JP2004002622A - ゴム組成物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】ジエン系ゴムと補強剤とを含むゴム組成物において、該補強剤がシリカおよびカーボンブラックからなり、かつ該カーボンブラックの量が補強剤の60〜95重量%であり、ジエン系ゴム100重量部に対してスチレンモノマーユニットのブロックセグメントおよびゴムモノマーユニットのブロックセグメントから構成されるトリブロック共重合体を5〜35重量部配合してなるゴム組成物。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ゴム組成物に関する。詳細には、耐摩耗性と低転がり特性を両立させたゴム組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
タイヤを使用する上で、経済性向上の目的から、タイヤの摩耗寿命は長い方が望ましい。また、燃費向上の目的から、タイヤの転がり抵抗は低い方が望ましい。
【0003】
摩耗寿命向上のためには
▲1▼ハードカーボンを使用する
▲2▼カーボン量を多くする
▲3▼ポリブタジエンを多くする
▲4▼硫黄を多くする
▲5▼伸展油を少なくする
▲6▼補強剤をカーボン系にする
ことが好ましい。
【0004】
一方、低転がり抵抗化のためには
▲1▼ソフトカーボンを使用する
▲2▼カーボン量を減少する
▲3▼天然ゴムを多くする
▲4▼硫黄を多くする
▲5▼伸展油を少なくする
▲6▼補強剤をシリカ系にする
ことが好ましい。
【0005】
前記のとおり、耐摩耗性および低転がり特性を向上させるためには、補強剤の種類(▲6▼)、カーボンの種類(▲1▼)および量(▲2▼)などの補強剤系の面において、それぞれ相反性があり、両立は難しい。
【0006】
さらに、ポリマー系(▲3▼)では、耐摩耗性向上のためにブタジエンゴムを多く使用することが好ましいが、30phr以上使用すると悪路でのフレーキング性能が低下するため、特に40phr以上は使用できない。
【0007】
また、前記耐摩耗性および低転がり特性を向上させるために、伸展油を少なくする(▲5▼)、あるいは硫黄量を多くする(▲4▼)と、ゴム硬度が上昇してしまい、悪路での外傷性が低下する。
【0008】
なお、ゴム組成物における加工性の改善および高硬度を目的として、ゴム組成物にスチレン系熱可塑性エラストマーを配合する技術は知られているが(たとえば、特許文献1参照)、耐摩耗性および低転がり特性の向上を目的として該技術を適用した例は、見当たらない。
【0009】
【特許文献1】
特開平6−220256号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、前記課題を解決するものであり、耐摩耗性を向上させつつ、かつ低転がり抵抗化を実現するゴム組成物を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために検討した結果、ゴム組成物にシリカおよびカーボンブラックからなる補強剤および特定のトリブロック共重合体を配合することにより、耐摩耗性を向上させながら、かつ転がり抵抗を低減させることができることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0012】
すなわち、本発明は、ジエン系ゴムと補強剤とを含むゴム組成物において、該補強剤がシリカおよびカーボンブラックからなり、かつ該カーボンブラックの量が補強剤の60〜95重量%であり、ジエン系ゴム100重量部に対してスチレンモノマーユニットのブロックセグメントおよびゴムモノマーユニットのブロックセグメントから構成されるトリブロック共重合体を5〜35重量部配合してなるゴム組成物に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明のゴム組成物は、ジエン系ゴム、補強剤および特定のトリブロック共重合体からなる。
【0014】
ジエン系ゴムとしては、たとえば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)などがあげられる。これらを単独でまたは任意に組み合わせて用いてもよい。
【0015】
本発明のゴム組成物に配合される補強剤は、シリカおよびカーボンブラックからなり、かつ前記カーボンブラックの量が補強剤の60〜95重量%を占める。好ましくは、60〜85重量%である。すなわち、シリカの量が補強剤に対して、5〜40重量%含まれる。シリカの量が5重量%より少ないと、シリカを併用することによる引裂き抗力の向上が認められなくなる。また、40重量%をこえると、シリカによる耐摩耗性の低下が大きくなる。
【0016】
本発明で使用されるカーボンブラックとしては、特に限定されず、たとえばHAF、ISAF、SAFなどがあげられる。
【0017】
本発明で使用されるシリカとしては、特に限定されず、たとえば乾式法シリカ(無水ケイ酸)、湿式法シリカ(含水ケイ酸)などがあげられる。
【0018】
また、前記補強剤は、ジエン系ゴム100重量部に対して45〜110重量部、とくには50〜110重量部配合されることが好ましい。前記補強剤の配合量が45重量部より少ないと、補強効果が充分でなく耐摩耗性が低下する傾向にある。また、前記補強剤の配合量が110重量部をこえると、補強剤による発熱性が高くなる傾向にある。
【0019】
本発明に使用されるトリブロック共重合体は、スチレンモノマーユニットのブロックセグメントおよびゴムモノマーユニットのブロックセグメントから構成されるトリブロック共重合体である。すなわち、該トリブロック共重合体は、スチレンモノマーユニットからなる重合体ブロックとゴムモノマーユニットからなる重合体ブロックを含有する共重合体であり、スチレンモノマーからなるブロック(A)とゴムモノマーからなるブロック(B)とが、(A−B)n−Aまたは(B−A)n−B(nは1以上の整数)の形で共重合体となったものである。
【0020】
前記ゴムモノマーユニットのモノマーの種類としては、たとえばビニル−イソプレン、ブタジエン、イソプレンなどがあげられる。なかでも、耐摩耗性と低転がり抵抗化を両立させる点から、ビニル−イソプレンまたはブタジエンが好ましい。
【0021】
前記トリブロック共重合体は、数平均分子量が5,000〜250,000の範囲であることが好ましい。分子量が5,000より小さいと、固形ゴムと混合して得られる加硫物において発熱性改善効果が得られない傾向があり、250,000よりも大きいと固形ゴムとの相溶性が乏しくなり、加工性が低下する傾向がある。
【0022】
前記トリブロック共重合体は、スチレンモノマーユニットの含有量が10〜30%の範囲であることが好ましい。含有量が10%より低いと、固形ゴムと混合して得られる加硫物において湿潤路面でのグリップ性能が低下する傾向があり、30%よりも高いと固形ゴムと混合して得られる加硫物の発熱性を悪化させる傾向がある。
【0023】
かかるトリブロック共重合体の好適な例として、ポリスチレンとビニル−ポリイソプレンとが結合したトリブロック共重合体(ハイブラー5125(VS−3、(株)クラレ製))、ポリスチレンとポリブタジエンとが結合したトリブロック共重合体(クレイトンD−KX401(クレイトンポリマージャパン(株)製))があげられる。
【0024】
前記トリブロック共重合体は、ジエン系ゴム100重量部に対して、5〜35重量部配合されてなる。好ましくは10〜30重量部、さらに好ましくは10〜25重量部である。トリブロック共重合体の配合量が5重量部より少ないと、摩耗および転がり抵抗ともに顕著な改善が見られない。また、トリブロック共重合体の配合量が35重量部をこえると、加硫ゴムの圧縮セットが大きくなり、トレッド部に使用した場合にパターンつぶれなどが発生する。
【0025】
従来、自動車のビードおよびその周辺部に用いるゴム組成物として、トリブロック共重合体を配合したゴム組成物が知られているが、本発明のように低転がり抵抗化を目的としてトレッドに使用するものではなく、そのためシリカを配合していない。
【0026】
本発明のゴム組成物は、シリカおよび前記トリブロック共重合体を所定の範囲で配合することにより、耐摩耗性を向上させると同時に、転がり抵抗を低減することができたものである。
【0027】
本発明のゴム組成物には、前記シリカと併用してシランカップリング剤を配合することができる。
【0028】
シランカップリング剤としては、たとえば、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフイド、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフイド、トリエトキシシリルプロピルイソシアネート、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−(ポリエチレンアミノ)−プロピルトリメトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N’−ビニルベンジル−N−トリメトキシシリルプロピルエチレンジアミン塩などがあげられる。これらは単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらのうちでは、カップリング剤添加効果とコストの両立の点から、ビス(3−トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフイドなどが好ましい。
【0029】
シランカップリング剤は、前記シリカの配合量の3〜20重量%を配合することが好ましい。シランカップリング剤の配合量が3重量%未満であるとシリカとのカップリング量が少なくなり、練ゴムの粘度低下が不足し、加工が困難となる傾向があり、20重量%をこえるとカップリング剤が高価格であり、経済的にみて使用できなくなる。
【0030】
本発明のゴム組成物には、ゴム成分、補強剤およびトリブロック共重合体のほかに、通常ゴム組成物として使用される配合剤、たとえば、ワックス、老化防止剤、ステアリン酸、酸化亜鉛、伸展油、加硫剤、加硫促進剤などを適宜配合することができる。
【0031】
本発明のゴム組成物は、前記ゴム成分、補強剤、トリブロック共重合体および必要に応じてそのほかの配合剤を、通常の加工装置、たとえば、ロール、バンバリーミキサー、ニーダーなどを用いて混練りすることにより得られる。
【0032】
このようにして得られた本発明のゴム組成物は、たとえば、タイヤトレッドに使用すると、耐摩耗性を向上させると同時に低転がり抵抗化を両立できるタイヤが得られる。したがって、本発明のゴム組成物は、とくにタイヤトレッド用ゴム組成物として好適である。
【0033】
【実施例】
つぎに、実施例および比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、これらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例および比較例では、以下の各原料を用いた。
【0034】
(原料)
SBR1(乳化重合SBR):住友化学工業(株)製の1500
(結合スチレン量:23.5重量%、ムーニー粘度52(ML1+4@100℃))
SBR2(溶液重合油展SBR):旭化成工業(株)製のタフデン3330
(結合スチレン量:31.0重量%、ムーニー粘度65(ML1+4@100℃)、油展比率:ゴム成分100に対し37.5重量%のオイルからなる)
BR:宇部興産(株)製のBR150B
NR:RSS#3
シリカ:日本シリカ(株)製のニプシルVN3
カーボンブラック1(ISAF):三菱化学(株)製のN220
カーボンブラック2(SAF):三菱化学(株)製のN110
ワックス:大内新興化学工業(株)製のサンノックN
老化防止剤6C:大内新興化学工業(株)製のノクラック6C
ステアリン酸:日本油脂(株)製のステアリン酸
酸化亜鉛:東邦亜鉛(株)製の亜鉛華
芳香族伸展油:出光興産(株)製のAH−16
シランカップリング剤:デグサ製のSi69
トリブロック共重合体1
(ポリスチレン−ビニルポリイソプレントリブロック共重合体):(株)クラレ製のハイブラー5125(VS−3)(スチレンユニット含有量:20%、tanδピーク温度:−3℃、ガラス転移温度Tg:−17℃、溶液粘度(30重量%トルエン溶液、30℃):710cPs)
トリブロック共重合体2
(ポリスチレン−ポリブタジエントリブロック共重合体):
クレイトンポリマージャパン(株)製のクレイトンD−KX401(スチレンユニット含有量:22%、比重:0.93、MFR:1.5g/10分(200℃、5.0kg(G))、硬度:52(ショアA))
硫黄:鶴見化学工業(株)製の粉末硫黄
加硫促進剤CZ:大内新興化学工業(株)製のノクセラーCZ−G
加硫促進剤DPG:大内新興化学工業(株)製のノクセラーD
【0035】
実施例1〜3および比較例1〜2
(加工方法)
表1に記載の原料および配合割合にしたがい、硫黄および加硫促進剤以外の成分をバンバリー型インターナルミキサーを用いて160℃で3.5分間混合し、得られたマスターバッチに硫黄および加硫促進剤をオープンロール上で添加し、89℃で3分間混練りしてゴム組成物を得た。ついで、得られたゴム組成物を、170℃で15分間加硫した。
【0036】
実施例1〜3および比較例1〜2の加硫したゴム組成物を使用して、以下に示す各特性の評価試験を行なった。
【0037】
(耐摩耗性)
(株)岩本製作所製のランボーン式摩耗試験機により、表面回転速度50m/分、負荷荷重2.5kgf、落砂量16.0g/分、スリップ率40%の条件で、加硫した各ゴム組成物の摩耗減量を測定した。この測定値の逆数を求め、比較例1を基準値(100)とした指数で示した。この指数値が大きいほど耐摩耗性が優れている。
【0038】
(損失正接)
試験片は厚さ2mm、幅5mmのスラブシートを用い、試料挟み間距離2cmとして、初期伸張率10%とした。(株)岩本製作所製の粘弾性スペクトロメーターを使用し、引張り動歪2%、周波数10Hz、70℃の条件で損失正接(tanδ)を測定し、比較例1を基準値(100)とした指数で示した。この指数が小さいほど転がり抵抗が低く、低燃費である。
【0039】
(クリープ量)
上島製作所製のフレクソメータにより静荷重25kgf、動荷重60kgf、試験周波数20Hz、試験開始温度35℃の条件で、加硫したゴム組成物の25分後のクリープ量を測定した。試験片の測定開始時の高さに対して25分後の高さを測定し、低くなった高さを元の試験片の高さで割った量を%で表示した。数字が大きい方がクリープ量が大きい。
試験片寸法:直径30mm、高さ25.4mmの円柱状
【0040】
結果を表1に示す。
【0041】
【表1】
【0042】
実施例4〜6および比較例3〜4
(加工方法)
表2に記載の原料および配合割合にしたがい、実施例1〜3および比較例1〜2と同様の加工方法、加工条件にて各種供試加硫ゴム組成物を得た。各ゴム組成物について、前述の各特性の評価試験を同様に行なった。なお、耐摩耗性およびtanδの評価結果については、比較例3の値を基準(100)にした。
【0043】
結果を表2に示す。
【0044】
【表2】
【0045】
特定のトリブロック共重合体を特定量配合した実施例1〜6では、トリブロック共重合体を配合しなかった比較例1、3と比べて、耐摩耗性が向上し、転がり抵抗(tanδ)は低減した。
【0046】
一方、トリブロック共重合体を35重量部をこえて配合した比較例2、4では、クリープ量が35%をこえ、パターンつぶれなどが懸念される結果となった。
【0047】
【発明の効果】
本発明のゴム組成物をタイヤのトレッドゴムに採用した場合、パターンつぶれなどが生じることなく、耐摩耗性を向上させると同時に、転がり抵抗を低減できる。
Claims (1)
- ジエン系ゴムと補強剤とを含むゴム組成物において、該補強剤がシリカおよびカーボンブラックからなり、かつ該カーボンブラックの量が補強剤の60〜95重量%であり、ジエン系ゴム100重量部に対してスチレンモノマーユニットのブロックセグメントおよびゴムモノマーユニットのブロックセグメントから構成されるトリブロック共重合体を5〜35重量部配合してなるゴム組成物。
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