。ま
た、硫黄の量を減らしたり、加硫促進剤の量を減らした
りする手法により低弾性率を達成した場合も、300%
伸張時の弾性率が低くなる。 【0007】さらに、3,4−イソプレン単位量が60
〜90%のイソプレンゴムを使用することで、前記手法
よりも著しく低弾性率、高tanδを達成できることが
知られているが、300%伸長時の弾性率も低くなって
しまうという問題があった。 【0008】このように、従来の技術では、耐アブレー
ジョン摩耗性能とグリップ性能の両立は、困難であっ
た。そのため、グリップ性能を損なうことなく、アプレ
ージョン摩耗を改善することが急務であった。 【0009】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、大変形領域
での弾性率とtanδ/(歪みの小さい領域での弾性
率)の高さを維持しつつ、300%伸長時の弾性率を向
上させ、グリップ性能と耐アブレーション摩耗性能を両
立させることのできるゴム組成物を提供することを目的
とする。 【0010】 【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に検討した結果、特定の組成を有するスチレン−ブタジ
エンゴムおよびイソプレンゴムからなるゴム成分にシラ
ンカップリング剤を適量配合させたゴム組成物をタイヤ
トレッドに使用することにより、tanδを低下させず
に300%伸張時の弾性率を高くすることができること
を見いだし、本発明に至った。 【0011】すなわち本発明は、(A)スチレン単位量
が25〜60重量%のスチレン−ブタジエンゴム50〜
90重量%および3,4−イソプレン単位量が60〜9
0重量%のイソプレンゴム10〜50重量%からなるポ
リマー100重量部に対し、(B)シランカップリング
剤1〜20重量部、(C)カーボンブラック50〜20
0重量部、(D)シリカ8重量部以下、および(E)可
塑剤50〜200重量部を含むゴム組成物であって、カ
ーボンブラック(C)とシリカ(D)との合計量に対す
るカーボンブラック(C)の比率が95〜100重量%
であるゴム組成物に関する。 【0012】 【発明の実施の形態】本発明のゴム組成物は、(A)ポ
リマー、(B)シランカップリング剤、(C)カーボン
ブラック、任意成分として(D)シリカ、および、
(E)可塑剤を含有する。 【0013】ポリマー(A)は、スチレン−ブタジエン
ゴム(SBR)およびイソプレンゴム(IR)からな
る。 【0014】前記SBRのスチレン単位量は、25〜6
0重量%、好ましくは35〜50重量%である。SBR
のスチレン単位量が25重量%未満ではtanδ(ヒス
テリシスロス)が低くなり、グリップ性能を損なうこと
となり、60重量%をこえるとアブレージョン摩耗が悪
化してしまう。 【0015】ポリマー(A)中にSBRは、50〜90
重量%含まれる。ポリマー中のSBRの比率が50重量
%未満ではグリップ性能はよいが、アブレージョン摩耗
が悪化してしまい、90重量%をこえると3,4−IR
の効果がでなくなる。 【0016】前記IRの3,4−イソプレン単位量は、
60〜90重量%である。IRの3,4−イソプレン単
位量が60重量%未満ではtanδが低下してしまう。 【0017】ポリマー(A)中にIRは、10〜50重
量%含まれる。ポリマー中のIRの比率が10重量%未
満では(3,4−IRの効果)が発揮されず、50重量
%をこえるとtanδは高くなるが、アブレージョン摩
耗が悪化してしまう。 【0018】シランカップリング剤(B)としては、た
とえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テト
ラスルフィド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジ
スルフィド、トリエトキシシリルプロピルイソシアネー
ト、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシ
ラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラ
ン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラ
ン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラ
ン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−
(ポリエチレンアミノ)−プロピルトリメトキシシラ
ン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルト
リメトキシシラン、N’−ビニルベンジル−N−トリメ
トキシシリルプロピルエチレンジアミン塩などがあげら
れる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合
わせて用いてもよい。これらのうちでは、カップリング
剤添加効果とコストの両立の点から、ビス(3−トリエ
トキシシリルプロピル)テトラスルフィドなどが好まし
い。 【0019】シランカップリング剤(B)の配合量は、
ポリマー(A)100重量部に対して1〜20重量部、
好ましくは5〜15重量部である。シランカップリング
剤の配合量が1重量部未満の場合効果が発揮されず、2
0重量部をこえる場合、tanδが低下してしまう。 【0020】ポリマー(A)100重量部に対し、シラ
ンカップリング剤を1〜20重量部添加したとき、ta
nδを低下させずに300%伸張時の弾性率を高くする
ことができる。すなわち、ポリマーとシランカップリン
グ剤との相互作用により、tanδを低下させずに、ポ
リマーの強度を上げることができる。本発明では、ポリ
マーとしては、スチレン単位量が25〜60重量%のス
チレン−ブタジエン共重合体50〜90重量%と3,4
−イソプレン単位量が60〜90重量%のイソプレンゴ
ム10〜50重量%とからなることにより、明確にその
効果が発揮される。 【0021】カーボンブラック(C)としては、とくに
制限はないが、たとえばHAF、ISAF、SAFなど
があげられる。チッ素吸着比表面積が70〜300m2
/gが好ましい。チッ素吸着比表面積が70m2/g未
満では補強効果が小さくなり、tanδも低下する。ま
た、チッ素吸着比表面積が300m2/g以上では分散
性が低下し、発熱が増大し、耐摩耗性が悪化してしま
う。 【0022】カーボンブラック(C)の配合量は、グリ
ップ性能を必要とするタイヤ用ゴムの適用範囲として、
ポリマー(A)100重量部に対して50〜200重量
部である。カーボンブラックの配合量が50重量部未満
の場合補強効果が得られにくく、tanδも低下してし
まい、200重量部をこえる場合分散性が低下し、耐摩
耗性が低下してしまう。 【0023】シリカ(D)としては、従来からタイヤに
使用されているものを用いることができる。たとえば、
乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ
酸)などがあり、これらのうちでは、転がり抵抗性の点
から、湿式法シリカが好ましい。 【0024】シリカ(D)の配合量は、ポリマー(A)
100重量部に対して0〜8重量部である。シリカの配
合量が8重量部をこえるとシランカップリング剤と反応
してしまい、ポリマー強度を上げることはできるが、t
anδは低下してしまう。 【0025】カーボンブラック(C)とシリカ(D)と
の合計量に対するカーボンブラック(C)の比率は、9
5〜100重量%である。カーボンブラックの比率が9
5重量%未満の場合、シリカとシランカップリング剤と
の相互作用が優先され、ポリマー強度を上げることはで
きるが、tanδは低下してしまう。 【0026】可塑剤(E)としては、たとえば、ナフテ
ン系プロセスオイル、アロマチックオイルなどのオイル
が用いられる。 【0027】可塑剤(E)の配合量は、ポリマー(A)
100重量部に対して50〜200重量部、好ましくは
70〜150重量部である。可塑剤の配合量が50重量
部未満の場合充分なグリップ性能が得られず、200重
量部をこえる場合カーボンブラックの分散性および加工
性が低下する。 【0028】本発明のゴム組成物は、ポリマー(A)1
00重量部に対し、シランカップリング剤(B)1〜2
0重量部、カーボンブラック(C)50〜200重量部
および可塑剤(E)を含有し、カーボンブラック(C)
とシリカ(D)との合計量に対するカーボンブラック
(C)の比率が95〜100重量%であり、このとき、
ポリマーとシランカップリング剤との相互作用により、
tanδを低下させずにポリマーの強度をあげることが
できる。充填剤の増量や軟化剤の減量、加硫剤の増量に
よってもポリマー強度をあげることはできるが、tan
δは低下する。 【0029】本発明のゴム組成物には、そのほか、老化
防止剤、加硫剤、加硫促進剤、ワックス、ステアリン酸
など、一般にゴム工業で用いられている各種の添加剤を
用いることができる。 【0030】 【実施例】つぎに、実施例に基づいて本発明を具体的に
説明するが、本発明は、これらの実施例のみに限定され
るものではない。なお、実施例および比較例では、以下
の各材料を用いた。 【0031】(材料)SBR:旭化成(株)製のタフデ
ン4350(スチレン単位量39重量%) IR:カーボケムディヴィジョン オブ セントラケ
ム.エルティーディー社(KARBOCHEM Division of Sent
rachem.LTD)製のISOgrip(3,4−イソプレン
単位量60重量%) カーボンブラック:三菱化学(株)製のダイヤブラック
A(SAFカーボン) シリカ:デグッサ社製のウルトラシルVN3 ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN 老化防止剤6C:フレキシス製のサントフレックス13 老化防止剤224:大内新興化学工業(株)製のノクラ
ック224 ステアリン酸:日本油脂(株)製の桐 亜鉛華:三井金属鉱業(株)製の酸化亜鉛2種 アロマチックオイル:(株)ジャパンエナジー製のプロ
セスX−260 シランカップリング剤:デグッサ製のSi−69(ビス
(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィ
ド) 硫黄:鶴見化学(株)製の粉末硫黄 加硫促進剤NS:大内新興化学工業(株)製のノクセラ
ーNS 加硫促進剤ZTC:大内新興化学工業(株)製のノクセ
ラーZTC 【0032】実施例1〜3および比較例1〜4 (製造条件)表1に示す配合成分のうち、硫黄および加
硫促進剤を除くすべてを、BR型バンバリーミキサーに
て約3分間、排出温度145℃でベース練りした。つい
で、ゴムに硫黄および加硫促進剤を加え、オープンロー
ルにて60〜80℃で約5分間混練りし、シートを作製
した。そののち、該シートを所定の形状に張り合わせ
て、トレッドを作製した。 【0033】(試験サンプルの加硫)前記製造条件で作
製したシートを所定のモールドにて170℃で12分間
加硫した。得られた加硫ゴムシートを用いて以下の試験
を行なった。 【0034】(引っ張り試験)JIS引っ張り試験法K
6251に基づきダンベル3号サンプルにて試験を行な
い、M300(300%伸張時応力)を測定した。比較
例1のM300を基準値(100)として、指数で示し
た。指数が大きいほど耐アブレージョン摩耗性能がよ
い。 【0035】(硬度)JIS−A硬度計により、25℃
におけるゴム硬度Hsを測定した。 【0036】(粘弾性)50℃における複素弾性率E’
および50℃におけるヒステリシスロス(tanδ)
を、(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを
用いて初期歪み10%、動的歪み2.5%の条件で測定
した。 【0037】E′が低い方が、また、tanδが高い方
がグリップ性能がよい傾向にあり、tanδ/E′が高
いほどグリップ性能がよい。 【0038】結果を表1に示す。 【0039】比較例1〜4は、従来の一般的な高性能タ
イヤの配合である。 【0040】シランカップリング剤を含まない比較例1
および3は、300%伸張時の弾性率が低かった。 【0041】ゴム成分としてSBRを単独で用いた比較
例2では、300%伸張時の弾性率は向上したが、ta
nδ/E′が低下した。 【0042】充填剤としてシリカを多量に含む比較例4
では、tanδ/E′が低下した。 【0043】実施例1〜3は、従来配合にシランカップ
リング剤を適量含むものである。実施例1〜3では、t
anδ/E′が低下することなく、300%伸張時の弾
性率が向上した。すなわち、実施例1〜3は、すべてグ
リップ性能を維持し耐アブレージョン摩耗がよくなって
いる。 【0044】 【表1】【0045】 【発明の効果】本発明によれば、特定の組成を有するス
チレン−ブタジエンゴムおよびイソプレンゴムからなる
ゴム成分にシランカップリング剤を適量配合させること
により、大変形領域での弾性率とtanδ/(歪みの小
さい領域での弾性率)の高さを維持しつつ、300%伸
長時の弾性率を向上させ、グリップ性能と耐アブレーシ
ョン摩耗性能を両立し得るゴム組成物が得られる。
─────────────────────────────────────────────────────
フロントページの続き
(51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考)
C08L 7:00)
(72)発明者 峯 章弘
兵庫県神戸市中央区脇浜町3丁目6番9号
住友ゴム工業株式会社内
Fターム(参考) 4J002 AC062 AC081 DA037 DJ018
EA019 EX056 EX076 EX086
FD017 FD018 FD029 GN01
Claims (1)
- 【特許請求の範囲】 【請求項1】 (A)スチレン単位量が25〜60重量
%のスチレン−ブタジエンゴム50〜90重量%および
3,4−イソプレン単位量が60〜90重量%のイソプ
レンゴム10〜50重量%からなるポリマー100重量
部に対し、(B)シランカップリング剤1〜20重量
部、(C)カーボンブラック50〜200重量部、
(D)シリカ8重量部以下、および(E)可塑剤50〜
200重量部を含むゴム組成物であって、カーボンブラ
ック(C)とシリカ(D)との合計量に対するカーボン
ブラック(C)の比率が95〜100重量%であるゴム
組成物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002025688A JP2003221472A (ja) | 2002-02-01 | 2002-02-01 | ゴム組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2002025688A JP2003221472A (ja) | 2002-02-01 | 2002-02-01 | ゴム組成物 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003221472A true JP2003221472A (ja) | 2003-08-05 |
Family
ID=27747762
Family Applications (1)
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---|---|---|---|
JP2002025688A Pending JP2003221472A (ja) | 2002-02-01 | 2002-02-01 | ゴム組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003221472A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2012071722A (ja) * | 2010-09-29 | 2012-04-12 | Honda Motor Co Ltd | 自動二輪車用タイヤ組成物、および、自動二輪車用タイヤ |
JP2018095702A (ja) * | 2016-12-09 | 2018-06-21 | 東洋ゴム工業株式会社 | タイヤトレッド用ゴム組成物及び空気入りタイヤ |
-
2002
- 2002-02-01 JP JP2002025688A patent/JP2003221472A/ja active Pending
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